JP2004085574A - バッテリの充電状態推定方法およびその装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】精度良く充放電後の充電状態を推定できるバッテリの充電状態推定方法およびその装置を提供すること。
【解決手段】バッテリ13の充放電後の充電状態を推定する装置であって、バッテリ13の充放電電流を間欠的に検出する電流センサ15と、バッテリ13の端子電圧を検出する電圧センサ17と、放電時には、電流センサ15で検出された放電電流の時間積を放電開始前の電気量に積算することによって放電後のバッテリの充電状態を推定し、充電時には、電流センサ15で検出された充電電流の時間積にリアルタイム充電効率を乗じて、充電開始前の電気量に積算することによって充電後のバッテリの充電状態を推定する電気量増減算出手段23aとを備えている。
【選択図】図1
【解決手段】バッテリ13の充放電後の充電状態を推定する装置であって、バッテリ13の充放電電流を間欠的に検出する電流センサ15と、バッテリ13の端子電圧を検出する電圧センサ17と、放電時には、電流センサ15で検出された放電電流の時間積を放電開始前の電気量に積算することによって放電後のバッテリの充電状態を推定し、充電時には、電流センサ15で検出された充電電流の時間積にリアルタイム充電効率を乗じて、充電開始前の電気量に積算することによって充電後のバッテリの充電状態を推定する電気量増減算出手段23aとを備えている。
【選択図】図1
Description
本発明は、車両に搭載されている負荷に電力を供給するため車両に搭載されたバッテリの充放電後の充電状態を推定する方法およびその装置に関する。
一般に、車載バッテリでは、非劣化バッテリについて、満充電時の開回路電圧と、放電終止開回路電圧と、満充電開回路電圧から放電終止開回路電圧まで放電可能な初期電気量とが予め定められており、満充電開回路電圧、放電終止開回路電圧及び初期電気量に基づいて、任意の開回路電圧に対応する充電状態、或いは、充電状態に対応する開回路電圧を推定することができるようになっている。
バッテリは、起電力E0 と内部インピーダンスR0 との直列回路で等価回路が表されるが、その状態を把握するためのパラメータの一つに、満充電開回路電圧から放電終止開回路電圧まで放電可能な初期電気量として、充電の状態を示す充電容量SOC(State of Carge)がある。充電状態SOCは、満充電状態でのAh値を100%として、相対的な容量である%又は絶対的な容量であるAhで表される。この充電状態SOCは、電解液比重と比例関係にある平衡状態にあるバッテリ、すなわち、充放電に伴ってバッテリ内に発生する分極が解消した状態にあるバッテリ端子の開放電圧であって、起電力E0 に等しい開回路電圧(Open Circuit Voltage(OCV))を実測または推定して求め、求められたOCVに基づいて推定することができる。
SOCを%表示したときには、SOC対OCVの関係を示す図35のように、設計時のSOC(Ah)は満充電開回路電圧から放電終止開回路電圧までの関係、すなわち、SOC(%)のAh換算値に常に等しくなる。
ところで、各バッテリには、内部インピーダンスとして、充電状態によって変化する基準内部抵抗値が明らかにされている。この基準内部抵抗値は、所定値の放電をしたとき、バッテリ端子に現れる端子電圧が放電終止開回路電圧値以下になるかどうかを把握するために利用され、例えば、開回路電圧が所定値以下に低下したとき、放電を止めて充電に切り替えるなどの制御を行うために利用される。
しかし、バッテリが劣化すると、内部インピーダンスが基準内部抵抗値よりも増大するという現象が発生する。そして、放電時のバッテリ内での電圧降下が増加する分、バッテリの端子電圧が低下してしまい、所定値の放電を行ったときに、必要なバッテリ端子電圧が得られなくなることが起きる。そして、未だ十分に容量があるとして使用していたバッテリでも、エンジン停止した後に再始動しようとした際に、エンジンを始動できなくなるような事態を招きかねない。
すなわち、バッテリが放電することができる放電可能容量(ADC)が、劣化による内部インピーダンスの増大によって減少することが知られており、従って、劣化による内部インピーダンスの増加を把握して放電可能容量を補正することが考えられている。
しかしながら、上述したように、劣化による内部インピーダンスの増加を把握して放電可能容量を補正することを行っても、所定値の放電を行ったときに、必要なバッテリ端子電圧が得られなくなり、エンジンを始動できなくなるような事態が起こりかねない。
このような問題に対し、従来は、劣化による内部インピーダンスの増加分を正確に把握しきれていないとして理解し、この不正確さをマージン(余裕度)を大きくすることで対応していた。しかし、このマージンを大きくすると、バッテリの能力を十分に引き出す上で障害になり、例えばハイブリット車両においては、バッテリを早めに充電側に切り替えることが必要になり、結果として車両の燃費効率を低下させることになる。
また、バッテリの劣化として、上述した内部インピーダンスの増大だけでなく、電解液の減少による劣化が発生することが知られている。
このような劣化の場合、図35に示すように、SOC対OCVの関係が劣化の生じていない非劣化のものと異なるようになり、満充電開回路電圧に対応する電気量が小さくなる。これに対し、バッテリの内部インピーダンスが増加するような劣化では、SOC対OCVの関係は劣化のないものと変わらない。そして、劣化の生じているバッテリでは、そのOCVを、劣化のないバッテリと同じようにAh値変換すると、実際のAh値よりも高めになる。
このように、実際のAh値よりも高めになり、Ah値が正確に把握できていないと、バッテリ使用中の充放電電流を積算して時事刻々変化するSOCに基づいて、逆にOCVを正確に推定することができなくなり、未だ十分に容量があるとして使用していたバッテリでも、エンジン停止した後に再始動しようとした際に、エンジンを始動できなくなるような事態を招きかねない。
また、従来、バッテリにおいて充放電が繰り返される場合、充放電電流を一定時間間隔で測定し、測定した充放電電流に一定時間を乗じた時間積によって充放電時の電気量(SOCn)を推定することできる。このようにバッテリにおいて充放電が繰り返される場合、特に、バッテリが鉛バッテリの場合には、充電の受け入れ性が悪い。その理由は、充電電気量に対して、電極表面と電解液のイオンの受け渡し速度が追いつかない場合、充電電流の一部は電解液中にイオンの反応を経ないで直接流れ出し、ガッシング(電解液中の水が電気分解されてガスが発生すること)により、充電効率が低下するからである。
従来、充放電電流の電流積算によってSOCを検知する場合、充電効率は、バッテリのおかれた環境やSOCのレベル、劣化度を加味して、データテーブルにより補正するのが一般的であり、この充電効率を充電時の電流積算値に当てはめる等の方法がある。しかし、このデータテーブル方式は、全てのバッテリに一致するとは保証できず、精度良くSOCを推定することができない。
そこで本発明は、上述した従来の問題点に鑑み、精度良く充放電後の充電状態を推定できるバッテリの充電状態推定方法およびその装置を提供することを目的としている。
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の発明は、バッテリの充放電後の充電状態を推定する方法であって、放電時には、放電に伴って流れる放電電流を間欠的に測定し、該測定した放電電流の時間積を放電開始前の電気量に積算することによって放電後のバッテリの充電状態を推定し、充電時には、充電に伴って流れる充電電流を間欠的に測定し、該測定した充電電流の時間積にリアルタイム充電効率を乗じて、充電開始前の電気量に積算することによって充電後のバッテリの充電状態を推定することを特徴とする。
上記課題を解決するためになされた請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記リアルタイム充電効率は、前記バッテリの充電開始から充電終了までの任意の時点において、起電力として前記バッテリに流れこんだ総電気量のうち、起電力として前記バッテリに充電される電気量の割合であることを特徴とする。
上記課題を解決するためになされた請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記リアルタイム充電効率は、前記バッテリの満充電状態における内部抵抗値に対する、前記バッテリの充電開始時点における内部抵抗値と前記バッテリの充電開始後から充電終了までの任意の時点における内部抵抗値との差の割合に基づいて求めることを特徴とする。
上記課題を解決するためになされた請求項4記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記リアルタイム充電効率は、前記バッテリの充電開始時点における内部抵抗値である開始時抵抗値と、該バッテリの充電開始後から充電終了までの任意の時点における内部抵抗値である開始後抵抗値とを、各時点において測定される前記バッテリの端子電圧と充電電流とを用いて各々求め、前記開始後抵抗値と前記開始時抵抗値との差分である差分抵抗値を求め、前記バッテリに固有の該バッテリの満充電状態における内部抵抗値である満充電時抵抗値に対する差分抵抗値の割合を求め、前記満充電時抵抗値に対する前記差分抵抗値の割合に基づいて求めることを特徴とする。
上記課題を解決するためになされた請求項5記載の発明は、バッテリの充放電後の充電状態を推定する装置であって、前記バッテリの充放電電流を間欠的に検出する電流センサと、前記バッテリの端子電圧を検出する電圧センサと、放電時には、前記電流センサで検出された放電電流の時間積を放電開始前の電気量に積算することによって放電後のバッテリの充電状態を推定し、充電時には、前記電流センサで検出された充電電流の時間積にリアルタイム充電効率を乗じて、充電開始前の電気量に積算することによって充電後のバッテリの充電状態を推定する電気量増減算出手段とを備えていることを特徴とする。
上記課題を解決するためになされた請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明において、前記リアルタイム充電効率は、前記バッテリの充電開始から充電終了までの任意の時点について、起電力として前記バッテリに流れこんだ総電気量のうち、起電力として前記バッテリに充電される電気量の割合であることを特徴とする。
上記課題を解決するためになされた請求項7記載の発明は、請求項5記載の発明において、前記リアルタイム充電効率は、前記バッテリの満充電状態における内部抵抗値に対する、前記バッテリの充電開始時点における内部抵抗値と前記バッテリの充電開始後から充電終了までの任意の時点における内部抵抗値との差の割合に基づいて求められることを特徴とする。
上記課題を解決するためになされた請求項8記載の発明は、請求項5記載の発明において、前記リアルタイム充電効率は、前記バッテリの充電開始時点における内部抵抗値である開始時抵抗値と、該バッテリの充電開始後から充電終了までの任意の時点における内部抵抗値である開始後抵抗値とを、各時点において前記電流センサおよび前記電圧センサで測定される前記バッテリの端子電圧と充電電流とを用いて各々求め、前記開始後抵抗値と前記開始時抵抗値との差分である差分抵抗値を求め、前記バッテリに固有の該バッテリの満充電状態における内部抵抗値である満充電時抵抗値に対する差分抵抗値の割合を求め、前記満充電時抵抗値に対する前記差分抵抗値の割合に基づいて求められることを特徴とする。
請求項1記載の発明によれば、バッテリの充放電後の充電状態を精度良く推定できる。
請求項2記載の発明によれば、任意の時点においてリアルタイムに求められるリアルタイム充電効率により、バッテリの充放電後の充電状態を精度良く推定することができる。
請求項3記載の発明によれば、より一層正確にバッテリの充放電後の充電状態を推定することができる。
請求項4記載の発明によれば、より一層正確にバッテリの充放電後の充電状態を推定することができる。
請求項5記載の発明によれば、バッテリの充放電後の充電状態を精度良く推定できる。
請求項6記載の発明によれば、任意の時点においてリアルタイムに求められるリアルタイム充電効率により、バッテリの充放電後の充電状態を精度良く推定することができる。
請求項7記載の発明によれば、より一層正確にバッテリの充放電後の充電状態を推定することができる。
請求項8記載の発明によれば、より一層正確にバッテリの充放電後の充電状態を推定することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る、バッテリの充電状態推定方法を実施する充電状態推定装置と、開回路電圧推定方法を実施する開回路電圧推定装置と、充電状態及び開回路電圧をより精度良く推定するために使用する劣化度を算出する劣化度算出方法を実施する劣化度算出装置をそれぞれ組み込んでなる車載バッテリ管理装置の概略構成を一部ブロックにて示す説明図である。
図1において、車載用バッテリ管理装置1は、エンジン3に加えてモータジェネレータ5を有するハイブリッド車両に搭載されている。
そして、このハイブリッド車両は、通常時はエンジン3の出力のみをドライブシャフト7からディファレンシャルケース9を介して車輪11に伝達して走行させ、高負荷時には、例えば鉛バッテリからなるバッテリ13からの電力によりモータジェネレータ5をモータとして機能させて、エンジン3の出力に加えてモータジェネレータ5の出力をドライブシャフト7から車輪11に伝達し、アシスト走行を行わせるように構成されている。
また、このハイブリッド車両は、減速時や制動時にモータジェネレータ5をジェネレータ(発電機)として機能させ、運動エネルギを電気エネルギに変換してバッテリ13を充電させるように構成されている。
なお、モータジェネレータ5はさらに、図示しないスタータスイッチのオンに伴うエンジン3の始動時に、エンジン3のフライホイールを強制的に回転させるセルモータとして用いられるが、その場合にモータジェネレータ5には、短時間に大きな電流が流される。スタータスイッチのオンによりモータジェネレータ5によってエンジン3が始動されると、イグニッションキー(図示せず。)の操作解除に伴って、スタータスイッチがオフになってイグニッションスイッチやアクセサリスイッチのオン状態に移行し、これに伴ってバッテリ13から流れる放電電流は、定常電流に移行する。
本実施形態の車載バッテリ管理装置1は、アシスト走行用のモータやセルモータとして機能するモータジェネレータ5等、電装品に対するバッテリ13の放電電流Iや、ジェネレータとして機能するモータジェネレータ5からのバッテリ13に対する充放電電流を検出する電流センサ15と、バッテリ13に並列接続した1Mオーム程度の抵抗を有し、バッテリ13の端子電圧Vを検出する電圧センサ17とを備えている。
また、本実施形態の車載バッテリ管理装置1は、上述した電流センサ15及び電圧センサ17の出力がインタフェース回路(以下、「I/F」と略記する。)21におけるA/D変換後に取り込まれるマイクロコンピュータ(以下、「マイコン」と略記する。)23をさらに備えている。
そして、前記マイコン23は、CPU23a、RAM23b、及び、ROM23cを有しており、このうち、CPU23aには、RAM23b及びROM23cの他、前記I/F21が接続されており、また、上述した図示しないスタータスイッチ、イグニッションスイッチやアクセサリスイッチ、モータジェネレータ5以外の電装品(負荷)のスイッチ等が、さらに接続されている。
前記RAM23bは、各種データ記憶用のデータエリア及び各種処理作業に用いるワークエリアを有しており、前記ROM23cには、CPU23aに各種処理動作を行わせるための制御プログラムが格納されている。
ROM23cには、各種データが書き込み読み出し自在に記録され、記録されたデータを電源なしに保持する図示しない不揮発性のメモリを有し、ここには、バッテリに関する各種の基礎的なデータと、更新データとが保持されるようになっている。たとえば、不揮発性メモリには、非劣化時(新品時または設計時)のバッテリ13における満充電開回路電圧(OCVf)(ボルトで表される)、放電終止開回路電圧(OCVe)(ボルトで表される)、および満充電開回路電圧OCVfと放電終止開回路電圧OCVeとの間で充放電可能な総電気量である初期電気量(SOCf)(アンペア・アワー(Ah)で表わされる)等の基礎的なデータが予め保持されている。
また、ROM23cには、ハイブリッド車両への搭載時点、つまり新品時(非劣化時)におけるバッテリ13の満充電時の純抵抗Rfと分極抵抗Rpolf成分(活性化、濃度)との合計の値、すなわち(Rf+Rpolf)が、バッテリ13の固有の満充電時抵抗値RF として予め格納されている。
なお、上述した電流センサ15及び電圧センサ17の出力である電流値及び電圧値は、I/F21を介してマイコン23のCPU23aに取り込まれる。
上述の構成を有する車載用バッテリ管理装置1において、まず、バッテリ13の充電状態及び開回路電圧を推定する方法と劣化度を算出する方法の概略を説明する。
一般に、設計時のバッテリ13、すなわち、非劣化時のバッテリ13については、V(ボルト)で表される満充電時開回路電圧OCVf及び放電終止開回路電圧OCVeと、満充電時開回路電圧OCVfと放電終止開回路電圧OCVeとの間で充放電可能な総電気量をAh(アンペア・時間)で表す初期電気量である充電状態SOCfとを予め定めることができる。これらの関係から、任意時点の開回路電圧が分かれば、その開回路電圧に対応する電気量である充電状態が分かることになり、逆に、任意時点において充電状態が分かっているときには、それに対応する開回路電圧が分かるようになる。
しかし、バッテリ13の劣化が生じたときには、満充電開回路電圧と放電終止開回路電圧との間で充放電可能なAh(アンペア・時間)で表される総電気量である充電状態SOCfが、非劣化時の初期電気量よりも小さくなり、任意時点の開回路電圧が分かっても、その開回路電圧に対応する電気量である充電状態が分からなくなり、また、任意時点において充電状態が分かっていても、それに対応する開回路電圧が分からなくなる。
従って、任意時点でのバッテリ13の充放電可能な総電気量(すなわち、満充電時時開回路電圧と放電終止開回路電圧との間で充放電可能な総電気量)の、非劣化時のバッテリ13における充放電可能な総電気量である初期電気量に対する変化の割合を劣化度として算出しておけば、任意の開回路電圧に対応する電気量に劣化度を乗じて任意時点のバッテリ13の充電状態を推定することができ、逆に、任意の電気量に対応する開回路電圧を劣化度により補正して任意時点のバッテリ13の開回路電圧を推定することができる。
すなわち、バッテリ13の充放電の開始時に、開回路電圧を事前に推定または実測しておき、充放電停止時にも開回路電圧を推定または実測することによって、非劣化時のバッテリ13について予め定められた満充電時開回路電圧OCVfと放電終止開回路電圧OCVeとの間で充放電可能な総電気量である初期電気量に基づいて算出される充放電に伴う任意の電気量の増減に対応する開回路電圧の増減の、任意の電気量の増減に対応して任意時点のバッテリ13において実際に発生する開回路電圧の増減に対する割合を劣化度として算出することができる。
次に、バッテリ13における劣化について詳しく説明する。劣化は、以下のように劣化モード1〜4の4パターンがある。
〔劣化モード1(正極活物質PbO2 と負極活物質Pbが減少した場合)〕
図2(A)および(B)は、正極のPbO2 と負極のPbの活物質が減少した場合の例を示す。ここでは、電解液中のH2 SO4 の減少はない場合を示している。この劣化モード1の場合、H2 SO4 は、設計値と同じなため、図2(B)に示すように、SOCに対する設計値のOCV特性(実線)の傾きと、劣化モード1による劣化時のOCV特性(点線)の傾きは同じである。
図2(A)および(B)は、正極のPbO2 と負極のPbの活物質が減少した場合の例を示す。ここでは、電解液中のH2 SO4 の減少はない場合を示している。この劣化モード1の場合、H2 SO4 は、設計値と同じなため、図2(B)に示すように、SOCに対する設計値のOCV特性(実線)の傾きと、劣化モード1による劣化時のOCV特性(点線)の傾きは同じである。
しかし、図2(A)に示すように、活物質の利用範囲は、設計値と異なることが考えられる。活物質は、通常の場合、利用範囲の1.5倍程度多く設計されていることから考えると、クーロン量を示すSOC(Ah)およびSOC(%)は、正極および負極の活物質の減少によって影響を受けないと考えられる。
ただし、活物質が減少したことによって、内部抵抗の上昇が考えられるため、放電可能容量ADC(Ah)の低下が予想される。したがって、内部抵抗の増加を監視することによって、ADC(Ah)の推定ができる。
〔劣化モード2(電解液中のH2 SO4 が減少した場合)〕
図3は、電解液中のH2 SO4 が減少した場合のSOCに対するOCV特性を示す。H2 SO4 が減少した場合、満充電OCVが低くなる。すなわち、劣化モード2による劣化時のOCV特性(点線)は、設計値のOCV特性(実線)の傾きと同じであるが、その劣化時の満充電OCVが非劣化時の満充電OCVより低くなっている。
図3は、電解液中のH2 SO4 が減少した場合のSOCに対するOCV特性を示す。H2 SO4 が減少した場合、満充電OCVが低くなる。すなわち、劣化モード2による劣化時のOCV特性(点線)は、設計値のOCV特性(実線)の傾きと同じであるが、その劣化時の満充電OCVが非劣化時の満充電OCVより低くなっている。
〔劣化モード3(サルフェーション(PbSO4 )発生の場合(正極活物質PbO2 と負極活物質Pbと電解液中のH2 SO4 が減少した場合))〕
図4は、サルフェーション現象により電極表面上にPbSO4 が析出した場合のSOCに対するOCV特性を示す。サルフェーションが影響を与える特性は、満充電電圧の低下と内部抵抗の増加によるADC(Ah)の減少である。すなわち、バッテリの長期間放置による自己放電により正極活物質PbO2 と負極活物質Pbが硫酸鉛(PbSO4 )化するサルフェーション現象が発生した場合、正極活物質PbO2 と負極活物質Pbと電解液中のH2 SO4 が減少し、満充電OCVが、新品時の値よりも低くなるというバッテリの劣化が起こる。劣化モード3による劣化時のOCV特性(点線)は、設計値のOCV特性(実線)の傾きと同じであるが、その劣化時の満充電OCVが非劣化時の満充電OCVより低くなっている。市場におけるバッテリ劣化要因のほとんどが、この劣化モード3によるものである。
図4は、サルフェーション現象により電極表面上にPbSO4 が析出した場合のSOCに対するOCV特性を示す。サルフェーションが影響を与える特性は、満充電電圧の低下と内部抵抗の増加によるADC(Ah)の減少である。すなわち、バッテリの長期間放置による自己放電により正極活物質PbO2 と負極活物質Pbが硫酸鉛(PbSO4 )化するサルフェーション現象が発生した場合、正極活物質PbO2 と負極活物質Pbと電解液中のH2 SO4 が減少し、満充電OCVが、新品時の値よりも低くなるというバッテリの劣化が起こる。劣化モード3による劣化時のOCV特性(点線)は、設計値のOCV特性(実線)の傾きと同じであるが、その劣化時の満充電OCVが非劣化時の満充電OCVより低くなっている。市場におけるバッテリ劣化要因のほとんどが、この劣化モード3によるものである。
〔劣化モード4(H2 SO4 とH2 Oの減少の場合)〕
図5は、電解液中のH2 SO4 とH2 Oの減少が同時発生した場合のSOCに対するOCV特性を示す。ここでは、電解液比重の変化量が設計値と比較して大きくなることを示している。すなわち、SOCに対するOCV特性の傾きが変化していることになる。この劣化モード4による劣化時のOCV特性(点線)の傾きは、設計値(非劣化時)のOCV特性(実線)の傾きと異なっている。すなわち、劣化時の傾きは、非劣化時の傾きより大きくなる。また、この劣化モード4による劣化時のOCV特性(点線)は、その劣化時の満充電OCVが非劣化時の満充電OCVより高くなっている。
図5は、電解液中のH2 SO4 とH2 Oの減少が同時発生した場合のSOCに対するOCV特性を示す。ここでは、電解液比重の変化量が設計値と比較して大きくなることを示している。すなわち、SOCに対するOCV特性の傾きが変化していることになる。この劣化モード4による劣化時のOCV特性(点線)の傾きは、設計値(非劣化時)のOCV特性(実線)の傾きと異なっている。すなわち、劣化時の傾きは、非劣化時の傾きより大きくなる。また、この劣化モード4による劣化時のOCV特性(点線)は、その劣化時の満充電OCVが非劣化時の満充電OCVより高くなっている。
以上のように、活物質の劣化は、劣化モード1〜4の4パターンが考えられるが、図6は、これらの劣化モードが全て発生した場合のSOCに対するOCV特性の一例を示す。すなわち、劣化モード1〜4による活物質劣化時のOCV特性(点線)は、設計値のOCV特性(実線)に対して、その傾きが異なると共に、その満充電OCVが低く(または高く)現れることになる。
そこで、上述のような活物質の劣化が起こった場合には、劣化モード1〜4の4パターンの全てが発生しているおそれがあるため、劣化時のSOCに対するOCV特性の傾きの変化を検出するとともに、劣化時に変化する満充電OCV(以下、OCVdという)を検出し、上記傾きの変化と満充電OCVの変化を考慮に入れて劣化度を算出する必要がある。
まず、OCVdを検出する方法について説明する。ハイブリッド車両は、一般にバッテリ13が満充電状態にまで至らない中間的な充電状態で使用されており、このような中間的な充電状態で充放電を繰り返している間に発生する劣化を改善させる目的で、モータジェネレータ5の出力によりバッテリ13を定期的に満充電状態まで充電してリフレッシュすることが行われる。OCVdは、このようなリフレッシュ充電時のリアルタイム充電効率(Real−time Charge Efficiency(RCE))の低下を観測することにより検出することができる。なお、リアルタイム充電効率(RCE)の求め方については後述する。
すなわち、リフレッシュ充電時にバッテリ13の充電状態が満充電に近づくと、リアルタイム充電効率RCEは、ガッシングによるガス化抵抗成分の増加に起因して低下する(たとえば、ほぼゼロに近い値まで低下する)ので、リフレッシュ充電中定期的にリアルタイム充電効率RCEを算出し、算出したリアルタイム充電効率RCEにおける上述の低下現象を観測することにより、バッテリ13が満充電状態を至った時点を判断することができ、その時点の開回路電圧をOCVdとして検出することができる。
劣化モード4による減液時のOCVdは、図5に示すように、非劣化時の満充電OCV(OCVf)よりも大きくなり(OCVd>OCVf)、劣化モード2,3による活物質劣化時のOCVdは、図3,4に示すように、非劣化時の満充電OCV(OCVf)よりも小さくなる(OCVd<OCVf)。
上述のように、劣化モード4による減液と劣化モード2,3による活物質劣化が同時に進行した場合、リフレッシュ充電によって検出される劣化時の満充電OCV(OCVd)は、減液によって高くなる電圧と、活物質劣化によって低くなる電圧との比率によって、非劣化状態と同じ電圧を示す傾向がある。
したがって、劣化モード1〜4の全てが発生した場合に対応して、劣化時に変化する満充電OCV(OCVd)を考慮した劣化度は、以下の式(1)により算出することができる。
劣化度=(OCVd−OCVe)/(OCVf−OCVe)・・・(1)
劣化度=(OCVd−OCVe)/(OCVf−OCVe)・・・(1)
次に、劣化モード1〜4の全てが発生した場合に対応して、OCV特性の傾きの変化と劣化時に変化する満充電OCV(OCVd)とを考慮した劣化度は、以下の式(2)で算出される。
劣化度=(OCVd−OCVe)/(OCVf−OCVe)×(K1/K2)・・・(2)
ここで、K1は非劣化時のバッテリ13のSOC対OCV特性の傾きであり、K2は活物質劣化時のバッテリ13のSOC対OCV特性の傾きであり、(K1/K2)は傾きの割合を表す。傾きとは、電気量(SOC)の変化に対する平衡状態OCVの変化の比率を表す。上述の劣化モード4による減液を伴わない劣化モード2,3による活物質劣化の場合は、上述の式(2)において(K1/K2)=1となる。
劣化度=(OCVd−OCVe)/(OCVf−OCVe)×(K1/K2)・・・(2)
ここで、K1は非劣化時のバッテリ13のSOC対OCV特性の傾きであり、K2は活物質劣化時のバッテリ13のSOC対OCV特性の傾きであり、(K1/K2)は傾きの割合を表す。傾きとは、電気量(SOC)の変化に対する平衡状態OCVの変化の比率を表す。上述の劣化モード4による減液を伴わない劣化モード2,3による活物質劣化の場合は、上述の式(2)において(K1/K2)=1となる。
要するに、電気量(SOC)の変化量に対する平衡状態OCVの変化=傾きが変化するのは、劣化モード4による減液の場合である。また、減液の場合、満充電OCVが高くなる。これに対して、劣化モード2,3による活物質劣化の場合は、満充電OCVが低くなり、傾きは変化しない。この両方の劣化モード、すなわち劣化モード2,3,4が同時に進行した場合を考慮すると、劣化度は、最終的に式(2)で表されることになる。
次に、劣化度における傾きの割合(K1/K2)を算出する方法について説明する。この算出方法については、放電時と充電時に分けて、図7及び図8をそれぞれ参照して説明する。
図7に示す放電の場合、放電前に任意の開回路電圧(OCVo)にあるバッテリ13から放電が行われたとき、非劣化時のバッテリ13では、開回路電圧は、放電が進むにつれて直線Nに沿って低下し、放電が停止して任意の電気量が放電された時点で、開回路電圧OCVnまで低下する。なお、直線Nは、非劣化時(新品時または設計時)のバッテリ13における満充電開回路電圧(OCVf)と放電終止開回路電圧(OCVe)を結ぶ直線の一部である。これに対して、上述の劣化モード4による減液が発生した劣化時のバッテリ13では、放電時の開回路電圧は、直線Nより傾きの大きい直線Mに沿って低下し、同じ任意の電気量が放電された時点で、開回路電圧OCVnより低い開回路電圧OCVmまで低下する。
そこで、直線Nの傾き(K1)は、非劣化時のバッテリ13において任意の電気量が放電されたときの電気量の変化量ΔSOCに対する開回路電圧の低下分ΔOCVn(=OCVo−OCVn)の割合として、以下の式(3)で表される。
K1=ΔOCVn/ΔSOC
=(OCVo−OCVn)/ΔSOC・・・(3)
K1=ΔOCVn/ΔSOC
=(OCVo−OCVn)/ΔSOC・・・(3)
同様に、直線Mの傾き(K2)は、劣化時のバッテリ13において任意の電気量が放電されたときの電気量の変化量(ΔSOC)に対する開回路電圧の低下分ΔOCVm(=OCVo−OCVm)の割合として、以下の式(4)で表される。
K2=ΔOCVm/ΔSOC
=(OCVo−OCVm)/ΔSOC・・・(4)
K2=ΔOCVm/ΔSOC
=(OCVo−OCVm)/ΔSOC・・・(4)
したがって、放電の場合、上述の式(2)における傾きの割合(K1/K2)は、以下の式(5)で算出することができ、この傾きの割合(K1/K2)は、1または1より小さい値となる。
K1/K2=(ΔOCVn/ΔSOC)/(ΔOCVm/ΔSOC)
=ΔOCVn/ΔOCVm
=(OCVo−OCVn)/(OCVo−OCVm)・・(5)
K1/K2=(ΔOCVn/ΔSOC)/(ΔOCVm/ΔSOC)
=ΔOCVn/ΔOCVm
=(OCVo−OCVn)/(OCVo−OCVm)・・(5)
次に図8に示す充電の場合、充電前に任意の開回路電圧(OCVo)にあるバッテリ13に充電が行われたとき、非劣化時のバッテリ13では、開回路電圧は、充電が進むにつれて直線Nに沿って上昇し、充電が停止して任意の電気量が充電された時点で、開回路電圧OCVnまで上昇する。これに対して、上述の劣化モード4による減液が発生した劣化時のバッテリ13では、充電時の開回路電圧は、直線Nより傾きの大きい直線Mに沿って上昇し、同じ任意の電気量が充電された時点で、開回路電圧OCVnより高い開回路電圧OCVmまで上昇する。
そこで、直線Nの傾き(K1)は、非劣化時のバッテリ13において任意の電気量が充電されたときの電気量の変化量ΔSOCに対する開回路電圧の上昇分ΔOCVn(=OCVo−OCVn)の割合として、上述の式(3)で表される。
同様に、直線Mの傾き(K2)は、劣化時のバッテリ13において任意の電気量が充電されたときの電気量の変化量(ΔSOC)に対する開回路電圧の上昇分ΔOCVm(=OCVo−OCVm)の割合として、上述の式(4)で表される。
したがって、充電の場合、上述の式(2)における傾きの割合(K1/K2)は、上述の式(5)で算出することができ、この傾きの割合(K1/K2)は、1または1より小さい値となる。
以上のように、充放電時に、OCVo、OCVnおよびOCVmの各値が分かっていれば、式(5)により傾きの割合(K1/K2)を算出することができ、したがって、算出された傾きの割合(K1/K2)に基づいて式(2)により、劣化度を算出することができる。
なお、上述の段落番号[0042]では、非劣化時及び活物質劣化時のバッテリ13の開回路電圧の増減の割合を劣化度として算出することができると説明したが、このようにして算出される劣化度は、式(5)を見れば分かるように、傾きの割合(K1/K2)に等しいので、式(2)において満充電電圧の変化分{(OCVd−OCVe)/OCVf−OCVe)}=1の場合(すなわち、非劣化時と劣化時の満充電電圧に変化がない場合)に相当することが分かる。
また、放電及び充電の何れの場合にも、その開始時のバッテリ13の開回路電圧(OCVo)は、それ以前の充放電によってバッテリ13内に発生している分極の影響が完全に解消し、分極によるバッテリ端子電圧の低下或いは上昇が無くなっている平衡状態にあるときのバッテリ端子電圧を実測するか、又は、充放電停止直後のバッテリ端子電圧の変化を短時間観測した結果によって推定されるものが利用される。この開回路電圧を推定する方法については後述する。
同様に、放電及び充電の何れの場合にも、その停止時の劣化時のバッテリ13における開回路電圧(OCVm)は、充放電によってバッテリ13内に発生している分極の影響が完全に解消し、分極によるバッテリ端子電圧の低下或いは上昇が無くなっている平衡状態にあるときのバッテリ端子電圧を実測するか、又は、充放電停止直後のバッテリ端子電圧の変化を短時間観測した結果によって累乗近似式により推定されるものが利用される。
また、充電の場合には、充電電流の全てが電気量としてバッテリ13に蓄積されず、一部がガス発生などに消費されるため、充電電流の時間積を充電電気量としてそのまま用いることができない。そこで、具体的には後述する方法によって求めたリアルタイム充電効率を用いて、充電電気量を補正して充電状態を求め、この充電状態に対応する開回路電圧を求めるようにする必要がある。
なお、図7及び図8では、任意の電気量だけ充放電されたときに生じる非劣化時及び活物質劣化時のバッテリ13の間で生じる開回路電圧の差に注目してSOC対OCV特性の傾きの変化の割合(K1/K2)を算出しているが、これに限らず、図9及び図10に示すような方法によっても上記傾きの変化の割合(K1/K2)を算出することができる。
すなわち、充放電によって任意の開回路電圧の低下があったときに生じる非劣化時及び活物質劣化時のバッテリ13の間に生じる電気量の差に注目してSOC対OCV特性の傾きの変化の割合(K1/K2)を算出することができる。図9及び図10において、SOCoは充放電開始前の電気量、SOCnは非劣化時のバッテリ13における充放電停止後の電気量、SOCmは劣化時のバッテリ13における充放電停止後の電気量、ΔSOCnは非劣化時のバッテリ13の場合の充放電による電気量の増減(変化)、ΔSOCmは劣化時のバッテリ13の場合の充放電による電気量の増減(変化)であり、ΔSOCnに対するΔSOCmの割合を算出することによって劣化度を算出することができる。
また、放電及び充電の何れの場合にも、その停止時の非劣化時のバッテリ13の開回路電圧(OCVn)は、以下に述べるように、直線N上において充放電開始時の電気量(SOCo)に充放電電流の時間積だけ積算した後の電気量(SOCn)に対応する開回路電圧として推定することができる。
従来、バッテリにおいて充放電が繰り返される場合、充放電電流を一定時間間隔で測定し、測定した充放電電流に一定時間を乗じた時間積によって充放電時の電気量(SOCn)を推定することできる。このようにバッテリにおいて充放電が繰り返される場合、特に、バッテリが鉛バッテリの場合には、充電の受け入れ性が悪い。その理由は、充電電気量に対して、電極表面と電解液のイオンの受け渡し速度が追いつかない場合、充電電流の一部は電解液中にイオンの反応を経ないで直接流れ出し、ガッシング(電解液中の水が電気分解されてガスが発生すること)により、充電効率が低下するからである。
従来、充放電電流の電流積算によってSOCを検知する場合、充電効率は、バッテリのおかれた環境やSOCのレベル、劣化度を加味して、データテーブルにより補正するのが一般的であり、この充電効率を充電時の電流積算値に当てはめる等の方法がある。しかし、このデータテーブル方式は、全てのバッテリに一致するとは保証できず、精度良くSOCを推定することができない。
そこで、本発明においては、バッテリ13の放電時には、放電電流の時間積だけ積算して放電後の電気量(SOC)を推定することができ、この放電後の電気量(SOC)をSOCnとするのである。また、バッテリ13の充電時には、充電電流の時間積算値に従来のデータテーブル方式の充電効率ではなくリアルタイム充電効率(RCE)を当てはめることにより求めた充電後の電気量(SOC)をSOCnとするのである。すなわち、充放電後の電気量(SOC)、つまりSOCnは、次式(6)及び(7)によって算出することができる。すなわち、放電後の電気量(SOC)は、
放電後の電気量(SOC)=SOCo−Σ(放電電流×時間)・・・(6)
により、充電後の電気量(SOC)は、
充電後の電気量(SOC)=SOCo+Σ(充電電流×時間×リアルタイム充電効率(RCE))・・・(7)
によりそれぞれ求められる。
放電後の電気量(SOC)=SOCo−Σ(放電電流×時間)・・・(6)
により、充電後の電気量(SOC)は、
充電後の電気量(SOC)=SOCo+Σ(充電電流×時間×リアルタイム充電効率(RCE))・・・(7)
によりそれぞれ求められる。
そこで、車載用バッテリ管理装置1のCPU23aは、上記式(6)及び(7)の演算を行うことにより、バッテリ13が使用中(充放電中)であっても、常にバッテリ13のSOCをより精度良く推定することができる。なお、充電の場合の式(7)中にあるリアルタイム充電効率(RCE)は、バッテリ13の充電抵抗を測定することによって推定できるものであり、その求め方は後述する。
上述したように、充放電中に常時その推定SOCを求め、充放電が停止したときには、停止時の最終のSOC(すなわち、SOCn)を式(6)または式(7)により推定し、この推定されたSOCnを対応する推定OCVnに換算しておく。このSOCnからOCVnへの換算は、非劣化時のバッテリ13について予め定められた満充電時開回路電圧(OCVf)と放電終止開回路電圧(OCVe)との間で充放電可能な総電気量である初期電気量に基づいて直線N上において行われる。
そして、充放電が停止した後は、濃度分極が解消したときのバッテリ端子電圧の実測、または、累乗近似式による推定によって平衡状態のバッテリ端子電圧である開回路電圧OCVmを求める。SOCnに対するOCVnとOCVmとを比較することによって、活物質の不活性化、電解液の減液などを原因とする容量の減少が推定できる。上述した図7は放電の場合、図8は充電の場合のSOC−OCV特性を示している。
図7及び図8からは、上述したことを原因とする劣化が生じていない場合にSOCの変化量に対するOCVn及びOCVmは同じ変化を示すが、劣化が進行しているときには、放電では同じSOC変化量に対してOCVmはOCVnより低い値を示し、充電では逆にOCVmはOCVnよりも高い値を示す。なお、図9及び図10は、OCVの変化量ではなく、SOCの減少量を算出する方法を示している。
したがって、車載用バッテリ管理装置1において、CPU23aは、リフレッシュ充電が行われた際に検出される、劣化時に変化する満充電電圧(OCVd)の値をROM23c内の不揮発性メモリに書き込み、リフレッシュ充電が行われるたびにOCVdの値を更新して書き込むと共に、充放電が行われた際に、上述の式(5)で算出された劣化度の値をROM23c内の不揮発性メモリに書き込み、充放電が行われるたびに算出される劣化度の値を更新して書き込むことができる。
次に、バッテリ13の劣化度を算出するために、CPU23aが予め定めたプログラムに従って実行する具体的な処理を、図11のフローチャートを参照して説明する。
CPU23aはイグニッションスイッチのオンによって動作を開始し、先ず、ステップS1において、充放電前の開回路電圧(OCVo)及び電気量(SOCo)を求める。この求め方については、状況によって各種の方法があるが、ここでは省略する。続いて、充放電に伴って流れる電流の測定を電流センサ15を用いて行う(ステップS2)。この測定した電流の流れの方向によって、電流が放電によるものであるか充電によるものであるかを判定し(ステップS3)、放電であるときにステップS4に進んで上記した式(6)に示した計算を行い、放電によって減少するSOCを計算する。充電であるときにはステップS5に進んで上記した式(7)に示した計算を行い、充電によって増加するSOCを計算する。ステップS4及び5の計算は、電流測定を所定のサンプリング周期によって計測する毎に行ってからステップS6に進んで、充放電が終了したか否かを判定し、終了するまで上記ステップS2乃至ステップS6を繰り返す。
充放電が終了すると、ステップS6からステップS7に進み、上記ステップS4又はS5において計算したSOCを用いて、充放電後のOCVnとSOCnを求める。このOCVnとSOCnは非劣化バッテリについてのものであるので、非劣化バッテリについて予め定められた満充電時開回路電圧と放電終止開回路電圧との間で充放電可能な総電気量である初期電気量に基づいて、計算したSOCに対応するSOCnとこれに対応するOCVnによって求めることができる。なお、予め定められた満充電時開回路電圧と、放電終止開回路電圧と、これらの間で充放電可能な総電気量である初期電気量とは、上述したROM23c内の不揮発性のメモリに、これらによって予め計算された変換値などとともに記録されている。
ステップS7において、OCVn及びSOCnが求められると、次にステップS8に進んで累乗近似式を用いた推定により又は実測によりOCVmを求めてから、ステップS9に進んで劣化度を算出する。ステップS9における劣化度の算出は、充放電前の開回路電圧OCVoとOCVnの差、すなわちΔOCVnの、充放電前の開回路電圧OCVoとOCVmの差、すなわち、ΔOCVmに対する割合を劣化度として算出する。この算出した劣化度は、次に新しい劣化度が算出されるまで、不揮発性のメモリに記録されて保持され、バッテリ13の電気量及び開回路電圧を推定する際に使用される。
フローチャートに従って説明したCPU23aの処理動作から明らかなように、CPU23aは、任意時点での総電気量の初期電気量に対する割合を劣化度として算出する劣化度算出手段として機能している他、非劣化時のバッテリ13について予め定められた満充電時開回路電圧と放電終止開回路電圧との間で充放電可能な総電気量である初期電気量に基づいて、バッテリ13における任意の開回路電圧に対応する電気量を推定する電気量推定手段として機能させることができ、結果として、任意の開回路電圧に対応して推定した電気量に劣化度を乗じて任意時点のバッテリの充電状態を推定することができる。
また、CPU23aは、任意時点での総電気量の初期電気量に対する割合を劣化度として算出する劣化度算出手段として機能する他、非劣化時のバッテリ13について予め定められた満充電時開回路電圧と放電終止開回路電圧との間で充放電可能な総電気量である初期電気量に基づいて、バッテリ13における任意の電気量に対応する開回路電圧を推定する開回路電圧推定手段として機能させることができ、結果として、任意の電気量に対応して推定した開回路電圧を前記劣化度により補正して任意時点のバッテリの開回路電圧を推定することができる。
さらに、CPU23aは、図12の劣化度算出装置の基本構成図に示すように、充放電に伴う電気量の増減を算出する電気量増減算出手段23a−21と、電気量増減算出手段によって算出した任意の電気量の増減に対応する開回路電圧の増減を、非劣化時のバッテリ13について予め定められた満充電時開回路電圧と放電終止開回路電圧との間で充放電可能な総電気量である初期電気量に基づいて算出する開回路電圧増減算出手段23a−22と、任意の電気量の増減に対応して実際に発生する開回路電圧の増減を推定または実測する開回路電圧増減推定/実測手段23a−23として機能する他、開回路電圧増減算出手段23a−22で算出した開回路電圧の増減の、開回路電圧増減推定/実測手段23a−23により推定または実測した開回路電圧の増減に対する割合を劣化度として算出する劣化度算出手段23a−24としても機能している。
次に、充放電が停止しても充放電分極が解消していない短時間内に開回路電圧を推定する方法を以下説明する。
一般に、車両に搭載したバッテリの充電が終了した場合、バッテリの開放状態での端子電圧は、濃度分極によって上昇していた分が時間とともに解消して徐々に減少し、図13に示すように、例えば24時間後のバッテリの平衡状態における端子電圧である開回路電圧EO に漸近するように変化し、このような漸近曲線は一般に累乗式で表される。
よって、今、開回路電圧EO が未知であるとき、図14に示すように、想定した開回路電圧Eを定め、この想定した推定開回路電圧Eを端子電圧V(t)から減算すると、図15に示すように、横軸に漸近する累乗近似式α・tD で表されるようになる。また、拡散現象を累乗近似式α・tD で近似すると、べき数Dが−0.5付近になるとされている。
そこで、バッテリの充電が終了後、図15に示すように、例えば5分の予め定めた時間Taを経過してから、例えば15分の予め定めた時間Tbまでの間のバッテリの開放電圧を測定し、この測定した開放電圧より、想定した想定開回路電圧Eを減算し累乗近似式α・tD を算出する。
一般的に、拡散現象を累乗近似式α・tD で近似すると、べき数Dが−0.5付近になるとされている。充電終了後の開回路電圧の変化は、電解液の拡散によって生じる電圧変化によるものであるとすることができるので、べき数Dが−0.5になるような累乗近似式α・tD が得られたときの想定開回路電圧Eを開回路電圧とみなすことができる。
これに対して、バッテリの放電が終了した場合、バッテリの開放状態での端子電圧は、濃度分極によって下降していた分が時間とともに解消して徐々に増加し、例えば24時間後のバッテリの平衡状態における端子電圧である開回路電圧EO に漸近する。なお、放電の場合、想定開回路電圧Eの方が累乗近似式α・tD より常に大きいので、測定した開放電圧より、想定した想定開回路電圧Eを減算した値が負となるので、開放電圧より想定開回路電圧Eを減算した値の絶対値を利用して累乗近似式α・tD を算出する。
一般的に、充電又は放電が終了した後、予め定めた時間を経過してから一定の時間の間にバッテリの開放電圧を複数回測定し、この測定した開放電圧から、想定した想定開回路電圧を減算した値により、べき数が負である予め定めた累乗近似式を決定し、この決定した累乗近似式のべき数が−0.5となるまで、累乗近似式の決定を想定開回路電圧を更新して繰り返し実行し、べき数が−0.5となったときの想定開回路電圧を開回路電圧と推定すればよい。
なお、想定開回路電圧を予め定めた回数更新して繰り返し実行しても、べき数が−0.5とならないことがあるときには、予め定めた回数が実行されたことによってべき数が略−0.5になったと判断し、このときの想定開回路電圧を開回路電圧と推定し、必要以上に累乗近似式を決定する処理を繰り返すことをなくすことができる。
また、充放電を停止した後、例えば5分の予め定めた時間Taを経過してから、開放電圧のサンプリングを開始するのは、充放電直後の電圧変化には、内部抵抗、活性化分極、ガス発生に伴う過電圧など、電解液の拡散に関係ない電圧変化分が含まれており、この変化分をサンプリングすると誤差要因となるので、累乗近似式を求めるためのデータに含ませないためである。
そして、サンプリングを時間Tbまでとしているのは、便宜上だけのためばかりでなく、時間経過について電圧変化分が小さくなることにより、測定の分解能によっては開回路電圧の推定精度を低下する虞があるほか、車両の暗電流による電圧降下の影響が時間経過により大きくなるからである。
上述したように、拡散現象を累乗近似式α・tD で近似すると、べき数Dが−0.5付近になることを実証する具体的な例を図16に示して説明すると、開回路電圧12.34Vのバッテリにおいて、想定開回路電圧を12.34Vとし、これを充電の停止した後に測定した開放電圧から減算した値を用いて決定した累乗近似式では、べき数が−0.500になっているのに対し、推定開回路電圧を12.34Vより小さい12.29Vにすると、べき数が−0.500より大きい−0.452に、12.34Vより大きい12.39Vにするとべき数が−0.500より小さい−0.559になる。このことから、累乗近似式のべき数が−0.5になったとき、想定開回路電圧が開回路電圧に等しくなることがわかる。
以上説明した方法を要約すると、開回路電圧推定方法は、車両に搭載されている負荷に電力を供給するため車両に搭載されたバッテリの開回路電圧を推定するも際し、充電又は放電が終了した後、予め定めた時間を経過してから一定の時間の間にバッテリの開放電圧を複数回測定し、該測定した開放電圧と、想定した想定開回路電圧との差値により、べき数が負である予め定めた累乗近似式を決定し、該決定した累乗近似式のべき数が−0.5となるか、又は、略−0.5となるまで、累乗近似式の決定を想定開回路電圧を更新しながら繰り返し実行し、べき数が−0.5となるか、又は、略−0.5となったときの想定開回路電圧を開回路電圧と推定する。
この方法によれば、車両に搭載されている負荷に電力を供給するため車両に搭載されたバッテリの充電又は放電が終了した後、予め定めた時間を経過してから一定の時間の間にバッテリの開放電圧を複数回測定する。次に、測定した開放電圧と、想定した想定開回路電圧との差値により、べき数が負である予め定めた累乗近似式を決定する。決定した累乗近似式のべき数が−0.5となるか、又は、略−0.5となるまで、累乗近似式の決定を想定開回路電圧を更新して繰り返し実行し、べき数が−0.5となるか、又は、略−0.5となったときの想定開回路電圧を開回路電圧と推定しているので、バッテリの充電又は放電が終了した後、比較的短い時間内に測定したバッテリの開放電圧の測定によって、温度の影響を受けて変化しない累乗近似式の漸近線を開回路電圧として推定できる。
上記開回路電圧推定方法において、測定した開放電圧が充電が終了してからのものであるとき、時間をt、未知の係数をα、未知の負のべき数をDとすると、累乗近似式がα・tD で表され、累乗近似式α・tD のべき数Dが−0.5になるか、又は、略−0.5となったときの想定開回路電圧を開回路電圧と推定しているので、バッテリの充電が終了した後、比較的短い時間内に測定したバッテリの開放電圧の測定によって、温度の影響を受けて変化しない累乗近似式の漸近線を求めて、これを開回路電圧として推定できる。
また、測定した開放電圧が放電の終了してからのものであるとき、累乗近似式を決定するための値は、測定した開放電圧から想定した想定開回路電圧を減算した値の絶対値であり、時間をt、未知の係数をα、未知の負のべき数をDとすると、累乗近似式がα・tD で表され、累乗近似式α・tD のべき数Dが−0.5になるか、又は、略−0.5となったときの想定開回路電圧を開回路電圧と推定しているので、バッテリの放電が終了した後、比較的短い時間内に測定したバッテリの開放電圧の測定によって、温度の影響を受けて変化しない累乗近似式の漸近線を求めて、これを開回路電圧として推定できる。
さらに、一定の時間の間に測定した開放電圧を2以上の任意の数とし、この測定によって得た任意数の開放電圧を回帰計算処理して累乗近似式のべき数Dを決定しているので、累乗近似式α・tD のべき数Dが−0.5とならなくても、累乗近似式の決定が予め定めた回数実行されたときの想定開回路電圧を開回路電圧と推定でき、バッテリの充放電が終了した後、比較的短い時間内に多数測定したバッテリの開放電圧の測定によって、温度の影響を受けて変化しない累乗近似式の漸近線を精度よく求めて、これを開回路電圧として推定できる。
次に、上述した方法とは異なる開回路電圧を推定する他の方法について以下説明する。
一般に、車両に搭載したバッテリの充電が終了した場合、バッテリの開放状態での端子電圧は、濃度分極によって上昇していた分が時間とともに解消して徐々に減少し、例えば24時間後のバッテリの平衡状態における端子電圧である開回路電圧OCVに漸近するように変化し、このような漸近曲線は一般に累乗式で表される。
そして、例えば充電終了後の場合、温度が高いときには、温度が低いときに比べて、開回路電圧OCVに漸近する速度が速いが、充電終了からある程度の時間が経過すると、温度の高低とは無関係に、時間の経過に対して端子電圧の低下加速度が小さくなり、充電終了からある程度の時間が経過した後の時間帯部分については、漸近曲線が殆ど直線によって近似される程度になる。
よって、充電終了からある程度の時間が経過した後の、端子電圧−時間特性の適当な部分を直線近似すると、横軸に対する傾きが極めて小さい直線近似式V(t)=c・t+Eで表されるようになる。
そこで、バッテリの充電が終了した後、図17に示すように、予め定めた時間T1を経過してから、予め定めた時間T2までの間のバッテリの開放電圧を測定し、この測定した開放電圧より、バッテリの開放電圧と、充電終了からの経過時間との関係を示す直線近似式V(t)=c・t+Eを算出する。
一般的に、充電又は放電が終了した後の開回路電圧の変化は、電解液の拡散によって生じる電圧変化によるものであるとすることができ、この電解液の拡散は、温度が低いと鈍い一方、温度が高いと活発になるので、算出される直線近似式V(t)=c・t+Eの横軸(時間軸)に対する傾きを示す係数であるcの絶対値は、相対的に、温度が低いと大きい値になり、温度が高いと小さい値になる。これに対して、算出される直線近似式V(t)=c・t+Eの縦軸(電圧軸)に対する切片を示す補数であるEは、充電後の場合、温度が低いと大きい値になり、温度が高いと小さい値になる。放電の場合は逆に、温度が低いと小さい値になり、温度が高いと大きな値になる。
したがって、この直線近似式V(t)=c・t+Eには、温度に依存してc,Eがいかなる値に算出されても、直線近似式V(t)=c・t+Eにおいて開回路電圧が求まる同一の時間t=T3が存在する。よって、このtの値における直線近似式V(t)=c・t+Eの値を、平衡状態におけるバッテリの開回路電圧OCVとみなすことができる。
ちなみに、本実施形態では、開放電圧のサンプリングを開始する時間T1を、充放電の停止から20分が経過した後とし、開放電圧のサンプリングを終了する時間T2を、充放電の停止から30分が経過した後とし、その10分間にサンプリングされた開放電圧から算出される端子電圧−充放電終了後経過時間特性の直線近似式V(t)=c・t+Eのtに代入する時間T3を、充放電の停止から1時間23〜24分が経過した後としている。これらの時間は、そのバッテリの仕様毎に実験的に求めて予め定めておくことができる。
そして、サンプリングを時間T2までとしているのは、サンプリング回数を適当な回数に止めるという便宜上だけのためばかりでなく、時間経過について電圧変化分が小さくなることにより、測定の分解能によっては開回路電圧の推定精度を低下する虞があるほか、車両の暗電流による電圧降下の影響が時間経過により大きくなるからである。
以上説明した方法を要約すると、開回路電圧推定方法は、車両に搭載されている負荷に電力を供給するため車両に搭載されたバッテリの平衡状態における開回路電圧を推定する車両用バッテリの開回路電圧推定方法において、充電又は放電が終了した後の経過時間が、予め定めた第1の時間から予め定めた第2の時間に至るまでの間に、バッテリの開放電圧を複数回測定し、該測定した開放電圧から、前記充電又は放電が終了した後、前記第1の時間が経過してから前記第2の時間が経過するまでの間に関する、前記開放電圧と前記充電又は放電の終了からの経過時間との相関を示す、予め定めた直線近似式を決定し、前記第2の時間よりも長い、予め定めた第3の時間を、前記充電又は放電の終了からの経過時間として代入したときの、前記決定した直線近似式の解を、バッテリの平衡状態における開回路電圧と推定する。
この方法によれば、充電又は放電が終了した後の経過時間が、予め定めた第1の時間から予め定めた第2の時間に至るまでの間に、バッテリの開放電圧が複数回測定され、測定された開放電圧から、充電又は放電が終了した後、第1の時間が経過してから第2の時間が経過するまでの間に関する、開放電圧と充電又は放電の終了からの経過時間との相関を示す、予め定めた直線近似式が決定され、第2の時間よりも長い、予め定めた第3の時間を、充電又は放電の終了からの経過時間として代入したときの、決定した直線近似式の解が、バッテリの平衡状態における開回路電圧と推定されることになる。
また、充電又は放電の終了からの経過時間をt、未知の係数をc、未知の補数をEとすると、前記直線近似式がc・t+Eで表されるものとし、充電又は放電が終了した後の経過時間が、予め定めた第1の時間から予め定めた第2の時間に至るまでの間に、複数回測定されるバッテリの開放電圧から、充電又は放電の終了からの経過時間をt、未知の係数をc、未知の補数をEとすると、c・t+Eで表される直線近似式が決定されることになる。
続いて、リアルタイム充電効率(RCE)の基本的な考え方と、充電中におけるバッテリ13のリアルタイム充電効率(RCE)の求め方とについて説明する。
まず、バッテリ13が設定充電電圧値VT により定電圧充電される際に、それ以前の充放電が行われていない間にバッテリ13の電極の表面に絶縁性の不動態膜が形成されていると、充電開始直後の段階で、設定充電電圧値VT の電圧がバッテリ13に印加されることで、不動態膜が徐々に破壊されてやがて解消される。
この場合には、バッテリ13の充電が開始されても、設定充電電圧値VT に応じた値の充電電流ICHG が即座に流れ始めるのではなく、図18のグラフに示すように、不動態膜の破壊の進行により電極の導電性が徐々に回復するのに伴って、バッテリ13の充電電流ICHG が、設定充電電圧値VT に応じた値へと徐々に増加することになる。
そして、バッテリ13の充電電流ICHG が設定充電電圧値VT に応じた値へと徐々に増加している段階では、充電電流ICHG の低い状態が続くことから、ガス化現象の発生によるリアルタイム充電効率(RCE)の低下はないと見倣すことができ、よって、充電電流ICHG の値が設定充電電圧値VT に応じた値に達するまでの期間は、充電時間の経過とは無関係に、リアルタイム充電効率(RCE)=100%で充電されているものと見倣される。
一方、充電電流ICHG の値が設定充電電圧値VT に応じた値に達すると、その時点では、不動態膜が完全に破壊されて不動態膜を因子とする抵抗成分がなくなっていることから、設定充電電圧値VT による定電圧充電の状況下にあるバッテリ13の充電電流ICHG の値を司るのは、バッテリ13の内部起電力E0 の上昇分ΔE0 に相当する抵抗の変化分REoと、バッテリ13の内部抵抗(純抵抗R+分極抵抗Rpol)とを合わせた抵抗成分のみとなる。
そして、不動態膜の破壊の進行によりバッテリ13の充電電流ICHG の値が設定充電電圧値VT に応じた最大値に達するまでの期間に、バッテリ13の内部起電力E0 は上昇するが、その量ΔE0 は内部起電力E0 に対して非常に小さい値であるので、充電電流ICHG の値が最大値に達した時点におけるバッテリ13の抵抗成分は、実質的に、バッテリ13の内部抵抗(R+Rpol)のみであると見倣される。
尚、バッテリ13が設定充電電圧値VT により定電圧充電される際に、バッテリ13の電極の表面に絶縁性の不動態膜が形成されていない場合には、充電開始の直後の段階から、設定充電電圧値VT に応じた値の充電電流ICHG が即座に流れ始めるので、バッテリ13の抵抗成分は、その時点から、バッテリ13の内部抵抗R+Rpolのみであると見倣される。
このため、電極の表面に絶縁性の不動態膜が形成されていないバッテリ13に設定充電電圧値VT による定電圧を印加し始めた時点か、或は、電極の表面に形成されていた不動態膜が設定充電電圧値VT による定電圧の印加により完全に破壊されて、バッテリ13の充電電流ICHG の値が設定充電電圧値VT に応じた最大値に達した時点を、バッテリ13の充電開始時点であるものとすると、その時点のバッテリ13には、図19に示すように、バッテリ13の内部抵抗を表す純抵抗R0 と充電側分極による分極抵抗成分Rpol0 との直列回路を、起電力E0 と直列に接続した等価回路に置き換えることができる。すなわち、充電開始時点のバッテリ13の内部抵抗Rsは、次式で表すことができる。
Rs=R0 +Rpol0
Rs=R0 +Rpol0
そして、設定充電電圧値VT による充電中は、バッテリ13に、起電力の上昇E0 →E0 +ΔE0 や、起電力の上昇分ΔE0 に見合った純抵抗や分極抵抗成分の低下R0 →R´(R´<R0 )、Rpol0 →Rpol´(Rpol´<Rpol0 )という状態変化が発生する。
ここで、バッテリ13の内部起電力E0 の上昇分ΔE0 を、起電力上昇分の抵抗の変化分REoとして捉えると、この起電力上昇分に相当する抵抗の変化分REoが、起電力E0 、純抵抗R´、及び、分極抵抗成分Rpol´の直列回路にさらに直列接続されることになるので、等価回路の内容が図20に示すように変わる。すなわち、充電中のバッテリ13の内部抵抗Rs´は、次式で表すことができる。
Rs´=REo +R´+Rpol´
Rs´=REo +R´+Rpol´
ところで、バッテリ13の充電の際に、バッテリ13に流れこんだ総電気量と、起電力としてバッテリ13に充電された電気量とが等しい、即ち、リアルタイム充電効率(RCE)が理想値である100%ならば、図19の等価回路や図20の等価回路から各々起電力E0 を除いた残りの抵抗成分における電圧上昇は、互いに等しく、単に、起電力上昇分の抵抗の変化REoの分だけ、純抵抗や分極抵抗成分における電圧降下量、つまり、それらの抵抗値が下がるに過ぎないはずである。
したがって、充電前と充電中とでは、バッテリ13の内部抵抗に関して次式の関係、Rs=Rs´、したがって
REo+R´+Rpol´=R0 +Rpol0
∵(REo+R´+Rpol´)×ICHG =(R0 +Rpol0 )×ICHGo
が成立するはずである。
REo+R´+Rpol´=R0 +Rpol0
∵(REo+R´+Rpol´)×ICHG =(R0 +Rpol0 )×ICHGo
が成立するはずである。
そして、充電開始時点におけるバッテリ13の内部抵抗の値Rs(=R0 +Rpol0 )は当然一定であるから、リアルタイム充電効率(RCE)が理想値の100%であるという前提では、充電中のバッテリ13の内部抵抗の値Rs´(=REo+R´+Rpol´ )も一定であることになる。
ところが、バッテリ13のリアルタイム充電効率(RCE)は、実際には100%となることはない。それは、充電反応に伴ってバッテリ13の電極付近等に酸素ガスや水素ガスが発生しH2 Oに還元されて、バッテリ13に流れ込む電気量の一部が起電力としてバッテリ13に蓄積されないという現象が起こるためである。
このガスの発生をバッテリ13の内部抵抗の変化に置き換えて考えてみると、充電中のバッテリ13の内部抵抗Rs´の値は、充電開始時点におけるバッテリ13の内部抵抗の値Rs(=R0 +Rpol0 )に等しい値とはならず、ガス化される電気量の量に相当するガス化抵抗成分RGAS の値をさらに加えた値に増加することになる。すなわち、この場合の充電中のバッテリ13の内部抵抗Rs´は、次式で表される。
Rs´=REo+R´+Rpol´+RGAS
Rs´=REo+R´+Rpol´+RGAS
しかも、充電中のガスの発生量は、バッテリ13の充電状態が満充電状態に近づくほど増加することから、ガス化抵抗成分RGAS もバッテリの充電状態に応じて変化することになり、定電圧充電を行った場合の充電時間に対するバッテリ13の内部抵抗の変化を示す図21のグラフに示すように、充電時のバッテリ13の内部抵抗は、充電時間が経過して充電状態が満充電状態に近づくにつれて、充電開始時点の内部抵抗の値Rs=(R0 +Rpol0 )から、ガス化抵抗成分RGAS の増加量の分だけ増加することになる。
ところで、バッテリ13の充電が設定充電電圧値VT による定電圧充電であり、かつ、充電中のバッテリ13の内部抵抗の値、つまり、開始後抵抗値Rs´=(REo+R´+Rpol´)が、充電開始時点におけるバッテリ13の内部抵抗の値、つまり、開始時抵抗値Rs(=R0 +Rpol0 )よりも増加する。
したがって、実際にバッテリ13に流れ込む総電気量に相当する充電電流の値ICHG (以後、便宜的にICHG (実測)と呼ぶことがある。)に対して、起電力としてバッテリ13に実際に蓄積される電気量の値に相当する、いわば充電についての実効電流とでも言うべき電流の値(以後、便宜的にICHG (実効)と呼ぶことがある。)は、小さい値となり、その差分が、起電力としてバッテリ13に蓄積されない電気量の値に相当するガス化電流IGAS とでも称するべき電流値となる。これを式で表すと、
ICHG (実測)=ICHG (実効)+IGAS
ICHG (実測)=ICHG (実効)+IGAS
そうすると、バッテリ13のリアルタイム充電効率(RCE)は、次式
リアルタイム充電効率(RCE)=〔ICHG (実効)/ICHG (実測)〕×100%
によって求めることができる。
リアルタイム充電効率(RCE)=〔ICHG (実効)/ICHG (実測)〕×100%
によって求めることができる。
ところで、ICHG (実測)は、実際にバッテリ13に流れ込む電流の値であるから、I/F21を介して電流センサ15の出力のA/D変換値を収集することで実際に測定できるが、ICHG (実効)は、ICHG (実測)のように実際に測定することができず、当然、ICHG (実測)からICHG (実効)を差し引いたガス化電流IGAS も測定乃至算出できないので、上記したリアルタイム充電効率(RCE)の式、
リアルタイム充電効率(RCE)=〔ICHG (実効)/ICHG (実測)〕×100%
を、測定乃至算出可能な別のファクタに置き換える必要がある。
リアルタイム充電効率(RCE)=〔ICHG (実効)/ICHG (実測)〕×100%
を、測定乃至算出可能な別のファクタに置き換える必要がある。
ここで、バッテリ13に流れ込む総電気量のうち、起電力としてバッテリ13に実際に蓄積される電気量の値に相当するICHG (実効)は、ガス化抵抗成分RGAS が大きくなればなる程小さくなるので、ガス化抵抗成分RGAS が最大となるバッテリ13の満充電状態には、現実には、ICHG (実効)に相当するバッテリ13に流れ込む総電気量の殆どがガス化に消費されてしまい、起電力としてはバッテリ13に蓄積されないことになる。
よって、見方を変えると、バッテリ13の満充電状態には、ガス化抵抗成分RGAS の値に対応する電気量がバッテリ13に流れ込むものの、ガス化のために消費されてしまい、起電力としてはバッテリ13に蓄積されないことになり、これは、リアルタイム充電効率(RCE)=0の状態にあると見倣すことができる。
また、充電中のバッテリ13の内部抵抗の値Rs´=(REo+R´+Rpol´+RGAS )のうちガス化抵抗成分RGAS の値の部分は、その時点における、バッテリ13に流れ込む電気量のうち起電力としてバッテリ13に蓄積されない電気量の値に対応する値と考えることができるので、充電中の任意の時点におけるガス化抵抗成分RGAS の値を、リアルタイム充電効率(RCE)=0の状態にあるバッテリ13の満充電状態におけるガス化抵抗成分RGAS の値RGASfで除せば、バッテリ13のリアルタイム充電効率(RCE)の低下率を表す値を求めることができる。
そこで、充電中の任意の時点におけるガス化抵抗成分の値RGAS は、上述したように次式により求めることができる。
RGAS =Rs´−Rs=(R´+Rpol´)−(R0 +Rpol0 )
RGAS =Rs´−Rs=(R´+Rpol´)−(R0 +Rpol0 )
一方、バッテリ13の固有の満充電状態における内部抵抗Rfと、満充電状態にあるときのガス化抵抗成分RGAS とは、図21に示すような関係がある。
∵RF =RGASf+Rs
∵RF =RGASf+Rs
従って、満充電状態におけるガス化抵抗成分RGASfは、次式により求めることができる。
RGASf=RF −Rs
RGASf=RF −Rs
以上から、充電中の任意の時点におけるガス化抵抗成分RGAS を、充電効率=0、つまり、満充電状態におけるガス化抵抗成分RGASfで除した値は、次式で求めることができる。
(Rs´−Rs)/(RF −Rs)
(Rs´−Rs)/(RF −Rs)
従って、充電中の任意の時点におけるバッテリ13の充電効率の低下率を表す値を、
(Rs´−Rs)/(RF −Rs)
なる式によって求めることができ、これから1を差し引いた、
{1−(Rs´−Rs)/(RF −Rs)}×100%
なる式によって、充電中の任意時点におけるバッテリ13のリアルタイム充電効率(RCE)を求めることができる。
(Rs´−Rs)/(RF −Rs)
なる式によって求めることができ、これから1を差し引いた、
{1−(Rs´−Rs)/(RF −Rs)}×100%
なる式によって、充電中の任意時点におけるバッテリ13のリアルタイム充電効率(RCE)を求めることができる。
すなわち、リアルタイム充電効率(RCE)は、次式で表される。
リアルタイム充電効率(RCE)={1−(Rs´−Rs)/(RF −Rs)}×100%
リアルタイム充電効率(RCE)={1−(Rs´−Rs)/(RF −Rs)}×100%
なお、リアルタイム充電効率(RCE)=0の状態にあるときのガス化抵抗成分の値RGASfについてであるが、リアルタイム充電効率(RCE)=0の状態にあるときとは、ガス化抵抗成分RGAS の値が最大値となるバッテリ13の満充電状態のことであり、このときには、ガス化抵抗成分RGAS の値に対して、これを除いた、リアルタイム充電効率(RCE)が理想値の100%である場合の充電中のバッテリ13の内部抵抗の値(REo+R´+Rpol´)が、無視できるほど圧倒的に小さいという、
RGAS ≫REo+R´+Rpol´
の関係が成立する。
RGAS ≫REo+R´+Rpol´
の関係が成立する。
ところで、バッテリ13の固有の満充電状態における内部抵抗の値である満充電時抵抗値RF (=Rf+Rpolf)の値は、充電中のバッテリ13の内部抵抗の値Rs´(=REo+R´+Rpol´+RGAS )の、特に、満充電状態における値を示すのであるから、満充電時には、RF =Rs´の関係、したがって、
Rf+Rpolf=REo+R´+Rpol´+RGAS
の関係が成立する。
Rf+Rpolf=REo+R´+Rpol´+RGAS
の関係が成立する。
そうすると、リアルタイム充電効率(RCE)=0となるバッテリ13の満充電状態においては、
RGAS ≫REo+R´+Rpol´
の関係が成立し、かつ、
Rf+Rpolf=REo+R´+Rpol´+RGAS
の関係が成立するのであるから、
Rf+Rpolf≒RGAS
なる関係が成立し、したがって、(Rf+Rpolf)はRF でありかつ満充電状態におけるRGAS はRGASf であるから
RF ≒RGASf
なる関係が成立する。
RGAS ≫REo+R´+Rpol´
の関係が成立し、かつ、
Rf+Rpolf=REo+R´+Rpol´+RGAS
の関係が成立するのであるから、
Rf+Rpolf≒RGAS
なる関係が成立し、したがって、(Rf+Rpolf)はRF でありかつ満充電状態におけるRGAS はRGASf であるから
RF ≒RGASf
なる関係が成立する。
よって、バッテリ13の満充電状態におけるガス化抵抗成分の値RGASfを、バッテリ13の固有の満充電時抵抗値RF に置き換えて、リアルタイム充電効率(RCE)を上述の式に代えて次式により求めることもできる。
リアルタイム充電効率(RCE)={1−(Rs´−Rs)/RF }×100%
リアルタイム充電効率(RCE)={1−(Rs´−Rs)/RF }×100%
以上が、バッテリ13のリアルタイム充電効率(RCE)の基本的な考え方と、充電中におけるバッテリ13のリアルタイム充電効率(RCE)の求め方である。
次に、上述したバッテリ13のリアルタイム充電効率(RCE)を求めるために必要となる、充電動作中におけるバッテリ13の内部抵抗R+Rpol(純抵抗Rとそれ以外の抵抗成分である分極抵抗成分Rpolとを加算した合成抵抗)の求め方について、説明しておく。
先に説明した不動態膜がバッテリ13の電極表面に形成されていないものとして、バッテリ13の状態を式で表すと、バッテリ13の端子電圧Vであるところの設定充電電圧値VT から、その時点におけるバッテリ13の内部起電力Eを減じた値が、その時点におけるバッテリ13の内部抵抗R+Rpolに対して、その時点における充電電流の値ICHG を乗じた値と等しくなるはずである。
VT −E=(R+Rpol)×ICHG
VT −E=(R+Rpol)×ICHG
したがって、バッテリ13の内部抵抗R+Rpolは、次式、
(R+Rpol)=(VT −E)/ICHG
で求めることができる。
(R+Rpol)=(VT −E)/ICHG
で求めることができる。
続いて、バッテリ13の充電開始前における内部抵抗R+Rpolを求めるために必要となる、充電開始前におけるバッテリ13の内部起電力Eの求め方について、説明しておく。
充電開始前におけるバッテリ13の内部起電力Eは、その時点におけるバッテリ13の開回路電圧OCVの値に等しいことから、この開回路電圧OCVの値を求めればよいことになる。
そこで、充電開始前におけるバッテリ13の開回路電圧OCVの具体的な求め方を、放電中の端子電圧及び放電電流からバッテリの充電状態SOCを求める方式に関連する本出願人による出願である、特願2000−369220において提案した内容を用いて、以下に説明する。
まず、バッテリ13が放電を行った際に、I/F21を介して電流センサ15や電圧センサ17の出力のA/D変換値の組を周期的に収集することで、バッテリ13の端子電圧V及び放電電流Iを周期的に測定し、その測定値を用いたバッテリ13の純抵抗Rの測定と、この純抵抗Rの成分のみに依存した分極の影響を含まないバッテリ13の電圧−電流特性の割り出しとを行う。
これと共に、バッテリ13の放電中の特に放電電流の減少中における端子電圧Vと放電電流Iとの測定値から、分極の影響を含むバッテリ13の電圧−電流特性の割り出しを行う。
そして、これらバッテリ13の分極の影響を含まない電圧−電流特性と分極の影響を含む電圧−電流特性とを用いて、計算上のバッテリ13の開回路電圧である推定電圧Vnを推定する。
そこでまず、一般的なバッテリそのものの特性について検討する。
ちなみに、エンジンを推進動力源とする一般車や、エンジンの発生するパワーの不足分をモータによりアシストするハイブリッド車両には、スタータモータやモータジェネレータなどの大電流を必要とする負荷が搭載されており、これらの負荷に電力を供給するバッテリの電圧−電流(V−I)特性の例は図22及び図23に示す点のようになる。
従来、V−I特性は図22に示すように、1次式V=aI+bで近似する方式が一般に行われてきたが、図24に示す分極抵抗成分の非直線形の特性の影響により、1次式よりも2次式の方が、高い相関を有する式を得ることができることがわかった。そこで、本実施形態においてバッテリ13の純抵抗による近似V−I特性を求める際には、図23に示すように、V=aI2 +bI+cなる2次式の近似曲線式を最小二乗法によって得ることによって、高い相関を有する近似式を用いるようにする。
上述したような大電流を必要とする負荷を駆動したときには、負荷への最大供給電力値に相当する所定の大電流値による定負荷放電が行われる。このときのバッテリの端子電圧と放電電流とを周期的に測定してこれら端子電圧と放電電流との相関を示す実データに基づいて、図25のグラフ中に示すように、放電電流の増加中におけるバッテリのV−I特性の第1の近似曲線式M1と、放電電流の減少中におけるバッテリのV−I特性の第2の近似曲線式M2の2つの式が得られる。なお、図25中に記載の式は実データによって得られた具体的な近似曲線式の一例である。これらの2つの近似曲線式M1と近似曲線式M2との違いを以下分析する。
一方の近似曲線式M1の場合、放電開始時点での分極抵抗成分を基準にすると、放電が開始し電流が増加すると、分極抵抗成分は徐々に増加していく。その後、電流が最大値になったところで、分極抵抗成分がピークに達し、電流の減少に伴って分極が解消していくはずである。しかし、実際には、電流の減少に比例して分極抵抗成分は解消するのではなく反応が遅れて現れるため、近似曲線式M2の場合、増加方向と同じV−I特性を示さず、増加方向よりも大きな電圧降下を発生させることになり、電流の増加と減少時にそれぞれ対応する2つの近似曲線式M1及びM2が得られることになる。
上述したV−I特性の2つの近似曲線式M1及びM2で表される近似曲線を用いて、バッテリの純抵抗Rを測定する方法を、図26乃至図28を参照して、以下具体的に説明する。
まず、図26に示すように、上記近似曲線式の一方M1で表される近似曲線上の実データの範囲内に任意の点Aを選択し、式M1の近似曲線の縦軸に対する切片C1から近似曲線上の点Aまでの電圧降下ΔV1を求める。このΔV1を点Aでの電流I1で除算した値は、純抵抗Rに純抵抗を除くその他の抵抗成分である分極抵抗成分のその時点での値Rpol1を加算した合成抵抗である。すなわち、
R+Rpol1=ΔV1/I1
である。
R+Rpol1=ΔV1/I1
である。
同様に、図26に示すように、上記近似曲線式の他方M2で表される近似曲線上の実データの範囲内に任意の点Bを選択し、式M2の近似曲線の縦軸に対する切片C2から近似曲線上の点Bまでの電圧降下ΔV2を求める。このΔV2を点Bでの電流I2で除算した値は、純抵抗Rに純抵抗を除くその他の抵抗成分である分極抵抗成分のその時点での値Rpol2を加算した合成抵抗である。すなわち、
R+Rpol2=ΔV2/I2
である。
R+Rpol2=ΔV2/I2
である。
上記2点A及びBの合成抵抗の値の差ΔRは
ΔR=R+Rpol1−(R+Rpol2)=Rpol1−Rpol2
となり、点A及びBにおける分極抵抗成分の差となる。これは、1回の放電中の純抵抗Rは変化しないことから明らかである。
ΔR=R+Rpol1−(R+Rpol2)=Rpol1−Rpol2
となり、点A及びBにおける分極抵抗成分の差となる。これは、1回の放電中の純抵抗Rは変化しないことから明らかである。
なお、式M1で表される近似曲線上には、図27に示すように、式M2の近似曲線上に選択した任意の点Bにおける合成抵抗(R+Rpol2)に等しい値(R+Rpol1′)をもった点A′が存在する。また、式M2で表される近似曲線上にも、図28に示すように、式M1の近似曲線上に選択した任意の点Aにおける合成抵抗(R+Rpol1)に等しい値(R+pol2′)をもった点B′が存在する。すなわち、
R+Rpol1′=R+Rpol2
となる点A′が式M1で表される近似曲線上に存在し、
R+Rpol1=R+Rpol2′
となる点B′が式M2で表される近似曲線上に存在する。
R+Rpol1′=R+Rpol2
となる点A′が式M1で表される近似曲線上に存在し、
R+Rpol1=R+Rpol2′
となる点B′が式M2で表される近似曲線上に存在する。
要するに、点A′における電流及び電圧をそれぞれI1′及びV1′とし、点B′における電流及び電圧をそれぞれI2′及びV2′とすると、点A′の座標(I1′、V1′)と点Bの座標(I2、V2)の分極抵抗成分の値が互いに等しく、また点Aの座標(I1、V1)と点B′(I2′、V2′)の分極抵抗成分の値も互いに等しいことがわかる。
まず、B点を基準とし、この点Bの合成抵抗の値(R+Rpol2)と等しい値を持つ点A′の電流I1′と電圧V1′の算出の仕方を以下説明する。
今、式1で表される近似曲線の縦軸に対する切片C1からこの点A′までの電圧降下をΔV1′とすると、これは
ΔV1′=C1−(a1I1′2 +b1I1′+C1)=(R+Rpol2)I1′
となり、この式を整理すると、
−(a1I1′ +b1)=R+Rpol2
となり、点A′の電流I1′は
I1′=−(b1+R+Rpol2)/a1
となる。なお、
R+Rpol2(=R+pol1′)=ΔV2/I2(=ΔV1′/I1′)であるので、
I1′=−〔b1+(ΔV2/I2)〕/a1
=−〔b1+(ΔV1′/I1′)〕/a1
となる。また、点A′の電圧V1′は、上記式から明らかなように、
V1′=a1I1′2 +b1I1′+C1
であるので、点A′の座標(I1′、V1′)は既知の値から定められる。
ΔV1′=C1−(a1I1′2 +b1I1′+C1)=(R+Rpol2)I1′
となり、この式を整理すると、
−(a1I1′ +b1)=R+Rpol2
となり、点A′の電流I1′は
I1′=−(b1+R+Rpol2)/a1
となる。なお、
R+Rpol2(=R+pol1′)=ΔV2/I2(=ΔV1′/I1′)であるので、
I1′=−〔b1+(ΔV2/I2)〕/a1
=−〔b1+(ΔV1′/I1′)〕/a1
となる。また、点A′の電圧V1′は、上記式から明らかなように、
V1′=a1I1′2 +b1I1′+C1
であるので、点A′の座標(I1′、V1′)は既知の値から定められる。
同様にして、A点を基準とし、この点Aの抵抗値(R+Rpol1)と等しい値を持つ点B′の電流I2′と電圧V2′も、
I2′=−〔b2+(ΔV1/I1)〕/a2
=−〔b2+(ΔV2′/I2′)〕/a2
V2′=a2I2′2 +b2I2′+C2
により既知の値から算出できる。なお、ΔV2′は、式2で表される近似曲線の縦軸に対する切片C2からこの点B′までの電圧降下である。
I2′=−〔b2+(ΔV1/I1)〕/a2
=−〔b2+(ΔV2′/I2′)〕/a2
V2′=a2I2′2 +b2I2′+C2
により既知の値から算出できる。なお、ΔV2′は、式2で表される近似曲線の縦軸に対する切片C2からこの点B′までの電圧降下である。
上述のようにして、点A′の座標(I1′、V1′)が定まったら、図27に示すように、点A′の座標(I1′、V1′)と点Bの座標(I2、V2)とを結ぶ直線L1の傾斜を求めることによって合成抵抗の値R1が求められる。この合成抵抗の値R1は、純抵抗と分極抵抗成分Rpol2とからなる合成抵抗によって生じる電圧降下の差(V1′−V2)を各点において流れる電流の差(I1′−I2)によって除算することによって求められる。すなわち、
R1=(V1′−V2)/(I1′−I2)
となる。
R1=(V1′−V2)/(I1′−I2)
となる。
同様にして、点B′の座標(I2′、V2′)が定まったら、図28に示すように、点B′の座標(I2′、V2′)と点Aの座標(I1、V1)とを結ぶ直線L2の傾斜を求めることによって合成抵抗の値R2が求められる。この合成抵抗の値R2は、純抵抗と分極抵抗成分Rpol1とからなる合成抵抗によって生じる電圧降下の差(V1−V2′)を各点において流れる電流の差(I1−I2′)によって除算することによって求められる。すなわち、
R2=(V1−V2′)/(I1−I2′)
となる。
R2=(V1−V2′)/(I1−I2′)
となる。
しかしながら、上述のようにして求められる合成抵抗の値R1及びR2は、純抵抗と分極抵抗成分とからなる合成抵抗によって生じる電圧降下の差を各点において流れる電流の差によって除算して求めたもので、純抵抗とは一致しない。2点間の傾きを純抵抗と一致させるには、分極抵抗成分によって生じる電圧降下分を除いた電圧降下の差を電流差によって除算してやればよい。
先ず、点Bを基準にした場合について説明すると、今、合成抵抗の値R1を
R1=R1′+Rpol2=R1′+Rpol1′
とすると、抵抗R1′に点A′の電流I1′と点Bの電流I2との差に相当する電流が流れることによって生じる電圧降下は、分極抵抗成分Rpol1′(又はRpol2)に点A′の電流I1′と点Bの電流I2の差に相当する電流が流れることによって生じる電圧降下分だけ、点A′の電圧を持ち上げて補正してやればよく、次式が成立する。
R1′(I1′−I2)=〔V1′+Rpol1′(I1′−I2)〕−V2
R1=R1′+Rpol2=R1′+Rpol1′
とすると、抵抗R1′に点A′の電流I1′と点Bの電流I2との差に相当する電流が流れることによって生じる電圧降下は、分極抵抗成分Rpol1′(又はRpol2)に点A′の電流I1′と点Bの電流I2の差に相当する電流が流れることによって生じる電圧降下分だけ、点A′の電圧を持ち上げて補正してやればよく、次式が成立する。
R1′(I1′−I2)=〔V1′+Rpol1′(I1′−I2)〕−V2
この式を整理すると、
R1′(I1′−I2)=(V1′−V2)+Rpol1′(I1′−I2)
となる。ここで、Rpol1′=ΔV1′/I1′−R1′であるので、
R1′(I1′−I2)=(V1′−V2)+(ΔV1′/I1′−R1′)×(I1′−I2)
2R1′(I1′−I2)=(V1′−V2)+ΔV1′/I1′(I1′−I2)
となり、結果として、
R1′=〔(V1′−V2)+(ΔV1′/I1′)×(I1′−I2)〕/2(I1′−I2)
が求められる。なお、(ΔV1′/I1′)は(ΔV2/I2)と置き換えることができる。
R1′(I1′−I2)=(V1′−V2)+Rpol1′(I1′−I2)
となる。ここで、Rpol1′=ΔV1′/I1′−R1′であるので、
R1′(I1′−I2)=(V1′−V2)+(ΔV1′/I1′−R1′)×(I1′−I2)
2R1′(I1′−I2)=(V1′−V2)+ΔV1′/I1′(I1′−I2)
となり、結果として、
R1′=〔(V1′−V2)+(ΔV1′/I1′)×(I1′−I2)〕/2(I1′−I2)
が求められる。なお、(ΔV1′/I1′)は(ΔV2/I2)と置き換えることができる。
次に、点Aを基準にした場合にも同様にして
R2=R2′+Rpol1=R2′+Rpol2′
とすると、この抵抗R2′に点Aの電流I1と点B′の電流I2′の差に相当する電流が流れることによって生じる電圧降下は、分極抵抗成分Rpol12′(又はRpol1)に点Aの電流I1と点B′の電流I2′との差に相当する電流が流れることによって生じる電圧降下分、点B′の電圧を引き下げて補正してやればよく、次式が成立する。
R2′(I1−I2′)=V1−〔V2′−Rpol2′(I1−I2′)〕
R2=R2′+Rpol1=R2′+Rpol2′
とすると、この抵抗R2′に点Aの電流I1と点B′の電流I2′の差に相当する電流が流れることによって生じる電圧降下は、分極抵抗成分Rpol12′(又はRpol1)に点Aの電流I1と点B′の電流I2′との差に相当する電流が流れることによって生じる電圧降下分、点B′の電圧を引き下げて補正してやればよく、次式が成立する。
R2′(I1−I2′)=V1−〔V2′−Rpol2′(I1−I2′)〕
この式を整理すると、
R2′(I1−I2′)=(V1−V2′)+Rpol2′(I1−I2′)
となる。ここで、Rpol2′=ΔV2′/I2′−R2′であるので、
R2′(I1−I2′)=(V1−V2′)+(ΔV2′/I2′−R2′)(I1−I2′)
2R2′(I1−I2′)=(V1−V2′)+ΔV2′/I2′(I1−I2′)
となり、結果として、
R2′=〔(V1−V2′)+(ΔV2′/I2′)(I1−I2′)〕/2(I1−I2′)
が求められる。なお、(ΔV2′/I2′)は(ΔV1/I1)と置き換えることができる。
R2′(I1−I2′)=(V1−V2′)+Rpol2′(I1−I2′)
となる。ここで、Rpol2′=ΔV2′/I2′−R2′であるので、
R2′(I1−I2′)=(V1−V2′)+(ΔV2′/I2′−R2′)(I1−I2′)
2R2′(I1−I2′)=(V1−V2′)+ΔV2′/I2′(I1−I2′)
となり、結果として、
R2′=〔(V1−V2′)+(ΔV2′/I2′)(I1−I2′)〕/2(I1−I2′)
が求められる。なお、(ΔV2′/I2′)は(ΔV1/I1)と置き換えることができる。
上述したように求められた2つの値R1′及びR2′は、2つの点A及びBを基準にし、異なる分極抵抗成分(Rpol1′=Rpol2)と(Rpol1=Rpol2′)を用い、しかも異なる切片C1からの電圧降下Δ1′(ΔV1)と切片C2からの電圧降下Δ2′(ΔV2)を用いて求めたものであるので、真の純抵抗Rとなり得ない。したがって、両者の加算平均
R=(R1′+R2′)/2
をとることによって、真の純抵抗Rが求められる。
R=(R1′+R2′)/2
をとることによって、真の純抵抗Rが求められる。
そこで、バッテリ13の純抵抗を求めるに当たっては、I/F21を介して収集される電流センサ15や電圧センサ17の出力のA/D変換値の組の最新のものを用いて、最小二乗法により、放電電流Iの増加中におけるバッテリ13の端子電圧Vと放電電流Iとの相関を示す電圧−電流特性である、例えばV1(I)=a1I2 +b1I+C1なる2次式で表される第1の近似曲線式M1と、減少する放電電流に対する電圧−電流特性の例えばV2(I)=a2I2 +b2I+C2なる2次式で表される第2の近似曲線式M2とを求める。
次に、第1の近似曲線式M1によって表される電圧−電流特性曲線上に第1の点Aを定めると共に、第2の近似曲線式M2によって表される電圧−電流特性曲線上に第2の点Bを定める。このとき、第1の近似曲線式M1によって表される電圧−電流特性曲線上に定められる第1の点Aと、第2の近似曲線式M2によって表される電圧−電流特性曲線上に定められる第2の点Bとは、各近似曲線式を求める際に使用された端子電圧と放電電流の実データの存在する範囲内に好ましく定められる。このように定めることによって、その後、各点に対応する想定点を想定する際に、想定点が大きく外れた位置に想定されることがなくなる。また、好ましくは、第1の点Aと第2の点Bは、分極抵抗成分が最大となる点の両側に定められるのがよい。このように定めることによって、最大点の両側に想定点が定められるようになるようになり、その後、純抵抗を求める際の精度が高まるようになる。
そして、第2の点Bに対応する第2の放電電流I2が流れたとき第2の電圧降下ΔV2を生じさせる、バッテリの純抵抗と第2の分極抵抗成分Rpol2からなる第2の合成抵抗R2と同一の抵抗値を有する第1の想定点A′を、第1の近似曲線式M1上に想定すると共に、第1の点Aに対応する第1の放電電流I1が流れたとき第1の電圧降下ΔV1を生じさせる、バッテリ13の純抵抗と第1の分極抵抗成分Rpol1からなる第1の合成抵抗R1と同一の抵抗値を有する第2の想定点B′を、第2の近似曲線式M2上に想定する。
2つの想定点A′及びB′が想定できたら、第2の点Bと第1の想定点A′とを結ぶ直線L1の第1の傾斜R1を、第2の放電電流I2と第1の想定点A′での放電電流I1′とによってそれぞれ生じる、第2の分極抵抗成分Rpol2による電圧降下の差分Rpol2(I1′−I2)により補正した上で、第2の分極抵抗成分Rpol2による電圧降下分を除いた第1の補正傾斜R1′を求めると共に、前記第1の点と前記第2の想定点B′とを結ぶ直線L2の第2の傾斜R2を、第1の放電電流I1と第2の想定点B′での放電電流I2′とによってそれぞれ生じる、第1の分極抵抗成分Rpol1による電圧降下の差分Rpol1(I1−I2′)により補正した上で、第1の分極抵抗成分Rpol1による電圧降下分を除いた第2の補正傾斜R2′を求める。
このようにして求めた第1の補正傾斜R1′と第2の補正傾斜R2′とを加算平均することで、これら第1の補正傾斜R1′と第2の補正傾斜R2′との平均傾斜を、バッテリ13の純抵抗Rとして求める。
このようにしてバッテリ13の純抵抗Rを求めたならば、その値に、先に収集された最新の所定時間分の実データにおける放電電流Iを乗じて、この放電電流Iのサンプル数と同数の、純抵抗によるバッテリ13の放電中における端子電圧Vを求め、求めた複数の端子電圧Vと、先に収集された複数の放電電流Iとの対に、最小二乗法を適用して、純抵抗によるバッテリ13の分極の影響を含まない直線的な電圧−電流特性式VR =aR I+bR を割り出す。
続いて、先に収集されたバッテリ13の放電電流Iの実データのうち、ピーク値から減少する部分の実データについて、そのデータの相関性を確認した上で、その減少する部分の複数の放電電流Iと、それら複数の放電電流Iに対応する複数の端子電圧Vとの対に、最小二乗法を適用して、バッテリ13の分極の影響を含む直線的な電圧−電流特性式V=aI+bを割り出す。
次に、先に割り出した、純抵抗によるバッテリ13の分極の影響を含まない直線的な電圧−電流特性式VR =aR I+bR 上の、ピーク電流値よりも低い、セルモータやモータジェネレータを作動させる際に必ず流れる電流値(I1 )とそのときの電圧値(V1 )とからなる座標値(V1 ,I1 )を通るように、バッテリ13の分極の影響を含む電圧−電流特性式V=aI+bを電圧軸方向にシフトさせた、シフト後電圧−電流特性式V´=aI+b´を求める。
続いて、定電流放電における推定電圧Vnがバッテリ13の容量に対して直線的な特性を示すようになる仮想電流値Is=−10A(アンペア)を、先に求めたシフト後電圧−電流特性式V´=aI+b´に代入して、推定電圧Vnを推定し、この推定電圧Vnに、予め定められた残存電圧降下値e0 を加算して、補正後推定電圧Vn´を求める。
ここで、予め定められた残存電圧降下値e0 とは、セルモータやモータジェネレータによりエンジンを始動させるためにバッテリ13が瞬時的に定負荷放電を行った際に、その定負荷放電中に電流センサ15や電圧センサ17により検出されたバッテリ13の端子電圧Vと放電電流Iとの相関を基にして、上述のように推定した、定負荷放電状態における推定上の端子電圧Vである推定電圧Vnを、予め求めておいたバッテリ13の開回路電圧OCVから差し引いた、バッテリ13の放電終了時における残存分極の影響による残存電圧降下量のことである。
以上が、充電開始前におけるバッテリ13の開回路電圧OCV(補正後推定電圧Vn´)を求める具体的な求め方である。
なお、ここで説明した、充電開始前におけるバッテリ13の開回路電圧OCV(補正後推定電圧Vn´)を求める処理の内容は、あくまで一例であって、例えば、周期的に測定される放電電流の値に測定周期の時間幅を乗じて求めた単位時間当たりの放電電気量を積算することで、バッテリ13に充電されている電気量を計算により求め、その求めた電気量に対応するバッテリ13の開回路電圧OCVを、ROM23c等に予め格納された対応テーブルから導き出す、電流積算法を用いた処理等、他の内容による処理で充電開始前におけるバッテリ13の開回路電圧OCVを求めても一向に構わない。
以上説明した方法を要約すると、充電効率検出方法は、負荷に電力を供給するバッテリの充電開始から充電終了までの任意の時点について、起電力として該バッテリに流れこんだ総電気量のうち、起電力として前記バッテリに充電される電気量の割合であるリアルタイム充電効率(RCE)を検出する。
そして、この充電効率検出方法によれば、任意の時点におけるバッテリのリアルタイム充電効率(RCE)が、バッテリの充電状態の変化に伴うガス化現象の発生を加味して正確に検出されることになる。
また、充電効率検出方法は、負荷に電力を供給するバッテリの充電開始から充電終了までの任意の時点について、該バッテリに流れこんだ総電気量のうち、起電力として前記バッテリに充電される電気量の割合であるリアルタイム充電効率(RCE)を検出するに当たり、バッテリの充電開始時点における内部抵抗値である開始時抵抗値と、該バッテリの充電開始後から充電終了までの任意の時点における内部抵抗値である開始後抵抗値とを、各時点において測定される前記バッテリの端子電圧と充電電流とを用いて各々求め、開始後抵抗値と開始時抵抗値との差分である差分抵抗値を求め、前記バッテリに固有の該バッテリの満充電状態における内部抵抗値である満充電時抵抗値に対する差分抵抗値の割合を求め、満充電時抵抗値に対する差分抵抗値の割合に基づいて、任意の時点における前記バッテリのリアルタイム充電効率(RCE)を検出する。
そして、この充電効率検出方法によれば、開始後抵抗値と開始時抵抗値とがいずれも充電時のバッテリの端子電圧とそれに対応する充電電流とにより求められるので、それら両抵抗値の差分である差分抵抗値の満充電時抵抗値に対する割合を求めることで、充電中に測定可能なバッテリの端子電圧とそれに対応する充電電流とを用いて、任意の時点におけるバッテリのリアルタイム充電効率(RCE)が、バッテリの充電状態の変化に伴うガス化現象の発生を加味して正確に検出されることになる。
また、任意の時点における前記バッテリのリアルタイム充電効率(RCE)の理想値からの低下分を示す値として満充電時抵抗値に対する差分抵抗値の割合を求め、任意の時点におけるバッテリのリアルタイム充電効率(RCE)を示す値として、満充電時抵抗値に対する差分抵抗値の割合を1から減じた値を求めることで、任意の時点におけるバッテリのリアルタイム充電効率(RCE)を検出するようにした。
また、充電効率検出方法において、満充電時抵抗値に対する、開始後抵抗値と開始時抵抗値との差分抵抗値の割合が、バッテリのリアルタイム充電効率(RCE)の理想値からの低下分を示す値として求められ、この値を1から減じた値を求めることで、任意の時点におけるバッテリのリアルタイム充電効率(RCE)が検出されることになる。
また、充電効率検出方法において、満充電時抵抗値と開始後抵抗値の差分抵抗値に対する、開始後抵抗値と開始時抵抗値との差分抵抗値の割合が、バッテリのリアルタイム充電効率(RCE)の理想値からの低下分を示す値として求められ、この値を1から減じた値を求めることで、任意の時点におけるバッテリのリアルタイム充電効率(RCE)が検出されることになる。
さらに、充電効率検出方法によって、バッテリの充電開始時点から充電終了時点に亘って繰り返し連続して検出した前記バッテリのリアルタイム充電効率(RCE)に基づいて、充電開始時点から充電終了時点に亘る充電により前記バッテリに蓄積された充電電気量を検出する。
さらに、この充電効率検出方法によって、バッテリの充電開始時点から充電終了時点に亘って繰り返し連続して検出されたリアルタイム充電効率(RCE)により、バッテリの充電開始時点から充電終了時点に亘る単位時間当たりの、バッテリに流れこんだ総電気量のうち起電力として現実にバッテリに充電、蓄積された電気量が求められ、それらを積算することによって、バッテリの充電開始時点から充電終了時点に亘ってバッテリに実際に充電、蓄積された電気量が、正確に検出されることになる。
また、充電電気量検出方法において、充電開始時点が、バッテリの電極に不動態膜が形成されていない電極の活性状態からの充電動作の開始時点であり、バッテリの充電電流の経時変化のパターンに基づいて、該バッテリの電極が活性状態にあるか否かを判別し、活性状態においては、充電によりバッテリに蓄積された充電電気量を、バッテリの充電開始時点から充電終了時点に亘って繰り返し連続して検出した該バッテリのリアルタイム充電効率(RCE)に基づいて検出し、活性状態に至る前の、バッテリの電極に不動態膜が形成されている状態における、該不動態膜の充電動作による破壊が進行している電極の過渡期間においては、バッテリの充電電流に、該充電電流による充電時間を乗じて求めた充電電気量を積算することで、過渡期間における充電により前記バッテリに蓄積された充電電気量を検出するようにした。
また、バッテリの充電の開始前の段階で、バッテリの電極の表面に絶縁性の不動態膜が形成されていると、充電のための電極への通電に伴う不動態膜の破壊によって充電電流の値が、充電のためにバッテリに印加される電圧に見合った本来の値に向けて増加するが、このような電極が活性状態にない期間には、充電電流が低いことからガス化の発生によるリアルタイム充電効率(RCE)の低下はないと見倣すことができる。そこで、電極が活性状態にない過渡期間においては、バッテリに充電される電気量が、バッテリの充電電流に該充電電流による充電時間を乗じて、単位時間当たりの充電電気量として周期的に求められる一方、バッテリの電極の表面に不動態膜が形成されていない電極の活性状態では、充電効率検出方法によってバッテリの充電開始時点から充電終了時点に亘って繰り返し連続して検出したバッテリのリアルタイム充電効率に基づいて、バッテリに充電される電気量が検出されることになる。
以上の通り、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれに限らず、種々の変形、応用が可能である。
たとえば、上述の実施の形態では、非劣化時のバッテリ13について予め定められたバッテリの開回路電圧(OCV)と充電状態(SOC)の関係として、満充電時開回路電圧(OCVf)と放電終止開回路電圧(OCVe)との間で充放電可能な総電気量である初期電気量に基づく直線Nを利用して、任意の開回路電圧に対応する電気量(充電状態(SOC))を推定し、この推定SOCに劣化度を乗じて任意時点のバッテリ13の充電状態(SOC)を推定しているが、これに限らず、本発明の他の実施例として、たとえば、非劣化時のバッテリ13について予め定められたバッテリの開回路電圧(OCV)と充電状態(SOC)の関係として、所定値のSOCを超える領域のSOCデータと該領域のSOCに対応するOCVデータを用いて求めた近似直線を利用するように構成しても良い。
以下、この実施例について説明する。OCVとSOCの関係は、図29のOCVとSOCの関係の実測例に示すように、実際には、充電状態SOC(%)が20〜30%を超えるSOC領域では直線的関係を保っているが、20〜30%以下の低SOC領域では実測されるOCVが低下し、直線的な関係が崩れている。
上述の実施の形態では、充放電が行われると、直線Nに基づいてOCVoからSOCoを求めた後、求めたSOCoに充放電電流の時間積の積算が行われて、充放電後のSOCnが算出される。しかし、図30に示すように、充電時に、低SOCの状態から充電電流の積算を実施して充電後のSOCを算出した場合、充電が進行して充電後のSOCが20〜30%を超えるSOC領域になると、充電電流の積算に基づくOCV対SOC特性(図中、矢印で示す直線)上にある算出されたSOCに対応するOCVと、実測によるOCVとSOCの関係におけるOCVとの誤差が大きくなるという問題が発生する。
そこで、CPU23aは、図31に示すフローチャートにより、予め設定されるバッテリ13の開回路電圧(OCV)と充電状態(SOC)の関係として近似直線を求める処理を行う。
図31のフローチャートにおいて、まず、バッテリ13に関して所定値(たとえば、30%)のSOCを超える領域のSOCデータと該領域のSOCに対応するOCVデータのみを収集し(ステップS11)、次いで、収集されたSOCおよびOCVデータに基づき最小二乗法を使用して、OCVに対するSOCの近似直線を算出する(ステップS12)。上述の所定値は、実測OCVとこの実測OCVに対応するSOCの関係が、図29に示すように非直線になるポイントに設定される。なお、この近似直線を求めるタイミングは、バッテリ13の充電状態推定装置および開回路電圧推定装置の設計時であり、算出された近似直線は、予め設定されるバッテリ13の開回路電圧(OCV)と充電状態(SOC)の関係としてROM23c内の不揮発性メモリに書き込まれ、記憶される(ステップS13)。図34は、上述のようにして算出された近似直線を示す。
また、ROM23c内の不揮発性メモリには、上述の所定値(30%)のSOCに対応するOCVの値(OCVthとする)も記憶される。
次に、車載用バッテリ管理装置1におけるバッテリ13の電気量(充電状態(SOC))を推定する方法について、図32に示すフローチャートを参照して説明する。CPU23aは、図31のフローチャートで求められた近似直線を利用してバッテリの充電状態SOCを推定する処理を図32のフローチャートに基づいて実行する。
図32のフローチャートにおいて、CPU23aはイグニッションスイッチのオンによって動作を開始し、まず、充放電前の開回路電圧(OCVo)及び電気量(SOCo)を求める(ステップS21)。
次いで、CPU23aは、電流センサ15からの検出出力に基づき、充放電時の電流積算値の算出を行う(ステップS22)。ステップS22の計算は、電流センサ15による充放電電流の測定を所定のサンプリング周期によって計測する毎に行われ、次いで充放電が終了したか否かを判定し(ステップS23)、充放電が終了するまで繰り返される。
充放電が終了すると(ステップS23のY)、次いでCPU23aは、充放電前のSOCに電流積算値を加減算して充放電後のSOCを算出する(ステップS24)。これは、上述の式(6)及び(7)によって計算することができる。
次いでCPU23aは、充放電終了後の開回路電圧(OCVm)を測定する(ステップ25)。次いで、CPU23aは、測定されたOCV(OCVm)が、近似直線における所定値(30%)のSOCに対応するOCV(OCVth)を超えているか否か、すなわち、(OCVm>OCVth)か否かを判定する(ステップS26)。
測定されたOCV(OCVm)がOCVthを超えていれば(ステップS26のY)、次いでCPU23aは、測定されたOCV(OCVm)をROM23cから読み出された近似直線に代入し、代入されたOCVmに対応するSOCを充放電後のバッテリ13の充電状態(SOC)として推定し(ステップS27)、次いで処理を終了する。
一方、測定されたOCV(OCVm)がOCVth以下(すなわち、(OCVm≦OCVth))であれば(ステップS26のN)、次いでCPU23aは、ステップS24で算出された充放電後のSOCをROM23cから読み出された近似直線に代入し、代入されたSOCを充放電後のバッテリ13の充電状態(SOC)として推定し(ステップS28)、次いで処理を終了する。
次に、車載用バッテリ管理装置1におけるバッテリ13の開回路電圧を推定する方法について、図33に示すフローチャートを参照して説明する。図33は、図31のフローチャートで求められた近似直線を利用してバッテリの開回路電圧を推定する処理を行うフローチャートである。図33の処理も、CPU23aにおいて行われる。
図33のフローチャートにおいて、CPU23aはイグニッションスイッチのオンによって動作を開始し、まず、充放電前の開回路電圧(OCVo)及び電気量(SOCo)を求める(ステップS31)。
次いで、CPU23aは、電流センサ15からの検出出力に基づき、充放電時の電流積算値の算出を行う(ステップS32)。ステップS32の計算は、電流センサ15による充放電電流の測定を所定のサンプリング周期によって計測する毎に行われ、次いで充放電が終了したか否かを判定し(ステップS33)、充放電が終了するまで繰り返される。
充放電が終了すると(ステップS33のY)、次いでCPU23aは、充放電前のSOCに電流積算値を加減算して充放電後のSOCを算出する(ステップS34)。これは、上記の式(6)及び(7)によって計算することができる。
次いでCPU23aは、充放電終了後の開回路電圧(OCVm)を測定する(ステップS35)。
次いで、CPU23aは、測定されたOCV(OCVm)が、近似直線における所定値(30%)のSOCに対応するOCV(OCVth)を超えているか否か、すなわち、(OCVm>OCVth)か否かを判定する(ステップS36)。
測定されたOCV(OCVm)がOCVthを超えていれば(ステップS36のY)、次いでCPU23aは、測定されたOCV(OCVm)をROM23cから読み出された近似直線に代入し、代入されたOCVmを充放電後のバッテリ13の開回路電圧として推定し(ステップS37)、次いで処理を終了する。
一方、測定されたOCV(OCVm)がOCVth以下(すなわち、(OCVm≦OCVth))であれば(ステップS36のN)、次いでCPU23aは、ステップS24で算出された充放電後のSOCをROM23cから読み出された近似直線に代入し、代入されたSOCに対応するOCVを充放電後のバッテリ13の開回路電圧として推定し(ステップS38)、次いで処理を終了する。
このように、充放電が行われた際、予め設定されるバッテリ13の開回路電圧(OCV)と充電状態(SOC)の関係として、所定値(30%)のSOCを超える領域のSOCデータと該領域のSOCに対応するOCVデータを用いて最小二乗法により近似直線が求められ、求められた近似直線を利用して、充放電後の充電状態SOCおよび開回路電圧が推定される。すなわち、OCVを実測したとき、この実測OCVがOCVthを超えていれば、近似直線に実測OCVを代入して、実測OCVに対応するSOCを充放電後のバッテリ13の充電状態(SOC)として推定するが、実測OCVがOCVth以下の場合、すなわち、図34の点線で示されるように実測OCVとSOCの関係が非直線になる領域にある場合には、実測OCVは無視され、SOCの換算には利用されない。そして、電流積算によって求めた充放電後のSOCが近似直線に代入され、代入されたSOCが充放電後のバッテリ13の充電状態(SOC)としてRAM23bに記憶され、また代入されたSOCに対応するOCVが推定OCVとしてRAM23bに記憶される。
したがって、上述した充電状態推定方法及びその装置により、OCVとSOCの関係が非直線になる領域においても、従来のような誤差を生じることなく、SOCを高精度に推定することができる。
SOCとOCVの関係に基づいてバッテリ13の劣化状態等を把握するときには、上述した開回路電圧推定方法及びその装置により求められる推定OCVを利用することによって、劣化度等の評価に誤りがなくなる。
また、理論クーロン量(非劣化時の満容量)を推定する場合の放電終止OCVの設定値は、上述の近似直線によって得られたSOC(%)に対する推定OCVを利用することができ、ADC推定に利用する理論クーロン量計算は、上述の放電終止OCVの設定値を利用することにより、ADCの推定を、SOCの全領域にわたって高精度に行うことができる。
なお、SOCの所定値を30%としているが、この所定値は、これに限らず、たとえば20%等の他の適宜な値に設定することができる。
13 バッテリ
15 電流センサ
17 電圧センサ
23a CPU
23a−21 電気量増減算出手段(CPU)
23a−22 開回路電圧増減算出手段(CPU)
23a−23 開回路電圧増減推定/実測手段(CPU)
23a−24 劣化度算定手段(CPU)
15 電流センサ
17 電圧センサ
23a CPU
23a−21 電気量増減算出手段(CPU)
23a−22 開回路電圧増減算出手段(CPU)
23a−23 開回路電圧増減推定/実測手段(CPU)
23a−24 劣化度算定手段(CPU)
Claims (8)
- バッテリの充放電後の充電状態を推定する方法であって、
放電時には、放電に伴って流れる放電電流を間欠的に測定し、該測定した放電電流の時間積を放電開始前の電気量に積算することによって放電後のバッテリの充電状態を推定し、
充電時には、充電に伴って流れる充電電流を間欠的に測定し、該測定した充電電流の時間積にリアルタイム充電効率を乗じて、充電開始前の電気量に積算することによって充電後のバッテリの充電状態を推定する
ことを特徴とするバッテリの充電状態推定方法。 - 前記リアルタイム充電効率は、
前記バッテリの充電開始から充電終了までの任意の時点において、起電力として前記バッテリに流れこんだ総電気量のうち、起電力として前記バッテリに充電される電気量の割合である
ことを特徴とする請求項1記載のバッテリの充電状態推定方法。 - 前記リアルタイム充電効率は、
前記バッテリの満充電状態における内部抵抗値に対する、前記バッテリの充電開始時点における内部抵抗値と前記バッテリの充電開始後から充電終了までの任意の時点における内部抵抗値との差の割合に基づいて求める
ことを特徴とする請求項1記載のバッテリの充電状態推定方法。 - 前記リアルタイム充電効率は、
前記バッテリの充電開始時点における内部抵抗値である開始時抵抗値と、該バッテリの充電開始後から充電終了までの任意の時点における内部抵抗値である開始後抵抗値とを、各時点において測定される前記バッテリの端子電圧と充電電流とを用いて各々求め、
前記開始後抵抗値と前記開始時抵抗値との差分である差分抵抗値を求め、
前記バッテリに固有の該バッテリの満充電状態における内部抵抗値である満充電時抵抗値に対する差分抵抗値の割合を求め、
前記満充電時抵抗値に対する前記差分抵抗値の割合に基づいて求める
ことを特徴とする請求項1記載のバッテリの充電状態推定方法。 - バッテリの充放電後の充電状態を推定する装置であって、
前記バッテリの充放電電流を間欠的に検出する電流センサと、
前記バッテリの端子電圧を検出する電圧センサと、
放電時には、前記電流センサで検出された放電電流の時間積を放電開始前の電気量に積算することによって放電後のバッテリの充電状態を推定し、充電時には、前記電流センサで検出された充電電流の時間積にリアルタイム充電効率を乗じて、充電開始前の電気量に積算することによって充電後のバッテリの充電状態を推定する電気量増減算出手段と
を備えていることを特徴とするバッテリの充電状態推定装置。 - 前記リアルタイム充電効率は、
前記バッテリの充電開始から充電終了までの任意の時点について、起電力として前記バッテリに流れこんだ総電気量のうち、起電力として前記バッテリに充電される電気量の割合である
ことを特徴とする請求項5記載のバッテリの充電状態推定装置。 - 前記リアルタイム充電効率は、
前記バッテリの満充電状態における内部抵抗値に対する、前記バッテリの充電開始時点における内部抵抗値と前記バッテリの充電開始後から充電終了までの任意の時点における内部抵抗値との差の割合に基づいて求められる
ことを特徴とする請求項5記載のバッテリの充電状態推定装置。 - 前記リアルタイム充電効率は、
前記バッテリの充電開始時点における内部抵抗値である開始時抵抗値と、該バッテリの充電開始後から充電終了までの任意の時点における内部抵抗値である開始後抵抗値とを、各時点において前記電流センサおよび前記電圧センサで測定される前記バッテリの端子電圧と充電電流とを用いて各々求め、
前記開始後抵抗値と前記開始時抵抗値との差分である差分抵抗値を求め、
前記バッテリに固有の該バッテリの満充電状態における内部抵抗値である満充電時抵抗値に対する差分抵抗値の割合を求め、
前記満充電時抵抗値に対する前記差分抵抗値の割合に基づいて求められる
ことを特徴とする請求項5記載のバッテリの充電状態推定装置。
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