JP3721097B2 - 分子認識蛍光体、それを用いた標的物質の測定方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、生体関連物質、環境関連物質等の標的物質の高感度測定法に用いられる分子認識蛍光体、それを用いた標的物質の測定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
抗体もしくは抗原を用いた標的物質の一般的測定方法としては、酵素免疫測定法、ラテックス凝集法、免疫クロマト法がある。酵素免疫測定法は被検体試料の添加、洗浄、酵素標識抗体の添加、洗浄及び発色基質の添加といった煩雑な操作が必要となり、簡便な一段階操作測定法であるラテックス凝集法では測定感度が低くなり、免疫クロマト法では定量性がないということが問題であった。
【0003】
従来から、有機蛍光発光物質が標識された抗体を用いる方法が提案されているが、酵素標識抗体を用いる方法に比べて感度が低く、定量測定にはほとんど適用されていない。蛍光発光物質の中では、希土類イオンが有機蛍光発光物質に比べて発光強度が高く、希土類錯体を抗体の標識物質として用いた「DELFIAシステム」という免疫測定法が提案されている。(分析化学 1999,Vol.48,No.12,P.1077−1083)。希土類イオンは水溶媒中では水分子の配位によって蛍光強度は著しく低くなるため、特定の配位子と錯体を形成させる必要があり、DELFIAシステムではN1−(p−isothiocyanatobenzyl)−diethylenetriamine−N1,N2,N3,N4−tetraacetic acid−Eu3+錯体を抗体の標識蛍光体として用いているが、その蛍光強度は低く抗原抗体反応の後で2−naphthoyltrifluoroacetone、トリオクチルホスフィンオキシド及びトリトンーX100から成る蛍光増感剤を添加する必要があった。
【0004】
これに対し、芳香族アミン誘導体やβージケトン類を配位子とする蛍光増感剤不要の希土類錯体が検討されている。(Anal.Chem. 1998,Vol.70,P.596−601;Helvetica Chimica Acta 1997,Vol.80,P.372−387)しかしながら、これらの希土類錯体の製造法は複雑であり、工業的生産には不利であった。また、依然として錯体の蛍光強度や安定性にも問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記に鑑み、無機蛍光物質を特定の配位子と錯体を形成させることなく安定に蛍光体とした分子認識蛍光体及びそれを用いた標的物質の測定方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の分子認識蛍光体は、無機化合物もしくは有機ポリマー内部に無機蛍光物質を有する蛍光体に、分子認識物質を吸着もしくは結合してなるものである。
【0007】
本発明で用いられる無機化合物としては、無機蛍光物質の安定性を確保できるものであれば、特に限定されない。また、特に蛍光物質として希土類金属を用いる場合には、水分子の配位を防ぐことができるものが好ましい。具体的には、ガラス、シリカ、酸化イットリウム等の金属酸化物、リン酸カルシウム、リン酸ストロンチウム等の金属リン酸化合物、硫化亜鉛等の金属硫黄化合物等が挙げられる。中でも、光の吸収性の点でガラスが好ましい。
【0008】
本発明で用いられる有機ポリマーとしては特に限定されないが、例えば、(不)飽和炭化水素、芳香族炭化水素、(不)飽和脂肪酸、芳香族カルボン酸、(不)飽和脂ケトン、芳香族ケトン、(不)飽和アルコール、芳香族アルコール、(不)飽和アミン、芳香族アミン、(不)飽和チオール、芳香族チオール、有機珪素化合物、これらの1種以上の化合物からなる縮合体、これらの1種以上の化合物からなる重合体等が挙げられる。なお、上記(不)飽和とは、飽和及び不飽和の両方を意味するものである。
上記縮合体及び重合体としては、例えば、ポリエチレン、ポリブタジエン等のポリオレフィン;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリエーテル;ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリビニルアルコール、ポリビニルエステル、フェノール樹脂、メラミン樹脂、アリル樹脂、フラン樹脂、ポリエステル、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン、テフロン、アクリロニトリル/スチレン樹脂、スチレン/ブタジエン樹脂、ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンオキシド、糖、澱粉、セルロース、ポリペプチド等が挙げられる。これらの有機化合物は単独で用いられても、2種以上が併用されてもよい。
【0009】
本発明で用いられる無機蛍光物質としては、3〜16族の金属元素からなる蛍光物質であれば特に限定されないが、希土類金属が挙げられ、その蛍光強度の強さから3価のユウロピウム、3価のテルビニウム、3価のサマリウム、3価のジスプロシウム、2価のユウロピウム等が好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用しても良い。
【0010】
上記無機化合物もしくは有機ポリマー内部に無機蛍光物質を有する蛍光体とは、コアシェル構造のコアに無機蛍光物質を含む蛍光体や、無機化合物もしくは有機ポリマーからなるマトリックス内に無機蛍光物質が均一分散されてなる蛍光体等が挙げられる。
【0011】
本発明で用いられる分子認識物質とは、標的物質に特異的に反応するものであれば特に限定されないが抗原、抗体等の蛋白質、DNA、シクロデキストリン、クラウンエーテル等の環状化合物等が挙げられる。
【0012】
本発明で用いられる蛍光体の形状としては、微粒子形状、基板形状、薄膜形状、繊維形状、中空糸形状のものが挙げられる。微粒子形状である場合には、微粒子の水系溶媒中での分散性を考慮すれば、微粒子径は1ナノメートルから5000ナノメートルが好ましい。ナノサイズレベルへの微粒子化は微粒子にブラウン運動を与え、水系溶媒中で本発明の分子認識蛍光体を沈降することなく分散することができる。また、本発明の分子認識蛍光体をマイクロチップセンサーとして使用する場合には、基板状、薄膜状が好ましい。
【0013】
本発明で用いられる蛍光体と分子認識蛍光体を吸着もしくは結合させる方法としては、物理的吸着法や化学的結合法等が挙げられる。例えば、蛍光体をアミノシラン誘導体で処理したものであり、分子認識物質が蛋白質である場合には、直接もしくは縮合試薬により蛋白質のアミノ基と蛍光体が結合可能である。また、分子認識物質がDNAのPCR産物である場合には、蛍光体をポリL−リシンでコートすることにより静電気的に結合可能である。分子認識物質がオリゴヌクレオチドとする場合には、蛍光体上でオリゴヌクレオチド鎖を合成することができる。方法としては、予めアルキルアミノアシランでコートした蛍光体で光感受性保護基を有するリンカーを用いる保護を行い、光照射による脱保護、合成の繰り返しによりオリゴヌクレオチド鎖を合成する方法が挙げられる。
【0014】
本発明の分子認識蛍光体はさまざまな用途で使用しうる。例えば、蛍光体の形状が微粒子であり分子認識物質が抗体である場合には、抗原等の標的物質の高感度測定が可能となる。具体的な測定方法としては、標的物質の抗体が予め固定化されたプラスチックプレートに標的物質を含む被検液を添加し、余剰の成分を除くためプラスチックプレートを洗浄した後、分子認識物質として抗体が結合してなる本発明の分子認識蛍光体を添加する。余剰の分子認識蛍光体を洗浄によって除去した後、適当な緩衝溶液中で紫外線によって励起し、蛍光を測定する。無機蛍光物質として希土類金属が用いられていた場合には、従来使用されていた有機蛍光物質に比べて蛍光強度が高く、ストークシフト(励起波長と発光波長の距離)が大きいので測定感度も高くなる。さらに、励起停止後の残光を時間分解的に測定することによってより高感度な測定も可能となる。本発明の方法によると、酵素免疫測定法に比べ酵素による発色反応の時間が省くことができ、測定時間の短縮化を図ることができる。
【0015】
固相化された抗体もしくはレセプターに標的物質を結合させた後、上記の分子認識蛍光体を結合させ、励起光を照射させる標的物質の測定方法もまた本発明の一つである。
【0016】
本発明の測定方法において用いられる固相化された抗体もしくはレセプターとは、抗体もしくはレセプターが固定化されていれば特に限定されないが、例えばプラスチックプレートや繊維等に標的物質に対する抗体やレセプターを物理的吸着もしくは化学的結合といった方法により固定化したもの等が挙げられる。特に、ガラスやプラスチックプレートを担体として用いる場合には、後に照射する励起光が無機蛍光体に十分に照射されるものであることが好ましい。
【0017】
本発明で用いられる抗体もしくはレセプターとしては、特に限定されないが、例えば、ポリもしくはモノクロナール抗体や、天然から精製されたもの、組換え体が挙げられる。
【0018】
本発明の測定方法で測定可能な標的物質としては、抗体もしくはレセプターを作製できるものであれば特に限定されないが、例えば抗原等の蛋白質、ダイオキシン類等の内分泌撹乱物質、ウイルス、ペプチド等が挙げられる。
【0019】
本発明の測定方法において用いられる励起光としては、特に限定されないが、例えば、紫外線が挙げられる。
【0020】
本発明の測定方法において、定量的に測定する方法としては、通常用いられる蛍光測定方法であれば特に限定されないが、感度を高めるという点で励起光を照射した後、残光を時間分解測定する方法が好ましい。
【0021】
分子認識物質が一本鎖DNA、蛍光体の形状が微粒子状である場合、特に血清等のサンプル中の標的遺伝子の測定に有効である。
具体的な測定の仕方としては、ガラス、石英等の低屈折率で透明性が高い基板上に標的遺伝子に相補的な配列の遺伝子を一本鎖状に固定化し、その後血清サンプルの全RNA画分より逆転写酵素によって全cDNAを合成、無機蛍光物質を有する蛍光体と結合させた分子認識蛍光体を作製したものを適当な温度条件下でハイブリダイゼーションを行い、同温度条件で充分に洗浄する。洗浄操作後、適当な緩衝溶液中で基板に反応層と反対側から紫外線を照射する。血清中に標的遺伝子が存在する場合には、無機蛍光物質の発光が観察される。
本発明の分子認識蛍光体の蛍光強度は従来の有機蛍光物質を用いた蛍光体より高く、より高感度なDNAハイブリダイゼーションの定量的検出が可能となり、DNAチップ、DNAマイクロアレイ等のマイクロチップセンサーへの応用が特に有効である。励起停止後の残光を時間分解的に測定することによって検出感度はさらに増大させることができる。
【0022】
少なくとも一方が上記の分子認識蛍光体であるドナー蛍光体とアクセプター蛍光体を含む溶媒中に、標的物質を入れて反応させ、励起光を照射することを特徴とする蛍光エネルギー転移方法を用いた標的物質の測定方法もまた本発明の一つである。
【0023】
上記蛍光エネルギー転移方法とは、ドナー蛍光体とアクセプター蛍光体からなる溶媒中でこれらの蛍光体が数ナノメートルのオーダーで接近することにより、励起されたドナー蛍光体の励起エネルギーがアクセプター蛍光体へ転移し、アクセプターが発光することを利用した蛍光共鳴エネルギーの転移方法である。
【0024】
本発明の測定方法では、ドナー蛍光体とアクセプター蛍光体の少なくとも一方が請求項1〜4記載の分子認識蛍光体であればよいが、紫外線を利用できる点でドナー蛍光体のみが請求項1〜4記載の分子認識蛍光体であることが好ましい。
【0025】
本発明の測定方法で用いられるドナー蛍光体とアクセプター蛍光体の発光色は、異なるものを選択するのが好ましく、例えば、ドナー蛍光体を緑、アクセプター蛍光体を赤と選択することが識別が容易な点で好ましい。具体的には、ドナー蛍光体として、3価のテルビニウムイオンを有する本発明の分子認識蛍光体(発光色 緑)を用い、アクセプター蛍光体として通常使用される有機系蛍光体(発光色 赤)を用いた場合には、有機系蛍光体は紫外線励起によって発光しないものを選択することが好ましい。よって、3価のテルビニウムイオンは540〜550nm付近の蛍光を発するので、有機系蛍光体としては、R−Phycoerythrin、Alexa Flour 546、Texas Red、RhodamineRed−X等(いずれも発光色は赤)を選択することが好ましい。アクセプター蛍光体に3価のユウロピウムイオンを有する本発明の分子認識蛍光体(発光色 赤)を用いを用いる場合には、ドナー蛍光体の励起光を予めカットするような材料で分子認識蛍光体表面をコートしておいてもよい。
【0026】
具体的な測定方法として、例えば、ドナー蛍光体として3価のテルビニウムイオンを有し抗体を結合させた本発明の分子認識蛍光体(発光色 緑)を用い、アクセプター蛍光体として抗体を結合させた有機系蛍光体(発光色 赤)を用い、抗原を存在させた場合、本発明の分子認識蛍光体と有機系蛍光体は抗原・抗体反応を介して、数ナノメートルに接近する。反応液に紫外線を照射すると、抗原が存在する場合は本発明の分子認識蛍光体から有機系蛍光体へエネルギー転移が起こり、緑色蛍光の消光と赤色蛍光の放射が起こる。一方、抗原が存在しない場合には、本発明の分子認識蛍光体のテルビニウムイオンに由来する緑の蛍光のみが消光することなく放射される。
本発明の測定方法によると、緑色蛍光強度の減少と赤色蛍光強度の増加を測定することで抗原の濃度を固液分離操作することなく、一段階で免疫測定すること(一段階免疫測定法)が可能となる。また、紫外線励起停止後の有機系蛍光体(アクセプター蛍光体)が放射する残光を時間分解的に測定することによってより高感度な抗原の測定も可能となる。
【0027】
ドナー蛍光体として、本発明の分子認識蛍光体の蛍光体であって、基板状もしくは透明度の高い基板に積層された薄膜状としたものを使用すると、蛍光エネルギー転移法を利用した一段階操作免疫測定を行うことができる。
例えば、ドナー蛍光体として、テルビニウムイオンを有する蛍光体基板に抗体(分子認識物質)が固定化された分子認識蛍光体(発光色 緑)、アクセプター蛍光体として、抗体を結合させた有機系蛍光体(ローダミン発光色 赤)を用いた場合、抗原抗体反応を介してドナー蛍光体基板と有機系蛍光体(ローダミン発光色 赤)は接近する。反応層に紫外線照射することにより、ローダミンの赤色発光が観察される。抗原が存在しない場合は、テルビニウムイオンの緑色蛍光のみが観察される。また、紫外線励起停止後のローダミンの赤色発光の残光を時間分解的に測定することによってより高感度な抗原の測定も可能となる。
本発明の測定方法は、同様にして固液分離不要の新規蛋白質チップ等のマイクロチップセンサーを用いた測定方法にも応用することができる。
【0028】
本発明の測定方法は、同様にして一段階操作のDNAハイブリダイゼーションにも適用できる。例えば、ドナー蛍光体として、テルビニウムイオンを有する蛍光体基板に標的遺伝子に相補的な遺伝子プローブ(分子認識物質)を固定化した分子認識蛍光体(発光色 緑)を用い、アクセプター蛍光体として、血清サンプルの全RNA画分からローダミン標識された塩基の存在下で全cDNAを合成した蛍光体を用いた場合、適当な温度条件下でハイブリダイゼーションを行わせると標的遺伝子が存在する場合には、アクセプター蛍光体がドナー蛍光体であるテルビニウムイオンを有する蛍光体基板に固定化された遺伝子プローブにハイブリダイズする。よって、反応層に蛍光体基板の反対側から紫外線を照射することにより、テルビニウムイオンを有する蛍光体基板からエネルギーが転移してローダミンの赤色蛍光が観察される。なお、ローダミンの赤色発光をマーカーとして反応を観察しながらハイブリダイゼーション温度を調節することが可能である。
【0029】
このようにして、本発明の測定方法により洗浄操作不要の新規のDNAハイブリダイゼーション法を達成することができる。なお、ローダミンの赤色残光を時間分解的に測定することによって感度はさらに向上する。上記蛍光体基板を利用した分子認識蛍光体は、新規DNAチップ、マイクロアレイに好適に用いられる。
【0030】
【作用】
本発明の分子認識蛍光体は、無機蛍光物質を用いているので、従来使用されている有機蛍光物質からなる蛍光体に比べて極めて発光強度が高い。また、無機蛍光物質は、無機化合物もしくは有機ポリマーの内部に有するため、安定性が高く、水分子による配位も少なく蛍光強度を維持することができる。
【0031】
本発明の標的物質の測定方法は、上記分子認識蛍光体を用いてなるので、安定性が高く、高い蛍光強度を維持するものである。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0033】
(実施例1)
・分子認識蛍光体の作製
ガラス内部に無機蛍光物質としてテルビニウムイオンを有する微粒子形状の蛍光体(粒径50nm)に、アミノシラン誘導体処理をし、抗B型肝炎ウィルス表面抗原ポリクローナル抗体(抗HBs)を化学的に固定化して分子認識蛍光体(抗HBsーTbとする)を得た。
【0034】
・蛍光エネルギー転移方法を用いたHBs抗原の測定
得られた分子認識蛍光体(抗HBsーTb)と、ローダミン標識された抗B型肝炎ウィルス表面抗原ポリクローナル抗体を1:1で含む抗体液を作製した。HBs抗原を10pg〜1000ng/ml濃度含有する標準血清に上記抗体液を作用させ、紫外線照射し、540及び570nmの蛍光を測定し、Abs570/Abs540値を求めたところ、図1の範囲において検量線を作成することができた。
【0035】
・残光測定によるHBs抗原の測定
得られた分子認識蛍光体(抗HBsーTb)と、ローダミン標識された抗B型肝炎ウィルス表面抗原ポリクローナル抗体を1:1で含む抗体液を作製した。HBs抗原を10pg〜1000ng/ml濃度含有する標準血清に上記抗体液を作用させ、紫外線照射して570nmにおけるローダミンの発光由来の残光をパルス光源を用いて300μ/秒間の積算測定を行ったところ、図2の範囲において検量線を作成することができた。
【0036】
(実施例2)
・分子認識蛍光体の作製
ガラス内部に無機蛍光物質として3価のテルビニウムイオンを有する蛍光ガラス基板を、ポリL−リシンでコートし、2000年細胞工学別冊:DNAマイクロアレイと最新PCR法」(秀潤社)P.46−47記載の方法に従ってC型肝炎ウィルスコア抗原(HCVc)遺伝子を固定化して分子認識蛍光体基板(抗HCVcーTbとする)を得た。
【0037】
・プレハイブリダイゼーション
得られた分子認識蛍光体基板(抗HCVcーTb)に、サケ精子DNA、0.3%ソディウムドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、及び6倍希釈クエン酸ナトリウム二水和物(SSC)からなるプレハイブリダイゼーション液を60分間65℃で接触させた後、1倍希釈SSC及び0.03%SDS、0.2倍希釈SSC、0.05倍希釈SSC、蒸留水の順で随時洗浄を行い、プレハイブリダイゼーション処理を行った。
一方、HCVc遺伝子を鋳型として両端末端プライマー及びローダミンが標識された塩基の存在下でPCRを行いローダミン標識HCVc遺伝子を得た。
・ハイブリダイゼーション及び蛍光の確認
得られたローダミン標識HCVc遺伝子、0.33%SDS、及び4倍希釈SSCからなる溶液を、プレハイブリダイゼーション処理が施された分子認識蛍光体基板(抗HCVcーTb)に62℃で5時間作用させてハイブリダイゼーションを行った。ハイブリダイゼーション終了後、55℃で30分間2倍希釈SSCと0.2%SDSからなる溶液で洗浄し、再び65℃で5分間同溶液で洗浄した。最後に室温で5分間0.05倍希釈SSCで洗浄した後、分子認識蛍光体基板(抗HCVcーTb)に紫外線を照射し、ハイブリダイゼーションさせた部位の蛍光を観察したところ、赤色であった。
【0038】
【発明の効果】
本発明の分子認識蛍光体は、無機蛍光物質を用いてなるため蛍光強度が高く、また、無機化合物等のマトリックス内部に無機蛍光物質が存在するため安定した状態で存在し、標的物質の測定方法に好適に用いることができる。
【0039】
【図面の簡単な説明】
【図1】蛍光エネルギー転移方法を用いたHBs抗原の測定
【図2】残光測定によるHBs抗原の測定
Claims (6)
- ドナー蛍光体とアクセプター蛍光体とを含む溶媒中に、標的物質を入れて反応させ、励起光を照射する蛍光エネルギー転移方法を用いた免疫測定方法であって、
前記ドナー蛍光体は、無機化合物又は有機ポリマーの内部に無機蛍光物質を有する蛍光体からなる基板に抗体が固定化された分子認識蛍光体からなる
ことを特徴とする免疫測定方法。 - 無機蛍光物質は、希土類金属であることを特徴とする請求項1記載の免疫測定方法。
- 励起光を照射させた後、残光を時間分解測定することを特徴とする請求項1又は2記載の免疫測定方法。
- ドナー蛍光体とアクセプター蛍光体とを含む溶媒中に、標的物質を入れて反応させ、励起光を照射する蛍光エネルギー転移方法を用いたDNAハイブリダイゼーション法であって、
前記ドナー蛍光体は、無機化合物又は有機ポリマーの内部に無機蛍光物質を有する蛍光体からなる基板に標的遺伝子に相補的な遺伝子プローブが固定化された分子認識蛍光体からなる
ことを特徴とするDNAハイブリダイゼーション法。 - 無機蛍光物質は、希土類金属であることを特徴とする請求項4記載のDNAハイブリダイゼーション法。
- 励起光を照射させた後、残光を時間分解測定することを特徴とする請求項4又は5記載のDNAハイブリダイゼーション法。
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