JP3720728B2 - X線照射脱硫装置 - Google Patents
X線照射脱硫装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3720728B2 JP3720728B2 JP2001142468A JP2001142468A JP3720728B2 JP 3720728 B2 JP3720728 B2 JP 3720728B2 JP 2001142468 A JP2001142468 A JP 2001142468A JP 2001142468 A JP2001142468 A JP 2001142468A JP 3720728 B2 JP3720728 B2 JP 3720728B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- ray irradiation
- catalyst
- desulfurization
- silver
- desulfurization apparatus
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C10—PETROLEUM, GAS OR COKE INDUSTRIES; TECHNICAL GASES CONTAINING CARBON MONOXIDE; FUELS; LUBRICANTS; PEAT
- C10G—CRACKING HYDROCARBON OILS; PRODUCTION OF LIQUID HYDROCARBON MIXTURES, e.g. BY DESTRUCTIVE HYDROGENATION, OLIGOMERISATION, POLYMERISATION; RECOVERY OF HYDROCARBON OILS FROM OIL-SHALE, OIL-SAND, OR GASES; REFINING MIXTURES MAINLY CONSISTING OF HYDROCARBONS; REFORMING OF NAPHTHA; MINERAL WAXES
- C10G32/00—Refining of hydrocarbon oils by electric or magnetic means, by irradiation, or by using microorganisms
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C10—PETROLEUM, GAS OR COKE INDUSTRIES; TECHNICAL GASES CONTAINING CARBON MONOXIDE; FUELS; LUBRICANTS; PEAT
- C10G—CRACKING HYDROCARBON OILS; PRODUCTION OF LIQUID HYDROCARBON MIXTURES, e.g. BY DESTRUCTIVE HYDROGENATION, OLIGOMERISATION, POLYMERISATION; RECOVERY OF HYDROCARBON OILS FROM OIL-SHALE, OIL-SAND, OR GASES; REFINING MIXTURES MAINLY CONSISTING OF HYDROCARBONS; REFORMING OF NAPHTHA; MINERAL WAXES
- C10G29/00—Refining of hydrocarbon oils, in the absence of hydrogen, with other chemicals
- C10G29/06—Metal salts, or metal salts deposited on a carrier
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C10—PETROLEUM, GAS OR COKE INDUSTRIES; TECHNICAL GASES CONTAINING CARBON MONOXIDE; FUELS; LUBRICANTS; PEAT
- C10G—CRACKING HYDROCARBON OILS; PRODUCTION OF LIQUID HYDROCARBON MIXTURES, e.g. BY DESTRUCTIVE HYDROGENATION, OLIGOMERISATION, POLYMERISATION; RECOVERY OF HYDROCARBON OILS FROM OIL-SHALE, OIL-SAND, OR GASES; REFINING MIXTURES MAINLY CONSISTING OF HYDROCARBONS; REFORMING OF NAPHTHA; MINERAL WAXES
- C10G32/00—Refining of hydrocarbon oils by electric or magnetic means, by irradiation, or by using microorganisms
- C10G32/04—Refining of hydrocarbon oils by electric or magnetic means, by irradiation, or by using microorganisms by particle radiation
Landscapes
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Oil, Petroleum & Natural Gas (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
- General Chemical & Material Sciences (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Microbiology (AREA)
- Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
- Toxicology (AREA)
- Health & Medical Sciences (AREA)
- Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)
- Catalysts (AREA)
- Physical Or Chemical Processes And Apparatus (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本願発明は、X線照射脱硫装置に関するものである。さらに詳しくは、本願発明は、石油製品または石油半製品に含有される硫黄分を深度脱硫することを高効率で可能とする、X線照射による新しい脱硫装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術と発明の課題】
従来より、石油精製の過程において、脱硫装置は硫黄分を除去する装置として重要な役割を果たしている。現状での脱硫過程で用いられる一般的な手法としては、水素を添加して高温高圧化でS分を硫化水素に変換して脱硫を行う手法や、ADIP(ジイソプロパノールアミン)やMEA(モノエタノールアミン)を用いてS分を抽出除去する手法等が知られている。
【0003】
石油製品や石油半製品中の軽質油及び中質油等に含まれるSは、様々な形態で存在している。その代表的な形態としては、H2S,R−SH,R−S−S−R,チオフェン,ベンゾチオフェン,ジベンゾチオフェン等があり、油の沸点留分の違いによって、それぞれに含まれるSの形態も変化していく。
【0004】
これらの様々な形態として存在するS分のうち、前記のとおりの従来の一般的方法では、H2S(硫化水素)やR−SH(メルカプタン)については、比較的容易に除去することができる。
【0005】
しかしながら、次式
【0006】
【化1】
【0007】
にも示したチオフェン酸については従来法によってこれを除去することは容易ではなく、特に、軽油中の4,6−ジアルキルジベンゾチオフェンの除去をも可能とする硫黄(S)分の深度脱硫は極めて困難であった。
【0008】
一方、前記従来法としての水素他脱硫方法においては水素化のための触媒が石油中に混入するという問題があったことから、このような問題を解決するための方策として、油に放射線を照射して、油中のS分を活性化し、これを金属と接触させて硫化金属として除去することで脱硫を行う方法が提案されている(特開昭50−39703号公報)。この方法においては、油中に銅等の金属の固体粉末を分散させた状態で放射線を照射し、固形分としての硫化金属油中より分離するようにしている。
【0009】
しかしながら、放射線を照射するこの方法については、実際に実用化されることもなく、提案されたままにとどまっている。その理由としては、この提案においては、油中への良好な分散が困難な金属粉末を用いていることや、石油精製のプロセスとしての現実的な条件や装置の形態について全く検討されていないことがある。さらに、この提案された方法では、前記のとおりの深度脱硫についての問題認識も見当らない。
【0010】
以上のような従来の技術に鑑みて、本発明出願の発明者は、近年、特に問題とされている深度脱硫をも可能とする、効率的で実用性の高い、新しい脱硫装置を提供することを発明の課題としてきた。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本願発明は、上記の課題を解決するたものとして、第1には、石油製品または石油半製品の脱硫装置であって、触媒としての銀の化合物溶液と石油製品または石油半製品とを接触させる触媒液−液接触部と、これに続くX線照射部並びにX線の照射により生成した前記銀の硫化物を分離回収する硫化物回収部を備えることを特徴とするX線照射脱硫装置を提供する。
【0012】
また、この第1の発明に関係して、本願発明は、第2には、銀の化合物は、親水性化合物および親油性化合物のうちの1種以上であることを特徴とするX線照射脱硫装置を、第3には、銀の化合物溶液は、水および有機溶媒のうちの1種以上の溶液であることを特徴とするX線照射脱硫装置を提供する。
【0013】
そして、本願発明は、前記の発明について、第4には、X線照射部では、触媒液−液接触部からの混合液に対して、上方および側方の少くともいずれかよりX線照射されるようにしていることを特徴とするX線照射脱硫装置を提供し、第5には、硫化物回収部には、濾過器、静量分離器、遠心分離装置、およびサイクロン分離装置の1種以上が配備されていることを特徴とするX線照射脱硫装置を提供する。
【0014】
さらに、本願発明は、第6には、前記いずれかの脱硫装置において、硫化物回収部に続いて、残存触媒を除去するために、2次的にX線を上方および側方の少くともいずれかより照射するための2次X線照射部が配備されていることを特徴とするX線照射脱硫装置を、第7には、硫化物回収部にて回収された銀の硫化物より触媒を再生する触媒再生部が配備されていることを特徴とするX線照射脱硫装置を、第8には、硫化物回収部にて回収された銀の硫化物より触媒を生成させる硫酸生成部が配備されていることを特徴とするX線照射脱硫装置を提供する。
【0015】
また、本願発明は第9には、前記第7の発明の脱硫装置において、再生された触媒の触媒液−液接触部への循環路が配備されていることを特徴とするX線照射脱硫装置を提供し、第10には、脱硫した石油製品または石油半製品と触媒の溶媒とを分離するための蒸留部が配備されているX線照射脱硫装置を提供し、さらに、第11には、以上のいずれかの脱硫装置が、石油精製装置の一部として組込み配備されていることを特徴とする石油精製装置を提供する。
【0016】
以上のとおりの本願発明は、高エネルギー線を照射して脱硫を行うとの点において、前記のようにすでに提案されている方法に類似している。しかしながら、脱硫についての技術的思想は、発明の目的、構成そして作用効果の全てについて本質的に相違している。なによりも、本願発明においては、X線の照射により、従来では極めて困難であるとされていた軽油中の4,6−ジベンゾチオフェンの除去をも可能とする、S分の深度脱硫を実現するものである。それと同時に、実用性が高く、効率性に優れた脱硫装置を提供するものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
本願発明は前記のとおりの特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態について説明する。
【0018】
本願発明の脱硫装置については、前記第1の発明のように、
<A> 触媒としての銀の化合物溶液を石油製品または石油半製品と接触させる触媒液−液接触部と、
<B> これに続くX線照射部
<C> X線の照射により生成した銀の硫化物を分離回収する硫化物回収部
を必須の要件として具備している。
【0019】
この構成において、要件<A>の触媒液−液接触部で石油製品または石油半製品と接触させる触媒としての銀の化合物溶液については、銀の化合物が親水性および親油性のうちの1種以上のものとし、また、水および有機溶媒のうちの1種以上の溶液とすることができる。銀の化合物は、無機化合物、あるいは有機化合物であってよい。有機溶媒を用いる場合には、好適には、アルコール類等の水相溶性溶媒や、その他の比較的極性の大きな溶媒を用いることが考慮される。なかでも、後述の実施例にも例示したイソプロピルアルコール等のアルコール類は好ましいものの一つである。銀の化合物は、X線の照射によって硫黄化合物が分解され、反応しやすい状態となった硫黄(S)との反応によって硫化金属を生成しやすいものであることが好ましい。
【0020】
たとえば以上のような銀の化合物を溶液として使用し、前記の触媒液−液接触部で油と接触させることは、本願発明において極めて重要な特徴であって、必須の形態である。
【0021】
金属そのものの粉末を用いる前記のとおりの公知の脱硫方法においては、石油製品や石油半製品に対して金属粉末を良好に分散させることは極めて困難であって、粉末そのものの凝集や堆積という不都合も避けられない。このため、放射線照射によってS成分を活性化したとしても、活性化されたS成分と金属粒子との反応域は極めて限られたものとなる。
【0022】
これに対し、本願発明においては、触媒としての銀の溶液が用いられ、石油製品または石油半製品と液−液接触が行われるから、反応域は極めて大きなものとなって、高い効率での金属化合物の生成による脱硫が可能となる。しかも、従来困難であった深度脱硫も可能となる。
【0023】
次に本願発明の要件<B>としてのX線照射部においてX線が照射されることにより、含有される硫黄化合物を分解し、硫黄分を触媒となる、銀化合物溶液と反応させて硫化物に置換して沈降分離させる。
【0024】
石油製品や半製品に含まれる硫黄化合物には、メルカプタンやスルフィド、チオフェン等の化合物が存在するが、その中でも脱硫しにくい物質として、4,6−ジアルキルジベンゾチオフェンが挙げられる。この硫黄化合物にX線を照射すると、チオフェン部のSが比較的容易に解離することから、その現象を利用して解離したSを触媒と反応させる。反応させたSは、沈降物質として新たなS化合物(硫化物)を生成し、油とS化合物とを分離することで脱硫を行うことができる。硫黄の脱硫性能をコントロールするためには、X線源の線量を増減させ、S化合物のSの分解度合いを調整することができる。また、油への照射時間を調整することによっても、硫黄の脱硫度合いをコントロールすることができる。また、X線の照射による脱硫部を二重や三重の複数に直列プロセスとして設け、深度脱硫をより効果的に行うことも可能である。
【0025】
ここで、たとえばX線源を利用して脱硫を行う場合、脱硫を行なうときに用いるX線源は、硫黄の吸収端波長(5.0185Å)のX線を単色化して用いると脱硫効果が優れており、単色化が図れない場合には可能な限り硫黄の吸収端波長を利用することが望ましい。また、脱硫に用いる液体触媒がたとえば硝酸銀の溶液の場合では、脱硫に用いるX線源が銀の吸収端波長3.5Åより短い(エネルギーの高い)X線源を用いた場合には、硫黄の分解が起きる前に、硝酸銀が分解して酸化銀や銀になってしまい脱硫の妨害(硫化銀にならない現象)を起こしてしまう。そこで、銀の吸収端波長をカットして硫黄の吸収端波長を利用することが大切である。
【0026】
なお、ここで用いる液体触媒であるが、親水性触媒と親油性触媒(有機系金属)の混合物を使用すると脱硫効果を向上させることができる。その理由は、油中に含有する硫黄化合物としては、水溶性の物質と親油性の物質とが存在することから、それらに柔軟に対応できる触媒を用いるために(硫黄化合物と触媒との接触効率とを効果的に行うために)混合触媒を用いることが重要な鍵を握る。
【0027】
X線の照射によって分解された硫黄分は、金属と反応し、微粉な状態で油の中を沈降する。そのために、X線源等からの照射を効率的に行うためには攪拌機を設け、沈降や偏析を防ぐことが望ましい。
【0028】
そして、X線の照射においては、触媒溶液と接触混合された油の流れに対して、下面からの照射よりも、上面や側面からの照射の方が、脱硫効率から考えて好ましい。その理由として、下面からの照射については、生成した硫化物が沈降し、試料照射隔壁の窓を被ってしまうケースが発生し、照射線量を減衰させる現象が生じかねないからである。このことから、下面からの照射では十分な脱硫効果が得られず、沈降物が生成すればするほど照射線量を減衰させるため、側面や上面からの照射が好ましい。
【0029】
このようにして一度脱硫された油に、再びX線を照射して2次反応を行うことも有効である。ここでの反応は、脱硫が目的でなく、脱硫に不必要な過剰の液体触媒を酸化物や金属として沈降させ除去することで、処理済みの石油製品や石油半製品中に触媒が残存するのを防ぐ働きをさせることである。
【0030】
さらに本願発明の要件<C>の硫化物回収部は、X線照射により生成した硫化物を油中より分離回収するためのものである。
【0031】
ここでは、たとえばX線の照射部で生成した硫化物を、たとえばろ過膜を用いてろ過することで、硫黄化合物を除去し、脱硫や精製を可能としている。
【0032】
ろ過器は、連続的に使用可能にするために、複数台のろ過器を併用し、油の流れるラインを定期的に切り替えながら硫化金属を除去するようにしてもよい。また、遠心分離やサイクロンの原理を用いて連続的に分離する方法も採用することもできる。
【0033】
また、処理量が少量であり、連続的な脱硫を行なわない場合は、一定の容器に貯槽しておき、静置分離を行うことによって、油と硫化物とを分離することもできる。
【0034】
これらの除去手法を併用しながら、プロセスの処理能力に応じた処理方法を用いて、生成した硫化物を除去することで脱硫を達成することができる。
【0035】
以上のとおりの本願発明については、さらに、触媒再生部や触媒循環路、そして、硫酸生成部や溶媒再生部を適宜に配備することができる。
【0036】
触媒として用いる化合物には、硝酸銀・硝酸鉛・酸化銀などの硫黄と反応しやすく、しかも結合して沈降物を生成する物質を選択する。
【0037】
硝酸銀について代表例として述べると、硝酸銀は、X線の照射で分解された硫黄と接触すると、硫化銀を比較的容易に生成する。この硫化銀はたとえばろ過されて油の中から硫化銀として取り出すことができる。
【0038】
そこで、触媒の再生部では、分離された硫化銀をまず燃焼(酸化)させ、酸化銀に置き換える。酸化銀の形態を取ったあとで、アルデヒドを用いて還元反応を起こし、銀に置き換える。続いて、この銀を硝酸と接触させることで、硝酸銀として再生し、再び触媒の原材料として再利用する。
【0039】
硝酸銀が生成すれば、触媒として再利用するために、イソプロピルアルコールなどの希釈溶媒を注入し、触媒としての働きを効果的に行えるように、濃度調整を実施する。この調整を実施した後に、再び原料油に注入し、フィードとして再利用することができる。
【0040】
この時に、燃焼(酸化)反応をすると同時にSOxが発生することから、これらの発生ガスを捕集するプロセスへ誘導する。
【0041】
また、アルデヒドは副生成物としてカルボン酸類に変化するので、その形として捕集する。
【0042】
触媒再生部で発生したSOxを、硫酸生成部において水および過酸化水素水で回収することで、希硫酸として取り出すことができる。この希硫酸溶液を加熱濃縮することにより濃硫酸に変化させ、硫酸製品として用いることができる。
【0043】
なお、SO2から硫酸への変化については、酸化反応のできるプロセスを付加し、SO3の形態に変化させてから硫酸に置き換える必要がある。
【0044】
なお、触媒の濃度を調整する目的でイソプロピルアルコール(代表例)等の有機溶媒を使用する場合には、これらは石油製品の中に存在することから、蒸留工程を経て脱硫製品と分離する必要がある。
【0045】
蒸留工程は、イソプロピルアルコールの沸点温度(80℃)で蒸留し、蒸留塔の上部からイソプロピルアルコールを抜き出す。抜き出されたイソプロピルアルコールはガス化した状態であることから、熱交換器を通して冷却し、液化イソプロピルアルコールに変換する。
【0046】
液化イソプロピルアルコールを触媒再生塔に送り、たとえば硝酸銀と混合して液体触媒として脱硫反応に再利用する。
【0047】
そこで、以下に試験例並びに装置構成例を示し、さらに詳しくこの出願の発明について説明する。
<試験例1>
(液体触媒と固体触媒との脱硫効果)
硫黄濃度が50ppmの試料を用いて、液体触媒と固体触媒との脱硫効果について評価した。
(1)実験
実験容器に硫黄分が50ppmの石油試料を入れ、液体触媒(硝酸銀溶液触媒)を添加したものと固体触媒(銀粉)を添加したものとを、各々調製し実験試料とした。
【0048】
X線照射条件は、Rhチューブを用いて20kV−70mAの条件にし、銀の吸収端波長をカットするようにした。照射時間は、0、15、30、45、60分ずつ照射し、脱硫効果を観るために実験試料をろ過して触媒との反応物(固体触媒も含む)を除去し、ろ液中の硫黄強度の減少率をS−Kα強度として測定し、脱硫効果とした。
【0049】
なお、照射については上面から行った。
(2)結果
固体触媒の変化および液体触媒の脱硫効果を表1および図1に示した。
【0050】
液体触媒については、脱硫効果が顕著に現れているものの、固体触媒については脱硫効果は全く観られなかった。
【0051】
以上の実験結果から、液体触媒については、硫黄との接触効率が優れていることから脱硫効果が顕著に現れたものと考えられる。一方、固体触媒については流動性が無いために、硫黄との接触効率が大変悪く脱硫効果が観られなかったものと考えられる。
【0052】
【表1】
【0053】
<試験例2>
(上面照射と下面照射との脱硫効果)
硫黄濃度が50ppmの試料を用いて、上面照射と下面照射との脱硫効果について評価した。
(1)実験
実験容器に硫黄分が50ppmの石油試料を入れ、液体触媒(硝酸銀溶液触媒)を添加したものを調製し実験試料とした。
【0054】
X線照射条件は、Rhチューブを用いて20kV−70mAの条件にし、銀の吸収端波長をカットするようにした。照射については、上面および下面から、0、15、30、45、60分ずつ各々照射し、脱硫効果を観察した。脱硫効果を判断するために、実験試料をろ過して触媒との反応物を除去し、ろ液中の硫黄強度の減少率をS−Kα強度として測定して、脱硫効果とした。
(2)結果
上面照射と下面照射との脱硫効果を表2および図2に示した。
【0055】
60分の脱硫効果を比較してみると、上面照射の方が脱硫効果が優れていることが分かる。また、下面照射については特異的な変化を見せており、大幅な脱硫効果は望めない。
【0056】
以上のことから、上面からの照射については、長時間照射することによって脱硫効果は増加し、照射時間と脱硫効果との相関が得られている。
【0057】
しかし、下面からの照射については、照射の初期の段階では脱硫効果が優れているが、30分を越えてもそれ以上の脱硫効果は観られない。これは、硫化銀として沈殿した物質が、X線の照射を妨げていることが原因と考えられる。30分を超えた時点から特異な動きを見せているが、これは硫化銀となって沈降した物質にX線が過剰に照射されるために、硫化銀を再び分解し、銀と硫黄とに分かれる現象が生じ、分解された硫黄が油分の中に再び戻る現象が起きているものと考えられる。
【0058】
【表2】
【0059】
<装置構成例>
添付した図3の図面は、本願発明の構成の一例を示したものである。もちろん、本願発明は、この図3の例に何ら限定されることはない。
【0060】
この例においては、触媒として、前記のとおりの硝酸銀(AgNO3)を水とイソプロピルアルコールとの混合溶媒に溶解したものを使用している。水とイソプロピルアルコールとの使用量の比は、たとえば1:100〜100:1、より好ましくは1:50〜50:1程度の範囲に調整し、硝酸銀の溶液濃度や使用量、つまり、図3における原料としての石油製品または石油半製品に対する使用量は、これに含有されるS成分化合物の量に応じて定めることができる。
【0061】
図3においては、触媒としての硝酸銀の溶液は、前記の原料と液−液接触され、次いで、X線が上方もしくは側方より照射されるようにしている。X線の照射により生成した硫化銀は硫化物回収部により分離回収され、このものは、触媒再生部において硝酸銀溶液の触媒として再生させるとともに、S成分は、硫酸生成部において濃硫酸へと転化される。
【0062】
また、図3の例では、2次X線照射部が配備されている。これにおいて、再度X線が上方または側方より照射される。油中に残存する触媒にX線の強力な高エネルギー線が照射されて、触媒がAgやAg2O等に変化され、回収されることになる。
【0063】
【発明の効果】
以上詳しく説明したとおり、液体触媒の存在下でのX線を照射する本願発明の脱硫装置並びにこれを欠くことのできない要部とする石油製品または石油半製品の脱硫精製装置によって、近年、特に問題とされている深度脱硫をも可能とする、効率的で実用性の高い、新しい脱硫装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 試験例1の結果を示した図である。
【図2】 試験例2の結果を示した図である。
【図3】 本願発明の一例を示した脱硫装置の全体構成図である。
Claims (11)
- 石油製品または石油半製品の脱硫装置であって、触媒としての銀の化合物溶液と石油製品または石油半製品とを接触させる触媒液−液接触部と、これに続くX線照射部並びにX線の照射により生成した前記銀の硫化物を分離回収する硫化物回収部を備えることを特徴とするX線照射脱硫装置。
- 銀の化合物は、親水性化合物および親油性化合物のうちの1種以上であることを特徴とする請求項1のX線照射脱硫装置。
- 銀の化合物溶液は、水および有機溶媒のうちの1種以上の溶液であることを特徴とする請求項1または2のX線照射脱硫装置。
- X線照射部では、触媒液−液触媒部からの混合液に対して、上方および側方の少くともいずれかよりX線照射されるようにしていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかのX線照射脱硫装置。
- 硫化物回収部には、濾過器、静量分離器、遠心分離装置、およびサイクロン分離装置の1種以上が配備されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかのX線照射脱硫装置。
- 請求項1ないし5のいずれかの脱硫装置において、硫化物回収部に続いて、2次的にX線を上方および側方の少くともいずれかより照射するための2次X線照射部が配備されていることを特徴とするX線照射脱硫装置。
- 請求項1ないし6のいずれかの脱硫装置において、硫化物回収部にて回収された銀の硫化物より触媒を再生する触媒再生部が配備されていることを特徴とするX線照射脱硫装置。
- 請求項1ないし8のいずれかの脱硫装置において、硫化物回収部にて回収された銀の硫化物より硫酸を生成させる硫酸生成部が配備されていることを特徴とするX線照射脱硫装置。
- 請求項7の脱硫装置において、再生された触媒の触媒液−液接触部への循環路が配備されていることを特徴とするX線照射脱硫装置。
- 請求項1ないし9のいずれかの脱硫装置において、脱硫した石油製品または石油半製品と触媒の溶媒とを分離するための蒸留部が配備されていることを特徴とするX線照射脱硫装置。
- 請求項1ないし9の脱硫装置が、石油精製装置の一部として組込み配備されていることを特徴とする石油精製装置。
Priority Applications (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001142468A JP3720728B2 (ja) | 2001-05-11 | 2001-05-11 | X線照射脱硫装置 |
US10/138,322 US6824746B2 (en) | 2001-05-11 | 2002-05-06 | High-energy beam irradiating desulfurization device |
EP02253328A EP1256618B1 (en) | 2001-05-11 | 2002-05-13 | High-energy beam irradiating desulfurization process |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001142468A JP3720728B2 (ja) | 2001-05-11 | 2001-05-11 | X線照射脱硫装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002338971A JP2002338971A (ja) | 2002-11-27 |
JP3720728B2 true JP3720728B2 (ja) | 2005-11-30 |
Family
ID=18988764
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001142468A Expired - Fee Related JP3720728B2 (ja) | 2001-05-11 | 2001-05-11 | X線照射脱硫装置 |
Country Status (3)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US6824746B2 (ja) |
EP (1) | EP1256618B1 (ja) |
JP (1) | JP3720728B2 (ja) |
Families Citing this family (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
FR2864101B1 (fr) * | 2003-12-19 | 2006-03-17 | Total France | Procede catalytique de purification des hydrocarbures legers |
AR058345A1 (es) * | 2005-12-16 | 2008-01-30 | Petrobeam Inc | Craqueo autosostenido en frio de hidrocarburos |
US7871501B2 (en) * | 2006-11-15 | 2011-01-18 | King Fahd University Of Petroleum And Minerals | Laser-based method for removal of sulfur (DMDBT) in hydrocarbon fuels |
WO2009064501A1 (en) | 2007-11-14 | 2009-05-22 | Saudi Arabian Oil Company | Microwave-promoted desulfurization of crude oil |
US20110011728A1 (en) * | 2009-07-15 | 2011-01-20 | Sackinger William M | System and method for conversion of molecular weights of fluids |
US20110011727A1 (en) * | 2009-07-15 | 2011-01-20 | Sackinger William M | System and method for conversion of molecular weights of fluids |
Family Cites Families (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
GB826693A (en) * | 1956-02-03 | 1960-01-20 | Exxon Research Engineering Co | Desulfurization of petroleum oils |
US3616375A (en) * | 1966-03-03 | 1971-10-26 | Inoue K | Method employing wave energy for the extraction of sulfur from petroleum and the like |
US4347226A (en) * | 1981-03-03 | 1982-08-31 | Mobil Oil Corporation | Method for treating sulfur-containing effluents resulting from petroleum processing |
US4968403A (en) * | 1989-12-21 | 1990-11-06 | Mobil Oil Corporation | High efficiency catalytic cracking stripping process |
US5284717A (en) * | 1989-12-27 | 1994-02-08 | Petroleum Energy Center | Method for producing raw materials for a reformer by cracking and desulfurizing petroleum fuels |
US5458752A (en) * | 1993-09-03 | 1995-10-17 | Martin Marietta Energy Systems, Inc. | Apparatus and method for the desulfurization of petroleum by bacteria |
AU1568195A (en) * | 1994-09-28 | 1996-04-19 | Eagle Petro-Tech, Inc. | A differential dielectric heating process for crude petroleum |
PL185093B1 (pl) * | 1996-03-01 | 2003-02-28 | Ebara Corp | Sposób odsiarczania gazów i urządzenie odsiarczające |
US6248218B1 (en) * | 1999-03-25 | 2001-06-19 | Clovis A. Linkous | Closed cycle photocatalytic process for decomposition of hydrogen sulfide to its constituent elements |
-
2001
- 2001-05-11 JP JP2001142468A patent/JP3720728B2/ja not_active Expired - Fee Related
-
2002
- 2002-05-06 US US10/138,322 patent/US6824746B2/en not_active Expired - Fee Related
- 2002-05-13 EP EP02253328A patent/EP1256618B1/en not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2002338971A (ja) | 2002-11-27 |
EP1256618A2 (en) | 2002-11-13 |
EP1256618B1 (en) | 2007-10-03 |
US20030017091A1 (en) | 2003-01-23 |
EP1256618A3 (en) | 2003-07-23 |
US6824746B2 (en) | 2004-11-30 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
RU2561625C2 (ru) | Способ отделения и очистки сульфида натрия | |
US7790021B2 (en) | Removal of sulfur-containing compounds from liquid hydrocarbon streams | |
RU2565594C2 (ru) | Реакционная система и получаемые в ней продукты | |
JPS63200804A (ja) | 酸性の極性吸着剤を用いる抽出油からの塩基性窒素化合物の除去及び前記吸着剤の再生 | |
AU2023202835A1 (en) | Process, method and system for removing heavy metals from fluids | |
KR910005348B1 (ko) | 탄화수소계유중의 수은을 제거하는 방법 | |
AU777082B2 (en) | Process for removing mercury from liquid hydrocarbon | |
US5723039A (en) | Process for removal of organo-sulfur compounds from liquid hydrocarbons | |
JP3720728B2 (ja) | X線照射脱硫装置 | |
JP2002241767A (ja) | 液状炭化水素からの水銀除去方法 | |
US6488840B1 (en) | Mercaptan removal from petroleum streams (Law950) | |
DE4200376A1 (de) | Verfahren zur entschwefelung von heizoel | |
EP3046995B1 (en) | Refining of used oils | |
JPH01113492A (ja) | 接触酸化によりスイートニングしたジェット燃料の熱安定性向上法 | |
JP2000507299A (ja) | 液体炭化水素からの有機硫黄化合物の除去方法 | |
US5209913A (en) | Process for the production of natural gas condensate having a reduced amount of mercury from a mercury-containing natural gas wellstream | |
JPH0648741A (ja) | 水銀除去用硫化鉄の製造方法 | |
JP2005194336A (ja) | 炭化水素油の脱硫方法 | |
JPH0524194B2 (ja) | ||
AT231368B (de) | Verfahren zur Behandlung einer wässerigen Lösung | |
NL1020133C2 (nl) | Werkwijze voor de verwijdering van zuurstof uit gasstromen. | |
GB2573870A (en) | Liquid-phase decomposition of particulate mercury from hydrocarbon streams | |
JP2019026612A (ja) | ナフタレン含有油の脱酸方法 | |
JPS6011954B2 (ja) | 石油系鉱油中の鉄分を除去する方法 | |
Habib et al. | Reuse of Hydrotreating Spent Catalyst |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20040205 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20040217 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20040419 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20050817 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20050908 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080916 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090916 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090916 Year of fee payment: 4 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090916 Year of fee payment: 4 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100916 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100916 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110916 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110916 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120916 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130916 Year of fee payment: 8 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |