JP2002311031A - 分子認識蛍光体、それを用いた標的物質の測定方法 - Google Patents

分子認識蛍光体、それを用いた標的物質の測定方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 有機蛍光物質を用いた蛍光体と比較して蛍光
強度が高く、また、無機化合物等のマトリックス内部に
無機蛍光物質が存在するため安定した状態で存在し得る
分子認識蛍光体を提供する。 【解決手段】 ガラス等の無機化合物の内部に、無機蛍
光物質として希土類化合物を有する微粒子形状の蛍光体
に、抗B型肝炎ウィルス表面抗原ポリクローナル抗体を
化学的に固定化してなる分子認識蛍光体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生体関連物質、環
境関連物質等の標的物質の高感度測定法に用いられる分
子認識蛍光体、それを用いた標的物質の測定方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】抗体もしくは抗原を用いた標的物質の一
般的測定方法としては、酵素免疫測定法、ラテックス凝
集法、免疫クロマト法がある。酵素免疫測定法は被検体
試料の添加、洗浄、酵素標識抗体の添加、洗浄及び発色
基質の添加といった煩雑な操作が必要となり、簡便な一
段階操作測定法であるラテックス凝集法では測定感度が
低くなり、免疫クロマト法では定量性がないということ
が問題であった。
【0003】従来から、有機蛍光発光物質が標識された
抗体を用いる方法が提案されているが、酵素標識抗体を
用いる方法に比べて感度が低く、定量測定にはほとんど
適用されていない。蛍光発光物質の中では、希土類イオ
ンが有機蛍光発光物質に比べて発光強度が高く、希土類
錯体を抗体の標識物質として用いた「DELFIAシス
テム」という免疫測定法が提案されている。(分析化学
1999,Vol.48,No.12,P.1077
−1083)。希土類イオンは水溶媒中では水分子の配
位によって蛍光強度は著しく低くなるため、特定の配位
子と錯体を形成させる必要があり、DELFIAシステ
ムではN1−(p−isothiocyanatobe
nzyl)−diethylenetriamine−
N1,N2,N3,N4−tetraacetic a
cid−Eu3+錯体を抗体の標識蛍光体として用いてい
るが、その蛍光強度は低く抗原抗体反応の後で2−na
phthoyltrifluoroacetone、ト
リオクチルホスフィンオキシド及びトリトンーX100
から成る蛍光増感剤を添加する必要があった。
【0004】これに対し、芳香族アミン誘導体やβージ
ケトン類を配位子とする蛍光増感剤不要の希土類錯体が
検討されている。(Anal.Chem. 1998,
Vol.70,P.596−601;Helvetic
a Chimica Acta 1997,Vol.8
0,P.372−387)しかしながら、これらの希土
類錯体の製造法は複雑であり、工業的生産には不利であ
った。また、依然として錯体の蛍光強度や安定性にも問
題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記に鑑み、
無機蛍光物質を特定の配位子と錯体を形成させることな
く安定に蛍光体とした分子認識蛍光体及びそれを用いた
標的物質の測定方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の分子認識蛍光体
は、無機化合物もしくは有機ポリマー内部に無機蛍光物
質を有する蛍光体に、分子認識物質を吸着もしくは結合
してなるものである。
【0007】本発明で用いられる無機化合物としては、
無機蛍光物質の安定性を確保できるものであれば、特に
限定されない。また、特に蛍光物質として希土類金属を
用いる場合には、水分子の配位を防ぐことができるもの
が好ましい。具体的には、ガラス、シリカ、酸化イット
リウム等の金属酸化物、リン酸カルシウム、リン酸スト
ロンチウム等の金属リン酸化合物、硫化亜鉛等の金属硫
黄化合物等が挙げられる。中でも、光の吸収性の点でガ
ラスが好ましい。
【0008】本発明で用いられる有機ポリマーとしては
特に限定されないが、例えば、(不)飽和炭化水素、芳
香族炭化水素、(不)飽和脂肪酸、芳香族カルボン酸、
(不)飽和脂ケトン、芳香族ケトン、(不)飽和アルコ
ール、芳香族アルコール、(不)飽和アミン、芳香族ア
ミン、(不)飽和チオール、芳香族チオール、有機珪素
化合物、これらの1種以上の化合物からなる縮合体、こ
れらの1種以上の化合物からなる重合体等が挙げられ
る。なお、上記(不)飽和とは、飽和及び不飽和の両方
を意味するものである。上記縮合体及び重合体として
は、例えば、ポリエチレン、ポリブタジエン等のポリオ
レフィン;ポリエチレングリコール、ポリプロピレング
リコール等のポリエーテル;ポリスチレン、ポリ(メ
タ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポ
リビニルアルコール、ポリビニルエステル、フェノール
樹脂、メラミン樹脂、アリル樹脂、フラン樹脂、ポリエ
ステル、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリイミド樹
脂、ポリウレタン、テフロン(登録商標)、アクリロニ
トリル/スチレン樹脂、スチレン/ブタジエン樹脂、ビ
ニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート、ポリア
セタール、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンオキ
シド、糖、澱粉、セルロース、ポリペプチド等が挙げら
れる。これらの有機化合物は単独で用いられても、2種
以上が併用されてもよい。
【0009】本発明で用いられる無機蛍光物質として
は、3〜16族の金属元素からなる蛍光物質であれば特
に限定されないが、希土類金属が挙げられ、その蛍光強
度の強さから3価のユウロピウム、3価のテルビニウ
ム、3価のサマリウム、3価のジスプロシウム、2価の
ユウロピウム等が好ましい。これらは単独で用いてもよ
く、2種以上併用しても良い。
【0010】上記無機化合物もしくは有機ポリマー内部
に無機蛍光物質を有する蛍光体とは、コアシェル構造の
コアに無機蛍光物質を含む蛍光体や、無機化合物もしく
は有機ポリマーからなるマトリックス内に無機蛍光物質
が均一分散されてなる蛍光体等が挙げられる。
【0011】本発明で用いられる分子認識物質とは、標
的物質に特異的に反応するものであれば特に限定されな
いが抗原、抗体等の蛋白質、DNA、シクロデキストリ
ン、クラウンエーテル等の環状化合物等が挙げられる。
【0012】本発明で用いられる蛍光体の形状として
は、微粒子形状、基板形状、薄膜形状、繊維形状、中空
糸形状のものが挙げられる。微粒子形状である場合に
は、微粒子の水系溶媒中での分散性を考慮すれば、微粒
子径は1ナノメートルから5000ナノメートルが好ま
しい。ナノサイズレベルへの微粒子化は微粒子にブラウ
ン運動を与え、水系溶媒中で本発明の分子認識蛍光体を
沈降することなく分散することができる。また、本発明
の分子認識蛍光体をマイクロチップセンサーとして使用
する場合には、基板状、薄膜状が好ましい。
【0013】本発明で用いられる蛍光体と分子認識蛍光
体を吸着もしくは結合させる方法としては、物理的吸着
法や化学的結合法等が挙げられる。例えば、蛍光体をア
ミノシラン誘導体で処理したものであり、分子認識物質
が蛋白質である場合には、直接もしくは縮合試薬により
蛋白質のアミノ基と蛍光体が結合可能である。また、分
子認識物質がDNAのPCR産物である場合には、蛍光
体をポリL−リシンでコートすることにより静電気的に
結合可能である。分子認識物質がオリゴヌクレオチドと
する場合には、蛍光体上でオリゴヌクレオチド鎖を合成
することができる。方法としては、予めアルキルアミノ
アシランでコートした蛍光体で光感受性保護基を有する
リンカーを用いる保護を行い、光照射による脱保護、合
成の繰り返しによりオリゴヌクレオチド鎖を合成する方
法が挙げられる。
【0014】本発明の分子認識蛍光体はさまざまな用途
で使用しうる。例えば、蛍光体の形状が微粒子であり分
子認識物質が抗体である場合には、抗原等の標的物質の
高感度測定が可能となる。具体的な測定方法としては、
標的物質の抗体が予め固定化されたプラスチックプレー
トに標的物質を含む被検液を添加し、余剰の成分を除く
ためプラスチックプレートを洗浄した後、分子認識物質
として抗体が結合してなる本発明の分子認識蛍光体を添
加する。余剰の分子認識蛍光体を洗浄によって除去した
後、適当な緩衝溶液中で紫外線によって励起し、蛍光を
測定する。無機蛍光物質として希土類金属が用いられて
いた場合には、従来使用されていた有機蛍光物質に比べ
て蛍光強度が高く、ストークシフト(励起波長と発光波
長の距離)が大きいので測定感度も高くなる。さらに、
励起停止後の残光を時間分解的に測定することによって
より高感度な測定も可能となる。本発明の方法による
と、酵素免疫測定法に比べ酵素による発色反応の時間が
省くことができ、測定時間の短縮化を図ることができ
る。
【0015】固相化された抗体もしくはレセプターに標
的物質を結合させた後、上記の分子認識蛍光体を結合さ
せ、励起光を照射させる標的物質の測定方法もまた本発
明の一つである。
【0016】本発明の測定方法において用いられる固相
化された抗体もしくはレセプターとは、抗体もしくはレ
セプターが固定化されていれば特に限定されないが、例
えばプラスチックプレートや繊維等に標的物質に対する
抗体やレセプターを物理的吸着もしくは化学的結合とい
った方法により固定化したもの等が挙げられる。特に、
ガラスやプラスチックプレートを担体として用いる場合
には、後に照射する励起光が無機蛍光体に十分に照射さ
れるものであることが好ましい。
【0017】本発明で用いられる抗体もしくはレセプタ
ーとしては、特に限定されないが、例えば、ポリもしく
はモノクロナール抗体や、天然から精製されたもの、組
換え体が挙げられる。
【0018】本発明の測定方法で測定可能な標的物質と
しては、抗体もしくはレセプターを作製できるものであ
れば特に限定されないが、例えば抗原等の蛋白質、ダイ
オキシン類等の内分泌撹乱物質、ウイルス、ペプチド等
が挙げられる。
【0019】本発明の測定方法において用いられる励起
光としては、特に限定されないが、例えば、紫外線が挙
げられる。
【0020】本発明の測定方法において、定量的に測定
する方法としては、通常用いられる蛍光測定方法であれ
ば特に限定されないが、感度を高めるという点で励起光
を照射した後、残光を時間分解測定する方法が好まし
い。
【0021】分子認識物質が一本鎖DNA、蛍光体の形
状が微粒子状である場合、特に血清等のサンプル中の標
的遺伝子の測定に有効である。具体的な測定の仕方とし
ては、ガラス、石英等の低屈折率で透明性が高い基板上
に標的遺伝子に相補的な配列の遺伝子を一本鎖状に固定
化し、その後血清サンプルの全RNA画分より逆転写酵
素によって全cDNAを合成、無機蛍光物質を有する蛍
光体と結合させた分子認識蛍光体を作製したものを適当
な温度条件下でハイブリダイゼーションを行い、同温度
条件で充分に洗浄する。洗浄操作後、適当な緩衝溶液中
で基板に反応層と反対側から紫外線を照射する。血清中
に標的遺伝子が存在する場合には、無機蛍光物質の発光
が観察される。本発明の分子認識蛍光体の蛍光強度は従
来の有機蛍光物質を用いた蛍光体より高く、より高感度
なDNAハイブリダイゼーションの定量的検出が可能と
なり、DNAチップ、DNAマイクロアレイ等のマイク
ロチップセンサーへの応用が特に有効である。励起停止
後の残光を時間分解的に測定することによって検出感度
はさらに増大させることができる。
【0022】少なくとも一方が上記の分子認識蛍光体で
あるドナー蛍光体とアクセプター蛍光体を含む溶媒中
に、標的物質を入れて反応させ、励起光を照射すること
を特徴とする蛍光エネルギー転移方法を用いた標的物質
の測定方法もまた本発明の一つである。
【0023】上記蛍光エネルギー転移方法とは、ドナー
蛍光体とアクセプター蛍光体からなる溶媒中でこれらの
蛍光体が数ナノメートルのオーダーで接近することによ
り、励起されたドナー蛍光体の励起エネルギーがアクセ
プター蛍光体へ転移し、アクセプターが発光することを
利用した蛍光共鳴エネルギーの転移方法である。
【0024】本発明の測定方法では、ドナー蛍光体とア
クセプター蛍光体の少なくとも一方が請求項1〜4記載
の分子認識蛍光体であればよいが、紫外線を利用できる
点でドナー蛍光体のみが請求項1〜4記載の分子認識蛍
光体であることが好ましい。
【0025】本発明の測定方法で用いられるドナー蛍光
体とアクセプター蛍光体の発光色は、異なるものを選択
するのが好ましく、例えば、ドナー蛍光体を緑、アクセ
プター蛍光体を赤と選択することが識別が容易な点で好
ましい。具体的には、ドナー蛍光体として、3価のテル
ビニウムイオンを有する本発明の分子認識蛍光体(発光
色 緑)を用い、アクセプター蛍光体として通常使用さ
れる有機系蛍光体(発光色 赤)を用いた場合には、有
機系蛍光体は紫外線励起によって発光しないものを選択
することが好ましい。よって、3価のテルビニウムイオ
ンは540〜550nm付近の蛍光を発するので、有機
系蛍光体としては、R−Phycoerythrin、
Alexa Flour 546、Texas Re
d、RhodamineRed−X等(いずれも発光色
は赤)を選択することが好ましい。アクセプター蛍光体
に3価のユウロピウムイオンを有する本発明の分子認識
蛍光体(発光色 赤)を用いを用いる場合には、ドナー
蛍光体の励起光を予めカットするような材料で分子認識
蛍光体表面をコートしておいてもよい。
【0026】具体的な測定方法として、例えば、ドナー
蛍光体として3価のテルビニウムイオンを有し抗体を結
合させた本発明の分子認識蛍光体(発光色 緑)を用
い、アクセプター蛍光体として抗体を結合させた有機系
蛍光体(発光色 赤)を用い、抗原を存在させた場合、
本発明の分子認識蛍光体と有機系蛍光体は抗原・抗体反
応を介して、数ナノメートルに接近する。反応液に紫外
線を照射すると、抗原が存在する場合は本発明の分子認
識蛍光体から有機系蛍光体へエネルギー転移が起こり、
緑色蛍光の消光と赤色蛍光の放射が起こる。一方、抗原
が存在しない場合には、本発明の分子認識蛍光体のテル
ビニウムイオンに由来する緑の蛍光のみが消光すること
なく放射される。本発明の測定方法によると、緑色蛍光
強度の減少と赤色蛍光強度の増加を測定することで抗原
の濃度を固液分離操作することなく、一段階で免疫測定
すること(一段階免疫測定法)が可能となる。また、紫
外線励起停止後の有機系蛍光体(アクセプター蛍光体)
が放射する残光を時間分解的に測定することによってよ
り高感度な抗原の測定も可能となる。
【0027】ドナー蛍光体として、本発明の分子認識蛍
光体の蛍光体であって、基板状もしくは透明度の高い基
板に積層された薄膜状としたものを使用すると、蛍光エ
ネルギー転移法を利用した一段階操作免疫測定を行うこ
とができる。例えば、ドナー蛍光体として、テルビニウ
ムイオンを有する蛍光体基板に抗体(分子認識物質)が
固定化された分子認識蛍光体(発光色 緑)、アクセプ
ター蛍光体として、抗体を結合させた有機系蛍光体(ロ
ーダミン発光色 赤)を用いた場合、抗原抗体反応を介
してドナー蛍光体基板と有機系蛍光体(ローダミン発光
色 赤)は接近する。反応層に紫外線照射することによ
り、ローダミンの赤色発光が観察される。抗原が存在し
ない場合は、テルビニウムイオンの緑色蛍光のみが観察
される。また、紫外線励起停止後のローダミンの赤色発
光の残光を時間分解的に測定することによってより高感
度な抗原の測定も可能となる。本発明の測定方法は、同
様にして固液分離不要の新規蛋白質チップ等のマイクロ
チップセンサーを用いた測定方法にも応用することがで
きる。
【0028】本発明の測定方法は、同様にして一段階操
作のDNAハイブリダイゼーションにも適用できる。例
えば、ドナー蛍光体として、テルビニウムイオンを有す
る蛍光体基板に標的遺伝子に相補的な遺伝子プローブ
(分子認識物質)を固定化した分子認識蛍光体(発光色
緑)を用い、アクセプター蛍光体として、血清サンプ
ルの全RNA画分からローダミン標識された塩基の存在
下で全cDNAを合成した蛍光体を用いた場合、適当な
温度条件下でハイブリダイゼーションを行わせると標的
遺伝子が存在する場合には、アクセプター蛍光体がドナ
ー蛍光体であるテルビニウムイオンを有する蛍光体基板
に固定化された遺伝子プローブにハイブリダイズする。
よって、反応層に蛍光体基板の反対側から紫外線を照射
することにより、テルビニウムイオンを有する蛍光体基
板からエネルギーが転移してローダミンの赤色蛍光が観
察される。なお、ローダミンの赤色発光をマーカーとし
て反応を観察しながらハイブリダイゼーション温度を調
節することが可能である。
【0029】このようにして、本発明の測定方法により
洗浄操作不要の新規のDNAハイブリダイゼーション法
を達成することができる。なお、ローダミンの赤色残光
を時間分解的に測定することによって感度はさらに向上
する。上記蛍光体基板を利用した分子認識蛍光体は、新
規DNAチップ、マイクロアレイに好適に用いられる。
【0030】
【作用】本発明の分子認識蛍光体は、無機蛍光物質を用
いているので、従来使用されている有機蛍光物質からな
る蛍光体に比べて極めて発光強度が高い。また、無機蛍
光物質は、無機化合物もしくは有機ポリマーの内部に有
するため、安定性が高く、水分子による配位も少なく蛍
光強度を維持することができる。
【0031】本発明の標的物質の測定方法は、上記分子
認識蛍光体を用いてなるので、安定性が高く、高い蛍光
強度を維持するものである。
【0032】
【発明の実施の形態】以下に実施例を挙げて本発明の態
様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみ
に限定されるものではない。
【0033】(実施例1) ・分子認識蛍光体の作製 ガラス内部に無機蛍光物質としてテルビニウムイオンを
有する微粒子形状の蛍光体(粒径50nm)に、アミノ
シラン誘導体処理をし、抗B型肝炎ウィルス表面抗原ポ
リクローナル抗体(抗HBs)を化学的に固定化して分
子認識蛍光体(抗HBsーTbとする)を得た。
【0034】・蛍光エネルギー転移方法を用いたHBs
抗原の測定 得られた分子認識蛍光体(抗HBsーTb)と、ローダ
ミン標識された抗B型肝炎ウィルス表面抗原ポリクロー
ナル抗体を1:1で含む抗体液を作製した。HBs抗原
を10pg〜1000ng/ml濃度含有する標準血清
に上記抗体液を作用させ、紫外線照射し、540及び5
70nmの蛍光を測定し、Abs570/Abs540
値を求めたところ、図1の範囲において検量線を作成す
ることができた。
【0035】・残光測定によるHBs抗原の測定 得られた分子認識蛍光体(抗HBsーTb)と、ローダ
ミン標識された抗B型肝炎ウィルス表面抗原ポリクロー
ナル抗体を1:1で含む抗体液を作製した。HBs抗原
を10pg〜1000ng/ml濃度含有する標準血清
に上記抗体液を作用させ、紫外線照射して570nmに
おけるローダミンの発光由来の残光をパルス光源を用い
て300μ/秒間の積算測定を行ったところ、図2の範
囲において検量線を作成することができた。
【0036】(実施例2) ・分子認識蛍光体の作製 ガラス内部に無機蛍光物質として3価のテルビニウムイ
オンを有する蛍光ガラス基板を、ポリL−リシンでコー
トし、2000年細胞工学別冊:DNAマイクロアレイ
と最新PCR法」(秀潤社)P.46−47記載の方法
に従ってC型肝炎ウィルスコア抗原(HCVc)遺伝子
を固定化して分子認識蛍光体基板(抗HCVcーTbと
する)を得た。
【0037】・プレハイブリダイゼーション 得られた分子認識蛍光体基板(抗HCVcーTb)に、
サケ精子DNA、0.3%ソディウムドデシル硫酸ナト
リウム(SDS)、及び6倍希釈クエン酸ナトリウム二
水和物(SSC)からなるプレハイブリダイゼーション
液を60分間65℃で接触させた後、1倍希釈SSC及
び0.03%SDS、0.2倍希釈SSC、0.05倍
希釈SSC、蒸留水の順で随時洗浄を行い、プレハイブ
リダイゼーション処理を行った。一方、HCVc遺伝子
を鋳型として両端末端プライマー及びローダミンが標識
された塩基の存在下でPCRを行いローダミン標識HC
Vc遺伝子を得た。 ・ハイブリダイゼーション及び蛍光の確認 得られたローダミン標識HCVc遺伝子、0.33%S
DS、及び4倍希釈SSCからなる溶液を、プレハイブ
リダイゼーション処理が施された分子認識蛍光体基板
(抗HCVcーTb)に62℃で5時間作用させてハイ
ブリダイゼーションを行った。ハイブリダイゼーション
終了後、55℃で30分間2倍希釈SSCと0.2%S
DSからなる溶液で洗浄し、再び65℃で5分間同溶液
で洗浄した。最後に室温で5分間0.05倍希釈SSC
で洗浄した後、分子認識蛍光体基板(抗HCVcーT
b)に紫外線を照射し、ハイブリダイゼーションさせた
部位の蛍光を観察したところ、赤色であった。
【0038】
【発明の効果】本発明の分子認識蛍光体は、無機蛍光物
質を用いてなるため蛍光強度が高く、また、無機化合物
等のマトリックス内部に無機蛍光物質が存在するため安
定した状態で存在し、標的物質の測定方法に好適に用い
ることができる。
【0039】
【図面の簡単な説明】
【図1】蛍光エネルギー転移方法を用いたHBs抗原の
測定
【図2】残光測定によるHBs抗原の測定
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 33/53 G01N 33/53 M 33/542 33/542 A 33/543 541 33/543 541Z 33/566 33/566 37/00 102 37/00 102 Fターム(参考) 2G043 AA01 BA16 CA03 DA02 EA01 FA03 GA07 GB21 KA03 LA01 NA11 2G054 AB07 CA22 CA23 CE02 EA03 EB01 EB03 GB02 4B029 AA07 AA23 BB15 BB17 CC03 FA15 4B063 QA01 QQ42 QR32 QR57 QR66 QR82 QR84 QS25 QS34 QS36 QS39 QX02

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無機化合物もしくは有機ポリマー内部に
    無機蛍光物質を有する蛍光体に、分子認識物質を吸着も
    しくは結合してなることを特徴とする分子認識蛍光体。
  2. 【請求項2】 無機蛍光物質が希土類金属であることを
    特徴とする請求項1記載の分子認識蛍光体。
  3. 【請求項3】 分子認識物質が蛋白質、DNAであるこ
    とを特徴とする請求項1、2記載の分子認識蛍光体。
  4. 【請求項4】 蛍光体の形状が、微粒子、基板、薄膜、
    繊維、中空糸から選ばれる1つであることを特徴とする
    請求項1〜3記載の分子認識蛍光体。
  5. 【請求項5】 固相化された抗体もしくはレセプターに
    標的物質を結合させた後、請求項1〜4記載の分子認識
    蛍光体を結合させ、励起光を照射することを特徴とする
    標的物質の測定方法。
  6. 【請求項6】 励起光を照射した後、残光を時間分解測
    定することを特徴とする請求項5記載の標的物質の測定
    方法。
  7. 【請求項7】 少なくとも一方が請求項1〜4記載の分
    子認識蛍光体であるドナー蛍光体とアクセプター蛍光体
    を含む溶媒中に、標的物質を入れて反応させ、励起光を
    照射することを特徴とする蛍光エネルギー転移方法を用
    いた標的物質の測定方法。
  8. 【請求項8】 励起光を照射させた後、残光を時間分解
    測定することを特徴とする請求項7記載の標的物質の測
    定方法。
  9. 【請求項9】 ドナー蛍光体のみが請求項1〜4記載の
    分子認識蛍光体である請求項7、8記載の標的物質の測
    定方法。
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