JPH09165576A - スラグ系高強度グラウト剤 - Google Patents

スラグ系高強度グラウト剤

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JPH09165576A
JPH09165576A JP7347336A JP34733695A JPH09165576A JP H09165576 A JPH09165576 A JP H09165576A JP 7347336 A JP7347336 A JP 7347336A JP 34733695 A JP34733695 A JP 34733695A JP H09165576 A JPH09165576 A JP H09165576A
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slag
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sodium carbonate
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JP7347336A
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Tadashi Kitamura
正 北村
Masahiko Nagata
雅彦 永田
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Mitsui Toatsu Chemicals Inc
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    • C04B28/00Compositions of mortars, concrete or artificial stone, containing inorganic binders or the reaction product of an inorganic and an organic binder, e.g. polycarboxylate cements
    • C04B28/02Compositions of mortars, concrete or artificial stone, containing inorganic binders or the reaction product of an inorganic and an organic binder, e.g. polycarboxylate cements containing hydraulic cements other than calcium sulfates
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
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    • C04B2111/00034Physico-chemical characteristics of the mixtures
    • C04B2111/00112Mixtures characterised by specific pH values
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    • C04B2111/70Grouts, e.g. injection mixtures for cables for prestressed concrete

Abstract

(57)【要約】 【課題】 強度発現性、恒久性、施工性等が改良され、
周辺環境を汚染する危険性のない環境調和性を有する地
盤強化、安定等に用いられるグラウト剤を提供する。 【解決手段】 水砕スラグと炭酸ナトリウムを含有して
なるグラウト剤組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はグラウト剤組成物お
よびそれを使用する工法に関する。更に詳しくはスラグ
と炭酸ナトリウムからなる懸濁型のグラウト剤組成物お
よびそれを使用する工法に関する。本発明のグラウト剤
組成物はゲルの生成速度を数分から数十分にわたり任意
に調整する事が可能で、かつゲル化後の固結体強度がセ
メント並みの高強度を発現する。
【0002】
【従来の技術】グラウト剤を使用する薬液注入工法(グ
ラウト工法)は軟弱地盤の強化安定化等の目的で広く用
いられている。これまで、種々のグラウト剤(地盤注入
薬液)、工法が提案され実用化されている。いずれに於
いてもグラウト剤に対しては硬化後の強度、ゲルタイム
調製の容易さ、地盤への浸透性、環境への影響等様々な
性能が要求される。
【0003】現在最も多く用いられているのは水ガラス
を主剤とするグラウト剤である。その硬化剤としてはセ
メント、石灰、スラグ等のカルシウム化合物がすでに公
知である。例えば特開平7−166163号には、Si
2/Na2Oモル比が1.5〜2.8の範囲にある水ガ
ラスと微粒子スラグを有効成分とするグラウト剤が開示
されている。また、水ガラスの硬化剤としては硫酸、塩
酸、燐酸等の無機酸やその塩類またはグリオキザール、
エチレンカーボネート等もすでに公知であり、実用化さ
れている。
【0004】一般に水ガラス系グラウト剤の多くは、固
結後に於いても地下水中へのアルカリ成分や珪酸成分の
溶出が認められ、固結強度が経時的に低下するという問
題点がある。そのため、短期間の仮設用の地盤注入固結
薬剤としての使用が一般的であり、長期仮設や永久的な
地盤改良には向かない。
【0005】アルカリ成分や珪酸成分の溶出による強度
低下の問題を解決するため、例えば、特開昭59−15
2984号や特開昭59−152985号等では、水ガ
ラスを使用せず、地下水へのアルカリ成分の溶出を軽減
できるとするシリカゾル系グラウト剤を開示している。
しかしこれらのグラウト剤は総じて固結強度が低く、一
次的または数週間から1ケ月程度の比較的短期間仮設用
土質安定化剤として位置付けられている。
【0006】一方、固結体が高強度であるグラウト剤と
しては、セメントを中心とする懸濁型グラウト剤がすで
に公知である。例えば特開平1−133965号に代表
される技術である。しかし、汎用セメントはその1次粒
子径が比較的大きいため地盤への浸透性が不足する事が
知られている。近年では超微粒子セメントを用いる方法
が提案されているが、当該微粒子セメントは生産性が劣
り少量しか生産されておらず、価格も高価であるという
問題がある。
【0007】また一方、アクリルアマイド、水性尿素樹
脂等で代表される高分子系薬剤を地盤安定化用のグラウ
ト剤とする方法も知られているが、地下水への未硬化成
分の流出等による人体への影響が懸念され、その使用は
厳しく制限されているのが実態である。近年では平成7
年1月に発生した阪神大震災以後、都市周辺部の軟弱地
盤上に構築されたまたは構築しようとしている重要構造
物の地震災害防止のために、恒久性ないし耐久性に優れ
た高強度グラウト剤とその工法の必要性が強く求められ
ている。
【0008】水ガラス系やシリカゾル系のグラウト剤よ
りも強度に富むとされるグラウト剤として、高炉スラ
グ、転炉スラグ等のスラグを主剤としたグラウト剤が、
例えば特開平6−219796号や特開平6−2285
58号及び特開平7−119138号等に開示されてい
る。これらの開示技術に於いてはスラグに水ガラス溶液
またはアルミン酸ソーダ溶液等のアルカリ溶液を添加し
て比較的強固な固結体を得ようとするものであるが、そ
の多くは、固結体の1軸圧縮強度が数十Kgf/cm2
程度に留り、さらなる高強度化が望まれている。さら
に、これまでのスラグ系グラウト剤に関する公知技術で
は、その大部分がスラグ硬化剤成分が基本的に水溶液で
あり、事前に乾燥スラグとブレンドして1パック包装・
供給することが出来ず、注入現場でそれぞれ別個に計量
し配合混合分散させる等の作業が必須であり、繁雑さと
計量ミスの危険性があった。すなわち、代表的な1〜3
号水ガラスやアルミン酸ソーダ溶液は固形の状態では分
解ないし変質してしまう事からスラグ粒子とのドライブ
レンドはこれまで実現できなかった。またこのような技
術で得られたスラグ系ホモゲル固結体等は、総じて乾湿
繰返しによってクラックを生じる、いわゆる自己崩壊現
象がしばしば観察される。この現象は恒久性の観点から
大きな問題であり、改善が強く求められている。ゲルタ
イムについてもより幅広い範囲で調整可能なグラウト剤
が施工管理上優れていることは明らかであり、近年では
特に前記した課題を解決できる新規なグラウト剤が求め
られている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、種々
の地盤に対して浸透性に優れ、ゲル化後の固結強度立ち
上がりが速く、数日で実用強度が得られる早強型高強度
グラウト剤を提供することである。本発明の他の目的は
その固結体が恒久性に富み、自己崩壊現象等の不具合を
生じない新規なスラグ系懸濁型グラウト剤を提供するこ
とである。本発明のさらに他の目的は、そのグラウト薬
剤の有効成分同士を事前に所定量ドライブレンドして1
パック包装して供給できるようにすることで、配合ミス
や薬剤調製の繁雑さを軽減できる高い信頼性を発揮する
グラウト剤を提供することである。本発明のさらに他の
目的はその薬剤を用いた軟弱地盤や岩盤亀裂等に代表さ
れる土質不安定地盤の強化安定化工法等を提供すること
である。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記課題を克
服すめため鋭意検討した結果、水砕スラグに炭酸ナトリ
ウムを加えることで、それ自体では自硬性をもたないス
ラグ粒子が徐々にかつ安定的に一定時間内でゲル化・固
化すること、懸濁成分が同程度のセメントを主成分とす
る硬化体と比較して何等遜色ない強固な固結体を形成す
ること、また自己崩壊現象も認められないこと、また該
固結体はセメント固結体と同様の結晶構造からなる固結
体である事等を確認し、前記課題を満足するグラウト剤
であるとの結論を得、本発明を完成するに至った。
【0011】すなわち、本発明は1m3当たり水砕スラ
グを100〜1,500kg、硬化剤として炭酸ナトリ
ウムを20〜200kg及び水を含有してなる強度発現
性及び浸透性に優れたグラウト剤組成物である。また本
発明は上記グラウト剤を、1液にてグラウト注入管を介
して地中の不安定地盤や岩盤亀裂隙間に圧入して固結さ
せ、地盤や岩盤を強化安定させる工法、前記グラウト剤
を、二重管式のグラウト注入管を介して複相注入し、地
盤や岩盤を強化安定させる工法および前記グラウト剤
を、水を超高圧吐出させて出来た地盤内の連続隙間に対
しグラウト注入管を介して圧入して固結させるジェット
グラウト工法用の注入薬剤として用いることを特徴とす
る連続地中杭または連続地中壁の構築方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明のグラウト剤は、基本的に
は水砕スラグと炭酸ナトリウムとからなる懸濁型グラウ
ト剤である。その性能としては、高強度、高恒久性が最
も重要な特徴であり、かつ懸濁型としては硬化が速く、
ゲルタイムはいわゆる中結と呼ばれる数分の領域をも達
成可能としたことがあげられる。これにより複相注入工
法への応用も可能である。
【0013】本発明の水砕スラグとしては、高炉水砕ス
ラグ、転炉水砕スラグ、電炉水砕スラグ、平炉水砕スラ
グ等に代表される金属製錬副産物の水砕スラグが好まし
い例として挙げられる。より好ましくは、SiO2分と
して30〜35重量%、CaO分として35〜45重量
%、Al23分として13〜20重量%、MgO成分と
して5〜8重量%、その他の成分を数重量%含む等の各
組成比で構成されてなる高炉水砕スラグがあげられる。
【0014】スラグとしては金属製錬徐冷スラグは本発
明から除外される。理由は該徐冷スラグ類は結晶質スラ
グであり、潜在硬化性が無いからである。しかし、本発
明の水砕スラグ成分中には、結晶質な成分が少量混在し
ていても良く、基本的に水冷却法のいわゆる水滓法で得
た該非晶質スラグであれば好ましく使用できる。
【0015】一般的に水砕スラグ(水滓スラグとも言
う、以下単にスラグと呼ぶ)はそれ自身では自硬性は示
さない。しかし、アルカリの共存下の水溶液中や高湿度
環境下ではSiO2やAl23成分が溶出し次いでCa
イオンが溶出してスラグ粒子表面等に珪酸カルシウム水
和結晶ゲルが生成し、該粒子相互は次第に凝固・ゲル化
し、時間の経過と共に固結することで固結体が最終的に
得られ、その固結体の強度が経時と共に増大する事が良
く知られている。その際使用するアルカリ量は過少の場
合には一向に一体的なゲル化がおこらなかったり、過大
の場合にはスラリー粘度が過大で流動性不良でポンプ送
液が出来なかったり、粘性変化が顕著な為に地盤注入が
中断されるまたは全く出来ない等の障害をきたす事が一
般的な事実としてあり、本発明のアルカリ硬化剤成分で
ある炭酸ナトリウムの場合も例外ではない。
【0016】本発明に使用できるスラグの好ましい粒子
サイズ分布は、3,000cm2/g以上のブレーン値
(g当りの比表面績を表す値)を持ち、最大粒子サイズ
が250μm以下とする事、好ましくはブレーン値で
5,000cm2/g以上、より好ましくはブレーン値
で8,000cm2/g以上とする事が以下の理由から
肝要な事である。
【0017】粗粉砕品であるブレーン値で3,000〜
5,000cm2/gの範囲の物を用いても基本的に高
強度固結体の生成は可能であるが、地盤浸透性が劣り、
浸透地盤注入用のスラグとしては不適当である。但し、
ジェットグラウト工法用のグラウト注入剤用スラグとし
ては何等問題なく使用できる。従って、地盤浸透性を完
全確保する観点に立つ場合には、本発明のグラウト剤用
スラグとしては、ブレーン値で8,000cm2/g以
上のものが好ましく、約10,000cm2/gのもの
がより好ましい。ブレーン値の上限に特に制限はない
が、製造上の点から通常は30,000cm2/gであ
る。
【0018】また、本発明のグラウト剤中の前記スラグ
の量はグラウト総量1m3当り100〜1,500kg
の範囲である。好ましくは200〜1,000kgの範
囲、より好ましくは300〜800kgの範囲とする事
が良い。スラグ配合量がグラウト総量1m3当り100
kg未満に於いては、数時間内でのゲル化が困難なばか
りか凝結が緩慢で最終的な固結体の強度が実用性に乏し
いからである。また一方スラグ配合量がグラウト総量1
3当り1,500kgを越えると、懸濁溶液粘度が高
くなりすぎて流動性や注入作業性に欠けるからである。
【0019】硬化剤として用いるアルカリ剤は炭酸ナト
リウムである。その炭酸ナトリウム中には炭酸カリウム
又は重炭酸カリウムを含有させてもよい。あるいは炭酸
カリウムに変えて第2及び又は第3アルカリ金属燐酸塩
を含有させてよい。また、さらに重炭酸ナトリウムを少
量含んでいても良く、成分中の重炭酸化割合は10重量
%未満であれば好ましく使用できる。炭酸ナトリウムは
固形であっても、水溶液で配合しても良い。また炭酸カ
リウム又は重炭酸カリウムを配合する場合はこれらの各
成分を個々に別々に計量してスラグと混和させても良
い。第2及び又は第3アルカリ金属燐酸塩を配合する場
合も同様である。
【0020】炭酸ナトリウムを水溶液として添加配合す
る場合には、その水溶液のpHを11.5以上とする事
が肝要な事であり、より好ましくはpHを12以上とす
る事が良い。また、pH11.5以上となる様に、炭酸
カリウムまたは重炭酸カリウムを適宜配合した水溶液あ
るいは第2および又は第3アルカリ金属燐酸塩を適宜配
合した水溶液も好ましい本発明の硬化剤成分となりう
る。しかしながら、一般に、硬化剤成分中に必要以上の
該燐酸塩または重炭酸アルカリを添加配合した場合、得
られる硬化剤水溶液のpH値がしばしば11.5以下と
なる事が多い。また一旦得たpH11.5以上の硬化剤
水溶液に必要以上の空気中の炭酸ガスを吸収させたりし
て重炭酸アルカリ量を増加させた場合等でもpH値が1
1.5以下になる場合があり、注意が必要である。硬化
剤水溶液pH値が11.5以下とした場合の当該グラウ
ト剤組成物では、スラグの潜在硬化性が十分引出せずに
少なくとも室温で24時間経過しても十分なゲル化や凝
結が完結しない等の弊害が発生する為、本発明の好まし
い硬化剤とは言えない。
【0021】炭酸ナトリウムの量は、グラウト総量1m
3当り20〜200kgの範囲であり、好ましくは50
〜200kgの範囲、より好ましくは100〜200k
gの範囲である。20kg未満の配合量ではグラウト固
結強度が低く耐久性に欠けるからであり、一方、200
kgを越えるとそれ以上増量しても特に顕著な効果が見
出せないばかりか高コストとなるからである。
【0022】本発明では、炭酸ナトリウムと共に、ゲル
タイム調整と液粘度の安定化の目的で前記の如く炭酸カ
リウムを併用することは何等問題ない。同様の目的で炭
酸第2及びまたは第3アルカリ金属燐酸塩を併用しても
良い。これらの併用によって、配合直後の液粘度を比較
的低い領域に保つことが可能となる。ただし、炭酸ナト
リウムのみの使用においても浸透注入に支障を来すほど
の液粘度になるわけではない。炭酸カリウムの添加量は
炭酸ナトリウムの添加量を超えない範囲が好ましい。炭
酸ナトリウムの添加量を超えて用いても、高コストとな
り、ゲルタイムが必要以上に長くなるため有効でないか
らである。
【0023】また、第2及びまたは第3アルカリ金属燐
酸塩を配合する場合は、その含有比率をごく少量とする
事が肝要である。その理由は、該燐酸塩はスラグの水和
硬化性を遅延させる硬化助剤として作用するものと推定
され、したがってその含有比率によって任意のゲルタイ
ムが調整可能となるからである。該燐酸塩の固形分換算
で表される添加量はグラウト総量1m3当り5kgを超
えない範囲である。5kgを超えて添加された場合で
は、スラグの硬化性が著しく阻害されるケースがあるの
で注意する必要がある。比較的短いゲルタイムに調製す
る場合はグラウト総量1m3当り好ましくは0.05〜
3kgの範囲、より好ましくは0.1〜1kgの範囲で
ある。グラウト総量1m3当り0.05〜0.1kg程
度配合で低粘度数分のゲル化挙動を実現できる。またグ
ラウト総量1m3当り3〜5kg程度配合で数十分単位
のゲル化凝結挙動を実現できる。
【0024】本発明のグラウト剤組成物に於いて、炭酸
ナトリウムはスラグの潜在水硬性を引出すだけでなく、
極めて特徴的な事として、以下の基本的なグラウト適性
等を十分満足させる事が出来、本発明の重要な必須成分
である。第1にスラグ−アルカリ水懸濁液の初期粘度を
地盤浸透注入可能な低粘度とすることができる。第2に
その結果、地盤等への注入圧力が低く設定でき、高速注
入が可能となる。第3に数分から数十分の再現性良いゲ
ル化・固結時間を任意に安定的に容易に調整でき、ゲル
化後は数日で実用強度を発現する(早強型グラウト剤と
なる)。第4に固結体はほぼスラグと同量配合され水で
固結させたセメント固結体と同等若しくはそれ以上の高
強度特性を示し、それ自身で乾湿繰返しに対して安定で
あり、耐久性に富むスラグ系固結ゲルとなる。第5に炭
酸ナトリウムはスラグとドライブレンドが可能であり、
その混合粉組成物は長期間安定した状態が得られ、1パ
ックでグラウト注入現場に供給可能である。よって、事
前に任意のグラウト注入メーカーの要望に完全に一致し
た形での供給体制が容易に確立でき、現場での煩雑さを
回避でき、配合ミスが皆無となり、結果として本発明の
グラウト剤の凝結信頼性や注入作業安定性が確保され
る。
【0025】上記成分に加えて、更に本発明のグラウト
剤では、アルカリ領域で安定化されたコロイダルシリカ
溶液を添加して良い。コロイダルシリカ溶液を添加した
本発明のグラウト剤組成物では特別な液安定性を確保で
きる。すなわち、配合時の混練攪拌後のいわゆる静置状
態での系の均一安定性が著しく向上する。
【0026】コロイダルシリカ溶液とは、公知の方法で
得た物を使用してよい。一般的にはアルカリ水ガラス溶
液中のアルカリ分をイオン交換樹脂で除去することによ
りその液中に10〜30mμサイズの超ミクロサイズの
珪酸ゲル粒子を生成させた後、再度苛性ソーダまたは苛
性カリウム等の微量のアルカリ成分を添加して長期保存
安定性を確保する等の方法で得た物が一般的で、好まし
く使用できる。より具体的にはコロイダルシリカ溶液と
して、SiO2で示される有効成分の固形分換算で5〜
50重量%の溶液が使用され得る。グラウト総量1m3
当り、該水溶液として20〜250kgの範囲で、より
好ましくはSiO2で示される有効成分の固形分換算で
10〜30重量%とした該水溶液を50〜100kgと
する事が良い。
【0027】コロイダルシリカ自身もすでに多くの文献
から明らかな様に、水ガラス溶液と同様、ゲル化能力を
基本的に有している為、本発明のグラウト剤成分として
使用した場合、何等そのグラウト作業性や固結体物性に
悪影響を与えない。すなわち、本発明のグラウト剤に於
いては、1液かつ数十分のゲルタイムを有するグラウト
剤の有効成分として前記スラグと炭酸ナトリウムと上記
コロイダルシリカを含有させた懸濁型グラウト剤組成物
が、低粘度でかつ静置注入薬液の長時間安定性の点で優
位であることからより好ましい本発明の態様である。
【0028】また本発明のグラウト剤では前記有効成分
の他に、更に必要に応じて以下の公知のセメント用添加
剤、公知のスラグ以外の水硬性無機微粒子、公知の非水
硬性無機微粒子、公知の界面活性剤等を本発明の目的に
合致する範囲内で併用使用して良い。
【0029】公知のセメント用添加剤とは、具体的にセ
メント用凝結促進剤、セメント用凝結遅延剤、セメント
減水剤、有機系のセメント粒子沈降分離軽減剤等があ
り、好ましくはその内のセメント用凝結促進剤、セメン
ト用凝結遅延剤、セメント減水剤の群から選ばれた1種
または2種以上とする事が良い。これらのセメント用添
加剤はグラウト総量1m3当り最大50kg未満の範囲
で、好ましくは市販の有り姿で30kg未満で使用して
良い。
【0030】本発明のグラウト剤成分として併用使用で
きる好ましいセメント用凝結促進剤としては、アルカリ
金属またはアルカリ土類金属の酸化物、塩化物、硫酸
塩、硝酸塩やその他、アルカリ土類金属炭酸塩やその水
酸化物等があげられる。また同様に本発明に併用使用で
きるセメント用凝結遅延剤としては、例えば燐酸やホウ
酸等の無機酸類、クエン酸やグルコン酸などの有機酸
類、庶糖やグラニュー糖やブドウ糖などの糖類等があげ
られる。また同様に本発明に併用使用できるセメント減
水剤としては、メラミン系減水剤、ナフタレン系減水
剤、リグニン系減水剤等すでに公知の各種の有機系セメ
ント減水剤が挙げられる。また同様に本発明に併用使用
できる有機系のセメント粒子沈降分離軽減剤には、メチ
ルセルロースやヒドロキシセルロースや可溶性デンプン
やポリビニルアルコール等があげられる。また同様に本
発明に併用使用できる公知のスラグ以外の水硬性無機微
粒子には、ベントナイトで代表される粘土、非晶質な微
細アルミナ粉、微細なセメント粉、半水石膏粉、無水石
膏粉、活性白土粉、オルトケイ酸ガラス粉などがある。
また同様に本発明に併用使用できる公知の非水硬性無機
微粒子には、結晶質微細シリカ、結晶質微細アルミナ、
炭酸カルシウム粉、チタンホワイト粉、ベンガラ、タル
ク粉などが挙げられる。また同様に本発明に併用使用で
きる公知の界面活性剤には、アニオンセッケン、カチオ
ンセッケン、ノニオンセッケンなどがある。
【0031】前記した公知のスラグ以外の水硬性無機微
粒子、公知の非水硬性無機微粒子、公知の界面活性剤等
は、本発明のグラウト剤の基本性能に悪影響がみとめら
れない事を事前に確認して使用される事が肝要なことで
あり、基本性能を妨害しない範囲内で本発明のグラウト
剤に併用使用して良い。
【0032】スラグと炭酸ナトリウムを含みまた必要に
応じてコロイダルシリカ成分を併用してなる本発明のグ
ラウト剤は、基本的に1液としても、または2液として
用いても良く、特に制約は無い。グラウト剤の硬化時間
が数分から20分前後と短い場合は通常2液とし、注入
管先端混合または注入管直前混合などの方法で当該グラ
ウト剤組成物を形成させる事が出来る。2液とする形態
には特に制約はないが、一般的には主剤液としてスラグ
と水とからなる懸濁液とし、もう一方の硬化剤液を炭酸
ナトリウム溶液とし、必要に応じてコロイダルシリカ溶
液はそのいずれか一方または両方に含有させる等の方法
が好ましく採用できる。また例えば主剤液としてスラグ
と水と少量の炭酸ナトリウム成分からなる懸濁液とし、
もう一方の硬化剤液を残りの炭酸ナトリウム水溶液とす
る等の方法も好ましい。
【0033】またグラウト剤の硬化時間が30分〜1時
間程度と長い場合は通常1液とし、注入単管から当該グ
ラウト剤組成物を圧入吐出させる工法が好ましく採用出
来る。1液型グラウト剤の事前配合形態には特に制約は
なく、固体スラグ粉と炭酸ナトリウム粉とを事前に所定
量ドライブレンド包装して搬送し、地盤注入現場にて開
封後、所定量の水にて分散溶解混合させるなどの調製方
法が好ましく採用できる。
【0034】前記の様にして調製された本発明の1液ま
たは2液型グラウト剤を用いた地盤安定化工法として
は、一般的には事前に埋没してある地盤注入管を介して
地盤注入し、不安定地盤を安定化させる工法が好まし
い。特に、本発明のグラウト剤を1液化として調製し、
グラウト注入管を介して地中の不安定地盤や岩盤亀裂隙
間に圧入して固結させ、地盤や岩盤を強化安定させる工
法が、注入作業が簡便であることから好ましい。
【0035】また、本発明のグラウト剤を二重管式のグ
ラウト注入管を介して複相注入し、地盤や岩盤を強化安
定させる工法も好ましい工法である。さらにまた本発明
のグラウト剤を連続地中杭または連続地中壁を構築する
方法用のグラウト剤として使用する事が可能である。具
体的には、水を超高圧吐出させて出来た地盤内の連続隙
間に対しグラウト注入管を介して圧入して固結させる、
いわゆるジェットグラウト工法用の注入薬剤として本発
明の前記グラウト剤組成物を用い、固結させ、結果とし
て連続地中杭または連続地中壁を構築することができ
る。
【0036】また地盤の安定化に際し、公知の水ガラス
系完全溶液型の30分から1時間程度の長結硬化型の薬
剤と本発明の比較的短時間硬化型のグラウト剤との2種
または3種以上のグラウト薬剤を複相注入する事で緊急
止水と高強度で低コストな地盤改良を達成することがで
きる。従って、公知のその他のグラウト剤との複相繰返
し注入工法などであっても本発明のグラウト注入工法に
は包含される。
【0037】
【実施例】以下に本発明の実施例、比較例及び施工例を
示すが、本発明はこれらによって限定されない。また、
例中の%、部とはそれぞれ重量%、重量部を意味する。
【0038】[使用材料] 1.スラグ 市販の高炉水砕スラグ(商品名:ファインセラメント)
を使用した。ただしブレーン値はコンクリート協会で指
定されたセル通気法で求めたブレーン測定値である。ス
ラグの種類とブレーン値の結果を下記表−1に記す。
【0039】
【表1】
【0040】2.硬化液(炭酸ナトリウム水溶液) 以下の表−2に示す配合の水溶液(No.1〜5)を調
製して使用した。このうち、No.5は主要成分を配合
した水溶液に燐酸を添加してpH11に調整した。N
o.6は炭酸ナトリウムの粉体である。
【0041】
【表2】
【0042】3.コロイダルシリカ溶液 市販品(商品名:カタロイド)を使用した。該溶液はS
iO2の有効成分濃度30%であり、pH値が9.5、
一次珪酸ゲル粒子サイズが20mμである。 4.添加剤 試薬である炭酸カルシウム(No.1)、同クエン酸
(No.2)を使用した。 5.セメント減水剤 メラミン系減水剤の1種である三井東圧化学社製品:メ
ルフロー40を使用した。 6.水ガラス溶液 市販の1号水ガラス溶液をそのまま使用した。
【0043】実施例1 下記表−3に示す割合で硬化液No.1の500gを5
L容量の配合容器に採り、強攪拌下にNo.2スラグの
500gを加え、添加混合3分後に市水を加えて1Lと
し、1分間攪拌混合した。この様にした得た実施例1の
懸濁溶液状のグラウト剤を以下の方法で評価した。
【0044】ゲルタイムは、硬化液に対しスラグを添加
終了した時点を基点とし、調製された配合液を静置状態
から傾斜させて動性が失われたと判断された時点までの
経過時間で計測し、表−4に表示した。
【0045】浸透性は、透明アクリル製円筒容器(直径
50mm、長さ1m)に予め充填高さ50cmとなるよ
うに豊浦標準砂を充填し、攪拌を終了した直後の液50
0mLを豊浦標準砂層の上部から、穴の直径が1mm程
度の多孔質遮蔽案内板を介して、浸透圧力1kgf/c
2の一定加圧状態で浸透させることにより測定した。
標準砂粒子相互間の間隙に浸透する場合、浸透層が下部
にむかって徐々にスラグ自体の白濁懸濁色で不透明化す
る状態が外部からの目視観察で観察される事から浸透性
の可否を判断し、標準砂層充填域全般が前記状態に目視
観察された場合を浸透性良好(合格)との判断で判定し
た。結果は表−4に記載した。
【0046】離漿水、一軸圧縮強度、自己崩壊性の評価
は次のようにして行った。配合液を攪拌終了後直ちにモ
ールド(50mmφ×100mm)に填充し、1日後に
脱型した。このとき生じている離漿水量を測定し硬化体
に対する体積比を算出し4段階評価した。得られたホモ
ゲルは7日間水中養生後、一軸圧縮強度の測定に供し
た。この際のクロスヘッド速度は1mm/minとし
た。結果は表−4に記載した。
【0047】自己崩壊性の有無は、モールド(50mm
φ×100mm)から硬化養生5日後に脱型したホモゲ
ルを、1時間市水中に浸漬し、表面の水分を拭き取った
後、気中に1時間放置した。この操作を5回繰り返し、
目視による観察を行って、クラックが全く認められない
ものを自己崩壊性なし(合格)と判断した。結果は表−
4に記載した。
【0048】恒久性評価は以下の方法により実施した。
表−3に従って調製した配合液と豊浦標準砂とを重量比
1:4で混合し、モールド(50mmφ×100mm)
に填充し、1日後に脱型して得られるサンドゲルを7
日、1カ月、3カ月、6カ月、12カ月間水中養生後、
一軸圧縮強度を測定することにより恒久性の評価とし
た。結果は表−5にまとめて記載した。
【0049】実施例2〜20 表−3の配合に従い、実施例1と同様に配合液を調製
し、物性評価を行った。実施例11以下におけるコロイ
ダルシリカ、添加剤、減水剤は、硬化液及び水に続いて
配合し、最後にスラグを配合して所定の配合液とする。
結果は表−4にまとめて記載した。恒久性評価について
は、実施例3、5、13、18について、実施例1と同
様の方法で実施した。結果は表−5にまとめて記載し
た。
【0050】実施例21 ポリスチレン−アルミ泊ラミネート型の、内容量100
0mLのパック袋を用意し、実施例1と同量の有効成分
量となるよう、炭酸ナトリウム粉体(硬化剤No.6)
の125gとスラグ(No.3)の500gとをドライ
ブレンドし、該パック袋に装填してドライミックスパッ
クを作製した。室温下で1ヶ月保存した後、開袋し内容
物全量と必要量の市水を加えて1Lとして攪拌した。こ
のように調製した薬液を用いて、上記と同様の物性評価
及び恒久性評価を実施した。その結果、実施例1の結果
と全く同様の結果を得た。
【0051】参考例1〜3、比較例1〜9 表−3の配合に従い、実施例と同様に配合液を調製し、
物性評価を行った。結果は表−4にまとめて記載した。
【0052】比較例10、11 表−3の配合に従い、水ガラスとスラグからなる配合液
を調製し、物性評価は他の比較例と同様に実施した。結
果は表−4にまとめて記載した。
【0053】施工例1 上記実施例1及び13について、実際の地盤に対して施
工試験(グラウト適性)を実施した。グラウトマシンを
使用して、配合液を2kgf/cm2の圧力で地盤に注
入を実施し、概ね直径1m、深さ3mの範囲に浸透させ
た。7日後に掘り出して、各部を観察したところ、どの
部位においても均一な浸透固結体を形成していた。クラ
ックや著しい体積収縮は観察されず、周辺の土壌に対す
るアルカリ汚染等も認められなかった。
【0054】施工例2 上記実施例1及び13について、実際の地盤に対して施
工試験(ジェットグラウト適性)を実施した。水を超高
圧(500kgf/cm2)吐出させることで、地盤に
約1m間隔でジェットグラウト孔(直径1.5m×深さ
3m)を空け、それによってできた連続間隙に配合液を
圧入した。10日後に周辺を掘り起こしたところ、圧入
範囲全般にわたって連続壁が構築されていた。各部とも
クラックや著しい体積収縮は観察されず、周辺の土壌に
対するアルカリ汚染等も認められなかった。
【0055】施工例3 上記参考例1及び2について、施工例2と同様の方法
で、実際の地盤に対して施工試験(ジェットグラウト適
性)を実施した。浸透注入には適さないスラグ(No.
1)を用いているものの、ジェットグラウト適性は良好
で施工例2の場合と何等変わりなく圧入が可能であっ
た。10日後に周辺を掘り起こしたところ、圧入範囲全
般にわたって連続壁が構築されていた。各部ともクラッ
クや著しい体積収縮は観察されず、周辺の土壌に対する
アルカリ汚染等も認められなかった。
【0056】
【表3】
【0057】
【表4】 ・いずれも上記配合に、水を加えて1Lとする。
【0058】
【表5】
【0059】
【表6】 (表−4の記号説明) [浸透性]○:標準砂に浸透可能 [離漿水]◎:0.1%以下 ×:標準砂に浸透不能 ○:1%以下 [自己崩壊性]○:肉眼で認められない △:5%以下 ×:肉眼で認められる ×:5%以上
【0060】
【表7】
【0061】
【発明の効果】上記の物性評価結果(表−4)より、実
施例1〜21においては、ゲルタイムが概ね5〜70
分、一軸圧縮強度が150kgf/cm2以上となる結
果が得られた。いずれも浸透性にも問題ないため、本発
明の例として適切である。実施例1〜6の結果より、ス
ラグと硬化液を同重量ずつ配合する基本配合において
は、本発明の範囲の材料及び配合比であれば、スラグと
硬化液のみの組合わせで良好な性質を持つグラウト剤が
できることが示される。このうち、実施例1〜4におい
ては、本発明の範囲内にある硬化液を用いた場合には、
良好な性質を維持し得ることが示され、実施例5、6に
おいては、比表面積をより大きくしたスラグとの組合せ
についても同様のことが示される。また、実施例7〜1
0においては、スラグの配合量を本発明の範囲内で変化
させることによっても、良好な性質が保持されることが
示される。
【0062】一方、実施例11〜20においては、添加
剤として炭酸カルシウム、クエン酸、コロイダルシリ
カ、メラミン減水剤等を用いた例であるが、本発明の効
果を損なわず、凝結時間調節、強度増強等の効果を有す
ることが判明した。このうち、実施例11、12におい
ては、炭酸カルシウム添加と硬化液増量により、強度増
強とゲルタイム短縮が達成され、実施例14、16のよ
うに、コロイダルシリカを添加した系でも、上記と同様
の効果が認められる。実施例15、17においては、ク
エン酸添加によるゲルタイム延長が達成された。実施例
13〜17、20に見られるように、コロイダルシリカ
添加によっては強度低下等は見られず、安定性向上に効
果を示した。実施例18、19に見られるように減水剤
の添加も可能であった。実施例20においては、コロイ
ダルシリカ増量によるゲルタイム短縮効果が見られる。
さらに、実施例21は、本発明の必須成分をドライパッ
クとした後に、一定時間保存後使用したケースである
が、通常の方法で作製した場合と全く同等の結果が得ら
れることが示され、主剤スラグと硬化剤炭酸ナトリウム
は、1パック化供給可能であることが判明した。
【0063】上記実施例と比較して、参考例1〜3のよ
うに、微粒子化していないスラグを用いると、硬化はす
るものの、浸透注入を想定した場合の浸透性が十分でな
く、施工例3に示されるように、ジェットグラウト工法
にのみ適用可能である。硬化液のpHについては、比較
例1のようにpH11.5を下回ると、硬化が著しく遅
延するため好ましくない。比較例2、3のように、炭酸
ナトリウムの配合量が上限を超えると、ゲルタイムが著
しく短くなり、初期粘度の上昇から浸透性も十分でな
い。一方、比較例4、5のように炭酸ナトリウムの配合
量が下限を下回ると、少なくとも24時間以内には硬化
が観察されない。
【0064】また、比較例6、7のように、水の配合量
に対してスラグ量が過小となった場合も、少なくとも2
4時間以内には硬化が観察されず、本発明の主旨に合致
しない。一方、比較例8、9のように水の配合量に対し
てスラグ量が過大となると、配合初期からペースト状に
なり浸透性が著しく劣る。さらに、比較例10、11の
ように、水ガラスを用いた従来のスラグ系グラウト剤に
おいては、一軸圧縮強度が実施例に及ばず、自己崩壊現
象も観察されるため、恒久性グラウトとして好ましくな
い。一方、上記の恒久性評価結果(表−5)より、いず
れの配合においても、3日後の早期に高強度が発現し、
かつ経時変化は強度が増強する方向へ向っている。これ
は未水和粒子の水和・凝結が早期にすばやく進むためと
推定されるが、自己崩壊現象も見られず、恒久的な強度
保持が認められる。また、施工例1及び2に示されるよ
うに、本発明のグラウト剤は通常のグラウト機材で施工
するに充分な施工性を有しており、良好な強化地盤また
は連続地中壁を形成しうる。
【0065】以上の結果を総合すると、本発明のスラグ
と炭酸ナトリウム及び水とを主成分とするグラウト剤を
使用することで以下の点において効果が顕著である。 1.セメント硬化体と同様の結晶構造を持ち、従来殆ど
実現できなかった150kgf/cm2以上の圧縮強度
を数日で実現可能である。 2.恒久性についても良好であり、自己崩壊現象等も見
られない、信頼性の高い固結体を与える。 3.スラグの粒度を限定することで、土壌への浸透性が
良好となり、概ね全ての地盤への浸透注入工法に適用可
能である。ジェットグラウト工法には、スラグの粒度に
関わらず適用可能である。 4.ゲルタイムの調整が容易で、施工事例によって適切
なゲルタイムを選択できる。 5.危険物、人体に対し有害なものを含まず、地下水等
への汚染が皆無である環境調和型グラウト剤とすること
ができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 //(C04B 28/08 22:10 22:16) 111:70 C09K 103:00

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1m3当たり水砕スラグを100〜1,
    500kg、硬化剤として炭酸ナトリウムを20〜20
    0kg及び水を含有してなる強度発現性及び浸透性に優
    れたグラウト剤組成物。
  2. 【請求項2】 水砕スラグがブレーン値8,000cm
    2/g 以上の微粒子スラグである事を特徴とする請求項
    1記載のグラウト剤組成物。
  3. 【請求項3】 水砕スラグが高炉水砕スラグである事を
    特徴とする請求項1または2記載のグラウト剤組成物。
  4. 【請求項4】 炭酸ナトリウムが水溶液からなり、その
    pHが11.5以上であることを特徴とする請求項1〜
    3記載のいずれか1項記載のグラウト剤組成物。
  5. 【請求項5】 炭酸カリウムが、炭酸ナトリウム配合量
    を超えない範囲で含有されている事を特徴とする請求項
    1〜4記載のいずれか1項記載のグラウト剤組成物。
  6. 【請求項6】 第2又は第3アルカリ金属燐酸塩を、グ
    ラウト総量1m3当り固形分換算で0.01〜5kgの
    範囲で含有していることを特徴とする請求項1〜4記載
    のいずれか1項記載のグラウト剤組成物。
  7. 【請求項7】 更にpHが8以上のシリカ濃度5〜50
    重量%からなるコロイダルシリカ水溶液をシリカ分固形
    分換算でグラウト総量1m3当り20〜250kgの範
    囲で含有してなる請求項1〜6記載のいずれか1項記載
    のグラウト剤組成物。
  8. 【請求項8】 更にセメント用凝結促進剤、セメント用
    凝結遅延剤及びセメント減水剤から選ばれた1種または
    2種以上をグラウト総量1m3当り50kg以下含有さ
    せてなる請求項1〜7記載のいずれか1項記載のグラウ
    ト剤組成物。
  9. 【請求項9】 100〜1,500重量部の水砕スラグ
    及び20〜200重量部の炭酸ナトリウムよりなるグラ
    ウト剤用組成物。
  10. 【請求項10】 請求項1〜8記載のいずれか1項記載
    のグラウト剤を、1液にてグラウト注入管を介して地中
    の不安定地盤や岩盤亀裂隙間に圧入して固結させ、地盤
    や岩盤を強化安定させる工法。
  11. 【請求項11】 請求項1〜8記載のいずれかのグラウ
    ト剤を、二重管式のグラウト注入管を介して複相注入
    し、地盤や岩盤を強化安定させる工法。
  12. 【請求項12】 請求項1〜8記載のいずれか1項記載
    のグラウト剤を、水を超高圧吐出させて出来た地盤内の
    連続隙間に対しグラウト注入管を介して圧入して固結さ
    せるジェットグラウト工法用の注入薬剤として用いるこ
    とを特徴とする連続地中杭または連続地中壁の構築方
    法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1999067183A1 (en) * 1998-06-08 1999-12-29 Fortum Power And Heat Oy Method and grouting composition for filling cracks in stone and concrete constructions
JP2002088752A (ja) * 2000-09-19 2002-03-27 Kyokado Eng Co Ltd 地盤固結工法
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WO2020255646A1 (ja) * 2019-06-20 2020-12-24 株式会社フッコー 高炉スラグ系塗料

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