JP3722532B2 - 半導体レーザ素子およびその製造方法 - Google Patents

半導体レーザ素子およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体レーザ素子及びその製造方法に関し、特に低電流駆動が可能な実屈折率ガイド型の半導体レーザ素子(以下、半導体レーザともいう。)の構造及びその形成プロセスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
実屈折率ガイド型半導体レーザは光を実屈折率差により閉じこめることができるので、光吸収が発生せず、低電流駆動が行えるという特長を持っている。
【0003】
図7は、1994年度半導体レーザ国際会議予稿集(P25)で発表されたA.Shimaらによる従来の実屈折率ガイド型半導体レーザの断面構造を示す。
【0004】
図において、400は従来例の実屈折率ガイド型半導体レーザで、そのn型GaAs基板401上には、n型Al0.48Ga0.52Asクラッド層402,多重量子井戸活性層403,p型Al0.48Ga0.52Asクラッド層404を順次積層してなる積層構造400aが設けられている。この積層構造400aは、活性層403で発生した光を縦方向に閉じ込める縦方向光閉込構造となっている。該p型クラッド層404の表面は、p型Al0.69Ga0.31Asエッチストップ層405により覆われている。該p型クラッド層404上の中央部分には、エッチストップ層405を介して、該活性層403へ供給される駆動電流の通路となるリッジストライプ部409が配置されており、該p型クラッド層404上の、リッジストライプ部409の両側には、エッチストップ層405を介して、該駆動電流の流れを阻止するn型Al0.7Ga0.3As電流阻止層410が配置されている。ここで、上記リッジストライプ部409は、上記エッチストップ層405上に形成されたp型Al0.48Ga0.52Asクラッド層406と、その表面を覆うp型GaAs保護層407とから構成されている。
【0005】
また、該電流阻止層410の表面上にはn型GaAs保護層411が形成されており、該n型GaAs保護層411及び上記p型GaAs保護層407上には全面にp型GaAsコンタクト層412が形成されている。ここで、上記リッジストライプ部409のp型Al0.48Ga0.52Asクラッド層406とn型Al0.7Ga0.3As電流阻止層410とは、実屈折率差により該活性層の、リッジストライプ部409に対向する部分に光を閉じ込めるための横方向光閉込構造をなしている。
【0006】
次に、図8(a)〜図8(d)を用いて製造方法について説明する。
【0007】
まず、図8(a)に示すようにn型GaAs基板401上に、n型Al0.48Ga0.52Asクラッド層402、多重量子井戸活性層403、p型Al0.48Ga0.52Asクラッド層404をMOCVD法(有機金属気相成長法)により順次成長して、上記積層構造400aを形成する。続いて、該クラッド層404上にp型Al0.69Ga0.31Asエッチストップ層405、p型Al0.48Ga0.52Asクラッド層406、p型GaAs層407を順次、MOCVD法を用いて成長する。
【0008】
次に、SiN誘電体膜408をストライプ状にp型GaAs層407上に形成した後、該SiN誘電体膜408をマスクとして、該p型GaAs層407およびp型クラッド層406を選択的にエッチングして、逆メサ型のリッジストライプ部409を形成する(図8(b))。
【0009】
引き続き、該SiN誘電体膜408をマスクとして、MOCVD成長により該リッジストライプ部409の両側のエッチストップ層405上に、n型Al0.7Ga0.3As電流阻止層410及びn型GaAs保護層411を選択的に成長する(図8(c))。
【0010】
このとき、結晶成長の選択性を向上させるため、原科ガス中にHClガスを導入する。HClの効果によりSiN誘電体膜408の上部には半導体層が成長せず、それ以外の部分に、n型Al0.7Ga0.3As電流阻止層410、n型GaAs保護層411が成長する。なおn型電流阻止層410は、p型及びn型のクラッド層402、404より屈折率が小さく、活性層403より禁制帯幅が大きくなっている。
【0011】
次に、上記SiN誘電体膜408を除去した後、MOCVD法でp型GaAsコンタクト層412を全面に形成して、図8(d)のような実屈折率ガイド型半導体レーザ400の素子構造を得る。
【0012】
この半導体レーザ400の素子構造では、電流阻止層410の屈折率がクラッド層406の屈折率より小さいために、実屈折率差により、活性層403の、リッジストライプ部409の直下に相当する部分に光を閉じ込めることができる。さらに、電流阻止層410の禁制帯幅が活性層の禁制帯幅より大きいために、活性層で発光した光が電流阻止層410で吸収されることがない。
【0013】
このように、実屈折率ガイド型の半導体レーザでは、実屈折率差により光が横方向に閉じ込められ、電流阻止層で光吸収を生じることがないので、半導体レーザの低電流動作を実現できる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来例の半導体レーザ400では、電流阻止層410による光吸収がないが、リッジストライプ部409の上部層であるp型GaAs層407、及びリッジストライプ部409上側のコンタクト層412は、活性層で発生した光を吸収する光吸収性材料(GaAs)でつくられているため、その部分での光損失が大きく、スロープ効率が1.06W/Aと悪くなっている。
【0015】
また、上述した従来の半導体レーザの製造方法では、n型電流阻止層410、n型保護層411の結晶成長を行う際、HClガス等の酸性ガスを原料ガスに添加することにより、マスク(SiN誘電体膜)表面領域とそれ以外の領域とでの結晶成長の選択比を向上させている。
【0016】
一般に、Alを含む結晶のMOCVD成長においては、Al組成比が上昇するにつれて選択比が低下して、マスク上にも結晶成長が生じる傾向がある。例えば、上述した従来例においては、酸性ガスの量が少ないと選択成長が不完全となり、図9に示すようにマスクであるSiN誘電体膜408上にn型AlGaAs層501及びn型GaAs層502が多結晶として積層されることがあった。このような場合、マスクの除去ができないため、素子作製に支障をきたすこととなる。
【0017】
そこで、選択成長を促進させるためには、HCl等の酸性ガスを、結晶成長の雰囲気中に多く含ませると良いということになるが、酸性ガスを増大した場合以下のような問題が生ずる。
【0018】
つまり、MOCVDの配管等が酸性ガスにより腐食され、そのために特殊な装置の保守を頻繁に行う必要あり、製造プロセスが複雑になる。また、HCl等の酸性ガスを添加することにより結晶欠陥が生じ易くなる。
【0019】
このように、従来の半導体レーザの製造方法では、半導体層の選択成長の際、HCl等の酸性ガスの量を厳密に制御する必要があり、素子作製における許容範囲(プロセスのマージン)が狭いという問題があった。
【0020】
本発明は上記のような問題点を解決するためになされたもので、活性層で発生した光を実屈折率差により横方向に閉じ込めることができ、しかも活性層からの発光光が、リッジストライプ部の上側に位置する半導体層で吸収されるのを回避することができ、これにより光損失が少なく、スロープ効率が改善された半導体レーザ素子を得ることを目的とする。
【0021】
本発明は、活性層へ供給される駆動電流の通路となる領域と、該駆動電流の流れを阻止する領域とを、半導体層の選択成長を使用することなく形成することができ、これにより、選択成長における選択比向上のための酸性ガス成分の増大と、該酸性ガス成分の増大による成長装置の腐食や結晶欠陥の増長というトレードオフの関係にある問題を同時に解決できる半導体レーザ素子の製造方法を得ることを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る半導体レーザ素子は、第1導電型のGaAs基板上に設けられ、第1導電型のAlGaAs第1クラッド層,AlGaAs活性層及び第2導電型のAlGaAs第2クラッド層を順次積層してなる縦方向光閉込構造と、該AlGaAs第2クラッド層上に設けられた、膜厚が0.003μm程度の量子井戸構造の第2導電型のGaAsエッチングストップ層と、該GaAsエッチングストップ層上に、該AlGaAs活性層に供給される駆動電流の通路となるように設けられており、AlGaAs活性層からの発光光を吸収しない構造の第2導電型の半導体リッジストライプ部と、該AlGaAs第2クラッド層上の、該リッジストライプ部の両側に配置され、該AlGaAs活性層に供給される駆動電流の流れを阻止する第1導電型のAlGaAs電流阻止層とを備え、該半導体リッジストライプ部とAlGaAs電流阻止層とは、実屈折率差により該AlGaAs活性層の、半導体リッジストライプ部に対向する部分に光を閉じ込めるための横方向光閉込構造をなしており、前記半導体リッジストライプ部は、前記AlGaAs活性層に比べて禁制帯幅の大きい第2導電型のAlGaAsリッジ本体部と、該AlGaAsリッジ本体部の表面を被覆する膜厚が0.003μm程度の量子井戸構造の第2導電型のGaAs保護層とから構成されており、該半導体リッジストライプ部のGaAs保護層上に、AlGaAs第2クラッド層に比べて屈折率が小さく、該AlGaAs活性層に比べて禁制帯幅の大きい第2導電型のAlGaAsが電流の通路として設けられている。そのことにより上記目的が達成される。
【0025】
本発明に係る半導体レーザ素子の製造方法は、第1導電型のGaAs基板上に、第1導電型のAlGaAsクラッド層、AlGaAs活性層、第2導電型のAlGaAsクラッド層、膜厚が0.003μm程度の量子井戸構造の第2導電型のGaAsエッチングストップ層、第2導電型のAlGaAs層、膜厚が0.003μm程度の量子井戸構造のGaAs保護層を順次成長する工程と、該第2導電型のAlGaAsおよびGaAs保護層を加工して、該AlGaAs活性層に供給される駆動電流の通路となるリッジストライプ部を形成する工程と、該第2導電型のAlGaAsクラッド層に比べて屈折率が小さく、該AlGaAs活性層に比べて禁制帯幅の大きい第1導電型のAlGaAs層を、該第2導電型のGaAsエッチングストップ層上及び該リッジストライプ部に成長する工程と、該リッジストライプ部の上側に位置する該第1導電型のAlGaAs層の部分に、第2導電型の不純物を選択的に拡散することにより、該リッジストライプ部の上側に位置する該第1導電型のAlGaAs層部分を第2導電型として該駆動電流の通路とし、該リッジストライプ部の両側に位置する該第1導電型のAlGaAs層部分による該駆動電流の流れを阻止する電流阻止層とによって横方向光閉込構造を形成する工程とを包含する。そのことにより上記目的が達成される。
【0026】
また、本発明に係る半導体レーザ素子の製造方法は、第1導電型のGaAs基板上に、第1導電型のAlGaAsクラッド層、AlGaAs活性層、第2導電型のAlGaAsクラッド層、膜厚が0.003μm程度の量子井戸構造の第2導電型のGaAsエッチングストップ層、第2導電型のAlGaAs層、膜厚が0.003μm程度の量子井戸構造のGaAs保護層を順次成長する工程と、該第2導電型のAlGaAsおよびGaAs保護層を加工して、該AlGaAs活性層に供給される駆動電流の通路となるリッジストライプ部を形成する工程と、該第2導電型のAlGaAsクラッド層に比べて屈折率が小さく、該AlGaAs活性層に比べて禁制帯幅の大きい第2導電型のAlGaAs層を、該第2導電型のGaAsエッチングストップ層上及び該リッジストライプ部に成長する工程と、該リッジストライプ部の上側に位置する該第2導電型のAlGaAs層の部分以外の部分に、深い準位を形成する不純物を選択的に導入して、該リッジストライプ部の上側に位置する該第2導電型のAlGaAs層の部分を該駆動電流の通路とし、該第2導電型のAlGaAsクラッド層上に位置する該第2導電型のAlGaAs層の部分による該駆動電流の流れを阻止する電流阻止層とによって横方向光閉込構造を形成する工程とを包含する。そのことにより上記目的が達成される。
【0027】
前記第2導電型のAlGaAs層の、前記リッジストライプ部の上側に位置する部分以外の部分には、前記不純物としてプロトンあるいは酸素イオンを導入するようにしてもよい。
【0028】
以下、本発明の作用について説明する。
【0029】
本発明においては、駆動電流の通路となる半導体リッジストライプ部を活性層で発生した光が吸収されない構造とするとともに、該半導体リッジストライプ部の上側に位置する半導体層を、活性層よりも禁制帯幅の大きい半導体材料により構成したから、該半導体リッジストライプ部及びその上側の領域での光損失をほとんどなくすことができる。また、実屈折率差により該活性層の、半導体リッジストライプ部に対向する部分に光を閉じ込めているため、横方向光閉込構造に起因する光損失を低減できる。これにより光損失が少なく、スロープ効率が例えば1.2W/Aと大きく改善された半導体レーザ素子を得ることができる。
【0030】
また、前記半導体リッジストライプ部を、前記活性層に比べて禁制帯幅の大きい半導体材料からなるリッジ本体部と、該リッジ本体部の表面を被覆する、該活性層に比べて禁制帯幅が小さい半導体保護層とから構成し、該半導体保護層を、その膜厚が薄い量子井戸構造としているので、リッジ本体部分の表面を、これとは材料の異なる半導体層により保護しつつ、該半導体層での光吸収を回避できる。
【0031】
本発明においては、クラッド層上にこれと同一導電型のリッジストライプ部を形成した後、これらの全面にこれらとは逆導電型の半導体層を成長し、その後、選択的な不純物の注入により、該半導体層の、上記リッジストライプ部上側の部分の導電型を反転するようにしたので、上記リッジストライプ部の両側に、従来例のように酸性ガスによる選択成長を用いることなく、電流阻止層を形成することができ、これにより、選択成長における選択比向上に起因する成長装置の腐食促進や結晶欠陥の問題を回避できる。この結果、成長装置の保守を頻繁に行うことがなく、製造プロセスの簡素化を図ることができ、また、結晶欠陥の発生を抑えて素子の品質を確保でき、さらには、素子の作製を、厳密な成長条件に縛られることなく行うことができる。
【0032】
本発明においては、クラッド層上にこれと同一導電型のリッジストライプ部を形成した後、これらの全面にこれらと同一導電型の半導体層を成長し、その後、選択的な不純物の注入により、該半導体層の、上記リッジストライプ部両側部分を高抵抗化するので、上記請求項3と同様、プロセスの簡略化、素子の品質の確保、さらに幅広いプロセスマージンの確保を図ることができる。
【0033】
さらに、前記第2導電型の半導体層の、前記リッジストライプ部の上側に位置する部分以外の部分には、前記不純物としてプロトンあるいは酸素イオンを導入する、例えば、電流阻止構造を形成するために半導体層の外部から不純物を拡散する場合、上記半導体層として、拡散係数の比較的大きい半導体層を用いることにより、高温長時間の拡散を行う必要がなくなり、拡散に伴う結晶欠陥の増殖抑制に効果がある。従って、素子を構成する結晶へのダメージを低減することが可能となるので、素子作製の許容範囲(マージン)が広くなる。
【0034】
また、上記不純物としてイオンを打ち込む場合、イオン侵入深さが比較的深い半導体層を用いるこれにより、加速電圧を高くする必要がなくなり、イオン打ち込みに伴う結晶欠陥の増殖抑制に効果がある。従って、結晶へのダメージを低減することが可能となるので、素子作製の許容範囲(マージン)が広くなる。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0036】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1による実屈折率ガイド型半導体レーザの断面構造を示す図、図2(a)〜図2(d)は、その製造プロセスを工程順に示す図である。
【0037】
図において、100は本実施形態1による実屈折率ガイド型半導体レーザで、そのn型GaAs基板101上には、厚さ1.0μmのn型Al0.5Ga0.5Asクラッド層102,厚さ0.08μmのAl0.14Ga0.86As活性層103,及び厚さ0.3μmのp型Al0.5Ga0.5Asクラッド層104を順次積層してなる積層構造100aが設けられている。この積層構造100aは、活性層103で発生した光を縦方向に閉じ込める縦方向光閉込構造となっている。
【0038】
該p型クラッド層104の表面は、厚さ0.003μmのp型GaAsエッチストップ層105により覆われている。該p型クラッド層104上の中央部分には、エッチストップ層105を介してリッジストライプ部109が配置されており、該p型クラッド層104上の、リッジストライプ部109の両側には、エッチストップ層105を介してn型Al0.7Ga0.3As電流阻止層110が配置されている。ここで、上記リッジストライプ部109は、上記エッチストップ層105上に形成された厚さ0.5μmのp型Al0.5Ga0.5Asクラッド層(リッジ本体部)106と、その表面を被覆している厚さ0.003μmのp型GaAs層(半導体保護層)107とから構成されている。また、上記リッジストライプ部109のp型Al0.5Ga0.5Asクラッド層106とn型Al0.7Ga0.3As電流阻止層110とは、実屈折率差により該活性層の、リッジストライプ部109に対向する部分に光を閉じ込めるための横方向光閉込構造をなしている。
【0039】
また、該電流阻止層110上にはn型GaAs保護層111が形成されており、該p型GaAs保護層107上にはp型半導体領域114が形成されている。該p型半導体領域114は、p型Al0.7Ga0.3As層とその上のp型GaAs層とから構成されている。
【0040】
そして、上記p型半導体領域114及びn型GaAs保護層111の全面にp電極115が形成され、上記基板101の裏面にはn電極が形成されている。
【0041】
この実施形態1の半導体レーザ100では、リッジストライプ部109は、活性層で発生した光を吸収しない構造となっている。つまり該リッジストライプ部109のリッジ本体部は、上記Al0.14Ga0.86As活性層103に比べて禁制帯幅の大きいp型Al0.5Ga0.5Asクラッド層106から構成されている。また、該リッジストライプ部109の表面部分を構成する保護層107は、該活性層に比べて禁制帯幅が小さいGaAsからなるが、その膜厚を3nm程度と薄い量子井戸構造として、光の吸収が生じない構成としている。
【0042】
上記リッジストライプ部109の上側に位置する半導体領域114は、そのリッジストライプ部側部分を、活性層からの発光光を吸収しないAl0.7Ga0.3Asにより構成している。
【0043】
次に製造方法について説明する。
【0044】
上記半導体レーザ100の作製は以下の通りに行う。なお、該半導体レーザを構成する各半導体層の結晶成長にはMOCVD法を用いる。
【0045】
図2(a)に示すようにn型GaAs基板101上に、厚さ1.0μmのn型Al0.5Ga0.5Asクラッド層102、厚さ0.08μmのAl0.14Ga0.86As活性層103、及び厚さ0.3μmのp型Al0.5Ga0.5Asクラッド層104を順次成長して、上記積層構造100aを形成する。続いて、該クラッド層104上に、厚さ0.003μmのp型GaAsエッチストップ層105、厚さ0.5μmのp型Al0.5Ga0.5Asクラッド層106、及び厚さ0.003μmのp型GaAsエッチストップ層107を順次成長する。
【0046】
次に、上記p型エッチストップ層107上に、幅3μm、厚さ0.5μmのストライプ状レジスト膜108を作製し、該レジスト膜108をマスクとして、アンモニア系溶液,例えば、アンモニア:過酸化水素水:水=5:30:50の比率の溶液及びHF溶液により、p型GaAs層107およびp型クラッド層106を選択的にエッチングして、図2(b)に示すようにストライプ幅2μm、高さ0.5μmのリッジストライプ部109を形成する。その後、アセトン洗浄によりレジスト膜を除去する。
【0047】
なお、上記リッジストライプ部109の下部および上部には、厚さ0.003μmのp型GaAsエッチストップ層105,107が存在しているが、この層は量子井戸構造をなしており、本半導体レーザの発振波長である780nmの光を吸収しないようになっている。
【0048】
この後、図2(c)に示すように、厚さ0.5μmのn型Al0.7Ga0.3Asクラッド層110、及び厚さ0.1μmのn型GaAs保護層111を、上記リッジストライプ部109及びエッチストップ層105上に順次積層する。なお、上記クラッド層110は、本レーザの発振波長780nmに対してp型Al0.5Ga0.5Asクラッド層106より屈折率が小さくなるように設定している。
【0049】
次に、図2(d)に示すように、n型GaAs保護層111の表面上に、リッジストライプ部109に対応する幅3μmの部分を開口したSiO2マスク112を形成した後、本ウエハ全面にp型不純物となるZn(亜鉛)113を10mg/cm2の割合で蒸着し、その後、真空中で600℃で10分間加熱する。これによってZnを、上記SiO2マスク112の開口112a内の領域に拡散させる。これにより、リッジストライプ部109上側のn型であった半導体領域110、111が、p型不純物であるZnの拡散によってp型に変化し、p型半導体領域114が形成される。
【0050】
その後、Zn層113およびSiO2マスク112を除去した後、p電極115及びn電極116を形成することにより、上記リッジストライプ部109とともに上記p型半導体層114を電流通路とする半導体レーザ100を得る(図1参照)。
【0051】
以上の工程にて作製された半導体レーザでは実屈折率ガイド構造となるため、電流阻止用の半導体クラッド層110における光吸収がなく、高効率の電流−光出力特性を得ることができる。
【0052】
本実施形態1では、共振器長250μm、端面非コートの素子構造において、発振波長780nm、閾値電流15mA、スロープ効率1.2W/Aの特性を得ることができた。
【0053】
また、本実施形態1では、n型クラッド層110にAl0.7Ga0.3As層を用いており、該n型クラッド層のAl組成比と拡散に要する時間の関係を図10に示す。図10に示すように、Al組成比を低下すると、拡散係数が小さくなるために拡散時間が長くなる。その場合、拡散に伴う結晶欠陥の増殖の問題がある。
【0054】
これに対して、本実施形態1の半導体レーザでは、n型クラッド層110にAl組成が0.7のAlGaAs層を用いているため、拡散時間を比較的短くでき、拡散に伴う結晶へのダメージを低減することが可能となる。従って、本実施形態1では、素子作製の許容範囲を広くすることができる。
【0055】
このように本実施形態1では、駆動電流の通路となる半導体リッジストライプ部109を活性層103で発生した光が吸収されない構造とするとともに、該半導体リッジストライプ部109の上側に位置する半導体層114のリッジストライプ部側部分を、活性層よりも禁制帯幅の大きい半導体材料により構成したので、該半導体リッジストライプ部及びその上側の領域での光損失をほとんどなくすことができる。また、実屈折率差により該活性層の、半導体リッジストライプ部に対向する部分に光を閉じ込めているため、横方向光閉込構造に起因する光損失を低減できる。これにより光損失が少なく、スロープ効率が1.2W/Aと大きく改善された半導体レーザ100を得ることができる。
【0056】
また、本実施形態1では、前記半導体リッジストライプ部109を、前記活性層103に比べて禁制帯幅の大きい半導体材料からなるリッジ本体部106と、該リッジ本体部の表面を被覆する、該活性層に比べて禁制帯幅が小さい半導体保護層107とから構成し、該半導体保護層107を、その膜厚が薄い量子井戸構造としているので、リッジ本体部分の表面を、これとは材料の異なる半導体層により保護しつつ、該半導体層での光吸収を回避できる。
【0057】
さらに、本実施形態1では、クラッド層104上にこれと同一導電型のリッジストライプ部109を形成した後、これらの全面にこれらとは逆導電型の半導体層110を成長し、その後、選択的な不純物の注入により、該半導体層110の、上記リッジストライプ部上側の部分114の導電型を反転するようにしたので、上記リッジストライプ部の両側に、従来例のように酸性ガスによる選択成長を用いることなく、電流阻止層110を形成することができ、これにより、選択成長における選択比向上に起因する成長装置の腐食促進や結晶欠陥の問題を回避できる。この結果、成長装置の保守を頻繁に行うことがなく、製造プロセスの簡素化を図ることができ、また、結晶欠陥の発生を抑えて素子の品質を確保でき、さらには、素子の作製を、厳密な成長条件に縛られることなく行うことができる。
【0058】
なお、本実施形態1では、リッジストライプ部109上側のn型半導体領域をp型領域に反転するための不純物拡散を行う際、Znを不純物拡散の原料として用いているが、これは、p型不純物となるとなるものであれば、MgやBeでも同様に用いることができる。
【0059】
また、本実施形態1では、不純物拡散源として固体のZnを使用し、Znを固相拡散させるようにしたが、ウエハと、Znの拡散源であるZnAs2とを石英アンプル中に入れて真空状態にて640℃で70分間加熱し、Znを気相拡散させる方法を使用することもできる。
【0060】
(実施形態2)
図3は、本発明の実施形態2による実屈折率ガイド型半導体レーザの断面構造を示す図、図4(a)〜図4(d)は、該半導体レーザの製造プロセスを工程順に示す図である。
【0061】
図において、200は本実施形態2による実屈折率ガイド型半導体レーザで、この半導体レーザ200では、上記実施形態1の半導体レーザ100の電流阻止層を構成するn型Al0.7Ga0.3As層110、及びその上のn型GaAs保護層111に代えて、p型Al0.7Ga0.3As層210、及びその上のp型GaAs保護層211を用い、該p型GaAs保護層211の表面からp型Al0.7Ga0.3As層210の上部にかけての領域を、プロトンの注入により高抵抗化した構造としている。また、本実施形態2の半導体レーザ200では、Al0.14Ga0.86As活性層203の層厚を0.05μmとし、n型Al0.5Ga0.5Asクラッド層202の層厚を1.5μmとしている。その他の構成は、つまり、基板201,積層構造200aを構成するp型クラッド層204,p型エッチストップ層205,リッジストライプ部209を構成するp型AlGaAsクラッド層206及びp型GaAs層207,p型電極214,及びn型電極215は、上記実施形態1の半導体レーザ100におけるものと同一構成となっている。
【0062】
次に製造方法について説明する。
【0063】
本実施形態2の半導体レーザ200の作製は以下のように行う。なお、該半導体レーザ200を構成する各半導体層の結晶成長にはMOCVD法を用いる。
【0064】
図4(a)に示すように、n型GaAs基板201上に、厚さ1.5μmのn型Al0.5Ga0.5Asクラッド層202、厚さ0.05μmのAl0.14Ga0.86As活性層203、及び厚さ0.3μmのp型Al0.5Ga0.5Asクラッド層204を順次成長して、縦方向光閉込構造である積層構造200aを形成する。続いて、厚さ0.003μmのp型GaAsエッチストップ層205、厚さ0.5μmのp型Al0.5Ga0.5Asクラッド層206、及び厚さ0.003μmのp型GaAs層207を順次成長する。
【0065】
次に、該p型GaAs層207上に、ストライプ幅3μm、厚さ0.5μmのレジスト膜208を形成し、該レジスト膜208をマスクとして、アンモニア系溶液,例えばアンモニア:過酸化水素水:水=5:30:50の混合比の溶液、及びHF溶液によりp型GaAs層207およびp型クラッド層206を選択的にエッチングし、図4(b)に示すようにストライプ幅2μm、高さ0.5μmのリッジストライプ部209を形成する。その後、アセトン洗浄によりレジスト膜を除去する。
【0066】
次に、図4(c)に示すように、上記リッジストライプ部209及びエッチストップ層205上に厚さ0.5μmのp型Al0.7Ga0.3Asクラッド層210、及び厚さ0.1μmのp型GaAs保護層211を順次積層する。なお、このクラッド層210は、p型Al0.5Ga0.5Asクラッド層206より屈折率が小さくなるように設定している。
【0067】
次に、図4(d)に示すように、p型GaAs保護層211上の、上記リッジストライプ部209に対応する領域上に、幅3μm、厚さ0.5μmのSiO2誘電体マスク213を作製した後、プロトン加速器によりプロトンを上方より照射する。これによりp型GaAs保護層211およびp型Al0.7Ga0.3Asクラッド層210の、リッジストライプ部209上側部分以外の領域212を結晶欠陥により高抵抗化させ、電流が流れないようにする。
【0068】
なお、上記プロトンの照射により、活性層に欠陥が生じると、閾値電流の上昇を招き、素子の劣化が促進されるため、プロトン照射の条件として、加速電圧を300KVに設定し、照射密度が5E13/cm2になるようにすることが望ましい。この条件では、リッジストライプ部209の上方を除くp型GaAs保護層211およびp型Al0.7Ga0.3Asクラッド層210の上部の合計厚さ約0.4μmの部分212が絶縁性の層に変化し、同時に活性層への欠陥が生じない。このため、電流狭窄機能と良好な素子特性の確保が可能となる。
【0069】
その後SiO2誘電体マスク213をHF溶液にて除去し、上記リッジストライプ部209上側のp型GaAs保護層211、及びその両側の高抵抗化されたp型GaAs保護層211上にp電極214を形成し、上記n型GaAs基板201の裏面にn電極215を作製し、図3に示す本実施形態3の実屈折率ガイド型半導体レーザ素子200を得る。
【0070】
本実施例にて作製された半導体レーザ200では、共振器長を375μm、各端面の反射率を10%,75%とする条件で、発振波長780nmにて、Ith=25mA、スロープ効率1.2W/Aの良好な特性を得ることができた。
【0071】
また、本実施形態2では、p型クラッド層210にAl0.7Ga0.3As層を用いており、該p型クラッド層のAl組成比とプロトン打ち込みの加速電圧の関係を図11に示す。この図から分かるように、Al組成比を低下させると、プロトン進入深さが浅くなるので加速電圧を高く設定する必要がある。その場合、プロトン打ち込みに伴う結晶欠陥の増殖の問題がある。
【0072】
これに対して、本実施形態2の半導体レーザでは、p型クラッド層210にAl組成が0.7のAlGaAs層を用いているため、加速電圧を比較的小さくでき、イオン打ち込みに伴う結晶へのダメージを低減することが可能となる。従って、本実施形態2では、素子作製の許容範囲を広くする。
【0073】
また、本実施形態2では、上記実施形態1と同様、クラッド層205上にこれと同一導電型のリッジストライプ部209を形成した後、これらの全面にこれらと同一導電型の半導体層210,211を成長し、その後、選択的な不純物の注入により、該半導体層の、上記リッジストライプ部両側部分212を高抵抗化するので、上記実施形態1と同様、プロセスの簡略化、素子の品質の確保、さらに幅広いプロセスマージンの確保を図ることができる効果がある。
【0074】
さらに、上記実施形態1と同様、該半導体リッジストライプ部209及びその上側の領域での光損失をほとんどなくすことができ、また、横方向光閉込構造に起因する光損失を低減でき、これにより光損失が少なく、スロープ効率が1.2W/Aと大きく改善された半導体レーザ200が得られる。
【0075】
(実施形態3)
図5は、本発明の実施形態3による実屈折率ガイド型半導体レーザの断面構造を示す図、図6(a)〜図6(d)は上記半導体レーザの製造プロセスを工程順に示す図である。
【0076】
図において、300は本実施形態3による実屈折率ガイド型半導体レーザであり、この半導体レーザ300では電流阻止層として、上記実施形態2の半導体レーザ200のプロトン注入領域212に代えて、酸素イオン注入領域312を用いており、また、活性層303を、全体の厚さが106nmであるノンドープ多重量子井戸活性領域から構成している。この多重量子井戸活性領域303はAlGaAsからなり、基板側から、Al0.35Ga0.65As層を30nm、Al0.1Ga0.9As層を10nm、Al0.35Ga0.65As層を8nm、Al0.1Ga0.9As層を10nm、Al0.35Ga0.65As層を8nm、Al0.1Ga0.9As層を10nm、Al0.35Ga0.65As層を30nm積層してなる構造となっている。
【0077】
その他の構成は、上記実施形態2の半導体レーザ200と同一である。
【0078】
次に製造方法について説明する。
【0079】
本実施形態3の半導体レーザ300の作製は以下の通りに行う。なお、該半導体レーザ300を構成する各半導体層の結晶成長には、MOMBE法を用いる。
【0080】
図6(a)に示すようにn型GaAs基板301上に、厚さ1.5μmのn型Al0.5Ga0.5Asクラッド層302、合計の厚さ106nmのノンドープ多重量子井戸活性領域303、及び厚さ0.3μmのp型Al0.5Ga0.5Asクラッド層304を成長して、縦方向光閉込構造である積層構造300aを形成する。ここで、該多重量子井戸活性領域303の形成は、基板側から、Al0.35Ga0.65As層を30nm、Al0.1Ga0.9As層を10nm、Al0.35Ga0.65As層を8nm、Al0.1Ga0.9As層を10nm、Al0.35Ga0.65As層を8nm、Al0.1Ga0.9As層を10nm、Al0.35Ga0.65As層を30nm成長して行う。
【0081】
続いて、該クラッド層304上に、厚さ0.003μmのp型GaAsエッチストップ層305、厚さ0.5μmのp型Al0.5Ga0.5Asクラッド層306、及び厚さ0.003μmのp型GaAs層307を順次成長する。
【0082】
次に、ストライプ幅3μm、厚さ0.5μmのレジスト膜308を上記GaAs層307上に形成し、アンモニア系溶液、例えばアンモニア:過酸化水素水:水=5:30:50の混合比の溶液、及びHF溶液により、該レジスト膜308をマスクとして、p型GaAs層307およびp型クラッド層306のエッチングを行い、図6(b)に示すようにストライプ幅2μm、高さ0.5μmのリッジストライプ部309を作製する。その後、アセトン洗浄によりレジスト膜を除去する。
【0083】
その後、図6(c)に示すように、リッジストライプ部309及びエッチストップ層305上に、厚さ0.5μmのp型Al0.7Ga0.3Asクラッド層310、及び厚さ0.1μmのp型GaAs保護層311を順次積層する。なお、このクラッド層310は、p型Al0.5Ga0.5Asクラッド層306より屈折率が小さくなるように設定したものである。
【0084】
次に、図6(d)に示すように、n型GaAs保護層311上の、リッジストライプ部309に対応する領域上に、幅3μmのSiO2誘電体マスク313を形成した後、該保護層311の表面側から酸素イオンの打ち込みを行って、p型クラッド層310及びp型保護層311の、リッジストライプ部309の両側の領域に対応する部分312を高抵抗層とする。
【0085】
この場合、酸素は深い準位のキャリアのトラップを発生させるため、酸素が導入された領域は高抵抗化し、電流狭窄が可能となる。ここで、上記酸素イオンの打ち込みの条件は、加速電圧を1.0MVにすることにより、GaAs層311の表面からAlGaAs層310の内部までの約0.3μm程度の厚さの領域312に、酸素を5E17cm-3の濃度で分布させることができる。なお、イオン打ち込みのあと、真空中700℃で30分間アニールを行って結晶欠陥を減少させることにより、素子寿命の改善が可能となる。
【0086】
その後、SiO2誘電体マスク313をHF溶液にて除去し、上記リッジストライプ部309上側のp型GaAs保護層311、及びその両側の高抵抗化されたp型GaAs保護層311上にp電極314を形成し、上記n型GaAs基板301の裏面にn電極315を作製し図5に示す本実施例の実屈折率ガイド型半導体レーザ素子300を得る。
【0087】
本実施形態3では良好な電流狭窄機能を実現することができ、375μmの共振器長でもって、発振波長780nm、Ith=20mA、スロープ効率1.2W/Aの特性を得ることができた。
【0088】
また、本実施形態3では、p型クラッド層310にAl0.7Ga0.3As層を用いており、p型クラッド層のAl組成比と酸素イオン打ち込みの加速電圧の関係を図12に示す。この図に示すように、Al組成比を低下させると、イオン侵入深さが浅くなるので、加速電圧を高く設定する必要がある。その場合、イオン打ち込みに伴う結晶欠陥の増殖の問題がある。
【0089】
これに対して、本実施形態3の半導体レーザでは、p型クラッド層310にAl組成が0.7のAlGaAs層を用いているため、加速電圧を比較的小さくでき、これによりイオン打ち込みに伴う結晶へのダメージを低減することが可能となる。従って、素子作製の設計の許容範囲を広くすることができる。
【0090】
その他、本実施形態3においても、上記実施形態2の効果と同様な効果が得られる。
【0091】
なお、上記p型クラッド層310及び保護層311に導入するイオンの種類としては、Cr(クロム)、Fe(鉄)などの、結晶中で深い準位を作る元素も酸素と同様に使用することができる。
【0092】
また、上記各実施形態では、結晶成長方法としてMOCVD法、あるいはMOMBE法を用いたが、結晶成長方法はこれらに限るものではなく、MBE法、ガスソースMBE法、ALE法等の結晶成長方法でも同様の効果を得ることができる。
【0093】
また、上記各実施形態では、半導体レーザの基板として、n型基板を用いた例のみを示したが、p型基板を使用した場合も同様の効果を得ることができる。
【0094】
さらに、半導体レーザを構成する半導体材料は、上記各実施形態で示したAlGaAs系材料に限らず、InGaAlP系材料を使用する半導体レーザ素子でも同様の効果を実現することができる。
【0095】
【発明の効果】
以上のように本発明に係る半導体レーザ素子によれば、活性層で発生した光を実屈折率差により横方向に閉じ込めることができ、しかも活性層からの発光光が、リッジストライプ部の上側に位置する半導体層で吸収されるのを回避することができ、これにより光損失を少なくし、スロープ効率を改善することができる。
【0096】
また、本発明に係る半導体レーザ素子の製造方法によれば、活性層へ供給される駆動電流の通路となる領域と、該駆動電流の流れを阻止する領域とを、半導体層の選択成長を使用することなく形成することができ、これにより、選択成長における選択比向上のための酸性ガス成分の増大と、該酸性ガス成分の増大による成長装置の腐食や結晶欠陥の増長というトレードオフの関係にある問題を同時に解決できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1による半導体レーザの断面構造を示す図である。
【図2】上記実施形態1による半導体レーザの製造方法を説明するための図であり、図2(a)〜図2(d)は、該製造方法における各主要工程での処理を説明するための図である。
【図3】本発明の実施形態2による半導体レーザの断面構造を示す図である。
【図4】上記実施形態2による半導体レーザの製造方法を説明するための図であり、図4(a)〜図4(d)は、該製造方法における各主要工程での処理を説明するための図である。
【図5】本発明の実施形態3による半導体レーザの断面構造を示す図である。
【図6】上記実施形態3による半導体レーザの製造方法を説明するための図であり、図6(a)〜図6(d)は、該製造方法における各主要工程での処理を説明するための図である。
【図7】従来の半導体レーザの断面構造を示す図である。
【図8】従来の半導体レーザの製造方法を説明するための図であり、図8(a)〜図8(d)は、該製造方法における各主要工程での処理を説明するための図である。
【図9】従来の半導体レーザの製造方法における半導体層の成長不良を説明するための図である。
【図10】上記実施形態1の半導体レーザを構成するクラッド層のAl組成比と拡散時間との関係を示す図である。
【図11】上記実施形態2による半導体レーザを構成するクラッド層のAl組成比とプロトンの加速電圧との関係を示す図である。
【図12】上記実施形態3のよる半導体レーザを構成するクラッド層のAl組成比と酸素イオンの加速電圧との関係を示す図である。
【符号の説明】
100,200,300 半導体レーザ
100a,200a,300a 積層構造
101,201,301 n型GaAs基板
102,202,302 n型Al0.5Ga0.5Asクラッド層
103,203,303 活性層
104,106,204,206,304,306 p型Al0.5Ga0.5Asクラッド層
105,205,305 p型GaAsエッチストップ層
107,207,307 p型GaAs保護層
108,208,308 エッチングマスク
109,209,309 リッジストライプ部
110 n型Al0.7Ga0.3Asクラッド層
111 n型GaAs保護層
112 選択成長用マスク
210,310 p型Al0.7Ga0.3Asクラッド層
211,311 p型GaAs保護層
212 プロトン注入領域
213 プロトン注入用マスク
312 酸素イオン注入領域
313 酸素イオン注入用マスク

Claims (4)

  1. 第1導電型のGaAs基板上に設けられ、第1導電型のAlGaAs第1クラッド層,AlGaAs活性層及び第2導電型のAlGaAs第2クラッド層を順次積層してなる縦方向光閉込構造と、
    該AlGaAs第2クラッド層上に設けられた、膜厚が0.003μm程度の量子井戸構造の第2導電型のGaAsエッチングストップ層と、
    該GaAsエッチングストップ層上に、該AlGaAs活性層に供給される駆動電流の通路となるように設けられており、AlGaAs活性層からの発光光を吸収しない構造の第2導電型の半導体リッジストライプ部と、
    AlGaAs第2クラッド層上の、該リッジストライプ部の両側に配置され、該AlGaAs活性層に供給される駆動電流の流れを阻止する第1導電型のAlGaAs電流阻止層とを備え、
    該半導体リッジストライプ部とAlGaAs電流阻止層とは、実屈折率差により該AlGaAs活性層の、半導体リッジストライプ部に対向する部分に光を閉じ込めるための横方向光閉込構造をなしており、
    前記半導体リッジストライプ部は、前記AlGaAs活性層に比べて禁制帯幅の大きい第2導電型のAlGaAsリッジ本体部と、該AlGaAsリッジ本体部の表面を被覆する膜厚が0.003μm程度の量子井戸構造の第2導電型のGaAs保護層とから構成されており、
    該半導体リッジストライプ部のGaAs保護層上に、AlGaAs第2クラッド層に比べて屈折率が小さく、該AlGaAs活性層に比べて禁制帯幅の大きい第2導電型のAlGaAsが電流の通路として設けられている、半導体レーザ素子。
  2. 第1導電型のGaAs基板上に、第1導電型のAlGaAsクラッド層、AlGaAs活性層、第2導電型のAlGaAsクラッド層、膜厚が0.003μm程度の量子井戸構造の第2導電型のGaAsエッチングストップ層、第2導電型のAlGaAs層、膜厚が0.003μm程度の量子井戸構造のGaAs保護層を順次成長する工程と、
    該第2導電型のAlGaAsおよびGaAs保護層を加工して、該AlGaAs活性層に供給される駆動電流の通路となるリッジストライプ部を形成する工程と、
    該第2導電型のAlGaAsクラッド層に比べて屈折率が小さく、該AlGaAs活性層に比べて禁制帯幅の大きい第1導電型のAlGaAs層を、該第2導電型のGaAsエッチングストップ層上及び該リッジストライプ部に成長する工程と、
    該リッジストライプ部の上側に位置する該第1導電型のAlGaAs層の部分に、第2導電型の不純物を選択的に拡散することにより、該リッジストライプ部の上側に位置する該第1導電型のAlGaAs層部分を第2導電型として該駆動電流の通路とし、該リッジストライプ部の両側に位置する該第1導電型のAlGaAs層部分による該駆動電流の流れを阻止する電流阻止層とによって横方向光閉込構造を形成する工程と、
    を包含する半導体レーザ素子の製造方法。
  3. 第1導電型のGaAs基板上に、第1導電型のAlGaAsクラッド層、AlGaAs活性層、第2導電型のAlGaAsクラッド層、膜厚が0.003μm程度の量子井戸構造の第2導電型のGaAsエッチングストップ層、第2導電型のAlGaAs層、膜厚が0.003μm程度の量子井戸構造のGaAs保護層を順次成長する工程と、
    該第2導電型のAlGaAsおよびGaAs保護層を加工して、該AlGaAs活性層に供給される駆動電流の通路となるリッジストライプ部を形成する工程と、
    該第2導電型のAlGaAsクラッド層に比べて屈折率が小さく、該AlGaAs活性層に比べて禁制帯幅の大きい第2導電型のAlGaAs層を、該第2導電型のGaAsエッチングストップ層上及び該リッジストライプ部に成長する工程と、
    該リッジストライプ部の上側に位置する該第2導電型のAlGaAs層の部分以外の部分に、深い準位を形成する不純物を選択的に導入して、該リッジストライプ部の上側に位 置する該第2導電型のAlGaAs層の部分を該駆動電流の通路とし、該第2導電型のAlGaAsクラッド層上に位置する該第2導電型のAlGaAs層の部分による該駆動電流の流れを阻止する電流阻止層とによって横方向光閉込構造を形成する工程と、
    を包含する半導体レーザ素子の製造方法。
  4. 請求項3記載の半導体レーザ素子の製造方法において、
    前記第2導電型のAlGaAs層の、前記リッジストライプ部の上側に位置する部分以外の部分には、前記不純物としてプロトンあるいは酸素イオンを導入する半導体レーザ素子の製造方法。
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