JP3721289B2 - 地盤固結材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は中性シリカゾル・微粒子セメント系の懸濁型地盤固結材に係り、特に、浸透可能時間が長くて浸透性に優れ、かつ高固結強度を呈する地盤固結材に関する。
【0002】
【従来の技術】
地盤を製造するための地盤注入用のグラウトとして従来、種々のものが知られている。例えば、モル比が小さくアルカリ度の高い水ガラスを用いるスラグ系のグラウトが知られている。このグラウトは固結強度が大きいがアルカリの溶脱が懸念される。
また中性シリカゾルに多価金属塩を加えた溶液型グラウトも知られているが、これは固結強度が小さいという欠点があった。この強度を解決するために近年、中性シリカゾルとポルトランドセメントを1.5ショットで合流して注入する方法も知られているが、このグラウトのゲル化時間はせいぜい1分以内と短く、浸透性に劣るものである。
さらにまた、中性シリカゾルに高炉スラグおよびポルトランドセメントを添加してなるグラウトも知られている。しかし、このような中性シリカゾルを使用したグラウトは、地上でカップ倒立法により測定したゲル化時間が10分以内と短いばかりか、土中ではゲル化時間がさらに短くなるため、浸透が悪く、土粒子間で目詰まりをおこしてしまう。
さらに、ゲル化させることの出来ない材料を使用した地盤固結材としては、セメント/ベントナイト懸濁液、スラグ−アルカリ刺激剤(水ガラスを除く)懸濁液等が知られている。しかしながら、これらはいずれも配合液の粘度を短時間に増加させることは出来ず、限定注入が難しいとされてきた。
なお、少量の水ガラスをセメント懸濁液と混合すると、10秒程度でチクソ性の懸濁液となるため、このような配合液は裏込材として使用されていることがあるが、本発明の配合液とは全く異なるものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究の結果、特定の中性シリカゾルと、微粒子セメントと、微粒子スラグとを所望の条件下で配合すると、配合液は次第に増粘して可塑状態を保持するようになるが、明確なゲル化時間を呈さなくすることが出来る。このような配合液は、増粘時間の調整が容易であって浸透時間を長くすることもでき、従って浸透性がよく、しかも注入完了後には流動性を失って実質的に固結し、ゲル化時間を呈するグラウトと同様な効果を奏しうることを発見し、本発明を完成するに至った。
本発明の目的は浸透可能時間が長くて浸透性に優れ、しかも高固結強度を呈し、かつアルカリ溶脱が少ないため、固結物が耐久性に優れているばかりか、環境への影響も少なく、上述の公知技術に存する欠点を改良した中性シリカゾル・微粒子セメント系の懸濁型地盤固結材を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するため、本発明の地盤固結材は、水ガラスのアルカリの大部分をイオン交換樹脂で除去し、造粒して得られた中性シリカゾルと、微粒子セメント、微粒子スラグを有効成分とし、前記中性シリカゾルの含有量が全配合液中の0.5〜5容量%(SiO2 濃度30%のシリカゾル換算)であることを特徴とする。
より具体的には、本発明は、水ガラスのアルカリの大部分をイオン交換樹脂で除去し、造粒して得られた中性シリカゾルと、増粘時間の調整剤とを含有するA液と、微粒子セメントと、微粒子スラグとを含有するB液とからなる地盤固結材であって、次の要件を具備してなる地盤固結材である。
(A) 中性シリカゾルの含有量が、SiO2 濃度30%のシリカゾル換算で全配合液中、0.5〜5容量%であること
(B) 微粒子セメントの配合量が、全配合液1,000mlあたり30〜300gであり、微粒子セメントが比表面積4,000cm2/g 以上であること
(C) 微粒子スラグが比表面積8,000cm2/g 以上であること
(D) 増粘時間の調整剤の使用量が、微粒子セメントに対し0.1〜10重量%であること
(E) 配合後、次第に増粘し、増粘時間は1分以上であり、10分以上可塑状態を保つが、ゲル化には至らないこと
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体的に詳述する。
本発明に係る地盤固結材は、配合後次第に増粘し、やがて粘度が高くなると可塑状態を保つがゲル化は起こさない。ここで増粘時間は1分以上、好ましくは10〜120分程度が適当であり、その後可塑状態を10分以上、好ましくは30分以上保ち続ける。
この様な本発明に係る配合液を地盤に注入すると、地盤が密な場合には増粘段階で従来のゲル化と同様の効果を発揮して、配合液は浸透しなくなり、地盤が粗な場合には増粘段階から可塑状態でも注入(浸透)が継続される。
ここで、従来の地盤固結材では、カップ倒立法でゲル化時間を測定し、カップを傾けても流れ出なくなった時間を「ゲル化時間」としているのに対し、本発明の配合液を、B型粘度計で測定すると、概略500cps(センチポイズ)以上となるが、約1,000cps以下であり、カップ倒立法で測定してもカップから流れ出なくなるということがないため、B型粘度計で測定して、配合液調製時から粘度が500cpsとなるまでの経過時間を「増粘時間」とする。なお、懸濁液をB型粘度計で測定することには若干の問題があるが、従来のゲル化する型の地盤固結材は、その配合液の粘度をB型粘度計で測定すると、増粘し始めると急激に2,000cps以上と高粘度になりゲル化してしまうので、本発明ではB型粘度計で測定した値を1つの目安とした。
また、上記のように、「ゲル化」とは液状である配合液が、反応により保形性を有するようになることであり、具体的には上記のようにカップ倒立法で測定して、カップを傾けても流れ出なくなった状態をいう。このような配合液はゲル化すると全く浸透しなくなるのであり、可塑状態を保持するが、ゲル化しない本発明の配合液とは全く異なるのである。なお、カップ倒立法でゲル化しない配合でも土中に注入した後、土粒子間にあって外力が加えられなければ、次第に固化(あるいは固結)するが、これは本発明の「明白なゲル化状態にならない」には該当しない。なお、増粘時間が10分以上の配合は、殆ど可塑状態が10分以上継続する。
【0006】
また「可塑状態」とは注入等による外力が加えられると流動性を示すが、外力がなくなると流動性を示さない状態をいう。配合時にこのような可塑状態になると浸透性が悪くなるので、このような場合は本発明の範囲から除外し、少なくとも1分以上経過後に可塑状態となることが必要である。また可塑状態の継続時間が短い場合には、その後ゲル化する場合もありうるので可塑状態が少なくとも10分以上、好ましくは60分以上持続することが必要であり、その後は静置等により固化しても本発明の目的が達成されることに変わりはない。
【0007】
上述の本発明は、中性シリカゾルと、微粒子セメント好ましくは微粒子スラグを併用した地盤固結材であって、中性シリカゾルの使用量が配合液を増粘させるに必要な量、即ち配合液全体の0.5〜5容量%であり、微粒子セメントが好ましくはブレーン比表面積4,000cm2/g 以上であることを特徴とし、必要に応じて増粘時間の調整剤を添加することも出来る。
さらに説明すると、配合液がゲル化しない場合は問題がないが、見かけ上ゲル状態となっている場合には、セメントの固化が始まらないうちにその強度を測定し0.1kgf/cm2以下であれば、ほぼ攪拌によってこわれるような弱いゲルであり、このような配合は本発明の範囲に入るものとする。すなわち、上記中性シリカゾルの配合量は、配合液が増粘するが水ガラス溶液型グラウトのホモゲルの様な弾力性のあるゲルが出来ない量であり、微粒子セメントの粒度及び微粒子スラグの併用、更には増粘時間の調整剤の添加量によっても異なる。
【0008】
浸透可能時間については、地盤の状況により異なるため明確なことは言えないが、一般的な中性シリカゾルを使用した従来のシリカゾル・セメント系グラウトではゲル化時間の調整剤を添加してもゲル化時間が約10分以下(特に夏場では3分以下であり、セメントに超微粒子セメントを使用した場合には10秒以下と極めて短く、これを長くすることは殆ど不可能である)と極めて短いばかりか、増粘開始後ゲル化が急激に起こり、しかもゲル化後はゲル強度が大きいためそれ以上ゲルを破壊して浸透させることが出来ない。
【0009】
これに対し、本発明にかかる地盤固結材は増粘時間を1時間以上にもすることが出来、しかもいわゆるゲル強度(本発明では可塑状態となっているためゲル強度とはいわない)が弱いため増粘時間経過後も地盤によっては浸透可能であり、このように、浸透可能時間を十分長くすることが出来る。
【0010】
またセメントを単独の懸濁液で注入すると、セメントが目詰まりをしたり沈降するのに対し、本発明の地盤固結材は、中性シリカゾル中のシリカがセメント粒子に付着して、該セメント粒子の潤滑性(目詰まりしないで砂の間隙を通過すること)を良好にするためか浸透性がよく、その後の増粘により注入液のほぼ全体が固化する。
【0011】
本発明で用いられる中性シリカゾルは、水ガラスをイオン交換樹脂で処理してNa+ イオン等のアルカリを殆ど分離除去し、粒径が6〜50ミリミクロンの大きさに加熱造粒して得られた半透明の液体で、中性〜弱アルカリ性、好ましくはpHが8.0〜10.5の弱アルカリ性で、比重が1.16〜1.24で、おおよそSiO2 が10〜40重量%、Na2 Oが0.01〜4重量%の範囲にあるものである。
Na2 Oが4重量%以上になると珪酸コロイドは溶けてしまい珪酸塩の水溶液となってしまう。一方Na2 Oが0.01重量%以下になると珪酸コロイドは安定して存在し得ず凝集してしまう。即ちNa2 Oが0.01〜4重量%の範囲でNaイオンが珪酸コロイドの表面に分布して安定したコロイド状に保ちうる。この場合、珪酸コロイドの粒径はほぼ6〜50ミリミクロンが主となる。珪酸コロイドの粒径が50ミリミクロン以上になると沈澱してしまう。
以上の珪酸コロイドは、モル比(SiO2 /Na2 O)でほぼ10〜1,000とし、pHは8〜10がコロイドの安定上望ましい。このようにして調製された珪酸コロイドは半永久的に安定しており、これを工場から現場への搬入並びに注入操作の際にゲル化する心配がない。
【0012】
本発明で用いられる微粒子セメントは、浸透性の点からブレーン比表面積4,000cm2/g 以上であることが好ましい。増粘時間をより長くする場合には、特に微粒子セメント量を少なくする。また、中性シリカゾルの使用量が比較的多く、ゲル化し易い場合にこれをゲル化しない配合とするには、微粒子スラグを併用するとよい。併用される微粒子スラグのブレーン比表面積は、8,000cm2/g 以上、好ましくは10,000cm2 /g以上である。
固結物の強度は用途に応じて適宜選択出来るが、微粒子セメントの使用量は、地盤固結材1,000ml当たり30〜300gが好ましい。とくに高強度、耐久性の固結物を得るためには、微粒子セメントの量は地盤固結材1,000ml当たり50g以上が好ましく、微粒子スラグを併用することが好ましい。この場合、微粒子セメントと微粒子スラグの比率を100〜20:0〜80で使用することが好ましい。
【0013】
また、従来懸濁型固結材のみを注入した場合には、地下水面下では湧水のため掘削が出来ない場合が多く、溶液型注入材を併用して止水を行っていた。ところが、本発明の地盤固結材は浸透性が良く、固結物の透水係数が小さいために、単独で注入した場合でも湧水のトラブルがなく、掘削ができるのである。
【0014】
このような本発明にかかる中性シリカゾル・微粒子セメント系では、中性シリカゾル、微粒子セメントの使用量を変えることにより増粘時間を調整することが出来るが、さらに増粘時間の調整剤を添加することにより増粘時間を遅延せしめるとともに、配合液を低粘度化することにより、浸透性の向上をはかることができる。短い時間でゲル化するような場合には、増粘時間の調整剤を添加することにより、増粘はするがゲル化はしなくする。
【0015】
増粘時間の調整剤の使用量は、地盤注入材の使用条件、特に液温によって適宜選択することが出来るが、増粘時間を30分以上、必要に応じては数時間と出来ることが本発明の特徴であり、そのような場合には増粘時間の調整剤を微粒子セメントに対し0.1〜10重量%使用することが出来る。
上述増粘時間の調整剤としては、アルカリ金属の重炭酸塩、炭酸塩、燐酸塩、酸性燐酸塩、ピロ燐酸塩、クエン酸、酒石酸およびリグニンスルホン酸ソーダ、ポリスルホン酸ソーダ等の(遅延型)セメント流動化剤等が挙げられる。
これらのうちで特に、好ましい調整剤としては、固結物の強度への影響の少ないアルカリ金属の重炭酸塩、炭酸塩等である。このような増粘時間の調整剤は中性シリカゾルの側に添加し、注入時に微粒子セメントの懸濁液と混合すると、セメントの凝集物が出来ず、懸濁液中の粒子の粒径が小さく、液の粘度も小さいため浸透性がより良好となる。
【0016】
なお、水ガラスからイオン交換樹脂で脱アルカリして得られる活性シリカは、炭酸水素ナトリウムと混合しただけでゲル化するのであり、ゲル化する前に上記使用量の活性シリカとセメント懸濁液を混合しても、本発明の中性シリカゾルを使用した場合のように可塑状態とはならない。
【0017】
また、セメント流動化剤を添加する場合には、微粒子セメント側に添加した方が好ましく、その場合には他の調整剤を中性シリカゾル側に添加するのが好ましい。調整剤を添加する場合、予め水に溶解した後中性シリカゾルを添加する方法が好ましく、その状態で均一であるような調整剤を選択使用することが好ましい。さらに増粘時間の調整剤を添加することにより、A,B両液混合時の粘度が小さくなり、浸透性をより高めることが出来る。
【0018】
本発明の配合液の具体的な調製法についてさらに詳述する。
まず、固結物の強度からセメント、スラグの比表面積およびその使用量を決定する。ついで中性シリカゾルの使用量をシリカ濃度が0.5〜5容量%となるようにする。中性シリカゾルのこの範囲においても配合液がゲル化する場合には、増粘時間の調整剤を添加する。
【0019】
本発明の地盤固結材を注入する場合に、一次注入材としてゲル化時間の短い溶液型あるいは懸濁型の注入材を注入して地上への漏出を防止あるいは粗な部分に充填して本発明の固結材の逸走を防止した後、本発明の地盤固結材を注入してもよい。
【0020】
また、本発明の地盤固結材は、低粘度で浸透性がよいためパッカー効果の確実な二重管ダブルパッカー工法を採用する場合には、注入速度を大きくして、施工効率を上げることが出来、他方一度に注入する注入孔が多く、その注入孔が注入管の上下広い範囲に拡がっているような注入管を使用する工法(ここでは多孔注入工法とする)では、注入速度を小さくして、地盤が隆起することなく、浸透注入させることが出来る。
【0021】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、これらの実施例は本発明の一例に過ぎず、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
まず、本発明の実施例および比較例に用いた中性シリカゾル、スラグ、セメントおよび増粘時間の調整剤を以下にまとめて示す。
(1)中性シリカゾル
水ガラスをイオン交換樹脂で処理することによりアルカリの大部分を除去し、造粒して得られた、表1に示す組成の中性シリカゾル(旭電化工業(株)製)を使用した。
【0022】
【表1】
【0023】
(2)スラグ
表2に示す組成および粉砕度の異なる3種類のスラグを使用した。
【0024】
【表2】
【0025】
(3)セメント
表3に示す組成および粉砕度の異なるポルトランドセメントと高炉セメントを使用した。
【0026】
【表3】
【0027】
(4)増粘時間の調整剤
代表的な増粘時間の調整剤として炭酸水素ナトリウム(試薬1級:NaHCO3 )を使用した。
【0028】
実施例1〜9及び比較例1〜6
表1の中性シリカゾルと炭酸水素ナトリウムおよび水をA液とし、B液として表2のスラグ、表3のセメントの水懸濁液を用い、A液とB液を表4に示す割合で混合し各種の地盤固結材を調製した。得られた地盤固結材についてB型粘度計により増粘時間を測定し、また土質工学会基準「土の一軸圧縮試験方法」に準じて一軸圧縮強度を測定した。実施例1〜9の配合は、いずれも増粘後10分以上可塑状態が続いた。結果を表4に示す。
【0029】
【表4】
【0030】
・注1 3時間経過後も殆ど増粘しなかった。
【0031】
・注2 3時間経過後も500cpsに達しなかった。
【0032】
・増粘時間は液温20℃で測定した。
【0033】
実施例10〜12及び比較例7、8
上記実施例及び比較例の幾つかの配合について浸透試験を行った。その結果を表5に示す。
【0034】
<浸透試験>
5φ×100cmのアクリルパイプに豊浦標準砂を相対密度約60%となるように充填し、水で飽和させた後、上記代表的な実施例および比較例の配合液を注入圧1kgf/cm2 で注入し浸透距離を測定した。豊浦標準砂の充填は所定量を数回に分けて行い、その都度パイプの側面をハンマーで叩いた。また配合液の調製はミキサーにA,B両液を入れ10秒間攪拌により行った。なお浸透距離はパイプの外部から目視により明確に色の変化のある範囲を測定し浸透距離とした。
【0035】
【表5】
【0036】
・*比較例7は増粘が早いため、浸透距離が短くなったものと思われる。
【0037】
実施例13〜16及び比較例9、10
上記実施例および比較例の幾つかの配合について30℃における増粘時間を測定した。なお増粘時間の調整剤(炭酸水素ナトリウム)の使用量は表6のように追加し、他の量は同じとした。その結果を表6に示す。この結果より、高温においても増粘時間が長く、十分浸透可能であることが分かる。なお、可塑状態は比較例を除いて、実施例のものはいずれも30分以上であった。
【0038】
【表6】
【0039】
・*のついているものはゲル化時間(カップ倒立法による)である。
【0040】
実施例17、18及び比較例11、12
上記実施例および比較例の幾つかの配合について土中ゲル化時間、増粘時間(またはゲル化時間)を測定した。その結果を表7に示す。
<土中ゲル化時間測定法>
ミキサーで10秒間攪拌混合して配合液を調製し、その中から50gを直ちに豊浦標準砂100gに添加混合し静置した。そこへ竹串を刺し、引き抜いた時に串の跡が残るように成った時間を測定し、土中ゲル化時間とした。なお同時に残った配合液で増粘時間(比較例の場合はゲル化時間)を測定した。
【0041】
【表7】
【0042】
・比較例の場合(*印)はゲル化時間である。
【0043】
【発明の効果】
本発明は以上の通りであり、中性シリカゾルと微粒子セメント(及び必要に応じて微粒子スラグ)とを有効成分とする地盤固結材は、特定量の中性シリカゾルを使用することにより以下のような効果を発揮する。
【0044】
▲1▼中性シリカゾルを少量添加したことにより微粒子セメント(および微粒子スラグ)の注入時の土粒子間での目詰まりを低減させることが出来るため、地盤への浸透性が極めて優れている。
▲2▼比較的長い注入可能時間とすることが出来るため、1液配合として注入することも出来る。
▲3▼溶液型では見られない高い固結強度が得られる。
▲4▼中性シリカゾルは通常の水ガラスのように高アルカリ成分を多量には含有していないため、アルカリの溶脱による環境への影響が少ない。
▲5▼セメントを比較的多く使用した場合でも、中性シリカゾルは通常の水ガラスのような高アルカリ成分を殆ど含有していないため、固結物は耐久性がある。
セメントのカルシウム成分はアルカリにより水に溶解しやすくなるが、中性のシリカゾルを使用しているために、これと反応して水に溶解しにくい化合物(カルシウムシリケート類)になるため、固結物は耐久性が良好となるのである。
▲6▼止水効果が大きいために、掘削するような工事に対しても単独で目的を達することができる。
▲7▼浸透性が良好であるため、注入による地盤隆起がない。
Claims (1)
- 水ガラスのアルカリの大部分をイオン交換樹脂で除去し、造粒して得られた中性シリカゾルと、増粘時間の調整剤とを含有するA液と、微粒子セメントと、微粒子スラグとを含有するB液とからなる地盤固結材であって、次の要件を具備してなる地盤固結材。
(A) 中性シリカゾルの含有量が、SiO2 濃度30%のシリカゾル換算で全配合液中、0.5〜5容量%であること
(B) 微粒子セメントの配合量が、全配合液1,000mlあたり30〜300gであり、微粒子セメントが比表面積4,000cm2/g 以上であること
(C) 微粒子スラグが比表面積8,000cm2/g 以上であること
(D) 増粘時間の調整剤の使用量が、微粒子セメントに対し0.1〜10重量%であること
(E) 配合後、次第に増粘し、増粘時間は1分以上であり、10分以上可塑状態を保つが、ゲル化には至らないこと
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