JP3722608B2 - 外観検査装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、外観検査技術、特に、平面から突出した突出部の外観を検査する技術に関し、例えば、ボール・グリッド・アレイパッケージ(以下、BGAという。)を備えている半導体集積回路装置(以下、ICという。)や、チップ・サイズ・パッケージ(以下、CSPという。)を備えているICの外部端子の高さを検査するのに利用して有効な技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
ICを使用する電子機器の小型薄形化に伴って、ICのパッケージの縮小が要望されている。この要望に応ずるためのパッケージとして、BGAや各種のCSPが開発されている。これらのBGAやCSPにおいては、実装密度を高めるために、外部端子が半田によって略半球形状に形成されている。この半田によって略半球形状に形成された外部端子は、コントロールドコラプス法(通常、CCBと呼ばれている。)の半田バンプに相当するため、以下、バンプという。
【0003】
BGAやCSPにおけるバンプの高さは、BGA・ICやCSP・ICのプリント配線基板に対する半田付けの良否に影響するため、これらICのメーカーの出荷時やユーザーの受入れ時に外観検査される。ところが、BGA・ICやCSP・ICの外部端子であるバンプは、挿入リード形パッケージ(例えば、DIP)および表面実装形パッケージ(例えば、QFPやQFJ)の外部端子であるアウタリードと異なり半球形状であるため、これらのリード外観検査装置を使用することができない。
【0004】
そこで、マルチ・チップ・モジュール(MCM)のバンプを検査するための検査装置(以下、MCMバンプ検査装置という。)や、半導体ウエハ(以下、ウエハという。)の状態でCCBのバンプを検査するための検査装置(以下、ウエハバンプ検査装置という。)を利用して、BGAやCSP・ICのバンプを検査することが考えられている。
【0005】
MCMバンプ検査装置は高精度のレーザ変位計およびXYテーブルを備えており、レーザ光をバンプの頂点に照射してバンプの上に形成されたスポット光痕の位置を斜めに設定したラインセンサ等によって検出することにより、バンプの高さを測定するように構成されている。
【0006】
ウエハバンプ検査装置はスリット光源、エリアセンサおよびXテーブルを備えており、バンプに対してスリット光源からスリット光を照射してエリアセンサによってバンプの切断形状を得ることにより、バンプの高さを測定するように構成されている。
【0007】
なお、BGA・ICを述べてある例としては、日経BP社1993年5月31日発行「実践講座VLSIパッケージング技術(下)」P173〜P178、がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
MCMバンプ検査装置においては、次のような問題点がある。
▲1▼ バンプ毎にレーザスポット光を高精度に照射する必要があるため、高精度のXY方向の位置決めが要求される。
▲2▼ バンプ毎に位置決め動作が必要であるため、検査時間が長くなる。
▲3▼ レーザスポット光がバンプの頂点に照射されないと、バンプ高さを測定したことにならない。バンプは偏心していることが多々あり、バンプの中心が最も高いとは限らない。そのため、バンプの中心付近をレーザ光で走査して最も高い測定点を求める処理を実行する必要があり、検査時間がより一層長くなる。
▲4▼ レーザ光を一定速度、一定ピッチで走査することによって面(エリア)画像情報が得られるが、走査時間が長くなり、画像処理が複雑になる。
▲5▼ バンプの頂点に発生するスポット光痕を検出する方式であるため、バンプ表面は原則的には無光沢状態が望ましい。したがって、光沢度の高いバンプの場合は精度が低下する。
【0009】
ウエハバンプ検査装置においては、次のような問題点がある。
▲1▼ バンプ列毎にスリット光を高精度に照射する必要があるため、高精度の位置決め装置が必要になる。
▲2▼ バンプ列毎に位置決め動作が必要であるため、検査時間が長くなる。
▲3▼ スリット光がバンプの頂点に照射されないと、バンプ高さを測定したことにならない。バンプは偏心していることが多々あり、バンプの中心が最も高いとは限らない。そのため、バンプの中心付近をスリット光で走査して最も高い測定点を求める処理を実行する必要があり、検査時間がより一層長くなる。
▲4▼ スリット光を一定速度、一定ピッチで走査することによって面画像情報が得られるが、膨大な画像情報からバンプ高さを抽出する必要があるため、画像処理が複雑になる。
▲5▼ バンプの頂点に発生するスリット光痕を検出する方式であるため、バンプ表面は原則的には無光沢状態が望ましい。したがって、光沢度の高いバンプの場合は精度が低下する。
【0010】
本発明の第1の目的は、突出部の高さを精度よく、しかも、短時間に検査することができる外観検査技術を提供することにある。
【0011】
本発明の第2の目的は、高さに制限されずに突出部の高さを検査することができる外観検査技術を提供することにある。
【0012】
本発明の第3の目的は、突出部の高さに基づいて突出部群の頂点によって構成される平面の平坦度を検査することができる外観検査技術を提供することにある。
【0013】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を説明すれば、次の通りである。
【0015】
すなわち、被検査物の一主面に突出した突出部をその高さを求めて検査する外観検査装置は、前記一主面に対して撮像面が平行に配置されており前記突出部を撮像して前記突出部の頂点の高さを二次元の位置ずれとして出現させる煽り撮像装置と、この位置ずれに基づいて前記突出部の高さを求める演算部とを備えている。
【0016】
前記演算部は、前記検査対象の突出部が突出部の高さと外径との関係に基づいて分類される低い突出部、中間突出部、高い突出部の三つのモデルのいずれかに該当するかを判定するように構成されていることを特徴とする。
【0017】
前記一主面に突出した複数個の突出部の頂面群が構成した平坦度を検査する外観検査装置であって、
前記突出部群のうち前記煽り撮像装置の焦点が合った平面における前記突出部の頂点の二次元の位置が基準位置として設定され、この基準位置に対する前記突出部のそれぞれにおける頂点の二次元の位置ずれに基づいて、前記突出部毎の高さが求められ、これら突出部毎の高さ群によって構成される平面の平坦度が求められることを特徴とする。
【0018】
前記した第1の手段によれば、煽り撮像装置により突出部を撮像して突出部の頂点の高さを二次元の位置ずれとして出現させることができるため、この位置ずれに基づいて突出部の高さを測定することができる。したがって、突出部にレーザスポット光やスリット光を高精度に照射しなくても済むため、高精度の位置合わせや位置決めを省略することができ、突出部の高さについての検査時間を大幅に短縮することができる。また、煽り撮像装置と真上撮像装置とを併用して、煽り撮像装置による煽り撮像画像と真上撮像装置による真上撮像画像とから、偏心した突出部であっても真の高さである頂点の高さを求めることができるため、突出部の高さを正確に検査することができる。
【0019】
前記した第2の手段によれば、前記検査対象の突出部の高さを前記判定されたモデルに予め設定されている計算式によって求めることができる。また、前記モデルのいずれかに該当するかの判定結果に基づいて前記検査対象の突出部の高さの良不良を判定することができる。
【0020】
前記した第3の手段によれば、基準位置に対する前記突出部のそれぞれにおける頂点の二次元の位置ずれに基づいて求められた突出部毎の高さ群によって構成される平面の平坦度が求められるため、突出部群全体としての平坦度を求めることができ、被検査物の利用に最も適した状態を検査することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
図1(a)は本発明の一実施形態である外観検査装置を示す模式図、(b)はその作用を説明するための説明図である。図2はBGA・ICを示しており、(a)は外観斜視図、(b)は拡大部分断面図である。
【0022】
本実施形態において、本発明に係る外観検査装置は、BGA・ICにおけるバンプの高さを検査するものとして構成されている。被検査物としてのBGA・IC1は封止体およびバンプ群から成るBGA2を備えている。封止体3は略正方形の平盤形状に形成されており、封止体3の一主面(以下、第1主面とする。)4には底の浅い穴部5が複数個、規則的に配列されて没設されている。各穴部5の底には各電極パッド6が同心円に配置されてそれぞれ形成されており、各電極パッド6にはバンプ7がそれぞれ突設されている。バンプ7は半田ボール(図示せず)が封止体3の電極パッド6に半田付けされることによって略半球形状に形成されている。
【0023】
本実施形態において、外観検査装置10は水平に設定された検査台11を備えている。検査台11の上面には負圧供給路を接続された吸引口(図示せず)が開設されており、検査台11は吸引口の真空吸引力によりBGA・IC1の封止体3の第2主面を吸着することにより、BGA・IC1を位置決め保持し得るようになっている。
【0024】
検査台11の斜め上方には平行光束を検査台11に対して45度の傾斜角をもって照射する斜方照明装置12が設備されており、検査台11に保持されたBGA・IC1のバンプ7群が斜方照明装置12から照射された照射光13によって全体的に照明されるようになっている。照射光13の全反射した全反射光14は、左右対称の斜め45度上方に進むことになる。
【0025】
検査台11の斜方照明装置12と左右対称の斜め上方には、被写体に対してカメラを後ろへ傾ける状態(光学分野において所謂煽る状態)になるように構成された撮像装置(以下、煽り撮像装置という。)15が設備されている。煽り撮像装置15は機枠としての暗箱16、レンズ17、画像取り込み装置としてのエリアセンサ18および画像処理部19を備えている。レンズ17は光軸17aが垂直になるように暗箱16に配設されており、検査台11からの全反射光14が光軸17aに対して45度の夾角をもってレンズ17に入射するようになっている。すなわち、レンズ17は被写体であるBGA・IC1の第1主面4に対して煽る状態に配置されている。レンズ17は焦点距離が検査台11に保持されたBGA・IC1の第1主面4の中心において合うように設定されているとともに、エリアセンサ18の撮像面18aにBGA・IC1の像を鮮明に結像させるように設定されている。
【0026】
エリアセンサ18はCCD(電荷結合素子)等の光学センサ(固体撮像装置)が使用されて、被写体であるBGA・IC1の面(エリア)画像情報を取り込むように構成されており、面画像情報である電気信号を画像処理部19に入力させるようになっている。エリアセンサ18は撮像面18aが被写体であるBGA・IC1の第1主面4と平行になるように暗箱16に水平に配設されており、検査台11からの全反射光14が撮像面18aに対して45度の夾角をもって入射するようになっている。すなわち、エリアセンサ18は被写体であるBGA・IC1の第1主面4に対して煽る状態に配置されている。
【0027】
画像処理部19はエリアセンサ18からの面画像情報としての電気信号を電気的に処理して、被写体であるBGA・IC1の面画像を形成するように構成されている。画像処理部19には演算部20が接続されており、演算部20は画像処理部19が形成した面画像に基づいて後述する作用によってバンプ7の高さを求めるとともに、高さの良否を判定するように構成されている。
【0028】
次に、前記構成に係る外観検査装置の作用を説明することにより、本発明の一実施形態である外観検査方法を説明する。
【0029】
被検査物であるBGA・IC1はバンプ7群が配列された第1主面4側を上側に向けた状態で、検査台11の所定位置に載置されて保持される。検査台11に保持されたBGA・IC1は斜方照明装置12によって全体的に照明される。斜方照明装置12によって全体的に照明されたBGA・IC1は、封止体3の第1主面4から突出されているバンプ7群の全てを煽り撮像装置15によって撮影される。すなわち、煽り撮像装置15の画像処理部19からは、バンプ7については図1(b)に示されているバンプ像21が出力されることになる。
【0030】
この際、バンプ7が半球形状に形成されていることにより、図1(b)に示されているように、バンプ7に照射した照射光13の全反射光14のうち頂点7a(実際には微小な面となる。)に照射して全反射した頂点全反射光14aだけが、煽り撮像装置15のレンズ17に入射するため、エリアセンサ18の撮像面18aに明るい像(以下、頂点像という。)21aを結ぶことになる。頂点7a外の球面に照射した照射光13の頂点外全反射光14bは、煽り撮像装置15のレンズ17に入射しないため、相対的に、エリアセンサ18の撮像面18aには暗い像(以下、全体像という。)21bが結ばれることになる。
【0031】
ここで、半球形状のバンプ7において頂点7aは水平状態になっており、入射角と反射角とは等しいという法則から頂点7aに入射した照射光13の頂点全反射光14aは、斜方照明装置12と左右対称形に配置された煽り撮像装置15に入射するため、頂点像21aが撮影される。これに対して、頂点7a外の球面に照射した照射光13の頂点外全反射光14bは、入射角と反射角とは等しいという法則から煽り撮像装置15の設置方向と異なる方向に進むため、煽り撮像装置15に入射せず暗い全体像21bを相対的に結ぶことになる。
【0032】
ところで、封止体3の第1主面4は水平面であるため、第1主面4での全反射光14cは煽り撮像装置15に入射して明るい像(以下、周囲像という。)21cを結ぶことになる。但し、第1主面4に没設された穴部5に照射した照射光13の全反射光は立ち上がり壁面で再反射するため、煽り撮像装置15に入射しない。したがって、バンプ7の暗い全体像21bの外周縁は、暗い像である穴部5と第1主面4での全反射光14cによる明るい周囲像21cとの境界によって規定されることになる。しかし、穴部5とバンプ7とは同心円に配置されているため、全体像21bの中心21dはバンプ7の平面上の中心7dに対応している。また、斜め撮像画像であるが、煽り撮像装置15による煽り撮像画像なので、第1主面4に配置されたバンプ7群全てについて均一の画像を全く歪なく得ることができる。ちなみに、煽り撮像装置15を使わずに斜め撮像すると、楕円になり、かつ、前後のバンプの画像が歪む。
【0033】
以上のようにして撮影されて画像処理されたバンプ像21の全体像21bは、レンズ17およびエリアセンサ18が被写体であるBGA・IC1の第1主面4に対して煽り状態すなわち平行に配置されているため、図1(b)に示されているように真円形に形成される。つまり、バンプ7を真上から撮影した場合と均等の状態になっており、全体像21bの中心21dはバンプ7の平面上の中心7dを示していることになる。しかし、頂点像21aはバンプ7における頂点7aの高さの分だけ、全体像21bの中心21dから偏心している。したがって、バンプ頂点7aがバンプ7の中心にあるという前提条件下において、全体像21bにおける中心21dからの頂点像21aの偏心量を算出することにより、バンプ7における頂点7aの高さhが求められることになる。
【0034】
演算部20は次の式によってバンプ7における頂点7aの高さhを求める。
A=h/tanθ+r・・・▲1▼
r=R・・・▲2▼
故に、h=(A−R)×tanθ・・・▲3▼
【0035】
式中、hは第1主面4からのバンプ7の頂点7aの高さであり未知数である。rは穴部5の半径であって設計値に規定されているが、実寸値は未知数である。なお、後述する真上撮像装置によれば、rは実測することができる。Rは後述する真上撮像装置により得られた画像からバンプ7の全体像の外縁から頂点線までの距離、すなわち、頂点の偏心量と全体像の半径の和である。すなわち、バンプ7に変形がなく頂点に偏心がない場合には画像処理部19の情報に基づいて全体像21bの直径を測定することにより、Rは求めることができる。Aはバンプ像21における全体像21bの外縁から頂点像21aまでの距離であり、画像処理部19の情報に基づいて測定することができる。θは全反射角であって照射光13の照射角に等しい。
【0036】
本実施形態において、θは45度であるから、tanθは「1」である。故に、前式▲3▼は、h=A−R、になる。したがって、バンプ7に変形がなく頂点7aがバンプ7の平面上の中心7dの上にあるという前提条件下では、バンプ7の頂点7aの高さhは、画像処理によって測定した全体像21bの外縁から頂点像21aまでの距離Aと、全体像21bの半径との差に等しいということになる。なお、後述するように真上撮像装置を併用すれば、バンプ7が変形し頂点7aが偏心している場合であってもバンプ7の高さhを正確に求めることができる。
【0037】
以上のようにして求めたバンプ7の頂点7aの高さhと予め設定された標準値との差値を算出し、その差値が予め設定された公差の範囲内か否かを判定することにより、演算部20はバンプ7の高さの良否を検査することができる。
【0038】
前記実施形態によれば、次の効果が得られる。
▲1▼ レンズ17およびエリアセンサ18を被写体であるBGA・IC1の第1主面4に対して煽り状態すなわち平行に配置することにより、半球形状のバンプ7を真上から撮影した場合と等しく、バンプ像21の全体像21bを真円形に撮影することができるため、全体像21bにおける中心21dからの頂点像21aの偏心量を算出することにより、バンプ7における頂点7aの高さhを求めることができる。
【0039】
▲2▼ 前記▲1▼により、バンプにレーザスポット光やスリット光を高精度に照射しなくても済むため、高精度の位置合わせや位置決めを省略することができ、バンプの高さについての検査時間を大幅に短縮することができる。
【0040】
▲3▼ 煽り撮像装置15による斜め撮像画像としての煽り撮像画像は、第1主面4に配置されたバンプ7群全てについて均一の画像を全く歪みなく撮映することができるため、一度の撮映によってバンプ7群全ての頂点7aの高さを求めることができ、全てのバンプ7の高さを正確かつ迅速に検査することができる。
【0041】
▲4▼ 多数個のバンプであっても照射光および撮像装置を走査せずに一度の撮映によって一括して画像を取り込むことができるため、検査時間の延長を未然に回避することができる。
【0042】
▲5▼ 高精度で高価なレーザ変位計や位置決め装置等を必要としないため、外観検査装置の設備費用やメンテナンス費用およびランニング費用を低減することができる。
【0043】
▲6▼ 斜方照明装置12によって被写体であるBGA・IC1を照明することにより、バンプ7の頂点像21aと全体像21bとのコントラストを鮮明に撮影させることができるため、バンプの高さの測定精度および検査精度をより一層高めることができる。
【0044】
図3は本発明の他の実施形態である外観検査装置を示す模式図であり、図4はその作用を説明するための説明図である。
【0045】
本実施形態2が前記実施形態1と異なる点は、煽り撮像装置にラインセンサが使用されている点および真上撮像装置が併用されている点である。すなわち、本実施形態2に係る外観検査装置10Aは、水平に設定されたXテーブル30を備えており、Xテーブル30には検査台31が水平に設置されている。Xテーブル30は検査台31を斜め撮像ステージ30aと真上撮像ステージ30bとの間で往復移動させるように構成されており、中央演算処理装置(以下、CPUという。)40によって制御されるようになっている。
【0046】
斜め撮像ステージ30aの斜め上方には平行光束を検査台31に対して45度の傾斜角をもって照射する斜方照明装置32が設備されており、検査台31に保持されたBGA・IC1のバンプ7群が斜方照明装置32から照射された照射光33によって全体的に照明されるようになっている。
【0047】
斜め撮像ステージ30aの斜方照明装置32と左右対称の斜め上方には、ラインセンサを使用した煽り撮像装置35が設備されており、煽り撮像装置35は後記する真上撮像装置と共に走査装置41に吊持されている。走査装置41はCPU40によって制御されることにより、煽り撮像装置35および真上撮像装置をBGA・IC1の第1主面4に対して平行方向であるX方向に走査するようになっている。なお、図示しないが、斜方照明装置32および後記する垂直落射照明装置も走査装置41によってX方向に走査されるようになっている。
【0048】
煽り撮像装置35は暗箱36、レンズ37、画像取り込み装置としてのラインセンサ38および画像処理部39を備えている。レンズ37は光軸が45度になるように暗箱36に配設されており、検査台31からの全反射光34が光軸と平行に入射するようになっている。すなわち、レンズ37は被写体であるBGA・IC1の第1主面4に対して煽る状態に配置されていない。しかし、BGA・IC1の第1主面4に平行に走査するという条件の下では、煽りによる斜め撮像(煽り撮像)の効果が得られる。レンズ37は焦点距離が検査台31に保持されたBGA・IC1の第1主面4の中心において合うように設定されているとともに、ラインセンサ38の撮像面38aにBGA・IC1の像を鮮明に結像させるように設定されている。
【0049】
ラインセンサ38はCCD(電荷結合素子)等の光学センサが使用されて、被写体であるBGA・IC1の線(ライン)画像情報を取り込むように構成されており、線画像情報である電気信号を画像処理部39に入力させるようになっている。ラインセンサ38は撮像面38aが被写体であるBGA・IC1の第1主面4と平行になるように暗箱36に水平に、かつ、BGA・IC1の第1主面4の一方の中心線と一致する方向(以下、Y方向とする。)に長く敷設されている。そして、煽り撮像装置35が走査装置41によって水平移動されると、ラインセンサ38の撮像面38aは被写体であるBGA・IC1の第1主面4と平行なエリア(面)撮像面を構成するようになっている。検査台31からの全反射光34はこのラインセンサ38の撮像面38aが構成するエリア撮像面に対して45度の夾角をもって入射するようになっている。すなわち、ラインセンサ38は被写体であるBGA・IC1の第1主面4に対して煽る状態に配置されている。なお、ラインセンサ38は暗箱36に、撮像面38aの光軸が検査台31からの全反射光34と平行になるように設置することが望ましい。
【0050】
画像処理部39にはCPU40が接続されており、画像処理部39はラインセンサ38からの線画像情報としての電気信号と、走査装置41を制御するためのCPU40からの走査信号とを電気的に処理して被写体であるBGA・IC1の面(エリア)画像を形成するように構成されている。CPU40には演算部が組み込まれており、演算部は画像処理部39および真上撮像装置が形成した面画像を併用してバンプ7の高さを求めるとともに、高さの良否を判定するように構成されている。
【0051】
真上撮像ステージ30bには平行光束を検査台31に対して垂直に照射する垂直落射照明装置42が設備されており、検査台31に保持されたBGA・IC1のバンプ7群が垂直落射照明装置42から照射された垂直落射光43によって全体的に照明されるようになっている。垂直落射照明装置42は平行光束を水平に照射する光源42aと、水平に照射された平行光束を垂直に落射させるハーフミラー42bとを備えており、ハーフミラー42bは検査台31からの全反射光44を真上撮像装置45に透過させるように構成されている。
【0052】
真上撮像ステージ30bの垂直落射照明装置42と光学的に後方の垂直位置には、ラインセンサを使用した真上撮像装置45が設備されており、真上撮像装置45は煽り撮像装置35と共に走査装置41に吊持されている。したがって、真上撮像装置45も走査装置41によりX方向に走査されるようになっている。なお、垂直落射照明装置42も前記した斜方照明装置32と共に走査装置41によりX方向に走査されるようになっている。
【0053】
真上撮像装置45は暗箱46、レンズ47、画像取り込み装置としてのラインセンサ48および画像処理部49を備えている。レンズ47は光軸が垂直になるように暗箱46に配設されており、検査台31からの全反射光44が光軸と平行に入射するようになっている。すなわち、レンズ47は被写体であるBGA・IC1の第1主面4に対して煽る状態に配置されていない。レンズ47は焦点距離が検査台31に保持されたBGA・IC1の第1主面4の中心において合うように設定されているとともに、ラインセンサ48の撮像面48aにBGA・IC1の像を鮮明に結像させるように設定されている。
【0054】
ラインセンサ48はCCD(電荷結合素子)等の光学センサが使用されて、被写体であるBGA・IC1の線(ライン)画像情報を取り込むように構成されており、線画像情報である電気信号を画像処理部49に入力させるようになっている。ラインセンサ48は撮像面48aが被写体であるBGA・IC1の第1主面4と平行になるように暗箱46に水平に配設されており、検査台31からの全反射光44が撮像面48aに対して垂直に入射するようになっている。すなわち、ラインセンサ48は被写体であるBGA・IC1の第1主面4に対して煽る状態に配置されていない。また、ラインセンサ48はBGA・IC1の第1主面4の一方の中心線と一致する方向(以下、Y方向とする。)に長く敷設されている。
【0055】
画像処理部49にはCPU40が接続されており、画像処理部49はラインセンサ48からの線画像情報としての電気信号と、走査装置41を制御するためのCPU40からの走査信号とを電気的に処理して被写体であるBGA・IC1の面(エリア)画像を形成するように構成されている。
【0056】
なお、50はCPU40の演算結果や判定結果等をモニタリングするためのモニタであり、51は煽り撮像装置35の面画像をモニタリングするためのモニタであり、52は真上撮像装置45の面画像をモニタリングするためのモニタである。
【0057】
次に、前記構成に係る外観検査装置10Aの作用を説明することにより、本発明の実施形態2である外観検査方法を説明する。
【0058】
BGA・IC1はバンプ7群が配列された第1主面4側を上側に向けた状態で、検査台31の所定位置に載置されて保持される。BGA・IC1を保持した検査台31が真上撮像ステージ30bに配置されると、走査装置41によって真上撮像装置45および垂直落射照明装置42が被写体であるBGA・IC1の第1主面4に対して平行であるX方向に走査されるとともに、検査台31に保持されたBGA・IC1は垂直落射照明装置42によって垂直落射照明される。これにより、真上撮像装置45は封止体3の第1主面4から突出されているバンプ7群の全てを撮影して面画像情報を出力する。すなわち、真上撮像装置45の画像処理部49からは、バンプ7については図4に示されているバンプ真上像53が出力されることになる。
【0059】
この際、バンプ7が半球形状に形成されていることにより、バンプ7に照射した垂直落射光43の全反射光44のうち、頂点7a(実際には微小な面となる。)に照射して全反射した頂点全反射光44aだけが真上撮像装置45に入射するため、バンプ真上像53には頂点7aの明るい像(以下、真上頂点像という。)53aが形成される。頂点7a外の球面に照射した垂直落射光43の頂点外全反射光44bは、真上撮像装置45に入射しないため、バンプ真上像53には暗い像(以下、真上全体像という。)53bが形成される。
【0060】
ここで、半球形状のバンプ7において頂点7aは水平状態になっており、入射角と反射角とは等しいという法則から、頂点7aに入射した垂直落射光43の頂点全反射光44aは垂直に配置された真上撮像装置45に入射するため、真上頂点像53aが撮影される。これに対して、頂点7a外の球面に照射した垂直落射光43の頂点外全反射光44bは、入射角と反射角とは等しいという法則から、真上撮像装置45の垂直方向に進まないため、真上撮像装置45に入射せずに暗い真上全体像53bを相対的に形成することになる。
【0061】
ところで、封止体3の第1主面4は水平面であるため、第1主面4での周囲全反射光44cは真上撮像装置45に入射して明るい周囲像53cを結ぶことになる。したがって、バンプ7の暗い真上全体像53bの外周縁は第1主面4での周囲全反射光44cによる明るい周囲像53cとの境界によって規定されることになる。
【0062】
以上のようにして真上撮像装置45により得られたバンプ真上像53の真上全体像53bは図4に示されているように実質的に真円形に形成され、真上頂点像53aは理想的には当該真円形の中心に位置している。つまり、バンプ7が変形しその頂点7aが偏心している場合はその限りでないが、バンプ7を真上から鳥瞰視した場合と均等の状態になっている。
【0063】
次に、BGA・IC1を保持した検査台31が斜め撮像ステージ30aに配置されると、走査装置41によって煽り撮像装置35および斜方照明装置32が被写体であるBGA・IC1の第1主面4に対して平行であるX方向に走査されるとともに、検査台31に保持されたBGA・IC1は斜方照明装置32によって斜方照明される。これにより、煽り撮像装置35は封止体3の第1主面4から突出されているバンプ7群の全てを撮影して面画像情報を出力する。すなわち、煽り撮像装置35の画像処理部39からは、バンプ7については図4に示されているバンプ煽り像54が出力されることになる。
【0064】
この際、バンプ7が半球形状に形成されていることにより、バンプ7に照射した照射光33の全反射光34のうち頂点7a(実際には微小な面となる。)に照射して全反射した頂点全反射光34aだけが、煽り撮像装置35のレンズ37に入射するため、ラインセンサ38の撮像面38aに明るい像(以下、煽り頂点像という。)54aを結ぶことになる。頂点7a外の球面に照射した照射光33の頂点外全反射光34bは、煽り撮像装置35のレンズ37に入射しないため、相対的に、ラインセンサ38の撮像面38aには暗い像(以下、煽り全体像という。)54bが結ばれることになる。
【0065】
ここで、半球形状のバンプ7において頂点7aは水平状態になっており、入射角と反射角とは等しいという法則から、頂点7aに入射した照射光33の頂点全反射光34aは斜方照明装置32と左右対称形に配置された煽り撮像装置35に入射するため、煽り頂点像54aが撮影される。これに対して、頂点7a外の球面に照射した照射光33の頂点外全反射光34bは、入射角と反射角とは等しいという法則から煽り撮像装置35の設置方向と異なる方向に進むため、煽り撮像装置35に入射せず暗い煽り全体像54bを相対的に結ぶことになる。つまり、明るい煽り頂点像54aは暗い煽り全体像54bに取り囲まれて鮮明に認識し得る状態になっている。
【0066】
以上のようにして煽り撮像装置35によって撮像された煽り頂点像54aは、バンプ7における頂点7aの高さの分だけ、真上頂点像53aの位置から偏心している。したがって、真上頂点像53aと煽り頂点像54aとの位置ずれ量を測定することにより、バンプ7における頂点7aの高さhが求められることになる。
【0067】
そこで、CPU40は真上頂点像53aの座標位置と、煽り頂点像54aの座標位置との差値を測定して、バンプ7における頂点7aの高さhを求める。そして、以上のようにして求めたバンプ7の頂点7aの高さhと予め設定された標準値との差値を算出し、その差値が予め設定された公差の範囲内か否かを判定することにより、CPU40はバンプ7の高さの良否を検査することができる。
【0068】
以上説明した本実施形態2によれば、前記実施形態1と同様の効果に加えて、煽り撮像装置による煽り頂点像と真上撮像装置による真上頂点像とに基づいて画像処理によってバンプ7の頂点7aを求めることができる。したがって、バンプ頂点が偏心している場合でも、正確にバンプ高さを求めることができる。また、ラインセンサを使用することにより、コスト増を抑制しつつ解像度を大幅に高めることができるため、測定精度や検査精度を容易に高めることができる。
【0069】
煽り効果による二次元の位置ずれに基づいてバンプの高さが求められるため、煽り撮像装置による撮映時と真上撮像時の撮像時とにおいて、検査対象物であるBGA・ICが機械的に移動された場合であっても、当該移動に伴う誤差についてのキャリブレーションは省略することができる。このようにキャリブレーションを省略することができるため、外観検査装置および方法の信頼性を高めることができるとともに、ランニングコスト等を大幅に軽減することができる。
【0070】
図5は本発明の一実施形態である外観検査方法を比較例によって明らかにするための各説明図である。(a)は本発明の一実施形態である外観検査装置を示す模式図、(b)はその撮像画面図、(c)はバンプ高さの測定原理を示す説明図である。(d)は比較例としてのテレセントリック光学系による外観検査装置を示す模式図、(e)はその撮像画面図、(f)はバンプ高さの測定原理を示す説明図である。
【0071】
前記実施形態1および2で説明した通り、図5(a)示されている煽り撮像装置を使用すると、単純かつ安価な構成によって、図5(b)に示されているように、撮像画面全体にわたって全く歪みの無い撮像画面であって、しかも、真上撮像装置と均等な撮像を得ることができ、図5(c)に示されているように、頂点像の二次元の偏心に基づいてバンプの高さhの寸法値を測定することができ、また、変形したバンプの頂点の高さであっても正確に求めることができる。
【0072】
図5(d)に示されているテレセントリック光学系による外観検査装置55は、図5(e)に示されているように、撮像画面全体にわたってピントの合った画像を得ることができる。しかし、図5(b)と図5(e)との比較から明らかな通り、テレセントリック光学系56の傾きの手前側と奥行き側とが縮小してしまう。すなわち、テレセントリック光学系56を通したエリアセンサ57による斜め撮映画像には歪みがある。つまり、常に座標変換が必要になるため、テレセントリック光学系56が複雑かつ高価格なこととあいまって、テレセントリック光学系による外観検査装置55のコストはきわめて高くなってしまう。
【0073】
テレセントリック光学系を使用した外観検査装置を含めて煽り撮像装置を使用しない通常の斜め撮映画像によるバンプ7の高さは、図5(f)に示されている原理によって測定される。しかしながら、この測定原理によれば、画像58の頂点58fによって求められるのは、バンプ7における頂点7aの若干下側の位置(実際には微小な面である。)7fということになるため、正確な測定が原理的に不能である。また、バンプ7の頂点7aを測定するのではないから、バンプ7が変形することによってバンプ7の頂点7aが偏心している場合には偏心しているか否かさえも原理的に認識することができない。つまり、変形したバンプ7における頂点7aの偏心の補正は、測定原理からして不能である。
【0074】
ところで、第1主面4の穴部5の底に形成された電極パッド6ではなく、図6に示されているように、第1主面4の上に形成された電極パッド6にバンプ7が突設されていると、バンプ7の第1主面4からの高さhは、真上撮像装置と煽り撮像装置とによる測定原理では次のような理由によって測定することができない場合がある。
【0075】
真上撮像装置と煽り撮像装置とによってバンプ7の高さhを測定するには、真上撮像装置と煽り撮像装置とが同一の外周縁を撮像していることが条件になる。これは図4および前記した式▲1▼、▲2▼、▲3▼から理解することができる。バンプ7が第1主面4の穴部5の底に突設されている場合には、図4に示されているように、真上撮像装置と煽り撮像装置とは穴部5の外周縁を同一の外周縁として撮像するため、この条件を満足することになる。
【0076】
図6(b)に示されているように、第1主面4の上に形成された電極パッド6にバンプ7が突設されている場合であってバンプ7の高さが高い場合には、真上撮像装置はバンプ7の実際のエッジAおよびBを撮像する。ところが、煽り撮像装置はバンプ7の影のエッジA’およびB’を撮像することになる。つまり、この場合には、前記した▲1▼式において、▲2▼式のr=Rが成立しないため、▲3▼式によってhを求めることができない。
【0077】
但し、図6(a)に示されているように、第1主面4の上に形成された電極パッド6にバンプ7が突設されている場合であってもバンプ7の高さが低い場合には、真上撮像装置および煽り撮像装置のいずれもがバンプ7の実際のエッジAおよびBを撮像することになるため、▲3▼式によってhを求めることができる。つまり、この場合には前記した▲1▼式において、▲2▼式のr=Rが成立するため、▲3▼式によってhを求めることができる。
【0078】
図6(c)に示されているように、第1主面4の上に形成された電極パッド6にバンプ7が突設されている場合であっても、真上撮像装置と煽り撮像装置とによる測定原理によって測定することができるバンプ7の高さhは、
h≦{(2−2 1/2)/2}×R・・・▲4▼
の通りである。この▲4▼式によれば、バンプ7の高さhが電極パッド6の直径の約0.3以下でないと、測定することができないということになる。ところが、BGAやCSP等のバンプに使用される半田バンプの高さhは電極パッド6の直径の0.3以上になる場合が多い。
【0079】
ここで、半田バンプの形成方法について説明する。半田バンプの形成方法には大きく分けて、半田ボールが電極パッドに付着される方法と、電極パッドに半田材料が印刷法やめっき法によって供給されリフロー処理によって接着される方法とがある。半田ボールによるバンプ形成方法によれば、バンプの高さはボールの直径に依存するため、一定して高くなる。半田リフロー法によるバンプ形成方法においては、バンプの高さが表面張力に依存するため、半田材料の供給によってバンプの高さは高いものから低いものまで種々に出現することになる。
【0080】
したがって、バンプの高さを検査するためには、半田リフロー法によるバンプ形成方法によって形成されたバンプであって、高いものから低いものまでの高さを測定する必要があり、これらを測定することができれば、他のバンプの高さについても検査を達成することができるということになる。
【0081】
そこで、本発明の実施形態3である外観検査方法においては、図7(a)、(b)、(c)示されている三つのモデルにバンプを分類するとともに、各バンプの高さをそれぞれに対応する計算方法によって求めるように構成した。以下に三つのモデルと各計算方法について説明する。
【0082】
第1のモデルは図7(a)に示されているように、影が第1主面に発生しない程に高さhが低いバンプ(以下、低いバンプという。)である。第2のモデルは図7(b)に示されているように、第1主面に影が発生し直径が電極パッドと等しい中間高さのバンプ(以下、中間バンプという。)である。第3のモデルは図7(c)に示されているように、高さが電極パッドの直径よりも高いバンプ(以下、高いバンプという。)である。
【0083】
図7(d)は低いバンプと中間バンプとの境界条件を示す説明図であり、図7(e)は中間バンプと高いバンプとの境界条件を示す説明図である。図7において、θが煽り撮像装置の傾斜角度とすると、低いバンプの高さhは、
h≦(1−cosθ)/sinθ×R・・・(i)
中間バンプの高さhは、
(1−cosθ)/sinθ×R<h≦R・・・(ii)
高いバンプの高さhは、
R<h・・・(iii)
によってそれぞれ表されるため、低いバンプと中間バンプと高いバンプとは明確に分類することができる。
【0084】
低いバンプは影が第1主面に発生しないことにより真上撮像装置および煽り撮像装置のいずれもがバンプの実際のエッジを撮像することになるため、前記実施形態に準じてhを求めることができる。しかし、中間バンプおよび高いバンプでは影が第1主面に発生することにより煽り撮像装置はバンプの影のエッジを撮像することになるため、hを求めることができない。
【0085】
そこで、中間バンプおよび高いバンプについても前記実施形態2に係る外観検査装置を使用して高さhを測定することができるように、図8、図9、図10のモデルを想定してhを求めた。図8は低いバンプ、図9は中間バンプ、図10は高いバンプをそれぞれ示している。図8〜図10において、いずれのバンプも球の一部によって構成されているとともに、バンプが偏心している場合を配慮して大きい曲率の球と小さい曲率の球とから構成されている場合が想定されている。ここで、三つのバンプが大小曲率の二つの球モデルによって表されているため、厳密には五つのモデルが想定されることになる。しかし、実際のバンプの偏心量は極僅かであるため、大小の曲率によって発生する二つのモデルは無視しても実用上差し支えない。
【0086】
図8〜図10において、hは第1主面からのバンプの高さ、T1 は真上全体像における斜方照明装置側のバンプエッジからバンプ頂点像までの距離、T2 は真上全体像における煽り撮像装置側のバンプエッジからバンプ頂点像までの距離、S1 は煽り全体像における斜方照明装置側のバンプ影のエッジからバンプ頂点像までの距離、S2 は煽り全体像における煽り撮像装置側のバンプ影のエッジからバンプ頂点像までの距離、r1 はバンプを構成した斜方照明装置側の球の半径、r2 はバンプを構成した煽り撮像装置側の球の半径、Rはバンプの平均半径、θは第1主面からの煽り撮像傾斜角度である。
【0087】
図8に示されている通り、低いバンプの場合には真上撮像装置および煽り撮像装置のいずれでもバンプエッジを同一の外周縁として撮像する状態になるため、バンプエッジを共通の測定基準として使用することができる。したがって、図3および図4について説明した外観検査装置および方法に準じた測定原理によってバンプの高さhを求めることができる。この場合には、真上撮像装置からT1 とT2 という二つの情報が得られ、煽り撮像装置からはS1 とS2 という二つの情報が得られるが、T1 とS1 またはT2 とS2 のいずれか二つの情報を使用することにより、バンプ高さhを計算することができる。
【0088】
但し、T1 およびS1 を使用した計算式の解の値と、T2 およびS2 を使用した計算式の解の値との平均値を求めるという考え方で、測定精度を高めることができる。その計算式が図8に示されている(1)式である。後述するが、(1)式を採用することにより、中間バンプおよび高いバンプについての計算式(2)、(3)との関係が明確になる。
【0089】
中間バンプの場合には、図9に示されている通り(2)式が得られる。
【0090】
高いバンプの場合には、図10に示されている通り(3)式が得られる。
【0091】
ここで、低いバンプの場合の(1)式、中間バンプの場合の(2)式、高いバンプの場合の(3)式を比較すると、(S2 −S1 )項と(T2 −T1 )項とに分けて考えることができる。バンプ偏心量が零である場合にはT2 とT1 とは等しいので、(T2 −T1 )項は零になる。したがって、バンプ偏心量が零であると仮定すれば、(1)式、(2)式および(3)式は、
h=tanθ(S2 −S1 )/2・・・(4)
と全く同一の計算式になる。
【0092】
また、煽り撮像装置の傾斜角度θが45度に選定された場合には、(1)式、(2)式および(3)式は図8、図9および図10にそれぞれ示されている通り、(1)’式、(2)’式および(3)’式に単純化される。ちなみに、煽り撮像装置の傾斜角度θは30度〜60度が好ましい。煽り撮像装置の傾斜角度θを寝かし過ぎると、バンプの測定に際して隣のバンプの干渉が発生し、起こし過ぎると、煽り撮像による横ずれの効果が少なくなってしまう。
【0093】
以上の計算式を使用した外観検査方法の実施形態を図11に示されているフローチャートについて説明する。ここで、本実施形態に係る外観検査方法における測定データは、図3および図4について説明した外観検査装置が使用されて採取される。本実施形態に係る外観検査方法においては、その測定データに基づいてフローチャートに示された演算処理がCPU40において実行される。
【0094】
ところで、図3に示されているように、煽り撮像装置35においてラインセンサ38が使用されている場合には、煽り撮像装置35のモニタ51に表示される実際上の画像においては、煽り頂点像54aの変移は図4に示されているバンプ煽り像54の左右方向と異なり、図12に示されているように上下方向に発生する。これは次の理由による。ラインセンサ38は長手方向(画素が並んだ方向でモニタの水平方向)に直交する方向(モニタの垂直方向)に送られるため、煽り効果による煽り頂点像54aの変移はモニタ52の垂直方向に発生する。
【0095】
そして、以下の説明は実験時のモニタ画像によって得たデータに基づくため、図13〜図20に示されている画像図において、煽り頂点像54aの変移は上下方向に発生しているように示されている。
【0096】
なお、前記実施形態2の説明においては、幾何学的関係による理解のし易さに配慮して、図4において煽り頂点像54aの変移は横方向に発生するように示されている。
【0097】
図13〜図20は前述したリフロー半田法によるバンプ形成方法によって形成されたバンプの種々の形状をそれぞれ示しており、(a)は正面断面図、(b)は平面図、(c)はバンプ煽り像の画面図である。(c)のバンプ煽り像54(図19参照)において煽り頂点像54aの変移はモニタ51の垂直方向に発生している。
【0098】
各図において、絶縁材料から形成された下地61の上には金(Au)が使用されて形成されたパッド62が敷設されており、パッド62には下側スルーホール63が開設されている。パッド62の上には所謂半田レジスト膜64が被着されており、半田レジスト膜64には下側スルーホール63よりも大きい上側スルーホール65が同心円に形成されている。バンプは半田材料が下側スルーホール63および上側スルーホール65の内部に供給された後にリフロー処理されて、半田レジスト膜64によってせき止められることにより、半田レジスト膜64の上に突出した状態に形成される。したがって、本実施形態において、半田レジスト膜64の上面が第1主面4を構成していることになる。
【0099】
図13はリフロー処理によって隣合うバンプ同士が一連に繋がってしまった所謂半田ブリッジ不良のバンプを示している。半田ブリッジ不良のバンプは半田材料の供給量が多かった場合や、供給時に隣合うバンプ同士の半田材料が繋がってしまった場合に発生する。図13(c)に示されている半田ブリッジ不良のバンプ煽り像において、二つのバンプが繋がって形成された塊は黒色像66として観測され、当該塊の外側の半田レジスト膜64の表面および当該塊の中央部に位置する頂部分は白く輝くため、白色像67として観測される。半田ブリッジの塊は二つのバンプが繋がっているため、半田ブリッジ不良のバンプ煽り像の黒色像66は予め設定された検査エリア68からはみ出した状態になる。すなわち、黒色像66は検査エリア68において孤立した状態になる。
【0100】
そこで、本実施形態に係る外観検査装置においては、図11のフローチャートに示されているように、バンプ煽り像から黒色像66を抽出し(ステップ1)、黒色像66は検査エリア68内で孤立しているかを判定する(ステップ2)。孤立していない場合には、半田ブリッジ不良と判定される。孤立している場合には次のステップ3に進む。ここで、黒色像66が孤立しているとは検査エリア68において黒色像66の全周外側に半田レジスト膜64の表面による白色像67が検出されることを意味し、半田ブリッジ不良の場合には黒色像66が検査エリア68からはみ出すため、黒色像66は孤立していない状態になってしまう。
【0101】
図14は半田材料が全く供給されなかった場合を示しており、上側スルーホール65の底でパッド62が露出し、下側スルーホール63の底で下地61が露出した状態になっている。半田材料が全く供給されない事態は、半田クリームがスクリーン印刷法によって供給される場合にはスクリーンの目詰まりや、半田クリームの補給不足、印刷ずれ等によって発生する。図14(c)に示されている半田材料供給無しのバンプ煽り像において、下側スルーホール63で露出した下地61は円形の黒色像66として観測され、上側スルーホール65の側壁による影は円形リング形状の黒色像66として観測される。また、上側スルーホール65の底のパッド62の露出面は白色像67として観測される。すなわち、半田材料供給無しの場合には、黒色像66の内部に白色像67が存在し、白色像67の内部に黒色像66が存在する。これは、白色像67は内部まで完全に白色では無いことを意味する。
【0102】
図15は半田材料は供給されたが、リフロー後に何らかの理由で半田材料が失われてしまった場合を示している。この場合には、上側スルーホール65の底がリフロー半田盛り部69によって薄く被覆される状態になり、リフロー半田盛り部69の底面は上側スルーホール65および下側スルーホール63に倣った凹曲面形状になる。このリフロー半田盛り部69の凹曲面には曲率が零で、バンプ頂点のように光る場所がある筈であるが、光の入射が深い下側スルーホール63によって妨害されるため、図15(c)に示されているバンプ煽り像においては、全体が円形の黒色像66として観測される。すなわち、黒色像66の内部には白色像67が存在しない。これも、白色像67は内部まで完全に白色では無いことを意味する。
【0103】
そこで、図11のフローチャートに示されているように、黒色像から白色像を抽出し(ステップ3)、白色像は内部まで完全に白色であるかを判定する(ステップ4)。完全に白色では無い場合には、半田供給不良と判定される。完全に白色である場合には次のステップ5に進む。
【0104】
図16は半田材料が全く供給されなかった場合であって、しかも、下側スルーホール63が無い場合を示しており、上側スルーホール65の底でパッド62が露出した状態になっている。図16(c)に示されているバンプ煽り像において、上側スルーホール65の側壁による影は円形リング形状の黒色像66として観測され、上側スルーホール65の底のパッド62の露出面は白色像67として観測される。この場合には、黒色像66の内部に白色像67が存在し、しかも、白色像67は完全に内部まで白色であることを意味する。
【0105】
しかし、図16の場合には白色像67は良品の煽り頂点像54aに比べて遙かに大きくなるため、良品とは区別することができる。そこで、図11のフローチャートにおいては、白色像のサイズはバンプ頂点像のサイズ以下かを判定する(ステップ5)。大きい場合には、半田供給不良と判定される。以下の場合には次のステップ6に進む。
【0106】
なお、以上のステップ1〜5はバンプ煽り像54を使用して実行するに限らず、バンプ真上像53を使用して実行することもできるし、双方を使用することによって検査制度を高めることもできる。
【0107】
図17は半田材料は供給されたが、リフロー後に何らかの理由で半田材料が失われてしまった場合であって、かつ、下側スルーホール63がリフロー半田盛り部70によって埋められた状態になり、リフロー半田盛り部70の底面は上側スルーホール65内で凹曲面形状になっている。この場合におけるリフロー半田盛り部70の凹曲面の底は曲率が零でバンプ頂点のように光るため、図17(c)に示されているバンプ煽り像においては、黒色像66の内部に小さい白色像67が形成された状態になる。
【0108】
しかし、図17(a)に示されているように、リフロー半田盛り部70の凹曲面の底面は半田レジスト膜64の上面よりも低い位置にあるため、図17(c)に示されているように、リフロー半田盛り部70の底面によって得られる円形の白色像67の中心は、リフロー半田盛り部70の凹曲面全体によって得られる黒色像66の中心に対して画面の上側に偏心した状態になる。この偏心量は煽り効果による高さ成分の二次元変移量に相当し、上側に偏心したことは高さがマイナスであることを示している。
【0109】
そこで、図11のフローチャートにおいては、偏心がプラスであるかを判定する(ステップ6)。偏心がプラスでない(マイナスである)場合には、半田供給不良と判定される。偏心がプラスである場合には次のステップ7に進む。
【0110】
なお、半田材料は供給されたが、リフロー後に何らかの理由で半田材料が失われてしまった場合であって、かつ、下側スルーホール63が形成されていない場合もリフロー半田盛り部70の底面は上側スルーホール65内で凹曲面形状になるため、図17の場合と同様に半田供給不良と判定されることになる。
【0111】
また、図16の場合において、パッド62の底面は半田レジスト膜64の上面よりも低いため、図16(c)のパッド62の底面から得られる白色像67の中心は上側スルーホール65によって得られる円形リング形状の黒色像66の中心に対して画面の上側に偏心した状態になるため、図17の場合と同様に判定することもできる。
【0112】
図18〜図20は高さに違いはあるもののいずれもバンプ7が形成された場合を示している。図18は高さが低く形成された場合を示しており、図8 に示された低いバンプに相当する。図19は高さが中間に形成された場合を示しており、図9に示された中間バンプに相当する。図20は高さが高く形成された場合を示しており、図10に示された高いバンプに相当する。これらの場合には、図18、図19、図20の(c)に示されているように、バンプ煽り像において、黒色像66の内部に小さい白色像67が形成された状態になる。
【0113】
低いバンプ、中間バンプ、高いバンプの高さはバンプ煽り像の全体像と頂点像とから得たS1 、S2 、T1 、T2 を前記した(1)式、(2)式、(3)式に代入することにより、算出されるのは前述した通りである。ところが、バンプ高さに対応して(1)式、(2)式、(3)式を使い分けるとすると、厳密にはバンプ高さを計算するまでは実際のバンプ高さは判明していないので、矛盾した事態が発生する。ここで、バンプ偏心量を零と仮定すると、(1)式、(2)式、(3)式は前述した通り(4)式に共通化される。
【0114】
そこで、図11のフローチャートにおいては、(4)式を使用してこれから検査しようとする検査対象のバンプが低いバンプ、中間バンプ、高いバンプのうちどれに該当するかを予備的に判定する(ステップ7)。
【0115】
そして、判定した低いバンプ、中間バンプ、高いバンプに対応する(1)式、(2)式、(3)式を使用して偏心量を考慮した高さを算出する(ステップ8)。例えば、低いバンプと判定された場合には(1)式に、バンプ煽り像の全体像と頂点像とから得たS1 、S2 、T1 、T2 を代入することにより、検査対象のバンプの高さhを算出する。
【0116】
その後、検査対象のバンプの算出した高さhが予め設定された基準値の公差範囲内に入っているかを判定する(ステップ9)。公差範囲内に入っていない場合には、検査対象のバンプは高さ不良と判定される。公差範囲内に入っている場合には検査対象のバンプの高さは良好であると判定される。
【0117】
予備的に判定した結果により、低いバンプ、中間バンプ、高いバンプのいずれかであるかを出力する(ステップ10)。この出力によって、低いバンプと高いバンプとはバンプ高さ不良と判定させることもできる。
【0118】
検査対象のバンプについて算出された高さhの値がそれぞれ出力される(ステップ11)。このバンプ高さhの値は後述する平坦度検査方法において使用することができる。
【0119】
以降、前記した各ステップ1〜9が検査対象であるバンプ全てに対して実行されることにより、バンプの外観検査方法が実施されて行く。また、ステップ10および11は必要において実行される。
【0120】
以上説明した実施形態3によれば、図13〜図20に示された各種のバンプを分類しつつ良不良を判定することができ、バンプの外観検査を自動的に実行することができる。なお、前記外観検査装置を使用した外観検査方法の実験結果を目視検査の結果および三次元測定による外観検査装置の結果と照合したところ、検査精度がきわめて高いことが検証された。
【0121】
図21は本発明の他の実施形態である平坦度検査方法を示すフローチャートである。図22はその作用を説明するための説明図である。
【0122】
本発明の他の実施形態である平坦度検査方法は外観検査方法の一工程として実施されるものであり、一主面に突出した複数個の突出部としてのバンプの頂点群が構成した面の平坦度を検査する方法である。本実施形態に係る平坦度検査方法は、前記した外観検査装置によって採取された測定データに基づいてCPUにおいて実施される。つまり、本実施形態に係る平坦度検査装置は前記した外観検査装置に組み込まれていることになる。
【0123】
ところで、BGA・ICの第1主面4は反りが図22に示されているように発生しているのが一般的である。第1主面4が反っていると、第1主面4に突設されたバンプ7の頂点は当該反りに従って上下方向に変移した状態になるため、個々のバンプ7の高さhが全体にわたって均一であったとしても、BGA・ICのプリント配線基板への表面実装に際しては、半田付け不良が発生する。すなわち、バンプ7群が突設された第1主面4に反りが発生していると、BGA・ICがプリント配線基板の上に載置された状態において、反りの窪みの底に位置したバンプ7はその頂点がプリント配線基板のランドに接触しないため、半田盛り部がランドとの間で機械的かつ電気的に接続されない場合が発生する。このため、BGA・ICにおけるバンプの外観検査方法の一貫としてバンプ群の平坦度検査工程が必要になるわけである。
【0124】
平坦度検査方法を実施する図21に示されたフローチャートにおいて、図22に示されているように、バンプ7群のうち煽り撮像装置の焦点が合った平坦な面(以下、平面という。)が基準面80として選定される(ステップ1)。基準面80は煽り撮像装置の撮像面に対して平行であり、BGA・ICの第1主面4における如き反りは無い。
【0125】
図22に示されているように、反りが発生した第1主面4に突設されたバンプ7は基準面80に対して高低差を構成し、この高低差はバンプ煽り像54において二次元の位置ずれになって出現する。したがって、基準面80に頂点が接するバンプについてのバンプ煽り像54における煽り頂点像54aを基準点81として、各煽り頂点像54aの基準点に対する位置ずれ量を計測することにより、基準面80からの高低差が求まることになる。各バンプ煽り像54における基準点81は各バンプ真上像53の真上頂点像53aによって定めることができる。
【0126】
そこで、図21のフローチャートにおいては、基準面80に頂点が接するバンプについてのバンプ煽り像54における煽り頂点像54aを基準点81として設定する(ステップ2)。続いて、各煽り頂点像54aの基準点81との位置ずれ量をそれぞれ計測し、これら計測値に基づいて各バンプの基準面80からの高さをそれぞれ求める(ステップ3)。そして、各バンプ毎の基準面80からの高さによって面(検査対象面であって、曲率の大きい曲面を構成していたり微少の凹凸を構成していることがある。以下、被検査面という。)を構成し当該平面の平坦度を求める(ステップ4)。最後に、当該被検査面の平坦度が予め設定された平坦度の公差範囲内に入っているかを判定する(ステップ5)。公差範囲内である場合には被検査面の平坦度は良好と判定され、公差範囲外である場合には平坦度は不良と判定される。
【0127】
例えば、図22において、座標X1 のバンプの基準面80から高さZ1 は、
Z1 =(A1 −A2 )×tanθ
によって求められ、X1 およびZ1 の座標点がXZ座標に取られる。同様にして、座標X2 、X3 、X4 についてZ2 、Z3 、Z4 がそれぞれ求められ、XZ座標に順次取られて行く。これにより、図22に示されているXZ座標のグラフが構成される。この作業がXY方向に実施されることにより、XYZ座標の三次元グラフが作成される。この三次元グラフは反った第1主面4に突設されたバンプ7群の被検査面を表示する三次元曲面に相当するわけである。
【0128】
図23は平坦度検査方法の他の実施形態を示すフローチャートである。図24はその作用を説明するための説明図である。
【0129】
本実施形態が前記実施形態と異なる点は、プリント配線基板の実装面に相当する仮想平面を基準面として想定し当該仮想平面を基準にしてバンプ群の被検査面を構成する点にある。
【0130】
バンプ群の平坦度についての評価はプリント配線基板の実装面に表面実装する時の状態で実行することが望ましい。平面は三点によって構成されるため、バンプ群がプリント配線基板の実装面に表面実装される際には、高い3個のバンプの頂点が実装面に接触した状態になる。この3個のバンプの実装面への接触によって実装面に相対的に支持されたBGA・ICの姿勢は、実装面と平行になっているとは限らず、バンプ群が突設された第1主面は実装面と平行になっているとは限らない。したがって、煽り撮像装置の撮像面と平行な平面を基準面とした場合には、バンプ群の平坦度についての評価はプリント配線基板の実装面に表面実装する時の状態で実行したとは言えない場合があることになる。
【0131】
そこで、本実施形態においては、バンプ7の第1主面4からの高さhの情報を使用して、表面実装に際して実装面に接触すると想定される3個のバンプを選定し、それら3個のバンプの頂点が構成する仮想平面を基準面としてバンプ群が構成した被検査面の平坦度を求めることとした。
【0132】
図23に示されたフローチャートにおいて、各バンプ7の第1主面4からの高さhを計測する(ステップ1)。バンプ7は第1主面4上においてXY方向に整列しており、各バンプ7は高さhをそれぞれ有するため、図24に示されているように三次元の座標が得られることになる。
【0133】
次いで、仮想平面90を構成する3個のバンプが選定される(ステップ2)。3個のバンプは最も高い3個のバンプを選定してもよいが、図24に示されているように、四隅のバンプのうちの3個のバンプ7A、7B、7Cを選定してもよい。選定された3個のバンプ7A、7B、7Cの三次元座標を、(Xa、Ya、Za)、(Xb、Yb、Zb)、(Xc、Yc、Zc)とする。
【0134】
続いて、3個のバンプから仮想平面90を基準面として想定する(ステップ3)。仮想平面90は3個のバンプの頂点7A、7B、7Cを通るため、
AXa+BYa+CZa=0
AXb+BYb+CZb=0
AXc+BYc+CZc=0
によって仮想平面が定義される。第1主面4をZ=0とし、三つの式からA、B、Cを求めると、
AX+BY+CZ=0
Z=−(AX+BY)/C、となる。
【0135】
次いで、個々のバンプ(Xn、Yn、Zn)ついて、
ΔZn=Zn−Z(Xn、Yn)=Zn+(AXn+BYn)/C…(5)
を計算する(ステップ4)。
【0136】
そして、各バンプ毎の仮想平面90からの高さΔZnによって被検査面を構成し当該被検査面の平坦度を求める(ステップ5)。最後に、当該被検査面の平坦度が予め設定された平坦度の公差範囲内に入っているかを判定する(ステップ6)。公差範囲内である場合には被検査面の平坦度は良好と判定され、公差範囲外である場合には被検査面の平坦度は不良と判定される。
【0137】
以上説明した実施形態によれば、反りが発生した第1主面であってもバンプ群の平坦度検査を自動的に実行することができる。また、測定されたバンプの高さを使用して仮想平面を想定することにより、プリント配線基板への実装態様に対応した状態でバンプ群の被検査面についての平坦度を評価することができるため、実用に対応した平坦度検査を実行することができ、検査の信頼性を高めることができる。
【0138】
ところで、図3に示された外観検査装置においては、バンプ真上像53を得る場所とバンプ煽り像54を得る場所とが相違するため、それぞれの場所における検査対象であるBGA・IC1の位置ずれという要素が加わる。この位置ずれは検査対象物を移動させる場合には、必ず配慮する必要がある。そこで、従来の外観検査装置を含めて一般的な検査装置においては、種々の手法によって位置ずれを補正することが実行されている。このため、従来の外観検査装置等においては、きわめて高価なものになってしまうという問題点がある。
【0139】
しかし、前記実施形態に係る平坦度検査装置においては、検査対象物の移動に伴う位置ずれの補正を省略することができる。以下、これを説明する。
【0140】
図25は光学系に対して検査対象物であるBGA・IC1が位置ずれした場合を示している。バンプ群の平坦度検査方法の場合においては、バンプ真上像53における真上頂点像53aの絶対値を基準として、バンプ煽り像54における煽り頂点像54aの絶対値が測定されるため、測定値にはバンプ7の高さhおよび第1主面4の反りという真のバンプ群平坦度情報以外に、検査対象であるBGA・ICの位置ずれに伴う見掛け上の変移が加算されることになる。
【0141】
図25においては位置ずれが平行方向だけに発生した場合が示されているが、実際には回転ずれも考慮する必要がある。図26においては位置ずれが回転方向にも発生した場合が示されている。以下、図26によって説明する。
【0142】
図26において、O(X、Y)は光学系の全体視野であり、Tは真上撮像装置による第1主面の全体像(以下、視野Tということがある。)、Sは煽り撮像装置による第1主面の全体像(以下、視野Sということがある。)である。Ot(Xt、Yt)は真上撮像装置による第1主面の全体像の座標系であり、原点はOt(OtX、OtY)である。Os(Xs、Ys)は煽り撮像装置による第1主面の全体像であり、原点は(OsX、OsY)である。Pt(PTx、PTy)は真上撮像装置による座標系におけるバンプ頂点の位置である。PS(PSx、PSy)は煽り撮像装置による座標系におけるバンプ頂点の位置である。PSo(PSox、PSoy)は煽り撮像装置による座標系におけるバンプ頂点位置であって、煽り効果による移動が無いと仮定した場合のバンプ頂点位置である。PSh(PShx、PShy)は煽り撮像装置による座標系におけるバンプ頂点位置であって、煽り効果による移動が無いと仮定した場合のバンプ頂点位置である。
【0143】
ここで、視野Sでの第1主面の位置は視野Tにおける位置に対して、第1主面の原点において(OsX−OtX、OsY−OtY)のずれがあり、かつ、θだけ回転していると仮定する。以上の条件において、PSoの座標をPTの座標によって記述することができれば、検査対象であるBGA・ICの第1主面の位置ずれに伴って発生したバンプ頂点位置の変移量が明らかになる。その考察手順は、図26に示されている通りであり、(6)式が得られる。この(6)式が視野Tに対する視野Sにおけるバンプ頂点の位置ずれを表している。ここで、煽り効果による高さの二次元ずれは煽った方向だけに表れる。
【0144】
煽り方向がX方向からの場合の見掛け上のバンプ高さhxを求めると、
hx=(cosθ−1)×PTx+sinθ×PTy+OSx−OTx・・・(7)
煽り方向がY方向からの場合の見掛け上のバンプ高さhyを求めると、
hy=−sinθ×PTy+(cosθ−1)×PTx+OSy−OTy・・・(8)
になり、(7)式、(8)式は(PTx、PTy)に対して平面の方程式になっている。
【0145】
煽り効果による高さの二次元ずれは煽った方向だけに表れるため、図25および図26においては、煽り効果による高さの二次元ずれは、光学系視野OのX軸方向だけに表れる。したがって、(7)式のhxが視野Sにおける位置ずれによって見掛け上に発生するバンプ高さになる。したがって、平坦度検査方法において影響を及ぼすのは、(7)式によって求められるhxということになる。
【0146】
ここで、(7)式を分析してみると、θは煽り傾斜角度であるから固定数値である。(OSx−OTx)は平坦度検査のためにバンプ真上像およびバンプ煽り像が得られた段階で定まる数値で、全てのバンプに対して固定数値である。故に、(7)式はPTx、PTyという二つの変数により見掛け上のバンプ高さhxを一次方程式によって記述したものであり、平面の方程式である。
【0147】
以上を要するに、位置ずれを伴っている場合には、バンプ煽り像において煽り頂点像の位置には位置ずれ成分が含まれており、見掛け上のバンプ高さが含まれていることになる。そして、見掛け上のバンプ高さhxの増加分は(7)式から平面を構成することが証明された。つまり、平坦度検査方法においては、基準面を基準にして測定されたバンプ高さに対して、(7)式によって求められる見掛け上のバンプ高さhxが加算された値がバンプ高さhとして測定されることになる。これは(8)式により、煽り方向がY方向からである場合も同じである。
【0148】
そして、見掛け上のバンプ高さが加算された値がバンプ高さとして測定されるということは、図22について説明した平坦度検査方法において、煽り撮像面と平行な平面を基準面として設定したのと同じ原理であることを意味する。
【0149】
図24について説明した仮想平面が基準面として設定される平坦度検査方法においてバンプ群の被検査面の平坦度が評価される際には、見掛け上のバンプ高さもキャンセルされてしまうことは、図27からも明らかである。すなわち、図27に示されているように、バンプの高さは仮想平面90からの高さΔZとして求められるため、位置ずれによる見掛け上のバンプ高さhxはキャンセルされてしまう。
【0150】
以上説明した通り、前記実施形態に係る平坦度検査装置においては、検査対象物の移動に伴う位置ずれの補正を省略することができるため、外観検査装置への補正装置の搭載を省略することができ、外観検査装置の製造コストや保守点検コスト等のランニングコストを大幅に低減することができる。また、位置ずれ補正のためのステップを省略することにより、外観検査方法の作業効率を高めることができるため、検査時間を短縮することができるとともに、ランニングコストを低減することができる。
【0151】
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0152】
例えば、斜方照明装置および垂直落射照明装置は省略することができる。また、レンズは省略することができる。
【0153】
撮像装置としては、エリアセンサやラインセンサ等の固体撮像装置を使用するに限らず、テレビカメラ等の撮像管装置を使用してもよい。ラインセンサを使用する場合には、ラインセンサ側を移動させるように構成するに限らず、検査対象側を移動させるように構成してよく、要は、ラインセンサは検査対象物に対して相対的に走査させればよい。
【0154】
前記実施形態1において、ラインセンサを用いて走査装置によって平行移動させることにより面(エリア)画像を得るように構成してもよいし、前記実施形態2において、エリアセンサを用いて面画像を得るように構成してもよい。
【0155】
平坦度検査方法において仮想平面を選定する場合には、三隅のバンプによって構成される平面や3個の高いバンプによって構成される平面を選定するに限らず、互いに最も離れた3個のバンプによって構成される平面や最小二乗平面等を選定してもよい。
【0156】
以上の説明では主として本発明者によってなされた発明をその背景となった利用分野であるBGA・ICのバンプの外観検査に適用した場合について説明したが、それに限定されるものではなく、CSP・ICやCCBのバンプの外観検査、ピン・グリット・アレイパッケージのピンの長さの検査、さらには、半田ペースト印刷において印刷された半田ペーストの厚みの検査等の平面から突出した突出部の外観検査全般に適用することができる。
【0157】
【発明の効果】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、次の通りである。
【0158】
撮像装置を突出部を有する被検査面に対して煽り状態すなわち平行に配置することにより、突出部の高さを撮像面内の位置ずれとして出現させることができるとともに、被検査面全体にわたって全く歪みがなく焦点の合った画像を得ることができるため、撮像面内の位置ずれの測定に基づいて突出部の高さを正確かつ迅速に求めることができる。
【0159】
突出部群が構成する被検査面の平坦度を求めることにより、突出部群の平坦度を検査することができるため、外観検査装置および方法の有効性ないしは利用価値をより一層高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である外観検査装置を示しており、(a)は模式図、(b)はその作用を説明するための説明図である。
【図2】BGA・ICを示しており、(a)は外観斜視図、(b)は拡大断面図である。
【図3】本発明の実施形態2である外観検査装置を示す模式図である。
【図4】その作用を説明するための説明図である。
【図5】本発明の一実施形態である外観検査方法を比較例によって明らかにするための各説明図である。
【図6】バンプの高さの違いによる撮像を説明するための各説明図であり、(a)は低いバンプの場合、(b)は高いバンプの場合、(c)は測定可能バンプの場合をそれぞれ示している。
【図7】三分類されるバンプを説明するための各説明図であり、(a)は低いバンプ、(b)は中間バンプ、(c)は高いバンプ、(d)は低いバンプと中間バンプとの分類境界を、(e)は中間バンプと高いバンプとの分類境界をそれぞれ示している。
【図8】低いバンプの高さを求めるための説明図である。
【図9】中間バンプの高さを求めるための説明図である。
【図10】高いバンプの高さを求めるための説明図である。
【図11】本発明の他の実施形態である外観検査方法を示すフローチャートである。
【図12】その作用を説明するための説明図である。
【図13】半田ブリッジ不良を示しており、(a)は正面断面図、(b)は平面図、(c)はバンプ煽り像の画面図である。
【図14】第1の半田材料供給不良を示しており、(a)は正面断面図、(b)は平面図、(c)はバンプ煽り像の画面図である。
【図15】第2の半田材料供給不良を示しており、(a)は正面断面図、(b)は平面図、(c)はバンプ煽り像の画面図である。
【図16】第3の半田材料供給不良を示しており、(a)は正面断面図、(b)は平面図、(c)はバンプ煽り像の画面図である。
【図17】第4の半田材料供給不良を示しており、(a)は正面断面図、(b)は平面図、(c)はバンプ煽り像の画面図である。
【図18】低いバンプを示しており、(a)は正面断面図、(b)は平面図、(c)はバンプ煽り像の画面図である。
【図19】中間バンプを示しており、(a)は正面断面図、(b)は平面図、(c)はバンプ煽り像の画面図である。
【図20】高いバンプを示しており、(a)は正面断面図、(b)は平面図、(c)はバンプ煽り像の画面図である。
【図21】本発明の実施形態である平坦度検査方法を示すフローチャートである。
【図22】その作用を説明するための説明図である。
【図23】本発明の他の実施形態である平坦度検査方法を示すフローチャートである。
【図24】その作用を説明するための説明図である。
【図25】光学系に対して検査対象物が平行に位置ずれした場合を示す説明図である。
【図26】光学系に対して検査対象物が回転方向にも位置ずれした場合を示す説明図である。
【図27】位置ずれによる見掛け上のバンプ高さのキャンセル作用を説明するための説明図である。
【符号の説明】
1…BGA・IC、2…BGA、3…封止体、4…第1主面、5…穴部、6…電極パッド、7…バンプ、7a…頂点、7d…中心、7f…微小な面、10…外観検査装置、11…検査台、12…斜方照明装置、13…照射光、14…全反射光、14a…頂点全反射光、14b…頂点外全反射光、14c…全反射光、15…煽り撮像装置、16…暗箱、17…レンズ、17a…光軸、18…エリアセンサ、18a…撮像面、19…画像処理部、20…演算部、21…バンプ像、21a…頂点像、21b…全体像、21c…周囲像、21d…中心、10A…外観検査装置、30…Xテーブル、30a…斜め撮像ステージ、30b…真上撮像ステージ、31…検査台、32…斜方照明装置、33…照射光、34…全反射光、34a…頂点全反射光、34b…頂点外全反射光、35…煽り撮像装置、36…暗箱、37…レンズ、38…ラインセンサ、38a…撮像面、39…画像処理部、40…CPU(演算部)、41…走査装置、42…垂直落射照明装置、42a…光源、43…垂直落射光、44…全反射光、44a…頂点全反射光、44b…頂点外全反射光、44c…周囲全反射光、45…真上撮像装置、46…暗箱、47…レンズ、48…ラインセンサ、48a…撮像面、49…画像処理部、50、51、52…モニタ、53…バンプ真上像、53a…真上頂点像、53b…真上全体像、53c…明るい周囲像、53d…中心、54…バンプ煽り像、54a…煽り頂点像、54b…煽り全体像、54d…中心、55…外観検査装置、56…テレセントリック光学系、57…エリアセンサ、58…画像、58f…画像の頂点、61…下地、62…パッド、63…下側スルーホール、64…半田レジスト膜、65…上側スルーホール、66…黒色像、67…白色像、68…検査エリア、69、70…リフロー半田盛り部、80…基準面、81…基準点、90…仮想平面。
Claims (7)
- 被検査物の一主面に突出した突出部をその高さを求めて検査する外観検査装置であって、
前記一主面に対して撮像面が平行に配置されており前記突出部を撮像して前記突出部の頂点の高さを二次元の位置ずれとして出現させる煽り撮像装置と、前記突出部を前記煽り撮像装置と異なる方向から撮像する第二の撮像装置と、前記煽り撮像装置の撮像結果と前記第二の撮像装置の撮像結果とに基づいて前記突出部の高さを求める演算部とを備えていることを特徴とする外観検査装置。 - 前記第二の撮像装置が、前記一主面に対して撮像面が平行に配置されており前記突出部を真上から撮像する真上撮像装置であり、前記演算部が、前記煽り撮像装置による煽り頂点像と前記真上撮像装置による真上頂点像とに基づいて前記突出部の高さを求めるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の外観検査装置。
- 前記撮像面がエリアセンサによって構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の外観検査装置。
- 前記煽り撮像装置が前記一主面に平行に配置されたエリアセンサおよびレンズを備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の外観検査装置。
- 前記撮像面がラインセンサによって構成されているとともに、このラインセンサがその長さ方向と直角方向に前記検査物に対して相対的に走査されるように構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の外観検査装置。
- 前記煽り撮像装置の撮像に際して、前記一主面を平行光束によって斜方照明する斜方照明装置を備えていることを特徴とする請求項1、2、3、4または5に記載の外観検査装置。
- 前記突出部はバンプであることを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6に記載の外観検査装置。
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