JP3722500B2 - セキュリティ機構付き機器における電源切断検出装置 - Google Patents

セキュリティ機構付き機器における電源切断検出装置 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、盗難防止を目的とするセキュリティ機構を備えた機器において、電源切断状態が発生したことを検出するための装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、盗難防止の観点から、カーステレオ等の車載用機器にセキュリティ機構を設ける傾向にある。そのようなセキュリティ機構を実現するための方式として代表的なものにコードセキュリティ方式がある。車載用機器は、一般的に、マイクロコンピュータシステムとして実現されており、そのメモリ保持等を目的として、スイッチを介することなく直接バッテリー電源へ接続されている。コードセキュリティ方式は、その電源接続が一旦切断され再度接続されたことを検出した場合に、盗難にあった可能性があるため、セキュリティモードに移行してコード入力を要求し、その入力値が正しくなければ動作を開始しないようにマイコンが処理するよう構成されているものである。このように、電源が投入されたときにセキュリティモードに移行するのは、電源ラインが切断された時点では、セキュリティ機構自身を動かす電源供給も無くなり、電源切断の判断処理が実行できないからである。
【0003】
また、マイコンシステムによる機器には、一般的に、マイコンの暴走等のトラブル状態を解除するために、マイコンを電源投入時と同一の状態へ復帰させるためのリセットスイッチが設けられていることが多い。すなわち、そのようなリセットスイッチの操作に応じてマイコンは、電源投入時の場合と同一の命令アドレスからスタートすることとなる。
【0004】
かかるリセットスイッチ操作によってもセキュリティモードに移行するようにすると、そのモードの解除に手間がかかってしまうという欠点が生ずる。それを回避するためには、マイコンは、リセットスタート(立ち上がり)時に、電源の再投入によるものか、リセットスイッチ操作によるものか、を判定して電源再投入による場合のみセキュリティモードに移行する必要がある。そのため、セキュリティ機構付きのマイコン制御式機器には、直前に電源切断が発生していたことを立ち上がり時に検出するための構成が設けられている。
【0005】
図7は、そのような従来の電源切断検出装置の一例を示すブロック図である。この図において、符号VBは例えば12Vのバッテリー電源、符号1は電源VBとセキュリティ機構付きのマイコン制御式機器との接続部、符号2は当該機器の制御中枢になるとともに電源切断検出のための判定処理を行うマイクロコンピュータ(マイコン)、符号3は電源切断状態においても保持する必要のあるデータを格納するためのEEPROM、符号4は電源VBの波形を整形するための波形整形回路、符号5は波形整形回路4の出力を所定の時間遅延させるための遅延回路、符号6は電源VBよりマイコン2に供給するための5Vを生成するための5V生成回路、符号7は電源投入時と同一の状態にマイコン2をリセットするためのリセットスイッチ、をそれぞれ示す。
【0006】
図7におけるマイコン2のスタート時の処理手順を図8の概略フローチャートにより説明する。まず、接続部1の切断により電源供給が中断され、EEPROM3に格納されたものを除き、データが破壊されている可能性があるため、所定のイニシャライズ処理を実行する(ステップ802)。次いで、遅延回路5の出力51がロウレベルであるか否かを判定する(ステップ804)。ロウレベルであれば、スタート直前では電源切断状態であったことが判明し、電源再投入によるスタートであると判定することができる。その場合には、盗難が発生した可能性があるため、前記したようにセキュリティコードの入力処理へと移行する(ステップ806)。また、ロウレベルでなければ、リセットスイッチをONしたことによるスタートであると判断し、コード入力処理は省略される(ステップ808)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような構成による電源切断の検出は、必ずしも確実にその検出を実現することができるものではない。すなわち、電源の接続状態を検出するための信号51は、電源VBの出力を波形整形し、電源接続後スタートしたマイコン2がスタート直前の電源接続状態としてそれを読み込むことができる程度まで遅延された信号である。そのため、例えば、ステップ804で電源切断があったと判定して、ステップ806に進み、コード入力処理を実行しようとした時点で、リセットスイッチ7が押下された場合、再びマイコン2はスタート状態となり、再度ステップ802及び804を実行するが、そのときには電源切断を検出可能な遅延時間を経過しており、単にリセットスイッチONのみが発生したと判断し、コード入力処理を実行しないまま、通常動作に移行する可能性がある。このように、従来の装置は、確実なセキュリティ動作を保証するものではなかった。
【0008】
かかる実情に鑑み、本発明の目的は、セキュリティ機構付きの機器における電源切断状態の発生を確実に検出することが可能な電源切断検出装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、以下に記載されるような技術構成を採用するものである。すなわち、本発明に係る、セキュリティ機構付き機器における電源切断検出装置は、盗難防止用セキュリティ機構を備えた車両に取付けられる機器において電源切断状態が発生したことを検出する装置であって、当該機器への電源供給が遮断されると記憶内容が破壊される電源切断記憶部と、リセットスタート時に、前記電源切断記憶部の記憶内容が破壊されている場合に、電源切断があったと判定して、セキュリティコードの入力を促す所定の処理を実行し、前記電源切断記憶部の記憶内容が破壊されていない場合に、電源切断がなかったと判定して、通常の機器制御処理を実行するマイクロコンピュータと、を具備することを特徴とする。
【0010】
また、本発明によれば、前記電源切断検出装置は、不揮発性メモリをさらに具備し、前記マイクロコンピュータは、前記所定のセキュリティ処理実行結果を前記不揮発性メモリに格納した後、前記電源切断記憶部に所定のデータをセットするように構成される。
【0011】
また、本発明によれば、前記電源切断記憶部は、複数のビットからなるように構成される。
【0012】
また、本発明によれば、前記マイクロコンピュータは、前記電源切断記憶部の記憶内容が破壊されているかを所定の周期で監視し、破壊されている場合にソフトウェアリセットを発行するように構成される。
【0013】
【作用】
上記の如く構成された電源切断検出装置においては、電源切断状態の発生が電源切断記憶部に確実に記憶されることとなる。また、不揮発性メモリにセキュリティ処理実行結果を格納した後、電源切断記憶部に所定のデータをセットするように構成することにより、スタート時における判定後にリセットスイッチ操作が行われても誤判定をすることがなくなる。また、電源切断記憶部を複数のビットからなるように構成して複雑化することにより、悪意の操作に対するセキュリティ性が向上する。また、マイクロコンピュータが、電源切断記憶部の記憶内容が破壊されているかを所定の周期で監視し、破壊されている場合にソフトウェアリセットを発行するようにすることにより、電源切断検知は行うがマイクロコンピュータの保持時間が長くマイクロコンピュータのリセットがかからない場合でも、確実に電源切断の発生を検出することができるようになる。
【0014】
【実施例】
以下、添付図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【0015】
図1は、本発明の第1の実施例に係る電源切断検出装置のハードウェア構成を示すブロック図である。この図において、従来例に係る図7の構成要素と同一の構成要素には、同一の符号が付されており、その説明は省略する。従来の回路(図7)と相違する点は、従来回路における遅延回路5に代えて、フリップフロップ8を使用していることである。このフリップフロップ8は、波形整形回路4の出力をリセット端子Rに入力することにより、電源VBのロウレベルすなわち切断を検知してリセット状態になる。また、このフリップフロップは、それ自身への電力供給が一旦断たれて再度電力供給された時点でもリセット状態となる。すなわち、瞬間的な電源切断状態も長時間の電源切断状態も検出してリセット状態となる。なお、当然に、このフリップフロップ8は、リセットスイッチ7のONではリセットされない。
【0016】
このような図1のハードウェア構成を有する第1の実施例におけるマイコン2のスタート時処理手順について、図2のフローチャートにより説明する。まず、電源投入又はリセットスイッチONにより起動されると、所定のイニシャライズ処理を実行する(ステップ102)。次いで、セキュリティが設定されているかを確認するために、EEPROM3に格納されたセキュリティフラグを読み出して、ONであるかを判定する(ステップ104)。セキュリティフラグがOFFであれば、以下に説明する処理はスキップされる。セキュリティフラグがONすなわちセキュリティが設定されている場合には、フリップフロップ8がリセット状態であるか否かを判定する(ステップ106)。セット状態であれば、電源切断はなかったと判断することができるため、以下の処理がスキップされる。また、リセット状態であれば、ステップ108に進む。
【0017】
ステップ108では、EEPROM3に格納された電源フラグがONであるか否かを判定する。この電源フラグは、スタート前にはセキュリティコード入力判定処理が正常になされて電源ON状態であったことを示すフラグである。電源フラグがOFFであれば、異常であるためステップ120のエラー処理に進む。また、電源フラグがONの場合には、電源フラグをOFFとしてEEPROM3に書き込む(ステップ110)。これにより、電源投入されてから未だセキュリティコード入力判定処理がなされていないことが記憶されたこととなる。そして、フリップフロップ8のセット入力端子Sへの信号をアクティブにすることにより、フリップフロップ8をセット状態にする(ステップ112)。
【0018】
フリップフロップ8のセット後、セキュリティコードの入力を促す所定の処理を実行する(ステップ114)。そして、入力されたコードがEEPROM3に格納された期待値と一致するか否かの判定処理を実行する(ステップ116)。一致しなければ、ステップ120のエラー処理へ進む。一致すれば、盗難による電源切断及び再接続ではないと判断し、この時点で電源フラグをON、コード入力処理のリトライ回数Nを0、としてこれらをEEPROM3に格納し(ステップ118)、通常の機器制御処理へと移行する。
【0019】
ステップ108で電源フラグがOFFと判定された場合、及びステップ116にてセキュリティコードが不一致の場合には、ステップ120において所定のエラー処理を実行する。次いで、現在のリトライ回数Nが所定の許容回数Pを越えているか否かを判定する(ステップ122)。N>Pであれば、ステップ122において無限ループに陥り、動作不能となるようにされる。N≦Pであれば、リトライ回数NをインクリメントしてEEPROM3に書き込むことにより、Nを記憶し(ステップ124)、ステップ114のコード入力処理へ移行する。
【0020】
以上のような第1の実施例においては、電源切断を検出したことをフリップフロップ8のリセット状態として保持し、マイコン2は、フリップフロップ8のリセット状態を読み取った後に、セット状態とするため、電源切断の判断処理が確実に行われる。
【0021】
次に、本発明の第2の実施例について説明する。第2の実施例は、第1の実施例と同じく図1に示すハードウェア構成を有するが、その処理手順が図3のように改良される。図3のフローチャートにおいて第1の実施例に係る図2のステップと同一のステップについては、同一のステップ番号が付されており、その説明は省略する。相違する点は、フリップフロップ8をセットするステップ(図2の112)が、第2の実施例ではステップ118の後に実行されることである(ステップ212)。このように、電源フラグ等の判断結果のEEPROM3への書き込みを完了させてからフリップフロップ8をセットすることにより、判断後にリセットスイッチ操作が行われても誤判定をすることがなくなる。
【0022】
すなわち、▲1▼EEPROMへの書き込み前にリセットスイッチが操作されても、フリップフロップがセットされていないため、確実に検出判定することができる。▲2▼EEPROMへの書き込み後にリセットスイッチが操作された場合でも、フリップフロップがセットされていないため、同じデータを書き込むことになるだけで、誤判定は起きない。▲3▼フリップフロップをセットした後にリセットスイッチが操作された場合には、リセットスイッチ操作であると検出判定することができる。
【0023】
次に、本発明の第3の実施例について説明する。図4はその第3の実施例に係る電源切断検出装置のハードウェア構成を示すブロック図、図5はその場合のマイコンのスタート時の処理手順を示す概略フローチャートである。図1と図4とを比較して容易にわかるように、第3の実施例においては、フリップフロップ8に代えてシフトレジスタ9を採用する。また、図5のフローチャートは、図3のステップ106及び212がそれぞれステップ306及び312に変更されている点のみ相違する。フリップフロップではハイ(H)かロウ(L)かの判定であるため、ある程度の知識があれば、悪意の操作により外部からフリップフロップをセット状態に変えることができ、マイコン2を誤判定させることが可能である。そのため、シフトレジスタ9に複数ビットからなる特定のデータを書き込み、また読み出すようにすることで、そのような悪意の操作に対するセキュリティ性が向上する。レジスタのデータとしては、例えば、機器のシリアルナンバー等、機器ごとに異なるコードを使用すれば、さらに保護は確実となろう。なお、シフトレジスタでなくとも、ある程度のビット数を有するRAMでもよい。
【0024】
最後に、第4の実施例について説明する。以上の第1、第2及び第3の実施例においては、電源のOFF−ON又はリセットスイッチ操作によりマイコン2がリセットされたことにより起動される構成となっている。そのため、電源切断検知は行ったもののマイコンの保持時間が長くてリセットがかからない場合には、処理が実行されない。そのため、図6に示すように、メインルーチンにおいて所定の周期で電源切断検出信号(第1及び第2の実施例でいえばフリップフロップ8の出力信号)を監視し(ステップ402)、電源切断が検出された場合にはマイコンがソフトウェアリセットを発行するようにする(ステップ404)。こうすることで、電源切断の検出がさらに確実となる。
【0025】
以上、本発明の実施例について述べてきたが、もちろん本発明はこれに限定されるものではなく、様々な実施例を案出することは当業者にとって容易なことであろう。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、上記したような電源切断記憶部を設けることにより、セキュリティ機構付きの機器における電源切断状態の発生を確実に検出することが可能な電源切断検出装置が提供される。さらに、不揮発性メモリにセキュリティ処理実行結果を格納した後、電源切断記憶部に所定のデータをセットするように構成することにより、スタート時における判定後にリセットスイッチ操作が行われても誤判定をすることがなくなる。また、電源切断記憶部を複数のビットからなるように構成して複雑化することにより、悪意の操作に対するセキュリティ性が向上する。すなわち、盗難製品を改造してセキュリティを解除することができなくなる。また、マイクロコンピュータが、電源切断記憶部の記憶内容が破壊されているかを所定の周期で監視し、破壊されている場合にソフトウェアリセットを発行するようにすることにより、瞬時的な電源切断でマイコンにリセットがかからない場合でも、確実に電源切断の発生を検出することができるようになる。すなわち、電源の瞬断により、メモリ内容は破壊されたが、マイコンにはリセットがかからなかったというような事態を回避することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例に係る電源切断検出装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施例におけるマイコンのスタート時の処理手順を示す概略フローチャートである。
【図3】本発明の第2の実施例におけるマイコンのスタート時の処理手順を示す概略フローチャートである。
【図4】本発明の第3の実施例に係る電源切断検出装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の第3の実施例におけるマイコンのスタート時の処理手順を示す概略フローチャートである。
【図6】本発明の第4の実施例におけるマイコンのメインルーチンの処理手順を示す概略フローチャートである。
【図7】従来の電源切断検出装置の一例を示すブロック図である。
【図8】図7におけるマイコンのスタート時の処理手順を示す概略フローチャートである。
【符号の説明】
1…電源と機器との接続部
2…マイクロコンピュータ(マイコン)
3…EEPROM
4…波形整形回路
5…遅延回路
6…5V生成回路
7…リセットスイッチ
8…フリップフロップ
9…シフトレジスタ
VB…バッテリー電源

Claims (4)

  1. 盗難防止用セキュリティ機構を備えた車両に取付けられる機器において電源切断状態が発生したことを検出する装置であって、
    当該機器への電源供給が遮断されると記憶内容が破壊される電源切断記憶部と、
    リセットスタート時に、前記電源切断記憶部の記憶内容が破壊されている場合に、電源切断があったと判定して、セキュリティコードの入力を促す所定の処理を実行し、前記電源切断記憶部の記憶内容が破壊されていない場合に、電源切断がなかったと判定して、通常の機器制御処理を実行するマイクロコンピュータと、
    を具備することを特徴とする、セキュリティ機構付き機器における電源切断検出装置。
  2. 不揮発性メモリをさらに具備し、前記マイクロコンピュータは、前記所定のセキュリティ処理実行結果を前記不揮発性メモリに格納した後、前記電源切断記憶部に所定のデータをセットすることを特徴とする、請求項1に記載のセキュリティ機構付き機器における電源切断検出装置。
  3. 前記電源切断記憶部は、複数のビットからなることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のセキュリティ機構付き機器における電源切断検出装置。
  4. 前記マイクロコンピュータは、前記電源切断記憶部の記憶内容が破壊されているかを所定の周期で監視し、破壊されている場合にソフトウェアリセットを発行することを特徴とする、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のセキュリティ機構付き機器における電源切断検出装置。
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