JP3721548B2 - プレス用パンチリテーナー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は板状被加工物に孔を穿けるプレス機械のパンチを保持するプレス用パンチリテーナーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、板状被加工物に孔を穿けるプレス機械のパンチを保持するプレス用パンチリテーナーとして以下のように構成されたものが使用されている。すなわち、図1及び図2に示すように、断面形状が面取りされた三角形状(ムスビ形)に形成されている。また、ラム1下面に少なくとも1本の位置決め用のノックピンNが突設されており、それに対応して、パンチリテーナー2の上面にはノックピンNが差込まれるノックピン用孔2nが穿けられている。その他、ノックピンNを介して位置決めされたパンチリテーナー2の上面をラム1の下面に取付け、固定するために、2本の締付けボルトB,Bが用意されている。
【0003】
以上の構成によって、パンチリテーナー2にパンチ用段付孔2pに挿通された孔穿け用鍔付パンチ3が保持されると共に、鍔付パンチ3が後退しないよう、その頭部がラム1の下面で支えられている。なお、4はダイスであって、板状の被加工物9を支えると共に、上方から下降し、被加工物9に孔を穿けたパンチ3の先端部を通す孔4aが穿けられている。5はダイス4を下から支えるダイスホルダー、6は被加工物9の上方に設けられたストリッパーであって、被加工物9に孔を穿けた鍔付パンチ3が上昇する際、鍔付パンチ3に同伴し、持上げられないよう被加工物9を押下げるものである。
【0004】
しかしながら、上記従来のパンチリテーナー2は、断面積が大きく、ラム1への確実な固定及び位置決め精度確保に、少なくとも2本の締付けボルトB,Bが必要であり、部品点数がそれだけ多く、コスト高となるという問題点がある。なお、パンチリテーナー2が大きいと周辺部品との干渉度合が増大する(邪魔になる)という問題点もある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
解決しようとする課題は、上記従来のパンチリテーナー2は、断面積が大きく、ラム1への確実な固定及び位置決め精度確保に、少なくとも2本の締付けボルトB,Bが必要であり、部品点数がそれだけ多く、コスト高となること、周辺部品との干渉度合が増大することであって、本発明は上記課題を解決した、断面積が小さく、扇形で部品点数の少ないプレス用パンチリテーナーを提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
第1の発明に係るプレス用パンチリテーナーは、図3乃至図5に示す如く被加工物9に孔を穿けるプレス機械のパンチを保持する、部品点数が少なく小型のプレス用パンチリテーナーであって、全体としては扇形をしており、鍔付パンチ30が上面側から嵌込まれ且つ扇形の要に設けたパンチ用段付孔21と、ラム10下面に螺合される1本の締付けボルトBが下面側から挿通され且つパンチ用段付孔21を通る中立線M−M上に配置したボルト孔26と、ラム10下面に突設された2本の位置決め用のノックピンK1,K2がそれぞれ嵌込まれ且つ扇形の両翼に対称に配置したノックピン用段付孔22,23とが穿けられ、ノックピンK1,K2により位置決めされたうえ、ラム10下面に締付けボルトBにより締付け、固定されるものである。
【0007】
第2の発明に係るプレス用パンチリテーナーは、図6乃至図8に示す如く被加工物9に孔を穿けるプレス機械のパンチを保持する、部品点数が少なく小型のプレス用パンチリテーナーであって、全体としては扇形をしており、鍔付パンチ30が上面側から嵌込まれ且つ扇形の要に設けたパンチ用段付孔21と、ラム10下面に螺合される1本の締付けボルトBが下面側から挿通され且つパンチ用段付孔21を通る中立線M−M上に配置したボルト孔26と、ラム10下面に突設された2本の位置決め用のノックピンK1,K3が嵌込まれ且つ扇形の一方の翼に配置するノックピン用段付孔22とが穿けられると共に、他方のノックピンK3が嵌込まれ且つボルト孔26と円弧外周面とを結ぶノックピン用溝27が設けられ、ノックピンK1,K3により位置決めされたうえ、ラム10下面に締付けボルトBにより締付け、固定されるものである。
【0008】
第3の発明は、第2の発明においてノックピン用溝27に嵌まるノックピンK3の突出部K4の断面形状が、凹部を対向させた2個の円弧と、相平行する2本の直線部より形成され、直線部がノックピン用溝27の溝壁に嵌合する構成にしたものである。
【0009】
なお、パンチ用段付孔21とは、鍔付パンチ30の本体が嵌込まれる部分と鍔部分を下側から支える部分とに段差を有するものであって、後述するように孔としては不完全ではあるが、後者の鍔部分を支える部分が、パンチ30の本体が嵌込まれる部分に対して単に段差を有するだけで、全周が鉛直壁面によって囲まれていないものも含まれる。更にリテーナー20の形状が扇形になっている。
【0010】
第1の発明によれば、ラム10への確実な固定及び位置決め精度確保に、従来例では2本必要であった締付けボルトBが1本で十分であって、部品点数が少なくなり、しかもパンチリテーナー20の断面積が小さくなり、小型化されるため、それだけコストが低減されると共に、形状が扇形になっているため、それによって周辺部品に邪魔されることが少なくなり、取付の自由度が増大する。
【0011】
第2の発明によれば、第1の発明の作用効果に加えて、ノックピン用段付孔23の代りに、構造が簡単で加工も容易なノックピン用溝27が設けられ、しかも、ノックピンK3がノックピン用溝27の底面で支えられ、この部分はプラグが不要となるため、さらに部品点数が低減され、コストが低減される。
【0012】
第3の発明によれば、ノックピンK3に対して、ノックピン用溝27がぐらつくことがない。
【0013】
【発明の実施の形態】
第1の発明の実施の形態例について、図3乃至図5により説明すると、10は板状被加工物9に孔を穿けるプレス機械のラム、K1,K2はそのラム10の下面に突設された2本の位置決め用のノックピン、20はラム10の下面に固定され、後述する鍔付パンチ30を保持するパンチリテーナーであって、断面形状が面取りされた扇形状に形成されており、次のように構成される。
【0014】
すなわち、21は鍔付パンチ30が上面側から挿通されるパンチ用段付孔であって、扇形の要に近い位置に穿けられている。22,23は上記位置決め用のノックピンK1,K2が嵌込まれるノックピン用段付孔であって、前記段付孔21に近い扇形の円弧側に対称に配置されている。24,25はノックピンK1,K2の落下防止用にノックピン用段付孔22,23にそれぞれ螺合されたプラグである。26はラム10下面に螺合される1本の締付けボルトBが下面側から挿通されるところのボルト孔であって、扇形の円弧に近い位置に穿けられている。なお、ラム10の下面側でボルト孔26に対応する位置には締付けボルトBが螺合されるネジ孔11が穿けられている。
【0015】
なお、上記パンチ用段付孔21とは、鍔付パンチ30の本体が嵌込まれる部分と鍔部分を下側から支える部分とに段差を有するものであって、後述するように孔としては不完全ではあるが、後者の鍔部分を支える部分が、パンチ30の本体が嵌込まれる部分に対して単に段差を有するだけで、全周が鉛直壁面によって囲まれていないものも含まれる。
【0016】
その他40はダイスであって、板状の被加工物9を支えると共に、上方から下降し、被加工物9に孔を穿けたパンチ30の先端部を通す孔41が穿けられている。50はダイス40を下から支えるダイスホルダー、60は被加工物9の上方の設けられたストリッパーであって、被加工物9に孔を穿けた鍔付パンチ30が上昇する際、鍔付パンチ30に同伴し、持上げられないよう被加工物9を押下げるものである。
【0017】
組立に当っては、予めパンチ用段付孔21に上面側から鍔付パンチ30を挿通しておく。次いでラム10の下面に突設されたノックピンK1,K2にパンチリテーナー20のノックピン用段付孔22,23を嵌め、位置決めしたうえ、ラム10の下面にパンチリテーナー20を当てる。さらにパンチリテーナー20のボルト孔26に下面側から締付けボルトBを挿通し、ラム10のネジ孔11に螺合し、ラム10にパンチリテーナー20を締付けて固定する。
【0018】
以上のように構成されるため、ラム10への確実な固定及び位置決め精度確保に、従来例では2本必要であった締付けボルトBが1本で十分となり、部品点数が少なくなり、しかもパンチリテーナー20の断面積が小さくなり、小型化されるため、それだけコストが低減されると共に、形状が扇形になっているため、図4に仮線Y,Zで示す部分だけ小さくなり、それによって周辺部品に邪魔されることが少なくなり、取付の自由度が増大する。
【0019】
第2の発明の実施の形態例について、図6乃至図8により説明すると、第1の発明の実施の形態例のノックピン用段付孔23に替えて、ボルト孔26に連通するノックピン用溝27が設けられ、そのノックピン用溝27にノックピンK3が差込まれるように構成されている。
【0020】
さらに詳細に説明すると、図6及び図7では、パンチリテーナー20のパンチ用段付孔21に相当する部分が段差状に切り欠かれて、残りの部分より低くなっていると共に、鍔付パンチ30の本体が嵌込まれる部分に対して段差が形成されており、それによって鍔付パンチ30の鍔が下側から支えられるよう構成されている。それに対して、鍔付パンチ30の鍔は断面が欠円状に形成されている。そのため、パンチ用段付孔21のうち、鍔付パンチ30が下側から支えられる部分は、壁面が鍔の弦に当接する部分のみであって、孔としては不完全なものになっている。また、ノックピン用溝27は図7では扇形の中立線M−M上に設けられているが、これに限定されるものではない。
【0021】
組立は第1の発明の実施の形態例と略同様に行う。しかしながら、位置決めの際、ノックピンK3の構造が簡単で加工の容易なノックピン用溝27に差込まれ、ノックピン用溝27の底面で支えられ、しかも、この部分はノックピンK3の落下防止用プラグが不要となるため、さらに部品点数が低減され、コストが低減される。
【0022】
【発明の効果】
第1の発明によれば、ラム10への確実な固定及び位置決め精度確保に、従来例では2本必要であった締付けボルトBが1本で十分となり、部品点数が少なくなり、しかもパンチリテーナー20の断面積が小さくなり、小型化されるため、それだけコストが低減されると共に、形状が扇形になっているため、それによって周辺部品に邪魔されることが少なくなり、取付の自由度が増大する。
【0023】
第2の発明によれば、一方のノックピン用段付孔23の代りに、構造が簡単で加工が容易なノックピン用溝27が設けられ、しかもこの部分はプラグが不要となるため、さらに部品点数が低減され、コストが低減される。
【0024】
第3の発明によれば、ノックピンK3に対して、ノックピン用溝27がぐらつくことがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来例を示す断面図である。
【図2】 図1のA−A断面図である。
【図3】 本発明の第1の実施の形態例を示す断面図である。
【図4】 図3のB−B断面図である。
【図5】 図4のノックピンの周りを示す断面図である。
【図6】 本発明の第2の実施の形態例を示す断面図である。
【図7】 図6のC−C断面図である。
【図8】 パンチリテーナーを示す図6の右側面図である。
【符号の説明】
1 ラム
2 パンチリテーナー
2n ノックピン用孔
2p パンチ用段付孔
3 鍔付パンチ
4 ダイス
4a 孔
5 ダイスホルダー
6 ストリッパー
9 被加工物
10 ラム
11 ネジ孔
20 パンチリテーナー
21 パンチ用段付孔
22 ノックピン用段付孔
23 ノックピン用段付孔
24 プラグ
25 プラグ
26 ボルト孔
27 ノックピン用溝
30 鍔付パンチ
40 ダイス
41 孔
50 ダイスホルダー
60 ストリッパー
B 締付けボルト
K1 ノックピン
K2 ノックピン
K3 ノックピン
K4 突出部
M−M 中立線
N ノックピン
Claims (3)
- 被加工物(9)に孔を穿けるプレス機械のパンチを保持する、部品点数が少なく小型のプレス用パンチリテーナーであって、全体としては扇形をしており、
鍔付パンチ(30)が上面側から嵌込まれ且つ扇形の要に設けたパンチ用段付孔(21)と、
ラム(10)下面に螺合される1本の締付けボルト(B)が下面側から挿通され且つパンチ用段付孔(21)を通る中立線(M−M)上に配置したボルト孔(26)と、
ラム(10)下面に突設された2本の位置決め用のノックピン(K1,K2)がそれぞれ嵌込まれ且つ扇形の両翼に対称に配置したノックピン用段付孔(22,23)とが穿けられ、
ノックピン(K1,K2)により位置決めされたうえ、ラム(10)下面に締付けボルト(B)により締付け、固定されることを特徴とするプレス用パンチリテーナー。 - 被加工物(9)に孔を穿けるプレス機械のパンチを保持する、部品点数が少なく小型のプレス用パンチリテーナーであって、全体としては扇形をしており、
鍔付パンチ(30)が上面側から嵌込まれ且つ扇形の要に設けたパンチ用段付孔(21)と、
ラム(10)下面に螺合される1本の締付けボルト(B)が下面側から挿通され且つパンチ用段付孔(21)を通る中立線(M−M)上に配置したボルト孔(26)と、
ラム(10)下面に突設された2本の位置決め用のノックピン(K1,K3)が嵌込まれ且つ扇形の一方の翼に配置するノックピン用段付孔(22)とが穿けられると共に、
他方のノックピン(K3)が嵌込まれ且つボルト孔(26)と円弧外周面とを結ぶノックピン用溝(27)が設けられ、
ノックピン(K1,K3)により位置決めされたうえ、ラム(10)下面に締付けボルト(B)により締付け、固定されることを特徴とするプレス用パンチリテーナー。 - ノックピン用溝(27)に嵌まるノックピン(K3)の突出部(K4)の断面形状が、凹部を対向させた2個の円弧と、相平行する2本の直線部より形成され、直線部がノックピン用溝(27)の溝壁に嵌合する構成にした請求項2記載のプレス用パンチリテーナー。
Priority Applications (1)
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JP15813897A JP3721548B2 (ja) | 1997-05-30 | 1997-05-30 | プレス用パンチリテーナー |
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JPH10328757A JPH10328757A (ja) | 1998-12-15 |
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JP15813897A Expired - Lifetime JP3721548B2 (ja) | 1997-05-30 | 1997-05-30 | プレス用パンチリテーナー |
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KR100376140B1 (ko) * | 1999-12-17 | 2003-03-15 | 현대자동차주식회사 | 서보모터를 이용한 피어스 리테이너 구조 |
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-
1997
- 1997-05-30 JP JP15813897A patent/JP3721548B2/ja not_active Expired - Lifetime
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JPH10328757A (ja) | 1998-12-15 |
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