JP2005194336A - 炭化水素油の脱硫方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】炭化水素油中の有機硫黄化合物を溶剤中に効率良く溶出させた後、これを分離することにより炭化水素油中から有機硫黄化合物を除去して硫黄分が10ppm程度以下の低硫黄濃度油若しくは硫黄フリー油を製造することができるとともに、溶剤中のジベンゾチオフェン類等を付加価値の高いジベンゾチオフェンスルホン等に転換させ、これらを溶剤から容易に分離して有用な資源である有機硫黄化合物を効率良く高純度で回収することができ作業性と操作性に優れ低原価で量産性、生産性に優れる炭化水素油の脱硫方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の炭化水素油の脱硫方法は、炭化水素油を水素化脱硫して得られた水添精製油と溶剤とを接触させ前記水添精製油に含まれる有機硫黄化合物を前記溶剤に溶出させる溶剤接触工程と、前記有機硫黄化合物が溶出した硫黄含有溶剤と前記有機硫黄化合物が除去された脱硫油とを分離する分離工程と、を備える。
【選択図】なし

Description

本発明は、有機硫黄化合物を含有する炭化水素油から有機硫黄化合物を除去し、さらに有機硫黄化合物を回収する炭化水素油の脱硫方法に関するものである。
石油,オイルサンド,オイルシェール,石炭等から得られる炭化水素油には各種の有機硫黄化合物が含有されている。例えば、ディーゼル燃料油として用いられる軽油に含まれる有機硫黄化合物は、燃焼排ガスによってSOxとして環境中へ放出され環境汚染の原因となったり白金触媒等を利用した排ガス処理装置の触媒毒となるため、炭化水素油に含有される有機硫黄化合物を低減する種々の技術が研究されている。特に、発ガン性が指摘される微粒子状物質を除去するために精密化した近年の燃焼排ガス処理装置においては、燃焼排ガス中に存在する硫黄酸化物等によって装置寿命や効率が著しく減退したり目詰まりを起こし熔損してしまう等の問題も発生するため、燃料中に含まれる硫黄分の濃度を50ppm以下に低減する脱硫技術が研究されている。
また、近年、炭化水素油に含有される有機硫黄化合物は、医薬品,農薬,合成樹脂製品,電子製品等を製造する際の貴重な工業用原料として注目されている。例えば、化学的に安定であるため水素化脱硫し難いベンゾチオフェン(BT),ジベンゾチオフェン誘導体等の有機硫黄化合物は、有用な工業用原料としての可能性を有するものである。これらを無機物の硫黄から製造しようとすれば複雑な製造工程と多大な製造コストを要するため、炭化水素油から有機硫黄化合物を回収するための種々の技術が研究されている。
例えば、(特許文献1)に「有機硫黄化合物を含有する液状油を酸化剤で処理した後、これを蒸留,吸着等によって分離して、酸化された有機硫黄化合物を液状油から回収する方法」が開示されている。
(特許文献2)に「軽質油等に有機硫黄化合物に対する溶解度の大きい溶剤を加えて混合して有機硫黄化合物を溶剤中に移行させた後、有機硫黄化合物を含む溶剤を分離し、次いで該溶剤を蒸発させ蒸発残渣として有機硫黄化合物を回収する方法」が開示されている。
(特許文献3)に「硫黄化合物を含有する燃料油を、極性有機溶剤と遷移金属触媒の存在下、酸化剤で処理する燃料油の酸化脱硫方法」が開示されている。
特開平5−286869号公報 特開平7−197036号公報 特開2001−354978号公報
しかしながら上記従来の技術においては、以下のような課題を有していた。
(1)(特許文献1)に開示の技術では、回収される有機硫黄化合物はベンゾチオフェン及びジベンゾチオフェン誘導体であるが、特に有用で付加価値の高いジベンゾチオフェン誘導体の回収率が低いという課題を有していた。
(2)(特許文献2)に開示の技術は、比較的短時間で有機硫黄化合物を溶剤に溶解させた後、溶剤を蒸発して溶解した有機硫黄化合物を回収することはできるが、溶剤による酸化が不十分なので、工業的に特に有用で付加価値の高いジベンゾチオフェンスルホン等を効率的に回収することができないという課題を有していた。
(3)(特許文献1)乃至(特許文献3)に開示の技術では、硫黄化合物の濃度を50ppm以下に低減できず、50ppm以下の低硫黄濃度の炭化水素油の製造と、炭化水素油中に含まれるジベンゾチオフェンスルホン類等の有機硫黄化合物を短時間で回収することを両立できないという課題を有していた。
(4)回収したジベンゾチオフェンスルホン等の芳香環に置換したアルキル基等が遊離し難いため精製し難く、高純度のジベンゾチオフェンスルホン等を得ることが困難であるという課題を有していた。
本発明は上記従来の課題を解決するもので、炭化水素油中の有機硫黄化合物を溶剤中に効率良く溶出させた後、これを分離することにより炭化水素油中から有機硫黄化合物を除去して硫黄分が10ppm程度以下の低硫黄濃度油若しくは硫黄フリー油を製造することができるとともに、溶剤中に溶出させたジベンゾチオフェン類等を付加価値の高いジベンゾチオフェンスルホン等に酸化させ、これらを吸着等の簡単な操作で溶剤から容易に分離して有用な資源である有機硫黄化合物を効率良く高純度で回収することができ作業性と操作性に優れ低原価で量産性、生産性に優れる炭化水素油の脱硫方法を提供することを目的とする。
上記従来の課題を解決するために本発明の炭化水素油の脱硫方法は、以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載の炭化水素油の脱硫方法は、炭化水素油を水素化脱硫して得られた水添精製油と溶剤とを接触させ前記水添精製油に含まれる有機硫黄化合物を前記溶剤に溶出させる溶剤接触工程と、前記有機硫黄化合物が溶出した硫黄含有溶剤と前記有機硫黄化合物が除去された脱硫油とを分離する分離工程と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)水添精製油には、炭化水素油に含有される有機硫黄化合物の内、ベンゾチオフェン類は除去されてほとんど残留しておらず、硫黄原子周辺にアルキル基等の置換基をもつジベンゾチオフェン類が多く含まれている。アルキル基等の置換基をもつジベンゾチオフェン類は、置換基が立体障害となり平面構造の奥に位置する硫黄原子に触媒反応活性点が接触することを阻害するため、水素化脱硫法では分解することが困難な化合物である。しかしながら、炭化水素油を水素化脱硫した水添精製油と溶剤とを接触させる溶剤接触工程を備えているので、溶剤接触工程では水素化反応の場合とは逆にジベンゾチオフェン類の相対反応性が増加し、ジベンゾチオフェン類をスルホキシドやスルホン誘導体のような極性化合物に変化させることができ、この結果、有機硫黄化合物を水添精製油から効率的に分離させ収率を高めることができる。
(2)水添精製油中の有機硫黄化合物は溶剤中に溶出するので、分離工程で硫黄含有溶剤を分離することにより炭化水素油中から有機硫黄化合物を除去することができ、分離された脱硫油は硫黄分が10ppm程度以下の低硫黄濃度油若しくは硫黄フリー油として種々の用途にそのまま使用することができる。
(3)現状の水素化脱硫装置で製造された水添精製油を用い、簡単な操作で硫黄分が10ppm程度以下の低硫黄濃度油若しくは硫黄フリー油を得ることができるので、各精油所が有する現状の水素化脱硫装置をそのまま用いることができ多大な設備を導入する必要がない。
ここで、炭化水素油としては、石油,石炭,オイルサンド,オイルシェール,オリマルジョン等の有機化石資源由来油が用いられる。具体的には、ガソリン,灯油,軽油,重油等の特定の留分からなる蒸留生成物及び原油の石油資源系油、コールタール,液化油等の石炭資源系油、オイルサンド,オイルシェール,オリマルジョン等からの抽出物等の石炭類似資源系油、及び精製油等が用いられる。
水素化脱硫としては、原油等を常圧蒸留したときの残油を直接水素化脱硫して水添精製油を得る直接脱硫、常圧残油をさらに減圧蒸留して減圧軽油と減圧残油とに分け減圧軽油を水素化脱硫し減圧残油と混合して水添精製油を得る間接脱硫が用いられる。
水添精製油としては、硫黄分濃度が500ppm以下に低減されたものが好適に用いられる。硫黄分が500ppmより多いとアルキル置換ジベンゾチオフェン類だけでなくベンゾチオフェン類も多く残留しており、溶剤を用いた酸化反応では水素化反応の場合とは逆にベンゾチオフェン類の相対反応性が低下するため、脱硫油中にベンゾチオフェン類が残留することになり、硫黄分50ppm以下の脱硫油を得ることが困難になる傾向が高まるからである。
有機硫黄化合物としては、脂肪族炭化水素を構成する炭素鎖中に硫黄原子を含有するチオール類,チオエーテル類等の化合物、芳香族炭化水素の置換基として炭素鎖中に硫黄原子を含有する基を有するチオフェノール類,チオアニソール類等の化合物、骨格中に硫黄原子を含むチオフェン類,ベンゾチオフェン類,ジベンゾチオフェン類等の複素環化合物等を挙げることができる。
ジベンゾチオフェン類に含まれる化合物としては、ジベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェンのモノアルキル化体又はジアルキル化体等のアルキル化誘導体、分子内にジベンゾチオフェン骨格を有する化合物等を挙げることができる。
溶剤としては、炭化水素油に対する溶解度が小さく、かつ、水添精製油に含まれる有機硫黄化合物及びその酸化生成物を抽出する極性溶媒が用いられる。具体的には、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、バレロニトリル、酢酸、プロピオン酸、酪酸、蟻酸、過酸、メタノール、エタノール、ブタノール、2−ブタノン、アセチルアセトン、ニトロメタン、ニトロエタン、ニトロプロパン、N,N´−ジメチルホルムアミド、N,N´−ジメチルアセトアミド、トリメチルリン酸エステル、トリエチルリン酸エステル、ヘキサメチルリン酸アミド、N−メチル−2−ピロリドン等のピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等のイミダゾリジノン、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2−ピリミジノン等のピリミジノン、トリメチルピリジウムハイドロブロマイド、1,2,4,6−テトラメチルピリジニウムヨーダイド等のピリジウム塩等の1種又は複数種を用いることができる。
溶剤と水添精製油は、溶液接触工程において、加温、撹拌、振動、拡散、流路混合、遠心力の付加等の操作により溶剤と水添精製油と接触する界面の面積を広くし溶出効率を高めることができる。具体的には、スプレー塔、充填塔、バッフル塔、多孔板抽出塔、オリフィス塔,インジェクター,スタティックミキサー等のフローミキサー等の非動力式抽出装置、ミキサーセトラー抽出装置,シャイベル塔,回転円板抽出塔,ミクスコ塔,グラエッサー塔,ルーワ抽出機,クーニ塔等の撹拌式抽出装置、脈動充填塔,脈動多孔板塔,振動板塔等の脈動式・振動式抽出装置、ポドビルニアク抽出機,ルウェスタ抽出機等の遠心式抽出装置等の動力式抽出装置を用いることができる。
溶剤接触工程において、水添精製油に添加する溶剤の量としては、水添精製油の量に対し0.5〜10倍好ましくは1〜5倍より好ましくは2〜5倍が好適に用いられる。水添精製油に対する溶剤の量が2倍より少なくなるにつれ水添精製油と溶剤が接触する界面の面積が少なくなり水添精製油中の有機硫黄化合物の溶出効率が低下する傾向がみられ、5倍より多くなるにつれ溶剤の量が増えランニングコストが増加するとともに硫黄含有溶剤の量が増え分離工程後の後処理が煩雑になる傾向がみられる。また、水添精製油に対する溶剤の量が1倍より少なくなるにつれ有機硫黄化合物の溶出効率が低下するとともに接触時間に長時間を要す傾向がみられる。特に、0.5倍より少なくなるか10倍より多くなると、これらの傾向が著しくなるので好ましくない。
溶剤接触工程における水添精製油と溶剤の混合液の温度としては、50〜500℃好ましくは66〜400℃より好ましくは66〜250℃、圧力としては0.1〜30MPa好ましくは0.5〜12MPaが好適に用いられる。これにより、ジベンゾチオフェン類に置換したアルキル基等の置換基を解離し易くして分解を促進するとともに、水添精製油から溶剤への溶出速度を高め溶剤接触工程の接触時間を短縮させることができ生産性を高めることができる。また、圧力条件が0.1〜30MPaなので、圧力を高めるにつれ、水添精製油が酸化し難く脱硫油を変質させ難くして脱硫油の品質を高めることができるとともに、有機硫黄化合物の溶剤への溶解度を高めることができ溶剤接触工程の接触時間を短縮させることができ生産性を高めることができる。
ここで、混合液の温度が66℃より低くなるか又は圧力が0.5MPaより低くなるにつれ水添精製油から溶剤への溶出速度が低下し溶出に時間を要し作業性が低下する傾向がみられ、250℃より高くなるか又は12MPaより高くなるにつれ水添精製油の主成分である炭化水素類を酸化し変質させる傾向や酸化剤を加えた場合には酸化剤が分解し易くなる傾向、ランニングコストが増加するとともに高圧化するため多大な安全対策が必要となる傾向がみられる。温度が400℃より高くなるにつれ炭化水素油として軽油を用いた場合に分解し易くなる傾向がみられる。温度が500℃より高くなるか圧力が30MPaより高くなると、これらの傾向が著しいため、いずれも好ましくない。
溶剤接触工程において、溶剤にリンタングステン酸,酸化タングステン,タングステン塩化物等のタングステン化合物、酸化バナジウム,酸化バナジウムアセチルアセトン錯体,バナジウム塩化物等のバナジウム化合物、酸化モリブデン,酸化モリブデンアセチルアセトン錯体,リンモリブデン酸等のモリブデン化合物等の遷移金属触媒を添加することもできる。遷移金属触媒は、溶剤に作用して有機硫黄化合物の酸化を促進するからである。
溶剤に添加した遷移金属触媒は、例えば、リンタングステン酸等の場合は減圧下又は常圧下で蒸留等の手段を用い残渣中に残留させて、酸化バナジウム等の場合は沈降分離又は濾過分離等の手段を用いて分離させることができる。
分離工程において、硫黄含有溶剤と脱硫油とを分離する手段としては、遠心分離,沈降等の分液操作が用いられる。溶剤としてアセトニトリル等の極性溶媒を使用するので、水添精製油への溶解度が小さく分液により容易に分離できるからである。
また、硫黄含有溶剤と脱硫油の混合液を冷却することにより、脱硫油を凝集させ硫黄含有溶剤を分離することもできる。
なお、硫黄含有溶剤と分離された脱硫油を、水洗,吸着操作等によりさらに精製することもできる。
本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の炭化水素油の脱硫方法であって、前記溶剤接触工程において、前記水添精製油と前記溶剤に酸化剤を混合する構成を有している。
この構成により、請求項1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)酸化剤が混合されているので、水添精製油に含まれるジベンゾチオフェン類の酸化を促進し、スルホキシドやスルホン誘導体のような極性化合物に変化させ、水添精製油からの有機硫黄化合物の回収効率を高めることができる。
ここで、酸化剤としては、酸素ガス、空気、二酸化窒素、オゾンガス、硝酸、t−ブチルヒドロペルオキシド等の有機ヒドロペルオキシド、メタ過ヨウ素酸ナトリウム、重クロム酸カリウム、過マンガン酸カリウム、無水クロム酸、次亜塩素酸、過酸化水素、過酢酸、過酸化水素水と酢酸の混合物、過蟻酸、過酸化水素水と蟻酸の混合物、メタクロロ過安息香酸、過酸化水素水とメタクロロ安息香酸の混合物、過クロロ酢酸、過酸化水素水とクロロ酢酸の混合物、過ジクロロ酢酸、過酸化水素水とジクロロ酢酸の混合物、過トリクロロ酢酸、過酸化水素水とトリクロロ酢酸の混合物、過トリフロロ酢酸、過酸化水素水とトリフロロ酢酸の混合物、過メタンスルホン酸、過酸化水素水とメタンスルホン酸の混合物、過硫酸、過酸化水素水と硫酸の混合物等の内の1種又は2種以上が用いられる。なかでも、過酸化水素水が好適に用いられる。入手が容易であるとともに腐食性や刺激性等が少なくさらに分解しても水と酸素しか残らず取扱いが容易だからである。
酸化剤の添加量としては、水添精製油中に含まれる硫黄分に対して10〜100倍モルが好ましい。酸化剤の添加量が硫黄分に対して10倍モルより少なくなるにつれ酸化剤の量が少なく衝突確率が減り未酸化の有機硫黄化合物が水添精製油中に残留し易くなる傾向がみられ、100倍モルより多くなるにつれ溶剤接触工程で用いる反応器内の内圧が高まり反応器に過度の負荷がかかる傾向がみられるため、いずれも好ましくない。
本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の炭化水素油の脱硫方法であって、前記溶剤の前記水添精製油に対する相互溶解度が、0.1〜5%の範囲である構成を有している。
この構成により、請求項1又は2で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)溶剤の水添精製油に対する相互溶解度が0.1〜5%の範囲なので、溶剤接触工程において水添精製油からの有機硫黄化合物の抽出と、分離工程において硫黄含有溶剤と有機硫黄化合物が除去された脱硫油との分離とを両立させることができ、いずれの作業性も高めることができるとともに、良質の脱硫油を得ることができる。
ここで、溶剤の水添精製油に対する相互溶解度が0.1%より小さくなるにつれ溶剤接触工程において水添精製油からの有機硫黄化合物の抽出効率が低下する傾向がみられ、相互溶解度が5%より多くなるにつれ分離工程において硫黄含有溶剤と脱硫油との分離効率が低下する傾向がみられるため、いずれも好ましくない。
このような溶剤として、例えば、メタノールが好適に用いられる。水添精製油との分離性に優れ、また皮膚吸収による強い毒性や分解によるシアン等の発生がなく、また強い腐食性を示さないため取扱性に優れ、さらに有機硫黄化合物の溶解度が高いからである。
本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の内いずれか1に記載の炭化水素油の脱硫方法であって、前記溶剤接触工程において、前記水添精製油と前記溶剤とを0.12〜30MPa好ましくは0.5〜12MPaに加圧する構成を有している。
この構成により、請求項1乃至3の内いずれか1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)水添精製油と溶剤とを0.12〜30MPa好ましくは0.5〜12MPaに加圧するので、溶剤の沸点以上の温度に反応温度を高めることができ、水添精製油中の有機硫黄化合物の酸化を進行させることができる。大気圧(0.1MPa)の条件下では、反応温度が溶剤の沸点(メタノールの場合は約66℃、アセトニトリルの場合は約82℃)以上には上がらないからである。
ここで、圧力が0.5MPaより低くなるにつれ水添精製油から溶剤への溶出速度が低下し溶出に時間を要し作業性が低下する傾向がみられ、12MPaより高くなるにつれ溶剤の種類にもよるが、溶剤の臨界条件を越えランニングコストが増加するとともに高圧化するため多大な安全対策が必要となる傾向がみられる。特に、0.12MPaより低くなるか30MPaより高くなると、これらの傾向が著しくなるため、いずれも好ましくない。
これらの圧力条件の場合、水添精製油と溶剤の混合液の温度は、66〜400℃好ましくは125〜250℃が好適である。温度が125℃より低くなるにつれ水添精製油から溶剤への溶出速度が低下し溶出に時間を要し作業性が低下する傾向がみられ、250℃より高くなるにつれ水添精製油の主成分である炭化水素類を酸化し変質させる傾向や酸化剤を加えた場合には、酸化剤の種類にもよるが酸化剤が分解し易くなる傾向がみられる。特に、66℃より低くなるか400℃より高くなると、これらの傾向が著しくなるとともに水添精製油が軽油の場合には分解し易くなるため、いずれも好ましくない。
本発明の請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の内いずれか1に記載の炭化水素油の脱硫方法であって、前記分離工程で分離された前記硫黄含有溶剤に酸化剤を加えた後、前記溶剤の亜臨界条件又は超臨界条件の高温高圧下で酸化反応を行う第1高温高圧処理工程と、前記高温高圧処理工程で高温高圧にされた前記硫黄含有溶剤から有機硫黄化合物を回収する第1回収工程と、を備えた構成を有している。
この構成により、請求項1乃至4の内いずれか1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)第1高温高圧処理工程を備えているので、(化1)の反応式(酸化剤として過酸化水素を用いた場合)に示すように、硫黄含有溶剤中のジベンゾチオフェン類等の有機硫黄化合物を短時間でスルホキシドやスルホン誘導体のような極性化合物等に酸化させることができる。この結果、第1回収工程において吸着等の簡単な操作で硫黄含有溶剤からスルホン誘導体等を容易に分離し、有用な資源であるジベンゾチオフェンスルホン等を効率良く回収することができる。
Figure 2005194336
(2)第1回収工程を備えているので、(化1)の反応式においてジベンゾチオフェンスルホンやHOを系内から除去することにより、ジベンゾチオフェンからジベンゾチオフェンスルホンへの酸化を促進し回収することができる。
(3)第1高温高圧処理工程において硫黄含有溶剤を溶剤の亜臨界条件又は超臨界条件の高温高圧にするので、圧力や温度の制御により溶解度や分離係数を制御することができる。これにより、硫黄含有溶媒に溶出した有機硫黄化合物を第1高温高圧処理工程の操作中に析出等させ、第1回収工程における有機硫黄化合物の回収操作を簡略化させることができ操作性に優れるとともに生産性を高めることができる。
(4)第1高温高圧処理工程において硫黄含有溶剤を溶剤の亜臨界条件又は超臨界条件の高温高圧にするので、酸化が著しく促進され芳香環に置換したアルキル基等が置換したジベンゾチオフェンスルホン等の芳香環を酸化し、第1回収工程において回収された有機硫黄化合物を精製し易くすることができる。
(5)第1高温高圧処理工程では脱硫油が分離された硫黄含有溶剤だけを対象として処理するので、処理液の量を少なくして作業性を高めることができるとともに、有機硫黄化合物を効率良く回収できるように第1高温高圧処理工程の条件を設定することができ操作性に優れる。
(6)硫黄含有溶剤に酸化剤が添加されているので、ジベンゾチオフェン類等の有機硫黄化合物を選択的に酸化してジベンゾチオフェンスルホン等の回収率を著しく高めることができる。
ここで、第1高温高圧処理工程としては、酸化剤が添加された硫黄含有溶剤を反応器内で亜臨界条件又は超臨界条件の高温高圧下で酸化反応を行う条件が用いられる。硫黄含有溶剤を高温高圧にする方式としては、反応器内に硫黄含有溶剤を入れて加圧しつつ反応器の外部から熱媒体を用いて加熱する外部加熱方式等の回分方式、反応器の外部で高温高圧にした溶剤と高圧の硫黄含有溶剤とを反応器内で合流して接触させて硫黄含有溶剤を加熱する流通方式等を用いることができる。なかでも流通方式は、高温高圧にした溶剤と高圧の硫黄含有溶剤とを反応器内で合流して接触させて硫黄含有溶剤を加熱するため、短時間で反応を進めることができ反応時間を短くし滞留時間を短縮させ生産効率が優れるため好適に用いられる。
第1高温高圧処理工程において、硫黄含有溶剤は溶剤の亜臨界条件又は超臨界条件の高温高圧にされるが、亜臨界条件が好適に用いられる。超臨界条件に比較して加熱温度や圧力が低いため省エネルギー性に優れるとともに、加熱温度が低いので酸化剤が分解するのを防止して4,6−ジメチルジベンゾチオフェン等のジベンゾチオフェン類等の有機硫黄化合物の酸化を促進し、4,6−ジメチルジベンゾチオフェンスルホン等のジベンゾチオフェンスルホン類の生成を促進するからである。生成されたジベンゾチオフェンスルホン類は、第1回収工程において、抽出、晶析、吸着等の各種の分離操作を用いて容易に回収することができ収率を高めることができる。
酸化剤としては、請求項2で説明したものと同様のものを用いることができる。
酸化剤の添加量としては、水添精製油中に含まれる硫黄分に対して10〜100倍モルが好ましい。酸化剤の添加量が硫黄分に対して10倍モルより少なくなるにつれ酸化剤の量が少なく衝突確率が減り未酸化の有機硫黄化合物が残留しジベンゾチオフェンスルホン等の濃度が低下する傾向がみられ、100倍モルより多くなるにつれ反応器内の内圧が高まり反応器に過度の負荷がかかる傾向がみられるため、いずれも好ましくない。
第1回収工程において、吸着操作を用いて有機硫黄化合物を分離・回収する場合には、吸着剤としては、ゼオライト、粘土鉱物、活性白土、シリカゲル、アルミナ、マグネシア、チタニア、カーボン、活性炭等の無機質吸着剤、ポリマー等の有機質吸着剤等の1種又は2種以上を用いることができる。
これらの吸着剤に吸着した有機硫黄化合物は、アセトニトリル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アセトン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、スルホラン等の抽出剤を用いて抽出し回収することができる。
本発明の請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の炭化水素油の脱硫方法であって、前記第1回収工程で前記有機硫黄化合物が回収された前記硫黄含有溶剤の残液を前記溶剤の亜臨界条件又は超臨界条件の高温高圧下で酸化反応を行う第2高温高圧工程と、前記第2高温高圧工程で高温高圧にされた前記残液から有機硫黄化合物を回収する第2回収工程と、を備え、前記第2高温高圧工程及び前記第2回収工程を1乃至複数回行う構成を有している。
この構成により、請求項5で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)第2高温高圧工程及び第2回収工程を1乃至複数回行うので、第1高温高圧工程及び第1回収工程を経て回収された有機硫黄化合物のジベンゾチオフェンスルホン等への転換率が低い場合でも、繰り返し行うことによって付加価値の高いジベンゾチオフェンスルホン類への転換率を高めることができ回収効率を著しく高めることができる。
ここで、硫黄含有溶剤の残液には、必要に応じて請求項2で説明した酸化剤を添加することができる。
本発明の請求項7に記載の発明は、請求項5又は6に記載の炭化水素油の脱硫方法であって、前記溶剤が、メタノール,エタノール等のアルコール系溶媒を含有し、前記第1高温高圧工程及び/又は前記第2高温高圧工程における前記硫黄含有溶剤及び/又は前記残液を、150〜380℃好ましくは220〜350℃の温度に加熱し、かつ、5〜30MPaの圧力で処理する構成を有している。
この構成により、請求項5又は6で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)溶剤が、メタノール,エタノール等のアルコール系溶媒を含有しているので、アセトニトリルのような皮膚吸収による強い毒性や分解によるシアンの発生がなく、また蟻酸のような強い腐食性を示さないため取扱性に優れる。
(2)アルコール類等の溶剤を含有する硫黄含有溶剤や残液を、150〜380℃好ましくは220〜350℃の温度に加熱し、かつ、5〜30MPaの圧力の緩慢な条件にして添加された酸化剤を分解させないので、ジベンゾチオフェン等からジベンゾチオフェンスルホン等への高い転換率を得ることができ回収効率に優れる。
ここで、第1高温高圧工程や第2高温高圧工程における硫黄含有溶剤や残液の温度が220℃より低くなるか又は圧力が5MPaより低くなるにつれジベンゾチオフェン等からジベンゾチオフェンスルホン等への転換率が低下する傾向がみられ、350℃より高くなるか又は30MPaより高くなるにつれ同様にジベンゾチオフェンスルホン等への転換率が低下する傾向や酸化剤が分解され易くなり酸化剤による選択酸化性が低下する傾向、加圧ポンプや反応器等が大型化する傾向がみられる。特に、温度が150℃より低くなるか380℃より高くなると、これらの傾向が著しくなるので好ましくない。
以上のように、本発明の炭化水素油の脱硫方法によれば、以下のような有利な効果が得られる。
請求項1に記載の発明によれば、
(1)溶剤接触工程を備えているので、水素化脱硫では分解が困難なアルキル基等の置換基をもつジベンゾチオフェン類の相対反応性を高め、ジベンゾチオフェン類をスルホキシドやスルホン誘導体のような極性化合物に変化させることができ、この結果、有機硫黄化合物を水添精製油から効率的に分離させ収率を高めることができる生産性に優れた炭化水素油の脱硫方法を提供することができる。
(2)水添精製油中の有機硫黄化合物は溶剤中に溶出するので、分離工程で硫黄含有溶剤を分離することにより炭化水素油中から有機硫黄化合物を除去することができ、分離された脱硫油は硫黄分が10ppm程度以下の低硫黄濃度油若しくは硫黄フリー油として種々の用途にそのまま使用することができ使用性に優れた炭化水素油の脱硫方法を提供することができる。
(3)現状の水素化脱硫装置で製造された水添精製油を用い、簡単な操作で硫黄分が10ppm程度以下の低硫黄濃度油若しくは硫黄フリー油を得ることができるので、各精油所が有する現状の水素化脱硫装置をそのまま用いることができ多大な設備を導入する必要のない炭化水素油の脱硫方法を提供することができる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、
(1)酸化剤が混合されているので、水添精製油に含まれるジベンゾチオフェン類の酸化を促進し、スルホキシドやスルホン誘導体のような極性化合物に変化させ、水添精製油からの有機硫黄化合物の回収効率を高めることができ炭化水素油の脱硫方法を提供することができる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2の効果に加え、
(1)溶剤の水添精製油に対する相互溶解度が0.1〜5%の範囲なので、溶剤接触工程において水添精製油からの有機硫黄化合物の抽出と、分離工程において硫黄含有溶剤と有機硫黄化合物が除去された脱硫油との分離とを両立させることができ、いずれの作業性も高めることができるとともに、良質の脱硫油を得ることができる炭化水素油の脱硫方法を提供することができる。
請求項4に記載の発明によれば、請求項1乃至3の内いずれか1の効果に加え、
(1)水添精製油と溶剤とを0.12〜30MPa好ましくは0.5〜12MPaに加圧するので、溶剤の沸点以上の温度に反応温度を高めることができ、水添精製油中の有機硫黄化合物の酸化を進行させることができ効率に優れた炭化水素油の脱硫方法を提供することができる。
請求項5に記載の発明によれば、請求項1乃至4の内いずれか1の効果に加え、
(1)第1高温高圧処理工程を備えているので、硫黄含有溶剤中のジベンゾチオフェン類等の有機硫黄化合物を短時間でスルホキシドやスルホン誘導体のような極性化合物等に変化させることができる。この結果、第1回収工程において吸着等の簡単な操作で硫黄含有溶剤からスルホン誘導体等を容易に分離し、有用な資源であるジベンゾチオフェンスルホン等を効率良く回収することができる生産性に優れた炭化水素油の脱硫方法を提供することができる。
(2)第1回収工程において、ジベンゾチオフェンスルホンやHOを系内から除去することにより、ジベンゾチオフェンからジベンゾチオフェンスルホンへの酸化を促進し効率良く回収することができ生産性に優れた炭化水素油の脱硫方法を提供することができる。
(3)第1高温高圧処理工程において硫黄含有溶剤を溶剤の亜臨界条件又は超臨界条件の高温高圧にするので、圧力や温度の制御により溶解度や分離係数を制御することができる。これにより、硫黄含有溶媒に溶出した有機硫黄化合物を第1高温高圧処理工程の操作中に析出等させ、第1回収工程における有機硫黄化合物の回収操作を簡略化させることができ操作性に優れるとともに生産性に優れた炭化水素油の脱硫方法を提供することができる。
(4)第1高温高圧処理工程において硫黄含有溶剤を溶剤の亜臨界条件又は超臨界条件の高温高圧にするので、酸化が著しく促進されアルキル基等が置換したジベンゾチオフェンスルホン等の芳香環を酸化し、第1回収工程において回収された有機硫黄化合物を精製し易くすることができ純度が高く高品質の有機硫黄化合物の回収が可能な炭化水素油の脱硫方法を提供することができる。
(5)第1高温高圧処理工程では脱硫油が分離された硫黄含有溶剤だけを対象として処理するので、処理液の量を少なくして作業性を高めることができるとともに、有機硫黄化合物を効率良く回収できるように第1高温高圧処理工程の条件を設定することができ操作性に優れた炭化水素油の脱硫方法を提供することができる。
(6)硫黄含有溶剤に酸化剤が添加されているので、ジベンゾチオフェン類等の有機硫黄化合物を選択的に酸化してジベンゾチオフェンスルホン等の回収率を著しく高めることができる炭化水素油の脱硫方法を提供することができる。
請求項6に記載の発明によれば、請求項5の効果に加え、
(1)第2高温高圧工程及び第2回収工程を1乃至複数回行うので、第1高温高圧工程及び第1回収工程を経て回収された有機硫黄化合物のジベンゾチオフェンスルホン等への転換率が低い場合でも、繰り返し行うことによって付加価値の高いジベンゾチオフェンスルホン類への転換率を高めることができ回収効率を著しく高めることができる炭化水素油の脱硫方法を提供することができる。
請求項7に記載の発明によれば、請求項5又は6の効果に加え、
(1)溶剤が、メタノール,エタノール等のアルコール系溶媒を含有しているので、アセトニトリルのような皮膚吸収による強い毒性や分解によるシアンの発生がなく、また蟻酸のような強い腐食性を示さないため取扱性に優れた炭化水素油の脱硫方法を提供することができる。
(2)アルコール類等の溶剤を含有する硫黄含有溶剤や残液を、150〜350℃好ましくは220〜300℃の温度に加熱し、かつ、5〜30MPaの圧力の緩慢な条件にして添加された酸化剤を分解させないので、ジベンゾチオフェン等からジベンゾチオフェンスルホン等への高い転換率を得ることができ回収効率に優れた炭化水素油の脱硫方法を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を実施例により具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
内容積1000mLのガラス製反応器中に、溶剤としてメタノール50mLと、水添精製油として水素化脱硫された軽油50mLと、遷移金属触媒として所定量のリンタングステン酸と、酸化剤として30%過酸化水素水1mLと、を入れた。反応器に還流冷却器を接続した後、反応器を温度120℃、圧力0.1MPa(大気圧)の条件に保ち、120分撹拌しながら水添精製油に含まれる有機硫黄化合物を溶剤に溶出させた(溶剤接触工程)。
なお、水添精製油中の硫黄分の濃度は蛍光X線分析で分析した結果、340ppmであった。また、水添精製油中の有機硫黄化合物は、炎光光度検出器(FPD)を備えたガスクロマトグラフィーで分析した結果、図1に示すように4−DBT等のジベンゾチオフェン(DBT)やDBTのベンゼン環にアルキル基等が置換したC2−DBT等のジベンゾチオフェン化合物であることが明らかになった。
なお、図1は水素化脱硫した軽油(水添精製油)を、炎光光度検出器(FPD)を備えたガスクロマトグラフィーを用いて分析したチャートである。
次に、溶剤接触工程において、水添精製油に含まれる有機硫黄化合物を溶出させた硫黄含有溶剤を塩化カリウムで洗浄した後、遠心分離して、脱硫油と硫黄含有溶剤とを得た(分離工程)。
(実施例2)
溶剤接触工程において、反応器内の溶剤と水添精製油とを30分撹拌しながら水添精製油に含まれる有機硫黄化合物を溶剤に溶出させた以外は実施例1と同様にして、分離工程において実施例2の脱硫油と硫黄含有溶剤とを得た。
(実施例3)
溶剤接触工程において、溶剤としてアセトニトリル50mLと水添精製油として水素化脱硫された軽油50mLとを入れた後、反応器を温度60℃、圧力0.1MPa(大気圧)の条件に保ち、24時間撹拌しながら水添精製油に含まれる有機硫黄化合物を溶剤に溶出させた以外は、実施例1と同様にして、分離工程において実施例3の脱硫油と硫黄含有溶剤とを得た。
(実施例4)
溶剤接触工程において、溶剤としてアセトニトリル100mLと、水添精製油として水素化脱硫された軽油50mLとを入れた後、反応器を温度60℃、圧力0.1MPa(大気圧)の条件に保ち、24時間撹拌しながら水添精製油に含まれる有機硫黄化合物を溶剤に溶出させた以外は、実施例1と同様にして、分離工程において実施例4の脱硫油と硫黄含有溶剤とを得た。
(実施例5)
溶剤接触工程において、溶剤としてアセトニトリル250mLと水添精製油として水素化脱硫された軽油50mLとを入れた後、反応器を温度60℃、圧力0.1MPa(大気圧)の条件に保ち、24時間撹拌しながら水添精製油に含まれる有機硫黄化合物を溶剤に溶出させた以外は、実施例1と同様にして、分離工程において実施例5の脱硫油と硫黄含有溶剤とを得た。
(脱硫油中の硫黄分濃度)
次に、実施例1〜5で得られた脱硫油に含まれる硫黄分の濃度を蛍光X線分析によって測定した。
実施例1〜5の水添精製油の量、溶剤の種類及び量、反応温度、圧力、反応時間、及び脱硫油を蛍光X線分析によって定量分析した結果得られた硫黄濃度を(表1)に示す。
なお、実施例5の脱硫油の硫黄濃度は、蛍光X線分析の検出限界未満であったため、さらに炎光光度検出器(FPD)を備えたガスクロマトグラフィーで分析を行い有機硫黄化合物の有無を確認した。
図2は実施例5で得られた脱硫油を、炎光光度検出器(FPD)を備えたガスクロマトグラフィーを用いて分析したチャートである。
Figure 2005194336
実施例1〜5によれば、溶剤接触工程において水添精製油と溶剤とを温度60〜120℃かつ圧力0.1MPaの条件下で接触させることによって、脱硫油中の硫黄濃度を低減できることが明らかになった。特に、水添精製油に添加する溶剤の量が2〜5倍の場合に、脱硫油中の硫黄分濃度を50ppm以下にすることができ、なかでも5倍の場合に蛍光X線分析の検出限界値以下の10ppm以下にできることが明らかになった。さらにガスクロマトグラフィーで精査しても有機硫黄化合物のピークはみられなかったことから、硫黄フリー軽油を生成することができたことが明らかになった。
(比較例1)
水素化脱硫する以前の軽油(硫黄分1380ppm)を用いた以外は、実施例5と同様にして、比較例1における脱硫油を得た。
図3は、比較例1における水素化脱硫する以前の軽油の炎光光度検出器(FPD)を備えたガスクロマトグラフィーのチャートである。
図3から明らかなように、水素化脱硫する前の軽油中に含まれる有機硫黄化合物は、ベンゼン環にアルキル基等が置換したC1−BT等のベンゾチオフェン(BT)化合物、DBTのベンゼン環にアルキル基等が置換したC1−DBT等のジベンゾチオフェン化合物であった。
また、比較例1における脱硫油を、FPDを備えたガスクロマトグラフィーで分析した結果を図4に示す。図4は、比較例1における脱硫油のFPDガスクロマトグラフィーのチャートである。
図4から明らかなように、該脱硫油中に含まれる有機硫黄化合物として、ベンゾチオフェン化合物やジベンゾチオフェン化合物が多種検出され、硫黄分が50ppm以下の低硫黄濃度油を生成することができなかった。
以上のように本実施例によれば、溶剤接触工程において、炭化水素油を水素化脱硫して得られた水添精製油と溶剤とを接触させるので、水素化脱硫によってベンゾチオフェン類を除去してジベンゾチオフェン類だけを残留させ、残留したジベンゾチオフェン類を溶剤接触工程において溶剤と反応させて溶剤に溶出させることができ、硫黄分が10ppm程度以下の低硫黄濃度若しくは硫黄フリー油を生成することができることが明らかになった。
(実験例1)
分離工程で脱硫油と分離された実施例5の硫黄含有溶剤に酸化剤としての30%過酸化水素水を所定量混合した。酸化剤の添加量は、水添精製油中に含まれる硫黄分に対して20倍モルとした。次いで、反応器の外部で20〜500℃の温度に加熱するとともに10MPaの圧力に加圧したメタノール(溶剤)と、10MPaの硫黄含有溶剤とを反応器内で接触させて硫黄含有溶剤を20〜420℃に加熱し処理した(第1高温高圧工程)。
処理された硫黄含有溶剤を減圧し冷却した後、有機硫黄化合物をゼオライトからなる吸着剤に吸着させ、次に、吸着剤に吸着した有機硫黄化合物をメタノール等の抽出剤を用いて抽出し回収した(第1回収工程)。
次いで、有機硫黄化合物が含まれる抽出剤を、炎光光度検出器(FPD)を備えたガスクロマトグラフィーで分析し、得られたチャートから、ジベンゾチオフェン類からジベンゾチオフェンスルホン類への転換率を算出した。図5は第1高温高圧工程における硫黄含有溶剤の温度とジベンゾチオフェンスルホン類への転換率との関係を示す図である。
図5から明らかなように、溶剤としてメタノールを用いた場合、第1高温高圧工程において、硫黄含有溶剤を150〜380℃好ましくは220〜350℃の温度に加熱し、かつ、5〜30MPaの圧力にすることにより、ベンゾチオフェン類からジベンゾチオフェンスルホン類への転換率を著しく高められることが明らかになった。これにより、ジベンゾチオフェンスルホン類の回収率を著しく高められることが明らかになった。
なお、第1回収工程で有機硫黄化合物が回収された硫黄含有溶剤の残液を150〜350℃好ましくは220〜300℃の温度に加熱し、かつ、5〜30MPaの圧力にする第2高温高圧工程と、第2高温高圧工程で高温高圧にされた残液から有機硫黄化合物を回収する第2回収工程と、を備え、第2高温高圧工程及び第2回収工程を1乃至複数回行うことにより、第1高温高圧工程及び第1回収工程を経て回収された有機硫黄化合物のジベンゾチオフェンスルホン等への転換率が低い場合でも、繰り返し行うことによってジベンゾチオフェンスルホン類への転換率を高めることができる。
なお、実験例1では吸着剤としてゼオライトを用いた場合について説明したが、粘土鉱物、活性白土、シリカゲル、アルミナ、マグネシア、チタニア、カーボン、活性炭等の無機質吸着剤、ポリマー等の有機質吸着剤等の1種又は2種以上を用いた場合でも、同様の結果が得られた。
次に、(実験例2)〜(実験例5)において、溶剤接触工程における水添精製油と溶剤の混合液を加圧した効果を調べる実験を行った。
(実験例2)
水添精製油として市販の軽油(硫黄分360ppm)100mLと、溶剤としてメタノール100mLを反応容器に導入し、触媒としてリンタングステン酸(和光純薬製)20mgを加えた。酸化剤として30%過酸化水素水2mLを加え、反応容器を大気圧(0.1MPa)で60分、120℃に加熱した(溶剤接触工程)。
次に、溶剤接触工程において水添精製油に含まれる有機硫黄化合物を溶出させた硫黄含有溶剤を塩化カリウムで洗浄した後、遠心分離して、脱硫油と硫黄含有溶剤とを得た(分離工程)。得られた硫黄含有溶剤を、炎光光度検出器(FPD)を備えたガスクロマトグラフィーを用いて分析した。
図6(a)は実験例2で得られた硫黄含有溶剤を、炎光光度検出器(FPD)を備えたガスクロマトグラフィーを用いて分析したチャートである。
(実験例3)
水添精製油として市販の軽油(硫黄分360ppm)100mLと、溶剤としてメタノール100mLを反応容器に導入し、触媒としてリンタングステン酸(和光純薬製)20mgを加えた。酸化剤として30%過酸化水素水2mLを加え、反応容器を1.8MPaに加圧し、150℃で15分間加熱した(溶剤接触工程)。
次に、実験例2と同様にして得られた硫黄含有溶剤を、炎光光度検出器(FPD)を備えたガスクロマトグラフィーを用いて分析した。
図6(b)は実験例3で得られた硫黄含有溶剤を、炎光光度検出器(FPD)を備えたガスクロマトグラフィーを用いて分析したチャートである。
(実験例4)
水添精製油として市販の軽油(硫黄分360ppm)100mLと、溶剤としてメタノール100mLを反応容器に導入し、触媒としてリンタングステン酸(和光純薬製)20mgを加えた。酸化剤として30%過酸化水素水2mLを加え、反応容器を3.3MPaに加圧し、200℃で30分間加熱した(溶剤接触工程)。
次に、実験例2と同様にして得られた硫黄含有溶剤を、炎光光度検出器(FPD)を備えたガスクロマトグラフィーを用いて分析した。
図6(c)は実験例4で得られた硫黄含有溶剤を、炎光光度検出器(FPD)を備えたガスクロマトグラフィーを用いて分析したチャートである。
(実験例5)
水添精製油として市販の軽油(硫黄分360ppm)100mLと、溶剤としてメタノール100mLを反応容器に導入し、触媒としてリンタングステン酸(和光純薬製)20mgを加えた。酸化剤として30%過酸化水素水2mLを加え、反応容器を6.6MPaに加圧し、250℃で30分間加熱した(溶剤接触工程)。
次に、実験例2と同様にして得られた硫黄含有溶剤を、炎光光度検出器(FPD)を備えたガスクロマトグラフィーを用いて分析した。
図6(d)は実験例5で得られた硫黄含有溶剤を、炎光光度検出器(FPD)を備えたガスクロマトグラフィーを用いて分析したチャートである。
図6(b)、図6(c)において、丸く囲んだ部分に図6(a)にみられないピークがみられるのは、水添精製油に含まれるジベンゾチオフェン類の酸化を促進し、水添精製油からの有機硫黄化合物を効率良く回収できたからである。
また、図6(d)において、丸く囲んだ部分のピークが高くなっているとともに図6(b)、図6(c)に示すチャートとは異なるピークが現れているのは、温度及び圧力が高い条件下で実験を行ったことから、ジベンゾチオフェン類の酸化をより促進するとともに、スルホキシドやスルホン誘導体のような極性化合物に変化させ、水添精製油からの有機硫黄化合物の回収効率を高めることができたからである。
以上のように、本実験例によれば、溶剤接触工程において、溶剤の沸点以上の温度に反応温度を高めることによって、水添精製油中の有機硫黄化合物の酸化を進行させることができることが明らかになった。
本発明は、有機硫黄化合物を含有する炭化水素油から有機硫黄化合物を除去し、さらに有機硫黄化合物を回収する炭化水素油の脱硫方法に関し、炭化水素油中の有機硫黄化合物を溶剤中に効率良く溶出させた後、これを分離することにより炭化水素油中から有機硫黄化合物を除去して硫黄分が10ppm程度以下の低硫黄濃度油若しくは硫黄フリー油を製造することができるとともに、溶剤中に溶出させたジベンゾチオフェン類等を付加価値の高いジベンゾチオフェンスルホン等に酸化させ、これらを吸着等の簡単な操作で溶剤から容易に分離して有用な資源である有機硫黄化合物を効率良く高純度で回収することができ作業性と操作性に優れ低原価で量産性、生産性に優れる炭化水素油の脱硫方法を提供することができる。
水素化脱硫した軽油を炎光光度検出器(FPD)を備えたガスクロマトグラフィーを用いて分析したチャート 実施例5で得られた脱硫油を炎光光度検出器(FPD)を備えたガスクロマトグラフィーを用いて分析したチャート 水素化脱硫する以前の軽油を炎光光度検出器(FPD)を備えたガスクロマトグラフィーを用いて分析したチャート 水素化脱硫する以前の軽油を用いて生成された脱硫油を炎光光度検出器(FPD)を備えたガスクロマトグラフィーを用いて分析したチャート 第1高温高圧工程における硫黄含有溶剤の温度とジベンゾチオフェンスルホン類への転換率との関係を示す図 (a)実験例2で得られた硫黄含有溶剤を炎光光度検出器(FPD)を備えたガスクロマトグラフィーを用いて分析したチャート (b)実験例3で得られた硫黄含有溶剤を炎光光度検出器(FPD)を備えたガスクロマトグラフィーを用いて分析したチャート (c)実験例4で得られた硫黄含有溶剤を炎光光度検出器(FPD)を備えたガスクロマトグラフィーを用いて分析したチャート (d)実験例5で得られた硫黄含有溶剤を炎光光度検出器(FPD)を備えたガスクロマトグラフィーを用いて分析したチャート

Claims (7)

  1. 炭化水素油を水素化脱硫して得られた水添精製油と溶剤とを接触させ前記水添精製油に含まれる有機硫黄化合物を前記溶剤に溶出させる溶剤接触工程と、
    前記有機硫黄化合物が溶出した硫黄含有溶剤と前記有機硫黄化合物が除去された脱硫油とを分離する分離工程と、
    を備えていることを特徴とする炭化水素油の脱硫方法。
  2. 前記溶剤接触工程において、前記水添精製油と前記溶剤に酸化剤を混合することを特徴とする請求項1に記載の炭化水素油の脱硫方法。
  3. 前記溶剤の前記水添精製油に対する相互溶解度が、0.1〜5%の範囲であることを特徴とする請求項1又は2に記載の炭化水素油の脱硫方法。
  4. 前記溶剤接触工程において、前記水添精製油と前記溶剤とを0.12〜30MPa好ましくは0.5〜12MPaに加圧することを特徴とする請求項1乃至3の内いずれか1に記載の炭化水素油の脱硫方法。
  5. 前記分離工程で分離された前記硫黄含有溶剤に酸化剤を加えた後、前記溶剤の亜臨界条件又は超臨界条件の高温高圧下で酸化反応を行う第1高温高圧処理工程と、
    前記高温高圧処理工程で高温高圧にされた前記硫黄含有溶剤から有機硫黄化合物を回収する第1回収工程と、
    を備えていることを特徴とする請求項1乃至4の内いずれか1に記載の炭化水素油の脱硫方法。
  6. 前記第1回収工程で前記有機硫黄化合物が回収された前記硫黄含有溶剤の残液を前記溶剤の亜臨界条件又は超臨界条件の高温高圧下で酸化反応を行う第2高温高圧工程と、前記第2高温高圧工程で高温高圧にされた前記残液から有機硫黄化合物を回収する第2回収工程と、を備え、前記第2高温高圧工程及び前記第2回収工程を1乃至複数回行うことを特徴とする請求項5に記載の炭化水素油の脱硫方法。
  7. 前記溶剤が、メタノール,エタノール等のアルコール系溶媒を含有し、前記第1高温高圧工程及び/又は前記第2高温高圧工程における前記硫黄含有溶剤及び/又は前記残液を、150〜380℃好ましくは220〜350℃の温度に加熱し、かつ、5〜30MPaの圧力で処理することを特徴とする請求項5又は6に記載の炭化水素油の脱硫方法。
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