JP3718916B2 - 磁気ヘッドの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気ヘッドの製造方法、特に磁気記録再生装置に使用される磁気ヘッドの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、VTR等の磁気記録再生装置において、高画質化に伴い、磁気ヘッドに於いても高性能化、高精度化が要求されている。また、記録密度の向上に伴い、記録波長の短波長化が進み、磁気ヘッドにおいても、高精度で狭ギャップが要求されている。
【0003】
以下、図面を参照しながら、従来の磁気ヘッドの製造方法について説明する。図4に従来の磁気ヘッドの製造工程を示す。
【0004】
従来の磁気ヘッドの製造方法は、図4に示すように、また、特開平6−124412号公報に開示されているように、まず、最上面に非磁性のダミー基板1を置載し、金属磁気コア2が形成された非磁性基板3を複数枚積層接着し、積層インゴットAを作成。切断ライン5にそって切断し、切断されたプレートBを得る。
【0005】
次に、隣り合ったプレートをペアとして、一方のプレートに巻線窓6を加工(Cコアプレート)した後、もう一方のコアプレート(Iコアプレート)と共に、ギャップ面7を鏡面研摩後非磁性薄膜を所定膜厚形成し、それを突き合わせて接着して、ギャップドプレートDを形成する。このギャップドプレートDを切断ライン10で切断し、ギャップドバーEを得る。図4では、省略するが、その後、各金属磁気コア2を中央に残すよう非磁性基板部3を切断して、ヘッドチップを完成させる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このような積層接着されたインゴッドから、プレートを切り出して作成する磁気ヘッドの製造方法では、積層インゴットAの切断時の、直線性、平行性が微妙に異なるため、突き合わせて接着する際に、ピッチのずれが生じ、より精度を高めるためには、隣り合ったプレートをペアにしなければならない。そのため、製造工程の管理上の問題から、ギャップ面研磨の際、研磨面積の異なるCコアプレートとIコアプレートを同時に研磨している。
【0007】
図1に、Cコアプレート及び、Iコアプレートの研摩時間とギャップ面段差の関係を示す。段差は、図4Cの金属磁気コア2と非磁性基板3を含む線8部を測定したものである。ギャップ面は、材質の異なる金属とセラミックスで構成されているため、図3に示すように、研磨条件によって金属磁気コア2が非磁性基板3よりも凹み、段差11が生じる。CコアプレートとIコアプレートでは、ギャップ面の面積が異なるため、図1のように段差11の最小となる研摩時間が異なる。このように、段差11が出来ると、ギャップ突き合わせ時に、隙間にガラスが浸透し、ギャップ長が広がるという欠点があった。
【0008】
本発明の目的は、これらの課題を解決する、高精度で、しかも量産性に優れた磁気ヘッドの製造方法を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために本発明は、隣り合ったプレートを管理するため、金属磁性膜の形成された非磁性基板を複数枚積み重ねる際、最上面に非磁性のダミー基板を置載し、ダミー基板には、その後の切断工程の切断面と交差する方向に向かって、非平行な二本のマーカーラインを形成した。このマ−カ−ラインによって、プレートに切断されても、二本のマーカーラインの間隔により、隣り合ったプレートは、すぐに判別できる。故に、製造上のペア管理が必要ないため、CコアプレートとIコアプレートを異なった条件でギャップ面の研磨が行なえる。
【0010】
したがって、Cコアプレート及びIコアプレートは、最適条件でギャップ面研磨が行なえ、段差が最小限に押さえられ、精度のよいギャップが得られる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、非磁性基板上に金属磁気コアを形成した後に、複数枚積み重ねて接着し切断する事によって、金属磁気コアと非磁性基板が、交互に積層された一対のコアプレートを作成し、一対のコアプレートの内一方のコアプレートに巻線窓を形成した後、両コアプレートのギャップ面を鏡面に研磨し、そのギャップ面に非磁性薄膜を所定膜厚形成した後、突き合わせて接着する方法で作成する積層型磁気ヘッドの製造方法において、両コアプレートのギャップ面の研磨は、巻線窓の形成されたCコアプレートともう一方の巻線窓の形成されていないIコアプレートとをそれぞれ異なった条件で行う事を特徴としたものであり、Cコアプレート及びIコアプレートは、最適な条件で研磨が行なえるため、高精度なギャップが得られる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、非磁性基板上に金属磁気コアを形成した後に、複数枚積み重ねて接着し切断する事によって、金属磁気コアと非磁性基板が、交互に積層された一対のコアプレートを作成し、一対のコアプレートの内一方のコアプレートに巻線窓を形成した後、両コアプレートのギャップ面を鏡面に研磨し、そのギャップ面に非磁性薄膜を所定膜厚形成した後、突き合わせて接着する方法で作成する積層型磁気ヘッドの製造方法において、金属磁気コアの形成された非磁性基板を複数枚積み重ねる際、その最上面に非磁性のダミー基板を置載し、かつダミー基板に、その後の切断工程の切断面と交差する方向に向かって、非平行な二本のマーカーラインを形成した事を特徴とする磁気ヘッドの製造方法であり、マーカーラインを形成する事によって、プレートに切断された後も、二本のマーカーラインの間隔により、隣り合ったプレートをすぐ判別でき、製造上のペア管理が必要がなく、Cコアプレート、とIコアプレートをそれぞれの最適条件で、研磨できるため、高性能で、精度の高い磁気ヘッドの製造が可能となる。
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図1〜図3を用いて、説明する。
(実施の形態1)
図1は、研摩時間と、金属磁気コアと非磁性基板の硬度差より生じる非磁性基板/金属磁気コア間の段差を表わした図である。
【0014】
研摩面積の異なるCコアプレートとIコアプレートを同時に研摩する場合、その研摩時間の決定は、Cコアプレート、Iコアプレートの両方が、同等に段差の少ない点aで妥協しなくてはならない。しかし、段差が、ある値を境にギャップ長が広がる現象がある。この段差は、実験の結果約150Åである事が判った。そのため、ギャップの段差は、約150Å以下にしなければならない。したがって、より高精度の磁気ヘッドを製造するためには、図1に示すとおり、CコアプレートはCコアプレートの最適条件で段差の最も小さいb位置、Iコアプレートは、Iコアプレートの最適条件で段差の最も小さいc位置までの研摩時間で、別々に研摩されるのが望ましい。しかしながら、このような個別研磨は、製造上、隣り合ったプレートのペア管理が、困難であるが、この課題を以下に詳述する実施の形態2によって解決した。
【0015】
(実施の形態2)
図2は本発明の製造工程を説明するための工程図である。
【0016】
図2のAの通り、インゴット積層時に、最上面に非磁性のダミー基板1を同時に接着する。ダミー基板には、インゴット切断ライン5に交差する方向に向かって、非平行な二本のマーカーライン4を形成する事によって、プレートBに切断されても、二本のマーカーラインの間隔により、隣り合ったプレートは、すぐに判別でき、故に、製造上のペア管理が必要ないため、CコアプレートとIコアプレートは、異なった条件でのギャップ面の研摩が可能である。また、Cコアプレート、Iコアプレート共、最適条件でのギャップ面の研摩であるため、非磁性基板3と金属磁気コア2間の段差は少なく、接合ガラスによる浸食はなく、高精度なギャップが得られる。
【0017】
【実施例】
図2に示すように、プレート切断面と交差する方向に向かって、非平行なマーカーライン4の入ったダミー基板1を最上面にし、セラミックスの非磁性基板3にCo系の金属磁気コア2を形成した基板を、結晶化ガラスにより20枚積層接着し、インゴットを切断ライン5より切断し、プレートBを得る。マーカーラインの連続性によって判別した隣り合ったプレートを組み合わせ、一方のプレートに巻線窓6を加工し、巻線窓の加工されたCコアプレートと、もう一方のIコアプレートのギャップ面7を最適条件で研磨した。最終研磨条件は、0.5μm粒径のダイヤモンド砥粒を使用し、Cコアプレートは50分間、Iコアプレートは100分の研磨を行なった結果、図3に示す段差11はそれぞれ、≦80Å程度であった。
【0018】
その後、Cコアプレート及び、Iコアプレートのギャップ面7に、Sio2をスパッタリングで約1500Å形成し、CコアプレートとIコアプレートを接合した。その後、図2のDに示す切断ライン10で切断し、ギャップドバーEを得た。出来上がったギャップドプレ−トEのヘッドギャップ9のギャップ長は、0.32±0.02μmであった。
【0019】
【発明の効果】
以上のように本発明は、非平行な二本のマーカーラインの入った、ダミー基板により、ペアプレートの確認と精確な位置合わせが容易に行えるため、量産性に優れ、高精度なギャップの磁気ヘッドが得られる。
【0020】
これにより、Cコアプレート、Iコアプレートを、それぞれ異なった最適条件で研磨する事により、非磁性基板と金属磁気コアの段差は、80Å以下となり、良好なギャップが得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】研磨時間と非磁性基板/金属磁気コア間の段差の関係を示す図
【図2】本発明の製造工程を説明するための工程図
【図3】ギャップ面の非磁性基板/金属磁気コア間段差を説明する図
【図4】従来の製造工程を説明するための工程図
【符号の説明】
1 ダミー非磁性基板
2 金属磁気コア
3 非磁性基板
4 マーカーライン
5 インゴット切断ライン
6 巻線窓
7 ギャップ面
8 段差測定部
9 ギャップ
10 プレート切断ライン
11 段差
A 積層インゴット
B 切断されたプレート
C 巻線溝加工済みペアプレート
D ギャップドプレート
E ギャップドバー
a Iコアプレート/Cコアプレート同時研磨時の段差
b Cコアプレート最適研磨条件での段差
c Iコアプレート最適研磨条件での段差

Claims (1)

  1. 非磁性基板上に金属磁気コアを形成した後に、複数枚積み重ねて接着し切断する事によって、前記金属磁気コアと前記非磁性基板が、交互に積層された複数のコアプレートを作成し、前記複数のコアプレートの切断時において互いに隣接するコアプレートを一対のコアプレートとして、前記一対のコアプレートの内一方のコアプレートに巻線窓を形成した後、前記両コアプレートのギャップ面を鏡面に研磨し、そのギャップ面に非磁性薄膜を所定膜厚形成した後、前記一対となる双方のコアプレートを突き合わせて接着する方法で作成する積層型磁気ヘッドの製造方法において、前記金属磁気コアの形成された前記非磁性基板を複数枚積み重ねる際、その最上面に非磁性のダミー基板を置載し、かつ前記ダミー基板に、その後の切断工程の切断面と交差する方向に向かって、非平行な二本のマーカーラインを形成し、前記切断工程において切断された巻線窓が形成された一方のコアプレートと他方のコアプレートをそれぞれの最適条件に従って鏡面に研磨し、それぞれ加工処理をした後、前記コアプレート間で相互に二本のマーカーラインを対応させることにより、一対となるコアプレートを判別するとともに、精確に位置合わせをして接合できるようにした事を特徴とする磁気ヘッドの製造方法。
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