JP3722270B2 - インクジェット式記録装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はキャリッジ上に記録ヘッドと共に搭載され、記録ヘッドにインクを供給するサブタンクが具備され、且つ前記サブタンクに対してインク補給チューブを介してメインタンクからインクを逐次補給するように構成したインクジェット式記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット式記録装置は、印刷時の騒音が比較的小さく、しかも小さなドットを高い密度で形成できるため、昨今においてはカラー印刷を含めた多くの印刷に使用されている。このようなインクジェット式記録装置は、一般にキャリッジ上に搭載されて記録用紙の幅方向に移動するインクジェット式記録ヘッドと、記録用紙を記録ヘッドの移動方向に対して直行する方向に相対的に移動させる紙送り手段が備えられ、印刷データに基づいて記録ヘッドよりインク滴を吐出させることにより記録用紙に対して記録が行われる。
【0003】
そしてキャリッジ上に例えばブラック、イエロー、シアン、マゼンタの各インクの吐出可能な記録ヘッドを搭載し、ブラックインクによるテキスト印刷ばかりでなく、各インクの吐出割合を変えることにより、フルカラー印刷を可能としている。
【0004】
一方、例えばオフィス向けまたは業務用に提供されるこの種の記録装置においては、比較的大量の印刷に対応させるために、大容量のインクカートリッジを配備する必要が生じ、このためにインクカートリッジとしてのメインタンクを装置本体側に配置された装着装置(カートリッジホルダ)に装填させる形式の記録装置が提供されている。
【0005】
そして、記録ヘッドが搭載されたキャリッジ上にはサブタンクが配置され、前記各メインタンクから各サブタンクに対してインク補給チューブを介してそれぞれインクを補給し、さらに各サブタンクからそれぞれ記録ヘッドに対してインクを供給するように構成されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、昨今においては大きな紙面に対して印刷を行うことが可能な、キャリッジの走査距離の長い大型の記録装置が要求されている。このような記録装置においては、スループットを向上させるために、記録ヘッドにおいては益々多ノズル化が図られている。さらにスループットを向上させるために、印刷を実行しながらメインタンクからキャリッジに搭載された各サブタンクに対して逐次インクを補給し、各サブタンクからそれぞれ記録ヘッドに対してインクを安定して供給するような記録装置が求められる。
【0007】
このような記録装置においては、メインタンクからサブタンクに対して、それぞれのインクに対応してインク補給チューブを接続する必要があり、キャリッジの走査距離が大きいために必然的にチューブの引き回し距離が増大する。しかも前記したとおり、記録ヘッドにおいては多ノズル化が図られているために、インクの消費量が多く、メインタンクからサブタンクに接続された各インク補給チューブの動圧が高まり、サブタンクに対するインクの補給量が不足するという技術的課題を抱えている。
【0008】
このような課題を解決するための一つの手段として、例えばメインタンク側に加圧空気を印加し、メインタンクからサブタンクに対して加圧空気によって強制的なインク流を発生させるインクの補給手段が好適に採用し得る。そして、サブタンク内のインク量がインク量検出手段によって検出され、インク量検出手段によってもたらされる制御信号によってメインタンクからサブタンクに至るインク補給路に配置されたインク補給バルブを開閉弁制御することにより、常にサブタンクに対して、必要十分なインクを補給することができる。
【0009】
このようにしてインクが補給されるサブタンクにおいては、内部に所定量のインクを貯留するインク貯留室を形成する必要があり、また、キャリッジに搭載されて往復移動されるために、軽量化を図ることが望まれる。さらにサブタンクの組み立て工数も低減されることも望まれ、しかもサブタンク内にはサブタンク内に貯留されたインク量を検知するための例えばフロート部材を内在させる必要もある。
【0010】
したがって、前記したような要件を満足するために、サブタンクは一面が開放されたケース部材により構成され、内部にフロート部材を収納した状態で、ケース部材の開口部を蓋体によって封止するような構成が採用し得る。ケース部材の開口部に蓋体を能率的に取り付けるには、例えば振動溶着を採用することも考えられるが、このような溶着手段を採用した場合には、内部に配置されたフロート部材等にもその振動が伝達される。この結果、フロート部材により構成されるインク量検出手段などの機能に不具合を発生させるという問題が発生し、不具合を持たせたままで、製品に搭載されるおそれも発生する。
【0011】
そこで、ケース部材の開口部に熱溶着手段によってフィルム状部材を密着状態に接合させる手段が有効に採用し得る。しかしながら、ケース部材の開口部を覆う前記フィルム状部材は、比較的薄手のシートにより形成されており、したがってサブタンクに補給されたインクの重力を受けて、外側にたわむという現象が発生し得る。したがって、サブタンク内のインクの液面高さの管理が困難になるという技術的な課題が発生する。また、熱溶着に用いられるこの種のフィルム状部材は、水分透過率が高いために、サブタンク内に貯留されたインクの水分が蒸発しやすく、長期にわたる休止状態においては、インク粘度が上昇して印字動作に障害を与える問題も発生し得る。
【0012】
本発明は、前記したような問題点に鑑みてなされたものであり、例えばサブタンクの組み立て製造時において前記したような不具合を発生させることのないインクジェット式記録装置を提供することを目的とするものである。また本発明は、インクの重力を受けて前記したようなたわみを発生させることなく、且つ水分蒸発を効果的に抑制し得るインクジェット式記録装置を提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記した目的を達成するためになされた本発明にかかるインクジェット式記録装置は、キャリッジに搭載されて記録用紙の幅方向に往復移動される記録ヘッドと、前記記録ヘッドと共にキャリッジに搭載され、メインタンクからインク補給路を介してインクの補給を受けると共に、前記記録ヘッドにインクを供給するサブタンクとを備えたインクジェット式記録装置であって、前記サブタンクは、一側壁とこれに連なる周側壁とが一体に形成されたケース部材と、前記ケース部材における周側壁の開口部に熱溶着により密着状態に接合されて、内部にインク貯留空間を形成するフィルム状部材と、前記フィルム状部材のインク貯留空間側またはフィルム状部材の外側面に配置されてフィルム状部材のたわみを矯正し、前記フィルム状部材と共に水分蒸発を抑制する補強部材とにより構成され、且つ、前記インク貯留空間にはサブタンク内に貯留されたインクによって浮上するフロート部材が配置されると共に、前記フロート部材の浮上位置にしたがって電気的出力を発生する出力発生手段と、前記出力発生手段により得られる電気的出力によって、サブタンクに補給するインク量を制御する補給制御手段とが具備される。
【0014】
この場合、補強部材がフィルム状部材に対してインク貯留空間とは反対面に予め一体に接合され、前記フィルム状部材をケース部材における開口部に熱溶着により接合させた構成も利用することができる。この場合、フィルム状部材の熱溶着部分を避けて、前記補強部材がフィルム状部材に予め一体に接合されていることが好ましい。
【0015】
さらに、前記ケース部材における開口部の内周面に段部が形成され、前記段部に沿って補強部材を配置すると共に、前記フィルム状部材をケース部材における開口部および補強部材の外側面にそれぞれ熱溶着により接合させた構成も利用することができる。さらにまた、前記ケース部材における開口部の内周面に段部が形成され、フィルム状部材に対してインク貯留空間側に予め一体に接合された前記補強部材を前記段部に沿って配置すると共に、前記フィルム状部材をケース部材における開口部に熱溶着により接合させた構成も利用することができる。
【0016】
一方、前記ケース部材における開口部の内周面に、補強部材の被係止部が形成され、補強部材を前記被係止部に係止させた状態で、フィルム状部材がケース部材の開口部および補強部材の外側面にそれぞれ熱溶着により接合させた構成も利用し得る。また、前記ケース部材における開口部の内周面に、補強部材の被係止部が形成され、補強部材におけるインク貯留空間とは反対面にフィルム状部材が熱溶着によって接合されると共に、補強部材を前記被係止部に係止させた状態で、フィルム状部材をケース部材における開口部に熱溶着により接合させた構成も利用することができる。
【0017】
以上の構成によると、ケース部材の周側壁に形成された開口部にフィルム状部材が例えば熱溶着手段によって接合されることによって、内部にインク貯留部が形成される。そして、フィルム状部材のインク貯留空間側またはフィルム状部材の外側面には、例えば平板状の補強部材が配置された構成とされるので、補強部材の存在によってフィルム状部材がサブタンクに貯留されたインクの重力を受けて外側にたわむ現象を矯正させることができる。
【0018】
また、前記したようにメインタンクに加圧空気を印加してサブタンクに対してインクを補給する形態の記録装置においては、補給されるインクの圧力を受けて、同様にフィルム状部材が外側にたわむ現象を矯正(抑える)させることができ、これにより、前記したフロート部材によるサブタンク内のインクの液面高さを精度よく管理することが可能となる。
【0019】
また、前記補強部材として例えば平板状の金属板、あるいはケース部材と同質のプラスチック板を利用することで、フィルム状部材による水分蒸発を効果的に防ぐことができ、サブタンク内に貯留されたインクの増粘を効果的に抑制することが可能となる。さらにフィルム状部材を熱溶着手段によってケース部材の開口部を封止する手段を採用することで、サブタンクの組み立て製造時において、サブタンク内に配置されるフロート部材を含むインク量検出手段に対して障害を与えるという問題を回避することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかるインクジェット式記録装置について、図に示す実施の形態に基づいて説明する。図1は、本発明が適用され得るインクジェット式記録装置の一例を上面図によって示したものである。図1において符号1はキャリッジであり、このキャリッジ1はキャリッジモータ2によって駆動されるタイミングベルト3を介し、走査ガイド部材4に案内されて紙送り部材5の長手方向、すなわち記録用紙の幅方向である主走査方向に往復移動されるように構成されている。そして、図1には示されていないが、キャリッジ1の紙送り部材5に対向する面には、後述するインクジェット式記録ヘッド6が搭載されている。
【0021】
また、キャリッジ1には前記記録ヘッドにインクを供給するためのサブタンク7a〜7dが搭載されている。このサブタンク7a〜7dは、この実施の形態においては、その内部において各インクを一時的に貯留するために、それぞれのインクに対応して4個具備されている。
【0022】
そして、このサブタンク7a〜7dに対して装置本体側に配置されたカートリッジホルダ8に装填されたインクカートリッジとしてのメインタンク9a〜9dから、インク補給路としての各チューブ10,10,……をそれぞれ介して、ブラック、イエロー、マゼンタおよびシアンの各インクが補給されるように構成されている。
【0023】
一方、前記キャリッジ1の移動経路上における非印字領域(ホームポジョン)には、記録ヘッドのノズルプレートを封止することができるキャッピング手段11が配置されている。このキャッピング手段11の上面には、前記記録ヘッドのノズルプレートを封止し得るゴム等の可撓性素材により形成されたキャップ部材11aが配置されている。そして、キャリッジ1がホームポジョンに移動したときに、これに追従して前記キャップ部材11aによって、記録ヘッドのノズルプレートが封止されるように構成されている。
【0024】
このキャップ部材11aは、記録装置の休止期間中において記録ヘッドのノズルプレートを封止し、ノズル開口の乾燥を防止する蓋体として機能する。また、このキャッピング手段11には、図には示されていないが、吸引ポンプ(チューブポンプ)におけるチューブの一端が接続され、吸引ポンプによる負圧を記録ヘッドに作用させて、記録ヘッドからインクを吸引排出させるクリーニング動作が実行されるように構成されている。さらに、キャッピング手段11に隣接した印字領域側には、ゴムなどの弾性素材により形成されたワイピング部材12が配置されていて、必要に応じて記録ヘッドのノズルプレートを払拭して清掃することができるように構成されている。
【0025】
次に図2は、図1に示した記録装置に搭載されたインク供給システムを模式的に示したものであり、このインク供給システムについて、同一符号で示した図1と共に説明する。図1および図2において、符号21は加圧ポンプを示しており、この加圧ポンプ21により生成された加圧空気は圧力調整弁22に供給され、圧力調整弁22により圧力調整された加圧空気は、圧力検出器23を介して前記した各メインタンク9a〜9d(図2においては代表して符号9として示しており、以下において代表して単に符号9として説明する場合もある。)にそれぞれ供給されるように構成されている。
【0026】
このメインタンク9は、その概略構成が図2に示されたように、その外郭が気密状態に形成されており、その内部にはインクを封入した可撓性素材により形成されたインクパック24が収納されている。そして、メインタンク9とインクパック24とで形成される空間が圧力室25を構成しており、この圧力室25内に、圧力検出器23を介した加圧空気が供給されるように構成されている。この構成により、各メインタンク9a〜9dに収納された各インクパック24は、それぞれ加圧空気による加圧を受け、各メインタンク9a〜9dから各サブタンク7a〜7dに対してインク流が発生されるように作用する。
【0027】
したがって、前記各メインタンク9a〜9dにおいて加圧されたインクは、インク補給制御手段を構成する各インク補給バルブ26,26……および各チューブ10,10,……をそれぞれ介して、キャリッジ1に搭載された各サブタンク7a〜7d(図2においては代表して符号7として示しており、以下において代表して単に符号7として説明する場合もある。)に個別に補給される。
【0028】
図2に示すサブタンク7の構成についての詳細な説明は後述するが、その基本構成は、内部にフロート部材31が配置されており、そのフロート部材31の一部には永久磁石32が取り付けられている。そして、ホール素子に代表される磁電変換素子33a,33bが基板34に装着されて、サブタンク7の側壁に添接されている。
【0029】
この構成により、サブタンク内のインク量に応じた前記フロート部材31の浮上位置にしたがって、電気的出力を発生する出力発生手段を構成している。すなわち、この出力発生手段は、フロート部材31に配置された永久磁石32と、フロート部材の浮上位置にしたがった前記永久磁石32による磁力線量に応じて、前記ホール素子33a,33bにより電気的出力が発生される構成とされている。
【0030】
したがって、例えばサブタンク7内のインク量が少なくなった場合には、サブタンク内に収納されたフロート部材31の位置が重力方向に移動し、これに伴い前記永久磁石32の位置も重力方向に移動する。これにより、永久磁石の移動によるホール素子33a,33bの電気的出力は、サブタンク7内のインク量として感知することができ、ホール素子33a,33bにより得られた電気的出力によって、前記インク補給バルブ26が開弁される。
【0031】
これにより、メインタンク9内で加圧されているインクは、インク量が低下したそれぞれのサブタンク7内に送出される。そして、当該サブタンク7内におけるインク量が十分な量に達した場合には、前記したホール素子33a,33bの電気的出力に基づいて前記バルブ26が閉弁される。このような繰り返しにより、メインタンクからサブタンクに対して断続的にインクが補給されるように作用し、各サブタンクには、常にほぼ一定の範囲のインクが貯留されるようになされる。
【0032】
このように、サブタンク内において空気圧によって加圧された各インクが、サブタンク内に配置されたそれぞれのフロート部材の位置に基づく電気的な出力に基づいて、各サブタンクに対して補給されるように構成されているので、インクの補給レスポンスを向上させることができ、サブタンク内のインクの貯留量が適切に管理される。
【0033】
そして、各サブタンク7からはバルブ35およびこれに接続されたチューブ36を介して記録ヘッド6に対してインクが供給されるように構成されており、記録ヘッド6の図示せぬアクチェータに与えられる印刷データに基づいて、記録ヘッド6のノズルプレートに形成されたノズル開口6aより、インク滴が吐出されるように作用する。なお、図2において符号11は、前記したキャッピング手段を示しており、このキャッピング手段11に接続されたチューブは図示せぬ吸引ポンプに接続されている。
【0034】
図3および図4は、前記したサブタンクの実施の形態を示したものであり、図3はサブタンクの一部の構成を割愛し、これを一面方向から視た斜視図で示し、図4は同方向から視た透視図で示している。なお、図3乃至図5において、既に説明した各部に相当する部分は同一符号で示されており、したがって、その説明は省略する。
【0035】
サブタンク7は、ほぼ直方体状に形成され、且つ全体が偏平状になされている。このサブタンク7の外郭は、一側壁41aとこれに連なる周側壁41bとが一体に形成されたケース部材41により構成されており、このケース部材41の開口周縁には、透明樹脂によるフィルム状部材42(図4参照)が熱溶着手段により密着状態で取り付けられ、ケース部材41とフィルム状部材42とにより囲まれた内部に、インク貯留空間43が形成されている。そして、ケース部材41を構成する前記一側壁41aからインク貯留空間43に向かって突出する支持軸44がケース部材41と一体に形成されており、フロート部材31は、この支持軸44を回動中心として、インク貯留空間43内において重力方向に可動できるように配置されている。
【0036】
図3および図4に鎖線で示したように、前記フィルム状部材42とインク貯留空間43との間には、補強部材68が配置されている。この補強部材68は例えば平板状のステンレス材、あるいはケース部材41と同質のプラスチック材料板により構成されており、ケース部材41における周側壁41bの内側面に形成されたリブ部材41fの端面に当接して配置され、その外側面が前記したフィルム状部材42によって覆われ、フィルム状部材42に接合されている。
【0037】
この構成によると、前記補強部材68の存在により、フィルム状部材42がサブタンクに貯留されたインクの重力を受けて外側にたわむ現象を矯正させることができる。また、前記したインク補給バルブ26の開弁によって補給されるインクの圧力を受けて、同様にフィルム状部材42が外側にたわむ現象を矯正する(抑える)ことができ、これにより、前記したフロート部材によるサブタンク内のインクの液面高さを精度よく管理することが可能となる。
【0038】
また、前記補強部材68として図に示したように例えば平板状の金属板、あるいはケース部材41と同質のプラスチック材料板を利用することで、フィルム状部材42による水分蒸発を効果的に防ぐことができ、サブタンク内7に貯留されたインクの増粘を効果的に抑制することが可能となる。さらに、フィルム状部材42を熱溶着手段によってケース部材41の開口部を封止する手段を採用することで、サブタンクの組み立て製造時において、サブタンク内に配置されるフロート部材31を含むインク量検出手段に対して障害を与えるという問題を回避することができる。
【0039】
なお、前記した補強部材68は、サブタンクにおけるインク貯留空間33の全面を覆うように構成することが、フィルム状部材42を透過することによる水分蒸発を防ぐことにおいて大きく寄与するが、これは図3および図4に示したように、インク貯留空間33の主要部を覆うように構成しても、フィルム状部材42を透過することによる水分蒸発を抑制することに効果的に寄与できる。
【0040】
次に、図5乃至図10は前記したサブタンクを構成するケース部材の開口部に、フィルム状部材を熱溶着させる場合において、同時に前記した補強部材を取り付ける場合の他の形態を模式的に示したものである。なお、図5乃至図10は、いずれもその要部を拡大した断面図で示されている。
【0041】
まず、図5はサブタンクの第2の実施の形態を示したものであり、補強部材68がフィルム状部材42に対してインク貯留空間とは反対面に予め一体に接合されたものが用いられ、フィルム状部材42をケース部材41における開口部に熱溶着により接合させる状態を示している。この補強部材68としては、前記したようにステンレス板またはアルミニュウム板等の金属板、あるいはケース部材41と同質のプラスチック材料の板が用いられる。そして、矢印H方向からヒートチップによる加熱を受けて、ケース部材41における開口部に沿って形成された溶着用突部41gを溶解させつつ、フィルム状部材42は熱溶着される。
【0042】
このようにケース部材41の開口部に沿って、予め補強部材68が接合されたフィルム状部材42を熱溶着させることで、ケース部材41内に支軸44を介して取り付けられたフロート部材31などの機能に不具合を発生させることなく、サブタンク7を形成することができる。また、補強部材68とフィルム状部材42を予め一体に接合してあるため、水分蒸発を抑制することが可能である。
【0043】
図6は、サブタンクの第3の実施の形態を示したものであり、これは図5に示した形態と同様に、補強部材68がフィルム状部材42に対してインク貯留空間とは反対面に予め一体に接合されたものが用いられる。そして、補強部材68はフィルム状部材42の熱溶着部分を避けて、フィルム状部材に予め一体に接合されている。そして、矢印H方向からヒートチップによる加熱を受けて、ケース部材41における開口部に沿って形成された溶着用突部41gを溶解させつつ、フィルム状部材42は熱溶着される。
【0044】
この形態によると、補強部材68が熱溶着部分を避けるように形成されているため、比較的厚みのある補強部材68の影響を受けることなくフィルム状部材42をケース部材41の開口部に熱溶着させることができる。
【0045】
図7は、サブタンクの第4の実施の形態を示したものであり、この形態においては、ケース部材41における開口部の内周面に予め段部41hが形成されており、この段部41hに沿って外周部に溶着用突起68gを設けた補強部材68の縁部が挿入される。そして、矢印H方向からのヒートチップによる加熱を受けて、ケース部材41における開口部に沿って形成された溶着用突部41g、および補強部材の溶着用突起68gが溶解され、フィルム状部材42は熱溶着される。この場合、補強部材68はケース部材41と同質のプラスチック材料により形成されていることが好ましい。
【0046】
図8は、サブタンクの第5の実施の形態を示したものであり、この形態においては、図7に示した例と同様にケース部材41における開口部の内周面に、予め段部41hが形成されている。そして、フィルム状部材42におけるインク貯留空間側に予め接合されている補強部材68を、前記段部41hに沿って挿入した後、矢印H方向からヒートチップにより加熱を行なうことで、フィルム状部材42はケース部材41における開口部に熱溶着される。この構成によると、補強部材68とフィルム状部材42を予め一体に接合してあるため、インクが両者の隙間に侵入することがなく、水分蒸発をさらに抑制することが可能である。
【0047】
図9は、サブタンクの第6の実施の形態を示したものであり、この形態においては、ケース部材41における開口部の内周面に、予め補強部材の被係止部41jが形成されている。一方、補強部材68は合成樹脂により形成されていて、その縁部には前記被係止部41jに係止される係止部68aが形成されている。この補強部材68に形成された係止部68aは楔形状になされており、したがって補強部材68をケース部材41における開口部の内周面に充てた状態で押し込むことで、補強部材68はケース部材41の開口部に固定される。
【0048】
また、補強部材68の外側面にも、ケース部材41と同様に溶着用突部68bが形成されており、矢印H1およびH2方向からヒートチップにより加熱を行なうことで、フィルム状部材42はケース部材41における開口部および補強部材68の外側面に熱溶着される。
【0049】
図10は、サブタンクの第7の実施の形態を示したものであり、これは図9に示した形態と同様に構成されており、2回の工程にわけて熱溶着を行う例を示している。すなわち、補強部材68の外側面に、まずフィルム状部材42を矢印H1で示すように熱溶着手段によって接合させる。続いて、フィルム状部材42が接合された補強部材68を、矢印Bで示すようにケース部材41側に押し込み、鎖線で示すように補強部材68をケース部材41の開口部に固定させる。続いて、ケース部材41の開口部におけるフィルム状部材42を、矢印H2で示すようにヒートチップにより加熱を施すことにより、フィルム状部材42はケース部材41に熱溶着される。
【0050】
以上説明したサブタンクの実施の形態において、さらに前記フィルム状部材42の一面に、蒸着等の手段により水分蒸発やガス透過を防止させるためバリア層を施すことが好ましい。このようなバリア層を施すことで、例えば図3または図4に示されたように、補強部材68がインク貯留空間33の主要部を覆うように構成したサブタンクであっても、補強部材68が存在しない部分におけるフィルム状部材42からの水分蒸発を効果的に抑制することができる。
【0051】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明にかかるインクジェット式記録装置によると、サブタンクの開口部に補強部材と共にフィルム状部材を接合するように構成したので、内部に貯留されたインクの重力またはインク補給時の圧力を受けてフィルム状部材にたわみが発生するの阻止することができ、サブタンク内に貯留されるインクの液面高さを精度よく管理することが可能となる。また、補強部材として例えば平板状の金属板あるいはケース部材と同質のプラスチック板を利用することで、フィルム状部材による水分蒸発を防ぐことができ、サブタンク内に貯留されたインクの増粘を効果的に抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したインクジェット式記録装置の全体構成を示した平面図である。
【図2】メインタンクから記録ヘッドに至るインク供給システムの構成を示した模式図である。
【図3】図2に示すインク供給システムの一部を構成するサブタンクの第1の実施の形態を示し、その一部の構成を割愛し、これを一面方向から視た状態の斜視図である。
【図4】同じくサブタンクを一面方向から視た状態の透視図である。
【図5】サブタンクの第2の実施の形態を示した要部拡大断面図である。
【図6】サブタンクの第3の実施の形態を示した要部拡大断面図である。
【図7】サブタンクの第4の実施の形態を示した要部拡大断面図である。
【図8】サブタンクの第5の実施の形態を示した要部拡大断面図である。
【図9】サブタンクの第6の実施の形態を示した要部拡大断面図である。
【図10】サブタンクの第7の実施の形態を示した要部拡大断面図である。
【符号の説明】
1 キャリッジ
6 記録ヘッド
7(7a,7b,7c,7d) サブタンク
8 カートリッジホルダ
9(9a,9b,9c,9d) メインタンク(インクカートリッジ)
10 インク補給チューブ(インク補給路)
11 キャッピング手段
21 加圧ポンプ
22 圧力調整弁
23 圧力検出器
24 インクパック
25 圧力室
26 インク補給バルブ(補給制御手段)
31 フロート部材
32 永久磁石
33a,33b ホール素子
34 基板
41 ケース部材
41a 側壁
41b 周側壁
41g 溶着用突部
41h 段部
41j 被係止部
42 フィルム状部材
43 インク貯留空間
68 補強部材
68a 係止部
68b,68g 溶着用突部

Claims (7)

  1. キャリッジに搭載されて記録用紙の幅方向に往復移動される記録ヘッドと、前記記録ヘッドと共にキャリッジに搭載され、メインタンクからインク補給路を介してインクの補給を受けると共に、前記記録ヘッドにインクを供給するサブタンクとを備えたインクジェット式記録装置であって、
    前記サブタンクは、一側壁とこれに連なる周側壁とが一体に形成されたケース部材と、前記ケース部材における周側壁の開口部に熱溶着により密着状態に接合されて、内部にインク貯留空間を形成するフィルム状部材と、前記フィルム状部材のインク貯留空間側またはフィルム状部材の外側面に配置されてフィルム状部材のたわみを矯正し、前記フィルム状部材と共に水分蒸発を抑制する補強部材とにより構成され、且つ、前記インク貯留空間にはサブタンク内に貯留されたインクによって浮上するフロート部材が配置されると共に、前記フロート部材の浮上位置にしたがって電気的出力を発生する出力発生手段と、前記出力発生手段により得られる電気的出力によって、サブタンクに補給するインク量を制御する補給制御手段とが具備されてなるインクジェット式記録装置。
  2. 前記補強部材がフィルム状部材に対してインク貯留空間とは反対面に予め一体に接合され、前記フィルム状部材をケース部材における開口部に熱溶着により接合させてなる請求項1に記載のインクジェット式記録装置。
  3. 前記フィルム状部材の熱溶着部分を避けて、前記補強部材がフィルム状部材に予め一体に接合されてなる請求項2に記載のインクジェット式記録装置。
  4. 前記ケース部材における開口部の内周面に段部が形成され、前記段部に沿って補強部材を配置すると共に、前記フィルム状部材をケース部材における開口部および補強部材の外側面にそれぞれ熱溶着により接合させてなる請求項1に記載のインクジェット式記録装置。
  5. 前記ケース部材における開口部の内周面に段部が形成され、フィルム状部材に対してインク貯留空間側に予め一体に接合された前記補強部材を前記段部に沿って配置すると共に、前記フィルム状部材をケース部材における開口部に熱溶着により接合させてなる請求項1に記載のインクジェット式記録装置。
  6. 前記ケース部材における開口部の内周面に、補強部材の被係止部が形成され、補強部材を前記被係止部に係止させた状態で、フィルム状部材がケース部材の開口部および補強部材の外側面にそれぞれ熱溶着により接合させてなる請求項1に記載のインクジェット式記録装置。
  7. 前記ケース部材における開口部の内周面に、補強部材の被係止部が形成され、補強部材におけるインク貯留空間とは反対面にフィルム状部材が熱溶着によって接合されると共に、補強部材を前記被係止部に係止させた状態で、フィルム状部材をケース部材における開口部に熱溶着により接合させてなる請求項1に記載のインクジェット式記録装置。
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