JP3852139B2 - ピロリン酸金属塩からなる難燃剤及びそれを配合してなる難燃性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はピロリン酸金属塩からなる難燃剤及びそれを配合してなる難燃性樹脂組成物に関するものである。本発明の難燃性樹脂組成物は難燃性、低発煙性に優れ、有害ガスが発生しない高性能なものであり、各種電気部品をはじめとして、自動車部品、建材、ケーブル等の材料として広範に使用される。
【0002】
【従来の技術】
各種プラスチック材料(樹脂)は、電線・ケーブルの絶縁材料やシース材料、電気・電子・OA機器のパッケージ材や内部部品、車両の内装材、建築材料等に多く使用されているが、プラスチック材料は可燃性であるため、通常は難燃剤を配合した樹脂組成物が用いられている。
【0003】
従来から使用されている難燃剤としては、リン酸エステル、ポリリン酸アンモニウム、赤リン等のリン系難燃剤、テトラブロモビスフェノールA、デカブロモジフェニルオキサイド、塩素化パラフィン等のハロゲン系難燃剤、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の無機系難燃剤等がある。これらのうち、ハロゲン系難燃剤は難燃性に優れ、広く使用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらハロゲン系難燃剤を配合した樹脂は、燃焼時に有害なハロゲン含有ガスや煙を多く発生するため、火災時の人身災害を増大させる危険性を有していた。
【0005】
またポリリン酸アンモニウム等は、熱分解で有害なガスが放出しない材料であるが、難燃効果、耐水性等の点で必ずしも満足されていない。
【0006】
更に水酸化マグネシウム等は、熱分解で有害なガスが放出せず、低発煙効果に優れた材料であるが、難燃効果の点で必ずしも満足されていない。
【0007】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、難燃効果、発煙抑制効果に優れ、有害ガスが発生しない新たな高性能な難燃剤、及びそれを用いた新たな難燃性樹脂組成物を提供することである。
【0008】
【課題を解決する手段】
本発明者等は、難燃性、低発煙性に優れ、有害ガスが発生しない難燃性樹脂組成物を開発するため、特に高性能な難燃剤の開発に注力して鋭意検討を行った結果、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち本発明は、一般式がMHx(NH4)y(P2O7)z(式中、Mはn価の金属カチオンを表し、n、x、y、zはn+x+y−4z=0を満たす任意の数を表す。)で表され、n≦2zであるピロリン酸金属塩からなる難燃剤及びそれを配合してなる難燃性樹脂組成物である。
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0011】
ピロリン酸金属塩とはピロリン酸イオンP2O7 4-と金属カチオンからなる化合物のことをいうが、本発明において難燃剤として使用するピロリン酸金属塩は、一般式がMHx(NH4)y(P2O7)z(式中、Mはn価の金属カチオンを表し、n、x、y、zはn+x+y−4z=0を満たす任意の数を表す。)で表され、金属カチオンMの価数nとzの関係がn≦2zである化合物である。詳細な理由については不明であるが、金属カチオンMの価数nとzの関係がn>2zであるピロリン酸金属塩は難燃効果が低く、難燃剤としての使用が著しく困難となる。
【0012】
ピロリン酸金属塩の金属カチオンとしては特に限定されないが、Mg、Ca、Sr等のアルカリ土類金属や、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn等が好適なものとして例示される。本発明において難燃剤として使用されるピロリン酸金属塩としては、例えば、CaH4(NH4)2(P2O7)2、CaH2(NH4)4/3(P2O7)4/3、MgH4(NH4)2(P2O7)2、Mg(NH4)6(P2O7)2、Fe(NH4)6(P2O7)2、ZnH4(NH4)2(P2O7)2、Zn(NH4)6(P2O7)2等が挙げられる。
【0013】
次に本発明において難燃剤として使用されるピロリン酸金属塩の製造方法について説明する。
【0014】
本発明において難燃剤として使用されるピロリン酸金属塩の製造方法は特に限定されないが、例えば金属を含有するピロリン酸水溶液をアンモニア水溶液等のアルカリで目的とするpHに調整し、晶析させて製造する方法、あるいは原料のピロリン酸金属塩をアンモニア含有水溶液中で分解、晶析させて製造する方法等が挙げられる。
【0015】
なお、本発明において難燃剤として使用されるピロリン酸金属塩の粉体物性としては特に限定されないが、通常BET比表面積が0.1〜20m2/g、2次粒径が20μm以下程度である。
【0016】
更に、本発明の難燃性樹脂組成物について説明する。
【0017】
本発明の難燃性樹脂組成物は、樹脂100重量部に対して本発明の難燃剤を10〜200重量部、特に好ましくは30〜150重量部配合した組成物である。本発明の難燃剤の配合量が10重量部よりも少ない場合、難燃効果が不十分で好ましくなく、また、200重量部を超える場合、樹脂の機械物性が低下するために好ましくない。
【0018】
樹脂は、用途に応じて特に限定されることなく使用することができる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエンモノマー三元共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のオレフィン系モノマーの単独重合体又は共重合体であるポリオレフィン、スチレンの単独重合体、ゴム変性ポリスチレン、ゴムとアクリロニトリル又は(メタ)アクリレートとスチレンとのグラフト重合体等のビニル芳香族モノマーを主体とする単独重合体又は共重合体であるポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート等のポリエステル、6−ナイロン、6,6−ナイロン、12−ナイロン、46−ナイロン、芳香属ポリアミド等のポリアミド、ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテル、ポリオキシメチレン等のポリエーテル、ポリカーボネート、スチレン−共役ジエン共重合体、ポリブタジエン、ポリイソプレン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリクロロプレン等のゴム、ポリ塩化ビニル等が挙げられる。また、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、ポリウレタン等の熱硬化性樹脂も挙げられる。これらの樹脂は単独で用いても複数を混合して用いてもよい。
【0019】
樹脂に難燃剤を配合する方法としては、ロール混練、ニーダ混練、押出し混練、バンバリー混練等が挙げられるが、特に限定されるものでなく、使用する樹脂に合った方法で行えばよい。
【0020】
上述の方法で本発明の難燃樹脂組成物が製造できる。
【0021】
本発明の難燃性樹脂組成物は、必要に応じてその他の添加剤を配合しても何等差し支えない。添加剤としてはその他の難燃剤、難燃助剤、可塑剤、潤滑剤、充填剤、酸化防止剤、熱安定化剤、架橋剤、架橋助剤、帯電防止剤、相溶化剤、耐光剤、顔料、発泡剤、防カビ剤等が挙げられる。
【0022】
【発明の効果】
本発明のピロリン酸金属塩からなる難燃剤は難燃効果に優れ、これを配合してなる本発明の難燃性樹脂組成物は難燃性、低発煙性に優れ、有害ガスが発生しない高性能なものである。
【0023】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0024】
実施例1
塩化アンモニウム180gを水600gに溶解させて調製した塩化アンモニウム水溶液にピロリン酸二水素カルシウム150gを添加し、温度30℃で3時間反応させてCaH2(NH4)4/3(P2O7)4/3を晶析させた。
【0025】
晶析物はヌッチェろ過にて固液分離後、エタノールで洗浄し、温度110℃で乾燥させてCaH2(NH4)4/3(P2O7)4/3を得た。
【0026】
低密度ポリエチレン(東ソー製、商品名「ペトロセン202」)100重量部に対してCaH2(NH4)4/3(P2O7)4/3を60重量部配合し、105℃の温度でロール混練後、150℃の温度でプレス成形し、難燃性樹脂組成物を調製した。
【0027】
難燃性の評価はJIS K 7201に規格化されている酸素指数法による高分子材料の燃焼試験方法に従って行った。酸素指数は24であった。
【0028】
実施例2
低密度ポリエチレン(東ソー製、商品名「ペトロセン202」)100重量部に対して実施例1で調製されたCaH2(NH4)4/3(P2O7)4/3を100重量部配合し、実施例1と同様の方法で難燃性樹脂組成物を調製した。
【0029】
難燃性の評価は実施例1と同様の方法で行い、酸素指数は26であった。
【0030】
比較例1
低密度ポリエチレン(東ソー製、商品名「ペトロセン202」)100重量部に対して、水酸化マグネシウム(協和化学製、商品名「キスマー5A−1」)100重量部を配合し、実施例1と同様の方法で難燃性樹脂組成物を調製した。
【0031】
難燃性の評価は実施例1と同様の方法で行った。酸素指数は24であり、本発明のピロリン酸金属塩より難燃効果に劣っていた。
【0032】
比較例2
低密度ポリエチレン(東ソー製、商品名「ペトロセン202」)100重量部に対して、ピロリン酸カルシウムCa(P2O7)1/2(キシダ化学製)を100重量部配合し、実施例1と同様の方法で難燃性樹脂組成物を調製した。
【0033】
難燃性の評価は実施例1と同様の方法で行った。酸素指数は19であり、本発明のピロリン酸金属塩より難燃効果に劣っていた。
Claims (2)
- 一般式がMHx(NH4)y(P2O7)z
(式中、Mは、Mg、Ca、Sr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、及びZnからなる群より選ばれるn価の金属カチオンを表し、n、x、y、zはn+x+y−4z=0を満たす任意の数を表す。)
で表され、n≦2zであるピロリン酸金属塩からなる難燃剤。 - 樹脂100重量部に対して請求項1に記載の難燃剤を10〜200重量部配合してなる難燃性樹脂組成物。
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