JP3449696B2 - 紙塗工液 - Google Patents
紙塗工液Info
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- starch
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Description
腐敗することなく、かつ環境汚染のおそれのない新規な
デンプン含有水性紙塗工液に関するものである。 【0002】 【従来の技術】製紙工業においては、紙に印字特性や光
沢、平滑性などを与えるため、一般に紙基材上にデンプ
ンを含有する水溶液、スラリー又はラテックスや、デン
プンをバインダーとし、これとタルク、クレー、カオリ
ン、炭酸カルシウム、シリカなどの無機顔料やアクリル
樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子などの有機顔料を
含む塗工カラー液を塗工することが行われている。しか
しながら、これらのデンプンを含む紙塗工液は腐敗しや
すいため、時間がたつと紙塗工液からのみならず、この
紙塗工液を塗布した塗工紙から悪臭が発生する上に、こ
のような紙塗工液は、塗工時にブリーディングやストリ
ークを生じるという欠点がある。 【0003】このような欠点を改善するため、これまで
殺菌剤を用いてデンプンを含む紙塗工液についてその中
に存在する細菌やカビ類を除去することが行われてき
た。そして、この際使用される殺菌剤としては、例え
ば、5‐クロロ‐2‐メチル‐4‐イソチアゾリン‐3
‐オンが知られているが(特公昭46−21240号公
報)、この5‐クロロ‐2‐メチル‐4‐イソチアゾリ
ン‐3‐オンは、安定性を欠くため、貯蔵中や使用中に
pH変化や他の物質との接触により急速に分解し、所望
の効果が得られなくなったり、また、急速な分解が起こ
らない場合も経時的な分解を起こすため長期間にわたる
腐敗防止を達成し得ない上に、この化合物はエイムズ陽
性であるため、作業環境破壊という上でも問題があっ
た。 【0004】このことは、デンプンを含む紙塗工液のみ
ならず、工業用水を使用して調製される水性塗料、ラテ
ックス、高分子エマルション、切削油などの金属加工油
剤、皮革、捺染糊、接着剤などの分野において用いられ
るデンプン含有液にもみられ、特に、ラテックスの場合
は、防腐剤を添加しないと短期間に腐敗し、腐敗臭がす
るだけでなく、これを紙塗工液に使用した場合、前記し
たと同様の問題を生じる原因となる。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情のもと、長期間にわたって安定した防腐性を示し、
しかも環境汚染の問題のない紙塗工液を提供することを
目的としてなされたものである。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、紙塗工
液、特にデンプンを含む紙塗工液に配合したときに長期
間にわたって効力を持続することができ、しかも環境汚
染のない防腐剤を開発すべく種々研究を重ねた結果、2
‐メチル‐4‐イソチアゾリン‐3‐オンを防腐剤とし
て用いた場合、長時間にわたって使用しても分解が極め
て少なく、環境汚染の問題がない上に、エイムズ陰性で
あることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成す
るに至った。 【0007】すなわち、本発明は、デンプン含有水性紙
塗工液に対し、防腐剤として2‐メチル‐4‐イソチア
ゾリン‐3‐オンを配合したことを特徴とする長期間に
わたって腐敗することのない紙塗工液を提供するもので
ある。 【0008】 【発明の実施の形態】本発明において防腐剤として用い
る2‐メチル‐4‐イソチアゾリン‐3‐オンは、式 【化1】 で表わされる化合物である。この化合物は、公知であ
り、市販品として容易に入手することができる。 【0009】この防腐剤は、2‐メチル‐4‐イソチア
ゾリン‐3‐オンを水又は水性溶媒に均一に混合、溶解
又は分散して紙塗工液に加えることができる。この際用
いる水は、水道水、イオン交換水、蒸留水、工業用水の
いずれでもよく、特に制限はない。また、水性溶媒とし
ては、水とアルコール系溶剤、ケトン系溶剤など水と混
和しうる有機溶剤との混合溶媒が用いられる。この際の
有機溶媒としては、例えば、エチレングリコール、ジエ
チレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレ
ングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレ
ングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4‐ブ
タンジオール、1,5‐ペンタンジオール、エチレング
リコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノ
エチルエーテル、エチレングルコールモノブチルエーテ
ル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリプ
ロピレングリコールモノメチルエーテルなどの公知の種
々のポリオール又はポリオールエーテル系液状化合物、
N,N‐ジメチルホルムアミド、N,N‐ジエチルホル
ムアミド、N,N‐ジメチルアセトアミド、N‐メチル
‐2‐ピロリドンなどがある。 【0010】この水又は水性溶媒中の2‐メチル‐4‐
イソチアゾリン‐3‐オンの濃度については均一に混
合、溶解又は分散できる量であれば特に制限はなく、従
来の防腐剤の場合と同じ範囲の濃度を用いることができ
る。この範囲は通常1〜10重量%である。 【0011】また、この防腐剤は、その効力をそこなわ
ない範囲で乳化分散剤、消泡剤などと併用することがで
きる。この場合の乳化分散剤としては、例えば、アニオ
ン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤などがある。ま
た、この防腐剤の紙塗工液に対する添加量は、従来の防
腐剤の場合と全く同じであり、紙塗工液に対する2‐メ
チル‐4‐イソチアゾリン‐3‐オンの重量基準で1〜
500ppmの範囲である。 【0012】 【実施例】次に、実施例及び比較例により本発明をさら
に詳細に説明する。 【0013】実施例 2‐メチル‐4‐イソチアゾリン‐3‐オン5重量部、
水90重量部及びプロピレングリコール5重量部を均一
に混合して2‐メチル‐4‐イソチアゾリン‐3‐オン
溶液を調製した。次に、 カオリン100重量部、スチレ
ン−ブタジエン共重合体ラテックス6重量部(固形分と
して)及び分散剤(ソマール社製,SDA−40K)
0.1重量部(固形分として)を混合し、全体の固形分
濃度が63%になるように水を加えて紙塗工液を調製し
た。この塗工液のpHは9.5であった。また、蒸煮デ
ンプンを水に蒸煮デンプンの濃度が20%になるように
溶解し、水溶液を得た。この水溶液のpHは6であっ
た。 【0014】このようにして得た塗工液及びデンプン水
溶液のそれぞれに、前記の2‐メチル‐4‐イソチアゾ
リン‐3‐オン溶液500ppmを添加し、32℃の恒
温室に保管し、経日的に各対象の一部を採取し、ワック
スマン寒天培地を入れたシャーレにとり、32℃で2日
間培養し、菌数を測定した。また、培養したものの状態
を以下の基準により評価した。 ○:腐敗及び腐敗臭の発生なし。 △:腐敗臭の発生有り。 ×:腐敗、固化又は減粘の発生有り。この結果を表1に示す。 【0015】この2‐メチル‐3‐イソチアゾロン溶液
を加えた塗工液及びデンプン水溶液を、それぞれ40℃
の恒温室に保管し、経日的に各試料の一部を採取し、液
体クロマトグラフィーでイソチアゾロン化合物の残存濃
度を測定した。なお、残存率は次式により算出した。 残存率(%)=(X′/X)×100 (式中のXはイソチアゾロン化合物の初期濃度、X′は
2週間後、4週間後、2か月後、4か月後のイソチアゾ
ロン化合物の濃度を示す)この結果を表1に示す。 【0016】また、上記の2‐メチル‐3‐イソチアゾ
ロン溶液についてエイムズ試験を行い、DNAに変異が
認められるかどうかを調べたところ陰性であり、DNA
に変異が認められなかった。 【0017】比較例実施例における2‐メチル‐4‐イソチアゾリン‐3‐
オンの代りに、5‐クロロ‐2‐メチル‐4‐イソチア
ゾリン‐3‐オンを用いて溶液を調製し、これについて
実施例と同様にして、防腐効果、有効成分残存率を試験
した。その結果を表1に示す。また、上記の5‐クロロ
‐2‐メチル‐4‐イソチアゾリン‐3‐オン溶液につ
いて エイムズ試験を行い、DNAに変異が認められるか
どうかを調べたところ陽性であり、DNAに変異が認め
られた。 【0018】 【表1】 【0019】この表から、5‐クロロ‐2‐メチル‐4
‐イソチアゾリン‐3‐オンは、慣用の組成の紙塗工液
及びデンプン水溶液に対し、ほとんど防腐効果を示さ
ず、残存率も低く、デンプン含有紙塗工液に対する防腐
剤としては使用できないのに対し、2‐メチル‐4‐イ
ソチアゾリン‐3‐オンは、紙塗工液及びデンプン水溶
液のいずれに対しても長期間にわたり優れた防腐効果及
び残存率を示し、デンプン含有紙塗工液の防腐剤として
有効であることが分る。また、実施例と比較例のエイム
ズ試験の結果から、5‐クロロ‐2‐メチル‐4‐イソ
チアゾリン‐3‐オンが環境汚染の原因となるのに対
し、2‐メチル‐4‐イソチアゾリン‐3‐オンは全く
環境汚染を生じるおそれがないことが分る。 【0020】 【発明の効果】本発明の紙塗工液は、その物性、特にp
Hに影響されず、長期間にわたって防腐効果が持続し、
長期間保存が可能となるので大量に調製することができ
るため、その製造回数を少なくすることができ、生産効
率を向上させることができる上に、その安定性が高いの
で、その保存性、輸送性も良好であるという利点があ
る。さらに、DNAの変異が認められないので、環境汚
染を生じることがないという利点を有する。
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 デンプン含有水性紙塗工液に対し、防腐
剤として2‐メチル‐4‐イソチアゾリン‐3‐オンを
配合したことを特徴とする長期間にわたって腐敗するこ
とのない紙塗工液。
Priority Applications (1)
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JP34024599A JP3449696B2 (ja) | 1999-11-30 | 1999-11-30 | 紙塗工液 |
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Family
ID=18335096
Family Applications (1)
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JP34024599A Expired - Lifetime JP3449696B2 (ja) | 1999-11-30 | 1999-11-30 | 紙塗工液 |
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JP5430881B2 (ja) * | 2008-06-11 | 2014-03-05 | 日本理化学薬品株式会社 | チアゾール系化合物および工業用殺菌組成物 |
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-
1999
- 1999-11-30 JP JP34024599A patent/JP3449696B2/ja not_active Expired - Lifetime
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