JP3722080B2 - 車両のエアバッグ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は車両のエアバッグ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車室前部に配置されたインストルメントパネルの後方には、通常、運転席用シートの他に、運転席用シートの側方において助手席用シートが配置される。そして、運転席用シートと助手席用シートの後方の車室内には、後席用シートが配置される場合も多い。そして、シート、特に運転席用シートは勿論のこと、助手席用シートも、スライド機構によって前後方向に移動可能とされて、規制手段によって所望の前後位置でもって規制(ロック)できるようになっているのが一般的である。
【0003】
助手席用シートを使用しない場合、つまり助手席用シートに乗員が着座する必要のない場合も多々生じる。このように助手席用シートを使用しない場合に、助手席用シート後方の車室内空間を極力有効に利用できるように、助手席用シートを、乗員が着座される通常の使用範囲よりも大きく前方へ移動させた格納位置とすることが提案されている(例えば特開2000−238560号公報参照)。
【0004】
一方、インストルメントパネル内には、特に助手席用シートに着座している乗員の保護用として、前方衝突時に作動されるエアバッグ装置を装備することが一般化されている。このエアバッグ装置は、ガス圧発生用のインフレータと、インフレータで発生されたガス圧を受けて車室内に膨張、展開される袋状のエアバッグ本体とを有して、膨張、展開されたエアバッグ本体によって乗員を拘束するようになっている。そして、乗員のマニュアル操作によって、エアバッグ装置を作動させるか否かを任意に選択できるようにすることも提案されている(特開2000−272466号公報参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように、シート例えば助手席用シートを通常の使用範囲よりも大きく前方へ移動させて格納位置をとり得るようにした場合、格納位置にあるシートの後方空間および上方空間をより十分に拡大するために、本出願人は、次のような構造のシート装置を開発した。すなわち、インストルメントパネルに少なくとも上方に向けて開口される凹部を形成して、格納位置にあるシートのシートバックを前方へ傾倒させたときに、シートの上端部つまり少なくともシートバックあるいはヘッドレストの一部が上記凹部内に収納される格納状態をとり得るようにしたものを開発した。
【0006】
上述のように、格納位置にあるシートの上端部をインストルメントパネルに形成した凹部内に収納するようにした構造の場合においても、このシートが通常の着座使用位置にあるときの乗員保護用として、インストルメントパネル内にエアバッグ装置を装備することが要求される。しかしながら、シートが通常の着座使用位置にあるときを想定して衝突時にはエアバッグ装置を常に作動させるように設定した場合は、シートが格納状態とされている場合にあっては、膨張、展開されるエアバッグ本体が格納状態にあるシートに対して衝突して、シートを破損させてしまう等の好ましくない事態が考えられる。勿論、格納状態にあるシートに対しては乗員が着座していないので、このようなときにエアバッグ装置を作動させてしまうことは、エアバッグ本体の無駄な膨張、展開ともなる。特に、エアバッグ装置は、1回作動させると交換を要するのが通常なので、無駄な作動というものは極力避ける必要がある。
【0007】
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その目的は、シートを格納状態としてその一部をインストルメントパネルに形成した凹部内に収納するようにした場合に、エアバッグ装置による乗員保護と、エアバッグ装置の不必要な作動防止とを共に満足できるようにして車両のエアバッグ装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明はその解決手法として次のようにしてある。すなわち、特許請求の範囲における請求項1に記載のように、
車室内前部に設けられたインストルメントパネルの後方にシートが設けられ、該インストルメントパネル内には、ガス圧発生用のインフレータとガス圧を受けて車室内に膨張、展開されるエアバッグ本体とを有するエアバッグ装置が装備された車両のエアバッグ装置において、
前記シートは、シートクッションと、該シートクッションの後端部に前後方向に揺動可能に連結されたシートバックと、該シートバックの上端部に設けられたヘッドレストとを有し、
前記シートは、スライド機構によって車体に対して前後方向に移動可能とされており、
前記インストルメントパネルには少なくとも上方へ向けて開口された凹部が形成され、
前記シートは、所定位置まで前方へ移動されると共に前記シートバックを前方へ傾倒させた所定状態のときに、少なくとも該シートバックあるいは前記ヘッドレストの一部が前記凹部に収納される格納状態をとり得るようにされ、
前記シートが前記格納状態のときに、前記エアバッグ装置の作動が禁止されるように設定されている、
ようにしてある。これにより、シートが格納状態のときは、エアバッグ装置の作動が禁止されて、エアバッグ装置の不必要な作動防止や、膨張、展開されるエアバッグ本体によるシートの破損が防止されることになる。勿論、シートが通常の着座使用範囲にあるときは、エアバッグ装置を作動させて乗員の保護を図ることができる。
【0009】
上記解決手法を前提として、次のような解決手法を合わせて採択することができる。すなわち、
前記インフレータの作動を制御するコントローラと、
前記シートが前記格納状態であるか否かを判定する判定手段と、
を備えて、前記判定手段によって前記シートが前記格納状態であると判定されたときに、前記コントローラによって前記インフレータが作動しないように制御される、
ようにすることができる(請求項2対応)。この場合、シートが格納状態にあるか否かを判定する判定手段を別途有するので、格納状態にあるか否かを種々の要因を適宜利用して判断することが可能となる。
【0010】
前記シートが前記格納状態のときは、該シートの上端が前記インストルメントパネルの上面とほぼ同一高さとされる、ようにすることができる(請求項3対応)。この場合、格納状態にあるシートの上方空間を十分に拡大することができ、また格納状態にあるときの見栄え向上の上で好ましいものとなる。
【0011】
前記判定手段は、前記シートバックが所定以上前方へ傾倒されたときに前記格納状態であると判定するように設定されている、ようにすることができる(請求項4対応)。この場合、シートバックの前方への傾倒を検出するという極めて簡単な手法によって、格納状態であるか否かを判定することができる。なお、シートが実際には格納状態になくとも、シートバックが前方へ傾倒されているということは、シートに乗員が着座していないことになるので、エアバッグ装置を作動させないようにしても、乗員の保護の上で問題とならないものである。
【0012】
前記判定手段は、前記シートクッションが所定以上前方へ移動されたときに前記格納状態であると判定するように設定されている、ようにすることができる(請求項5対応)。この場合、シートクッションが所定以上前方へ移動されていること検出するという極めて簡単な手法によって、格納状態であるか否かを判定することができる。なお、シートが実際には格納状態になくとも、シートクッションが所定以上前方へ移動されているということは、シートに乗員が着座していないことになるので、エアバッグ装置を作動させないようにしても、乗員の保護の上で問題とならないものである。
【0013】
前記シートバックが所定以上前方へ傾倒されたことを検出する第1検出手段と、前記シートクッションが所定以上前方に位置することを検出する第2検出手段と、を備え、
前記判定手段は、前記第1検出手段によって前記シートバックが所定以上前方へ傾倒していることが検出され、かつ前記第2検出手段によって前記シートクッションが所定以上前方に位置していることが検出されたときに、前記格納状態であると判定するように設定されている、
ようにすることができる(請求項6対応)。この場合、シートが格納状態にあることをより精度よく判定することができる。勿論、シートバックが前方へ傾倒され、しかもシートクッションが所定以上前方へ移動されているということは、シートに乗員が着座していないことになるので、エアバッグ装置を作動させないようにしても、乗員の保護の上で問題とならないものである。
【0014】
前記シートは、その前後方向移動範囲として、乗員が通常着座して使用される着座保証範囲と、該着座保証範囲よりも前方へ位置されて前記格納状態とされる格納位置とをとり得るようにされており、
前記判定手段は、前記シートが前記着座保証範囲よりも前方へ位置していることが検出されたときに、前記格納状態であると判定するように設定されている、ようにすることができる(請求項7対応)。この場合、シートが着座保証範囲よりも前方へ位置していることを検出するという簡単な手法により、格納状態であるか否かを判定することができる。なお、シートが実際には格納状態になくとも、シートが着座保証範囲を越えて前方に位置しているということは、シートに乗員が着座していないことになるので、エアバッグ装置を作動させないようにしても、乗員の保護の上で問題とならないものである。
【0015】
前記格納状態にある前記シートによって押圧されて作動される押圧スイッチを備え、
前記判定手段は、前記押圧スイッチが作動されたときに前記格納状態であると判定するように設定成されている、
ようにすることができる(請求項8対応)。この場合、シートが格納状態にあるか否かを、簡単に検出つまり判定することができる。
【0016】
前記押圧スイッチが、前記凹部内に配設されて、前記格納状態にある前記シートの上端部によって押圧される、ようにすることができる(請求項9対応)。この場合、シートが格納状態にあるか否かを簡単かつ正確に検出つまり判定することができる。
【0017】
前記押圧スイッチが、前記インストルメントパネルの下方に配設されて、前記格納状態にある前記シートのシートクッションによって押圧される、ようにすることができる(請求項10対応)。この場合、シートが格納状態にあるか否かを簡単に検出つまり判定することができる。
【0018】
前記シートが助手席用シートとされている、ようにすることができる(請求項11対応)。この場合、助手席用シートを格納状態にしてその後方空間および上方空間を大きく拡大することができる。また、助手席用シートの後方に後席を有する場合は、助手席用シート後方の拡大された空間を、後席の乗員用として有効に利用することが可能となる。
【0019】
【発明の効果】
本発明によれば、エアバッグ装置によって衝突時の乗員の保護を図りつつ、シートを格納状態としてその後方空間および上方空間を拡大したときにおけるエアバッグ装置の不必要な作動を防止することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1〜図3において、1はインストルメントパネルであり、車室2の前部に配設されて車幅方向に長く伸びている。車室2内には、インストルメントパネル1の後方において、前席としての運転席用シート3(図2参照)および助手席用シート4が互いに車幅方向に間隔をあけて配設されている。車室2内にはさらに、前席としての上記各シート3,4の後方において、後席用シート5が配設されている。後席用シート5は、例えば車幅方向ほぼ全長に渡って伸びるベンチ式とされている。
【0021】
実施形態では、助手席用シート4が、後述する格納位置をとり得るようにされたシートとされており、以下この助手席用シート4について説明する。まず、助手席用シート4は、既知のように、シートクッション10と、シートクッション10の後端部に連結されたシートバック11と、シートバック11の上端部に連結されたヘッドレスト12とを有する。シートバック11は、シートクッション10に対して前後方向に揺動可能に連結されて、起立位置から少なくとも前方へ向けて傾倒できるようになっている。
【0022】
助手席用シート4は、前後方向に移動可能とされている。すなわち、フロアパネル6には、前後方向に長く伸びるスライドレール13が固定されて、シートクッション10の下面に固定された支持台14の下部が、スライドレール13に対して前後方向にスライド可能に係合されている。このスライドレール13と支持台14とが、スライド機構を構成する。
【0023】
図1において、助手席用シート4は、その前後方向移動範囲として、着座して使用することが許容される範囲となる着座保証範囲と、着座保証範囲よりも大きく前方へ移動された格納位置とをとり得るようになっている。着座保証範囲のうちもっとも後方に位置された助手席用シート4が二点鎖線で示され、このときの基準ヒップポイントが符号HP1で示されると共に、シートバック11の揺動支点が符号α1で示される。着座保証範囲のうちもっとも前方に位置された助手席用シート4が波線で示され、このときの基準ヒップポイントが符号HP2で示されると共に、シートバック11の揺動支点が符号α2で示される。また、格納位置にある助手席用シート4が実線で示され、このときの基準ヒップポイントが符号HP3で示されると共に、シートバック11の揺動支点が符号α3で示される。
【0024】
助手席用シート4用のシートベルト(実施形態では3点式)を車体側に固定するアンカのうち、助手席用シート4の側方下部に位置されるアンカ(通常は左右一対設けられる)が符号15で示される。このアンカ15は、助手席用シート4に着座される乗員の腰部付近を押さえる腰ベルト部分の各端部を保持するものとなる。
【0025】
着座保証範囲について説明すると、基本的には、助手席用シート4に着座している乗員に対して、上記腰ベルト部が後方および下方という両方向において乗員を拘束できるような範囲とされる。換言すれば、後方への拘束が過度になったり(下方への拘束が不足する場合)や、下方への拘束が過度になったり(後方への拘束が不足する場合)することがない範囲とされる。
【0026】
着座保証範囲についてより具体的に説明すると、各基準ヒップポイントHP1、HP2、HP3とアンカ15の車体への取付部とを結ぶ仮想線β1、β2、β3を想定する。各仮想線β1、β2、β3がフロアパネル6(水平面)に対してなす傾斜角度をそれぞれθ1、θ2、θ3とする。着座保証範囲は、上記傾斜角度θ1とθ2とが所定角度範囲(例えば25度〜70度)となるように設定される。しかしながら、助手席用シート4が着座保証範囲よりも大きく前方へ移動された格納位置にあるときの傾斜角度θ3は、上記所定角度範囲から外れた状態となる。
なお、格納位置にあるときの助手席用シート4は、実施形態では、そのシートクッション10の少なくとも前端部がインストルメントパネル1の下方にもぐり込んだ状態とされるが、シートクッション10がより深く(より前方へ)移動された状態とすることもでき、また実施形態の場合よりも後方に位置された状態とすることもできる。
【0027】
図1〜図5において、インストルメントパネル1のうち、助手席用シート4の前方に相当する部分には、凹部21が形成されている。この凹部21は、インストルメントパネル1の上面に向けて開口されると共に車室後方に向けても開口されている。このような凹部21の大きさつまり形状は、助手席用シート4のヘッドレスト12の大きさつまり形状に対応していて、ヘッドレスト12よりも若干大きく形成されている。
【0028】
図2、図3に特に示すように、インストルメントパネル1には、ステアリングハンドル22、シフトノブ23が保持される他、車幅方向略中間部において、オーディオ等の操作部24、空調操作部25が装備されている。また、インストルメントパネル1には、前記凹部21の下方において、グローブボックス26が形成され、その開閉リッドが符号26aで示される。さらに、インストルメントパネル1内には、助手席用シート4用のエアバッグユニット45が装備されている(図1、図7参照)。
【0029】
インストルメントパネル1内には、その車幅方向中間部において、後述するような空調ユニット30が装備されている。この空調ユニット30からの空調エアは、インストルメントパネル1に設けた各種の吹出口から車室内へと供給される。空調エアの吹出口としては、実施形態では、次のようなものがある。まず、車幅方向略中間部の上部位置において、乗員用の吹出口31が形成される他、車幅方向各端部の上部位置において乗員用の吹出口32が形成されている。また車幅方向各端部において、サイドウインドのくもり止め用の空調エアの吹出口33が形成されている。勿論、インストルメントパネル1には、上述の吹出口の他に、車室内下部への吹出口や、フロントウインドのくもり止め用の吹出口等も形成されているものである。
【0030】
空調ユニット30は、車幅方向長さが通常よりも短くされる一方、前後方向長さが通常よりも長くなるように形成されている(図2参照)。なお、ダクト34のうち、凹部21を通る部分は、凹部21の直前方を通って配設されている。
【0031】
図6には、空調ユニット30の一例が示される。この図6において、36はブロアが配設されるブロア室であり、ブロア室36からのエアは、エバポレータ37で一旦冷却される。エバポレータ37を通過したエアは、直接ミックス室38へと流れる一方、ダンパ39の切換位置によっては、その一部がヒータコアHCを通過した後にミックス室38へと流れる。ミックス室38から、各吹出口へと空調エアが流れる。図6において、ダクト40が吹出口31用であり、ダクト41が車室下部へ向けて空調エア供給用であり、ダクト42がフロントウインド7へ向けての空調エア供給用である。また、吹出口33用のダクト43は、上記ダクト42から分岐して形成されている(図1、図7をも参照)。なお、各ダクトを開閉するダンパは図示を略してある。
【0032】
実施形態では、前述したような空調ユニット30、ステアリングハンドル22、各操作部24、25、エアバッグ装置45等はインストルメントパネル1にあらかじめ組み込まれた後(モジュール化)、車体に組み付けられるようになっている。さらに、図6中符号46は、車幅方向ほぼ全長に渡って伸びる車体強度部材としてのステアリング支持部材である。なお、エアバッグ装置45については、後に詳述する。
【0033】
次に、助手席用シート4の移動規制を行う規制手段について説明する。まず、図8、図9には、助手席用シート4の支持台14がスライドレール13によって前後方向にガイドされる部分の断面構造が示されている。図9に示すように、支持台14には、ブラケット51、保持ピン52を利用して、ロック部材53が上下方向にのみ摺動自在に保持されている。一方、スライドレール13には、前後方向に小ピッチ毎(例えば5mm毎)に、孔形状の係止部54が多数形成されている。ロック部材53は、図示を略すスプリングによって常時下方に付勢されている。ロック部材53が、図9に示すように係止部54に係合されたとき、助手席用シート4の前後動が規制される。ロック部材53を、図9の状態から上方へ変位させることにより、係止部54との係合を解除させたときは、助手席用シート4は前後方向に動き得ることになる(ロック解除)。上記ロック部材53と係止部54とを利用した助手席用シート4の移動規制および規制解除された状態での前後動は、着座保証範囲においてのみ行われる(着座保証範囲で助手席用シート4を前後動させたときのロック部材53の移動範囲においてのみ、係止部54が形成されている)。
【0034】
図10に示すように、上記ロック部材53の規制解除(ロック解除)のための操作部材55が、シートクッション10の下方に配設されている。この操作部材55は、シートクッション10の下面に対して、ブラケット56、保持ピン57を介して、揺動自在に保持されている。この操作部材55は、ケーブル58を介してロック部材53と連結されている(図9をも参照)。手動操作によって、操作部材55の操作部55aを上方に引き上げると、ケーブル58が引張されて、ロック部材53が上方へ変位される(ロック解除)。なお、ケーブル58は、実際には内外2重ケーブルにおけるインナケーブルによって構成されている。前述したようなロック部材53、係止部54、操作部材55、ケーブル58等によって第1規制手段が構成される。なお、ロック部材53の設定位置は、例えば図1の矢印Aで示す部分とされる。
【0035】
スライドレール13の前端部には、助手席用シート4が格納位置にあるとき、ロック部材53が係合される係止部54が1つだけ形成されている。すなわち、助手席用シート4が後述のようにして格納位置とされたとき、ロック部材53がスライドレール13の前端部にある係止部54に係合することにより、格納位置にある助手席用シート4の前後動が規制される。このように、実施形態では、着座保証範囲における前後位置調整用となるロック部材53が、格納位置にある助手席用シート4の前後動規制用として利用されるように設定されている。
【0036】
助手席用シート4は、着座保証範囲を越えてさらに前方へ移動するのが規制される。このため、スライドレール13には、図11、図12に示すように係止部材61が一体化されている。一方、支持台14には、ブラケット62、保持ピン63を介して、ロック部材64が上下方向にのみ変位可能に保持されている。ロック部材64は、図示を略すスプリングによって、常時下方に向けて付勢されている。
【0037】
着座保証範囲にある助手席用シート4が、前方へ移動されて、着座保証範囲の前端位置にまで移動されたとき、ロック部材64がストッパ部材61に対して後方から当接されて、助手席用シート4のこれ以上の前方移動が規制される(図11、図12の状態)。この規制状態(ロック状態)から、ロック部材64を上方へ変位させると、ロック部材64とストッパ部材61とが前後方向において干渉しない位置関係となり、助手席用シート4は格納位置に向けてさらに前方へ移動することが可能となる。
【0038】
ロック部材64をストッパ部材61に当接させることによる規制を解除するための機構が、シートバック11に関連して設けられている。すなわち、図13に示すように、助手席用シート4の側部に設けられるシートブラケット71は、シートクッション10に固定される第1ブラケット部71Aと、シートバック11に固定される第2ブラケット部71Bとを有し、両ブラケット部71Aと71Bとが、連結ピン72によって揺動可能に連結されている。。この連結ピン72は、シートバック11の揺動支点を構成する。そして、シートバック11は、図示を略すスプリングによって常時前方へ向けて傾倒する方向に付勢されている。
【0039】
第2ブラケット部71Bには、略円板状のロック部材73が一体化されている。このロック部材73の外周面には、連結ピン72を中心とする所定円弧範囲に渡って多数の爪状の係止部74が形成されている。一方、第1ブラケット部71Aには、保持ピン75によって、操作部材76が揺動自在に保持されている。この操作部材76の一端部には、上記係止部74に係脱可能な爪状の係合部77が形成されている。そして、操作部材76は、図示を略すスプリングによって、上記係合部77が係止部74に係合する方向に常時付勢されている。操作部材76の操作部76aを手動操作によって上方へ引き上げると、係合部77の係止部74に対する係合が解除されて、シートバック11は前方へ傾倒可能となる。シートバック11の傾倒角度が所望角度となった位置で操作部76aから手を離せば、係合部77が再び係止部74に係合されて、シートバック11の所望傾倒角度が維持される。
【0040】
上記ロック部材73の外周縁部と、前述のロック部材64とが、ケーブル78によって連結されている(図11、図12をも参照)。これにより、シートバック11が前方へ傾倒するとき、ケーブル78が引張されて、ロック部材64が上方へ変位される。シートバック11が所定角度以上前方へ傾倒したとき、つまり助手席用シート4に乗員が着座することが不可能な状態となったとき、ロック部材64とストッパ部材61との干渉(ロック)が解除されて、助手席用シート4は格納位置へ向けて前方へ移動可能とされる。なお、ケーブル78は、実際には内外2重ケーブルにおけるインナケーブルによって構成されている。前述したようなストッパ部材61、ロック部材64、操作部材76、ケーブル78等によって第2規制手段が構成される。なお、ロック部材64の設定位置は、例えば第1規制手段用のロック部材53とほぼ同じ位置、あるいは離れた位置等、適宜の位置に設定できる。
【0041】
次に、助手席用シート4の使用形態について、その前後移動に着目して説明する。まず、助手席用シート4が着座保証範囲にあるときは、操作部材55を操作することにより、係止部54に対するロック部材53の係合を解除した状態で助手席用シート4を前後方向に移動させて、所望の前後位置となった時点で操作部材55から手を離すことにより、この位置でもって助手席用シート4の前後移動が規制される。
【0042】
着座保証範囲にある助手席用シート4を格納位置にすべく、前方へ移動させると、助手席用シート4が着座保証範囲の前端位置となった時点で、ロック部材64がストッパ部材61に当接することにより、助手席用シート4の前方への移動が規制された状態となる。この規制状態から、操作部材76を操作することにより、シートバック11を前方へ所定以上傾倒させると、上記ロック部材64とストッパ部材61との当接状態が解除される。この解除状態を維持したまま、助手席用シート4を前方へ大きく移動させることにより、助手席用シート4は格納位置とされる。そして、格納位置においては、前述のように、ロック部材53が、スライドレール13の前端部に1つだけ設けた係合部54に係合されて、助手席用シート4が格納位置でロックされる。なお、格納位置での助手席用シート4のロックは、第2規制手段側の部材であるロック部材64を利用するようにしてもよい。
【0043】
格納位置にある助手席用シート4のシートバック11は、前方へ傾倒された状態であるので、乗員が着座できないものとなる。また、シートバック11が前方へ傾倒されることにより、図1、図5に示すように、ヘッドレスト12がインストルメントパネル1の凹部21内に収納されることになる。凹部21にヘッドレスト12が収納された状態では、ヘッドレスト12の上面がインストルメントパネル1の上面と略面一となり、外観上の体裁もよいものとなる。
【0044】
格納位置にある助手席用シート4の後方は、大きな空間となる。この助手席用シート4後方の大きな空間は、例えば、後席用シート5に着座している乗員のレッグスペース拡大用として利用したり、荷物を収納したりする等、適宜の用途に利用される。また、助手席用シート4の後方に後席用シート5が存在しない場合、例えば運転席用シート3、助手席用シート4の後方空間が荷室として設定されている場合は、格納位置にある助手席用シート4後方の大きな空間を、その後方にある荷室と連通された拡大荷室として利用すればよい。
【0045】
図14は、本発明の別の実施形態を示すもので、助手席用シート4を着座保証範囲から格納位置に向けて前方動させるのに連動させて、シートバック11が自動的に着座不能状態となる前方へ大きく傾倒されるようにしたものである。図14は、図13の変形となるものであり、図13での構成要素と同一構成要素には同一符号を付してその重複した説明は省略する。なお、シートバック11が前方へ向けて常時付勢されていること、操作部材76が、その係合部77が係止部74に係合される方向に常時付勢されていることは、図13の場合と同様である。
【0046】
以上のことを前提として、ブラケット部71Aには、保持ピン81によって中間リンク82が揺動自在に保持されている。この中間リンク82の一端部と操作部材76のうち係合部77付近とが、連結リンク83によって連結されている。中間リンク82の他端部には、上下方向にのみ変位可能として助手席用シート4に保持されたロッド部材84の上端部が連結されている。
【0047】
これにより、操作部材76を操作しない状態で、かつロック部材84に対して上方への外力が作用しない状態では、操作部材76の係合部77が係止部74に係合されている(シートバック11の前後方向の傾倒角度の変更不可)。操作部材76を操作しない状態でも、ロッド部材84を上方へ押圧変位させると、この変位が、中間リンク82、連結リンク83を介して、操作部材76の係合部77を係止部74から係合解除させる方向の変位として伝達されて、シートバック11が前方h傾倒される(前述した付勢力による前方への傾倒動)。
【0048】
スライドレール13には、図14に示す助手席用シート4が着座保証範囲の前端位置にある状態において、ロック部材84の直前方位置から前方へ長く伸びるガイドバー85が一体化されている。このガイドバー85は、一種のカムを構成するもので、助手席用シート4を、着座保証範囲の前端からさらに前方へ移動させると、ロッド部材84がガイドバー85の上面に乗り上げて、当該ロッド部材84が上方へ変位され、これによりシートバック11が自動的に前方へ大きく傾倒される。
助手席用シート4が格納位置になると(図5の状態)、ロッド部材84は、ガイドバー85の上面に開口させた孔状の係止部86に係合されて、再び下方へと変位された状態となる(格納位置での助手席用シート4の前後動規制)。
【0049】
格納位置にある助手席用シート4を、着座保証範囲に向けて後方動させる場合は、まず、操作部材76の操作部76aを手動操作によって上方へ引き上げる。これにより、ロッド部材84が上方へ変位されて、係止部86に対する係合が解除されて、助手席用シート4の後方動が可能となる。助手席用シート4が着座保証範囲にまで後退した状態で、手動によってシートバック11を起立位置に戻すことにより、助手席用シート4に着座可能とされる。
【0050】
なお、係止部86を設けないようにすることもできる。この場合は、格納位置にあるときは、係合部77が常に係止部74に対して係合解除された状態となる。つまり、シートバック11をその付勢力に抗して手動で起立位置に戻しても、シートバック11から手を離した後は再び自動的にシートバック11はその前方への付勢力によって自動的に前方へ傾倒されてしまうことになる。
【0051】
次に、エアバッグ装置45について詳細に説明する。まず、図1、図7に示すように、エアバッグ装置45は、凹部21の直下方においてインストルメントパネル1内に配設されている。このエアバッグ装置45は、上方に向けて開口されたケーシング45aと、ケーシング45aの上方の開口部を塞ぐリッド45bとを有する。そして、リッド45bが、凹部21のほぼ平坦な底面の一部を構成している。
【0052】
ケーシング45a内には、ガス圧を発生するためのインフレータ45cと、折り畳まれた状態の袋状のエアバッグ本体45dとが収納されている。インフレータ45cが起爆されてガス圧が発生されたとき、このガス圧を受けたエアバッグ本体45dが膨張、展開される。すなわち、膨張されたエアバッグ本体45dは、リッド45bを強制的に押し開いて、車室2内に向けて展開されることになる。なお、図1、図7中Uは、マイクロコンピュータを利用して構成されたエアバッグ装置45制御用のコントローラであり、インフレータ45cを起爆させるための通電制御を行うものである。
【0053】
エアバッグ本体45dが、車室2内に膨張、展開された状態の一例が、図15および図16の一点鎖線で示される。すなわち、車室2内に向けて膨張、展開されたエアバッグ本体45dは、凹部21を全体的に覆うように展開される(膨張、展開されたエアバッグ本体45dは、凹部21の車室2内への開口面積よりも大きい面積を有するように展開される)。すなわち、エアバッグ本体45dは、当初は凹部21の底面側から凹部21内に膨張するようにされて、最終的に凹部21内は、膨張、展開されたエアバッグ本体45d(の一部)によって充満されることになる。そして、エアバッグ本体45dが凹部21を通って車室2内に膨張、展開されるとき、凹部21の底面がエアバッグ本体45dを車室2内に向けて(特に後方に向けて)滑らかに案内する一種の滑走路の役目を果たすことになる。
【0054】
図17は、エアバッグ装置45の配置位置を、前記実施形態とは別の位置に設定した例を示す。本例では、エアバッグ装置45は、インストルメントパネル1内のうち、凹部21の直前方に配設してある。この図17の例において、膨張、展開されたエアバッグ本体45dが一点鎖線で示される。膨張、展開されたエアバッグ本体45dは、本例の場合でも、凹部21を全体的に覆うようになっている。なお、エアバッグ装置45を凹部21の直前方に配設したことに伴って、ダクト34を凹部21の下方に配設するようにしてある。
【0055】
助手席用シート4が図1実線で示す格納状態にあるとき、エアバッグ装置45の作動が禁止される。すなわち、インフレータ45cの起爆が規制されて、エアバッグ本体45dの膨張、展開が禁止されることになる。これにより、格納状態にある助手席用シート4は、エアバッグ本体45dによって後方への大きな外力を受けることがなくなる。すなわち、格納状態にある助手席用シート4は、エアバッグ本体45dによっては、そのシートバック11が後方へ向けて傾倒されるような外力や、シートクッション10が後方へ押圧、変位されるような外力を受けることがないものとなる。
【0056】
助手席用シート4が格納状態にあるときのエアバッグ装置45の作動を禁止するために、助手席用シート4が格納状態にあるか否かの検出(判定)が行われる。なお、後述する以下の実施形態では、助手席用シート4が少なくとも乗員が着座できないような状態であれば、格納状態であると判定する場合をも含むものとなっている。以下、この格納状態にあることを検出するための幾つかの例について順次説明する。
【0057】
まず、図18の例は、シートバック11が所定以上前方へ傾倒されたことが検出されたときに、エアバッグ装置45の作動を禁止するようにした例を示す。すなわち、前述したシートクッション用ブラケット71Aには、シートバック11の揺動支点となる連結ピン72を中心とする円弧状のガイド(溝あるいは孔)92が形成されている。このガイド92には、検出スイッチ91がスライド自在に嵌合されている。検出スイッチ91は、押圧されたときにONとなる押圧型とされて、押圧の外力を受けるその検知部が符号91aで示される。検出スイッチ91は、連結ピン72を中心に揺動可能とされた保持レバー93に保持されている。検出スイッチ91は、常時は、図示を略すスプリングによって、図18中反時計方向に付勢されて、図示の位置にある。
【0058】
シートバック11用のブラケット71Bには、押圧用の突起部75cが形成されている。シートバック11が通常の着座使用位置となる起立位置にあるとき、上記突起部75cは、検出スイッチ91の検知部91aとは図18に示すように離間されている。シートバック11を所定以上前方へ傾倒させると、突起部75cによって検知部91aを押圧して、検出スイッチ91がONとなる。検出スイッチ91がONとなった後に、さらにシートバック11がさらに前方へ傾倒されると、検出スイッチ91は、シートバック11の前方への傾倒動に応じて、ガイド92に沿って変位されることになる(このときも突起部75cによって検知部91aが押圧された状態は維持される)。
【0059】
検出スイッチ91のON、OFF信号は、コントローラUに入力される。コントローラUは、検出スイッチ91からのON信号を受けたときは、エアバッグ装置45の作動を禁止する(例えば、インフレータ45cの起爆のための通電回路に設けたリレースイッチをコントローラUが強制的にOFF状態に切換える)。勿論、コントローラUは、検出スイッチ91がOFFのときは、衝突(前方衝突)の検出を条件としてエアバッグ装置45を作動させる(インフレータ45cを起爆させるための通電を行わせる)。
【0060】
図19は、助手席用シート4が格納状態にあることを検出する第2の例を示す。本例では、助手席用シート4が着座保証範囲よりも前方へ位置したときにONされる検出スイッチ96を設けてある。この検出スイッチ96は、その検知部96aが押圧されたときにONとなるものである。すなわち、助手席用シート4の支持台14に突起部97が設けられて、助手席用シート4が着座保証範囲よりも若干前方へ位置されたときに、突起部97が検出スイッチ96の検知部96aを押圧して、検出スイッチ96がONとなるように設定されている。なお、検出スイッチ96は、支持レバー95を介して、スライドレール13に形成されたガイド(溝あるいは孔)94に沿って前後方向にスライド可能とされており、常時は、図示を略すスプリングによって図19の前端位置とされる。これにより、助手席用シート4が着座保証範囲よりも若干前方へ位置して検出スイッチ96がONとされた後に、助手席用シート4がさらに前方へ移動されると、検出スイッチ96は、ON状態を維持したまま、助手席用シート4の前方動に応じて前方へ変位されることになる。勿論、本例でも、検出スイッチ96のON、OFF信号がコントローラUに入力されて、検出スイッチ96がONのときにはエアバッグ装置45の作動が禁止される。
【0061】
図20は、助手席用シート4が格納状態あることを検出する第3の例を示すものである。本例では、検出スイッチ91、96に相当する検出スイッチ98を、凹部21内に設けたものである。すなわち、検出スイッチ98の検知部98aが、凹部21内に若干突出するように配設されて、格納状態にあるときのヘッドレスト12によって押圧されてONとなるようにされている。勿論、この検出スイッチ98のON、OFF信号はコントローラUに入力されて、検出スイッチ98がONのときにエアバッグ装置45の作動が禁止される。
【0062】
図21は、助手席用シート4が格納状態にあることを検出する第4の例を示すものである。本例では、検出スイッチ91、96あるいは98に相当する検出スイッチ99を、インストルメントパネル1の下方に設けたものである。すなわち、検出スイッチ99は、その検知部99aが揺動支点99aを中心に揺動されるレバー式とされて、格納状態にある助手席用シート4のシートクッション10によって検知部99aが押圧、揺動されてONとなるように設定されている。勿論、この検出スイッチ99のON、OFF信号はコントローラUに入力されて、検出スイッチ99がONのときにエアバッグ装置45の作動が禁止される。
【0063】
図22は、コントローラUによるエアバッグ装置45の制御例を示すフローチャートである。本例では、図18に示す検出スイッチ91がONであり(シートバック11の所定以上の前方傾倒状態)、かつ図19に示す検出スイッチ96がONのとき(助手席用シート4が所定以上前方に位置している状態)に、エアバッグ装置45の作動を禁止するようにしてある。
【0064】
図22のフローチャートにおいて、Q(ステップ−以下同じ)1において、検出スイッチ91がONであることが判別され、かつQ2において検出スイッチ96がONであることが判別されると、助手席用シート4が格納状態にあると判定されて、Q3においてエアバッグ装置45の作動が禁止される。Q3の後は、Q1へ戻る。検出スイッチ01がOFFのとき(Q1の判別でNOのとき)、あるいは検出スイッチ96がOFFのとき(Q2の判別でNOのとき)は、それぞれ、Q4において、前方衝突が検出されたか否かが判別される。このQ4の判別でNOのときはQ1へ戻る。Q4の判別でYESのときは、Q5において、エアバッグ装置45を作動させた後、制御が終了される(エアバッグ装置45の交換が必要な状態)。なお、Q1、Q2のステップによって、助手席用シート4が格納状態にあるか否かを判定する判定手段が構成される。
【0065】
以上実施形態について説明したが、本発明はこれに限らず例えば次のような場合をも含むものである。格納位置をとり得るようにされたシートは、助手席用シートに限らず、運転席シートや後席用シートであってもよい。また、車両としては、後席用シートを有しないものであってもよい。また、コスト低減や簡単化のために、コントローラUを別途用いることなく、検出スイッチ91(96、98あるいは99)によって直接的にインフレータ45cの通電回路を開閉するように構成することもできる(例えば検出スイッチ91をインフレータ45cの給電回路に直列に組み込んで、検出スイッチ91がOFFのときはインフレータ45cへの通電が不能になる状態の形成)。
【0066】
また、上記検出スイッチによって、インフレータ45cの通電回路に設けた開閉用のリレースイッチを開閉作動させるようにしてもよい。例えば、検出スイッチ91がONのときにリレースイッチがOFFになるようにして、インフレータ45cへの通電不能状態を形成すればよい。この場合、リレースイッチを設ける分だけコストの点では不利となるが、検出スイッチとインフレータ45cの通電回路とを離れた位置に設けることができるという点で好ましいものとなる。なお、検出スイッチ91等としては、非接触型のもの等適宜の形式のものを採択し得るものである。勿論、本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として表現されたものを提供することをも暗黙的に含むものでありお、またエアバッグ装置の制御方法として把握することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す側面図。
【図2】図1のインストルメントパネルの上面図。
【図3】図1のインストルメントパネルを車室側から見た正面図。
【図4】インストルメントパネルに形成された凹部を示す斜視図。
【図5】インストルメントパネルに形成された凹部にシートの一部が収納された状態を示すもので、図4に対応した斜視図。
【図6】図2のX6−X6線相当断面図。
【図7】図2のX7−X7線相当断面図。
【図8】スライドレール部分の断面図。
【図9】着座保証範囲でシートの前後動を規制する第1規制手段の一例を示す断面図。
【図10】第1規制手段の規制を解除するための操作部の一例を示す要部側面図。
【図11】格納位置に向けてのシートの前方動を規制する第2規制手段の一例を示す側面図。
【図12】図11を矢印X12方向から見た図。
【図13】第2規制手段の規制を解除するための操作部の一例を示す要部側面図。
【図14】本発明の別の実施形態を示すもので、図13に対応した側面図。
【図15】エアバッグ本体が膨張、展開された状態を示すもので、図4に対応した図。
【図16】エアバッグ本体が膨張、展開された状態を示すもので、図7に対応した図。
【図17】エアバッグ装置の配設位置の別の例とそのエアバッグ本体の膨張、展開状態を示すもので、図7に対応した図。
【図18】シートが格納状態にあることの第1の検出例を示す要部側面図。
【図19】シートが格納状態にあることの第2の検出例を示す要部側面図。
【図20】シートが格納状態にあることの第3の検出例を示す要部側面断面図。
【図21】シートが格納状態にあることの第4の検出例を示す要部側面断面図。
【図22】コントローラによるエアバッグ装置の制御例を示すフローチャート。
【符号の説明】
1:インストルメントパネル
2:車室
3:運転席用シート
4:助手席用シート
5:後席用シート
10:シートクッション
11:シートバック
12:ヘッドレスト
13:スライドレール
14:シートの支持台
21:凹部
45:エアバッグ装置
45a:ケーシング
45b:リッド
45c:インフレータ
45d:エアバッグ本体
91:検出スイッチ(検出手段)
96:検出スイッチ(検出手段)
98:検出スイッチ(検出手段)
99:検出スイッチ(検出手段)
U:コントローラ(制御手段)
Claims (11)
- 車室内前部に設けられたインストルメントパネルの後方にシートが設けられ、該インストルメントパネル内には、ガス圧発生用のインフレータとガス圧を受けて車室内に膨張、展開されるエアバッグ本体とを有するエアバッグ装置が装備された車両のエアバッグ装置において、
前記シートは、シートクッションと、該シートクッションの後端部に前後方向に揺動可能に連結されたシートバックと、該シートバックの上端部に設けられたヘッドレストとを有し、
前記シートは、スライド機構によって車体に対して前後方向に移動可能とされており、
前記インストルメントパネルには少なくとも上方へ向けて開口された凹部が形成され、
前記シートは、所定位置まで前方へ移動されると共に前記シートバックを前方へ傾倒させた所定状態のときに、少なくとも該シートバックあるいは前記ヘッドレストの一部が前記凹部に収納される格納状態をとり得るようにされ、
前記シートが前記格納状態のときに、前記エアバッグ装置の作動が禁止されるように設定されている、
ことを特徴とする車両のエアバッグ装置。 - 請求項1において、
前記インフレータの作動を制御するコントローラと、
前記シートが前記格納状態であるか否かを判定する判定手段と、
を備えて、前記判定手段によって前記シートが前記格納状態であると判定されたときに、前記コントローラによって前記インフレータが作動しないように制御される、
ことを特徴とする車両のエアバッグ装置。 - 請求項1または請求項2において、
前記シートが前記格納状態のときは、該シートの上端が前記インストルメントパネルの上面とほぼ同一高さとされる、ことを特徴とする車両のエアバッグ装置。 - 請求項2において、
前記判定手段は、前記シートバックが所定以上前方へ傾倒されたときに前記格納状態であると判定するように設定されている、ことを特徴とする車両のエアバッグ装置。 - 請求項2において、
前記判定手段は、前記シートクッションが所定以上前方へ移動されたときに前記格納状態であると判定するように設定されている、ことを特徴とする車両のエアバッグ装置。 - 請求項2において、
前記シートバックが所定以上前方へ傾倒されたことを検出する第1検出手段と、前記シートクッションが所定以上前方に位置することを検出する第2検出手段と、を備え、
前記判定手段は、前記第1検出手段によって前記シートバックが所定以上前方へ傾倒していることが検出され、かつ前記第2検出手段によって前記シートクッションが所定以上前方に位置していることが検出されたときに、前記格納状態であると判定するように設定されている、
ことを特徴とする車両のエアバッグ装置。 - 請求項2において、
前記シートは、その前後方向移動範囲として、乗員が通常着座して使用される着座保証範囲と、該着座保証範囲よりも前方へ位置されて前記格納状態とされる格納位置とをとり得るようにされており、
前記判定手段は、前記シートが前記着座保証範囲よりも前方へ位置していることが検出されたときに、前記格納状態であると判定するように設定されている、ことを特徴とする車両のエアバッグ装置。 - 請求項2において、
前記格納状態にある前記シートによって押圧されて作動される押圧スイッチを備え、
前記判定手段は、前記押圧スイッチが作動されたときに前記格納状態であると判定するように設定成されている、
ことを特徴とする車両のエアバッグ装置。 - 請求項8において、
前記押圧スイッチが、前記凹部内に配設されて、前記格納状態にある前記シートの上端部によって押圧される、ことを特徴とする車両のエアバッグ装置。 - 請求項8において、
前記押圧スイッチが、前記インストルメントパネルの下方に配設されて、前記格納状態にある前記シートのシートクッションによって押圧される、ことを特徴とする車両のエアバッグ装置。 - 請求項1ないし請求項10のいずれか1項において、
前記シートが助手席用シートとされている、ことを特徴とする車両のエアバッグ装置。
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