JP3719276B2 - 製紙用スライム防除剤 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、改善された効果を有する、製紙工程における工業用水中のスライム防除剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
パルプ工場及び製紙工場のパルプ調整及び抄紙工程において、バクテリア、酵母、糸状菌等の微生物繁殖によってスライムが形成され、種々の障害を引き起こすことが知られている。スライムは製紙工程中のリフラー壁、スクリーン、インレット又はチェスト壁、白水ピット、回収白水パイプの内壁等、水を使用する工程のほとんどあらゆる部分に付着し、次第にその厚さを増し、ついには剥離してパルプスラリー中に混入したり、スクリーンやパイプを詰まらせたりする。パルプスラリー中に混入した小さいスライム塊は、紙上に黄色ないし褐色の班点、いわゆる目玉を生じて紙質を低下させ、大きなスライム塊は紙切れまで起こす原因となる。近年、白水回収率の向上、澱粉、ポリアクリルアミド、サイズ剤等の添加剤による富栄養化、無機物填料を含む堆積物、木材の樹脂成分、古紙に由来する接着剤やインキ成分に起因するピッチ状堆積物の増加などにより、製紙工程は一層微生物の繁殖に適する環境となっている。特に白水回収率の向上は、スライム防除剤に対する耐性菌の出現及び菌交代現象をひき起こしやすくし、スライム防除剤の効力低下の原因となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
そのため従来より多くのスライム防除剤が開発され使用されているが、このような条件下で満足すべき効力を持続しうるスライム防除剤は、見当らないのが現状である。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下式で表されるα−クロロホルムアルドキシムピリジン類又はその酸付加物
【0005】
【化3】
の1種又は2種以上と次の(a)〜(s)の化合物
【0006】
(a)一般式
【化4】
(式中R1は水素原子又は低級アルキル基、R2は水素原子又はアシル基、R3は水素原子、臭素原子、低級アルキル基又は−CH(OR2)−R1を示す。)で表される化合物、
【0007】
(b)一般式
【化5】
(但し、式中R4は水素原子又は塩素原子、R5はアルキル基を示す。Mはアルカリ土類金属又は重金属陽イオンであリ、Xはコンプレックスを形成するに十分な溶解度を有する陽イオンMとの化合物を形成する陰イオンであり、mは1又は2の整数を示し、nは陰イオンXが陽イオンMの原子価を満たす整数を示す。)で表される化合物、
(c)メチレンビスチオシアネート、(d)4,5−ジクロロ−1,2−ジチオール−3−オン、(e)4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、(f)2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド、(g)5−クロロ−2,4,6−トリフルオロイソフタロニトリル、(h)1,2−ビス−ブロモアセトキシエタン、(i)1,4−ビス−ブロモアセトキシ−2−ブテン、(j)1,2−ビス−ブロモアセトキシプロパン、(k)1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、(l)2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、(m)3,3,4,4−テトラクロロテトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド、(n)α−ブロモ−3−ニトロアセトフェノン、(o)α−クロロベンズアルドキシム、(p)α−クロロ−o−アセチルベンズアルドキシム、(q)α−クロロ−p−クロロベンズアルドキシム、(r)α−クロロ−p−クロロ−o−アセチルベンズアルドキシム、(s)o−フタルアルデヒドの1種又は2種以上を含有することを特徴とする製紙用スライム防除剤である。
本発明者らは、α−クロロホルムアルドキシムピリジン類又はその酸付加塩の1種又は2種以上と(a)〜(s)の化合物を併用することにより、これらの化合物を単独で使用した場合からは予想し得なかった優れた相乗効果が得られることを見出した。
【0008】
本発明において、α−クロロホルムアルドキシムピリジン類としては2−(α−クロロホルムアルドキシム)−ピリジン(2CFAP)、3−(α−クロロホルムアルドキシム)−ピリジン(3CFAP)、4−(α−クロロホルムアルドキシム)−ピリジン(4CFAP)が含まれる。また、その酸付加物としては2−(α−クロロホルムアルドキシム)−ピリジン・酸付加物、3−(α−クロロホルムアルドキシム)−ピリジン・酸付加物、4−(α−クロロホルムアルドキシム)−ピリジン・酸付加物が含まれる。α−クロロホルムアルドキシムピリジンの酸付加物を形成するのに用いる酸としては、塩酸,硫酸,硝酸,燐酸類、臭化水素酸,スルファミン酸等の無機化合物の酸、蟻酸,酢酸,プロピオン酸,マレイン酸,フマル酸等の脂肪酸、リンゴ酸,クエン酸,酒石酸等のオキシ酸、メタンスルホン酸,ベンゼンスルホン酸,p−トルエンスルホン酸,ドデシルベンゼンスルホン酸等のスルホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸,ニトリロトリス(メチルホスホン酸)等のホスホン酸があげられる。
【0009】
化合物(a)としては次の化合物があげられる。
a−1 :2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノール
a−2 :1,1−ジプロモ−1−ニトロプロパノール
a−3 :2−ブロモ−2−ニトロプロパンジオール−1,3
a−4 :3−ブロモ−3−ニトロペンタンジオール−2,4
a−5 :2−ブロモ−2−ニトロブタンジオール−1,3
a−6 :3−ブロモ−3−ニトロブタノール−2
a−7 :2−ブロモ−2−ニトロブタノール−2
a−8 :2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−ジアセトキシプロパン
a−9 :2,2−ジブロモ−2−ニトロ−1−アセトキシエタン
a−10:3−ブロモ−3−ニトロ−4−カプリノイルオキシペンタノール−2a−11:2−ブロモ−2−ニトロ−1−フェニルエタノール
a−12:2−ブロモ−2−ニトロ−1−(o−クロロフェニル)エタノール
a−13:2−ブロモ−2−ニトロ−1−フェニルプロパノール等である。
【0010】
化合物(b)としては次の化合物があげられる。
b−1 :5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン
b−2 :2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン
及びそれらの塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛、塩化銅、臭化銅、硫酸銅、塩化ニッケル、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硝酸マグネシウム、塩化マンガン、塩化鉄、塩化バリウム、塩化アンモン等のコンプレックスである。
【0011】
α−クロロホルムアルドキシムピリジン類又はその酸付加物と(a)〜(s)の化合物の配合比(重量比)は5:95〜95:5好ましくは10:90〜90:10である。本発明のスライム防除剤は、通常はα−クロロホルムアルドキシムピリジン類又はその酸付加物と(a)〜(s)の化合物を有機溶剤に溶解し、製剤化して使用することが好ましい。また必要に応じてノニオン、アニオン、カチオン界面活性剤、消泡剤等を添加することができる。
【0012】
有機溶剤としてはメタノール,エタノール,プロパノール,ブタノール等のアルコール類、エチレングリコール,ジエチレングリコール,トリエチレングリコール,プロピレングリコール,ポリエチレングリコール,エチルセロソルブ,ジエチレングリコールモノメチルエーテル,エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート,3−メトキシブチルアセテート,エチレングリコールジアセテート,2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレート等のグリコール系溶媒、酢酸エチル,酢酸ブチル,マレイン酸ジメチル,アジピン酸ジエチル,乳酸エチル等のエステル類、アセトン,メチルエチルケトン,メチルイソブチルケトン,イソホロン等のケトン類、トルエン,キシレン,1,2−ジメチル−4−エチルベンゼン等の芳香族系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、プロピレンカーボネート等が用いられる。これらの溶剤は単独でもよく、また2種以上の混合溶媒でもよい。
【0013】
界面活性剤としてはポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル系、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、第四級アンモニウム塩等である。本発明のスライム防除剤の製紙工程の添加量は用水源、抄物等により異なるが、一般に有効成分として用水に対し0.1〜100ppm、好ましくは0.5〜50ppmで充分効力を示す。
【0014】
【実施例】
製剤例の処方は下記の通りである。なお製剤例中の部は重量部を意味する。
製剤例1
2CFAP 10部
2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノール 10部
ジエチレングリコールモノメチルエーテル 80部
製剤例2
2CFAP・塩酸塩 10部
2−ブロモ−2−ニトロプロパンジオール−1,3 10部
エチレングリコール 80部
製剤例3
2CFAP・硫酸塩 15部
*5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 2部
*2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 0.6部
エチレングリコール 82.4部
*5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンを約3:1の割合で含有する市販品を使用した。
製剤例4
2CFAP・メタンスルホン酸塩 10部
メチレンビスチオシアネート 8部
トリエチレングリコールジメチルエーテル 82部
製剤例5
2CFAP 10部
4,5−ジクロロ−1,2−ジチオール−3−オン 3部
ジエチレングリコールモノメチルエーテル 87部
製剤例6
2CFAP・リンゴ酸塩 7部
2,2−ジブロモ−2−ニトロプロピオンアミド 13部
エチレングリコールモノメチルエーテル 80部
製剤例7
3CFAP 7部
5−クロロ−2,4,6−トリフルオロイソフタロニトリル 10部
プロピレンカーボネート 83部
製剤例8
3CFAP・塩酸塩 7部
1,2−ビス−ブロモアセトキシエタン 20部
ジエチレングリコールモノメチルエーテル 73部
製剤例9
4CFAP 7部
1,4−ビス−ブロモアセトキシ−2−ブテン 20部
ノニオン界面活性剤NS−215(日本油脂製) 5部
ジエチレングリコールモノメチルエーテル 68部
製剤例10
2CFAP 12部
1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン 8部
ジエチレングリコールモノメチルエーテル 80部
製剤例11
2CFAP・塩酸塩 10部
2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン 10部
ジエチレングリコールモノメチルエーテル 80部
製剤例12
2CFAP 8部
3,3,4,4−テトラクロロテトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド12部
ジエチレングリコールモノメチルエーテル 80部
製剤例13
2CFAP 12部
α−ブロモ−3−ニトロアセトフェノン 7部
ジエチレングリコールモノメチルエーテル 81部
製剤例14
2CFAP 10部
α−クロロベンズアルドキシム 10部
ジエチレングリコールモノメチルエーテル 80部
製剤例15
2CFAP 8部
α−クロロ−o−アセチルベンズアルドキシム 12部
ジエチレングリコールモノメチルエーテル 80部
製剤例16
2CFAP 10部
α−クロロ−p−クロロベンズアルドキシム 10部
ジエチレングリコールモノメチルエーテル 80部
製剤例17
2CFAP 10部
α−クロロ−P−クロロ−o−アセチルベンズアルドキシム 10部
ジエチレングリコールモノメチルエーテル 80部
製剤例18
2CFAP・塩酸塩 10部
o−フタルアルデヒド 10部
ジエチレングリコール 80部
製剤例19
2CFAP 10部
2CFAP・塩酸塩 10部
ジエチレングリコールモノメチルエーテル 80部
【0015】
実験例1
寒天平板培養法でバチルス・ズブチルス(IFO 3134)に対する最小発育阻止濃度(MIC)を測定した。供試薬剤として、2CFAP,3CFAP,4CFAP又はその酸付加物と(a)〜(s)の化合物の内から選んだ化合物を合計20%になるようにジエチレングリコールモノメチルエーテルに溶解した液を用いた。培地としてブイヨン寒天培地を用い、培養温度38℃で48時間後に判定した。その結果を表1〜7に示す。
【0016】
【表1】
【0017】
【表2】
【0018】
【表3】
【0019】
【表4】
【0020】
【表5】
【0021】
【表6】
【0022】
【表7】
【0023】
実験例2
直径30cm、深さ30cmのステンレスステイール製水槽に温度調整装置、撹拌機、温度計及びスライム測定板として幅5cm、長さ30cm、厚さ1.5cmのラワン材2枚を縦に取りつけた。1000倍希釈したワックスマン液体培地にパルプ1%及び白水培養液(新聞用紙製紙工程より採取した白水をワックスマン液体培地で培養した培養液)を0.1ml/リットルの割合で添加したのち、硫酸アルミニウムでpH5に調整した人工白水をこの槽に2リットル/時間の流速で供給し、同量の人工白水を排出させた。供試薬剤を供給人工白水に対し5ppmになるようにポンプで1日3回、1回3時間添加した。白水温度を30℃に保ち撹拌を続け、約20日後にスライム防除効果を評価した。供試薬剤として、2CFAP,3CFAP,4CFAP又はその酸付加物と(a)〜(s)の化合物の内から選んだ化合物を合計20%となるようにジエチレングリコールモノメチルエーテルに溶解した液を用いた。
評価はスライム測定版を目視観察し、スライム付着量を10点法で採点した。
採点基準の概要は下記のとおりである。
1 : 全くスライムの付着が認められない。
5 : スライムが全面に薄く付着している。
10: スライムが全面に厚く付着し、一部はがれている。
スライム付着量は使用する白水その他の条件により試験毎に異なるものであるから、スライム防除剤無添加及び比較薬剤との相対的、かつ総合的評価である。
試験結果を表8に示す。
【0024】
【表8】
【産業上の利用分野】
本発明は、改善された効果を有する、製紙工程における工業用水中のスライム防除剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
パルプ工場及び製紙工場のパルプ調整及び抄紙工程において、バクテリア、酵母、糸状菌等の微生物繁殖によってスライムが形成され、種々の障害を引き起こすことが知られている。スライムは製紙工程中のリフラー壁、スクリーン、インレット又はチェスト壁、白水ピット、回収白水パイプの内壁等、水を使用する工程のほとんどあらゆる部分に付着し、次第にその厚さを増し、ついには剥離してパルプスラリー中に混入したり、スクリーンやパイプを詰まらせたりする。パルプスラリー中に混入した小さいスライム塊は、紙上に黄色ないし褐色の班点、いわゆる目玉を生じて紙質を低下させ、大きなスライム塊は紙切れまで起こす原因となる。近年、白水回収率の向上、澱粉、ポリアクリルアミド、サイズ剤等の添加剤による富栄養化、無機物填料を含む堆積物、木材の樹脂成分、古紙に由来する接着剤やインキ成分に起因するピッチ状堆積物の増加などにより、製紙工程は一層微生物の繁殖に適する環境となっている。特に白水回収率の向上は、スライム防除剤に対する耐性菌の出現及び菌交代現象をひき起こしやすくし、スライム防除剤の効力低下の原因となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
そのため従来より多くのスライム防除剤が開発され使用されているが、このような条件下で満足すべき効力を持続しうるスライム防除剤は、見当らないのが現状である。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下式で表されるα−クロロホルムアルドキシムピリジン類又はその酸付加物
【0005】
【化3】
の1種又は2種以上と次の(a)〜(s)の化合物
【0006】
(a)一般式
【化4】
(式中R1は水素原子又は低級アルキル基、R2は水素原子又はアシル基、R3は水素原子、臭素原子、低級アルキル基又は−CH(OR2)−R1を示す。)で表される化合物、
【0007】
(b)一般式
【化5】
(但し、式中R4は水素原子又は塩素原子、R5はアルキル基を示す。Mはアルカリ土類金属又は重金属陽イオンであリ、Xはコンプレックスを形成するに十分な溶解度を有する陽イオンMとの化合物を形成する陰イオンであり、mは1又は2の整数を示し、nは陰イオンXが陽イオンMの原子価を満たす整数を示す。)で表される化合物、
(c)メチレンビスチオシアネート、(d)4,5−ジクロロ−1,2−ジチオール−3−オン、(e)4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、(f)2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド、(g)5−クロロ−2,4,6−トリフルオロイソフタロニトリル、(h)1,2−ビス−ブロモアセトキシエタン、(i)1,4−ビス−ブロモアセトキシ−2−ブテン、(j)1,2−ビス−ブロモアセトキシプロパン、(k)1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、(l)2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、(m)3,3,4,4−テトラクロロテトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド、(n)α−ブロモ−3−ニトロアセトフェノン、(o)α−クロロベンズアルドキシム、(p)α−クロロ−o−アセチルベンズアルドキシム、(q)α−クロロ−p−クロロベンズアルドキシム、(r)α−クロロ−p−クロロ−o−アセチルベンズアルドキシム、(s)o−フタルアルデヒドの1種又は2種以上を含有することを特徴とする製紙用スライム防除剤である。
本発明者らは、α−クロロホルムアルドキシムピリジン類又はその酸付加塩の1種又は2種以上と(a)〜(s)の化合物を併用することにより、これらの化合物を単独で使用した場合からは予想し得なかった優れた相乗効果が得られることを見出した。
【0008】
本発明において、α−クロロホルムアルドキシムピリジン類としては2−(α−クロロホルムアルドキシム)−ピリジン(2CFAP)、3−(α−クロロホルムアルドキシム)−ピリジン(3CFAP)、4−(α−クロロホルムアルドキシム)−ピリジン(4CFAP)が含まれる。また、その酸付加物としては2−(α−クロロホルムアルドキシム)−ピリジン・酸付加物、3−(α−クロロホルムアルドキシム)−ピリジン・酸付加物、4−(α−クロロホルムアルドキシム)−ピリジン・酸付加物が含まれる。α−クロロホルムアルドキシムピリジンの酸付加物を形成するのに用いる酸としては、塩酸,硫酸,硝酸,燐酸類、臭化水素酸,スルファミン酸等の無機化合物の酸、蟻酸,酢酸,プロピオン酸,マレイン酸,フマル酸等の脂肪酸、リンゴ酸,クエン酸,酒石酸等のオキシ酸、メタンスルホン酸,ベンゼンスルホン酸,p−トルエンスルホン酸,ドデシルベンゼンスルホン酸等のスルホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸,ニトリロトリス(メチルホスホン酸)等のホスホン酸があげられる。
【0009】
化合物(a)としては次の化合物があげられる。
a−1 :2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノール
a−2 :1,1−ジプロモ−1−ニトロプロパノール
a−3 :2−ブロモ−2−ニトロプロパンジオール−1,3
a−4 :3−ブロモ−3−ニトロペンタンジオール−2,4
a−5 :2−ブロモ−2−ニトロブタンジオール−1,3
a−6 :3−ブロモ−3−ニトロブタノール−2
a−7 :2−ブロモ−2−ニトロブタノール−2
a−8 :2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−ジアセトキシプロパン
a−9 :2,2−ジブロモ−2−ニトロ−1−アセトキシエタン
a−10:3−ブロモ−3−ニトロ−4−カプリノイルオキシペンタノール−2a−11:2−ブロモ−2−ニトロ−1−フェニルエタノール
a−12:2−ブロモ−2−ニトロ−1−(o−クロロフェニル)エタノール
a−13:2−ブロモ−2−ニトロ−1−フェニルプロパノール等である。
【0010】
化合物(b)としては次の化合物があげられる。
b−1 :5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン
b−2 :2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン
及びそれらの塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛、塩化銅、臭化銅、硫酸銅、塩化ニッケル、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硝酸マグネシウム、塩化マンガン、塩化鉄、塩化バリウム、塩化アンモン等のコンプレックスである。
【0011】
α−クロロホルムアルドキシムピリジン類又はその酸付加物と(a)〜(s)の化合物の配合比(重量比)は5:95〜95:5好ましくは10:90〜90:10である。本発明のスライム防除剤は、通常はα−クロロホルムアルドキシムピリジン類又はその酸付加物と(a)〜(s)の化合物を有機溶剤に溶解し、製剤化して使用することが好ましい。また必要に応じてノニオン、アニオン、カチオン界面活性剤、消泡剤等を添加することができる。
【0012】
有機溶剤としてはメタノール,エタノール,プロパノール,ブタノール等のアルコール類、エチレングリコール,ジエチレングリコール,トリエチレングリコール,プロピレングリコール,ポリエチレングリコール,エチルセロソルブ,ジエチレングリコールモノメチルエーテル,エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート,3−メトキシブチルアセテート,エチレングリコールジアセテート,2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレート等のグリコール系溶媒、酢酸エチル,酢酸ブチル,マレイン酸ジメチル,アジピン酸ジエチル,乳酸エチル等のエステル類、アセトン,メチルエチルケトン,メチルイソブチルケトン,イソホロン等のケトン類、トルエン,キシレン,1,2−ジメチル−4−エチルベンゼン等の芳香族系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、プロピレンカーボネート等が用いられる。これらの溶剤は単独でもよく、また2種以上の混合溶媒でもよい。
【0013】
界面活性剤としてはポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル系、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、第四級アンモニウム塩等である。本発明のスライム防除剤の製紙工程の添加量は用水源、抄物等により異なるが、一般に有効成分として用水に対し0.1〜100ppm、好ましくは0.5〜50ppmで充分効力を示す。
【0014】
【実施例】
製剤例の処方は下記の通りである。なお製剤例中の部は重量部を意味する。
製剤例1
2CFAP 10部
2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノール 10部
ジエチレングリコールモノメチルエーテル 80部
製剤例2
2CFAP・塩酸塩 10部
2−ブロモ−2−ニトロプロパンジオール−1,3 10部
エチレングリコール 80部
製剤例3
2CFAP・硫酸塩 15部
*5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 2部
*2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 0.6部
エチレングリコール 82.4部
*5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンを約3:1の割合で含有する市販品を使用した。
製剤例4
2CFAP・メタンスルホン酸塩 10部
メチレンビスチオシアネート 8部
トリエチレングリコールジメチルエーテル 82部
製剤例5
2CFAP 10部
4,5−ジクロロ−1,2−ジチオール−3−オン 3部
ジエチレングリコールモノメチルエーテル 87部
製剤例6
2CFAP・リンゴ酸塩 7部
2,2−ジブロモ−2−ニトロプロピオンアミド 13部
エチレングリコールモノメチルエーテル 80部
製剤例7
3CFAP 7部
5−クロロ−2,4,6−トリフルオロイソフタロニトリル 10部
プロピレンカーボネート 83部
製剤例8
3CFAP・塩酸塩 7部
1,2−ビス−ブロモアセトキシエタン 20部
ジエチレングリコールモノメチルエーテル 73部
製剤例9
4CFAP 7部
1,4−ビス−ブロモアセトキシ−2−ブテン 20部
ノニオン界面活性剤NS−215(日本油脂製) 5部
ジエチレングリコールモノメチルエーテル 68部
製剤例10
2CFAP 12部
1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン 8部
ジエチレングリコールモノメチルエーテル 80部
製剤例11
2CFAP・塩酸塩 10部
2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン 10部
ジエチレングリコールモノメチルエーテル 80部
製剤例12
2CFAP 8部
3,3,4,4−テトラクロロテトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド12部
ジエチレングリコールモノメチルエーテル 80部
製剤例13
2CFAP 12部
α−ブロモ−3−ニトロアセトフェノン 7部
ジエチレングリコールモノメチルエーテル 81部
製剤例14
2CFAP 10部
α−クロロベンズアルドキシム 10部
ジエチレングリコールモノメチルエーテル 80部
製剤例15
2CFAP 8部
α−クロロ−o−アセチルベンズアルドキシム 12部
ジエチレングリコールモノメチルエーテル 80部
製剤例16
2CFAP 10部
α−クロロ−p−クロロベンズアルドキシム 10部
ジエチレングリコールモノメチルエーテル 80部
製剤例17
2CFAP 10部
α−クロロ−P−クロロ−o−アセチルベンズアルドキシム 10部
ジエチレングリコールモノメチルエーテル 80部
製剤例18
2CFAP・塩酸塩 10部
o−フタルアルデヒド 10部
ジエチレングリコール 80部
製剤例19
2CFAP 10部
2CFAP・塩酸塩 10部
ジエチレングリコールモノメチルエーテル 80部
【0015】
実験例1
寒天平板培養法でバチルス・ズブチルス(IFO 3134)に対する最小発育阻止濃度(MIC)を測定した。供試薬剤として、2CFAP,3CFAP,4CFAP又はその酸付加物と(a)〜(s)の化合物の内から選んだ化合物を合計20%になるようにジエチレングリコールモノメチルエーテルに溶解した液を用いた。培地としてブイヨン寒天培地を用い、培養温度38℃で48時間後に判定した。その結果を表1〜7に示す。
【0016】
【表1】
【0017】
【表2】
【0018】
【表3】
【0019】
【表4】
【0020】
【表5】
【0021】
【表6】
【0022】
【表7】
【0023】
実験例2
直径30cm、深さ30cmのステンレスステイール製水槽に温度調整装置、撹拌機、温度計及びスライム測定板として幅5cm、長さ30cm、厚さ1.5cmのラワン材2枚を縦に取りつけた。1000倍希釈したワックスマン液体培地にパルプ1%及び白水培養液(新聞用紙製紙工程より採取した白水をワックスマン液体培地で培養した培養液)を0.1ml/リットルの割合で添加したのち、硫酸アルミニウムでpH5に調整した人工白水をこの槽に2リットル/時間の流速で供給し、同量の人工白水を排出させた。供試薬剤を供給人工白水に対し5ppmになるようにポンプで1日3回、1回3時間添加した。白水温度を30℃に保ち撹拌を続け、約20日後にスライム防除効果を評価した。供試薬剤として、2CFAP,3CFAP,4CFAP又はその酸付加物と(a)〜(s)の化合物の内から選んだ化合物を合計20%となるようにジエチレングリコールモノメチルエーテルに溶解した液を用いた。
評価はスライム測定版を目視観察し、スライム付着量を10点法で採点した。
採点基準の概要は下記のとおりである。
1 : 全くスライムの付着が認められない。
5 : スライムが全面に薄く付着している。
10: スライムが全面に厚く付着し、一部はがれている。
スライム付着量は使用する白水その他の条件により試験毎に異なるものであるから、スライム防除剤無添加及び比較薬剤との相対的、かつ総合的評価である。
試験結果を表8に示す。
【0024】
【表8】
Claims (1)
- α−クロロホルムアルドキシムピリジン類又はその酸付加物の1種又は2種以上と次の(a)〜(s)の化合物の1種又は2種以上を含有することを特徴とする、製紙用スライム防除剤。
(a)一般式
(b)一般式
(c)メチレンビスチオシアネート、(d)4,5−ジクロロ−1,2−ジチオール−3−オン、(e)4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、(f)2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド、(g)5−クロロ−2,4,6−トリフルオロイソフタロニトリル、(h)1,2−ビス−ブロモアセトキシエタン、(i)1,4−ビス−ブロモアセトキシ−2−ブテン、(j)1,2−ビス−ブロモアセトキシプロバン、(k)1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、(l)2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、(m)3,3,4,4−テトラクロロテトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド、(n)α−ブロモ−3−ニトロアセトフェノン、(o)α−クロロベンズアルドキシム、(p)α−クロロ−o−アセチルベンズアルドキシム、(q)α−クロロ−p−クロロベンズアルドキシム、(r)α−クロロ−p−クロロ−o−アセチルベンズアルドキシム、(s)o−フタルアルデヒド。
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