JP3718947B2 - 難燃剤及び難燃性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハロゲン系難燃剤とエチレンジアミンリン酸亜鉛からなる難燃剤、及びそれを配合してなる難燃性樹脂組成物に関するものである。本発明の難燃剤を配合してなる難燃性樹脂組成物は難燃性に優れ、各種電気部品をはじめとして、自動車部品、建材、ケーブル等の材料として広範に使用される。
【0002】
【従来の技術】
各種プラスチック材料(樹脂)は、電線・ケーブルの絶縁材料やシース材料、電気・電子・OA機器のパッケージ材や内部部品、車両の内装材、建築材料等に多く使用されている。しかしながら可燃性材料であるプラスチック材料を上述の用途で使用する場合は、プラスチック材料に難燃剤を配合し、難燃性を付与して使用されている。
【0003】
従来から使用されている難燃剤としては、リン酸エステル、ポリリン酸アンモニウム、赤リン等のリン系難燃剤、テトラブロモビスフェノールA、デカブロモジフェニルエーテエル、塩素化パラフィン等のハロゲン系難燃剤、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の無機系難燃剤等がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらリン系難燃剤は十分に満足された材料ではなく、例えばポリリン酸アンモニウムは難燃効果、耐水性に劣るという問題点、また赤リンは加工時にホスフィンガスが発生するという問題点を有していた。
【0005】
また無機系難燃剤は発煙抑制効果に優れた材料であるが、難燃効果が小さいため、樹脂に十分な難燃性を付与するには無機系難燃剤の高配合が必要であり、その結果、樹脂組成物の機械物性が大きく悪化するという問題点を有していた。
【0006】
ハロゲン系難燃剤は難燃効果に優れた材料であり、広く使用されているが、更に難燃効果に優れた難燃剤の開発が熱望されている。
【0007】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、難燃効果に優れた新たな高性能な難燃剤、及びそれを用いた新たな難燃性樹脂組成物を提供することである。
【0008】
【課題を解決する手段】
本発明者等は、難燃性に優れた難燃性樹脂組成物を開発するため、難燃効果に優れた高性能な難燃剤の開発に注力して鋭意検討を行った結果、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち本発明は、ハロゲン系難燃剤とエチレンジアミンリン酸亜鉛からなる難燃剤、及び樹脂100重量部に対してこの難燃剤を5〜100重量部配合してなる難燃性樹脂組成物である。
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0011】
本発明の難燃剤は、ハロゲン系難燃剤とエチレンジアミンリン酸亜鉛からなる難燃剤である。詳細な理由は不明であるが、ハロゲン系難燃剤とエチレンジアミンリン酸亜鉛の難燃効果には相乗効果があるため、本発明の難燃剤は非常に難燃効果に優れた材料である。
【0012】
本発明においてエチレンジアミンリン酸亜鉛とは、エチレンジアミンとリン酸亜鉛との化合物であり、特に限定するものではないが、例えば、一般式がZn2P2O8C2N2H10で表わされ、かつX線回折パターンが少なくとも表1
【0013】
【表1】
【0014】
に示される面間隔を含んでいるエチレンジアミンリン酸亜鉛(以下、EDA−ZP1と略す)や、X線回折パターンが少なくとも表2
【0015】
【表2】
【0016】
に示される面間隔を含んでいるエチレンジアミンリン酸亜鉛(以下、EDA−ZP2と略す)等が挙げられる。
【0017】
EDA−ZP1は、正四面体ZnO4と正四面体PO4で形成された3次元的開骨格ZnPO4 -にH3NC2H4NH3 2+が吸蔵されており(R.H.Jonesら,Studies in Surface Seience and Catalysis,Zeolites and Related Microporous Materials,Vol.84,p.2229(1994),Elsevier Science B.V.)、CuKα線を用いて測定したX線回折パターンは図1のようになる。
【0018】
また、EDA−ZP2は、詳細な結晶構造については不明であるが、CuKα線を用いて測定したX線回折パターンは図2のようになる。
【0019】
本発明において用いられるエチレンジアミンリン酸亜鉛の分解温度は約400℃であり、耐熱性に優れた材料である。エチレンジアミンリン酸亜鉛の粉体物性は特に限定されないが、BET比表面積が0.1〜20m2/g、2次粒径が20μm以下程度である。
【0020】
本発明のエチレンジアミンリン酸亜鉛の製造方法は特に限定されないが、EDA−ZP1、EDA−ZP2を例にとり好ましい実施態様について説明する。
【0021】
本発明のエチレンジアミンリン酸亜鉛は、エチレンジアミンリン酸亜鉛の晶析、濾過、洗浄、乾燥の各工程を経て製造される。
【0022】
EDA−ZP1の晶析はリン酸亜鉛水溶液とエチレンジアミン水溶液との混合によって行われる。
【0023】
リン酸亜鉛水溶液は亜鉛の化合物とリン酸を亜鉛/リン比(モル比)が0.1〜0.4となる量で混合し、均一に溶解して調製される。亜鉛の化合物としては水酸化亜鉛、酸化亜鉛、リン酸水素亜鉛、リン酸二水素亜鉛等や塩化亜鉛、硝酸亜鉛等の水溶性の塩等が挙げられるが特に限定されない。リン酸の濃度は特に限定されず、14〜85wt%の濃度で行えばよい。
【0024】
リン酸亜鉛水溶液とエチレンジアミンとの混合は、エチレンジアミン/リン比(モル比)が0.5〜2.0となる量で混合する。エチレンジアミンの濃度は特に限定されず、5〜100wt%の濃度で行えばよい。混合方法は、リン酸亜鉛水溶液にエチレンジアミン水溶液を添加、エチレンジアミン水溶液にリン酸亜鉛水溶液を添加、リン酸亜鉛水溶液とエチレンジアミン水溶液を反応槽内に連続的に添加等の混合方法が挙げられるが特に限定されない。混合時は、反応槽内を均一にするために、撹拌しながら行うことが好ましい。混合時の温度は5〜90℃、均一化時間は5分〜3日間程度で十分である。
【0025】
EDA−ZP2の晶析は亜鉛塩水溶液とエチレンジアミンを混合してトリスエチレンジアミン亜鉛錯体を生成させ、トリスエチレンジアミン亜鉛錯体とリン酸との反応によって行われる。
【0026】
トリスエチレンジアミン亜鉛錯体は[Zn(H2NC2H4NH2)3]2+で表わされ、エチレンジアミンがZn2+に対して正八面体6配位で配位した錯体である。トリスエチレンジアミン亜鉛錯体の製造方法は特に限定されないが、例えば温度5〜90℃で撹拌しながら亜鉛塩水溶液とエチレンジアミンをモル比0.33で混合することによって得られる。亜鉛塩水溶液の濃度は数mol/l、亜鉛塩としては硝酸亜鉛、塩化亜鉛、硫酸亜鉛等の水溶性の塩等が挙げられる。
【0027】
トリスエチレンジアミン亜鉛錯体とリン酸との反応は、トリスエチレンジアミン亜鉛錯体/リン酸の混合比が0.5〜2.0(モル比)程度で行えばよい。混合時は反応槽内を均一にするために撹拌しながら行なうことが好ましい。混合時の温度は5〜90℃、均一化時間は5分〜3日間程度で十分である。
【0028】
晶析したエチレンジアミンリン酸亜鉛は、固液分離後、洗浄する。固液分離の方法は、特に限定されず、ヌッチェ、ドラムフィルター、フィルタープレス、ベルトフィルター等が例示される。洗浄水量は特に限定されず、未反応のリン酸、エチレンジアミンが除去されるまで洗浄すればよい。
【0029】
次に、エチレンジアミンリン酸亜鉛結晶の乾燥を行う。乾燥時の温度は特に限定されず、60〜250℃で行えばよい。
【0030】
エチレンジアミンリン酸亜鉛は必要に応じて粉砕してもよい。粉砕方法は自動乳鉢、ハンマーミル等が挙げられるが特に限定されない。
【0031】
上述の方法でエチレンジアミンリン酸亜鉛が製造できる。
【0032】
本発明の難燃剤に用いるハロゲン系難燃剤としては、特に限定するものではないが、例えば、下記一般式(1)
【0033】
【化7】
【0034】
(式中、Aはアルキレン基、カルボニル基又はエーテル基を表す。Xは臭素又は塩素原子を表す。a、bはa+b=1〜10を満足する整数を表す。)
で示されるハロゲン化ジフェニル化合物、下記一般式(2)
【0035】
【化8】
【0036】
(式中、Bはアルキレン基、カルボニル基、エーテル基、チオエーテル基又はスルフォン基を表す。Xは臭素又は塩素原子を表す。)
で示されるハロゲン化ビスフェノール系化合物、下記一般式(3)
【0037】
【化9】
【0038】
(式中、Bはアルキレン基、カルボニル基、エーテル基、チオエーテル基、又はスルフォン基を表す。Xは臭素又は塩素原子を表す。c、dはc+d=1〜8を満足する整数を表す。YはCnH2n+1-zXzで示されるハロゲン化アルキルを示し、n、zはn=1〜8かつz=1〜2n+1を満足する整数を表す。)
で示されるハロゲン化ビスフェノールビス(アルキルエーテル)系化合物、及び下記一般式(4)
【0039】
【化10】
【0040】
(式中、Cはアルキレン基、アルキルエーテル基、ジフェニルスルフォン基、ジフェニルケトン基又はジフェニルエーテル基を表す。Xは臭素又は塩素原子を表す。c、dはc+d=1〜8を満足する整数を表す。)
で示されるハロゲン化フタルイミド系化合物からなる群より選ばれる1種又は2種以上でよい。
【0041】
上記一般式(1)で示されるハロゲン化ジフェニル化合物としては、例えば、ペンタブロモジフェニルエーテル、ヘキサブロモジフェニルエーテル、ヘプタブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、ノナブロモジフェニルエーテル、デカブロモジフェニルエーテル、ペンタクロルジフェニルエーテル、ヘキサクロルジフェニルエーテル、ヘプタクロルジフェニルエーテル、オクタクロルジフェニルエーテル、ノナクロルジフェニルエーテル、デカクロルジフェニルエーテル等のハロゲン化ジフェニルエーテル化合物類、ジブロモジフェニルケトン、トリブロモジフェニルケトン、テトラブロモジフェニルケトン、ジクロロジフェニルケトン、トリクロロジフェニルケトン、テトラクロロジフェニルケトン等のハロゲン化ジフェニルケトン系化合物類、モノブロモジフェニルメタン、ジブロモジフェニルメタン、トリブロモジフェニルメタン、テトラブロモジフェニルメタン、ペンタブロモジフェニルメタン、ヘキサブロモジフェニルメタン、ヘプタブロモジフェニルメタン、オクタブロモジフェニルメタン、ノナブロモジフェニルメタン、デカブロモジフェニルメタン、モノクロロジフェニルメタン、ジクロロジフェニルメタン、トリクロロジフェニルメタン、テトラクロロジフェニルメタン、ペンタクロロジフェニルメタン、ヘキサクロロジフェニルメタン、ヘプタクロロジフェニルメタン、オクタクロロジフェニルメタン、ノナクロロジフェニルメタン、デカクロロジフェニルメタン、モノブロモジフェニルエタン、ジブロモジフェニルエタン、トリブロモジフェニルエタン、テトラブロモジフェニルエタン、ペンタブロモジフェニルエタン、ヘキサブロモジフェニルエタン、ヘプタブロモジフェニルエタン、オクタブロモジフェニルエタン、ノナブロモジフェニルエタン、デカブロモジフェニルエタン、モノクロロジフェニルエタン、ジクロロジフェニルエタン、トリクロロジフェニルエタン、テトラクロロジフェニルエタン、ペンタクロロジフェニルエタン、ヘキサクロロジフェニルエタン、ヘプタクロロジフェニルエタン、オクタクロロジフェニルエタン、ノナクロロジフェニルエタン、デカクロロジフェニルエタン、モノブロモジフェニルプロパン、ジブロモジフェニルプロパン、トリブロモジフェニルプロパン、テトラブロモジフェニルプロパン、ペンタブロモジフェニルプロパン、ヘキサブロモジフェニルプロパン、ヘプタブロモジフェニルプロパン、オクタブロモジフェニルプロパン、ナノブロモジフェニルプロパン、デカブロモフェニルプロパン、モノブロモジフェニルプロパン、ジクロロジフェニルプロパン、トリクロロジフェニルプロパン、テトラクロロジフェニルプロパン、ペンタクロロジフェニルプロパン、ヘキサクロロジフェニルプロパン、ヘプタクロロジフェニルプロパン、オクタクロロジフェニルプロパン、ノナクロロジフェニルプロパン、デカクロロジフェニルプロパン等のハロゲン化ジフェニルアルカン類等が挙げられ、これらのうち特にデカブロモジフェニルエーテルが難燃性、価格等に優れる点で好適である。
【0042】
上記一般式(2)で示されるハロゲン化ビスフェノール系化合物としては、例えば、ビス(3,5−ジブロモ−4−ハイドロキシフェニル)−2−(3−ブロモ−4−ハイドロキシフェニル)メタン、1−(3,5−ジブロモ−4−ハイドロキシフェニル)−2−(3−ブロモ−4−ハイドロキシフェニル)エタン、1−(3,5−ジブロモ−4−ハイドロキシフェニル)−3−(3−ブロモ−4−ハイドロキシフェニル)プロパン、ビス(3,5−ジクロロ−4−ハイドロキシフェニル)−2−(3−クロロ−4−ハイドロキシフェニル)メタン、1−(3,5−ジクロロ−4−ハイドロキシフェニル)−2−(3−クロロ−4−ハイドロキシフェニル)エタン、1−(3,5−ジクロロ−4−ハイドロキシフェニル)−3−(3−クロロ−4−ハイドロキシフェニル)プロパン、ビス(3,5−ジブロモ−4−ハイドロキシフェニル)メタン、1,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ハイドロキシフェニル)エタン、1,3−ビス(3,5−ジブロロ−4−ハイドロキシフェニル)プロパン、ビス(3,5−ジクロロ−4−ハイドロキシフェニル)メタン、1,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ハイドロキシフェニル)エタン、1,3−ビス(3,5−ジクロロ−4−ハイドロキシフェニル)プロパン等のハロゲン化ビスフェニルアルカン類、ビス(3,5−ジブロモ−4−ハイドロキシフェニル)−2−(3−ブロモ−4−ハイドロキシフェニル)ケトン、ビス(3,5−ジクロロ−4−ハイドロキシフェニル)−2−(3−クロロ−4−ハイドロキシフェニル)ケトン、ビス(3,5−ジブロモ−4−ハイドロキシフェニル)ケトン、ビス(3,5−ジクロロ−4−ハイドロキシフェニル)ケトン、ビス(3,5−ジブロモ−4−ハイドロキシフェニル)−2−(3−ブロモ−4−ハイドロキシフェニル)エーテル、ビス(3,5−ジクロロ−4−ハイドロキシフェニル)−2−(3−クロロ−4−ハイドロキシフェニル)エーテル、ビス(3,5−ジブロモ−4−ハイドロキシフェニル)エーテル、ビス(3,5−ジクロロ−4−ハイドロキシフェニル)エーテル等のハロゲン化ビスフェニルエーテル類、ビス(3,5−ジブロモ−4−ハイドロキシフェニル)−2−(3−ブロモ−4−ハイドロキシフェニル)チオエーテル、ビス(3,5−ジクロロ−4−ハイドロキシフェニル)−2−(3−クロロ−4−ハイドロキシフェニル)チオエーテル、ビス(3,5−ジブロモ−4−ハイドロキシフェニル)チオエーテル、ビス(3,5−ジクロロ−4−ハイドロキシフェニル)チオエーテル等のハロゲン化ビスフェニルチオエーテル類、ビス(3,5−ジブロモ−4−ハイドロキシフェニル)−2−(3−ブロモ−4−ハイドロキシフェニル)スルフォン、ビス(3,5−ジクロロ−4−ハイドロキシフェニル)−2−(3−クロロ−4−ハイドロキシフェニル)スルフォン、ビス(3,5−ジブロモ−4−ハイドロキシフェニル)スルフォン、ビス(3,5−ジクロロ−4−ハイドロキシフェニル)スルフォン等のハロゲン化ビスフェニルスルフォン類等が挙げられ、これらのうち特にビス(3,5−ジブロモ−4−ハイドロキシフェニル)スルフォンが難燃性、価格等に優れる点で好適である。
【0043】
上記一般式(3)で示されるハロゲン化ビスフェノールビス(アルキルエーテル)系化合物としては、例えば、ビス(3,5−ジブロモ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)−2−(3−ブロモ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)メタン、1−(3,5−ジブロモ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)−2−(3−ブロモ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)エタン、1−(3,5−ジブロモ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)−3−(3−ブロモ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)プロパン、ビス(3,5−ジクロロ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)−2−(3−クロロ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)メタン、1−(3,5−ジクロロ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)−2−(3−クロロ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)エタン、1−(3,5−ジクロロ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)−3−(3−クロロ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)プロパン、ビス(3、5−ジブロモ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)メタン、1,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)エタン、1,3−ビス(3,5−ジブロロ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)プロパン、ビス(3,5−ジクロロ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)メタン、1,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)エタン、1,3−ビス(3,5−ジクロロ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)プロパン、ビス(3,5−ジブロモ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)−2−(3−ブロモ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)ケトン、ビス(3,5−ジクロロ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)−2−(3−クロロ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)ケトン、ビス(3,5−ジブロモ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)ケトン、ビス(3,5−ジクロロ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)ケトン、ビス(3,5−ジブロモ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)−2−(3−ブロモ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)エーテル、ビス(3,5−ジクロロ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)−2−(3−クロロ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)エーテル、ビス(3,5−ジブロモ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)エーテル、ビス(3,5−ジクロロ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)エーテル、ビス(3,5−ジブロモ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)−2−(3−ブロモ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)チオエーテル、ビス(3,5−ジクロロ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)−2−(3−クロロ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)チオエーテル、ビス(3,5−ジブロモ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)チオエーテル、ビス(3,5−ジクロロ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)チオエーテル、ビス(3,5−ジブロモ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)−2−(3−ブロモ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)スルフォン、ビス(3,5−ジクロロ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)−2−(3−クロロ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)スルフォン、ビス(3,5−ジブロモ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)スルフォン、ビス(3,5−ジクロロ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)スルフォン等が挙げられ、これらのうち特に2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−(2,3−ジブロモプロポキシ)フェニル)プロパンが難燃性、価格等に優れる点で好適である。
【0044】
上記一般式(4)で示されるハロゲン化フタルイミド系化合物としては、例えば、N,N´−(ビステトラブロモフタルイミド)エタン、N,N´−(ビステトラブロモフタルイミド)プロパン、N,N´−(ビステトラブロモフタルイミド)ブタン、N,N´−(ビステトラクロロフタルイミド)エタン、N,N´−(ビステトラクロロフタルイミド)プロパン、N,N´−(ビステトラクロロフタルイミド)ブタン、N,N´−(ビステトラブロモフタルイミド)ジエチルエーテル、N,N´−(ビステトラブロモフタルイミド)ジプロピルエーテル、N,N´−(ビステトラブロモフタルイミド)ジブチルエーテル、N,N´−(ビステトラクロロフタルイミド)ジエチルエーテル、N,N´−(ビステトラクロロフタルイミド)ジプロピルエーテル、N,N´−(ビステトラクロロフタルイミド)ジブチルエーテル、N,N´−(ビステトラブロモフタルイミド)ジフェニルスルフォン、N,N´−(ビステトラクロロフタルイミド)ジフェニルスルフォン、N,N´−(ビステトラブロモフタルイミド)ジフェニルケトン、N,N´−(ビステトラクロロフタルイミド)ジフェニルケトン、N,N´−(ビステトラブロモフタルイミド)ジフェニルエーテル、N,N´−(ビステトラクロロフタルイミド)ジフェニルエーテル等が挙げられ、これらのうち特にN,N´−(ビステトラブロモフタルイミド)エタンが難燃性、価格等に優れる点で好適である。
【0045】
本発明の難燃剤中のハロゲン系難燃剤とエチレンジアミンリン酸亜鉛の配合比は、特に限定されるものではないが、ハロゲンの含有量と亜鉛の含有量との比(重量比)として通常1〜15であり、4〜13のものは非常に優れた難燃効果を示すため特に好ましい。
【0046】
次に、本発明の難燃性樹脂組成物について説明する。
【0047】
本発明の難燃性樹脂組成物は、樹脂100重量部に対して本発明の難燃剤を5〜100重量部、特に好ましくは30〜80重量部配合した組成物である。本発明の難燃剤の配合量が10重量部よりも少ない場合、難燃効果が不十分で好ましくなく、また、100重量部を超える場合、樹脂の機械物性が低下するために好ましくない。
【0048】
樹脂は、用途に応じて特に限定されることなく使用することができる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエンモノマー三元共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のオレフィン系モノマーの単独重合体又は共重合体であるポリオレフィン、スチレンの単独重合体、ゴム変性ポリスチレン、ゴムとアクリロニトリル又は(メタ)アクリレートとスチレンとのグラフト重合体等のビニル芳香族モノマーを主体とする単独重合体又は共重合体であるポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート等のポリエステル、6−ナイロン、6,6−ナイロン、12−ナイロン、46−ナイロン、芳香属ポリアミド等のポリアミド、ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテル、ポリオキシメチレン等のポリエーテル、ポリカーボネート、スチレン−共役ジエン共重合体、ポリブタジエン、ポリイソプレン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリクロロプレン等のゴム、ポリ塩化ビニル等が挙げられる。また、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、ポリウレタン等の熱硬化性樹脂も挙げられる。これらの樹脂は単独で用いても複数を混合して用いてもよい。
【0049】
本発明の難燃剤を樹脂に配合する方法は、ハロゲン系難燃剤とエチレンジアミンリン酸亜鉛を高濃度で含有するマスターバッチを配合する方法、ハロゲン系難燃剤とエチレンジアミンリン酸亜鉛をあらかじめ複合化した難燃剤を樹脂に配合する方法、ハロゲン系難燃剤とエチレンジアミンリン酸亜鉛をそれぞれ別々に樹脂に配合する方法等が例示されるが特に限定されない。ハロゲン系難燃剤とエチレンジアミンリン酸亜鉛を複合化する方法としては特に限定されないが、例えばジルコニア、ウレタン樹脂等のボ−ルを用いたボ−ルミル又は振動ミル、V型ブレンダ−、らいかい機等による湿式又は乾式の方法で行えばよい。混合時間は数時間〜数十時間程度で十分である。
【0050】
樹脂に難燃剤を配合する方法としては、ロール混練、ニーダ混練、押出し混練、バンバリー混練等が挙げられるが、特に限定されるものでなく、使用する樹脂に合った方法で行えばよい。
【0051】
上述の方法で本発明の難燃樹脂組成物が製造できる。
【0052】
本発明の難燃性樹脂組成物は、必要に応じてその他の添加剤を配合しても何等差し支えない。添加剤としてはその他の難燃剤、難燃助剤、可塑剤、潤滑剤、充填剤、酸化防止剤、熱安定化剤、架橋剤、架橋助剤、帯電防止剤、相溶化剤、耐光剤、顔料、発泡剤、ブリード防止剤、防カビ剤等が挙げられる。
【0053】
【発明の効果】
ハロゲン系難燃剤とエチレンジアミンリン酸亜鉛からなる本発明の難燃剤は難燃効果に優れ、これを配合してなる本発明の難燃性樹脂組成物は難燃性、低発煙性に優れ、更に有害ガスの発生を抑えた高性能なものである。
【0054】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0055】
調製例1 EDA−ZP1の調製
水700gに75%リン酸327gを添加して調製したリン酸水溶液に酸化亜鉛81.4gを撹拌しながら溶解させてリン酸亜鉛水溶液を調製した。
【0056】
水658gにエチレンジアミン75gを添加して調製したエチレンジアミン水溶液を上記リン酸亜鉛水溶液に添加し、25℃で3時間スラリーを均一化してエチレンジアミンリン酸亜鉛を晶析させた。晶析後、ヌッチェろ過にて固液分離し、3000gの水で洗浄した後、110℃で16時間乾燥してEDA−ZP1を調製した。EDA−ZP1のX線回折は表1に示した位置に表れ、X線回折パターンは図1に示す。
【0057】
調製例2 EDA−ZP2の調製
硝酸亜鉛6水和物59.5gを水540gに溶解させ、この硝酸亜鉛水溶液にエチレンジアミン36g添加してトリスエチレンジアミン亜鉛錯体水溶液を調製した。
【0058】
水180gに85%リン酸23.1gを添加して調製したリン酸水溶液を上記トリスエチレンジアミン亜鉛錯体水溶液に添加し、30℃で1時間スラリーを均一化してEDA−ZP2を晶析させた。晶析後、ヌッチェろ過にて固液分離し、3000gの水で洗浄した後、110℃で16時間乾燥してEDA−ZP2を調製した。EDA−ZP2のX線回折は表2に示した位置に表れ、X線回折パターンは図2に示す。
【0059】
調製例3 難燃剤の調製(1)
調製例1で調製したEDA−ZP1とハロゲン含有化合物としてデカブロモジフェニルエーテル(東ソー製、商品名「フレームカット610R」)をそれぞれ重量比で1:5、1:3、1:2で混合し、ウレタン樹脂ボールを用いて乾式で16時間ボールミル混合して難燃剤1、難燃剤2、難燃剤3を調製した。なお、難燃剤1、難燃剤2、難燃剤3のハロゲンの含有量と亜鉛の含有量との比(重量比)はそれぞれ12.3、5.1、4.9である。
【0060】
調製例4 難燃剤の調製(2)
調製例2で調製したEDA−ZP2とハロゲン含有化合物としてデカブロモジフェニルエーテル(東ソー製、商品名「フレームカット610R」)をそれぞれ重量比で1:5、1:3、1:2で混合し、ウレタン樹脂ボールを用いて乾式で16時間ボールミル混合して難燃剤4、難燃剤5、難燃剤6を調製した。なお、難燃剤4、難燃剤5、難燃剤6のハロゲンの含有量と亜鉛の含有量との比(重量比)はそれぞれ12.3、5.1、4.9である。
【0061】
実施例1 低密度ポリエチレンでの難燃性評価
低密度ポリエチレン(東ソー製、商品名「ペトロセン202」)に所定量の難燃剤を105℃の温度でロール混練後、150℃の温度でプレス成形し、難燃性樹脂組成物を調製した。
【0062】
難燃性の評価はJIS K 7201に規格化されている酸素指数法による高分子材料の燃焼試験方法に従って行った。
【0063】
各難燃剤の配合量、難燃性樹脂組成物の難燃性の評価結果を表3に示す。
【0064】
【表3】
【0065】
実施例2 ポリプロピレンでの難燃性評価
100重量部のポリプロピレン樹脂(ユニオンポリマー製、商品名「UPポリプロJ7030B」)に20重量部の2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−(2,3−ジブロモプロポキシ)フェニル)プロパン(東ソー製、商品名「フレームカット121R」)、10重量部のEDA−ZP1を添加し、これらをヘンシェルミキサーで混合し、二軸混練押出し機で樹脂温度200℃にて押出し、ペレットを作製した。次いで、シリンダー設置温度210℃の射出成形機により、難燃性樹脂組成物の試験片を作製した。
【0066】
難燃性の評価は実施例1と同様の方法で行い、酸素指数は32であった。
【0067】
比較例1 低密度ポリエチレンでの難燃性評価
100重量部の低密度ポリエチレン(東ソー製、商品名「ペトロセン202」)にデカブロモジフェニルエーテル(東ソー製、商品名「フレームカット610R」)60重量部を実施例1と同様の方法で配合して難燃性樹脂組成物を調製した。
【0068】
難燃性樹脂組成物の難燃性は実施例1と同様の方法で行い、酸素指数は26であった。
【0069】
比較例2 低密度ポリエチレンでの難燃性評価
100重量部の低密度ポリエチレン(東ソー製、商品名「ペトロセン202」)に調製例1で調製したエチレンジアミンリン酸亜鉛60重量部を実施例1と同様の方法で配合して難燃性樹脂組成物を調製した。
【0070】
難燃性樹脂組成物の難燃性は実施例1と同様の方法で行い、酸素指数は23であった。
【0071】
比較例3 ポリプロピレンでの難燃性評価
100重量部のポリプロピレン樹脂(ユニオンポリマー製、商品名「UPポリプロJ7030B」)に30重量部のテトラブロムビスフェノールAビス(2・3ージブロモプロピルエーテル)(東ソー製、商品名「フレームカット121R」)を添加し、実施例2と同様の方法で難燃性樹脂組成物の試験片を作製した。
【0072】
難燃性の評価は実施例1と同様の方法で行い、酸素指数は29であった。
【0073】
比較例4 ポリプロピレンでの難燃性評価
100重量部のポリプロピレン樹脂(ユニオンポリマー製、商品名「UPポリプロJ7030B」)に30重量部のEDA−ZP1を添加し、実施例2と同様の方法で難燃性樹脂組成物の試験片を作製した。
【0074】
難燃性の評価は実施例1と同様の方法で行い、酸素指数は23であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】調製例1で得られたEDA−ZP1のX線回折図である。
【図2】調製例2で得られたEDA−ZP2のX線回折図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハロゲン系難燃剤とエチレンジアミンリン酸亜鉛からなる難燃剤、及びそれを配合してなる難燃性樹脂組成物に関するものである。本発明の難燃剤を配合してなる難燃性樹脂組成物は難燃性に優れ、各種電気部品をはじめとして、自動車部品、建材、ケーブル等の材料として広範に使用される。
【0002】
【従来の技術】
各種プラスチック材料(樹脂)は、電線・ケーブルの絶縁材料やシース材料、電気・電子・OA機器のパッケージ材や内部部品、車両の内装材、建築材料等に多く使用されている。しかしながら可燃性材料であるプラスチック材料を上述の用途で使用する場合は、プラスチック材料に難燃剤を配合し、難燃性を付与して使用されている。
【0003】
従来から使用されている難燃剤としては、リン酸エステル、ポリリン酸アンモニウム、赤リン等のリン系難燃剤、テトラブロモビスフェノールA、デカブロモジフェニルエーテエル、塩素化パラフィン等のハロゲン系難燃剤、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の無機系難燃剤等がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらリン系難燃剤は十分に満足された材料ではなく、例えばポリリン酸アンモニウムは難燃効果、耐水性に劣るという問題点、また赤リンは加工時にホスフィンガスが発生するという問題点を有していた。
【0005】
また無機系難燃剤は発煙抑制効果に優れた材料であるが、難燃効果が小さいため、樹脂に十分な難燃性を付与するには無機系難燃剤の高配合が必要であり、その結果、樹脂組成物の機械物性が大きく悪化するという問題点を有していた。
【0006】
ハロゲン系難燃剤は難燃効果に優れた材料であり、広く使用されているが、更に難燃効果に優れた難燃剤の開発が熱望されている。
【0007】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、難燃効果に優れた新たな高性能な難燃剤、及びそれを用いた新たな難燃性樹脂組成物を提供することである。
【0008】
【課題を解決する手段】
本発明者等は、難燃性に優れた難燃性樹脂組成物を開発するため、難燃効果に優れた高性能な難燃剤の開発に注力して鋭意検討を行った結果、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち本発明は、ハロゲン系難燃剤とエチレンジアミンリン酸亜鉛からなる難燃剤、及び樹脂100重量部に対してこの難燃剤を5〜100重量部配合してなる難燃性樹脂組成物である。
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0011】
本発明の難燃剤は、ハロゲン系難燃剤とエチレンジアミンリン酸亜鉛からなる難燃剤である。詳細な理由は不明であるが、ハロゲン系難燃剤とエチレンジアミンリン酸亜鉛の難燃効果には相乗効果があるため、本発明の難燃剤は非常に難燃効果に優れた材料である。
【0012】
本発明においてエチレンジアミンリン酸亜鉛とは、エチレンジアミンとリン酸亜鉛との化合物であり、特に限定するものではないが、例えば、一般式がZn2P2O8C2N2H10で表わされ、かつX線回折パターンが少なくとも表1
【0013】
【表1】
【0014】
に示される面間隔を含んでいるエチレンジアミンリン酸亜鉛(以下、EDA−ZP1と略す)や、X線回折パターンが少なくとも表2
【0015】
【表2】
【0016】
に示される面間隔を含んでいるエチレンジアミンリン酸亜鉛(以下、EDA−ZP2と略す)等が挙げられる。
【0017】
EDA−ZP1は、正四面体ZnO4と正四面体PO4で形成された3次元的開骨格ZnPO4 -にH3NC2H4NH3 2+が吸蔵されており(R.H.Jonesら,Studies in Surface Seience and Catalysis,Zeolites and Related Microporous Materials,Vol.84,p.2229(1994),Elsevier Science B.V.)、CuKα線を用いて測定したX線回折パターンは図1のようになる。
【0018】
また、EDA−ZP2は、詳細な結晶構造については不明であるが、CuKα線を用いて測定したX線回折パターンは図2のようになる。
【0019】
本発明において用いられるエチレンジアミンリン酸亜鉛の分解温度は約400℃であり、耐熱性に優れた材料である。エチレンジアミンリン酸亜鉛の粉体物性は特に限定されないが、BET比表面積が0.1〜20m2/g、2次粒径が20μm以下程度である。
【0020】
本発明のエチレンジアミンリン酸亜鉛の製造方法は特に限定されないが、EDA−ZP1、EDA−ZP2を例にとり好ましい実施態様について説明する。
【0021】
本発明のエチレンジアミンリン酸亜鉛は、エチレンジアミンリン酸亜鉛の晶析、濾過、洗浄、乾燥の各工程を経て製造される。
【0022】
EDA−ZP1の晶析はリン酸亜鉛水溶液とエチレンジアミン水溶液との混合によって行われる。
【0023】
リン酸亜鉛水溶液は亜鉛の化合物とリン酸を亜鉛/リン比(モル比)が0.1〜0.4となる量で混合し、均一に溶解して調製される。亜鉛の化合物としては水酸化亜鉛、酸化亜鉛、リン酸水素亜鉛、リン酸二水素亜鉛等や塩化亜鉛、硝酸亜鉛等の水溶性の塩等が挙げられるが特に限定されない。リン酸の濃度は特に限定されず、14〜85wt%の濃度で行えばよい。
【0024】
リン酸亜鉛水溶液とエチレンジアミンとの混合は、エチレンジアミン/リン比(モル比)が0.5〜2.0となる量で混合する。エチレンジアミンの濃度は特に限定されず、5〜100wt%の濃度で行えばよい。混合方法は、リン酸亜鉛水溶液にエチレンジアミン水溶液を添加、エチレンジアミン水溶液にリン酸亜鉛水溶液を添加、リン酸亜鉛水溶液とエチレンジアミン水溶液を反応槽内に連続的に添加等の混合方法が挙げられるが特に限定されない。混合時は、反応槽内を均一にするために、撹拌しながら行うことが好ましい。混合時の温度は5〜90℃、均一化時間は5分〜3日間程度で十分である。
【0025】
EDA−ZP2の晶析は亜鉛塩水溶液とエチレンジアミンを混合してトリスエチレンジアミン亜鉛錯体を生成させ、トリスエチレンジアミン亜鉛錯体とリン酸との反応によって行われる。
【0026】
トリスエチレンジアミン亜鉛錯体は[Zn(H2NC2H4NH2)3]2+で表わされ、エチレンジアミンがZn2+に対して正八面体6配位で配位した錯体である。トリスエチレンジアミン亜鉛錯体の製造方法は特に限定されないが、例えば温度5〜90℃で撹拌しながら亜鉛塩水溶液とエチレンジアミンをモル比0.33で混合することによって得られる。亜鉛塩水溶液の濃度は数mol/l、亜鉛塩としては硝酸亜鉛、塩化亜鉛、硫酸亜鉛等の水溶性の塩等が挙げられる。
【0027】
トリスエチレンジアミン亜鉛錯体とリン酸との反応は、トリスエチレンジアミン亜鉛錯体/リン酸の混合比が0.5〜2.0(モル比)程度で行えばよい。混合時は反応槽内を均一にするために撹拌しながら行なうことが好ましい。混合時の温度は5〜90℃、均一化時間は5分〜3日間程度で十分である。
【0028】
晶析したエチレンジアミンリン酸亜鉛は、固液分離後、洗浄する。固液分離の方法は、特に限定されず、ヌッチェ、ドラムフィルター、フィルタープレス、ベルトフィルター等が例示される。洗浄水量は特に限定されず、未反応のリン酸、エチレンジアミンが除去されるまで洗浄すればよい。
【0029】
次に、エチレンジアミンリン酸亜鉛結晶の乾燥を行う。乾燥時の温度は特に限定されず、60〜250℃で行えばよい。
【0030】
エチレンジアミンリン酸亜鉛は必要に応じて粉砕してもよい。粉砕方法は自動乳鉢、ハンマーミル等が挙げられるが特に限定されない。
【0031】
上述の方法でエチレンジアミンリン酸亜鉛が製造できる。
【0032】
本発明の難燃剤に用いるハロゲン系難燃剤としては、特に限定するものではないが、例えば、下記一般式(1)
【0033】
【化7】
【0034】
(式中、Aはアルキレン基、カルボニル基又はエーテル基を表す。Xは臭素又は塩素原子を表す。a、bはa+b=1〜10を満足する整数を表す。)
で示されるハロゲン化ジフェニル化合物、下記一般式(2)
【0035】
【化8】
【0036】
(式中、Bはアルキレン基、カルボニル基、エーテル基、チオエーテル基又はスルフォン基を表す。Xは臭素又は塩素原子を表す。)
で示されるハロゲン化ビスフェノール系化合物、下記一般式(3)
【0037】
【化9】
【0038】
(式中、Bはアルキレン基、カルボニル基、エーテル基、チオエーテル基、又はスルフォン基を表す。Xは臭素又は塩素原子を表す。c、dはc+d=1〜8を満足する整数を表す。YはCnH2n+1-zXzで示されるハロゲン化アルキルを示し、n、zはn=1〜8かつz=1〜2n+1を満足する整数を表す。)
で示されるハロゲン化ビスフェノールビス(アルキルエーテル)系化合物、及び下記一般式(4)
【0039】
【化10】
【0040】
(式中、Cはアルキレン基、アルキルエーテル基、ジフェニルスルフォン基、ジフェニルケトン基又はジフェニルエーテル基を表す。Xは臭素又は塩素原子を表す。c、dはc+d=1〜8を満足する整数を表す。)
で示されるハロゲン化フタルイミド系化合物からなる群より選ばれる1種又は2種以上でよい。
【0041】
上記一般式(1)で示されるハロゲン化ジフェニル化合物としては、例えば、ペンタブロモジフェニルエーテル、ヘキサブロモジフェニルエーテル、ヘプタブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、ノナブロモジフェニルエーテル、デカブロモジフェニルエーテル、ペンタクロルジフェニルエーテル、ヘキサクロルジフェニルエーテル、ヘプタクロルジフェニルエーテル、オクタクロルジフェニルエーテル、ノナクロルジフェニルエーテル、デカクロルジフェニルエーテル等のハロゲン化ジフェニルエーテル化合物類、ジブロモジフェニルケトン、トリブロモジフェニルケトン、テトラブロモジフェニルケトン、ジクロロジフェニルケトン、トリクロロジフェニルケトン、テトラクロロジフェニルケトン等のハロゲン化ジフェニルケトン系化合物類、モノブロモジフェニルメタン、ジブロモジフェニルメタン、トリブロモジフェニルメタン、テトラブロモジフェニルメタン、ペンタブロモジフェニルメタン、ヘキサブロモジフェニルメタン、ヘプタブロモジフェニルメタン、オクタブロモジフェニルメタン、ノナブロモジフェニルメタン、デカブロモジフェニルメタン、モノクロロジフェニルメタン、ジクロロジフェニルメタン、トリクロロジフェニルメタン、テトラクロロジフェニルメタン、ペンタクロロジフェニルメタン、ヘキサクロロジフェニルメタン、ヘプタクロロジフェニルメタン、オクタクロロジフェニルメタン、ノナクロロジフェニルメタン、デカクロロジフェニルメタン、モノブロモジフェニルエタン、ジブロモジフェニルエタン、トリブロモジフェニルエタン、テトラブロモジフェニルエタン、ペンタブロモジフェニルエタン、ヘキサブロモジフェニルエタン、ヘプタブロモジフェニルエタン、オクタブロモジフェニルエタン、ノナブロモジフェニルエタン、デカブロモジフェニルエタン、モノクロロジフェニルエタン、ジクロロジフェニルエタン、トリクロロジフェニルエタン、テトラクロロジフェニルエタン、ペンタクロロジフェニルエタン、ヘキサクロロジフェニルエタン、ヘプタクロロジフェニルエタン、オクタクロロジフェニルエタン、ノナクロロジフェニルエタン、デカクロロジフェニルエタン、モノブロモジフェニルプロパン、ジブロモジフェニルプロパン、トリブロモジフェニルプロパン、テトラブロモジフェニルプロパン、ペンタブロモジフェニルプロパン、ヘキサブロモジフェニルプロパン、ヘプタブロモジフェニルプロパン、オクタブロモジフェニルプロパン、ナノブロモジフェニルプロパン、デカブロモフェニルプロパン、モノブロモジフェニルプロパン、ジクロロジフェニルプロパン、トリクロロジフェニルプロパン、テトラクロロジフェニルプロパン、ペンタクロロジフェニルプロパン、ヘキサクロロジフェニルプロパン、ヘプタクロロジフェニルプロパン、オクタクロロジフェニルプロパン、ノナクロロジフェニルプロパン、デカクロロジフェニルプロパン等のハロゲン化ジフェニルアルカン類等が挙げられ、これらのうち特にデカブロモジフェニルエーテルが難燃性、価格等に優れる点で好適である。
【0042】
上記一般式(2)で示されるハロゲン化ビスフェノール系化合物としては、例えば、ビス(3,5−ジブロモ−4−ハイドロキシフェニル)−2−(3−ブロモ−4−ハイドロキシフェニル)メタン、1−(3,5−ジブロモ−4−ハイドロキシフェニル)−2−(3−ブロモ−4−ハイドロキシフェニル)エタン、1−(3,5−ジブロモ−4−ハイドロキシフェニル)−3−(3−ブロモ−4−ハイドロキシフェニル)プロパン、ビス(3,5−ジクロロ−4−ハイドロキシフェニル)−2−(3−クロロ−4−ハイドロキシフェニル)メタン、1−(3,5−ジクロロ−4−ハイドロキシフェニル)−2−(3−クロロ−4−ハイドロキシフェニル)エタン、1−(3,5−ジクロロ−4−ハイドロキシフェニル)−3−(3−クロロ−4−ハイドロキシフェニル)プロパン、ビス(3,5−ジブロモ−4−ハイドロキシフェニル)メタン、1,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ハイドロキシフェニル)エタン、1,3−ビス(3,5−ジブロロ−4−ハイドロキシフェニル)プロパン、ビス(3,5−ジクロロ−4−ハイドロキシフェニル)メタン、1,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ハイドロキシフェニル)エタン、1,3−ビス(3,5−ジクロロ−4−ハイドロキシフェニル)プロパン等のハロゲン化ビスフェニルアルカン類、ビス(3,5−ジブロモ−4−ハイドロキシフェニル)−2−(3−ブロモ−4−ハイドロキシフェニル)ケトン、ビス(3,5−ジクロロ−4−ハイドロキシフェニル)−2−(3−クロロ−4−ハイドロキシフェニル)ケトン、ビス(3,5−ジブロモ−4−ハイドロキシフェニル)ケトン、ビス(3,5−ジクロロ−4−ハイドロキシフェニル)ケトン、ビス(3,5−ジブロモ−4−ハイドロキシフェニル)−2−(3−ブロモ−4−ハイドロキシフェニル)エーテル、ビス(3,5−ジクロロ−4−ハイドロキシフェニル)−2−(3−クロロ−4−ハイドロキシフェニル)エーテル、ビス(3,5−ジブロモ−4−ハイドロキシフェニル)エーテル、ビス(3,5−ジクロロ−4−ハイドロキシフェニル)エーテル等のハロゲン化ビスフェニルエーテル類、ビス(3,5−ジブロモ−4−ハイドロキシフェニル)−2−(3−ブロモ−4−ハイドロキシフェニル)チオエーテル、ビス(3,5−ジクロロ−4−ハイドロキシフェニル)−2−(3−クロロ−4−ハイドロキシフェニル)チオエーテル、ビス(3,5−ジブロモ−4−ハイドロキシフェニル)チオエーテル、ビス(3,5−ジクロロ−4−ハイドロキシフェニル)チオエーテル等のハロゲン化ビスフェニルチオエーテル類、ビス(3,5−ジブロモ−4−ハイドロキシフェニル)−2−(3−ブロモ−4−ハイドロキシフェニル)スルフォン、ビス(3,5−ジクロロ−4−ハイドロキシフェニル)−2−(3−クロロ−4−ハイドロキシフェニル)スルフォン、ビス(3,5−ジブロモ−4−ハイドロキシフェニル)スルフォン、ビス(3,5−ジクロロ−4−ハイドロキシフェニル)スルフォン等のハロゲン化ビスフェニルスルフォン類等が挙げられ、これらのうち特にビス(3,5−ジブロモ−4−ハイドロキシフェニル)スルフォンが難燃性、価格等に優れる点で好適である。
【0043】
上記一般式(3)で示されるハロゲン化ビスフェノールビス(アルキルエーテル)系化合物としては、例えば、ビス(3,5−ジブロモ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)−2−(3−ブロモ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)メタン、1−(3,5−ジブロモ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)−2−(3−ブロモ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)エタン、1−(3,5−ジブロモ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)−3−(3−ブロモ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)プロパン、ビス(3,5−ジクロロ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)−2−(3−クロロ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)メタン、1−(3,5−ジクロロ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)−2−(3−クロロ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)エタン、1−(3,5−ジクロロ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)−3−(3−クロロ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)プロパン、ビス(3、5−ジブロモ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)メタン、1,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)エタン、1,3−ビス(3,5−ジブロロ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)プロパン、ビス(3,5−ジクロロ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)メタン、1,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)エタン、1,3−ビス(3,5−ジクロロ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)プロパン、ビス(3,5−ジブロモ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)−2−(3−ブロモ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)ケトン、ビス(3,5−ジクロロ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)−2−(3−クロロ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)ケトン、ビス(3,5−ジブロモ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)ケトン、ビス(3,5−ジクロロ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)ケトン、ビス(3,5−ジブロモ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)−2−(3−ブロモ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)エーテル、ビス(3,5−ジクロロ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)−2−(3−クロロ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)エーテル、ビス(3,5−ジブロモ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)エーテル、ビス(3,5−ジクロロ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)エーテル、ビス(3,5−ジブロモ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)−2−(3−ブロモ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)チオエーテル、ビス(3,5−ジクロロ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)−2−(3−クロロ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)チオエーテル、ビス(3,5−ジブロモ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)チオエーテル、ビス(3,5−ジクロロ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)チオエーテル、ビス(3,5−ジブロモ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)−2−(3−ブロモ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)スルフォン、ビス(3,5−ジクロロ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)−2−(3−クロロ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)スルフォン、ビス(3,5−ジブロモ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)スルフォン、ビス(3,5−ジクロロ−4−2,3ジブロモプロポキシフェニル)スルフォン等が挙げられ、これらのうち特に2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−(2,3−ジブロモプロポキシ)フェニル)プロパンが難燃性、価格等に優れる点で好適である。
【0044】
上記一般式(4)で示されるハロゲン化フタルイミド系化合物としては、例えば、N,N´−(ビステトラブロモフタルイミド)エタン、N,N´−(ビステトラブロモフタルイミド)プロパン、N,N´−(ビステトラブロモフタルイミド)ブタン、N,N´−(ビステトラクロロフタルイミド)エタン、N,N´−(ビステトラクロロフタルイミド)プロパン、N,N´−(ビステトラクロロフタルイミド)ブタン、N,N´−(ビステトラブロモフタルイミド)ジエチルエーテル、N,N´−(ビステトラブロモフタルイミド)ジプロピルエーテル、N,N´−(ビステトラブロモフタルイミド)ジブチルエーテル、N,N´−(ビステトラクロロフタルイミド)ジエチルエーテル、N,N´−(ビステトラクロロフタルイミド)ジプロピルエーテル、N,N´−(ビステトラクロロフタルイミド)ジブチルエーテル、N,N´−(ビステトラブロモフタルイミド)ジフェニルスルフォン、N,N´−(ビステトラクロロフタルイミド)ジフェニルスルフォン、N,N´−(ビステトラブロモフタルイミド)ジフェニルケトン、N,N´−(ビステトラクロロフタルイミド)ジフェニルケトン、N,N´−(ビステトラブロモフタルイミド)ジフェニルエーテル、N,N´−(ビステトラクロロフタルイミド)ジフェニルエーテル等が挙げられ、これらのうち特にN,N´−(ビステトラブロモフタルイミド)エタンが難燃性、価格等に優れる点で好適である。
【0045】
本発明の難燃剤中のハロゲン系難燃剤とエチレンジアミンリン酸亜鉛の配合比は、特に限定されるものではないが、ハロゲンの含有量と亜鉛の含有量との比(重量比)として通常1〜15であり、4〜13のものは非常に優れた難燃効果を示すため特に好ましい。
【0046】
次に、本発明の難燃性樹脂組成物について説明する。
【0047】
本発明の難燃性樹脂組成物は、樹脂100重量部に対して本発明の難燃剤を5〜100重量部、特に好ましくは30〜80重量部配合した組成物である。本発明の難燃剤の配合量が10重量部よりも少ない場合、難燃効果が不十分で好ましくなく、また、100重量部を超える場合、樹脂の機械物性が低下するために好ましくない。
【0048】
樹脂は、用途に応じて特に限定されることなく使用することができる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエンモノマー三元共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のオレフィン系モノマーの単独重合体又は共重合体であるポリオレフィン、スチレンの単独重合体、ゴム変性ポリスチレン、ゴムとアクリロニトリル又は(メタ)アクリレートとスチレンとのグラフト重合体等のビニル芳香族モノマーを主体とする単独重合体又は共重合体であるポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート等のポリエステル、6−ナイロン、6,6−ナイロン、12−ナイロン、46−ナイロン、芳香属ポリアミド等のポリアミド、ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテル、ポリオキシメチレン等のポリエーテル、ポリカーボネート、スチレン−共役ジエン共重合体、ポリブタジエン、ポリイソプレン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリクロロプレン等のゴム、ポリ塩化ビニル等が挙げられる。また、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、ポリウレタン等の熱硬化性樹脂も挙げられる。これらの樹脂は単独で用いても複数を混合して用いてもよい。
【0049】
本発明の難燃剤を樹脂に配合する方法は、ハロゲン系難燃剤とエチレンジアミンリン酸亜鉛を高濃度で含有するマスターバッチを配合する方法、ハロゲン系難燃剤とエチレンジアミンリン酸亜鉛をあらかじめ複合化した難燃剤を樹脂に配合する方法、ハロゲン系難燃剤とエチレンジアミンリン酸亜鉛をそれぞれ別々に樹脂に配合する方法等が例示されるが特に限定されない。ハロゲン系難燃剤とエチレンジアミンリン酸亜鉛を複合化する方法としては特に限定されないが、例えばジルコニア、ウレタン樹脂等のボ−ルを用いたボ−ルミル又は振動ミル、V型ブレンダ−、らいかい機等による湿式又は乾式の方法で行えばよい。混合時間は数時間〜数十時間程度で十分である。
【0050】
樹脂に難燃剤を配合する方法としては、ロール混練、ニーダ混練、押出し混練、バンバリー混練等が挙げられるが、特に限定されるものでなく、使用する樹脂に合った方法で行えばよい。
【0051】
上述の方法で本発明の難燃樹脂組成物が製造できる。
【0052】
本発明の難燃性樹脂組成物は、必要に応じてその他の添加剤を配合しても何等差し支えない。添加剤としてはその他の難燃剤、難燃助剤、可塑剤、潤滑剤、充填剤、酸化防止剤、熱安定化剤、架橋剤、架橋助剤、帯電防止剤、相溶化剤、耐光剤、顔料、発泡剤、ブリード防止剤、防カビ剤等が挙げられる。
【0053】
【発明の効果】
ハロゲン系難燃剤とエチレンジアミンリン酸亜鉛からなる本発明の難燃剤は難燃効果に優れ、これを配合してなる本発明の難燃性樹脂組成物は難燃性、低発煙性に優れ、更に有害ガスの発生を抑えた高性能なものである。
【0054】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0055】
調製例1 EDA−ZP1の調製
水700gに75%リン酸327gを添加して調製したリン酸水溶液に酸化亜鉛81.4gを撹拌しながら溶解させてリン酸亜鉛水溶液を調製した。
【0056】
水658gにエチレンジアミン75gを添加して調製したエチレンジアミン水溶液を上記リン酸亜鉛水溶液に添加し、25℃で3時間スラリーを均一化してエチレンジアミンリン酸亜鉛を晶析させた。晶析後、ヌッチェろ過にて固液分離し、3000gの水で洗浄した後、110℃で16時間乾燥してEDA−ZP1を調製した。EDA−ZP1のX線回折は表1に示した位置に表れ、X線回折パターンは図1に示す。
【0057】
調製例2 EDA−ZP2の調製
硝酸亜鉛6水和物59.5gを水540gに溶解させ、この硝酸亜鉛水溶液にエチレンジアミン36g添加してトリスエチレンジアミン亜鉛錯体水溶液を調製した。
【0058】
水180gに85%リン酸23.1gを添加して調製したリン酸水溶液を上記トリスエチレンジアミン亜鉛錯体水溶液に添加し、30℃で1時間スラリーを均一化してEDA−ZP2を晶析させた。晶析後、ヌッチェろ過にて固液分離し、3000gの水で洗浄した後、110℃で16時間乾燥してEDA−ZP2を調製した。EDA−ZP2のX線回折は表2に示した位置に表れ、X線回折パターンは図2に示す。
【0059】
調製例3 難燃剤の調製(1)
調製例1で調製したEDA−ZP1とハロゲン含有化合物としてデカブロモジフェニルエーテル(東ソー製、商品名「フレームカット610R」)をそれぞれ重量比で1:5、1:3、1:2で混合し、ウレタン樹脂ボールを用いて乾式で16時間ボールミル混合して難燃剤1、難燃剤2、難燃剤3を調製した。なお、難燃剤1、難燃剤2、難燃剤3のハロゲンの含有量と亜鉛の含有量との比(重量比)はそれぞれ12.3、5.1、4.9である。
【0060】
調製例4 難燃剤の調製(2)
調製例2で調製したEDA−ZP2とハロゲン含有化合物としてデカブロモジフェニルエーテル(東ソー製、商品名「フレームカット610R」)をそれぞれ重量比で1:5、1:3、1:2で混合し、ウレタン樹脂ボールを用いて乾式で16時間ボールミル混合して難燃剤4、難燃剤5、難燃剤6を調製した。なお、難燃剤4、難燃剤5、難燃剤6のハロゲンの含有量と亜鉛の含有量との比(重量比)はそれぞれ12.3、5.1、4.9である。
【0061】
実施例1 低密度ポリエチレンでの難燃性評価
低密度ポリエチレン(東ソー製、商品名「ペトロセン202」)に所定量の難燃剤を105℃の温度でロール混練後、150℃の温度でプレス成形し、難燃性樹脂組成物を調製した。
【0062】
難燃性の評価はJIS K 7201に規格化されている酸素指数法による高分子材料の燃焼試験方法に従って行った。
【0063】
各難燃剤の配合量、難燃性樹脂組成物の難燃性の評価結果を表3に示す。
【0064】
【表3】
【0065】
実施例2 ポリプロピレンでの難燃性評価
100重量部のポリプロピレン樹脂(ユニオンポリマー製、商品名「UPポリプロJ7030B」)に20重量部の2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−(2,3−ジブロモプロポキシ)フェニル)プロパン(東ソー製、商品名「フレームカット121R」)、10重量部のEDA−ZP1を添加し、これらをヘンシェルミキサーで混合し、二軸混練押出し機で樹脂温度200℃にて押出し、ペレットを作製した。次いで、シリンダー設置温度210℃の射出成形機により、難燃性樹脂組成物の試験片を作製した。
【0066】
難燃性の評価は実施例1と同様の方法で行い、酸素指数は32であった。
【0067】
比較例1 低密度ポリエチレンでの難燃性評価
100重量部の低密度ポリエチレン(東ソー製、商品名「ペトロセン202」)にデカブロモジフェニルエーテル(東ソー製、商品名「フレームカット610R」)60重量部を実施例1と同様の方法で配合して難燃性樹脂組成物を調製した。
【0068】
難燃性樹脂組成物の難燃性は実施例1と同様の方法で行い、酸素指数は26であった。
【0069】
比較例2 低密度ポリエチレンでの難燃性評価
100重量部の低密度ポリエチレン(東ソー製、商品名「ペトロセン202」)に調製例1で調製したエチレンジアミンリン酸亜鉛60重量部を実施例1と同様の方法で配合して難燃性樹脂組成物を調製した。
【0070】
難燃性樹脂組成物の難燃性は実施例1と同様の方法で行い、酸素指数は23であった。
【0071】
比較例3 ポリプロピレンでの難燃性評価
100重量部のポリプロピレン樹脂(ユニオンポリマー製、商品名「UPポリプロJ7030B」)に30重量部のテトラブロムビスフェノールAビス(2・3ージブロモプロピルエーテル)(東ソー製、商品名「フレームカット121R」)を添加し、実施例2と同様の方法で難燃性樹脂組成物の試験片を作製した。
【0072】
難燃性の評価は実施例1と同様の方法で行い、酸素指数は29であった。
【0073】
比較例4 ポリプロピレンでの難燃性評価
100重量部のポリプロピレン樹脂(ユニオンポリマー製、商品名「UPポリプロJ7030B」)に30重量部のEDA−ZP1を添加し、実施例2と同様の方法で難燃性樹脂組成物の試験片を作製した。
【0074】
難燃性の評価は実施例1と同様の方法で行い、酸素指数は23であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】調製例1で得られたEDA−ZP1のX線回折図である。
【図2】調製例2で得られたEDA−ZP2のX線回折図である。
Claims (7)
- ハロゲン系難燃剤とエチレンジアミンリン酸亜鉛からなる難燃剤。
- ハロゲン系難燃剤が、下記一般式(1)
で示されるハロゲン化ジフェニル系化合物、下記一般式(2)
で示されるハロゲン化ビスフェノール系化合物、下記一般式(3)
で示されるハロゲン化ビスフェノールビス(アルキルエーテル)系化合物、及び、下記一般式(4)
で示されるハロゲン化フタルイミド系化合物からなる群より選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の難燃剤。 - ハロゲン系難燃剤が、下記一般式(1)
で示されるハロゲン化ジフェニル系化合物及び/又は下記一般式(3)
で示されるハロゲン化ビスフェノールビス(アルキルエーテル)系化合物であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の難燃剤。 - ハロゲンの含有量と亜鉛の含有量との比(重量比)が1〜15であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の難燃剤。
- 樹脂100重量部に対して請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の難燃剤を5〜100重量部配合してなる難燃性樹脂組成物。
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