JP3720290B2 - バッテリの充電効率検出方法及びその装置、バッテリの充電電気量検出方法及びその装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、負荷に電力を供給するバッテリの充電開始から充電終了までの任意の時点について、バッテリに流れこんだ総電気量のうち、起電力としてバッテリに充電される電気量の割合である充電効率を検出する方法及びその装置と、検出した充電効率を用いてその充電中にバッテリに充電された電気量を検出する方法及び装置とに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、車両に搭載されるバッテリを例に取ると、特にモータを唯一の推進駆動源とする電気自動車においては、一般のエンジンを推進駆動源とする車両におけるガソリンに相当するものであることから、SOC(State of charge )等、バッテリがどの程度充電されているのかを認識しておくことは、車両の正常な走行を確保する上で非常に重要である。
【0003】
また、近年、エンジンを推進動力源とする一般車や、エンジンの発生するパワーの不足分をモータによりアシストするハイブリッド車両においては、環境保護の観点から、交差点の信号待ち等による停車時にエンジンを停止させるアイドルストップ機能の搭載が進められている。
【0004】
この機能を搭載した車両においては、エンジンの再始動時に、セルモータやセルモータを兼ねたパワーアシスト用のモータに対してかなりの大電流放電を行うことから、逆に、エンジン再始動のための大電流放電に耐え得るだけの放電可能容量がバッテリに残っていないと、迂闊にアイドルストップさせるわけには行かなくなる。
【0005】
そのため、上述したSOCや、バッテリにあとどのくらい放電可能な容量が残っているかを示す放電可能容量等、車両に搭載されるバッテリの充電状態を正確に把握することは、先に述べた電気自動車では勿論のこと、一般車やハイブリッド車両においても、非常に重要となる。
【0006】
ところで、電気自動車においては、車庫に駐車している間等の長時間使用しない時にバッテリの充電を行い、また、ハイブリッド車両においては、エンジンを動力として走行している際に発電機として機能するモータジェネレータにより、或は、モータジェネレータを動力として走行している際の減速時にモータジェネレータに発生する逆起電力により、バッテリの充電を行い、さらに、一般車においては、オルタネータが発電する電力によりバッテリの充電を行う。
【0007】
このように、電気自動車か、それとも、一般車やハイブリッド車両かに拘わらず、車両に搭載されたバッテリの充電状態は、負荷による電力の消費だけでなく充電によっても変化するので、充電によってバッテリの充電状態がどのように変化したかを正確に把握することも、非常に重要である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、充電時のバッテリでは、充電反応に伴って酸素ガスや水素ガスが発生してH2 Oに還元されるので、バッテリに流れ込む電気量の一部が起電力としてバッテリに蓄積されないという現象が起こり、しかもこの現象は、充電が進んで満充電状態に近づくほど顕著になるので、単に充電電流を積算しただけでは、充電によるバッテリの充電状態の変化を正確に把握することができない。
【0009】
そして、上述した問題は、車両用のバッテリに限ったものではなく、負荷に電力を供給するバッテリ全般について当てはまる問題である。
【0010】
本発明は前記事情に鑑みなされたもので、本発明の目的は、負荷に電力を供給するバッテリの充電による充電状態の変化を正確に把握するために有用な、充電開始から充電終了までの任意の時点についての、バッテリに流れこんだ総電気量のうち、起電力として前記バッテリに充電される電気量の割合である充電効率や、充電によってバッテリに現実に充電された電気量を、正確に検出することができる方法及び装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成する請求項1及び請求項2に記載した本発明は、バッテリの充電効率検出方法に関するものであり、請求項3及び請求項4に記載した本発明は、バッテリの充電電気量検出方法に関するものであり、請求項5及び請求項6に記載した本発明は、バッテリの充電効率検出装置に関するものであり、請求項7及び請求項8に記載した本発明は、バッテリの充電電気量検出装置に関するものである。
【0012】
そして、請求項1に記載した本発明のバッテリの充電効率検出方法は、負荷に電力を供給するバッテリの充電開始から充電終了までの任意の時点について、該バッテリに流れこんだ総電気量のうち、起電力として前記バッテリに充電される電気量の割合である充電効率を検出するに当たり、前記バッテリの充電開始時点における内部抵抗値である開始時抵抗値と、該バッテリの充電開始後から充電終了までの任意の時点における内部抵抗値である開始後抵抗値とを、各時点において測定される前記バッテリの端子電圧と充電電流とを用いて各々求め、前記開始時抵抗値と前記開始後抵抗値との差分である差分抵抗値を求め、前記バッテリに固有の該バッテリの満充電状態における内部抵抗値である満充電時抵抗値に対する前記差分抵抗値の割合を求め、前記満充電時抵抗値に対する前記差分抵抗値の割合に基づいて、前記任意の時点における前記バッテリの充電効率を検出するようにしたことを特徴とする。
【0013】
また、請求項2に記載した本発明のバッテリの充電効率検出方法は、請求項1に記載した本発明のバッテリの充電効率検出方法において、前記任意の時点における前記バッテリの充電効率の理想値からの低下分を示す値として前記満充電時抵抗値に対する前記差分抵抗値の割合を求め、前記任意の時点における前記バッテリの充電効率を示す値として、前記満充電時抵抗値に対する前記差分抵抗値の割合を1から減じた値を求めることで、前記任意の時点における前記バッテリの充電効率を検出するようにした。
【0014】
さらに、請求項3に記載した本発明のバッテリの充電電気量検出方法は、請求項1又は2に記載したバッテリの充電効率検出方法によって、前記バッテリの充電開始時点から充電終了時点に亘って繰り返し連続して検出した前記バッテリの充電効率に基づいて、前記充電開始時点から充電終了時点に亘る充電により前記バッテリに蓄積された充電電気量を検出するようにしたことを特徴とする。
【0015】
また、請求項4に記載した本発明のバッテリの充電電気量検出方法は、請求項3に記載したバッテリの充電電気量検出方法において、前記充電開始時点が、前記バッテリの電極に不動態膜が形成されていない電極の活性状態からの充電動作の開始時点であり、前記バッテリの充電電流の経時変化のパターンに基づいて、該バッテリの電極が前記活性状態にあるか否かを判別し、前記活性状態においては、充電により前記バッテリに蓄積された充電電気量を、請求項1又は2に記載したバッテリの充電効率検出方法によって前記バッテリの充電開始時点から充電終了時点に亘って繰り返し連続して検出した該バッテリの充電効率に基づいて検出し、前記活性状態に至る前の、前記バッテリの電極に不動態膜が形成されている状態における、該不動態膜の充電動作による破壊が進行している電極の過渡期間においては、前記バッテリの充電電流に、該充電電流による充電時間を乗じて求めた充電電気量を積算することで、前記過渡期間における充電により前記バッテリに蓄積された充電電気量を検出するようにした。
【0016】
さらに、請求項5に記載した本発明のバッテリの充電効率検出装置は、図1の基本構成図に示すように、負荷に電力を供給するバッテリ13の充電開始から充電終了までの任意の時点について、該バッテリ13に流れこんだ総電気量のうち、起電力として前記バッテリ13に充電される電気量の割合である充電効率を検出するバッテリの充電効率検出装置であって、前記バッテリ13の充電電流と該充電電流に対応する前記バッテリ13の端子電圧とを測定する電流・電圧測定手段Aと、前記バッテリ13の充電開始時点において前記電流・電圧測定手段Aにより測定された、該バッテリ13の充電電流と該充電電流に対応する前記バッテリ13の端子電圧とに基づいて、該バッテリ13の充電開始時点における内部抵抗値である開始時抵抗値を求める開始時抵抗値演算手段23Aと、前記任意の時点において前記電流・電圧測定手段Aにより測定された、前記バッテリ13の充電電流と該充電電流に対応する前記バッテリ13の端子電圧とに基づいて、該バッテリ13の前記任意の時点における内部抵抗値である開始後抵抗値を求める開始後抵抗値演算手段23Bと、前記開始時抵抗値演算手段23Aにより求められた前記開始時抵抗値と前記開始後抵抗値演算手段23Bにより求められた前記開始後抵抗値との差分である差分抵抗値を求める差分抵抗値演算手段23Cと、前記バッテリ13に固有の該バッテリ13の満充電状態における内部抵抗値である満充電時抵抗値を保持する満充電時抵抗値保持手段23cAと、前記満充電時抵抗値保持手段23cAにより保持されている前記満充電時抵抗値に対する、前記差分抵抗値演算手段23Cにより求められた前記差分抵抗値の割合を求める抵抗値割合演算手段23Dとを備えており、前記抵抗値割合演算手段23Dにより求められた、前記満充電時抵抗値に対する前記差分抵抗値の割合に基づいて、前記任意の時点における前記バッテリ13の充電効率を検出することを特徴とする。
【0017】
また、請求項6に記載した本発明のバッテリの充電効率検出装置は、請求項5に記載した本発明のバッテリの充電効率検出装置において、前記抵抗値割合演算手段23Dが、前記任意の時点における前記バッテリ13の充電効率の理想値からの低下分を示す値として、前記満充電時抵抗値満充電時抵抗値に対する前記差分抵抗値の割合を求めるように構成されており、前記任意の時点における前記バッテリ13の充電効率を示す値として、前記満充電時抵抗値に対する前記差分抵抗値の割合を1から減じた値を求めることで、前記任意の時点における前記バッテリ13の充電効率を検出するものとした。
【0018】
さらに、請求項7に記載した本発明のバッテリの充電電気量検出装置は、請求項5又は6に記載したバッテリの充電効率検出装置を備えており、該バッテリの充電効率検出装置によって、前記バッテリ13の充電開始時点から充電終了時点に亘って繰り返し連続して検出した前記バッテリ13の充電効率に基づいて、前記充電開始時点から充電終了時点に亘る充電により前記バッテリ13に蓄積された充電電気量を検出することを特徴とする。
【0019】
また、請求項8に記載した本発明のバッテリの充電電気量検出装置は、請求項7に記載した本発明のバッテリの充電電気量検出装置において、前記充電開始時点が、前記バッテリ13の電極に不動態膜が形成されていない電極の活性状態からの充電動作の開始時点であり、前記電流・電圧測定手段Aにより測定された前記バッテリ13の充電電流の経時変化のパターンに基づいて、該バッテリ13の電極が前記活性状態にあるか否かを判別する活性状態判別手段23Eをさらに備えており、前記バッテリ13の電極が前記活性状態にあると前記活性状態判別手段23Eが判別している状態においては、充電により前記バッテリ13に蓄積された充電電気量を、請求項5又は6に記載したバッテリの充電効率検出装置によって前記バッテリ13の充電開始時点から充電終了時点に亘って繰り返し連続して検出した該バッテリ13の充電効率に基づいて検出するように構成されていると共に、前記電流・電圧測定手段Aにより測定された前記バッテリ13の充電電流に該充電電流による充電時間を乗じて、単位時間当たりの充電電気量を周期的に求める過渡期間充電電気量割出手段23Fを備えており、さらに、前記バッテリ13の電極が前記活性状態にないと前記活性状態判別手段23Eが判別している状態においては、前記過渡期間充電電気量割出手段23Fにより周期的に求められた前記単位時間当たりの充電電気量を積算することで、前記不動態膜の充電動作による破壊が進行している電極の過渡期間における充電により前記バッテリ13に蓄積された充電電気量を検出するものとした。
【0020】
そして、請求項1に記載した本発明のバッテリの充電効率検出方法によれば、開始時抵抗値と開始後抵抗値とがいずれも充電時のバッテリの端子電圧とそれに対応する充電電流とにより求められるので、それら両抵抗値の差分である差分抵抗値の満充電時抵抗値に対する割合を求めることで、充電中に測定可能なバッテリの端子電圧とそれに対応する充電電流とを用いて、任意の時点におけるバッテリの充電効率が、バッテリの充電状態の変化に伴うガス化現象の発生を加味して正確に検出されることになる。
【0021】
また、請求項2に記載した本発明のバッテリの充電効率検出方法によれば、請求項1に記載した本発明のバッテリの充電効率検出方法において、満充電時抵抗値に対する、開始時抵抗値と開始後抵抗値との差分抵抗値の割合が、バッテリの充電効率の理想値からの低下分を示す値として求められ、この値を1から減じた値を求めることで、任意の時点におけるバッテリの充電効率が検出されることになる。
【0022】
さらに、請求項3に記載した本発明のバッテリの充電電気量検出方法によれば、請求項1又は2に記載したバッテリの充電効率検出方法によって、バッテリの充電開始時点から充電終了時点に亘って繰り返し連続して検出された充電効率により、バッテリの充電開始時点から充電終了時点に亘る単位時間当たりの、バッテリに流れこんだ総電気量のうち起電力として現実にバッテリに充電、蓄積された電気量が求められ、それらを積算することによって、バッテリの充電開始時点から充電終了時点に亘ってバッテリに実際に充電、蓄積された電気量が、正確に検出されることになる。
【0023】
また、請求項4に記載した本発明のバッテリの充電電気量検出方法によれば、請求項3に記載した本発明のバッテリの充電電気量検出方法において、バッテリの充電の開始前の段階で、バッテリの電極の表面に絶縁性の不動態膜が形成されていると、充電のための電極への通電に伴う不動態膜の破壊によって充電電流の値が、充電のためにバッテリに印加される電圧に見合った本来の値に向けて増加するが、このような電極が活性状態にない期間には、充電電流が低いことからガス化の発生による充電効率の低下はないと見倣すことができる。
【0024】
そこで、電極が活性状態にない過渡期間においては、バッテリに充電される電気量が、バッテリの充電電流に該充電電流による充電時間を乗じて、単位時間当たりの充電電気量として周期的に求められる一方、バッテリの電極の表面に不動態膜が形成されていない電極の活性状態では、請求項1又は2に記載したバッテリの充電効率検出方法によってバッテリの充電開始時点から充電終了時点に亘って繰り返し連続して検出したバッテリの充電効率に基づいて、バッテリに充電される電気量が検出されることになる。
【0025】
さらに、請求項5に記載した本発明のバッテリの充電効率検出装置によれば、図1に示すように、開始時抵抗値演算手段23Aにより求められた開始時抵抗値と、開始後抵抗値演算手段23Bにより求められた開始後抵抗値とが、いずれも、電流・電圧測定手段Aにより測定される充電時のバッテリ13の端子電圧とそれに対応する充電電流とにより求められるので、差分抵抗値演算手段23Cにより求められるそれら両抵抗値の差分である差分抵抗値の、満充電時抵抗値保持手段23cAにより保持されている満充電時抵抗値に対する割合を抵抗値割合演算手段23Dにより求めることで、電流・電圧測定手段Aにより充電中に測定可能なバッテリ13の端子電圧とそれに対応する充電電流とを用いて、任意の時点におけるバッテリ13の充電効率が、バッテリ13の充電状態の変化に伴うガス化現象の発生を加味して正確に検出されることになる。
【0026】
また、請求項6に記載した本発明のバッテリの充電効率検出装置によれば、請求項5に記載した本発明のバッテリの充電効率検出装置において、満充電時抵抗値保持手段23cAにより保持されている満充電時抵抗値に対する、差分抵抗値演算手段23Cにより求められる開始時抵抗値と開始後抵抗値との差分抵抗値の割合が、バッテリ13の充電効率の理想値からの低下分を示す値として抵抗値割合演算手段23Dにより求められ、この値を1から減じた値を求めることで、任意の時点におけるバッテリ13の充電効率が検出されることになる。
【0027】
さらに、請求項7に記載した本発明のバッテリの充電電気量検出装置によれば、請求項5又は6に記載したバッテリの充電効率検出装置によって、バッテリ13の充電開始時点から充電終了時点に亘って繰り返し連続して検出された充電効率により、バッテリ13の充電開始時点から充電終了時点に亘る単位時間当たりの、バッテリ13に流れこんだ総電気量のうち起電力として現実にバッテリ13に充電、蓄積された電気量が求められ、それらを積算することによって、バッテリ13の充電開始時点から充電終了時点に亘ってバッテリ13に実際に充電、蓄積された電気量が、正確に検出されることになる。
【0028】
また、請求項8に記載した本発明のバッテリの充電電気量検出装置によれば、請求項7に記載した本発明のバッテリの充電電気量検出装置において、バッテリ13の充電の開始前の段階で、バッテリ13の電極の表面に絶縁性の不動態膜が形成されていると、充電のための電極への通電に伴う不動態膜の破壊によって充電電流の値が、充電のためにバッテリ13に印加される電圧に見合った本来の値に向けて増加し、これを、電流・電圧測定手段Aにより測定された充電電流の経時変化のパターンに基づいてバッテリ13の電極が活性状態にあるか否かを判別する活性状態判別手段23Eの判別結果により認識されるが、このような電極が活性状態にない過渡期間には、充電電流が低いことからガス化の発生による充電効率の低下はないと見倣すことができる。
【0029】
そこで、活性状態判別手段23Eの判別結果によりバッテリ13の電極が活性状態にないと認識される過渡期間においては、バッテリ13に充電される電気量が、過渡期間充電電気量割出手段23Fによって、電流・電圧測定手段Aにより測定されたバッテリ13の充電電流に該充電電流による充電時間を乗じて、単位時間当たりの充電電気量として周期的に求められる一方、活性状態判別手段23Eの判別結果によりバッテリ13の電極が活性状態にあると認識される期間においては、請求項5又は6に記載したバッテリの充電効率検出装置によってバッテリ13の充電開始時点から充電終了時点に亘って繰り返し連続して検出したバッテリ13の充電効率に基づいて、バッテリ13に充電される電気量が検出されることになる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明によるバッテリの充電効率検出方法及びバッテリの充電電気量検出方法を、本発明によるバッテリの充電効率検出装置及びバッテリの充電電気量検出装置と共に、図面を参照して説明する。
【0031】
図2は本発明のバッテリの充電効率検出方法を適用したバッテリ充電効率検出装置を内包する、本発明のバッテリの充電電気量検出方法を適用した本発明の一実施形態に係る車載用バッテリ充電電気量検出装置の概略構成を一部ブロックにて示す説明図であり、図2中引用符号1で示す本実施形態の車載用バッテリ充電電気量検出装置は、エンジン3に加えてモータジェネレータ5を有するハイブリッド車両に搭載されている。
【0032】
そして、このハイブリッド車両は、通常時はエンジン3の出力のみをドライブシャフト7からディファレンシャルケース9を介して車輪11に伝達して走行させ、高負荷時には、バッテリ13からの電力によりモータジェネレータ5をモータとして機能させて、エンジン3の出力に加えてモータジェネレータ5の出力をドライブシャフト7から車輪11に伝達し、アシスト走行を行わせるように構成されている。
【0033】
また、このハイブリッド車両は、減速時や制動時にモータジェネレータ5をジェネレータ(発電機)として機能させ、運動エネルギを電気エネルギに変換して、各種の負荷に対して電力を供給するためにハイブリッド車両に搭載されたバッテリ13を充電させるように構成されている。
【0034】
尚、モータジェネレータ5はさらに、不図示のスタータスイッチのオンに伴うエンジン3の始動時に、エンジン3のフライホイールを強制的に回転させるセルモータとして用いられる。
【0035】
ちなみに、本実施形態のハイブリッド車両においては、不図示のキーシリンダに差し込んだキー(図示せず。)を1段階目までひねると、それまでオフ状態であった不図示のアクセサリスイッチがオンとなり、さらにキーを2段階目までひねると、アクセサリスイッチはオン状態のまま、それまでオフ状態であった不図示のイグニッションスイッチがオンとなる。
【0036】
さらに、キーシリンダに差し込んだキーを3段階目までひねると、アクセサリスイッチ及びイグニッションスイッチはオン状態のまま、それまでオフ状態であった前記スタータスイッチがオンとなる。
【0037】
尚、3段階目までひねったキーから手を離すと、キーが自動的に2段階目まで戻ってスタータスイッチがオフとなるが、2段階目では逆向きにひねらない限りキーがその位置で止まってアクセサリスイッチ及びイグニッションスイッチはオン状態のままとなり、同様に、1段階目でも逆向きにひねらない限りキーがその位置で止まってアクセサリスイッチはオン状態のままとなる。
【0038】
逆に、アクセサリスイッチがオンされ、その上でスタータスイッチがオンされて、エンジン3を始動させるためにモータジェネレータ5をセルモータとして作動させる際には、例え他の電装品が何も作動していなくても、およそ250A(アンペア)に達する放電電流がバッテリ9から瞬時的に流れる。
【0039】
話を構成の説明に戻して、本実施形態の車載用バッテリ充電電気量検出装置1は、アシスト走行用のモータやセルモータとして機能するモータジェネレータ5等に対するバッテリ13の放電電流Iや、ジェネレータとして機能するモータジェネレータ5からのバッテリ13に対する充電電流を検出する電流センサ15と、バッテリ13に並列接続した無限大抵抗を有し、バッテリ13の端子電圧Vを検出する電圧センサ17とを備えている。
【0040】
尚、上述した電流センサ15及び電圧センサ17は、イグニッションスイッチのオン状態によって閉回路状態となる回路上に配置されている。
【0041】
また、本実施形態の車載用バッテリ充電電気量検出装置1は、上述した電流センサ15や電圧センサ17の出力がインタフェース回路(以下、「I/F」と略記する。)21におけるA/D変換後に取り込まれるマイクロコンピュータ(以下、「マイコン」と略記する。)23、及び、不揮発性メモリ(NVM)25をさらに備えている。
【0042】
そして、前記マイコン23は、CPU23a、RAM23b、及び、ROM23cを有しており、このうち、CPU23aには、RAM23b及びROM23cの他、前記I/F21が接続されており、また、上述した不図示のイグニッションスイッチのオンオフ状態を示す信号が入力される。
【0043】
前記RAM23bは、各種データ記憶用のデータエリア及び各種処理作業に用いるワークエリアを有しており、前記ROM23cには、CPU23aに各種処理動作を行わせるための制御プログラムが格納されていると共に、ハイブリッド車両への搭載時点におけるバッテリ13の満充電時の純抵抗Rと分極抵抗成分(活性化、濃度)との合計、即ち、内部抵抗Rf+Rpolfの値が、バッテリ13の固有の満充電抵抗値として予め格納されている。
【0044】
したがって、本実施形態の車載用バッテリ充電電気量検出装置1では、前記ROM23cにより請求項中の満充電時抵抗値保持手段23cAが構成されている。
【0045】
そして、前記マイコン23は、不図示のイグニッションスイッチのオフ状態では、バッテリ13から供給される暗電流により必要最小限の処理のみを行うスリープモードとなり、イグニッションスイッチのオンによりウェイクアップして通常のアクティブモードとなる。
【0046】
次に、バッテリ13の充電効率の基本的な考え方と、充電中におけるバッテリ13の充電効率の求め方とについて、若干説明しておく。
【0047】
まず、バッテリ13が設定充電電圧値VT により定電圧充電される際に、それ以前の充放電が行われていない間にバッテリ13の電極の表面に絶縁性の不動態膜が形成されていると、充電開始直後の段階で、設定充電電圧値VT の電圧がバッテリ13に印加されることで、不動態膜が徐々に破壊されてやがて解消される。
【0048】
この場合には、バッテリ13の充電が開始されても、設定充電電圧値VT に応じた値の充電電流ICHG が即座に流れ始めるのではなく、図3のグラフに示すように、不動態膜の破壊の進行により電極の導電性が徐々に回復するのに伴って、バッテリ13の充電電流ICHG が、設定充電電圧値VT に応じた値へと徐々に増加することになる。
【0049】
そして、バッテリ13の充電電流ICHG が設定充電電圧値VT に応じた値へと徐々に増加している段階では、充電電流ICHG の低い状態が続くことから、ガス化現象の発生による充電効率の低下はないと見倣すことができ、よって、充電電流ICHG の値が設定充電電圧値VT に応じた値に達するまでの期間は、充電時間の経過とは無関係に、充電効率=100%で充電されているものと見倣される。
【0050】
一方、充電電流ICHG の値が設定充電電圧値VT に応じた値に達すると、その時点では、不動態膜が完全に破壊されて不動態膜を因子とする抵抗成分がなくなっていることから、設定充電電圧値VT による定電圧充電の状況下にあるバッテリ13の充電電流ICHG の値を司るのは、バッテリ13の内部起電力E0 の上昇分ΔE0 に相当する抵抗の変化分RE0と、バッテリ13の内部抵抗R+Rpolとを合わせた抵抗成分のみとなる。
【0051】
そして、不動態膜の破壊の進行によりバッテリ13の充電電流ICHG の値が設定充電電圧値VT に応じた最大値に達するまでの期間に、バッテリ13の内部起電力E0 は上昇するが、その量ΔE0 は内部起電力E0 に対して非常に小さい値であるので、充電電流ICHG の値が最大値に達した時点におけるバッテリ13の抵抗成分は、実質的に、バッテリ13の内部抵抗R+Rpolのみであると見倣される。
【0052】
尚、バッテリ13が設定充電電圧値VT により定電圧充電される際に、バッテリ13の電極の表面に絶縁性の不動態膜が形成されていない場合には、充電開始の直後の段階から、設定充電電圧値VT に応じた値の充電電流ICHG が即座に流れ始めるので、バッテリ13の抵抗成分は、その時点から、バッテリ13の内部抵抗R+Rpolのみであると見倣される。
【0053】
このため、電極の表面に絶縁性の不動態膜が形成されていないバッテリ13に設定充電電圧値VT による定電圧を印加し始めた時点か、或は、電極の表面に形成されていた不動態膜が設定充電電圧値VT による定電圧の印加により完全に破壊されて、バッテリ13の充電電流ICHG の値が設定充電電圧値VT に応じた最大値に達した時点を、バッテリ13の充電開始時点であるものとすると、その時点のバッテリ13には、図4に示すように、バッテリ13の内部抵抗を表す純抵抗R0 と充電側分極による分極抵抗成分Rpol0 との直列回路を、起電力E0 と直列に接続した等価回路に置き換えることができる。
【0054】
そして、設定充電電圧値VT による充電中は、バッテリ13に、起電力の上昇E0 →E0 +ΔE0 や、起電力の上昇分ΔE0 に見合った純抵抗や分極抵抗成分の低下R0 →R´(R´<R0 )、Rpol0 →Rpol´(Rpol´<Rpol0 )という状態変化が発生する。
【0055】
ここで、バッテリ13の内部起電力E0 の上昇分ΔE0 を、起電力上昇分の抵抗の変化分RE0として捉えると、この起電力上昇分に相当する抵抗の変化分RE0が、起電力E0 、純抵抗R´、及び、分極抵抗成分Rpol´の直列回路にさらに直列接続されることになるので、等価回路の内容が図5に示すように変わる。
【0056】
ところで、バッテリ13の充電の際に、バッテリ13に流れこんだ総電気量と、起電力としてバッテリ13に充電された電気量とが等しい、即ち、充電効率が理想値である100%ならば、図4の等価回路や図5の等価回路から各々起電力E0 を除いた残りの抵抗成分における電圧上昇は、互いに等しく、単に、起電力上昇分の抵抗の変化RE0の分だけ、純抵抗や分極抵抗成分における電圧降下量、つまり、それらの抵抗値が下がるに過ぎないはずである。
【0057】
したがって、充電前と充電中とでは、バッテリ13の内部抵抗に関して次式の関係、
RE0+R´+Rpol´=R0 +Rpol0
∵(RE0+R´+Rpol´)×ICHG =(R0 +Rpol0 )×ICHG0
が成立するはずである。
【0058】
そして、充電開始時点におけるバッテリ13の内部抵抗の値R0 +Rpol0 は当然一定であるから、充電効率が理想値の100%であるという前提では、充電中のバッテリ13の内部抵抗の値RE0+R´+Rpol´も一定であることになる。
【0059】
ところが、バッテリ13の充電効率は、実際には100%となることはない。それは、充電反応に伴ってバッテリ13の電極付近等に酸素ガスや水素ガスが発生しH2 Oに還元されて、バッテリ13に流れ込む電気量の一部が起電力としてバッテリ13に蓄積されないという現象が起こるためである。
【0060】
このガスの発生をバッテリ13の内部抵抗の変化に置き換えて考えてみると、充電中のバッテリ13の内部抵抗の値は、充電開始時点におけるバッテリ13の内部抵抗の値R0 +Rpol0 に等しい値RE0+R´+Rpol´とはならず、この値に、ガス化される電気量の量に相当するガス化抵抗成分RGAS の値をさらに加えた値RE0+R´+Rpol´+RGAS に増加することになる。
【0061】
しかも、充電中のガスの発生量は、バッテリ13の充電状態が満充電状態に近づくほど増加することから、ガス化抵抗成分RGAS もバッテリの充電状態に応じて変化することになり、定電圧充電を行った場合の充電時間に対するバッテリ13の内部抵抗の変化を示す図6のグラフに示すように、充電時のバッテリ13の内部抵抗は、充電時間が経過して充電状態が満充電状態に近づくにつれて、充電開始時点の内部抵抗の値R0 +Rpol0 に等しいRE0+R´+Rpol´なる値から、ガス化抵抗成分RGAS の増加量の分だけ増加することになる。
【0062】
ところで、バッテリ13の充電が設定充電電圧値VT による定電圧充電であり、かつ、充電中のバッテリ13の内部抵抗の値、つまり、開始後抵抗値R″+Rpol″が、充電開始時点におけるバッテリ13の内部抵抗の値、つまり、開始時抵抗値R0 +Rpol0 よりも増加する。
【0063】
したがって、実際にバッテリ13に流れ込む総電気量に相当する充電電流の値ICHG (以後、便宜的にICHG (実測)と呼ぶことがある。)に対して、起電力としてバッテリ13に実際に蓄積される電気量の値に相当する、いわば充電についての実効電流とでも言うべき電流の値(以後、便宜的にICHG (実効)と呼ぶことがある。)は、小さい値となり、その差分が、起電力としてバッテリ13に蓄積されない電気量の値に相当するガス化電流IGAS とでも称するべき電流値となる。これを式で表すと、
ICHG (実測)=ICHG (実効)+IGAS
【0064】
そうすると、バッテリ13の充電効率は、次式
充電効率=〔ICHG (実効)/ICHG (実測)〕×100%
によって求めることができる。
【0065】
ところで、ICHG (実測)は、実際にバッテリ13に流れ込む電流の値であるから、I/F21を介して電流センサ15の出力のA/D変換値を収集することで実際に測定できるが、ICHG (実効)は、ICHG (実測)のように実際に測定することができず、当然、ICHG (実測)からICHG (実効)を差し引いたガス化電流IGAS も測定乃至算出できないので、上記した充電効率の式、
充電効率=〔ICHG (実効)/ICHG (実測)〕×100%
を、測定乃至算出可能な別のファクタに置き換える必要がある。
【0066】
ここで、バッテリ13に流れ込む総電気量のうち、起電力としてバッテリ13に実際に蓄積される電気量の値に相当するICHG (実効)は、ガス化抵抗成分RGAS が大きくなればなる程小さくなるので、ガス化抵抗成分RGAS が最大となるバッテリ13の満充電状態には、現実には、ICHG (実効)に相当するバッテリ13に流れ込む総電気量の殆どがガス化に消費されてしまい、起電力としてはバッテリ13に蓄積されないことになる。
【0067】
よって、見方を変えると、バッテリ13の満充電状態には、ガス化抵抗成分RGAS の値に対応する電気量がバッテリ13に流れ込むものの、ガス化のために消費されてしまい、起電力としてはバッテリ13に蓄積されないことになり、これは、充電効率=0の状態にあると見倣すことができる。
【0068】
また、充電中のバッテリ13の内部抵抗の値RE0+R´+Rpol´+RGAS のうちガス化抵抗成分RGAS の値の部分は、その時点における、バッテリ13に流れ込む電気量のうち起電力としてバッテリ13に蓄積されない電気量の値に対応する値と考えることができるので、充電中の任意の時点におけるガス化抵抗成分RGAS の値RGAS ″を、充電効率=0の状態にあるバッテリ13の満充電状態におけるガス化抵抗成分RGAS の値RGAS fで除せば、バッテリ13の充電効率の低下率を表す値を求めることができる。
【0069】
そこで、充電中の任意の時点におけるガス化抵抗成分の値RGAS ″を求める必要があるが、そのためには、充電中のバッテリ13の内部抵抗の値RE0+R´+Rpol´+RGAS から、ガス化抵抗成分RGAS の値を除いた、充電効率が理想値の100%である場合の充電中のバッテリ13の内部抵抗の値RE0+R´+Rpol´を差し引く計算を行う必要がある。
【0070】
ここで、充電効率が理想値の100%である場合の充電中のバッテリ13の内部抵抗の値RE0+R´+Rpol´の値は、充電開始時点におけるバッテリ13の内部抵抗の値R0 +Rpol0 に等しいので、これに置き換えることができる。
【0071】
また、充電中のバッテリ13の内部抵抗の値RE0+R´+Rpol´+RGAS は、結局は、バッテリ13の充電開始後における内部抵抗値である開始後抵抗値R″+Rpol″のことであるから、これに置き換えることができる。
【0072】
すると、充電中の任意の時点におけるガス化抵抗成分の値RGAS ″は、開始後抵抗値R″+Rpol″から開始時抵抗値R0 +Rpol0 を差し引いた差分抵抗値を求める下式、
RGAS ″=(R″+Rpol″)−(R0 +Rpol0 )
によって求めることができることになる。
【0073】
さらに、充電効率=0の状態にあるときのガス化抵抗成分の値RGAS fについてであるが、充電効率=0の状態にあるときとは、ガス化抵抗成分RGAS の値が最大値となるバッテリ13の満充電状態のことであり、このときには、ガス化抵抗成分RGAS の値に対して、これを除いた、充電効率が理想値の100%である場合の充電中のバッテリ13の内部抵抗の値RE0+R´+Rpol´が、無視できるほど圧倒的に小さいという、
RGAS ≫RE0+R´+Rpol´
の関係が成立する。
【0074】
ところで、バッテリ13の固有の満充電状態における内部抵抗の値である満充電抵抗値Rf+Rpolfの値は、充電中のバッテリ13の内部抵抗の値RE0+R´+Rpol´+RGAS の、特に、満充電状態における値を示すのであるから、
Rf+Rpolf=RE0+R´+Rpol´+RGAS
の関係が成立する。
【0075】
そうすると、充電効率=0となるバッテリ13の満充電状態においては、
RGAS ≫RE0+R´+Rpol´
の関係が成立し、かつ、
Rf+Rpolf=RE0+R´+Rpol´+RGAS
の関係が成立するのであるから、
Rf+Rpolf≒RGAS
なる関係が成立する。
【0076】
よって、バッテリ13の満充電状態におけるガス化抵抗成分の値RGAS fは、バッテリ13の固有の満充電抵抗値Rf+Rpolfに置き換えることができる。
【0077】
以上から、充電中の任意の時点におけるガス化抵抗成分の値RGAS ″を、充電効率=0の状態にあるバッテリ13の満充電状態におけるガス化抵抗成分の値RGAS fで除した値は、ほぼ、開始時抵抗値R0 +Rpol0 と、開始後抵抗値R″+Rpol″と、バッテリ13の固有の満充電抵抗値Rf+Rpolfとを用いて求めることができ、その値は、上記した差分抵抗値(R″+Rpol″)−(R0 +Rpol0 )の満充電抵抗値Rf+Rpolfに対する割合である、
〔(R″+Rpol″)−(R0 +Rpol0 )〕/(Rf+Rpolf)
となる。
【0078】
したがって、充電中の任意の時点におけるバッテリ13の充電効率の低下成分を表す値を、
〔(R″+Rpol″)−(R0 +Rpol0 )〕/(Rf+Rpolf)
なる式によって求めることができ、これを1から差し引いた、
{1−[〔(R″+Rpol″)−(R0 +Rpol0 )〕/(Rf+Rpolf)]}×100%
なる式によって、充電中の任意の時点におけるバッテリ13の充電効率(%)を求めることができる。
【0079】
以上が、バッテリ13の充電効率の基本的な考え方と、充電中におけるバッテリ13の充電効率の求め方である。
【0080】
次に、上述したバッテリ13の充電効率を求めるために必要となる、充電動作中におけるバッテリ13の内部抵抗R+Rpol(純抵抗Rとそれ以外の抵抗成分である分極抵抗成分Rpolとを加算した合成抵抗)の求め方について、説明しておく。
【0081】
先に説明した不動態膜がバッテリ13の電極表面に形成されていないものとして、バッテリ13の状態を式で表すと、バッテリ13の端子電圧Vであるところの設定充電電圧値VT から、その時点におけるバッテリ13の内部起電力Eを減じた値が、その時点におけるバッテリ13の内部抵抗R+Rpolに対して、その時点における充電電流の値ICHG を乗じた値と等しくなるはずである。
VT −E=(R+Rpol)×ICHG
【0082】
したがって、バッテリ13の内部抵抗R+Rpolは、次式、
(R+Rpol)=(VT −E)/ICHG
で求めることができる。
【0083】
続いて、バッテリ13の充電開始前における内部抵抗R+Rpolを求めるために必要となる、充電開始前におけるバッテリ13の内部起電力Eの求め方について、説明しておく。
【0084】
充電開始前におけるバッテリ13の内部起電力Eは、その時点におけるバッテリ13の開回路電圧OCVの値に等しいことから、この開回路電圧OCVの値を求めればよいことになる。
【0085】
そこで、充電開始前におけるバッテリ13の開回路電圧OCVの具体的な求め方を、放電中の端子電圧及び放電電流からバッテリの充電状態SOCを求める方式に関連する本出願人による出願である、特願2000−369220において提案した内容を用いて、以下に説明する。
【0086】
まず、バッテリ13が放電を行った際に、I/F21を介して電流センサ15や電圧センサ17の出力のA/D変換値の組を周期的に収集することで、バッテリ13の端子電圧V及び放電電流Iを周期的に測定し、その測定値を用いたバッテリ13の純抵抗Rの測定と、この純抵抗Rの成分のみに依存した分極の影響を含まないバッテリ13の電圧−電流特性の割り出しとを行う。
【0087】
これと共に、バッテリ13の放電中の特に放電電流の減少中における端子電圧Vと放電電流Iとの測定値から、分極の影響を含むバッテリ13の電圧−電流特性の割り出しを行う。
【0088】
そして、これらバッテリ13の分極の影響を含まない電圧−電流特性と分極の影響を含む電圧−電流特性とを用いて、計算上のバッテリ13の開回路電圧である推定電圧Vnを推定する。
【0089】
そこでまず、一般的なバッテリそのものの特性について検討する。
【0090】
ちなみに、エンジンを推進動力源とする一般車や、エンジンの発生するパワーの不足分をモータによりアシストするハイブリッド車両には、スタータモータやモータジェネレータなどの大電流を必要とする負荷が搭載されており、これらの負荷に電力を供給するバッテリの電圧−電流(V−I)特性の例は図7及び図8に示す点のようになる。
【0091】
従来、V−I特性は図7に示すように、1次式V=aI+bで近似する方式が一般に行われてきたが、図9に示す分極抵抗成分の非直線形の特性の影響により、1次式よりも2次式の方が、高い相関を有する式を得ることができることがわかった。そこで、本実施形態においてバッテリ13の純抵抗による近似V−I特性を求める際には、図8に示すように、V=aI2 +bI+cなる2次式の近似曲線式を最小二乗法によって得ることによって、高い相関を有する近似式を用いるようにする。
【0092】
上述したような大電流を必要とする負荷を駆動したときには、負荷への最大供給電力値に相当する所定の大電流値による定負荷放電が行われる。このときのバッテリの端子電圧と放電電流とを周期的に測定してこれら端子電圧と放電電流との相関を示す実データに基づいて、図10のグラフ中に示すように、放電電流の増加中におけるバッテリのV−I特性の第1の近似曲線式M1と、放電電流の減少中におけるバッテリのV−I特性の第2の近似曲線式M2の2つの式が得られる。なお、図10中に記載の式は実データによって得られた具体的な近似曲線式の一例である。これらの2つの近似曲線式M1と近似曲線式M2との違いを以下分析する。
【0093】
一方の近似曲線式M1の場合、放電開始時点での分極抵抗成分を基準にすると、放電が開始し電流が増加すると、分極抵抗成分は徐々に増加していく。その後、電流が最大値になったところで、分極抵抗成分がピークに達し、電流の減少に伴って分極が解消していくはずである。しかし、実際には、電流の減少に比例して分極抵抗成分は解消するのではなく反応が遅れて現れるため、近似曲線式M2の場合、増加方向と同じV−I特性を示さず、増加方向よりも大きな電圧降下を発生させることになり、電流の増加と減少時にそれぞれ対応する2つの近似曲線式M1及びM2が得られることになる。
【0094】
上述したV−I特性の2つの近似曲線式M1及びM2で表される近似曲線を用いて、バッテリの純抵抗Rを測定する方法を、図11乃至図13を参照して、以下具体的に説明する。
【0095】
まず、図11に示すように、上記近似曲線式の一方M1で表される近似曲線上の実データの範囲内に任意の点Aを選択し、式M1の近似曲線の縦軸に対する切片C1から近似曲線上の点Aまでの電圧降下ΔV1を求める。このΔV1を点Aでの電流I1で除算した値は、純抵抗Rに純抵抗を除くその他の抵抗成分である分極抵抗成分のその時点での値Rpol1を加算した合成抵抗である。すなわち、
R+Rpol1=ΔV1/I1
である。
【0096】
同様に、図11に示すように、上記近似曲線式の他方M2で表される近似曲線上の実データの範囲内に任意の点Bを選択し、式M2の近似曲線の縦軸に対する切片C2から近似曲線上の点Bまでの電圧降下ΔV2を求める。このΔV2を点Bでの電流I2で除算した値は、純抵抗Rに純抵抗を除くその他の抵抗成分である分極抵抗成分のその時点での値Rpol2を加算した合成抵抗である。すなわち、
R+Rpol2=ΔV2/I2
である。
【0097】
上記2点A及びBの合成抵抗の値の差ΔRは
ΔR=R+Rpol1−(R+Rpol2)=Rpol1−Rpol2
となり、点A及びBにおける分極抵抗成分の差となる。これは、1回の放電中の純抵抗Rは変化しないことから明らかである。
【0098】
なお、式M1で表される近似曲線上には、図12に示すように、式M2の近似曲線上に選択した任意の点Bにおける合成抵抗(R+Rpol2)に等しい値(R+Rpol1′)をもった点A′が存在する。また、式M2で表される近似曲線上にも、図12に示すように、式M1の近似曲線上に選択した任意の点Aにおける合成抵抗(R+Rpol1)に等しい値(R+pol2′)をもった点B′が存在する。すなわち、
R+Rpol1′=R+Rpol2
となる点A′が式M1で表される近似曲線上に存在し、
R+Rpol1=R+Rpol2′
となる点B′が式M2で表される近似曲線上に存在する。
【0099】
要するに、点A′における電流及び電圧をそれぞれI1′及びV1′とし、点B′における電流及び電圧をそれぞれI2′及びV2′とすると、点A′の座標(I1′、V1′)と点Bの座標(I2、V2)の分極抵抗成分の値が互いに等しく、また点Aの座標(I1、V1)と点B′(I2′、V2′)の分極抵抗成分の値も互いに等しいことがわかる。
【0100】
まず、B点を基準とし、この点Bの合成抵抗の値(R+Rpol2)と等しい値を持つ点A′の電流I1′と電圧V1′の算出の仕方を以下説明する。
【0101】
今、式1で表される近似曲線の縦軸に対する切片C1からこの点A′までの電圧降下をΔV1′とすると、これは
ΔV1′=C1−(a1I1′2 +b1I1′+C1)=(R+Rpol2)I1′
となり、この式を整理すると、
−(a1I1′ +b1)=R+Rpol2
となり、点A′の電流I1′は
I1′=−(b1+R+Rpol2)/a1
となる。なお、
R+Rpol2(=R+pol1′)=ΔV2/I2(=ΔV1′/I1′)
であるので、
I1′=−〔b1+(ΔV2/I2)〕/a1
=−〔b1+(ΔV1′/I1′)〕/a1
となる。また、点A′の電圧V1′は、上記式から明らかなように、
V1′=a1I1′2 +b1I1′+C1
であるので、点A′の座標(I1′、V1′)は既知の値から定められる。
【0102】
同様にして、A点を基準とし、この点Aの抵抗値(R+Rpol1)と等しい値を持つ点B′の電流I2′と電圧V2′も、
により既知の値から算出できる。なお、ΔV2′は、式2で表される近似曲線の縦軸に対する切片C2からこの点B′までの電圧降下である。
【0103】
上述のようにして、点A′の座標(I1′、V1′)が定まったら、図12に示すように、点A′の座標(I1′、V1′)と点Bの座標(I2、V2)とを結ぶ直線L1の傾斜を求めることによって合成抵抗の値R1が求められる。この合成抵抗の値R1は、純抵抗と分極抵抗成分Rpol2とからなる合成抵抗によって生じる電圧降下の差(V1′−V2)を各点において流れる電流の差(I1′−I2)によって除算することによって求められる。すなわち、
R1=(V1′−V2)/(I1′−I2)
となる。
【0104】
同様にして、点B′の座標(I2′、V2′)が定まったら、図13に示すように、点B′の座標(I2′、V2′)と点Aの座標(I1、V1)とを結ぶ直線L2の傾斜を求めることによって合成抵抗の値R2が求められる。この合成抵抗の値R2は、純抵抗と分極抵抗成分Rpol1とからなる合成抵抗によって生じる電圧降下の差(V1−V2′)を各点において流れる電流の差(I1−I2′)によって除算することによって求められる。すなわち、
R2=(V1−V2′)/(I1−I2′)
となる。
【0105】
しかしながら、上述のようにして求められる合成抵抗の値R1及びR2は、純抵抗と分極抵抗成分とからなる合成抵抗によって生じる電圧降下の差を各点において流れる電流の差によって除算して求めたもので、純抵抗とは一致しない。2点間の傾きを純抵抗と一致させるには、分極抵抗成分によって生じる電圧降下分を除いた電圧降下の差を電流差によって除算してやればよい。
【0106】
先ず、点Bを基準にした場合について説明すると、今、合成抵抗の値R1を
R1=R1′+Rpol2=R1′+Rpol1′
とすると、抵抗R1′に点A′の電流I1′と点Bの電流I2との差に相当する電流が流れることによって生じる電圧降下は、分極抵抗成分Rpol1′(又はRpol2)に点A′の電流I1′と点Bの電流I2の差に相当する電流が流れることによって生じる電圧降下分だけ、点A′の電圧を持ち上げて補正してやればよく、次式が成立する。
R1′(I1′−I2)=〔V1′+Rpol1′(I1′−I2)〕−V2
【0107】
この式を整理すると、
R1′(I1′−I2)=(V1′−V2)+Rpol1′(I1′−I2)
となる。ここで、Rpol1′=ΔV1′/I1′−R1′であるので、
R1′(I1′−I2)=(V1′−V2)+(ΔV1′/I1′−R1′)×(I1′−I2)
2R1′(I1′−I2)=(V1′−V2)+ΔV1′/I1′(I1′−I2)
となり、結果として、
R1′=〔(V1′−V2)+(ΔV1′/I1′)×(I1′−I2)〕/2(I1′−I2)
が求められる。なお、(ΔV1′/I1′)は(ΔV2/I2)と置き換えることができる。
【0108】
次に、点Aを基準にした場合にも同様にして
R2=R2′+Rpol1=R2′+Rpol2′
とすると、この抵抗R2′に点Aの電流I1と点B′の電流I2′の差に相当する電流が流れることによって生じる電圧降下は、分極抵抗成分Rpol12′(又はRpol1)に点Aの電流I1と点B′の電流I2′との差に相当する電流が流れることによって生じる電圧降下分、点B′の電圧を引き下げて補正してやればよく、次式が成立する。
R2′(I1−I2′)=V1−〔V2′−Rpol2′(I1−I2′)〕
【0109】
この式を整理すると、
R2′(I1−I2′)=(V1−V2′)+Rpol2′(I1−I2′)
となる。ここで、Rpol2′=ΔV2′/I2′−R2′であるので、
R2′(I1−I2′)=(V1−V2′)+(ΔV2′/I2′−R2′)
(I1−I2′)
2R2′(I1−I2′)=(V1−V2′)+ΔV2′/I2′(I1−I2′)
となり、結果として、
R2′=〔(V1−V2′)+(ΔV2′/I2′)(I1−I2′)〕/2(I1−I2′)
が求められる。なお、(ΔV2′/I2′)は(ΔV1/I1)と置き換えることができる。
【0110】
上述したように求められた2つの値R1′及びR2′は、2つの点A及びBを基準にし、異なる分極抵抗成分(Rpol1′=Rpol2)と(Rpol1=Rpol2′)を用い、しかも異なる切片C1からの電圧降下Δ1′(ΔV1)と切片C2からの電圧降下Δ2′(ΔV2)を用いて求めたものであるので、真の純抵抗Rとなり得ない。したがって、両者の加算平均
R=(R1′+R2′)/2
をとることによって、真の純抵抗Rが求められる。
【0111】
そこで、バッテリ13の純抵抗を求めるに当たっては、I/F21を介して収集される電流センサ15や電圧センサ17の出力のA/D変換値の組の最新のものを用いて、最小二乗法により、放電電流Iの増加中におけるバッテリ13の端子電圧Vと放電電流Iとの相関を示す電圧−電流特性である、例えばV1(I)=a1I2 +b1+C1なる2次式で表される第1の近似曲線式M1と、減少する放電電流に対する電圧−電流特性の例えばV2(I)=a2I2 +b2I+C2なる2次式で表される第2の近似曲線式M2とを求める。
【0112】
次に、第1の近似曲線式M1によって表される電圧−電流特性曲線上に第1の点Aを定めると共に、第2の近似曲線式M2によって表される電圧−電流特性曲線上に第2の点Bを定める。このとき、第1の近似曲線式M1によって表される電圧−電流特性曲線上に定められる第1の点Aと、第2の近似曲線式M2によって表される電圧−電流特性曲線上に定められる第2の点Bとは、各近似曲線式を求める際に使用された端子電圧と放電電流の実データの存在する範囲内に好ましく定められる。このように定めることによって、その後、各点に対応する想定点を想定する際に、想定点が大きく外れた位置に想定されることがなくなる。また、好ましくは、第1の点Aと第2の点Bは、分極抵抗成分が最大となる点の両側に定められるのがよい。このように定めることによって、最大点の両側に想定点が定められるようになるようになり、その後、純抵抗を求める際の精度が高まるようになる。
【0113】
そして、第2の点Bに対応する第2の放電電流I2が流れたとき第2の電圧降下ΔV2を生じさせる、バッテリの純抵抗と第2の分極抵抗成分Rpol2からなる第2の合成抵抗R2と同一の抵抗値を有する第1の想定点A′を、第1の近似曲線式M1上に想定すると共に、第1の点Aに対応する第1の放電電流I1が流れたとき第1の電圧降下ΔV1を生じさせる、バッテリ13の純抵抗と第1の分極抵抗成分Rpol1からなる第1の合成抵抗R1と同一の抵抗値を有する第2の想定点B′を、第2の近似曲線式M2上に想定する。
【0114】
2つの想定点A′及びB′が想定できたら、第2の点Bと第1の想定点A′とを結ぶ直線L1の第1の傾斜R1を、第2の放電電流I2と第1の想定点A′での放電電流I1′とによってそれぞれ生じる、第2の分極抵抗成分Rpol2による電圧降下の差分Rpol2(I1′−I2)により補正した上で、第2の分極抵抗成分Rpol2による電圧降下分を除いた第1の補正傾斜R1′を求めると共に、前記第1の点と前記第2の想定点B′とを結ぶ直線L2の第2の傾斜R2を、第1の放電電流I1と第2の想定点B′での放電電流I2′とによってそれぞれ生じる、第1の分極抵抗成分Rpol1による電圧降下の差分Rpol1(I1−I2′)により補正した上で、第1の分極抵抗成分Rpol1による電圧降下分を除いた第2の補正傾斜R2′を求める。
【0115】
このようにして求めた第1の補正傾斜R1′と第2の補正傾斜R2′とを加算平均することで、これら第1の補正傾斜R1′と第2の補正傾斜R2′との平均傾斜を、バッテリ13の純抵抗Rとして求める。
【0116】
このようにしてバッテリ13の純抵抗Rを求めたならば、その値に、先に収集された最新の所定時間分の実データにおける放電電流Iを乗じて、この放電電流Iのサンプル数と同数の、純抵抗によるバッテリ13の放電中における端子電圧Vを求め、求めた複数の端子電圧Vと、先に収集された複数の放電電流Iとの対に、最小二乗法を適用して、純抵抗によるバッテリ13の分極の影響を含まない直線的な電圧−電流特性式VR =aR I+bR を割り出す。
【0117】
続いて、先に収集されたバッテリ13の放電電流Iの実データのうち、ピーク値から減少する部分の実データについて、そのデータの相関性を確認した上で、その減少する部分の複数の放電電流Iと、それら複数の放電電流Iに対応する複数の端子電圧Vとの対に、最小二乗法を適用して、バッテリ13の分極の影響を含む直線的な電圧−電流特性式V=aI+bを割り出す。
【0118】
次に、先に割り出した、純抵抗によるバッテリ13の分極の影響を含まない直線的な電圧−電流特性式VR =aR I+bR 上の、ピーク電流値よりも低い、セルモータやモータジェネレータを作動させる際に必ず流れる電流値(I1 )とそのときの電圧値(V1 )とからなる座標値(V1 ,I1 )を通るように、バッテリ13の分極の影響を含む電圧−電流特性式V=aI+bを電圧軸方向にシフトさせた、シフト後電圧−電流特性式V´=aI+b´を求める。
【0119】
続いて、定電流放電における推定電圧Vnがバッテリ13の容量に対して直線的な特性を示すようになる仮想電流値Is=−10A(アンペア)を、先に求めたシフト後電圧−電流特性式V´=aI+b´に代入して、推定電圧Vnを推定し、この推定電圧Vnに、予め定められた残存電圧降下値e0 を加算して、補正後推定電圧Vn´を求める。
【0120】
ここで、予め定められた残存電圧降下値e0 とは、セルモータやモータジェネレータによりエンジンを始動させるためにバッテリ13が瞬時的に定負荷放電を行った際に、その定負荷放電中に電流センサ15や電圧センサ17により検出されたバッテリ13の端子電圧Vと放電電流Iとの相関を基にして、上述のように推定した、定負荷放電状態における推定上の端子電圧Vである推定電圧Vnを、予め求めておいたバッテリ13の開回路電圧OCVから差し引いた、バッテリ13の放電終了時における残存分極の影響による残存電圧降下量のことである。
【0121】
以上が、充電開始前におけるバッテリ13の開回路電圧OCV(補正後推定電圧Vn´)を求める具体的な求め方である。
【0122】
尚、ここで説明した、充電開始前におけるバッテリ13の開回路電圧OCV(補正後推定電圧Vn´)を求める処理の内容は、あくまで一例であって、例えば、周期的に測定される放電電流の値に測定周期の時間幅を乗じて求めた単位時間当たりの放電電気量を積算することで、バッテリ13に充電されている電気量を計算により求め、その求めた電気量に対応するバッテリ13の開回路電圧OCVを、ROM23c等に予め格納された対応テーブルから導き出す、電流積算法を用いた処理等、他の内容による処理で充電開始前におけるバッテリ13の開回路電圧OCVを求めても一向に構わない。
【0123】
次に、前記ROM23cに格納された制御プログラムに従いCPU23aが行う処理を、図14及び図15のフローチャートを参照して説明する。
【0124】
バッテリ13からの給電を受けてマイコン23が起動しプログラムがスタートすると、CPU23aは、まず、図14に示すように、不図示の充放電回路に対するバッテリ13の接続状態を確認する等して、バッテリ13が放電中であるか否かを確認する(ステップS1)。
【0125】
バッテリ13が放電中でない場合は(ステップS1でN)、後述するステップS5に進み、放電中である場合は(ステップS1でY)、充電開始前におけるバッテリ13の平衡状態における端子電圧に相当する開回路電圧OCVの算出処理を行い(ステップS2)、算出した充電開始前におけるバッテリ13の開回路電圧OCVを、バッテリ13の内部起電力Eの値としてRAM23bに格納した後(ステップS3)、再び、バッテリ13が放電中であるか否かを確認する(ステップS4)。
【0126】
バッテリ13が放電中である場合は(ステップS4でY)、ステップS2にリターンし、放電中でない場合は(ステップS4でN)、ステップS5に進む。
【0127】
ステップS1やステップS4においてバッテリ13が放電中でない場合(N)に進むステップS5以降の処理では、バッテリ13の充電効率や、1回の充電動作によってバッテリ13に蓄積された充電電気量の検出が行われる。
【0128】
まず、ステップS5では、I/F21を介して電流センサ15や電圧センサ17の出力のA/D変換値を収集し、次に、収集した電流センサ15の出力のA/D変換値、即ち充電電流ICHG の値に、充電効率=100%なる値を乗じ、さらに、ステップS4における電流センサ15や電圧センサ17の出力のA/D変換値の収集周期時間を乗じることで、充電が開始されてから今までの間にバッテリ13に充電された電気量を算出する(ステップS6)。
【0129】
そして、RAM23bに格納されているバッテリ13の内部起電力Eに、ステップS6において算出された充電電気量を積算した後(ステップS7)、再び、I/F21を介して電流センサ15や電圧センサ17の出力のA/D変換値を収集し(ステップS8)、収集した電流センサ15の出力のA/D変換値が、前回収集した電流センサ15の出力のA/D変換値に対して増加しているか否かを確認し(ステップS9)、増加していない場合は(ステップS9でN)、後述するステップS12に進む。
【0130】
一方、増加している場合は(ステップS9でY)、ステップS8で収集した電流センサ15の出力のA/D変換値、即ち充電電流ICHG の値に、充電効率=100%なる値を乗じ、さらに、ステップS8における電流センサ15や電圧センサ17の出力のA/D変換値の収集周期時間を乗じることで、電流センサ15の出力のA/D変換値を前回収集した後から今回収集するまでの間にバッテリ13に充電された電気量を算出する(ステップS10)。
【0131】
そして、RAM23bに格納されているバッテリ13の内部起電力Eに、ステップS10において算出された充電電気量を積算した後(ステップS11)、ステップS8にリターンする。
【0132】
尚、ステップS6やステップS10の電気量の算出において、充電効率=100%なる値を乗じることは、ロジック上省略してもよい。
【0133】
また、ステップS9において、ステップS8で収集した電流センサ15の出力のA/D変換値が、前回収集した電流センサ15の出力のA/D変換値に対して増加していない場合(N)に進むステップS12では、図15に示すように、ステップS8で収集した電流センサ15の出力のA/D変換値を、計算上の充電開始時点におけるバッテリ13の充電電流ICHG0とし、収集した電圧センサ17の出力のA/D変換値を、計算上の充電開始時点におけるバッテリ13の設定充電電圧値VT とすると共に、RAM23bに格納されているバッテリ13の内部起電力Eを、計算上の充電開始時点におけるバッテリ13の内部起電力E0 として、次式、
(R0 +Rpol0 )=(VT −E0 )/ICHG0
を用いて、計算上の充電開始時点におけるバッテリ13の内部抵抗R0 +Rpol0 を求める。
【0134】
ステップS12において、計算上の充電開始時点におけるバッテリ13の内部抵抗R0 +Rpol0 を求めたならば、次に、求めた内部抵抗R0 +Rpol0 を、バッテリ13の充電開始時における内部抵抗値である開始時抵抗値としてRAM23bに格納した後(ステップS13)、ステップS14に進む。
【0135】
ステップS14では、I/F21を介して電流センサ15や電圧センサ17の出力のA/D変換値を収集し、次に、収集した電流センサ15の出力のA/D変換値を、現時点、即ち、充電の開始後の時点におけるバッテリ13の充電電流ICHGAとし、収集した電圧センサ17の出力のA/D変換値を、現時点、即ち、充電の開始後の時点におけるバッテリ13の設定充電電圧値VT とすると共に、RAM23bに格納されているバッテリ13の内部起電力Eを、計算上の充電開始時点におけるバッテリ13の内部起電力E″として、次式、
(R″+Rpol″)=(VT −E″)/ICHGA
を用いて、現時点、即ち、充電の開始後の時点におけるバッテリ13の内部抵抗R″+Rpol″を求める(ステップS15)。
【0136】
次に、ステップS15において求めた内部抵抗R″+Rpol″の値(開始後抵抗値)と、ROM23cに格納されている満充電抵抗値Rf+RpolfやRAM23bに格納されている開始時抵抗値R0 +Rpol0 の値とを用いて、この時点における、バッテリ13に流れこんだ総電気量のうち起電力としてバッテリ13に充電された電気量の割合である充電効率を、次式、
{1−[〔(R″+Rpol″)−(R0 +Rpol0 )〕/(Rf+Rpolf)]}×100%
により求める(ステップS16)。
【0137】
ステップS16においてバッテリ13の充電効率を算出したならば、求めた充電効率の値に、ステップS14で収集した電流センサ15の出力のA/D変換値であるところの現時点の充電電流の値ICHGAを乗じ、さらにその値に、バッテリ13の充電効率の値を繰り返し求めた周期時間、つまり、バッテリ13の充電継続中におけるステップS14〜ステップS17の処理の繰り返し実行周期時間を乗じて、バッテリ13の充電電流の値ICHGAを前回測定してから今回測定するまでの間にバッテリ13に起電力として蓄積された電気量の値を求めて、求めた充電電気量を、RAM23bに格納されているバッテリ13の内部起電力Eに積算した後(ステップS17)、不図示の充放電回路に対するバッテリ13の接続状態を確認する等して、バッテリ13の充電が未だに継続中であるか否かを確認する(ステップS18)。
【0138】
バッテリ13の充電が未だに継続中である場合は(ステップS18でY)、ステップS14にリターンし、バッテリ13の充電が継続中でない場合は(ステップS18でN)、図14のステップS2にリターンする。
【0139】
以上の説明からも明らかなように、本実施形態の車載用バッテリ充電電気量検出装置1では、図15のフローチャートにおけるステップS12が、請求項中の開始時抵抗値演算手段23Aに対応する処理となっており、図15中のステップS15が、開始後抵抗値演算手段23Bに対応する処理となっていると共に、ステップS16が、請求項中の差分抵抗値演算手段23Cや抵抗値割合演算手段23Dに対応する処理となっている。
【0140】
また、本実施形態の車載用バッテリ充電電気量検出装置1では、図14のフローチャートにおけるステップS2やステップS5、ステップS8、図15中のステップS14において行われる、電流センサ15や電圧センサ17の出力のA/D変換値をI/F21を介して収集する処理と、電流センサ15及び電圧センサ17とにより、請求項中の電流・電圧測定手段Aが構成されている。
【0141】
さらに、本実施形態の車載用バッテリ充電電気量検出装置1では、図14中のステップS9が、請求項中の活性状態判別手段23Eに対応する処理となっており、図14中のステップS10が、請求項中の過渡期間充電電気量割出手段23Fに対応する処理となっている。
【0142】
次に、上述のように構成された本実施形態の車載用バッテリ充電電気量検出装置1の動作(作用)について説明する。
【0143】
まず、車載用バッテリ充電電気量検出装置1においては、不図示の充放電回路に対するバッテリ13の接続状態に基づいて、バッテリ13が充電中であるか否かが監視され、その結果、バッテリ13が放電中であることが認識されている状態では、放電時に測定されるバッテリ13の端子電圧Vと放電電流Iとを基にして、充電開始前におけるバッテリ13の平衡状態における端子電圧に相当する開回路電圧OCVの算出が行われる。
【0144】
その後、バッテリ13の放電が終わって充電が開始されると、バッテリ13の充電効率及び充電電気量の検出が行われる。
【0145】
ここで、充電開始直後の段階で、バッテリ13の充電電流ICHG が増加している期間がある場合は、充放電が行われていない間にバッテリ13の電極の表面に形成された絶縁性の不動態膜が徐々に破壊されている最中であり、充電電流ICHG の低い状態が続いているものとして、ガス化現象の発生による充電効率の低下がないと見倣して充電効率=100%で充電されているものと見倣し、充電電流ICHG の値に収集周期時間を乗じることで、充電が開始されてから今までの間にバッテリ13に充電された電気量が算出され、この算出された電気量が、これまでに積算されたバッテリ13の内部起電力Eに積算される。
【0146】
一方、バッテリ13の充電電流ICHG が減少し始めると、元々バッテリ13の電極の表面に不動態膜が形成されていないか、或は、バッテリ13の電極の表面に形成されていた絶縁性の不動態膜が完全に破壊されて、ガス化現象の発生による充電効率の低下の可能性があるものとして、充電電流ICHG が最大値となる時点を計算上の充電開始時点と見倣して、充電効率や充電電気量の検出が、次のようにして行われる。
【0147】
まず、充電電流ICHG が最大値となる計算上の充電開始時点におけるバッテリ13の内部抵抗が開始時抵抗値R0 +Rpol0 として求められる。
【0148】
開始時抵抗値R0 +Rpol0 が求められると、それ以後、バッテリ13の充電が終了するまでの間、充電中の任意の時点におけるバッテリ13の内部抵抗である開始後抵抗値R″+Rpol″や、この開始後抵抗値R″+Rpol″と開始時抵抗値R0 +Rpol0 との差分である差分抵抗値(R″+Rpol″)−(R0 +Rpol0 )が、繰り返し求められる。
【0149】
そして、この差分抵抗値(R″+Rpol″)−(R0 +Rpol0 )が求められる度に、そのバッテリ13に固有の満充電状態における内部抵抗値である満充電時抵抗値Rf+Rpolfに対する差分抵抗値(R″+Rpol″)−(R0 +Rpol0 )の割合〔(R″+Rpol″)−(R0 +Rpol0 )〕/(Rf+Rpolf)が、充電中の任意の時点におけるバッテリ13の充電効率の低下成分を表す値として求められ、この割合〔(R″+Rpol″)−(R0 +Rpol0 )〕/(Rf+Rpolf)を1から差し引いた値1−[〔(R″+Rpol″)−(R0 +Rpol0 )〕/(Rf+Rpolf)]から、充電中の任意の時点におけるバッテリ13の充電効率が繰り返し求められる。
【0150】
さらにその後、バッテリ13の充電が終了すると、それまでの間に繰り返し求められた、充電中の各時点におけるバッテリ13の充電効率に、各時点の充電電流の値ICHGAを乗じ、さらにその値に、バッテリ13の充電効率の値を繰り返し求めた周期時間を乗じて、その周期時間の間にバッテリ13に起電力として蓄積された電気量の値が求められ、それを積算することで、計算上の充電開始時点から終了時点までの間にバッテリ13に起電力として蓄積された総電気量の値が求められる。
【0151】
したがって、充電開始直後の段階で、先に説明したバッテリ13の電極表面の不動態膜の破壊が行われた場合には、そのような、バッテリ13の電極が活性状態にない期間において、充電効率=100%と見倣して算出される充電電気量と、不動態膜が破壊された後に、開始後抵抗値R″+Rpol″と開始時抵抗値R0 +Rpol0 との差分である差分抵抗値(R″+Rpol″)−(R0 +Rpol0 )を用いて求めた充電効率の値に基づいて算出される充電電気量との合計により、1回の充電動作中にバッテリ13に起電力として蓄積された総電気量の値が求められる。
【0152】
一方、充電開始直後の段階で、先に説明したバッテリ13の電極表面の不動態膜の破壊が行われなかった場合や、元々バッテリ13の電極表面に不動態膜が形成されていなかった場合には、そのような、バッテリ13の電極が活性状態にある期間において、開始後抵抗値R″+Rpol″と開始時抵抗値R0 +Rpol0 との差分である差分抵抗値(R″+Rpol″)−(R0 +Rpol0 )を用いて求めた充電効率の値に基づいて算出される充電電気量が、1回の充電動作中にバッテリ13に起電力として蓄積された総電気量の値として求められる。
【0153】
このように、本実施形態の車載用バッテリ充電電気量検出装置1によれば、バッテリ13の充電が進んで満充電状態に近づき、それに伴い発生するガス化現象により、バッテリ13に流れ込む電気量の一部が起電力としてバッテリ13に蓄積されなくなっても、充電中に測定乃至算出不能な、バッテリ13に流れ込む総電気量のうち、起電力としてバッテリ13に実際に蓄積される電気量の値に相当するICHG (実効)や、起電力としてバッテリ13に実際には蓄積されない電気量の値に相当するガス化電流IGAS に代えて、充電中に測定可能なバッテリ13の端子電圧Vやその端子電圧Vに対応する充電電流ICHG から、起電力としてバッテリ13に実際に蓄積される電気量や、それを求める基となる充電効率を、正確に求めることができる。
【0154】
尚、バッテリ13の充電電流ICHG が増加して最大値に至ったか否かを確認し、最大値に向けた充電電流ICHG の増加中の期間について、不動態膜が電極への通電により完全に破壊されるまでの、電極が活性状態にない過渡期間において、充電効率=100%と見倣して、充電電流ICHG の値に充電電流ICHG の収集周期時間を乗じることで、バッテリ13に充電された単位時間当たりの電気量を算出し、この算出した単位時間当たりの電気量を、これまでに積算されたバッテリ13の内部起電力Eに積算するという動作を実現するための構成は、省略してもよく、その場合には、バッテリ13の充電電流ICHG が増加して最大値に至った時点以降について、バッテリ13の充電効率を検出しつつその検出結果を利用してバッテリ13の充電電気量を検出することになる。
【0155】
しかし、本実施形態の車載用バッテリ充電電気量検出装置1のように、最大値に向けた充電電流ICHG の増加中の期間について、充電電流ICHG の値に充電電流ICHG の収集周期時間を乗じることで、バッテリ13に充電された単位時間当たりの電気量を算出し、この算出した単位時間当たりの電気量を、これまでに積算されたバッテリ13の内部起電力Eに積算するという動作を実現するための構成を設ければ、電極の表面に絶縁性の不動態膜が形成されている状態から充電のための通電が開始される場合に、充電のためにバッテリに印加される電圧に見合った本来の値に比べて充電電流が不動態膜の存在により低くなり、ガス化の発生による充電効率の低下が発生しないと見倣すことのできる、不動態膜が電極への通電により完全に破壊されるまでの電極が活性状態にない過渡期間についても、バッテリに充電される電気量を、充電効率の低下がないと見倣すことができるという状況に応じて正確に検出することができるので、有利である。
【0156】
尚、本実施形態では、充電開始前におけるバッテリ13の開回路電圧OCVを求めるために用いるバッテリ13の純抵抗Rを測定するのに当たって、V−I特性の2つの近似曲線式M1及びM2で表される近似曲線上の実データの存在する範囲内に任意の点A及びBを選択しているが、これらの点を2つの近似曲線式M1及びM2上の、これらの式を求めるため測定したバッテリの放電電流の最大値に相当する点Pに選択し、両方の点を共通のデータを使用して特定することで、誤差の入ることを少なくすることができ、図16乃至図18を参照して、以下具体的に説明する。
【0157】
まず、図16に示すように、2つの近似曲線式M1及びM2上のバッテリの放電電流の最大値に相当する点Pを選択する。そして、式M1の近似曲線の縦軸に対する切片C1から近似曲線上の点Pまでの電圧降下ΔV1を求める。このΔV1を点Pでの電流Ipで除算した値は、純抵抗Rに純抵抗を除くその他の抵抗成分である分極抵抗成分のその時点での値Rpol1を加算した合成抵抗である。すなわち、
R+Rpol1=ΔV1/Ip
である。
【0158】
次に、同図に示すように、式M2の近似曲線の縦軸に対する切片C2から近似曲線上の点Pまでの電圧降下ΔV2を求める。このΔV2を点Pでの電流Ipで除算した値は、純抵抗Rに純抵抗を除くその他の抵抗成分である分極抵抗成分のその時点での値Rpol2を加算した合成抵抗である。すなわち、
R+Rpol2=ΔV2/Ip
である。
【0159】
上記式M1の近似曲線上の点Pと式M2の近似曲線上の点Pの合成抵抗の値の差ΔRは
ΔR=R+Rpol1−(R+Rpol2)=Rpol1−Rpol2
となり、異なる近似曲線上の点Pにおける分極抵抗成分の差となる。これは、1回の放電中の純抵抗Rは変化しないことから明らかである。
【0160】
なお、式M1で表される近似曲線上には、図17に示すように、式M2の近似曲線上に選択した任意の点Pにおける合成抵抗(R+Rpol2)に等しい値(R+Rpol1′)をもった点P1が存在する。また、式M2で表される近似曲線上にも、図17に示すように、式M1の近似曲線上に選択した任意の点Pにおける合成抵抗(R+Rpol1)に等しい値(R+pol2′)をもった点P2が存在する。すなわち、
R+Rpol1′=R+Rpol2となる点P1が式M1で表される近似曲線上に、R+Rpol1=R+Rpol2′となる点P2が式M2で表される近似曲線上にそれぞれ存在する。
【0161】
要するに、点P1における電流及び電圧をそれぞれIp1及びVp1とし、点P2における電流及び電圧をそれぞれIp2及びVp2とすると、点P1の座標(Ip1、Vp1)と点Pの座標(Ip、Vp)の分極抵抗成分の値が互いに等しく、また点Pの座標(Ip、Vp)と点P2(Ip2、Vp2)の分極抵抗成分の値も互いに等しいことがわかる。
【0162】
まず、式M2の近似曲線上の点Pを基準とし、この点Pの合成抵抗の値(R+Rpol2)と等しい値(R+Rpol1′)を持つ点P1の電流Ip1と電圧Vp1の算出の仕方を以下説明する。
【0163】
今、式M1で表される近似曲線の縦軸に対する切片C1からこの点P1までの電圧降下をΔVp1とすると、これは
ΔVp1=C1−(a1Ip12 +b1p1+C1)=(R+Rpol2)Ip1
となり、この式を整理すると、
−(a1Ip1 +b1)=R+Rpol2
となり、点P1の電流Ip1は
Ip1=−(b1+R+Rpol2)/a1
となる。なお、R+Rpol2(=R+pol1′)=ΔVp/Ip(=ΔVp1/Ip1)であるので、
となる。また、点P1の電圧Vp1は、上記式から明らかなように、
Vp1=a1Ip12 +b1Ip1+C1
であるので、点P1の座標(Ip1、Vp1)は既知の値から定められる。
【0164】
同様にして、式M1の近似曲線上の点Pを基準とし、P点を基準とし、この点Pの抵抗値(R+Rpol1)と等しい値(R+Rpol2′)を持つ点P2の電流Ip2と電圧Vp2も、
Vp2=a2Ip22 +b2Ip2+C2
により既知の値から算出できる。なお、ΔVp2は、式M2で表される近似曲線の縦軸に対する切片C2からこの点P2までの電圧降下である。
【0165】
上述のようにして、点P1の座標(Ip1、Vp1)が定まったら、図17に示すように、点P1の座標(Ip1、Vp1)と点Pの座標(Ip、Vp)とを結ぶ直線L1の傾斜を求めることによって合成抵抗の値R1が求められる。この合成抵抗の値R1は、純抵抗と分極抵抗成分Rpol2とからなる合成抵抗によって生じる電圧降下の差(Vp1−Vp)を各点において流れる電流の差(Ip1−Ip)によって除算することによって求められる。すなわち、
R1=(Vp1−Vp)/(Ip1−Ip)
となる。
【0166】
同様にして、点P2の座標(Ip2、Vp2)が定まったら、図18に示すように、点P2の座標(Ip2、Vp2)と点Pの座標(Ip、Vp)とを結ぶ直線L2の傾斜を求めることによって合成抵抗の値R2が求められる。この合成抵抗の値R2は、純抵抗と分極抵抗成分Rpol1とからなる合成抵抗によって生じる電圧降下の差(Vp−Vp2)を各点において流れる電流の差(Ip−Ip2)によって除算することによって求められる。すなわち、
R2=(Vp−Vp2)/(Ip−Ip2)
となる。
【0167】
しかしながら、上述のようにして求められる合成抵抗の値R1及びR2は、純抵抗と分極抵抗成分とからなる合成抵抗によって生じる電圧降下の差を各点において流れる電流の差によって除算して求めたもので、純抵抗とは一致しない。2点間の傾きを純抵抗と一致させるには、分極抵抗成分によって生じる電圧降下分を除いた電圧降下の差を電流差によって除算してやればよい。
【0168】
先ず、式M2の近似曲線上の点Pを基準にした場合について説明すると、今、合成抵抗の値R1を
R1=R1′+Rpol2=R1′+Rpol1′
とすると、抵抗R1′に点P1の電流Ip1と点Pの電流Ipとの差に相当する電流が流れることによって生じる電圧降下は、分極抵抗成分Rpol1′(又はRpol2)に点P1の電流Ip1と点P2の電流Ipの差に相当する電流が流れることによって生じる電圧降下分だけ、点P1の電圧を持ち上げて補正してやればよく、次式が成立する。
R1′(Ip1−Ip)=〔Vp1+Rpol1′(Ip1−Ip)〕−V2
【0169】
この式を整理すると、
R1′(Ip1−Ip)=(Vp1−Vp)+Rpol1′(Ip1−Ip)
となる。ここで、Rpol1′=ΔVp1/Ip1−R1′であるので、
R1′(Ip1−Ip)=(Vp1−Vp)+(ΔVp1/Ip1−R1′)
(Ip1−Ip)
2R1′(Ip1−Ip)=(Vp1−Vp)+ΔVp1/Ip1(Ip1−Ip)
となり、結果として、
R1′=〔(Vp1−Vp)+(ΔVp1/Ip1)(Ip1−Ip)〕/2(Ip1−Ip)
が求められる。なお、(ΔVp1/Ip1)は(ΔV2/Ip)と置き換えることができる。
【0170】
次に、式M1の近似曲線上の点Pを基準にした場合にも同様にして
R2=R2′+Rpol1=R2′+Rpol2′
とすると、この抵抗R2′に点Pの電流Ipと点P2の電流Ip2の差に相当する電流が流れることによって生じる電圧降下は、分極抵抗成分Rpol2′(又はRpol1)に点Pの電流Ipと点P2の電流Ip2との差に相当する電流が流れることによって生じる電圧降下分、点P2の電圧を引き下げて補正してやればよく、次式が成立する。
R2′(Ip−Ip2)=Vp−〔Vp2−Rpol2′(Ip−Ip2)〕
【0171】
この式を整理すると、
R2′(Ip−Ip2)=(Vp−Vp2)+Rpol2′(Ip−Ip2)
となる。ここで、Rpol2′=ΔVp2/Ip2−R2′であるので、
R2′(Ip−Ip2)=(Vp−Vp2)+(ΔVp2/Ip2−Rp2)
(Ip−Ip2)
2R2′(Ip−Ip2)=(Vp−Vp2)+ΔVp2/Ip2(Ip−Ip2)
となり、結果として、
R2′=〔(Vp−Vp2)+(ΔVp2/Ip2)(Ip−Ip2)〕/2(Ip−Ip2)
が求められる。なお、(ΔVp2/Ip2)は(ΔVp/Ip)と置き換えることができる。
【0172】
上述したように求められた2つの値R1′及びR2′は、2つの点A及びBを基準にし、異なる分極抵抗成分(Rpol1′=Rpol2)と(Rpol1=Rpol2′)を用い、しかも異なる切片C1からの電圧降下ΔVp1(ΔVp)と切片C2からの電圧降下ΔVp2(ΔVp)を用いて求めたものであるので、真の純抵抗Rとなり得ない。したがって、両者の加算平均
R=(R1′+R2′)/2
をとることによって、真の純抵抗Rが求められる。
【0173】
図16乃至図18を参照して説明したバッテリの純抵抗測定方法では、2つの近似曲線式M1及びM2上のバッテリの放電電流の最大値に相当する点に点Pをそれぞれ定め、共通のデータを使用して特定しているので、誤差の入ることを少なくすることができる。
【0174】
そして、第2の近似曲線式M2で表される曲線上の点Pに対応する放電電流Ipが流れたとき第2の電圧降下ΔV2を生じさせる、バッテリの純抵抗と第2の分極抵抗成分Rpol2からなる第2の合成抵抗R2と同一の抵抗値を有する第1の想定点P1を第1の近似曲線式M1上に、第1の近似曲線M1で表される曲線上の点Pに対応する放電電流Ipが流れたとき第1の電圧降下ΔV1を生じさせる、バッテリの純抵抗と第1の分極抵抗成分Rpol1からなる第1の合成抵抗R1と同一の抵抗値を有する第2の想定点P2を第2の近似曲線式M2上にそれぞれ想定する。
【0175】
2つの想定点P1及びP2が想定できたら、点Pと第1の想定点P1とを結ぶ直線L1の第1の傾斜R1を、放電電流Ipと第1の想定点P1での放電電流Ip1とによってそれぞれ生じる、第2の分極抵抗成分Rpol2による電圧降下の差分Rpol2(Ip1−Ip)に相当する量補正して、第2の分極抵抗成分Rpol2による電圧降下分を除いた第1の補正傾斜R1′を求めるとともに、前記点Pと前記第2の想定点P2とを結ぶ直線L2の第2の傾斜R2を、放電電流Ipと第2の想定点P2での放電電流Ip2とによってそれぞれ生じる、第1の分極抵抗成分Rpol1による電圧降下の差分Rpol1(Ip−Ip2)に相当する量補正して、第1の分極抵抗成分Rpol1による電圧降下分を除いた第2の補正傾斜R2′を求める。
【0176】
このようにして求めた第1の補正傾斜R1′と第2の補正傾斜R2′とを加算平均して平均傾斜を求め、この求めた平均傾斜をバッテリの純抵抗Rとして測定する。
【0177】
なお、このようにして純抵抗を測定する具体的な手順は、2つの近似曲線式M1及びM2上のバッテリの放電電流の最大値に相当する共通の点Pに2点を定めている点を除き、図10乃至図12について上述した純抵抗の測定手順と同じである。
【0178】
そして、上述した実施形態では、満充電時抵抗値保持手段としてNVM25を用いたが、マイコン23のROM23c内に満充電時抵抗値Rf+Rpolfを格納するエリアを確保してこれを満充電時抵抗値保持手段とする等、満充電時抵抗値保持手段の具体的な構成については、上述した実施形態の構成に限らず任意である。
【0179】
また、本実施形態では、バッテリ13の充電電気量を検出する車載用バッテリ充電電気量検出装置1について説明したが、本発明は、種々の目的で利用することのできる、充電中の任意の時点における、バッテリ13に流れ込む総電気量のうち、起電力としてバッテリ13に実際に蓄積される電気量の割合であるバッテリ13の充電効率を検出する、車載用バッテリ充電効率検出装置として利用、実施することも、当然可能である。
【0180】
そして、車載用バッテリ充電効率検出装置として利用、実施する場合には、検出した充電中の各時点における充電効率を検出結果として残すために、図15のフローチャートのステップS14において求めた充電中の任意の時点におけるバッテリの充電効率(%)を、マイコン23に対する給電が途絶えても記憶内容が保持される不揮発性メモリのような記憶媒体に格納してもよく、その場合、本実施形態ではROM23cに予め格納しておくものとした、ハイブリッド車両への搭載時点におけるバッテリ13の満充電時の内部抵抗Rf+Rpolfの値(満充電抵抗値)を、併せて不揮発性メモリのような記憶媒体に格納するものとすることができる。
【0181】
さらに、本実施形態では、ハイブリッド車両の負荷に電力を供給するため車両に搭載されたバッテリ13の充電効率や充電電気量を検出する場合のみに限らず、例えば、携帯電話やモバイルパソコン等に用いられるバッテリ等、種々の用途で用いられるバッテリの全般に、本発明は広く適用可能である。
【0182】
【発明の効果】
以上に説明したように請求項1に記載した本発明のバッテリの充電効率検出方法によれば、負荷に電力を供給するバッテリの充電開始から充電終了までの任意の時点について、該バッテリに流れこんだ総電気量のうち、起電力として前記バッテリに充電される電気量の割合である充電効率を検出するに当たり、前記バッテリの充電開始時点における内部抵抗値である開始時抵抗値と、該バッテリの充電開始後から充電終了までの任意の時点における内部抵抗値である開始後抵抗値とを、各時点において測定される前記バッテリの端子電圧と充電電流とを用いて各々求め、前記開始時抵抗値と前記開始後抵抗値との差分である差分抵抗値を求め、前記バッテリに固有の該バッテリの満充電状態における内部抵抗値である満充電時抵抗値に対する前記差分抵抗値の割合を求め、前記満充電時抵抗値に対する前記差分抵抗値の割合に基づいて、前記任意の時点における前記バッテリの充電効率を検出するようにした。
【0183】
また、請求項5に記載した本発明のバッテリの充電効率検出装置によれば、負荷に電力を供給するバッテリの充電開始から充電終了までの任意の時点について、該バッテリに流れこんだ総電気量のうち、起電力として前記バッテリに充電される電気量の割合である充電効率を検出するバッテリの充電効率検出装置であって、前記バッテリの充電電流と該充電電流に対応する前記バッテリの端子電圧とを測定する電流・電圧測定手段と、前記バッテリの充電開始時点において前記電流・電圧測定手段により測定された、該バッテリの充電電流と該充電電流に対応する前記バッテリの端子電圧とに基づいて、該バッテリの充電開始時点における内部抵抗値である開始時抵抗値を求める開始時抵抗値演算手段と、前記任意の時点において前記電流・電圧測定手段により測定された、前記バッテリの充電電流と該充電電流に対応する前記バッテリの端子電圧とに基づいて、該バッテリの前記任意の時点における内部抵抗値である開始後抵抗値を求める開始後抵抗値演算手段と、前記開始時抵抗値演算手段により求められた前記開始時抵抗値と前記開始後抵抗値演算手段により求められた前記開始後抵抗値との差分である差分抵抗値を求める差分抵抗値演算手段と、前記バッテリに固有の該バッテリの満充電状態における内部抵抗値である満充電時抵抗値を保持する満充電時抵抗値保持手段と、前記満充電時抵抗値保持手段により保持されている前記満充電時抵抗値に対する、前記差分抵抗値演算手段により求められた前記差分抵抗値の割合を求める抵抗値割合演算手段とを備えており、前記抵抗値割合演算手段により求められた、前記満充電時抵抗値に対する前記差分抵抗値の割合に基づいて、前記任意の時点における前記バッテリの充電効率を検出する構成とした。
【0184】
このため、請求項1に記載した本発明のバッテリの充電効率検出方法と、請求項5に記載した本発明のバッテリの充電効率検出装置とのいずれによっても、充電中に測定可能なバッテリの端子電圧とそれに対応する充電電流とを用いて、任意の時点におけるバッテリの充電効率を、バッテリの充電状態の変化に伴うガス化現象による電気量の充電、蓄積ロスの発生の影響を加味して、正確に検出することができる。
【0185】
さらに、請求項2に記載した本発明のバッテリの充電効率検出方法によれば、請求項1に記載した本発明のバッテリの充電効率検出方法において、前記任意の時点における前記バッテリの充電効率の理想値からの低下分を示す値として前記満充電時抵抗値に対する前記差分抵抗値の割合を求め、前記任意の時点における前記バッテリの充電効率を示す値として、前記満充電時抵抗値に対する前記差分抵抗値の割合を1から減じた値を求めることで、前記任意の時点における前記バッテリの充電効率を検出するようにした。
【0186】
また、請求項6に記載した本発明のバッテリの充電効率検出装置によれば、請求項5に記載した本発明のバッテリの充電効率検出装置において、前記抵抗値割合演算手段が、前記任意の時点における前記バッテリの充電効率の理想値からの低下分を示す値として、前記満充電時抵抗値満充電時抵抗値に対する前記差分抵抗値の割合を求めるように構成されており、前記任意の時点における前記バッテリの充電効率を示す値として、前記満充電時抵抗値に対する前記差分抵抗値の割合を1から減じた値を求めることで、前記任意の時点における前記バッテリの充電効率を検出する構成とした。
【0187】
このため、請求項2に記載した本発明のバッテリの充電効率検出方法によれば、請求項1に記載した本発明のバッテリの充電効率検出方法において、また、請求項6に記載した本発明のバッテリの充電効率検出装置によれば、請求項5に記載した本発明のバッテリの充電効率検出装置において、いずれも、充電中に測定可能なバッテリの端子電圧とそれに対応する充電電流とを用いて、任意の時点におけるバッテリの充電効率の理想値からの低下分を示す値を求め、これに基づいて、任意の時点におけるバッテリの充電効率を正確に検出することができる。
【0188】
さらに、請求項3に記載した本発明のバッテリの充電電気量検出方法によれば、請求項1又は2に記載したバッテリの充電効率検出方法によって、前記バッテリの充電開始時点から充電終了時点に亘って繰り返し連続して検出した前記バッテリの充電効率に基づいて、前記充電開始時点から充電終了時点に亘る充電により前記バッテリに蓄積された充電電気量を検出するようにした。
【0189】
また、請求項7に記載した本発明のバッテリの充電電気量検出装置によれば、請求項5又は6に記載したバッテリの充電効率検出装置を備えており、該バッテリの充電効率検出装置によって、前記バッテリの充電開始時点から充電終了時点に亘って繰り返し連続して検出した前記バッテリの充電効率に基づいて、前記充電開始時点から充電終了時点に亘る充電により前記バッテリに蓄積された充電電気量を検出する構成とした。
【0190】
このため、請求項3に記載した本発明のバッテリの充電電気量検出方法と、請求項6に記載した本発明のバッテリの充電電気量検出装置とのいずれによっても、バッテリの充電開始時点から充電終了時点に亘る単位時間当たりの、バッテリに流れこんだ総電気量のうち起電力として現実にバッテリに充電、蓄積された電気量を正確に求め、それらを積算することによって、バッテリの充電開始時点から充電終了時点に亘ってバッテリに実際に充電、蓄積された電気量を、正確に検出することができる。
【0191】
さらに、請求項4に記載した本発明のバッテリの充電電気量検出方法によれば、請求項3に記載した本発明のバッテリの充電電気量検出方法において、前記充電開始時点が、前記バッテリの電極に不動態膜が形成されていない電極の活性状態からの充電動作の開始時点であり、前記バッテリの充電電流の経時変化のパターンに基づいて、該バッテリの電極が前記活性状態にあるか否かを判別し、前記活性状態においては、充電により前記バッテリに蓄積された充電電気量を、請求項1又は2に記載したバッテリの充電効率検出方法によって前記バッテリの充電開始時点から充電終了時点に亘って繰り返し連続して検出した該バッテリの充電効率に基づいて検出し、前記活性状態に至る前の、前記バッテリの電極に不動態膜が形成されている状態における、該不動態膜の充電動作による破壊が進行している電極の過渡期間においては、前記バッテリの充電電流に、該充電電流による充電時間を乗じて求めた充電電気量を積算することで、前記過渡期間における充電により前記バッテリに蓄積された充電電気量を検出するようにした。
【0192】
また、請求項8に記載した本発明のバッテリの充電電気量検出装置によれば、請求項7に記載した本発明のバッテリの充電電気量検出装置において、前記充電開始時点が、前記バッテリの電極に不動態膜が形成されていない活性状態からの充電動作の開始時点であり、前記電流・電圧測定手段により測定された前記バッテリの充電電流の経時変化のパターンに基づいて、該バッテリの電極が前記活性状態にあるか否かを判別する活性状態判別手段をさらに備えており、前記バッテリの電極が前記活性状態にあると前記活性状態判別手段が判別している状態においては、充電により前記バッテリに蓄積された充電電気量を、請求項5又は6に記載したバッテリの充電効率検出装置によって前記バッテリの充電開始時点から充電終了時点に亘って繰り返し連続して検出した該バッテリの充電効率に基づいて検出するように構成されていると共に、さらに、前記電流・電圧測定手段により測定された前記バッテリの充電電流に該充電電流による充電時間を乗じて、単位時間当たりの充電電気量を周期的に求める過渡期間充電電気量割出手段を備えており、前記バッテリの電極が前記活性状態にないと前記活性状態判別手段が判別している状態においては、前記過渡期間充電電気量割出手段により周期的に求められた前記単位時間当たりの充電電気量を積算することで、前記不動態膜の充電動作による破壊が進行している電極の過渡期間における充電により前記バッテリに蓄積された充電電気量を検出する構成とした。
【0193】
このため、請求項4に記載した本発明のバッテリの充電電気量検出方法によれば、請求項3に記載した本発明のバッテリの充電電気量検出方法において、また、請求項8に記載した本発明のバッテリの充電電気量検出装置によれば、請求項7に記載した本発明のバッテリの充電電気量検出装置において、バッテリの充電の開始前の段階で、バッテリの電極の表面に絶縁性の不動態膜が形成されている場合に、充電のためにバッテリに印加される電圧に見合った本来の値に比べて充電電流が不動態膜の存在により低くなり、ガス化の発生による充電効率の低下が発生しないと見倣すことのできる、不動態膜が電極への通電により完全に破壊されるまでの電極が活性状態にない過渡期間についても、バッテリに充電される電気量を、充電効率の低下がないと見倣すことができるという状況に応じて正確に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のバッテリの充電効率検出装置及びバッテリ充電電気量検出装置の基本構成図である。
【図2】本発明のバッテリの充電効率検出方法を適用したバッテリ充電効率検出装置を内包する、本発明のバッテリの充電電気量検出方法を適用した本発明の一実施形態に係る車載用バッテリ充電電気量検出装置の概略構成を一部ブロックにて示す説明図である。
【図3】充電時間と充電電流との関係を示すグラフである。
【図4】充電開始時点におけるバッテリの等価回路である。
【図5】充電開始後におけるバッテリの等価回路である。
【図6】図2の車載用バッテリ充電電気量検出装置を用いて充電電気量を検出するバッテリにおいて発生する充放電電流の経時変化を示すグラフである。
【図7】1次近似式で表したバッテリの電圧−電流特性の一例を示すグラフである。
【図8】2次近似式で表したバッテリの電圧−電流特性の一例を示すグラフである。
【図9】電流に対する分極の変化の一例を示すグラフである。
【図10】1回の放電によって得られる2つの2次の近似曲線式で表される近似特性曲線の一例を示すグラフである。
【図11】2つの近似特性曲線上への2つの任意の点の定め方を説明するためのグラフである。
【図12】一方の近似特性曲線に定めた点に対する想定点の定め方と2点間の傾斜の補正の仕方とを説明するためのグラフである。
【図13】他方の近似特性曲線に定めた点に対する想定点の定め方と2点間の傾斜の補正の仕方とを説明するためのグラフである。
【図14】図2のマイクロコンピュータのROMに格納された制御プログラムに従いCPUが行う処理を示すフローチャートである。
【図15】図2のマイクロコンピュータのROMに格納された制御プログラムに従いCPUが行う処理を示すフローチャートである。
【図16】バッテリの純抵抗を測定する他の手順において、2つの近似特性曲線上への2つの点の定め方を説明するためのグラフである。
【図17】バッテリの純抵抗を測定する他の手順において、一方の近似特性曲線に定めた点に対する想定点の定め方と2点間の傾斜の補正の仕方とを説明するためのグラフである。
【図18】バッテリの純抵抗を測定する他の手順において、他方の近似特性曲線に定めた点に対する想定点の定め方と2点間の傾斜の補正の仕方とを説明するためのグラフである。
【符号の説明】
13 バッテリ
23 マイクロコンピュータ
23a CPU
23b RAM
23c ROM
23A 開始時抵抗値演算手段
23B 開始後抵抗値演算手段
23C 差分抵抗値演算手段
23D 抵抗値割合演算手段
23E 活性状態判別手段
23F 過渡期間充電電気量割出手段
23cA 満充電時抵抗値保持手段
A 電流・電圧測定手段
【発明の属する技術分野】
本発明は、負荷に電力を供給するバッテリの充電開始から充電終了までの任意の時点について、バッテリに流れこんだ総電気量のうち、起電力としてバッテリに充電される電気量の割合である充電効率を検出する方法及びその装置と、検出した充電効率を用いてその充電中にバッテリに充電された電気量を検出する方法及び装置とに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、車両に搭載されるバッテリを例に取ると、特にモータを唯一の推進駆動源とする電気自動車においては、一般のエンジンを推進駆動源とする車両におけるガソリンに相当するものであることから、SOC(State of charge )等、バッテリがどの程度充電されているのかを認識しておくことは、車両の正常な走行を確保する上で非常に重要である。
【0003】
また、近年、エンジンを推進動力源とする一般車や、エンジンの発生するパワーの不足分をモータによりアシストするハイブリッド車両においては、環境保護の観点から、交差点の信号待ち等による停車時にエンジンを停止させるアイドルストップ機能の搭載が進められている。
【0004】
この機能を搭載した車両においては、エンジンの再始動時に、セルモータやセルモータを兼ねたパワーアシスト用のモータに対してかなりの大電流放電を行うことから、逆に、エンジン再始動のための大電流放電に耐え得るだけの放電可能容量がバッテリに残っていないと、迂闊にアイドルストップさせるわけには行かなくなる。
【0005】
そのため、上述したSOCや、バッテリにあとどのくらい放電可能な容量が残っているかを示す放電可能容量等、車両に搭載されるバッテリの充電状態を正確に把握することは、先に述べた電気自動車では勿論のこと、一般車やハイブリッド車両においても、非常に重要となる。
【0006】
ところで、電気自動車においては、車庫に駐車している間等の長時間使用しない時にバッテリの充電を行い、また、ハイブリッド車両においては、エンジンを動力として走行している際に発電機として機能するモータジェネレータにより、或は、モータジェネレータを動力として走行している際の減速時にモータジェネレータに発生する逆起電力により、バッテリの充電を行い、さらに、一般車においては、オルタネータが発電する電力によりバッテリの充電を行う。
【0007】
このように、電気自動車か、それとも、一般車やハイブリッド車両かに拘わらず、車両に搭載されたバッテリの充電状態は、負荷による電力の消費だけでなく充電によっても変化するので、充電によってバッテリの充電状態がどのように変化したかを正確に把握することも、非常に重要である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、充電時のバッテリでは、充電反応に伴って酸素ガスや水素ガスが発生してH2 Oに還元されるので、バッテリに流れ込む電気量の一部が起電力としてバッテリに蓄積されないという現象が起こり、しかもこの現象は、充電が進んで満充電状態に近づくほど顕著になるので、単に充電電流を積算しただけでは、充電によるバッテリの充電状態の変化を正確に把握することができない。
【0009】
そして、上述した問題は、車両用のバッテリに限ったものではなく、負荷に電力を供給するバッテリ全般について当てはまる問題である。
【0010】
本発明は前記事情に鑑みなされたもので、本発明の目的は、負荷に電力を供給するバッテリの充電による充電状態の変化を正確に把握するために有用な、充電開始から充電終了までの任意の時点についての、バッテリに流れこんだ総電気量のうち、起電力として前記バッテリに充電される電気量の割合である充電効率や、充電によってバッテリに現実に充電された電気量を、正確に検出することができる方法及び装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成する請求項1及び請求項2に記載した本発明は、バッテリの充電効率検出方法に関するものであり、請求項3及び請求項4に記載した本発明は、バッテリの充電電気量検出方法に関するものであり、請求項5及び請求項6に記載した本発明は、バッテリの充電効率検出装置に関するものであり、請求項7及び請求項8に記載した本発明は、バッテリの充電電気量検出装置に関するものである。
【0012】
そして、請求項1に記載した本発明のバッテリの充電効率検出方法は、負荷に電力を供給するバッテリの充電開始から充電終了までの任意の時点について、該バッテリに流れこんだ総電気量のうち、起電力として前記バッテリに充電される電気量の割合である充電効率を検出するに当たり、前記バッテリの充電開始時点における内部抵抗値である開始時抵抗値と、該バッテリの充電開始後から充電終了までの任意の時点における内部抵抗値である開始後抵抗値とを、各時点において測定される前記バッテリの端子電圧と充電電流とを用いて各々求め、前記開始時抵抗値と前記開始後抵抗値との差分である差分抵抗値を求め、前記バッテリに固有の該バッテリの満充電状態における内部抵抗値である満充電時抵抗値に対する前記差分抵抗値の割合を求め、前記満充電時抵抗値に対する前記差分抵抗値の割合に基づいて、前記任意の時点における前記バッテリの充電効率を検出するようにしたことを特徴とする。
【0013】
また、請求項2に記載した本発明のバッテリの充電効率検出方法は、請求項1に記載した本発明のバッテリの充電効率検出方法において、前記任意の時点における前記バッテリの充電効率の理想値からの低下分を示す値として前記満充電時抵抗値に対する前記差分抵抗値の割合を求め、前記任意の時点における前記バッテリの充電効率を示す値として、前記満充電時抵抗値に対する前記差分抵抗値の割合を1から減じた値を求めることで、前記任意の時点における前記バッテリの充電効率を検出するようにした。
【0014】
さらに、請求項3に記載した本発明のバッテリの充電電気量検出方法は、請求項1又は2に記載したバッテリの充電効率検出方法によって、前記バッテリの充電開始時点から充電終了時点に亘って繰り返し連続して検出した前記バッテリの充電効率に基づいて、前記充電開始時点から充電終了時点に亘る充電により前記バッテリに蓄積された充電電気量を検出するようにしたことを特徴とする。
【0015】
また、請求項4に記載した本発明のバッテリの充電電気量検出方法は、請求項3に記載したバッテリの充電電気量検出方法において、前記充電開始時点が、前記バッテリの電極に不動態膜が形成されていない電極の活性状態からの充電動作の開始時点であり、前記バッテリの充電電流の経時変化のパターンに基づいて、該バッテリの電極が前記活性状態にあるか否かを判別し、前記活性状態においては、充電により前記バッテリに蓄積された充電電気量を、請求項1又は2に記載したバッテリの充電効率検出方法によって前記バッテリの充電開始時点から充電終了時点に亘って繰り返し連続して検出した該バッテリの充電効率に基づいて検出し、前記活性状態に至る前の、前記バッテリの電極に不動態膜が形成されている状態における、該不動態膜の充電動作による破壊が進行している電極の過渡期間においては、前記バッテリの充電電流に、該充電電流による充電時間を乗じて求めた充電電気量を積算することで、前記過渡期間における充電により前記バッテリに蓄積された充電電気量を検出するようにした。
【0016】
さらに、請求項5に記載した本発明のバッテリの充電効率検出装置は、図1の基本構成図に示すように、負荷に電力を供給するバッテリ13の充電開始から充電終了までの任意の時点について、該バッテリ13に流れこんだ総電気量のうち、起電力として前記バッテリ13に充電される電気量の割合である充電効率を検出するバッテリの充電効率検出装置であって、前記バッテリ13の充電電流と該充電電流に対応する前記バッテリ13の端子電圧とを測定する電流・電圧測定手段Aと、前記バッテリ13の充電開始時点において前記電流・電圧測定手段Aにより測定された、該バッテリ13の充電電流と該充電電流に対応する前記バッテリ13の端子電圧とに基づいて、該バッテリ13の充電開始時点における内部抵抗値である開始時抵抗値を求める開始時抵抗値演算手段23Aと、前記任意の時点において前記電流・電圧測定手段Aにより測定された、前記バッテリ13の充電電流と該充電電流に対応する前記バッテリ13の端子電圧とに基づいて、該バッテリ13の前記任意の時点における内部抵抗値である開始後抵抗値を求める開始後抵抗値演算手段23Bと、前記開始時抵抗値演算手段23Aにより求められた前記開始時抵抗値と前記開始後抵抗値演算手段23Bにより求められた前記開始後抵抗値との差分である差分抵抗値を求める差分抵抗値演算手段23Cと、前記バッテリ13に固有の該バッテリ13の満充電状態における内部抵抗値である満充電時抵抗値を保持する満充電時抵抗値保持手段23cAと、前記満充電時抵抗値保持手段23cAにより保持されている前記満充電時抵抗値に対する、前記差分抵抗値演算手段23Cにより求められた前記差分抵抗値の割合を求める抵抗値割合演算手段23Dとを備えており、前記抵抗値割合演算手段23Dにより求められた、前記満充電時抵抗値に対する前記差分抵抗値の割合に基づいて、前記任意の時点における前記バッテリ13の充電効率を検出することを特徴とする。
【0017】
また、請求項6に記載した本発明のバッテリの充電効率検出装置は、請求項5に記載した本発明のバッテリの充電効率検出装置において、前記抵抗値割合演算手段23Dが、前記任意の時点における前記バッテリ13の充電効率の理想値からの低下分を示す値として、前記満充電時抵抗値満充電時抵抗値に対する前記差分抵抗値の割合を求めるように構成されており、前記任意の時点における前記バッテリ13の充電効率を示す値として、前記満充電時抵抗値に対する前記差分抵抗値の割合を1から減じた値を求めることで、前記任意の時点における前記バッテリ13の充電効率を検出するものとした。
【0018】
さらに、請求項7に記載した本発明のバッテリの充電電気量検出装置は、請求項5又は6に記載したバッテリの充電効率検出装置を備えており、該バッテリの充電効率検出装置によって、前記バッテリ13の充電開始時点から充電終了時点に亘って繰り返し連続して検出した前記バッテリ13の充電効率に基づいて、前記充電開始時点から充電終了時点に亘る充電により前記バッテリ13に蓄積された充電電気量を検出することを特徴とする。
【0019】
また、請求項8に記載した本発明のバッテリの充電電気量検出装置は、請求項7に記載した本発明のバッテリの充電電気量検出装置において、前記充電開始時点が、前記バッテリ13の電極に不動態膜が形成されていない電極の活性状態からの充電動作の開始時点であり、前記電流・電圧測定手段Aにより測定された前記バッテリ13の充電電流の経時変化のパターンに基づいて、該バッテリ13の電極が前記活性状態にあるか否かを判別する活性状態判別手段23Eをさらに備えており、前記バッテリ13の電極が前記活性状態にあると前記活性状態判別手段23Eが判別している状態においては、充電により前記バッテリ13に蓄積された充電電気量を、請求項5又は6に記載したバッテリの充電効率検出装置によって前記バッテリ13の充電開始時点から充電終了時点に亘って繰り返し連続して検出した該バッテリ13の充電効率に基づいて検出するように構成されていると共に、前記電流・電圧測定手段Aにより測定された前記バッテリ13の充電電流に該充電電流による充電時間を乗じて、単位時間当たりの充電電気量を周期的に求める過渡期間充電電気量割出手段23Fを備えており、さらに、前記バッテリ13の電極が前記活性状態にないと前記活性状態判別手段23Eが判別している状態においては、前記過渡期間充電電気量割出手段23Fにより周期的に求められた前記単位時間当たりの充電電気量を積算することで、前記不動態膜の充電動作による破壊が進行している電極の過渡期間における充電により前記バッテリ13に蓄積された充電電気量を検出するものとした。
【0020】
そして、請求項1に記載した本発明のバッテリの充電効率検出方法によれば、開始時抵抗値と開始後抵抗値とがいずれも充電時のバッテリの端子電圧とそれに対応する充電電流とにより求められるので、それら両抵抗値の差分である差分抵抗値の満充電時抵抗値に対する割合を求めることで、充電中に測定可能なバッテリの端子電圧とそれに対応する充電電流とを用いて、任意の時点におけるバッテリの充電効率が、バッテリの充電状態の変化に伴うガス化現象の発生を加味して正確に検出されることになる。
【0021】
また、請求項2に記載した本発明のバッテリの充電効率検出方法によれば、請求項1に記載した本発明のバッテリの充電効率検出方法において、満充電時抵抗値に対する、開始時抵抗値と開始後抵抗値との差分抵抗値の割合が、バッテリの充電効率の理想値からの低下分を示す値として求められ、この値を1から減じた値を求めることで、任意の時点におけるバッテリの充電効率が検出されることになる。
【0022】
さらに、請求項3に記載した本発明のバッテリの充電電気量検出方法によれば、請求項1又は2に記載したバッテリの充電効率検出方法によって、バッテリの充電開始時点から充電終了時点に亘って繰り返し連続して検出された充電効率により、バッテリの充電開始時点から充電終了時点に亘る単位時間当たりの、バッテリに流れこんだ総電気量のうち起電力として現実にバッテリに充電、蓄積された電気量が求められ、それらを積算することによって、バッテリの充電開始時点から充電終了時点に亘ってバッテリに実際に充電、蓄積された電気量が、正確に検出されることになる。
【0023】
また、請求項4に記載した本発明のバッテリの充電電気量検出方法によれば、請求項3に記載した本発明のバッテリの充電電気量検出方法において、バッテリの充電の開始前の段階で、バッテリの電極の表面に絶縁性の不動態膜が形成されていると、充電のための電極への通電に伴う不動態膜の破壊によって充電電流の値が、充電のためにバッテリに印加される電圧に見合った本来の値に向けて増加するが、このような電極が活性状態にない期間には、充電電流が低いことからガス化の発生による充電効率の低下はないと見倣すことができる。
【0024】
そこで、電極が活性状態にない過渡期間においては、バッテリに充電される電気量が、バッテリの充電電流に該充電電流による充電時間を乗じて、単位時間当たりの充電電気量として周期的に求められる一方、バッテリの電極の表面に不動態膜が形成されていない電極の活性状態では、請求項1又は2に記載したバッテリの充電効率検出方法によってバッテリの充電開始時点から充電終了時点に亘って繰り返し連続して検出したバッテリの充電効率に基づいて、バッテリに充電される電気量が検出されることになる。
【0025】
さらに、請求項5に記載した本発明のバッテリの充電効率検出装置によれば、図1に示すように、開始時抵抗値演算手段23Aにより求められた開始時抵抗値と、開始後抵抗値演算手段23Bにより求められた開始後抵抗値とが、いずれも、電流・電圧測定手段Aにより測定される充電時のバッテリ13の端子電圧とそれに対応する充電電流とにより求められるので、差分抵抗値演算手段23Cにより求められるそれら両抵抗値の差分である差分抵抗値の、満充電時抵抗値保持手段23cAにより保持されている満充電時抵抗値に対する割合を抵抗値割合演算手段23Dにより求めることで、電流・電圧測定手段Aにより充電中に測定可能なバッテリ13の端子電圧とそれに対応する充電電流とを用いて、任意の時点におけるバッテリ13の充電効率が、バッテリ13の充電状態の変化に伴うガス化現象の発生を加味して正確に検出されることになる。
【0026】
また、請求項6に記載した本発明のバッテリの充電効率検出装置によれば、請求項5に記載した本発明のバッテリの充電効率検出装置において、満充電時抵抗値保持手段23cAにより保持されている満充電時抵抗値に対する、差分抵抗値演算手段23Cにより求められる開始時抵抗値と開始後抵抗値との差分抵抗値の割合が、バッテリ13の充電効率の理想値からの低下分を示す値として抵抗値割合演算手段23Dにより求められ、この値を1から減じた値を求めることで、任意の時点におけるバッテリ13の充電効率が検出されることになる。
【0027】
さらに、請求項7に記載した本発明のバッテリの充電電気量検出装置によれば、請求項5又は6に記載したバッテリの充電効率検出装置によって、バッテリ13の充電開始時点から充電終了時点に亘って繰り返し連続して検出された充電効率により、バッテリ13の充電開始時点から充電終了時点に亘る単位時間当たりの、バッテリ13に流れこんだ総電気量のうち起電力として現実にバッテリ13に充電、蓄積された電気量が求められ、それらを積算することによって、バッテリ13の充電開始時点から充電終了時点に亘ってバッテリ13に実際に充電、蓄積された電気量が、正確に検出されることになる。
【0028】
また、請求項8に記載した本発明のバッテリの充電電気量検出装置によれば、請求項7に記載した本発明のバッテリの充電電気量検出装置において、バッテリ13の充電の開始前の段階で、バッテリ13の電極の表面に絶縁性の不動態膜が形成されていると、充電のための電極への通電に伴う不動態膜の破壊によって充電電流の値が、充電のためにバッテリ13に印加される電圧に見合った本来の値に向けて増加し、これを、電流・電圧測定手段Aにより測定された充電電流の経時変化のパターンに基づいてバッテリ13の電極が活性状態にあるか否かを判別する活性状態判別手段23Eの判別結果により認識されるが、このような電極が活性状態にない過渡期間には、充電電流が低いことからガス化の発生による充電効率の低下はないと見倣すことができる。
【0029】
そこで、活性状態判別手段23Eの判別結果によりバッテリ13の電極が活性状態にないと認識される過渡期間においては、バッテリ13に充電される電気量が、過渡期間充電電気量割出手段23Fによって、電流・電圧測定手段Aにより測定されたバッテリ13の充電電流に該充電電流による充電時間を乗じて、単位時間当たりの充電電気量として周期的に求められる一方、活性状態判別手段23Eの判別結果によりバッテリ13の電極が活性状態にあると認識される期間においては、請求項5又は6に記載したバッテリの充電効率検出装置によってバッテリ13の充電開始時点から充電終了時点に亘って繰り返し連続して検出したバッテリ13の充電効率に基づいて、バッテリ13に充電される電気量が検出されることになる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明によるバッテリの充電効率検出方法及びバッテリの充電電気量検出方法を、本発明によるバッテリの充電効率検出装置及びバッテリの充電電気量検出装置と共に、図面を参照して説明する。
【0031】
図2は本発明のバッテリの充電効率検出方法を適用したバッテリ充電効率検出装置を内包する、本発明のバッテリの充電電気量検出方法を適用した本発明の一実施形態に係る車載用バッテリ充電電気量検出装置の概略構成を一部ブロックにて示す説明図であり、図2中引用符号1で示す本実施形態の車載用バッテリ充電電気量検出装置は、エンジン3に加えてモータジェネレータ5を有するハイブリッド車両に搭載されている。
【0032】
そして、このハイブリッド車両は、通常時はエンジン3の出力のみをドライブシャフト7からディファレンシャルケース9を介して車輪11に伝達して走行させ、高負荷時には、バッテリ13からの電力によりモータジェネレータ5をモータとして機能させて、エンジン3の出力に加えてモータジェネレータ5の出力をドライブシャフト7から車輪11に伝達し、アシスト走行を行わせるように構成されている。
【0033】
また、このハイブリッド車両は、減速時や制動時にモータジェネレータ5をジェネレータ(発電機)として機能させ、運動エネルギを電気エネルギに変換して、各種の負荷に対して電力を供給するためにハイブリッド車両に搭載されたバッテリ13を充電させるように構成されている。
【0034】
尚、モータジェネレータ5はさらに、不図示のスタータスイッチのオンに伴うエンジン3の始動時に、エンジン3のフライホイールを強制的に回転させるセルモータとして用いられる。
【0035】
ちなみに、本実施形態のハイブリッド車両においては、不図示のキーシリンダに差し込んだキー(図示せず。)を1段階目までひねると、それまでオフ状態であった不図示のアクセサリスイッチがオンとなり、さらにキーを2段階目までひねると、アクセサリスイッチはオン状態のまま、それまでオフ状態であった不図示のイグニッションスイッチがオンとなる。
【0036】
さらに、キーシリンダに差し込んだキーを3段階目までひねると、アクセサリスイッチ及びイグニッションスイッチはオン状態のまま、それまでオフ状態であった前記スタータスイッチがオンとなる。
【0037】
尚、3段階目までひねったキーから手を離すと、キーが自動的に2段階目まで戻ってスタータスイッチがオフとなるが、2段階目では逆向きにひねらない限りキーがその位置で止まってアクセサリスイッチ及びイグニッションスイッチはオン状態のままとなり、同様に、1段階目でも逆向きにひねらない限りキーがその位置で止まってアクセサリスイッチはオン状態のままとなる。
【0038】
逆に、アクセサリスイッチがオンされ、その上でスタータスイッチがオンされて、エンジン3を始動させるためにモータジェネレータ5をセルモータとして作動させる際には、例え他の電装品が何も作動していなくても、およそ250A(アンペア)に達する放電電流がバッテリ9から瞬時的に流れる。
【0039】
話を構成の説明に戻して、本実施形態の車載用バッテリ充電電気量検出装置1は、アシスト走行用のモータやセルモータとして機能するモータジェネレータ5等に対するバッテリ13の放電電流Iや、ジェネレータとして機能するモータジェネレータ5からのバッテリ13に対する充電電流を検出する電流センサ15と、バッテリ13に並列接続した無限大抵抗を有し、バッテリ13の端子電圧Vを検出する電圧センサ17とを備えている。
【0040】
尚、上述した電流センサ15及び電圧センサ17は、イグニッションスイッチのオン状態によって閉回路状態となる回路上に配置されている。
【0041】
また、本実施形態の車載用バッテリ充電電気量検出装置1は、上述した電流センサ15や電圧センサ17の出力がインタフェース回路(以下、「I/F」と略記する。)21におけるA/D変換後に取り込まれるマイクロコンピュータ(以下、「マイコン」と略記する。)23、及び、不揮発性メモリ(NVM)25をさらに備えている。
【0042】
そして、前記マイコン23は、CPU23a、RAM23b、及び、ROM23cを有しており、このうち、CPU23aには、RAM23b及びROM23cの他、前記I/F21が接続されており、また、上述した不図示のイグニッションスイッチのオンオフ状態を示す信号が入力される。
【0043】
前記RAM23bは、各種データ記憶用のデータエリア及び各種処理作業に用いるワークエリアを有しており、前記ROM23cには、CPU23aに各種処理動作を行わせるための制御プログラムが格納されていると共に、ハイブリッド車両への搭載時点におけるバッテリ13の満充電時の純抵抗Rと分極抵抗成分(活性化、濃度)との合計、即ち、内部抵抗Rf+Rpolfの値が、バッテリ13の固有の満充電抵抗値として予め格納されている。
【0044】
したがって、本実施形態の車載用バッテリ充電電気量検出装置1では、前記ROM23cにより請求項中の満充電時抵抗値保持手段23cAが構成されている。
【0045】
そして、前記マイコン23は、不図示のイグニッションスイッチのオフ状態では、バッテリ13から供給される暗電流により必要最小限の処理のみを行うスリープモードとなり、イグニッションスイッチのオンによりウェイクアップして通常のアクティブモードとなる。
【0046】
次に、バッテリ13の充電効率の基本的な考え方と、充電中におけるバッテリ13の充電効率の求め方とについて、若干説明しておく。
【0047】
まず、バッテリ13が設定充電電圧値VT により定電圧充電される際に、それ以前の充放電が行われていない間にバッテリ13の電極の表面に絶縁性の不動態膜が形成されていると、充電開始直後の段階で、設定充電電圧値VT の電圧がバッテリ13に印加されることで、不動態膜が徐々に破壊されてやがて解消される。
【0048】
この場合には、バッテリ13の充電が開始されても、設定充電電圧値VT に応じた値の充電電流ICHG が即座に流れ始めるのではなく、図3のグラフに示すように、不動態膜の破壊の進行により電極の導電性が徐々に回復するのに伴って、バッテリ13の充電電流ICHG が、設定充電電圧値VT に応じた値へと徐々に増加することになる。
【0049】
そして、バッテリ13の充電電流ICHG が設定充電電圧値VT に応じた値へと徐々に増加している段階では、充電電流ICHG の低い状態が続くことから、ガス化現象の発生による充電効率の低下はないと見倣すことができ、よって、充電電流ICHG の値が設定充電電圧値VT に応じた値に達するまでの期間は、充電時間の経過とは無関係に、充電効率=100%で充電されているものと見倣される。
【0050】
一方、充電電流ICHG の値が設定充電電圧値VT に応じた値に達すると、その時点では、不動態膜が完全に破壊されて不動態膜を因子とする抵抗成分がなくなっていることから、設定充電電圧値VT による定電圧充電の状況下にあるバッテリ13の充電電流ICHG の値を司るのは、バッテリ13の内部起電力E0 の上昇分ΔE0 に相当する抵抗の変化分RE0と、バッテリ13の内部抵抗R+Rpolとを合わせた抵抗成分のみとなる。
【0051】
そして、不動態膜の破壊の進行によりバッテリ13の充電電流ICHG の値が設定充電電圧値VT に応じた最大値に達するまでの期間に、バッテリ13の内部起電力E0 は上昇するが、その量ΔE0 は内部起電力E0 に対して非常に小さい値であるので、充電電流ICHG の値が最大値に達した時点におけるバッテリ13の抵抗成分は、実質的に、バッテリ13の内部抵抗R+Rpolのみであると見倣される。
【0052】
尚、バッテリ13が設定充電電圧値VT により定電圧充電される際に、バッテリ13の電極の表面に絶縁性の不動態膜が形成されていない場合には、充電開始の直後の段階から、設定充電電圧値VT に応じた値の充電電流ICHG が即座に流れ始めるので、バッテリ13の抵抗成分は、その時点から、バッテリ13の内部抵抗R+Rpolのみであると見倣される。
【0053】
このため、電極の表面に絶縁性の不動態膜が形成されていないバッテリ13に設定充電電圧値VT による定電圧を印加し始めた時点か、或は、電極の表面に形成されていた不動態膜が設定充電電圧値VT による定電圧の印加により完全に破壊されて、バッテリ13の充電電流ICHG の値が設定充電電圧値VT に応じた最大値に達した時点を、バッテリ13の充電開始時点であるものとすると、その時点のバッテリ13には、図4に示すように、バッテリ13の内部抵抗を表す純抵抗R0 と充電側分極による分極抵抗成分Rpol0 との直列回路を、起電力E0 と直列に接続した等価回路に置き換えることができる。
【0054】
そして、設定充電電圧値VT による充電中は、バッテリ13に、起電力の上昇E0 →E0 +ΔE0 や、起電力の上昇分ΔE0 に見合った純抵抗や分極抵抗成分の低下R0 →R´(R´<R0 )、Rpol0 →Rpol´(Rpol´<Rpol0 )という状態変化が発生する。
【0055】
ここで、バッテリ13の内部起電力E0 の上昇分ΔE0 を、起電力上昇分の抵抗の変化分RE0として捉えると、この起電力上昇分に相当する抵抗の変化分RE0が、起電力E0 、純抵抗R´、及び、分極抵抗成分Rpol´の直列回路にさらに直列接続されることになるので、等価回路の内容が図5に示すように変わる。
【0056】
ところで、バッテリ13の充電の際に、バッテリ13に流れこんだ総電気量と、起電力としてバッテリ13に充電された電気量とが等しい、即ち、充電効率が理想値である100%ならば、図4の等価回路や図5の等価回路から各々起電力E0 を除いた残りの抵抗成分における電圧上昇は、互いに等しく、単に、起電力上昇分の抵抗の変化RE0の分だけ、純抵抗や分極抵抗成分における電圧降下量、つまり、それらの抵抗値が下がるに過ぎないはずである。
【0057】
したがって、充電前と充電中とでは、バッテリ13の内部抵抗に関して次式の関係、
RE0+R´+Rpol´=R0 +Rpol0
∵(RE0+R´+Rpol´)×ICHG =(R0 +Rpol0 )×ICHG0
が成立するはずである。
【0058】
そして、充電開始時点におけるバッテリ13の内部抵抗の値R0 +Rpol0 は当然一定であるから、充電効率が理想値の100%であるという前提では、充電中のバッテリ13の内部抵抗の値RE0+R´+Rpol´も一定であることになる。
【0059】
ところが、バッテリ13の充電効率は、実際には100%となることはない。それは、充電反応に伴ってバッテリ13の電極付近等に酸素ガスや水素ガスが発生しH2 Oに還元されて、バッテリ13に流れ込む電気量の一部が起電力としてバッテリ13に蓄積されないという現象が起こるためである。
【0060】
このガスの発生をバッテリ13の内部抵抗の変化に置き換えて考えてみると、充電中のバッテリ13の内部抵抗の値は、充電開始時点におけるバッテリ13の内部抵抗の値R0 +Rpol0 に等しい値RE0+R´+Rpol´とはならず、この値に、ガス化される電気量の量に相当するガス化抵抗成分RGAS の値をさらに加えた値RE0+R´+Rpol´+RGAS に増加することになる。
【0061】
しかも、充電中のガスの発生量は、バッテリ13の充電状態が満充電状態に近づくほど増加することから、ガス化抵抗成分RGAS もバッテリの充電状態に応じて変化することになり、定電圧充電を行った場合の充電時間に対するバッテリ13の内部抵抗の変化を示す図6のグラフに示すように、充電時のバッテリ13の内部抵抗は、充電時間が経過して充電状態が満充電状態に近づくにつれて、充電開始時点の内部抵抗の値R0 +Rpol0 に等しいRE0+R´+Rpol´なる値から、ガス化抵抗成分RGAS の増加量の分だけ増加することになる。
【0062】
ところで、バッテリ13の充電が設定充電電圧値VT による定電圧充電であり、かつ、充電中のバッテリ13の内部抵抗の値、つまり、開始後抵抗値R″+Rpol″が、充電開始時点におけるバッテリ13の内部抵抗の値、つまり、開始時抵抗値R0 +Rpol0 よりも増加する。
【0063】
したがって、実際にバッテリ13に流れ込む総電気量に相当する充電電流の値ICHG (以後、便宜的にICHG (実測)と呼ぶことがある。)に対して、起電力としてバッテリ13に実際に蓄積される電気量の値に相当する、いわば充電についての実効電流とでも言うべき電流の値(以後、便宜的にICHG (実効)と呼ぶことがある。)は、小さい値となり、その差分が、起電力としてバッテリ13に蓄積されない電気量の値に相当するガス化電流IGAS とでも称するべき電流値となる。これを式で表すと、
ICHG (実測)=ICHG (実効)+IGAS
【0064】
そうすると、バッテリ13の充電効率は、次式
充電効率=〔ICHG (実効)/ICHG (実測)〕×100%
によって求めることができる。
【0065】
ところで、ICHG (実測)は、実際にバッテリ13に流れ込む電流の値であるから、I/F21を介して電流センサ15の出力のA/D変換値を収集することで実際に測定できるが、ICHG (実効)は、ICHG (実測)のように実際に測定することができず、当然、ICHG (実測)からICHG (実効)を差し引いたガス化電流IGAS も測定乃至算出できないので、上記した充電効率の式、
充電効率=〔ICHG (実効)/ICHG (実測)〕×100%
を、測定乃至算出可能な別のファクタに置き換える必要がある。
【0066】
ここで、バッテリ13に流れ込む総電気量のうち、起電力としてバッテリ13に実際に蓄積される電気量の値に相当するICHG (実効)は、ガス化抵抗成分RGAS が大きくなればなる程小さくなるので、ガス化抵抗成分RGAS が最大となるバッテリ13の満充電状態には、現実には、ICHG (実効)に相当するバッテリ13に流れ込む総電気量の殆どがガス化に消費されてしまい、起電力としてはバッテリ13に蓄積されないことになる。
【0067】
よって、見方を変えると、バッテリ13の満充電状態には、ガス化抵抗成分RGAS の値に対応する電気量がバッテリ13に流れ込むものの、ガス化のために消費されてしまい、起電力としてはバッテリ13に蓄積されないことになり、これは、充電効率=0の状態にあると見倣すことができる。
【0068】
また、充電中のバッテリ13の内部抵抗の値RE0+R´+Rpol´+RGAS のうちガス化抵抗成分RGAS の値の部分は、その時点における、バッテリ13に流れ込む電気量のうち起電力としてバッテリ13に蓄積されない電気量の値に対応する値と考えることができるので、充電中の任意の時点におけるガス化抵抗成分RGAS の値RGAS ″を、充電効率=0の状態にあるバッテリ13の満充電状態におけるガス化抵抗成分RGAS の値RGAS fで除せば、バッテリ13の充電効率の低下率を表す値を求めることができる。
【0069】
そこで、充電中の任意の時点におけるガス化抵抗成分の値RGAS ″を求める必要があるが、そのためには、充電中のバッテリ13の内部抵抗の値RE0+R´+Rpol´+RGAS から、ガス化抵抗成分RGAS の値を除いた、充電効率が理想値の100%である場合の充電中のバッテリ13の内部抵抗の値RE0+R´+Rpol´を差し引く計算を行う必要がある。
【0070】
ここで、充電効率が理想値の100%である場合の充電中のバッテリ13の内部抵抗の値RE0+R´+Rpol´の値は、充電開始時点におけるバッテリ13の内部抵抗の値R0 +Rpol0 に等しいので、これに置き換えることができる。
【0071】
また、充電中のバッテリ13の内部抵抗の値RE0+R´+Rpol´+RGAS は、結局は、バッテリ13の充電開始後における内部抵抗値である開始後抵抗値R″+Rpol″のことであるから、これに置き換えることができる。
【0072】
すると、充電中の任意の時点におけるガス化抵抗成分の値RGAS ″は、開始後抵抗値R″+Rpol″から開始時抵抗値R0 +Rpol0 を差し引いた差分抵抗値を求める下式、
RGAS ″=(R″+Rpol″)−(R0 +Rpol0 )
によって求めることができることになる。
【0073】
さらに、充電効率=0の状態にあるときのガス化抵抗成分の値RGAS fについてであるが、充電効率=0の状態にあるときとは、ガス化抵抗成分RGAS の値が最大値となるバッテリ13の満充電状態のことであり、このときには、ガス化抵抗成分RGAS の値に対して、これを除いた、充電効率が理想値の100%である場合の充電中のバッテリ13の内部抵抗の値RE0+R´+Rpol´が、無視できるほど圧倒的に小さいという、
RGAS ≫RE0+R´+Rpol´
の関係が成立する。
【0074】
ところで、バッテリ13の固有の満充電状態における内部抵抗の値である満充電抵抗値Rf+Rpolfの値は、充電中のバッテリ13の内部抵抗の値RE0+R´+Rpol´+RGAS の、特に、満充電状態における値を示すのであるから、
Rf+Rpolf=RE0+R´+Rpol´+RGAS
の関係が成立する。
【0075】
そうすると、充電効率=0となるバッテリ13の満充電状態においては、
RGAS ≫RE0+R´+Rpol´
の関係が成立し、かつ、
Rf+Rpolf=RE0+R´+Rpol´+RGAS
の関係が成立するのであるから、
Rf+Rpolf≒RGAS
なる関係が成立する。
【0076】
よって、バッテリ13の満充電状態におけるガス化抵抗成分の値RGAS fは、バッテリ13の固有の満充電抵抗値Rf+Rpolfに置き換えることができる。
【0077】
以上から、充電中の任意の時点におけるガス化抵抗成分の値RGAS ″を、充電効率=0の状態にあるバッテリ13の満充電状態におけるガス化抵抗成分の値RGAS fで除した値は、ほぼ、開始時抵抗値R0 +Rpol0 と、開始後抵抗値R″+Rpol″と、バッテリ13の固有の満充電抵抗値Rf+Rpolfとを用いて求めることができ、その値は、上記した差分抵抗値(R″+Rpol″)−(R0 +Rpol0 )の満充電抵抗値Rf+Rpolfに対する割合である、
〔(R″+Rpol″)−(R0 +Rpol0 )〕/(Rf+Rpolf)
となる。
【0078】
したがって、充電中の任意の時点におけるバッテリ13の充電効率の低下成分を表す値を、
〔(R″+Rpol″)−(R0 +Rpol0 )〕/(Rf+Rpolf)
なる式によって求めることができ、これを1から差し引いた、
{1−[〔(R″+Rpol″)−(R0 +Rpol0 )〕/(Rf+Rpolf)]}×100%
なる式によって、充電中の任意の時点におけるバッテリ13の充電効率(%)を求めることができる。
【0079】
以上が、バッテリ13の充電効率の基本的な考え方と、充電中におけるバッテリ13の充電効率の求め方である。
【0080】
次に、上述したバッテリ13の充電効率を求めるために必要となる、充電動作中におけるバッテリ13の内部抵抗R+Rpol(純抵抗Rとそれ以外の抵抗成分である分極抵抗成分Rpolとを加算した合成抵抗)の求め方について、説明しておく。
【0081】
先に説明した不動態膜がバッテリ13の電極表面に形成されていないものとして、バッテリ13の状態を式で表すと、バッテリ13の端子電圧Vであるところの設定充電電圧値VT から、その時点におけるバッテリ13の内部起電力Eを減じた値が、その時点におけるバッテリ13の内部抵抗R+Rpolに対して、その時点における充電電流の値ICHG を乗じた値と等しくなるはずである。
VT −E=(R+Rpol)×ICHG
【0082】
したがって、バッテリ13の内部抵抗R+Rpolは、次式、
(R+Rpol)=(VT −E)/ICHG
で求めることができる。
【0083】
続いて、バッテリ13の充電開始前における内部抵抗R+Rpolを求めるために必要となる、充電開始前におけるバッテリ13の内部起電力Eの求め方について、説明しておく。
【0084】
充電開始前におけるバッテリ13の内部起電力Eは、その時点におけるバッテリ13の開回路電圧OCVの値に等しいことから、この開回路電圧OCVの値を求めればよいことになる。
【0085】
そこで、充電開始前におけるバッテリ13の開回路電圧OCVの具体的な求め方を、放電中の端子電圧及び放電電流からバッテリの充電状態SOCを求める方式に関連する本出願人による出願である、特願2000−369220において提案した内容を用いて、以下に説明する。
【0086】
まず、バッテリ13が放電を行った際に、I/F21を介して電流センサ15や電圧センサ17の出力のA/D変換値の組を周期的に収集することで、バッテリ13の端子電圧V及び放電電流Iを周期的に測定し、その測定値を用いたバッテリ13の純抵抗Rの測定と、この純抵抗Rの成分のみに依存した分極の影響を含まないバッテリ13の電圧−電流特性の割り出しとを行う。
【0087】
これと共に、バッテリ13の放電中の特に放電電流の減少中における端子電圧Vと放電電流Iとの測定値から、分極の影響を含むバッテリ13の電圧−電流特性の割り出しを行う。
【0088】
そして、これらバッテリ13の分極の影響を含まない電圧−電流特性と分極の影響を含む電圧−電流特性とを用いて、計算上のバッテリ13の開回路電圧である推定電圧Vnを推定する。
【0089】
そこでまず、一般的なバッテリそのものの特性について検討する。
【0090】
ちなみに、エンジンを推進動力源とする一般車や、エンジンの発生するパワーの不足分をモータによりアシストするハイブリッド車両には、スタータモータやモータジェネレータなどの大電流を必要とする負荷が搭載されており、これらの負荷に電力を供給するバッテリの電圧−電流(V−I)特性の例は図7及び図8に示す点のようになる。
【0091】
従来、V−I特性は図7に示すように、1次式V=aI+bで近似する方式が一般に行われてきたが、図9に示す分極抵抗成分の非直線形の特性の影響により、1次式よりも2次式の方が、高い相関を有する式を得ることができることがわかった。そこで、本実施形態においてバッテリ13の純抵抗による近似V−I特性を求める際には、図8に示すように、V=aI2 +bI+cなる2次式の近似曲線式を最小二乗法によって得ることによって、高い相関を有する近似式を用いるようにする。
【0092】
上述したような大電流を必要とする負荷を駆動したときには、負荷への最大供給電力値に相当する所定の大電流値による定負荷放電が行われる。このときのバッテリの端子電圧と放電電流とを周期的に測定してこれら端子電圧と放電電流との相関を示す実データに基づいて、図10のグラフ中に示すように、放電電流の増加中におけるバッテリのV−I特性の第1の近似曲線式M1と、放電電流の減少中におけるバッテリのV−I特性の第2の近似曲線式M2の2つの式が得られる。なお、図10中に記載の式は実データによって得られた具体的な近似曲線式の一例である。これらの2つの近似曲線式M1と近似曲線式M2との違いを以下分析する。
【0093】
一方の近似曲線式M1の場合、放電開始時点での分極抵抗成分を基準にすると、放電が開始し電流が増加すると、分極抵抗成分は徐々に増加していく。その後、電流が最大値になったところで、分極抵抗成分がピークに達し、電流の減少に伴って分極が解消していくはずである。しかし、実際には、電流の減少に比例して分極抵抗成分は解消するのではなく反応が遅れて現れるため、近似曲線式M2の場合、増加方向と同じV−I特性を示さず、増加方向よりも大きな電圧降下を発生させることになり、電流の増加と減少時にそれぞれ対応する2つの近似曲線式M1及びM2が得られることになる。
【0094】
上述したV−I特性の2つの近似曲線式M1及びM2で表される近似曲線を用いて、バッテリの純抵抗Rを測定する方法を、図11乃至図13を参照して、以下具体的に説明する。
【0095】
まず、図11に示すように、上記近似曲線式の一方M1で表される近似曲線上の実データの範囲内に任意の点Aを選択し、式M1の近似曲線の縦軸に対する切片C1から近似曲線上の点Aまでの電圧降下ΔV1を求める。このΔV1を点Aでの電流I1で除算した値は、純抵抗Rに純抵抗を除くその他の抵抗成分である分極抵抗成分のその時点での値Rpol1を加算した合成抵抗である。すなわち、
R+Rpol1=ΔV1/I1
である。
【0096】
同様に、図11に示すように、上記近似曲線式の他方M2で表される近似曲線上の実データの範囲内に任意の点Bを選択し、式M2の近似曲線の縦軸に対する切片C2から近似曲線上の点Bまでの電圧降下ΔV2を求める。このΔV2を点Bでの電流I2で除算した値は、純抵抗Rに純抵抗を除くその他の抵抗成分である分極抵抗成分のその時点での値Rpol2を加算した合成抵抗である。すなわち、
R+Rpol2=ΔV2/I2
である。
【0097】
上記2点A及びBの合成抵抗の値の差ΔRは
ΔR=R+Rpol1−(R+Rpol2)=Rpol1−Rpol2
となり、点A及びBにおける分極抵抗成分の差となる。これは、1回の放電中の純抵抗Rは変化しないことから明らかである。
【0098】
なお、式M1で表される近似曲線上には、図12に示すように、式M2の近似曲線上に選択した任意の点Bにおける合成抵抗(R+Rpol2)に等しい値(R+Rpol1′)をもった点A′が存在する。また、式M2で表される近似曲線上にも、図12に示すように、式M1の近似曲線上に選択した任意の点Aにおける合成抵抗(R+Rpol1)に等しい値(R+pol2′)をもった点B′が存在する。すなわち、
R+Rpol1′=R+Rpol2
となる点A′が式M1で表される近似曲線上に存在し、
R+Rpol1=R+Rpol2′
となる点B′が式M2で表される近似曲線上に存在する。
【0099】
要するに、点A′における電流及び電圧をそれぞれI1′及びV1′とし、点B′における電流及び電圧をそれぞれI2′及びV2′とすると、点A′の座標(I1′、V1′)と点Bの座標(I2、V2)の分極抵抗成分の値が互いに等しく、また点Aの座標(I1、V1)と点B′(I2′、V2′)の分極抵抗成分の値も互いに等しいことがわかる。
【0100】
まず、B点を基準とし、この点Bの合成抵抗の値(R+Rpol2)と等しい値を持つ点A′の電流I1′と電圧V1′の算出の仕方を以下説明する。
【0101】
今、式1で表される近似曲線の縦軸に対する切片C1からこの点A′までの電圧降下をΔV1′とすると、これは
ΔV1′=C1−(a1I1′2 +b1I1′+C1)=(R+Rpol2)I1′
となり、この式を整理すると、
−(a1I1′ +b1)=R+Rpol2
となり、点A′の電流I1′は
I1′=−(b1+R+Rpol2)/a1
となる。なお、
R+Rpol2(=R+pol1′)=ΔV2/I2(=ΔV1′/I1′)
であるので、
I1′=−〔b1+(ΔV2/I2)〕/a1
=−〔b1+(ΔV1′/I1′)〕/a1
となる。また、点A′の電圧V1′は、上記式から明らかなように、
V1′=a1I1′2 +b1I1′+C1
であるので、点A′の座標(I1′、V1′)は既知の値から定められる。
【0102】
同様にして、A点を基準とし、この点Aの抵抗値(R+Rpol1)と等しい値を持つ点B′の電流I2′と電圧V2′も、
により既知の値から算出できる。なお、ΔV2′は、式2で表される近似曲線の縦軸に対する切片C2からこの点B′までの電圧降下である。
【0103】
上述のようにして、点A′の座標(I1′、V1′)が定まったら、図12に示すように、点A′の座標(I1′、V1′)と点Bの座標(I2、V2)とを結ぶ直線L1の傾斜を求めることによって合成抵抗の値R1が求められる。この合成抵抗の値R1は、純抵抗と分極抵抗成分Rpol2とからなる合成抵抗によって生じる電圧降下の差(V1′−V2)を各点において流れる電流の差(I1′−I2)によって除算することによって求められる。すなわち、
R1=(V1′−V2)/(I1′−I2)
となる。
【0104】
同様にして、点B′の座標(I2′、V2′)が定まったら、図13に示すように、点B′の座標(I2′、V2′)と点Aの座標(I1、V1)とを結ぶ直線L2の傾斜を求めることによって合成抵抗の値R2が求められる。この合成抵抗の値R2は、純抵抗と分極抵抗成分Rpol1とからなる合成抵抗によって生じる電圧降下の差(V1−V2′)を各点において流れる電流の差(I1−I2′)によって除算することによって求められる。すなわち、
R2=(V1−V2′)/(I1−I2′)
となる。
【0105】
しかしながら、上述のようにして求められる合成抵抗の値R1及びR2は、純抵抗と分極抵抗成分とからなる合成抵抗によって生じる電圧降下の差を各点において流れる電流の差によって除算して求めたもので、純抵抗とは一致しない。2点間の傾きを純抵抗と一致させるには、分極抵抗成分によって生じる電圧降下分を除いた電圧降下の差を電流差によって除算してやればよい。
【0106】
先ず、点Bを基準にした場合について説明すると、今、合成抵抗の値R1を
R1=R1′+Rpol2=R1′+Rpol1′
とすると、抵抗R1′に点A′の電流I1′と点Bの電流I2との差に相当する電流が流れることによって生じる電圧降下は、分極抵抗成分Rpol1′(又はRpol2)に点A′の電流I1′と点Bの電流I2の差に相当する電流が流れることによって生じる電圧降下分だけ、点A′の電圧を持ち上げて補正してやればよく、次式が成立する。
R1′(I1′−I2)=〔V1′+Rpol1′(I1′−I2)〕−V2
【0107】
この式を整理すると、
R1′(I1′−I2)=(V1′−V2)+Rpol1′(I1′−I2)
となる。ここで、Rpol1′=ΔV1′/I1′−R1′であるので、
R1′(I1′−I2)=(V1′−V2)+(ΔV1′/I1′−R1′)×(I1′−I2)
2R1′(I1′−I2)=(V1′−V2)+ΔV1′/I1′(I1′−I2)
となり、結果として、
R1′=〔(V1′−V2)+(ΔV1′/I1′)×(I1′−I2)〕/2(I1′−I2)
が求められる。なお、(ΔV1′/I1′)は(ΔV2/I2)と置き換えることができる。
【0108】
次に、点Aを基準にした場合にも同様にして
R2=R2′+Rpol1=R2′+Rpol2′
とすると、この抵抗R2′に点Aの電流I1と点B′の電流I2′の差に相当する電流が流れることによって生じる電圧降下は、分極抵抗成分Rpol12′(又はRpol1)に点Aの電流I1と点B′の電流I2′との差に相当する電流が流れることによって生じる電圧降下分、点B′の電圧を引き下げて補正してやればよく、次式が成立する。
R2′(I1−I2′)=V1−〔V2′−Rpol2′(I1−I2′)〕
【0109】
この式を整理すると、
R2′(I1−I2′)=(V1−V2′)+Rpol2′(I1−I2′)
となる。ここで、Rpol2′=ΔV2′/I2′−R2′であるので、
R2′(I1−I2′)=(V1−V2′)+(ΔV2′/I2′−R2′)
(I1−I2′)
2R2′(I1−I2′)=(V1−V2′)+ΔV2′/I2′(I1−I2′)
となり、結果として、
R2′=〔(V1−V2′)+(ΔV2′/I2′)(I1−I2′)〕/2(I1−I2′)
が求められる。なお、(ΔV2′/I2′)は(ΔV1/I1)と置き換えることができる。
【0110】
上述したように求められた2つの値R1′及びR2′は、2つの点A及びBを基準にし、異なる分極抵抗成分(Rpol1′=Rpol2)と(Rpol1=Rpol2′)を用い、しかも異なる切片C1からの電圧降下Δ1′(ΔV1)と切片C2からの電圧降下Δ2′(ΔV2)を用いて求めたものであるので、真の純抵抗Rとなり得ない。したがって、両者の加算平均
R=(R1′+R2′)/2
をとることによって、真の純抵抗Rが求められる。
【0111】
そこで、バッテリ13の純抵抗を求めるに当たっては、I/F21を介して収集される電流センサ15や電圧センサ17の出力のA/D変換値の組の最新のものを用いて、最小二乗法により、放電電流Iの増加中におけるバッテリ13の端子電圧Vと放電電流Iとの相関を示す電圧−電流特性である、例えばV1(I)=a1I2 +b1+C1なる2次式で表される第1の近似曲線式M1と、減少する放電電流に対する電圧−電流特性の例えばV2(I)=a2I2 +b2I+C2なる2次式で表される第2の近似曲線式M2とを求める。
【0112】
次に、第1の近似曲線式M1によって表される電圧−電流特性曲線上に第1の点Aを定めると共に、第2の近似曲線式M2によって表される電圧−電流特性曲線上に第2の点Bを定める。このとき、第1の近似曲線式M1によって表される電圧−電流特性曲線上に定められる第1の点Aと、第2の近似曲線式M2によって表される電圧−電流特性曲線上に定められる第2の点Bとは、各近似曲線式を求める際に使用された端子電圧と放電電流の実データの存在する範囲内に好ましく定められる。このように定めることによって、その後、各点に対応する想定点を想定する際に、想定点が大きく外れた位置に想定されることがなくなる。また、好ましくは、第1の点Aと第2の点Bは、分極抵抗成分が最大となる点の両側に定められるのがよい。このように定めることによって、最大点の両側に想定点が定められるようになるようになり、その後、純抵抗を求める際の精度が高まるようになる。
【0113】
そして、第2の点Bに対応する第2の放電電流I2が流れたとき第2の電圧降下ΔV2を生じさせる、バッテリの純抵抗と第2の分極抵抗成分Rpol2からなる第2の合成抵抗R2と同一の抵抗値を有する第1の想定点A′を、第1の近似曲線式M1上に想定すると共に、第1の点Aに対応する第1の放電電流I1が流れたとき第1の電圧降下ΔV1を生じさせる、バッテリ13の純抵抗と第1の分極抵抗成分Rpol1からなる第1の合成抵抗R1と同一の抵抗値を有する第2の想定点B′を、第2の近似曲線式M2上に想定する。
【0114】
2つの想定点A′及びB′が想定できたら、第2の点Bと第1の想定点A′とを結ぶ直線L1の第1の傾斜R1を、第2の放電電流I2と第1の想定点A′での放電電流I1′とによってそれぞれ生じる、第2の分極抵抗成分Rpol2による電圧降下の差分Rpol2(I1′−I2)により補正した上で、第2の分極抵抗成分Rpol2による電圧降下分を除いた第1の補正傾斜R1′を求めると共に、前記第1の点と前記第2の想定点B′とを結ぶ直線L2の第2の傾斜R2を、第1の放電電流I1と第2の想定点B′での放電電流I2′とによってそれぞれ生じる、第1の分極抵抗成分Rpol1による電圧降下の差分Rpol1(I1−I2′)により補正した上で、第1の分極抵抗成分Rpol1による電圧降下分を除いた第2の補正傾斜R2′を求める。
【0115】
このようにして求めた第1の補正傾斜R1′と第2の補正傾斜R2′とを加算平均することで、これら第1の補正傾斜R1′と第2の補正傾斜R2′との平均傾斜を、バッテリ13の純抵抗Rとして求める。
【0116】
このようにしてバッテリ13の純抵抗Rを求めたならば、その値に、先に収集された最新の所定時間分の実データにおける放電電流Iを乗じて、この放電電流Iのサンプル数と同数の、純抵抗によるバッテリ13の放電中における端子電圧Vを求め、求めた複数の端子電圧Vと、先に収集された複数の放電電流Iとの対に、最小二乗法を適用して、純抵抗によるバッテリ13の分極の影響を含まない直線的な電圧−電流特性式VR =aR I+bR を割り出す。
【0117】
続いて、先に収集されたバッテリ13の放電電流Iの実データのうち、ピーク値から減少する部分の実データについて、そのデータの相関性を確認した上で、その減少する部分の複数の放電電流Iと、それら複数の放電電流Iに対応する複数の端子電圧Vとの対に、最小二乗法を適用して、バッテリ13の分極の影響を含む直線的な電圧−電流特性式V=aI+bを割り出す。
【0118】
次に、先に割り出した、純抵抗によるバッテリ13の分極の影響を含まない直線的な電圧−電流特性式VR =aR I+bR 上の、ピーク電流値よりも低い、セルモータやモータジェネレータを作動させる際に必ず流れる電流値(I1 )とそのときの電圧値(V1 )とからなる座標値(V1 ,I1 )を通るように、バッテリ13の分極の影響を含む電圧−電流特性式V=aI+bを電圧軸方向にシフトさせた、シフト後電圧−電流特性式V´=aI+b´を求める。
【0119】
続いて、定電流放電における推定電圧Vnがバッテリ13の容量に対して直線的な特性を示すようになる仮想電流値Is=−10A(アンペア)を、先に求めたシフト後電圧−電流特性式V´=aI+b´に代入して、推定電圧Vnを推定し、この推定電圧Vnに、予め定められた残存電圧降下値e0 を加算して、補正後推定電圧Vn´を求める。
【0120】
ここで、予め定められた残存電圧降下値e0 とは、セルモータやモータジェネレータによりエンジンを始動させるためにバッテリ13が瞬時的に定負荷放電を行った際に、その定負荷放電中に電流センサ15や電圧センサ17により検出されたバッテリ13の端子電圧Vと放電電流Iとの相関を基にして、上述のように推定した、定負荷放電状態における推定上の端子電圧Vである推定電圧Vnを、予め求めておいたバッテリ13の開回路電圧OCVから差し引いた、バッテリ13の放電終了時における残存分極の影響による残存電圧降下量のことである。
【0121】
以上が、充電開始前におけるバッテリ13の開回路電圧OCV(補正後推定電圧Vn´)を求める具体的な求め方である。
【0122】
尚、ここで説明した、充電開始前におけるバッテリ13の開回路電圧OCV(補正後推定電圧Vn´)を求める処理の内容は、あくまで一例であって、例えば、周期的に測定される放電電流の値に測定周期の時間幅を乗じて求めた単位時間当たりの放電電気量を積算することで、バッテリ13に充電されている電気量を計算により求め、その求めた電気量に対応するバッテリ13の開回路電圧OCVを、ROM23c等に予め格納された対応テーブルから導き出す、電流積算法を用いた処理等、他の内容による処理で充電開始前におけるバッテリ13の開回路電圧OCVを求めても一向に構わない。
【0123】
次に、前記ROM23cに格納された制御プログラムに従いCPU23aが行う処理を、図14及び図15のフローチャートを参照して説明する。
【0124】
バッテリ13からの給電を受けてマイコン23が起動しプログラムがスタートすると、CPU23aは、まず、図14に示すように、不図示の充放電回路に対するバッテリ13の接続状態を確認する等して、バッテリ13が放電中であるか否かを確認する(ステップS1)。
【0125】
バッテリ13が放電中でない場合は(ステップS1でN)、後述するステップS5に進み、放電中である場合は(ステップS1でY)、充電開始前におけるバッテリ13の平衡状態における端子電圧に相当する開回路電圧OCVの算出処理を行い(ステップS2)、算出した充電開始前におけるバッテリ13の開回路電圧OCVを、バッテリ13の内部起電力Eの値としてRAM23bに格納した後(ステップS3)、再び、バッテリ13が放電中であるか否かを確認する(ステップS4)。
【0126】
バッテリ13が放電中である場合は(ステップS4でY)、ステップS2にリターンし、放電中でない場合は(ステップS4でN)、ステップS5に進む。
【0127】
ステップS1やステップS4においてバッテリ13が放電中でない場合(N)に進むステップS5以降の処理では、バッテリ13の充電効率や、1回の充電動作によってバッテリ13に蓄積された充電電気量の検出が行われる。
【0128】
まず、ステップS5では、I/F21を介して電流センサ15や電圧センサ17の出力のA/D変換値を収集し、次に、収集した電流センサ15の出力のA/D変換値、即ち充電電流ICHG の値に、充電効率=100%なる値を乗じ、さらに、ステップS4における電流センサ15や電圧センサ17の出力のA/D変換値の収集周期時間を乗じることで、充電が開始されてから今までの間にバッテリ13に充電された電気量を算出する(ステップS6)。
【0129】
そして、RAM23bに格納されているバッテリ13の内部起電力Eに、ステップS6において算出された充電電気量を積算した後(ステップS7)、再び、I/F21を介して電流センサ15や電圧センサ17の出力のA/D変換値を収集し(ステップS8)、収集した電流センサ15の出力のA/D変換値が、前回収集した電流センサ15の出力のA/D変換値に対して増加しているか否かを確認し(ステップS9)、増加していない場合は(ステップS9でN)、後述するステップS12に進む。
【0130】
一方、増加している場合は(ステップS9でY)、ステップS8で収集した電流センサ15の出力のA/D変換値、即ち充電電流ICHG の値に、充電効率=100%なる値を乗じ、さらに、ステップS8における電流センサ15や電圧センサ17の出力のA/D変換値の収集周期時間を乗じることで、電流センサ15の出力のA/D変換値を前回収集した後から今回収集するまでの間にバッテリ13に充電された電気量を算出する(ステップS10)。
【0131】
そして、RAM23bに格納されているバッテリ13の内部起電力Eに、ステップS10において算出された充電電気量を積算した後(ステップS11)、ステップS8にリターンする。
【0132】
尚、ステップS6やステップS10の電気量の算出において、充電効率=100%なる値を乗じることは、ロジック上省略してもよい。
【0133】
また、ステップS9において、ステップS8で収集した電流センサ15の出力のA/D変換値が、前回収集した電流センサ15の出力のA/D変換値に対して増加していない場合(N)に進むステップS12では、図15に示すように、ステップS8で収集した電流センサ15の出力のA/D変換値を、計算上の充電開始時点におけるバッテリ13の充電電流ICHG0とし、収集した電圧センサ17の出力のA/D変換値を、計算上の充電開始時点におけるバッテリ13の設定充電電圧値VT とすると共に、RAM23bに格納されているバッテリ13の内部起電力Eを、計算上の充電開始時点におけるバッテリ13の内部起電力E0 として、次式、
(R0 +Rpol0 )=(VT −E0 )/ICHG0
を用いて、計算上の充電開始時点におけるバッテリ13の内部抵抗R0 +Rpol0 を求める。
【0134】
ステップS12において、計算上の充電開始時点におけるバッテリ13の内部抵抗R0 +Rpol0 を求めたならば、次に、求めた内部抵抗R0 +Rpol0 を、バッテリ13の充電開始時における内部抵抗値である開始時抵抗値としてRAM23bに格納した後(ステップS13)、ステップS14に進む。
【0135】
ステップS14では、I/F21を介して電流センサ15や電圧センサ17の出力のA/D変換値を収集し、次に、収集した電流センサ15の出力のA/D変換値を、現時点、即ち、充電の開始後の時点におけるバッテリ13の充電電流ICHGAとし、収集した電圧センサ17の出力のA/D変換値を、現時点、即ち、充電の開始後の時点におけるバッテリ13の設定充電電圧値VT とすると共に、RAM23bに格納されているバッテリ13の内部起電力Eを、計算上の充電開始時点におけるバッテリ13の内部起電力E″として、次式、
(R″+Rpol″)=(VT −E″)/ICHGA
を用いて、現時点、即ち、充電の開始後の時点におけるバッテリ13の内部抵抗R″+Rpol″を求める(ステップS15)。
【0136】
次に、ステップS15において求めた内部抵抗R″+Rpol″の値(開始後抵抗値)と、ROM23cに格納されている満充電抵抗値Rf+RpolfやRAM23bに格納されている開始時抵抗値R0 +Rpol0 の値とを用いて、この時点における、バッテリ13に流れこんだ総電気量のうち起電力としてバッテリ13に充電された電気量の割合である充電効率を、次式、
{1−[〔(R″+Rpol″)−(R0 +Rpol0 )〕/(Rf+Rpolf)]}×100%
により求める(ステップS16)。
【0137】
ステップS16においてバッテリ13の充電効率を算出したならば、求めた充電効率の値に、ステップS14で収集した電流センサ15の出力のA/D変換値であるところの現時点の充電電流の値ICHGAを乗じ、さらにその値に、バッテリ13の充電効率の値を繰り返し求めた周期時間、つまり、バッテリ13の充電継続中におけるステップS14〜ステップS17の処理の繰り返し実行周期時間を乗じて、バッテリ13の充電電流の値ICHGAを前回測定してから今回測定するまでの間にバッテリ13に起電力として蓄積された電気量の値を求めて、求めた充電電気量を、RAM23bに格納されているバッテリ13の内部起電力Eに積算した後(ステップS17)、不図示の充放電回路に対するバッテリ13の接続状態を確認する等して、バッテリ13の充電が未だに継続中であるか否かを確認する(ステップS18)。
【0138】
バッテリ13の充電が未だに継続中である場合は(ステップS18でY)、ステップS14にリターンし、バッテリ13の充電が継続中でない場合は(ステップS18でN)、図14のステップS2にリターンする。
【0139】
以上の説明からも明らかなように、本実施形態の車載用バッテリ充電電気量検出装置1では、図15のフローチャートにおけるステップS12が、請求項中の開始時抵抗値演算手段23Aに対応する処理となっており、図15中のステップS15が、開始後抵抗値演算手段23Bに対応する処理となっていると共に、ステップS16が、請求項中の差分抵抗値演算手段23Cや抵抗値割合演算手段23Dに対応する処理となっている。
【0140】
また、本実施形態の車載用バッテリ充電電気量検出装置1では、図14のフローチャートにおけるステップS2やステップS5、ステップS8、図15中のステップS14において行われる、電流センサ15や電圧センサ17の出力のA/D変換値をI/F21を介して収集する処理と、電流センサ15及び電圧センサ17とにより、請求項中の電流・電圧測定手段Aが構成されている。
【0141】
さらに、本実施形態の車載用バッテリ充電電気量検出装置1では、図14中のステップS9が、請求項中の活性状態判別手段23Eに対応する処理となっており、図14中のステップS10が、請求項中の過渡期間充電電気量割出手段23Fに対応する処理となっている。
【0142】
次に、上述のように構成された本実施形態の車載用バッテリ充電電気量検出装置1の動作(作用)について説明する。
【0143】
まず、車載用バッテリ充電電気量検出装置1においては、不図示の充放電回路に対するバッテリ13の接続状態に基づいて、バッテリ13が充電中であるか否かが監視され、その結果、バッテリ13が放電中であることが認識されている状態では、放電時に測定されるバッテリ13の端子電圧Vと放電電流Iとを基にして、充電開始前におけるバッテリ13の平衡状態における端子電圧に相当する開回路電圧OCVの算出が行われる。
【0144】
その後、バッテリ13の放電が終わって充電が開始されると、バッテリ13の充電効率及び充電電気量の検出が行われる。
【0145】
ここで、充電開始直後の段階で、バッテリ13の充電電流ICHG が増加している期間がある場合は、充放電が行われていない間にバッテリ13の電極の表面に形成された絶縁性の不動態膜が徐々に破壊されている最中であり、充電電流ICHG の低い状態が続いているものとして、ガス化現象の発生による充電効率の低下がないと見倣して充電効率=100%で充電されているものと見倣し、充電電流ICHG の値に収集周期時間を乗じることで、充電が開始されてから今までの間にバッテリ13に充電された電気量が算出され、この算出された電気量が、これまでに積算されたバッテリ13の内部起電力Eに積算される。
【0146】
一方、バッテリ13の充電電流ICHG が減少し始めると、元々バッテリ13の電極の表面に不動態膜が形成されていないか、或は、バッテリ13の電極の表面に形成されていた絶縁性の不動態膜が完全に破壊されて、ガス化現象の発生による充電効率の低下の可能性があるものとして、充電電流ICHG が最大値となる時点を計算上の充電開始時点と見倣して、充電効率や充電電気量の検出が、次のようにして行われる。
【0147】
まず、充電電流ICHG が最大値となる計算上の充電開始時点におけるバッテリ13の内部抵抗が開始時抵抗値R0 +Rpol0 として求められる。
【0148】
開始時抵抗値R0 +Rpol0 が求められると、それ以後、バッテリ13の充電が終了するまでの間、充電中の任意の時点におけるバッテリ13の内部抵抗である開始後抵抗値R″+Rpol″や、この開始後抵抗値R″+Rpol″と開始時抵抗値R0 +Rpol0 との差分である差分抵抗値(R″+Rpol″)−(R0 +Rpol0 )が、繰り返し求められる。
【0149】
そして、この差分抵抗値(R″+Rpol″)−(R0 +Rpol0 )が求められる度に、そのバッテリ13に固有の満充電状態における内部抵抗値である満充電時抵抗値Rf+Rpolfに対する差分抵抗値(R″+Rpol″)−(R0 +Rpol0 )の割合〔(R″+Rpol″)−(R0 +Rpol0 )〕/(Rf+Rpolf)が、充電中の任意の時点におけるバッテリ13の充電効率の低下成分を表す値として求められ、この割合〔(R″+Rpol″)−(R0 +Rpol0 )〕/(Rf+Rpolf)を1から差し引いた値1−[〔(R″+Rpol″)−(R0 +Rpol0 )〕/(Rf+Rpolf)]から、充電中の任意の時点におけるバッテリ13の充電効率が繰り返し求められる。
【0150】
さらにその後、バッテリ13の充電が終了すると、それまでの間に繰り返し求められた、充電中の各時点におけるバッテリ13の充電効率に、各時点の充電電流の値ICHGAを乗じ、さらにその値に、バッテリ13の充電効率の値を繰り返し求めた周期時間を乗じて、その周期時間の間にバッテリ13に起電力として蓄積された電気量の値が求められ、それを積算することで、計算上の充電開始時点から終了時点までの間にバッテリ13に起電力として蓄積された総電気量の値が求められる。
【0151】
したがって、充電開始直後の段階で、先に説明したバッテリ13の電極表面の不動態膜の破壊が行われた場合には、そのような、バッテリ13の電極が活性状態にない期間において、充電効率=100%と見倣して算出される充電電気量と、不動態膜が破壊された後に、開始後抵抗値R″+Rpol″と開始時抵抗値R0 +Rpol0 との差分である差分抵抗値(R″+Rpol″)−(R0 +Rpol0 )を用いて求めた充電効率の値に基づいて算出される充電電気量との合計により、1回の充電動作中にバッテリ13に起電力として蓄積された総電気量の値が求められる。
【0152】
一方、充電開始直後の段階で、先に説明したバッテリ13の電極表面の不動態膜の破壊が行われなかった場合や、元々バッテリ13の電極表面に不動態膜が形成されていなかった場合には、そのような、バッテリ13の電極が活性状態にある期間において、開始後抵抗値R″+Rpol″と開始時抵抗値R0 +Rpol0 との差分である差分抵抗値(R″+Rpol″)−(R0 +Rpol0 )を用いて求めた充電効率の値に基づいて算出される充電電気量が、1回の充電動作中にバッテリ13に起電力として蓄積された総電気量の値として求められる。
【0153】
このように、本実施形態の車載用バッテリ充電電気量検出装置1によれば、バッテリ13の充電が進んで満充電状態に近づき、それに伴い発生するガス化現象により、バッテリ13に流れ込む電気量の一部が起電力としてバッテリ13に蓄積されなくなっても、充電中に測定乃至算出不能な、バッテリ13に流れ込む総電気量のうち、起電力としてバッテリ13に実際に蓄積される電気量の値に相当するICHG (実効)や、起電力としてバッテリ13に実際には蓄積されない電気量の値に相当するガス化電流IGAS に代えて、充電中に測定可能なバッテリ13の端子電圧Vやその端子電圧Vに対応する充電電流ICHG から、起電力としてバッテリ13に実際に蓄積される電気量や、それを求める基となる充電効率を、正確に求めることができる。
【0154】
尚、バッテリ13の充電電流ICHG が増加して最大値に至ったか否かを確認し、最大値に向けた充電電流ICHG の増加中の期間について、不動態膜が電極への通電により完全に破壊されるまでの、電極が活性状態にない過渡期間において、充電効率=100%と見倣して、充電電流ICHG の値に充電電流ICHG の収集周期時間を乗じることで、バッテリ13に充電された単位時間当たりの電気量を算出し、この算出した単位時間当たりの電気量を、これまでに積算されたバッテリ13の内部起電力Eに積算するという動作を実現するための構成は、省略してもよく、その場合には、バッテリ13の充電電流ICHG が増加して最大値に至った時点以降について、バッテリ13の充電効率を検出しつつその検出結果を利用してバッテリ13の充電電気量を検出することになる。
【0155】
しかし、本実施形態の車載用バッテリ充電電気量検出装置1のように、最大値に向けた充電電流ICHG の増加中の期間について、充電電流ICHG の値に充電電流ICHG の収集周期時間を乗じることで、バッテリ13に充電された単位時間当たりの電気量を算出し、この算出した単位時間当たりの電気量を、これまでに積算されたバッテリ13の内部起電力Eに積算するという動作を実現するための構成を設ければ、電極の表面に絶縁性の不動態膜が形成されている状態から充電のための通電が開始される場合に、充電のためにバッテリに印加される電圧に見合った本来の値に比べて充電電流が不動態膜の存在により低くなり、ガス化の発生による充電効率の低下が発生しないと見倣すことのできる、不動態膜が電極への通電により完全に破壊されるまでの電極が活性状態にない過渡期間についても、バッテリに充電される電気量を、充電効率の低下がないと見倣すことができるという状況に応じて正確に検出することができるので、有利である。
【0156】
尚、本実施形態では、充電開始前におけるバッテリ13の開回路電圧OCVを求めるために用いるバッテリ13の純抵抗Rを測定するのに当たって、V−I特性の2つの近似曲線式M1及びM2で表される近似曲線上の実データの存在する範囲内に任意の点A及びBを選択しているが、これらの点を2つの近似曲線式M1及びM2上の、これらの式を求めるため測定したバッテリの放電電流の最大値に相当する点Pに選択し、両方の点を共通のデータを使用して特定することで、誤差の入ることを少なくすることができ、図16乃至図18を参照して、以下具体的に説明する。
【0157】
まず、図16に示すように、2つの近似曲線式M1及びM2上のバッテリの放電電流の最大値に相当する点Pを選択する。そして、式M1の近似曲線の縦軸に対する切片C1から近似曲線上の点Pまでの電圧降下ΔV1を求める。このΔV1を点Pでの電流Ipで除算した値は、純抵抗Rに純抵抗を除くその他の抵抗成分である分極抵抗成分のその時点での値Rpol1を加算した合成抵抗である。すなわち、
R+Rpol1=ΔV1/Ip
である。
【0158】
次に、同図に示すように、式M2の近似曲線の縦軸に対する切片C2から近似曲線上の点Pまでの電圧降下ΔV2を求める。このΔV2を点Pでの電流Ipで除算した値は、純抵抗Rに純抵抗を除くその他の抵抗成分である分極抵抗成分のその時点での値Rpol2を加算した合成抵抗である。すなわち、
R+Rpol2=ΔV2/Ip
である。
【0159】
上記式M1の近似曲線上の点Pと式M2の近似曲線上の点Pの合成抵抗の値の差ΔRは
ΔR=R+Rpol1−(R+Rpol2)=Rpol1−Rpol2
となり、異なる近似曲線上の点Pにおける分極抵抗成分の差となる。これは、1回の放電中の純抵抗Rは変化しないことから明らかである。
【0160】
なお、式M1で表される近似曲線上には、図17に示すように、式M2の近似曲線上に選択した任意の点Pにおける合成抵抗(R+Rpol2)に等しい値(R+Rpol1′)をもった点P1が存在する。また、式M2で表される近似曲線上にも、図17に示すように、式M1の近似曲線上に選択した任意の点Pにおける合成抵抗(R+Rpol1)に等しい値(R+pol2′)をもった点P2が存在する。すなわち、
R+Rpol1′=R+Rpol2となる点P1が式M1で表される近似曲線上に、R+Rpol1=R+Rpol2′となる点P2が式M2で表される近似曲線上にそれぞれ存在する。
【0161】
要するに、点P1における電流及び電圧をそれぞれIp1及びVp1とし、点P2における電流及び電圧をそれぞれIp2及びVp2とすると、点P1の座標(Ip1、Vp1)と点Pの座標(Ip、Vp)の分極抵抗成分の値が互いに等しく、また点Pの座標(Ip、Vp)と点P2(Ip2、Vp2)の分極抵抗成分の値も互いに等しいことがわかる。
【0162】
まず、式M2の近似曲線上の点Pを基準とし、この点Pの合成抵抗の値(R+Rpol2)と等しい値(R+Rpol1′)を持つ点P1の電流Ip1と電圧Vp1の算出の仕方を以下説明する。
【0163】
今、式M1で表される近似曲線の縦軸に対する切片C1からこの点P1までの電圧降下をΔVp1とすると、これは
ΔVp1=C1−(a1Ip12 +b1p1+C1)=(R+Rpol2)Ip1
となり、この式を整理すると、
−(a1Ip1 +b1)=R+Rpol2
となり、点P1の電流Ip1は
Ip1=−(b1+R+Rpol2)/a1
となる。なお、R+Rpol2(=R+pol1′)=ΔVp/Ip(=ΔVp1/Ip1)であるので、
となる。また、点P1の電圧Vp1は、上記式から明らかなように、
Vp1=a1Ip12 +b1Ip1+C1
であるので、点P1の座標(Ip1、Vp1)は既知の値から定められる。
【0164】
同様にして、式M1の近似曲線上の点Pを基準とし、P点を基準とし、この点Pの抵抗値(R+Rpol1)と等しい値(R+Rpol2′)を持つ点P2の電流Ip2と電圧Vp2も、
Vp2=a2Ip22 +b2Ip2+C2
により既知の値から算出できる。なお、ΔVp2は、式M2で表される近似曲線の縦軸に対する切片C2からこの点P2までの電圧降下である。
【0165】
上述のようにして、点P1の座標(Ip1、Vp1)が定まったら、図17に示すように、点P1の座標(Ip1、Vp1)と点Pの座標(Ip、Vp)とを結ぶ直線L1の傾斜を求めることによって合成抵抗の値R1が求められる。この合成抵抗の値R1は、純抵抗と分極抵抗成分Rpol2とからなる合成抵抗によって生じる電圧降下の差(Vp1−Vp)を各点において流れる電流の差(Ip1−Ip)によって除算することによって求められる。すなわち、
R1=(Vp1−Vp)/(Ip1−Ip)
となる。
【0166】
同様にして、点P2の座標(Ip2、Vp2)が定まったら、図18に示すように、点P2の座標(Ip2、Vp2)と点Pの座標(Ip、Vp)とを結ぶ直線L2の傾斜を求めることによって合成抵抗の値R2が求められる。この合成抵抗の値R2は、純抵抗と分極抵抗成分Rpol1とからなる合成抵抗によって生じる電圧降下の差(Vp−Vp2)を各点において流れる電流の差(Ip−Ip2)によって除算することによって求められる。すなわち、
R2=(Vp−Vp2)/(Ip−Ip2)
となる。
【0167】
しかしながら、上述のようにして求められる合成抵抗の値R1及びR2は、純抵抗と分極抵抗成分とからなる合成抵抗によって生じる電圧降下の差を各点において流れる電流の差によって除算して求めたもので、純抵抗とは一致しない。2点間の傾きを純抵抗と一致させるには、分極抵抗成分によって生じる電圧降下分を除いた電圧降下の差を電流差によって除算してやればよい。
【0168】
先ず、式M2の近似曲線上の点Pを基準にした場合について説明すると、今、合成抵抗の値R1を
R1=R1′+Rpol2=R1′+Rpol1′
とすると、抵抗R1′に点P1の電流Ip1と点Pの電流Ipとの差に相当する電流が流れることによって生じる電圧降下は、分極抵抗成分Rpol1′(又はRpol2)に点P1の電流Ip1と点P2の電流Ipの差に相当する電流が流れることによって生じる電圧降下分だけ、点P1の電圧を持ち上げて補正してやればよく、次式が成立する。
R1′(Ip1−Ip)=〔Vp1+Rpol1′(Ip1−Ip)〕−V2
【0169】
この式を整理すると、
R1′(Ip1−Ip)=(Vp1−Vp)+Rpol1′(Ip1−Ip)
となる。ここで、Rpol1′=ΔVp1/Ip1−R1′であるので、
R1′(Ip1−Ip)=(Vp1−Vp)+(ΔVp1/Ip1−R1′)
(Ip1−Ip)
2R1′(Ip1−Ip)=(Vp1−Vp)+ΔVp1/Ip1(Ip1−Ip)
となり、結果として、
R1′=〔(Vp1−Vp)+(ΔVp1/Ip1)(Ip1−Ip)〕/2(Ip1−Ip)
が求められる。なお、(ΔVp1/Ip1)は(ΔV2/Ip)と置き換えることができる。
【0170】
次に、式M1の近似曲線上の点Pを基準にした場合にも同様にして
R2=R2′+Rpol1=R2′+Rpol2′
とすると、この抵抗R2′に点Pの電流Ipと点P2の電流Ip2の差に相当する電流が流れることによって生じる電圧降下は、分極抵抗成分Rpol2′(又はRpol1)に点Pの電流Ipと点P2の電流Ip2との差に相当する電流が流れることによって生じる電圧降下分、点P2の電圧を引き下げて補正してやればよく、次式が成立する。
R2′(Ip−Ip2)=Vp−〔Vp2−Rpol2′(Ip−Ip2)〕
【0171】
この式を整理すると、
R2′(Ip−Ip2)=(Vp−Vp2)+Rpol2′(Ip−Ip2)
となる。ここで、Rpol2′=ΔVp2/Ip2−R2′であるので、
R2′(Ip−Ip2)=(Vp−Vp2)+(ΔVp2/Ip2−Rp2)
(Ip−Ip2)
2R2′(Ip−Ip2)=(Vp−Vp2)+ΔVp2/Ip2(Ip−Ip2)
となり、結果として、
R2′=〔(Vp−Vp2)+(ΔVp2/Ip2)(Ip−Ip2)〕/2(Ip−Ip2)
が求められる。なお、(ΔVp2/Ip2)は(ΔVp/Ip)と置き換えることができる。
【0172】
上述したように求められた2つの値R1′及びR2′は、2つの点A及びBを基準にし、異なる分極抵抗成分(Rpol1′=Rpol2)と(Rpol1=Rpol2′)を用い、しかも異なる切片C1からの電圧降下ΔVp1(ΔVp)と切片C2からの電圧降下ΔVp2(ΔVp)を用いて求めたものであるので、真の純抵抗Rとなり得ない。したがって、両者の加算平均
R=(R1′+R2′)/2
をとることによって、真の純抵抗Rが求められる。
【0173】
図16乃至図18を参照して説明したバッテリの純抵抗測定方法では、2つの近似曲線式M1及びM2上のバッテリの放電電流の最大値に相当する点に点Pをそれぞれ定め、共通のデータを使用して特定しているので、誤差の入ることを少なくすることができる。
【0174】
そして、第2の近似曲線式M2で表される曲線上の点Pに対応する放電電流Ipが流れたとき第2の電圧降下ΔV2を生じさせる、バッテリの純抵抗と第2の分極抵抗成分Rpol2からなる第2の合成抵抗R2と同一の抵抗値を有する第1の想定点P1を第1の近似曲線式M1上に、第1の近似曲線M1で表される曲線上の点Pに対応する放電電流Ipが流れたとき第1の電圧降下ΔV1を生じさせる、バッテリの純抵抗と第1の分極抵抗成分Rpol1からなる第1の合成抵抗R1と同一の抵抗値を有する第2の想定点P2を第2の近似曲線式M2上にそれぞれ想定する。
【0175】
2つの想定点P1及びP2が想定できたら、点Pと第1の想定点P1とを結ぶ直線L1の第1の傾斜R1を、放電電流Ipと第1の想定点P1での放電電流Ip1とによってそれぞれ生じる、第2の分極抵抗成分Rpol2による電圧降下の差分Rpol2(Ip1−Ip)に相当する量補正して、第2の分極抵抗成分Rpol2による電圧降下分を除いた第1の補正傾斜R1′を求めるとともに、前記点Pと前記第2の想定点P2とを結ぶ直線L2の第2の傾斜R2を、放電電流Ipと第2の想定点P2での放電電流Ip2とによってそれぞれ生じる、第1の分極抵抗成分Rpol1による電圧降下の差分Rpol1(Ip−Ip2)に相当する量補正して、第1の分極抵抗成分Rpol1による電圧降下分を除いた第2の補正傾斜R2′を求める。
【0176】
このようにして求めた第1の補正傾斜R1′と第2の補正傾斜R2′とを加算平均して平均傾斜を求め、この求めた平均傾斜をバッテリの純抵抗Rとして測定する。
【0177】
なお、このようにして純抵抗を測定する具体的な手順は、2つの近似曲線式M1及びM2上のバッテリの放電電流の最大値に相当する共通の点Pに2点を定めている点を除き、図10乃至図12について上述した純抵抗の測定手順と同じである。
【0178】
そして、上述した実施形態では、満充電時抵抗値保持手段としてNVM25を用いたが、マイコン23のROM23c内に満充電時抵抗値Rf+Rpolfを格納するエリアを確保してこれを満充電時抵抗値保持手段とする等、満充電時抵抗値保持手段の具体的な構成については、上述した実施形態の構成に限らず任意である。
【0179】
また、本実施形態では、バッテリ13の充電電気量を検出する車載用バッテリ充電電気量検出装置1について説明したが、本発明は、種々の目的で利用することのできる、充電中の任意の時点における、バッテリ13に流れ込む総電気量のうち、起電力としてバッテリ13に実際に蓄積される電気量の割合であるバッテリ13の充電効率を検出する、車載用バッテリ充電効率検出装置として利用、実施することも、当然可能である。
【0180】
そして、車載用バッテリ充電効率検出装置として利用、実施する場合には、検出した充電中の各時点における充電効率を検出結果として残すために、図15のフローチャートのステップS14において求めた充電中の任意の時点におけるバッテリの充電効率(%)を、マイコン23に対する給電が途絶えても記憶内容が保持される不揮発性メモリのような記憶媒体に格納してもよく、その場合、本実施形態ではROM23cに予め格納しておくものとした、ハイブリッド車両への搭載時点におけるバッテリ13の満充電時の内部抵抗Rf+Rpolfの値(満充電抵抗値)を、併せて不揮発性メモリのような記憶媒体に格納するものとすることができる。
【0181】
さらに、本実施形態では、ハイブリッド車両の負荷に電力を供給するため車両に搭載されたバッテリ13の充電効率や充電電気量を検出する場合のみに限らず、例えば、携帯電話やモバイルパソコン等に用いられるバッテリ等、種々の用途で用いられるバッテリの全般に、本発明は広く適用可能である。
【0182】
【発明の効果】
以上に説明したように請求項1に記載した本発明のバッテリの充電効率検出方法によれば、負荷に電力を供給するバッテリの充電開始から充電終了までの任意の時点について、該バッテリに流れこんだ総電気量のうち、起電力として前記バッテリに充電される電気量の割合である充電効率を検出するに当たり、前記バッテリの充電開始時点における内部抵抗値である開始時抵抗値と、該バッテリの充電開始後から充電終了までの任意の時点における内部抵抗値である開始後抵抗値とを、各時点において測定される前記バッテリの端子電圧と充電電流とを用いて各々求め、前記開始時抵抗値と前記開始後抵抗値との差分である差分抵抗値を求め、前記バッテリに固有の該バッテリの満充電状態における内部抵抗値である満充電時抵抗値に対する前記差分抵抗値の割合を求め、前記満充電時抵抗値に対する前記差分抵抗値の割合に基づいて、前記任意の時点における前記バッテリの充電効率を検出するようにした。
【0183】
また、請求項5に記載した本発明のバッテリの充電効率検出装置によれば、負荷に電力を供給するバッテリの充電開始から充電終了までの任意の時点について、該バッテリに流れこんだ総電気量のうち、起電力として前記バッテリに充電される電気量の割合である充電効率を検出するバッテリの充電効率検出装置であって、前記バッテリの充電電流と該充電電流に対応する前記バッテリの端子電圧とを測定する電流・電圧測定手段と、前記バッテリの充電開始時点において前記電流・電圧測定手段により測定された、該バッテリの充電電流と該充電電流に対応する前記バッテリの端子電圧とに基づいて、該バッテリの充電開始時点における内部抵抗値である開始時抵抗値を求める開始時抵抗値演算手段と、前記任意の時点において前記電流・電圧測定手段により測定された、前記バッテリの充電電流と該充電電流に対応する前記バッテリの端子電圧とに基づいて、該バッテリの前記任意の時点における内部抵抗値である開始後抵抗値を求める開始後抵抗値演算手段と、前記開始時抵抗値演算手段により求められた前記開始時抵抗値と前記開始後抵抗値演算手段により求められた前記開始後抵抗値との差分である差分抵抗値を求める差分抵抗値演算手段と、前記バッテリに固有の該バッテリの満充電状態における内部抵抗値である満充電時抵抗値を保持する満充電時抵抗値保持手段と、前記満充電時抵抗値保持手段により保持されている前記満充電時抵抗値に対する、前記差分抵抗値演算手段により求められた前記差分抵抗値の割合を求める抵抗値割合演算手段とを備えており、前記抵抗値割合演算手段により求められた、前記満充電時抵抗値に対する前記差分抵抗値の割合に基づいて、前記任意の時点における前記バッテリの充電効率を検出する構成とした。
【0184】
このため、請求項1に記載した本発明のバッテリの充電効率検出方法と、請求項5に記載した本発明のバッテリの充電効率検出装置とのいずれによっても、充電中に測定可能なバッテリの端子電圧とそれに対応する充電電流とを用いて、任意の時点におけるバッテリの充電効率を、バッテリの充電状態の変化に伴うガス化現象による電気量の充電、蓄積ロスの発生の影響を加味して、正確に検出することができる。
【0185】
さらに、請求項2に記載した本発明のバッテリの充電効率検出方法によれば、請求項1に記載した本発明のバッテリの充電効率検出方法において、前記任意の時点における前記バッテリの充電効率の理想値からの低下分を示す値として前記満充電時抵抗値に対する前記差分抵抗値の割合を求め、前記任意の時点における前記バッテリの充電効率を示す値として、前記満充電時抵抗値に対する前記差分抵抗値の割合を1から減じた値を求めることで、前記任意の時点における前記バッテリの充電効率を検出するようにした。
【0186】
また、請求項6に記載した本発明のバッテリの充電効率検出装置によれば、請求項5に記載した本発明のバッテリの充電効率検出装置において、前記抵抗値割合演算手段が、前記任意の時点における前記バッテリの充電効率の理想値からの低下分を示す値として、前記満充電時抵抗値満充電時抵抗値に対する前記差分抵抗値の割合を求めるように構成されており、前記任意の時点における前記バッテリの充電効率を示す値として、前記満充電時抵抗値に対する前記差分抵抗値の割合を1から減じた値を求めることで、前記任意の時点における前記バッテリの充電効率を検出する構成とした。
【0187】
このため、請求項2に記載した本発明のバッテリの充電効率検出方法によれば、請求項1に記載した本発明のバッテリの充電効率検出方法において、また、請求項6に記載した本発明のバッテリの充電効率検出装置によれば、請求項5に記載した本発明のバッテリの充電効率検出装置において、いずれも、充電中に測定可能なバッテリの端子電圧とそれに対応する充電電流とを用いて、任意の時点におけるバッテリの充電効率の理想値からの低下分を示す値を求め、これに基づいて、任意の時点におけるバッテリの充電効率を正確に検出することができる。
【0188】
さらに、請求項3に記載した本発明のバッテリの充電電気量検出方法によれば、請求項1又は2に記載したバッテリの充電効率検出方法によって、前記バッテリの充電開始時点から充電終了時点に亘って繰り返し連続して検出した前記バッテリの充電効率に基づいて、前記充電開始時点から充電終了時点に亘る充電により前記バッテリに蓄積された充電電気量を検出するようにした。
【0189】
また、請求項7に記載した本発明のバッテリの充電電気量検出装置によれば、請求項5又は6に記載したバッテリの充電効率検出装置を備えており、該バッテリの充電効率検出装置によって、前記バッテリの充電開始時点から充電終了時点に亘って繰り返し連続して検出した前記バッテリの充電効率に基づいて、前記充電開始時点から充電終了時点に亘る充電により前記バッテリに蓄積された充電電気量を検出する構成とした。
【0190】
このため、請求項3に記載した本発明のバッテリの充電電気量検出方法と、請求項6に記載した本発明のバッテリの充電電気量検出装置とのいずれによっても、バッテリの充電開始時点から充電終了時点に亘る単位時間当たりの、バッテリに流れこんだ総電気量のうち起電力として現実にバッテリに充電、蓄積された電気量を正確に求め、それらを積算することによって、バッテリの充電開始時点から充電終了時点に亘ってバッテリに実際に充電、蓄積された電気量を、正確に検出することができる。
【0191】
さらに、請求項4に記載した本発明のバッテリの充電電気量検出方法によれば、請求項3に記載した本発明のバッテリの充電電気量検出方法において、前記充電開始時点が、前記バッテリの電極に不動態膜が形成されていない電極の活性状態からの充電動作の開始時点であり、前記バッテリの充電電流の経時変化のパターンに基づいて、該バッテリの電極が前記活性状態にあるか否かを判別し、前記活性状態においては、充電により前記バッテリに蓄積された充電電気量を、請求項1又は2に記載したバッテリの充電効率検出方法によって前記バッテリの充電開始時点から充電終了時点に亘って繰り返し連続して検出した該バッテリの充電効率に基づいて検出し、前記活性状態に至る前の、前記バッテリの電極に不動態膜が形成されている状態における、該不動態膜の充電動作による破壊が進行している電極の過渡期間においては、前記バッテリの充電電流に、該充電電流による充電時間を乗じて求めた充電電気量を積算することで、前記過渡期間における充電により前記バッテリに蓄積された充電電気量を検出するようにした。
【0192】
また、請求項8に記載した本発明のバッテリの充電電気量検出装置によれば、請求項7に記載した本発明のバッテリの充電電気量検出装置において、前記充電開始時点が、前記バッテリの電極に不動態膜が形成されていない活性状態からの充電動作の開始時点であり、前記電流・電圧測定手段により測定された前記バッテリの充電電流の経時変化のパターンに基づいて、該バッテリの電極が前記活性状態にあるか否かを判別する活性状態判別手段をさらに備えており、前記バッテリの電極が前記活性状態にあると前記活性状態判別手段が判別している状態においては、充電により前記バッテリに蓄積された充電電気量を、請求項5又は6に記載したバッテリの充電効率検出装置によって前記バッテリの充電開始時点から充電終了時点に亘って繰り返し連続して検出した該バッテリの充電効率に基づいて検出するように構成されていると共に、さらに、前記電流・電圧測定手段により測定された前記バッテリの充電電流に該充電電流による充電時間を乗じて、単位時間当たりの充電電気量を周期的に求める過渡期間充電電気量割出手段を備えており、前記バッテリの電極が前記活性状態にないと前記活性状態判別手段が判別している状態においては、前記過渡期間充電電気量割出手段により周期的に求められた前記単位時間当たりの充電電気量を積算することで、前記不動態膜の充電動作による破壊が進行している電極の過渡期間における充電により前記バッテリに蓄積された充電電気量を検出する構成とした。
【0193】
このため、請求項4に記載した本発明のバッテリの充電電気量検出方法によれば、請求項3に記載した本発明のバッテリの充電電気量検出方法において、また、請求項8に記載した本発明のバッテリの充電電気量検出装置によれば、請求項7に記載した本発明のバッテリの充電電気量検出装置において、バッテリの充電の開始前の段階で、バッテリの電極の表面に絶縁性の不動態膜が形成されている場合に、充電のためにバッテリに印加される電圧に見合った本来の値に比べて充電電流が不動態膜の存在により低くなり、ガス化の発生による充電効率の低下が発生しないと見倣すことのできる、不動態膜が電極への通電により完全に破壊されるまでの電極が活性状態にない過渡期間についても、バッテリに充電される電気量を、充電効率の低下がないと見倣すことができるという状況に応じて正確に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のバッテリの充電効率検出装置及びバッテリ充電電気量検出装置の基本構成図である。
【図2】本発明のバッテリの充電効率検出方法を適用したバッテリ充電効率検出装置を内包する、本発明のバッテリの充電電気量検出方法を適用した本発明の一実施形態に係る車載用バッテリ充電電気量検出装置の概略構成を一部ブロックにて示す説明図である。
【図3】充電時間と充電電流との関係を示すグラフである。
【図4】充電開始時点におけるバッテリの等価回路である。
【図5】充電開始後におけるバッテリの等価回路である。
【図6】図2の車載用バッテリ充電電気量検出装置を用いて充電電気量を検出するバッテリにおいて発生する充放電電流の経時変化を示すグラフである。
【図7】1次近似式で表したバッテリの電圧−電流特性の一例を示すグラフである。
【図8】2次近似式で表したバッテリの電圧−電流特性の一例を示すグラフである。
【図9】電流に対する分極の変化の一例を示すグラフである。
【図10】1回の放電によって得られる2つの2次の近似曲線式で表される近似特性曲線の一例を示すグラフである。
【図11】2つの近似特性曲線上への2つの任意の点の定め方を説明するためのグラフである。
【図12】一方の近似特性曲線に定めた点に対する想定点の定め方と2点間の傾斜の補正の仕方とを説明するためのグラフである。
【図13】他方の近似特性曲線に定めた点に対する想定点の定め方と2点間の傾斜の補正の仕方とを説明するためのグラフである。
【図14】図2のマイクロコンピュータのROMに格納された制御プログラムに従いCPUが行う処理を示すフローチャートである。
【図15】図2のマイクロコンピュータのROMに格納された制御プログラムに従いCPUが行う処理を示すフローチャートである。
【図16】バッテリの純抵抗を測定する他の手順において、2つの近似特性曲線上への2つの点の定め方を説明するためのグラフである。
【図17】バッテリの純抵抗を測定する他の手順において、一方の近似特性曲線に定めた点に対する想定点の定め方と2点間の傾斜の補正の仕方とを説明するためのグラフである。
【図18】バッテリの純抵抗を測定する他の手順において、他方の近似特性曲線に定めた点に対する想定点の定め方と2点間の傾斜の補正の仕方とを説明するためのグラフである。
【符号の説明】
13 バッテリ
23 マイクロコンピュータ
23a CPU
23b RAM
23c ROM
23A 開始時抵抗値演算手段
23B 開始後抵抗値演算手段
23C 差分抵抗値演算手段
23D 抵抗値割合演算手段
23E 活性状態判別手段
23F 過渡期間充電電気量割出手段
23cA 満充電時抵抗値保持手段
A 電流・電圧測定手段
Claims (8)
- 負荷に電力を供給するバッテリの充電開始から充電終了までの任意の時点について、該バッテリに流れこんだ総電気量のうち、起電力として前記バッテリに充電される電気量の割合である充電効率を検出するに当たり、
前記バッテリの充電開始時点における内部抵抗値である開始時抵抗値と、該バッテリの充電開始後から充電終了までの任意の時点における内部抵抗値である開始後抵抗値とを、各時点において測定される前記バッテリの端子電圧と充電電流とを用いて各々求め、
前記開始時抵抗値と前記開始後抵抗値との差分である差分抵抗値を求め、
前記バッテリに固有の該バッテリの満充電状態における内部抵抗値である満充電時抵抗値に対する前記差分抵抗値の割合を求め、
前記満充電時抵抗値に対する前記差分抵抗値の割合に基づいて、前記任意の時点における前記バッテリの充電効率を検出するようにした、
ことを特徴とするバッテリの充電効率検出方法。 - 前記任意の時点における前記バッテリの充電効率の理想値からの低下分を示す値として前記満充電時抵抗値に対する前記差分抵抗値の割合を求め、前記任意の時点における前記バッテリの充電効率を示す値として、前記満充電時抵抗値に対する前記差分抵抗値の割合を1から減じた値を求めることで、前記任意の時点における前記バッテリの充電効率を検出するようにした請求項1記載のバッテリの充電効率検出演算方法。
- 請求項1又は2に記載のバッテリの充電効率検出方法によって、前記バッテリの充電開始時点から充電終了時点に亘って繰り返し連続して検出した前記バッテリの充電効率に基づいて、前記充電開始時点から充電終了時点に亘る充電により前記バッテリに蓄積された充電電気量を検出するようにした、
ことを特徴とするバッテリの充電電気量検出方法。 - 前記充電開始時点は、前記バッテリの電極に不動態膜が形成されていない電極の活性状態からの充電動作の開始時点であり、前記バッテリの充電電流の経時変化のパターンに基づいて、該バッテリの電極が前記活性状態にあるか否かを判別し、前記活性状態においては、充電により前記バッテリに蓄積された充電電気量を、請求項1又は2に記載のバッテリの充電効率検出方法によって前記バッテリの充電開始時点から充電終了時点に亘って繰り返し連続して検出した前記バッテリの充電効率に基づいて検出し、前記活性状態に至る前の、前記バッテリの電極に不動態膜が形成されている状態における、該不動態膜の充電動作による破壊が進行している電極の過渡期間においては、前記バッテリの充電電流に、該充電電流による充電時間を乗じて求めた充電電気量を積算することで、前記過渡期間における充電により前記バッテリに蓄積された充電電気量を検出するようにした請求項3記載のバッテリの充電電気量検出方法。
- 負荷に電力を供給するバッテリの充電開始から充電終了までの任意の時点について、該バッテリに流れこんだ総電気量のうち、起電力として前記バッテリに充電される電気量の割合である充電効率を検出するバッテリの充電効率検出装置であって、
前記バッテリの充電電流と該充電電流に対応する前記バッテリの端子電圧とを測定する電流・電圧測定手段と、
前記バッテリの充電開始時点において前記電流・電圧測定手段により測定された、該バッテリの充電電流と該充電電流に対応する前記バッテリの端子電圧とに基づいて、該バッテリの充電開始時点における内部抵抗値である開始時抵抗値を求める開始時抵抗値演算手段と、
前記任意の時点において前記電流・電圧測定手段により測定された、前記バッテリの充電電流と該充電電流に対応する前記バッテリの端子電圧とに基づいて、該バッテリの前記任意の時点における内部抵抗値である開始後抵抗値を求める開始後抵抗値演算手段と、
前記開始時抵抗値演算手段により求められた前記開始時抵抗値と前記開始後抵抗値演算手段により求められた前記開始後抵抗値との差分である差分抵抗値を求める差分抵抗値演算手段と、
前記バッテリに固有の該バッテリの満充電状態における内部抵抗値である満充電時抵抗値を保持する満充電時抵抗値保持手段と、
前記満充電時抵抗値保持手段により保持されている前記満充電時抵抗値に対する、前記差分抵抗値演算手段により求められた前記差分抵抗値の割合を求める抵抗値割合演算手段とを備えており、
前記抵抗値割合演算手段により求められた、前記満充電時抵抗値に対する前記差分抵抗値の割合に基づいて、前記任意の時点における前記バッテリの充電効率を検出する、
ことを特徴とするバッテリの充電効率検出装置。 - 前記抵抗値割合演算手段は、前記任意の時点における前記バッテリの充電効率の理想値からの低下分を示す値として、前記満充電時抵抗値に対する前記差分抵抗値の割合を求めるように構成されており、前記任意の時点における前記バッテリの充電効率を示す値として、前記満充電時抵抗値に対する前記差分抵抗値の割合を1から減じた値を求めることで、前記任意の時点における前記バッテリの充電効率を検出する請求項5記載のバッテリの充電効率検出演算装置。
- 請求項5又は6に記載のバッテリの充電効率検出装置を備えており、該バッテリの充電効率検出装置によって、前記バッテリの充電開始時点から充電終了時点に亘って繰り返し連続して検出した前記バッテリの充電効率に基づいて、前記充電開始時点から充電終了時点に亘る充電により前記バッテリに蓄積された充電電気量を検出する、
ことを特徴とするバッテリの充電電気量検出装置。 - 前記充電開始時点は、前記バッテリの電極に不動態膜が形成されていない活性状態からの充電動作の開始時点であり、前記電流・電圧測定手段により測定された前記バッテリの充電電流の経時変化のパターンに基づいて、該バッテリの電極が前記活性状態にあるか否かを判別する活性状態判別手段をさらに備えており、前記バッテリの電極が前記活性状態にあると前記活性状態判別手段が判別している状態においては、充電により前記バッテリに蓄積された充電電気量を、請求項5又は6に記載のバッテリの充電効率検出装置によって前記バッテリの充電開始時点から充電終了時点に亘って繰り返し連続して検出した前記バッテリの充電効率に基づいて検出するように構成されていると共に、さらに、前記電流・電圧測定手段により測定された前記バッテリの充電電流に該充電電流による充電時間を乗じて、単位時間当たりの充電電気量を周期的に求める過渡期間充電電気量割出手段を備えており、前記バッテリの電極が前記活性状態にないと前記活性状態判別手段が判別している状態においては、前記過渡期間充電電気量割出手段により周期的に求められた前記単位時間当たりの充電電気量を積算することで、前記不動態膜の充電動作による破壊が進行している電極の過渡期間における充電により前記バッテリに蓄積された充電電気量を検出する請求項7記載のバッテリの充電電気量検出装置。
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