JP2007245561A - 液体供給装置及び液体噴射装置 - Google Patents

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龍哉 瀬下
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Abstract

【課題】液体供給路を介した上流側から下流側への液体の供給状態を安定化しつつ、液体供給路内の液体中に含まれた気泡の成長を安価なコストで抑制することができる液体供給装置及び液体噴射装置を提供する。
【解決手段】上流側から下流側へインクを供給する液体供給路の途中に圧力室34を有し、該圧力室34の一部を封止フィルム22で形成すると共に、該封止フィルム22の外側には該封止フィルム22の外面との間に閉空間51を形成するキャップ状フィルム50を設け、キャップ状フィルム50を少なくとも水蒸気非透過性材料にて構成した。
【選択図】図5

Description

本発明は、液体供給装置及び液体噴射装置に関するものである。
従来から、記録ヘッド(液体噴射ヘッド)に形成されたノズルからターゲットに対してインク(液体)を噴射させる液体噴射装置として、インクジェット式プリンタ(以下、単に「プリンタ」という。)が広く知られている。こうしたプリンタのうち、主としてホームユーズとして利用されるプリンタの多くは、記録ヘッドにインクを供給するためのインクカートリッジ(液体収容体)が、記録ヘッドを搭載したキャリッジ上に着脱可能に装着できるような構成(オンキャリッジタイプ)が採用される。また、例えば業務用として用いられるプリンタの場合は、大容量のインクカートリッジをキャリッジとは離隔して配置し、前記インクカートリッジから可撓性のチューブ等からなる液体供給路を介して、キャリッジに搭載された記録ヘッドにインクを供給するような構成(オフキャリッジタイプ)が採用される。
これらのプリンタでは、インクカートリッジから記録ヘッドに至る液体供給路の途中に圧力室(液体貯留部)を有したサブタンクを備えている。このサブタンクにおける圧力室は、流路形成体と可撓性のフィルムとで構成されると共に、インクカートリッジ側(上流側)の液体供給路内に連通する流入口と記録ヘッド側(下流側)の液体供給路内に連通する流出口とを備え、その流入口には開閉弁が配置されている。そして、記録ヘッドからのインクの吐出による圧力室内のインクの減少に伴う負圧をフィルムで感知して、フィルムの変位により開閉弁が開閉され、記録ヘッドへのインクの供給圧力が調整されるようになっている(例えば特許文献1参照)。
ここで、インクカートリッジを交換した場合には、液体供給路の一端が開放されるため、液体供給路内のインクへの気泡の混入が避けられない。このような気泡は、液体供給路内においてインクを一時的に貯留するサブタンクの圧力室内に達することがある。圧力室内に気泡が存在すると、フィルムを介してサブタンクの外部の空間から圧力室内へと空気が移行して、気泡が成長することがある。このような気泡の成長は記録ヘッドへのインク供給の不安定化を招くおそれがあるため、気泡をできるだけ成長させないようにすることが望ましい。そこで、このような気泡成長の抑制策として、例えばインクを供給するチューブ(例えば特許文献2参照)において具体化されているような高いガスバリア性を有する素材で圧力室のフィルムを構成したり、そのフィルムを高いガスバリア性を有する素材を含む部材で覆ったりして、圧力室内へのガスの移行を抑制することが提案されている。
特開2005―186344号公報 特開2004―114488号公報
ところが、高いガスバリア性を有する素材は高弾性率のものが多く、ガスバリア素材で構成したフィルムは硬いものになって、圧力室内の負圧を感知して変位する際の応答性が低下する。このようにフィルムの応答性が低下すると、結局、記録ヘッドへのインク供給が不安定となって、印刷品質の低下を招くことになる。また、ガスバリア素材は一般に高価なため、ガスバリア素材を採用することにより製造コストの上昇を招くという問題もある。
この発明は、前記した技術的な課題に着目してなされたものである。その目的は、液体供給路を介した上流側から下流側への液体の供給状態を安定化しつつ、液体供給路内の液体中に含まれた気泡の成長を安価なコストで抑制することができる液体供給装置及び液体噴射装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の液体供給装置は、上流側から下流側へ液体を供給する液体供給路を有し、該液体供給路の少なくとも一部を第1フィルム部材で形成すると共に、該第1フィルム部材の外側には該第1フィルム部材の外面との間に閉空間を形成する第2フィルム部材を設け、該第2フィルム部材を少なくとも水蒸気非透過性材料にて構成した。
この構成によれば、閉空間内から第2フィルム部材を介して水蒸気が大気中に放出されることが抑制され、閉空間内が水蒸気の飽和した状態に維持される。このため、第1フィルム部材の内側の液体供給内を流れる液体中に気泡が存在したとしても、その第1フィルム部材を介した液体中の気泡内と閉空間内との間に水蒸気の分圧差が生じにくくなる。そして、この分圧差を駆動力とする第1フィルム部材を介した閉空間側から液体供給路内への酸素、窒素、二酸化炭素等のガスの移行が抑制される。これにより、第1フィルム素材には高弾性率で高価なガスバリア素材を用いることなく、液体供給路内を流れる液体中の気泡の成長を抑制することが可能となる。また、温度変化等により閉空間内の気体の圧力が変動したとしても、その圧力変動は第2フィルム部材が変形することにより吸収されるため、液体供給路を形成する第1フィルム部材が液体供給路を狭くする方向へ変形せず、液体を安定的に上流側から下流側へと供給することが可能となる。
本発明の液体供給装置は、前記液体供給路の途中に、定形性を有する流路形成体に対して前記第1フィルム部材を取着することにより前記液体を一時的に貯留可能な液体貯留部を形成し、該液体貯留部内の圧力変動に伴い前記第1フィルム部材が変位することにより前記液体貯留部内を介して前記液体が上流側から下流側へ流動するように構成した。
通常、液体供給路内を流動する液体中に気泡が存在する場合よりも、その液体供給路の途中の液体貯留部内に貯留された液体中に気泡が存在する場合の方が、その液体貯留部を形成する第1フィルム部材を介して外部から酸素、窒素、二酸化炭素等のガスが移行して気泡を成長させ易い。この点、上記の構成によれば、第1フィルム部材の外側に閉空間を形成する第2フィルム部材が少なくとも水蒸気非透過性材料にて構成されていることから、閉空間内を水蒸気の飽和した状態に維持して閉空間側から液体貯留部内への酸素、窒素、二酸化炭素等のガスの移行を良好に抑制することができる。
この構成によれば、第2フィルム部材を流路形成体に対して撓み状態で取着することにより、閉空間内の圧力が上昇した時には、第2フィルム部材が膨張変形することにより閉空間の体積の増大が許容される。一方、閉空間内の圧力が降下した時には、第2フィルム部材が収縮変形することにより閉空間の体積の収縮が許容される。これにより、温度変化等による閉空間内の圧力変動が、極めて簡単な構成であるにも拘わらず、より確実に吸収される。
本発明の液体供給装置において、前記流路形成体には、前記液体供給路の上流側と前記液体貯留部内とを連通する流入口と前記液体供給路の下流側と前記液体貯留部内とを連通する流出口が形成されると共に、前記流入口には、前記流出口を介した下流側への液体の流出に伴い前記液体貯留部内に発生する負圧に基づき前記第1フィルム部材が変位した場合に該第1フィルム部材の変位力に基づき開弁動作して前記流入口を開放する開閉弁が配置されている。
この構成によれば、第1フィルム部材が液体貯留部内に発生する負圧を感知して応答性よく変位することから、その第1フィルム部材の変位力に基づき開閉弁を確実に開弁動作させることにより、より円滑に液体を上流側から下流側へ供給することができる。
また、本発明の液体噴射装置は、液体を収容する液体収容体と、液体を噴射可能な液体噴射ヘッドと、該液体噴射ヘッドと前記液体収容体との間に介在して該液体収容体から液体供給路を介して前記液体噴射ヘッドに液体を供給する液体供給装置とを備え、該液体供給装置を上記構成の液体供給装置により構成した。
この構成によれば、液体供給装置内での気泡の成長が抑制され、液体収容体から液体噴射ヘッドへの液体の供給を安定化させることができ、ひいては液体噴射装置における液体の噴射性能が向上される。
(第1実施形態)
以下、本発明をバルブユニットが設けられたインクジェット式記録装置に具体化した第1実施形態について図1〜図7に従って説明する。
図1および図2に示すように、本実施形態における液体噴射装置としてのインクジェット式記録装置(以下、「記録装置」と略記することもある。))では、液体収容体としてのインクカートリッジ1が液体としてのインクの液体供給路を構成する可撓性のチューブ2を介して液体供給装置としてのバルブユニット3に接続されている。そして、インクカートリッジ1のインクは、バルブユニット3を介して液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド4に供給されるようになっている。
ここで、図1に示したインク供給システムは、空気加圧供給タイプを示している。すなわち、インクカートリッジ1は、気密状態に形成された外郭ケース7を有しており、この外郭ケース7内にインクを封入した可撓性材料によるインクパック1aが収納されている。そして、前記外郭ケース7とインクパック1aとの間に形成された空間部1bには、空気加圧ポンプ5により生成される加圧空気が導入される。これによりインクパック1aは加圧空気を受け、インクパック1a内に封入されたインクは、チューブ2を介してキャリッジ上のバルブユニット3に供給される。そして、バルブユニット3に供給されたインクは、記録ヘッド4に送られ、同記録ヘッド4から図示しないターゲットしての記録用紙に向けて吐出される。
一方、図2に示すインク供給システムは、水頭差によりカートリッジ1からインクを供給するタイプを示している。すなわち、インクカートリッジ1にはインクを封入した可撓性材料によるインクパック1aが収納されており、このインクカートリッジ1の導出部1cが、バルブユニット3に対して重力方向の上部に配置されている。これにより発生する水頭差に基づく正圧により、インクパック1a内のインクは、可撓性のチューブ2を介して、キャリッジ上に搭載されたバルブユニット3に供給される。
この発明にかかる以下に説明するインクジェット式記録装置は、前記したいずれのインク供給システムを利用することができる。図3は図1に示すインク供給システムを採用したインクジェット式記録装置の基本構成を示したものである。図3に示すように、キャリッジ11はキャリッジモータ12によって駆動されるタイミングベルト13を介し、走査ガイド部材14に案内されて紙送り部材15の長手方向、すなわち記録用紙の幅方向である主走査方向に沿って往復移動されるように構成されている。なお、キャリッジ11の紙送り部材15に対向する面には、インクジェット式記録ヘッド4(図4参照)が搭載されている。
また、キャリッジ11上には、記録ヘッド4にインクを供給するためのバルブユニット3B,3C,3M,3Y(なお、以下においては各バルブユニットを代表して、単に符号を3として示す場合もある)が搭載されている。このバルブユニット3B,3C,3M,3Yは、この実施の形態においては、その内部において各インクを一時的に貯留するために、それぞれのインク(例えばブラックインクBと、シアンC、マゼンタM、イエローYの各カラーインク)に対応して4個具備されている。
そして、このバルブユニット3B,3C,3M,3Yに対して、記録装置の本体側に配置されたカートリッジホルダ17に装着されたインクカートリッジ1B,1C,1M,1Yから各チューブ2を介して前記したブラックインクおよび各カラーインクが供給されるように構成されている。なお、以下においては、各インクカートリッジを代表して、単に符号を1として示す場合もある。
一方、前記キャリッジ11の移動経路上における非印字領域(ホームポジョン)には、記録ヘッド4のノズル形成面を封止することができるキャッピング手段18が配置されるとともに、このキャッピング手段18の上面には、前記記録ヘッド4のノズル形成面に密着して封止し得るゴム等の弾性材料により形成されたキャップ部材18aが配置されている。そして、キャリッジ11がホームポジョンに移動したときに、キャッピング手段18が記録ヘッド4側に移動(上昇)して、キャップ部材18aによって記録ヘッド4のノズル形成面を封止することができるように構成されている。
このキャップ部材18aは、記録装置の休止期間中において記録ヘッド4のノズル形成面を封止し、ノズル開口の乾燥を防止する蓋体として機能する。また、このキャップ部材18aの下底部には、吸引ポンプ(チューブポンプ)におけるチューブの一端が接続され、吸引ポンプによる負圧を記録ヘッド4に作用させて、記録ヘッド4からインクを吸引排出させるクリーニング動作を実行する機能も果たすようになされている。
一方、キャッピング手段18の印字領域側に隣接した位置には、ゴム等の弾性材料を短冊状に形成したワイピング部材19が配置されている。そして、ワイピング部材19は、必要に応じて記録ヘッド4の移動経路に水平方向に進出して、ノズル形成面を払拭して清掃することができるように構成されている。
また、空気加圧ポンプ5により加圧された空気は、カートリッジホルダ17に装着された状態において、各インクカートリッジ1B,1C,1M,1Yにおける外郭ケース7内に導入されるように構成されている。そして、その正圧により各インクカートリッジ1B,1C,1M,1Yからのインクを、前記した各チューブ2を介して、キャリッジ11に搭載された各バルブユニット3B,3C,3M,3Yに対して供給するように構成されている。
図4は、前記したバルブユニット3と、このバルブユニット3からインクの供給を受ける記録ヘッド4の構成を示したものである。図4に示すように、このバルブユニット3は、1つの記録ヘッド4から吐出されるインク色に対応してさらに複数のバルブユニット3が搭載されている。なお、図4では、内部の構成の理解を容易にするために、一端部に配置されたバルブユニット3において、その一側面に取着される第2フィルム部材としてのキャップ状フィルム50を離間させた状態で示している。
バルブユニット3の外郭は、偏平状に形成された合成樹脂製の流路形成体を構成するユニットケース20となっている。そのユニットケース20の上方には、チューブ2が接続される接続部21が形成されている。また、ユニットケース20の下方にはインク導出部24が形成され、このインク導出部24と記録ヘッド4のヘッド支持体26との間には、円環状の接続部材25が介在されている。そして、各インクカートリッジ1から供給されるインクは、接続部21を介してバルブユニット3内に導入され、接続部材25を介して記録ヘッド4へとそれぞれインクが供給されるように構成されている。
また、図5は、図4におけるバルブユニット3の1つについての5−5線での断面図で、図5(a)は開閉弁を構成する可動バルブ38の閉弁状態を、図5(b)は可動バルブ38の開弁状態を示している。
図5(a)及び図5(b)に示すように、バルブユニット3の一面側(同図では右面側)には、円筒状の凹部44が凹み形成されている。この凹部44の開口部を閉止するように、可撓性の第1フィルム部材としての封止フィルム22が熱溶着により貼着されて、液体貯留部としての圧力室34が構成されている。
封止フィルム22は、負圧状態を効率的に感知することができるように軟質であると共に、インク性状に化学的な影響を及ぼさないことが重要である。この封止フィルム22としては、例えばポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルム、塩化ビニリデン(サラン)をコーティングしたナイロンフィルム、ポリフェニレンエーテルフィルム、ポリブチレンフィルム等、またこれらの変性樹脂フィルム、これらのフィルムを積層した複合フィルム等が挙げられる。
また、圧力室34の一部を構成する前記封止フィルム22の中央部には、封止フィルム22に比較して硬質材料により形成された受圧板23が取り付けられている。この受圧板23は、印刷動作等によりキャリッジが動いた場合に、受圧板23自体の自重とキャリッジの加速度により封止フィルム22を動かして圧力室34内の圧力が変化しないように、軽量であることが必要である。そこで、受圧板23は、ポリエチレンやポリプロピレンといったプラスチック材料で形成することが望ましい。
この受圧板23は、封止フィルム22に対して熱溶着により、あらかじめ取り付けるようにしてもよく、また接着剤、あるいは両面接着テープ等により取り付けるようにしてもよい。この受圧板23は、図に示す実施の形態においては、円板状に形成されているが、特に円板状のものに限られることはない。しかしながら、バルブユニット3内に形成される圧力室34が、後述するようにごく薄い円筒状の空間を形成する場合においては、前記受圧板23として円板状のものを用い、受圧板23を圧力室34に対して同心円状に配置することが望ましい。
ユニットケース20の他面側(図5(a)(b)では左面側)には、そのほぼ中央部に小容積の円筒状空間をなすインク供給室32が形成されている。また、このユニットケース20の他面側には、溝状のインク導入路31が形成されている。このインク導入路31の一端は、チューブ2が接続される接続部21に連通され、他端は供給室32に連通されている。そして、インク供給室32およびインク導入路31を覆うように、フィルム部材37がユニットケース20に対して熱溶着されている。これにより、チューブ2から供給されるインクは、インク導入路31を介してユニットケース20のほぼ中央部に形成されたインク供給室32に供給されるように構成されている。
インク供給室32と圧力室34とは、両者を区画する隔壁35に形成された流入口としての支持孔36を介して連通されている。この支持孔36には、開閉弁を構成する可動バルブ38が摺動可能に支持されている。可動バルブ38は、板状部材38aと、この板状部材38aの中央部に一体に成形されて前記支持孔36内を摺動移動するロッド部材38bより構成されている。板状部材38aとフィルム部材37に支持されるバネ受け座33との間には、コイル状のシールバネ39が配置され、このシールバネ39の作用により、板状部材38aは前記隔壁35側に、僅かな押圧力をもって付勢されている。
一方、隔壁35には、支持孔36を囲むようにして円環状に形成されたゴム製のシール部材41が熱溶着などにより取り付けられている。したがって、可動バルブ38における板状部材38aは、シールバネ39の付勢力によりシール部材41に当接するようになされている。なお、シール部材41はOリング等でもよいが、エラストマー樹脂等をユニットケース20と2色成形により一体に形成してもよい。
隔壁35に形成された支持孔36には、支持孔36の周囲に沿って間欠的に切欠き孔42aを形成することで、インク供給室32から圧力室34に至るインク供給孔42を構成している。円環状に形成されたゴム製のシール部材41は、4つに別れた各インク供給孔42の外側を囲むようにして、前記隔壁35に設けられている。
圧力室34の重力方向の最下部には、圧力室34からインク導出管(図示略)を介して記録ヘッド4へと連通する溝状の流出口45が形成されている。この流出口45はユニットケース20に熱溶着された封止フィルム22によって、その開口部が覆われることで、管状に形成される。そして、圧力室34内のインクは、流出口45からインク導出管及びインク導出部24を通って、記録ヘッド4へと供給される。
ユニットケース20の封止フィルム22側の側面には、キャップ状フィルム50がそのユニットケース20の側面全体を覆うように取着されている。このキャップ状フィルム50は、水分非透過性材料のフィルムで構成され、所定の撓み状態でもって、換言するとピンと張られていない状態で、ユニットケース20に取着されている。そして、このキャップ状フィルム50と封止フィルム22との間に閉空間51が形成されている。
ここで、キャップ状フィルム50としては、例えばポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルム、塩化ビニリデン(サラン)をコーティングしたナイロンフィルム、ポリフェニレンエーテルフィルム、ポリブチレンフィルム等、またこれらの変性樹脂フィルム、これらのフィルムを積層した複合フィルム等が挙げられる。これらのフィルムは、必ずしも高いガスバリア性を有するものではないが、閉空間51とキャップ状フィルム50の外部の空間(大気)との間で、ガスの交換を十分抑制しうるものである。これにより、閉空間51内の水蒸気が外部の空間に放出されることが規制される。
次に、可動バルブ38の動作について説明する。
バルブユニット3には、図1または図2に示したインク供給システムを利用することで、正圧によりインクが供給される。この場合のインクの供給流速は、記録ヘッド4が印刷動作において消費するインク量を賄える以上の流速が確保できる程度になされていればよい。また、記録ヘッド4のクリーニング動作の実行時には、キャッピング手段18を利用して記録ヘッド4のノズル形成面を負圧に吸引するため、バルブユニット3に供給されるインクの流速はより増大される。
ここで、記録ヘッド4が非印刷状態、すなわちインクを消費しない状態においては、バルブユニット3におけるシールバネ39によるバネ荷重が、可動バルブ38における板状部材38aに加わっている。また、板状部材38aにはインク供給室32に供給されるインクの加圧力も加わる。これにより、板状部材38aは図5(a)に示されたように、シール部材41に当接して閉弁状態になされる。すなわち、バルブユニット3は自己封止の状態となる。
一方、記録ヘッド4が印刷状態となりインクが消費されると、圧力室34内のインクが記録ヘッド4へと供給され、圧力室34内のインクが減少することになる。このインクの減少に伴い封止フィルム22がユニットケース20に形成された凹部44側に所要の変位力でもつて変位し、封止フィルム22の中央部が可動バルブ38のロッド部材38bの端部に当接する。そして、記録ヘッド4においてさらにインクが消費されることにより、圧力室34内には負圧が発生する。この時、「負圧>バネ荷重+加圧力+変位力」の関係となった場合に、封止フィルム22がロッド部材38bを押圧し、これにより、板状部材38aによるシール部材41の当接が解かれ、図5(b)に示されるように、開弁状態になされる。
したがって、インク供給室32内におけるインクは、インク供給室32から圧力室34に至るインク供給孔42を介して圧力室34内に供給され、圧力室34内へのインクの流入により圧力室34内の負圧は解消される。これに伴い、可動バルブ38が移動して図5(a)に示されるように再び閉弁状態になされ、インク供給室32から圧力室34へのインクの供給は停止される。
なお、可動バルブ38の開閉動作は、図5(a)および図5(b)に示す状態が、反復繰り返されるような極端な動作は必ずしもなされない。現実には、印刷動作中において、封止フィルム22が可動バルブ38のロッド部材38bの端部に当接した均衡状態を保ち、インクの消費にしたがって僅かに開弁しつつ、圧力室34に対してインクを逐次補給するように作用する。
なお、前記受圧板23は、封止フィルム22の変位作用を受圧板23の全面積において受けることができる。したがって、封止フィルム22の変位作用を確実に可動バルブ38に伝達させることができ、可動バルブ38による開閉作用の信頼性を向上させることができる。
次に、圧力室34内での気泡の成長メカニズムについて説明する。図6は、従来のバルブユニットと、本実施形態のバルブユニット3とをモデルとして、気泡成長の加速試験を行った結果である。この実験では、それぞれのバルブユニットとして、次のモデルを採用した。まず、従来のバルブユニットのモデル(図6の通常1及び通常2)としては、封止フィルム22と同じ素材のチューブ内に、気泡が存在するように水を入れ、両端を封止したサンプル(通常サンプル)を使用した。本実施形態のバルブユニット3のモデル(図6の飽和1及び飽和2)としては、同様のサンプルを小さな大気連通孔を有すると共に、内部に水を入れた密封容器内に収容したサンプル(飽和サンプル)を採用した。そして、両サンプルを、60℃、乾燥雰囲気の恒温槽内に放置して、気泡の長さの経時変化を測定した。すると、図6に示すように、通常サンプルでは、時間が経つにつれて気泡の長さが著しく増大していった。これに対して、飽和サンプルは、気泡の長さにほとんど変化は認められなかった。
この気泡の成長メカニズムを示したのが、図7である。図7(a)は、圧力室34内のインクに気泡核が存在しない状態を示している。この状態では、封止フィルム22を通して、酸素、窒素、二酸化炭素等のガスは、インク内へと入っていくが、インクがガスの飽和状態になれば、ガスの流入は止まり、気泡の成長プロセスは発生しない。
これに対して、圧力室34内に気泡核52が存在する状態での通常サンプルに相当する図7(b)では、気泡核52内は水蒸気が飽和した状態となるので、気泡核52内の水蒸気圧は飽和水蒸気圧となり、例えば5kPa程度となる。1気圧の大気条件下では、気泡核52内におけるガスの分圧は95kPaとなる。この時、封止フィルム22の外側の空間(大気)の水蒸気圧は、必ず飽和水蒸気圧よりも低くなる。外側の空間の水蒸気圧を仮に2kPaであるとすると、大気中のガスの分圧は98kPaとなる。このため、圧力室34の内外で、ガスの分圧差が生じ、この分圧差を駆動力としてガスが高圧側から低圧側へと封止フィルム22を通して移行することになる。これにより、圧力室34内の気泡が成長して大きくなる。気泡の回りは水で満たされているため、気泡が大きくなっても、気泡内は直ちに水蒸気の飽和状態となる。つまり、気泡が大きくなっても、圧力室34の内外でのガスの分圧差は縮まらず、気泡はますます大きく成長していくことになる。
一方、圧力室34内に気泡核52が存在する状態での飽和サンプルに相当する図7(c)では、封止フィルム22の外側に水蒸気が外部に放出されることなく保持される閉空間51が存在するため、その閉空間51内も水蒸気が飽和した状態となる。このため、圧力室34の気泡核52内と閉空間51内とでガスの分圧差が生じず、閉空間51から圧力室34へのガスの移行は生じない。これにより、圧力室34内での気泡の成長は抑制される。
以上のように構成された本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)バルブユニット3では、封止フィルム22の外側に、閉空間51を区画するキャップ状フィルム50が設けられている。そして、そのキャップ状フィルム50は、所定の撓み状態でもってユニットケース20に取着され、閉空間51内の気体の圧力変動を許容するようになっている。また、キャップ状フィルム50により、閉空間51とその外部の空間(大気)とのガス交換が抑制されるようになっている。
このため、閉空間51内から水蒸気が外部の空間に放出されることが抑制され、閉空間51内が水蒸気の飽和した状態に維持される。これにより、圧力室34のインク内に気泡核が存在したとしても、封止フィルム22を介した気泡核内と閉空間51内とに水蒸気の分圧差が生じず、封止フィルム22を介した閉空間51から圧力室34内への酸素、窒素、二酸化炭素等のガスの移行が抑制される。従って、封止フィルム22には、高弾性率で高価なガスバリア素材を用いることなく、柔軟性に富んで安価なポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルム等を使用することができて、封止フィルム22の良好な応答性を確保しつつ、圧力室34内における気泡の成長を抑制することができ、ひいては記録装置を安価に製造することできる。
また、温度変化等で閉空間51内の気体の圧力が上昇した時には、キャップ状フィルム50が膨張変形することにより、閉空間51の体積の増大が許容される。一方、閉空間51内の圧力が降下した時には、キャップ状フィルム50が収縮変形することにより、閉空間51の体積の収縮が許容される。従って、温度変化等による閉空間51内の圧力変動を、極めて簡単な構成であるにも拘わらず、より確実に吸収することができて、インクを供給する際に封止フィルム22における所望の変位を確保することができる。これにより、インクを安定的に記録ヘッド4へと供給することができ、印刷品質の向上を図ることができる。
(2)このバルブユニット3では、キャップ状フィルム50が水蒸気非透過性材料で構成されている。このため、キャップ状フィルム50を通した外部の空間への水蒸気の放出が抑制され、閉空間51内を水蒸気が飽和した状態に一層確実に保持することができる。また、キャップ状フィルム50を少なくとも水蒸気非透過性を有する素材で形成すればよく、そのキャップ状フィルム50を例えばポリエチレン、ポリプロピレン等の比較的安価な素材で形成することができるため、この点でも記録装置の製造コストを低く抑えることができる。
(3)このバルブユニット3では、閉空間51を、所定の撓み状態で、封止フィルム22の外面を覆うように取着されるキャップ状フィルムで形成している。このため、極めて簡単な構成で、(1)及び(2)の効果が発揮される。
(4)このバルブユニット3では、ユニットケース20は、チューブ2を介してもたらされるインクを圧力室34に供給する可動バルブ38と、記録ヘッド4でのインク消費によって圧力室34内のインクが減少したことに伴う負圧を感知して可動バルブ38を開弁させる封止フィルム22とを備えている。このため、封止フィルム22で、圧力室34内に発生する負圧をより確実に感知させることができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を図8〜図13に従って説明する。
本実施形態のバルブユニット3は、前記第1実施形態とは異なった構成となっている。前記第1実施形態のバルブユニット3では、インクカートリッジ1の各色毎に独立したバルブユニット3が複数配列されたものとなっていた。これに対して、この第2実施形態のバルブユニット3は、1つのバルブユニット3内に、負圧発生装置61が複数設けられている。そして、バルブユニット3の各負圧発生装置61毎に各色のインクが供給されるようになっている。
図8及び図9に示すように、このバルブユニット3は、それぞれ薄板状に形成された、流路形成体としての圧力室部品62と第1の流路部品63と第2の流路部品64と保護板65とが積層されて形成されている。
図9に示すように、圧力室部品62には、その一面(図9において上面)に、チューブ2が接続されるチューブ接続口66及び流出口67に連通する複数の平面略長方形状の溝状通路68が凹み形成されている。
圧力室部品62の溝状通路68が形成された面とは反対側の面(図9において下面)には第1の流路部品63が接合され、その第1の流路部品63の下面に第2の流路部品64が接合されている。これら圧力室部品62と第1の流路部品63と第2の流路部品64との内部に、チューブ接続口66に連通する入口側流路69と、流出口67及び液体噴射ヘッドとしての記録ヘッドユニット70に連通する出口側流路71が形成されている。この入口側流路69及び出口側流路71の途中には、フィルタ72が設けられている。また、圧力室部品62と第1の流路部品63と第2の流路部品64との内部には、入口側流路69に連通し、かつ可動バルブ38及びシールバネ39を収容する収容孔73と、収容孔73と溝状通路68と連通する支持孔(流入口)36とが形成されている。そして、可動バルブ38の板状部材38aには、シール部材41が嵌着され、シールバネ39の付勢力によって支持孔36の回りの隔壁35に当接するようになっている。
作動レバー74は、溝状通路68内にあって一端側を圧力室部品62に支持された片持ち梁であり、可動バルブ38のロッド部材38bの一端が作動レバー74の重心よりも一端側に寄った位置で作動レバー74から作動力を受けるように配置されている。作動レバー74の一端側は、作動レバー74自体を支える程度の剛性があれば良い。また、作動レバー74の一端以外の部分である押圧部74aは、可動バルブ38を押すための部位であるので、なるべく剛性が高い方が良い。そのため、作動レバー74は、例えば1枚の金属薄板で構成し、押圧部74aのみを断面コの字状に折り曲げ加工することにより、剛性が一端側で低く、押圧部74aで高くなるように設定されている。
封止フィルム22は、溝状通路68の開口部を密封するように圧力室部品62の表面となる前記一面(図9では上面)に熱融着されている。これにより、圧力室部品62の溝状通路68と封止フィルム22との間に圧力室34が形成されている。
このバルブユニット3では、圧力室34内のインクが記録ヘッド4のノズルからの噴射に伴って記録ヘッド4側に吸引され、圧力室34内が所定の圧力より低くなると(つまり、負圧になると)、封止フィルム22が圧力室34の内方へ弾性変形し、一端側が支持された作動レバー74を図9の下方へ押圧する。これにより、作動レバー74は、封止フィルム22の弾性変形に伴う押圧力を倍力した作動力により、閉弁位置にある可動バルブ38のロッド部材38bを開弁位置側へ変位させる。そして、可動バルブ38のシール部材41と隔壁35が離間され、可動バルブ38は開弁状態となり、入口側流路69及び収容孔73を介して圧力室34内へインクが供給される。
圧力室34内のインクが増加するのに伴い圧力室34内の圧力が所定の圧力に達すると、封止フィルム22が弾性変形した形態から元の形態に戻るので、可動バルブ38への作動レバー74による作動力が消失し、可動バルブ38のロッド部材38bがシールバネ39の付勢力により開弁位置から閉弁位置へ変位する。これにより、可動バルブ38のシール部材41が隔壁35に押圧され、可動バルブ38は閉弁状態に戻り、入口側流路69側から圧力室34内へのインクの供給が遮断される。
図9、図11及び図12に示すように、圧力室部品62の前記一面(図9では上面)には、封止フィルム22の外面を覆うように保護板65が接合されている。保護板65には、圧力室部品62の溝状通路68に対応するように溝状凹部75が凹み形成されている。そして、保護板65が圧力室部品62に接合された状態では、溝状凹部75と封止フィルム22とにより空間76が区画される。この保護板65の溝状凹部75の底部には、小径の貫通孔77が形成されている。
図10及び図12に示すように、この貫通孔77に連通して保護板65の表面には蛇行状に形成された一連の溝部78が形成されている。そして、溝部78の端部は、保護板65に形成された有底孔79に連通されている。また、保護板65の表面に形成された貫通孔77、蛇行状に形成された一連の溝部78、ならびに有底孔79は、一枚の高いガスバリア性を有するバリアフィルム80により覆われている。このバリアフィルム80としては、例えばアルミニウムやシリカが蒸着されたまたは塩化ビニリデンがコーティングされたポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド等のフィルム、あるいはこれらのフィルム、その変性物フィルムを積層した複合フィルム等が挙げられる。この場合、好ましくは、バリアフィルム80は、熱溶着手段により保護板65に対して貼着される。そして、有底孔79を覆うバリアフィルム80を鋭利な工具等で破壊することで、大気開放口が形成される。
すなわち、バルブユニット3における圧力室34の一部を構成する封止フィルム22は、保護板65によって気密状態に覆われ、保護板65に形成された貫通孔77、および蛇行状の溝部78をバリアフィルム80により覆うことにより形成された空気流通路(すなわち、溝部78)を介して大気開放口(すなわち、有底孔59)に連通された構成となる。
この構成によると、圧力室34の圧力変化により封止フィルム22が変位した場合においては、保護板65の貫通孔77、空気流通路(溝部78)、および大気開放口(有底孔79)を介して空間76が大気に連通されるため、封止フィルム22の変位を妨げるという問題は発生しない。また、圧力室34の一部を構成する封止フィルム22からの水分蒸発は、長大な空気流通路(溝部78)を介するために効果的に抑制させることができる。
また、この第2実施形態では、記録ヘッドユニット70内に第2フィルム部材としての水蒸気保護フィルム85が取着されている。図8及び図9に示すように、バルブユニット3の下面には、記録ヘッドユニット70が接合されている。図13に示すように、記録ヘッドユニット70の外郭は、四角筒状のユニットケース86となっている。このユニットケース86の下方側(図13では下方側)の開口部87に流路形成体としての枠体88が嵌着されている。この枠体88には、その一面(図13では下面)の開口部を塞ぐようにノズル89が形成された流路形成体としてのノズル形成板90が接合されている。また、枠体88のもう一面(図13では上面)の開口部には、第1フィルム部材としての振動板91が接合されている。この振動板91は、第1実施形態の封止フィルム22と同様のフィルム素材で形成されている。そして、枠体88とノズル形成板90と振動板91とにより、液体貯留部としてのインクリザーバ部92が区画形成されている。
振動板91の上面(図13では上面)には、駆動体としてのピエゾ素子93が接合されている。インクリザーバ部92は、バルブユニット3の出口側流路71に連通され、バルブユニット3の圧力室34からインクが補充されるようになっている。ここで、ピエゾ素子93は、記録装置が有する中央制御装置(図示略)からの指令に基づいて伸縮し、振動板91を振動させる。振動板91が振動されると、インクリザーバ部92内のインクがノズル89を介して、ターゲットに向かって吐出される。そして、ノズル89でのインク吐出量に応じて、バルブユニット3の圧力室34からインクが補充されるようになっている。
このユニットケース86の内周面の中央付近には、水蒸気保護フィルム85を貼付するための段部94が形成されている。そして、この段部94に水蒸気保護フィルム85を、所定の撓み状態で貼付することにより、振動板91と水蒸気保護フィルム85との間に閉空間51が形成されるようになっている。この水蒸気保護フィルム85は、第1実施形態のキャップ状フィルム50と同様の水蒸気非透過性のフィルム素材で形成されている。
以上にように構成された第2実施形態の記録ヘッドユニット70においても、前記第1の実施形態と同様の効果が奏されることに加えて、以下の効果が奏される。
(5)この記録ヘッドユニット70では、振動板91を変位させてインクをノズル89からターゲットに向かって吐出させるピエゾ素子93が設けられている。この構成によれば、振動板91にガスバリア素材を使用することなく、インクリザーバ部92内における気泡の成長を抑制することができる。従って、振動板91の振動によるインクの供給を安定化させることができる。また、振動板91に柔軟性に富む素材で形成することができ、振動板91の変位が確実かつ迅速にインクに伝達され、ノズル89を介したターゲットへのインクの吐出を応答性よく、確実に行うことができる。そして、記録装置の印刷性能を高く維持することができる。
(変更例)
なお、上記各実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記第1実施形態において、受圧板23を封止フィルム22の外側に設ける代わりに、内側(ユニットケース20側)に設けてもよい。
・上記各実施形態のキャップ状フィルム50及び水蒸気保護フィルム85を、高密度ポリエチレンまたはポリプロピレンに、シリカ(SiOx)蒸着を施したPETを張り合わせたものとしてもよい。または、シリカ蒸着又はアルミナ蒸着を施したPS(ポリスチレン)を高密度ポリエチレンまたはポリプロピレンに張り合わせたものを使用してもよい。これらのキャップ状フィルム50及び水蒸気保護フィルム85は、それほど柔軟性は必要としないため、少なくとも水蒸気非透過性を有する限り、ガスバリア素材で構成してもよい。
・第1フィルム部材からなるチューブを内側チューブとし、その内側チューブの外側に第2フィルム部材からなる外側チューブを所定の撓み状態でもって内側チューブとの間に閉空間を形成するように取着した二重チューブに具体化してもよい。
・上記各実施形態においては、液体噴射装置として、インクを吐出するプリンタ(ファクス、コピア等を含む印刷装置)について説明したが、他の液体を噴射する液体噴射装置であってもよい。例えば、液晶ディスプレイ、ELディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材などの液体を噴射する液体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとしての試料噴射装置であってもよい。
この発明の利用に好適な第1のインク供給システムを示した模式図。 同じく第2のインク供給システムを示した模式図。 第1実施形態の記録装置の全体構成を示す平面図。 バルブユニットと記録ヘッドとを示す斜視図。 可動バルブが、(a)は閉弁状態、(b)は開弁状態である場合を示す図4の5−5線断面図。 圧力室内の気泡成長に関する加速試験のグラフ。 (a)は圧力室内に気泡核が存在しない状態、(b)は圧力室内に気泡核が存在する状態での通常サンプル、(c)は圧力室内に気泡核が存在する状態での飽和サンプルにおけるガス移動に関する説明図。 第2実施形態におけるバルブユニットを示す斜視図。 図8の9−9線断面図。 図8の保護板を中心に示す表面側から見た分解斜視図。 図8の保護板を中心に示す裏面側から見た分解斜視図。 図10の12−12線断面図。 図8の記録ヘッドユニットを示す断面図。
符号の説明
1,1B,1C,1M,1Y…液体収容体としてのインクカートリッジ、2…液体供給路を構成するチューブ、3…液体供給装置としてのバルブユニット、4…液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド、20…流路形成体を構成するユニットケース、22…第1フィルム部材としての封止フィルム、34…液体貯留部としての圧力室、36…流入口としての支持孔、38…開閉弁としての可動バルブ、45,67…流出口、50…第2フィルム部材としてのキャップ状フィルム、51…閉空間、70…液体噴射ヘッドとしての記録ヘッドユニット、85…第2フィルム部材としての水蒸気保護フィルム、88…流路形成体を構成する枠体、90…流路形成体を構成するノズル形成板、91…第1フィルム部材としての振動板、92…液体貯留部としてのインクリザーバ部。

Claims (5)

  1. 上流側から下流側へ液体を供給する液体供給路を有し、該液体供給路の少なくとも一部を第1フィルム部材で形成すると共に、該第1フィルム部材の外側には該第1フィルム部材の外面との間に閉空間を形成する第2フィルム部材を設け、該第2フィルム部材を少なくとも水蒸気非透過性材料にて構成したことを特徴とする液体供給装置。
  2. 前記液体供給路の途中に、定形性を有する流路形成体に対して前記第1フィルム部材を取着することにより前記液体を一時的に貯留可能な液体貯留部を形成し、該液体貯留部内の圧力変動に伴い前記第1フィルム部材が変位することにより前記液体貯留部内を介して前記液体が上流側から下流側へ流動するように構成したことを特徴とする請求項1に記載の液体供給装置。
  3. 前記第2フィルム部材は、前記閉空間を形成する部分が撓んだ状態で前記第1フィルム部材の外面を覆うように前記流路形成体に取着されていることを特徴とする請求項2に記載の液体供給装置。
  4. 前記流路形成体には、前記液体供給路の上流側と前記液体貯留部内とを連通する流入口と前記液体供給路の下流側と前記液体貯留部内とを連通する流出口が形成されると共に、前記流入口には、前記流出口を介した下流側への液体の流出に伴い前記液体貯留部内に発生する負圧に基づき前記第1フィルム部材が変位した場合に該第1フィルム部材の変位力に基づき開弁動作して前記流入口を開放する開閉弁が配置されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の液体供給装置。
  5. 液体を収容する液体収容体と、液体を噴射可能な液体噴射ヘッドと、該液体噴射ヘッドと前記液体収容体との間に介在して該液体収容体から液体供給路を介して前記液体噴射ヘッドに液体を供給する液体供給装置とを備え、
    該液体供給装置を請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の液体供給装置により構成したことを特徴とする液体噴射装置。
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