JP3718910B2 - 自動車用ウエザストリップ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車ボデーのドア開口縁に装着されるウエザストリップに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図5に示すようなハードトップの自動車ボデーのドア開口縁には、ドアガラス40の周縁をシールするためのウエザストリップが装着される。特に後部ドア41に対応するルーフ部42及びリアピラー部43に装着されるウエザストリップ50は、図6に示すように、ルーフ部42に取り付けられる押出成形体20と、リアピラー部43に取り付けられる押出成形体30と、ルーフ部42とリアピラー部43とのコーナー部に取り付けられる型成形部51とで構成される。
【0003】
押出成形体20は、ルーフ部42に取り付けられる取付基部21と、取付基部21から延びる車内側側壁22及び車外側側壁23と、両側壁22,23に接続支持されてドアガラス40の上縁をシールするシール壁24とを備える。車内側側壁22の中空空間25を隔てた車外側には、ブリッジ部26が取付基部21とシール壁24との間に橋設され、車内側側壁22を補強するとともにシール壁24のたわみ荷重を適度に大きくしている。押出成形体20には、取付基部21とブリッジ部26と車外側側壁23とシール壁24とによって、中空部28が形成されている。押出成形体20,30は、各々の全体がEPDMゴム(エチレン・プロピレン・ジエン共重合体)により一体的に押出成形された後、加硫発泡されてなるスポンジゴム製のものである。
【0004】
両押出成形体20,30は、それらの突合わせ端部を金型(図示略)内にセットし、そのキャビティに前記ゴムを充填して型成形部51を設けることにより相互に型接続されている。型成形部51は、図7に示すように、押出成形体20の取付基部21、車内側側壁22、車外側側壁23及びシール壁24にそれぞれ対応する、取付基部52、車内側側壁53、車外側側壁54及びシール壁55を備える。取付基部52はスリット56を備え、型成形後にスリット56から中空部形成用の中子60を抜き取ってから、図8に示すように、スリット56を接着することにより、型成形部51に中空部57が形成される。中空部57は前記方法で形成されるため、型成形部51には、押出成形体20のブリッジ部26に対応するブリッジ部を設けることができない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このウエザストリップ50には次のような問題があった。すなわち、ドアガラス40が上昇しきるとき、その上縁は、押出成形体20のシール壁24及び型成形部51のシール壁55に当接し、シール壁24,55が中空部28,57側にたわみ変形することによってシールされる。このとき、押出成形体20のシール壁24は、図6及び図8に示すように、ブリッジ部26による接続支持位置26aと車外側側壁23による接続支持位置23bとの間のスパンSbでドアガラス40の上縁を受け止めるのに対し、型成形部51のシール壁55は、図8に示すように、車内側側壁53による接続支持位置53aと車外側側壁54による接続支持位置54bとの間のスパンSwでドアガラス40の上縁を受け止める。スパンSwはスパンSbより長く、型成形部51のシール壁55のたわみ荷重は押出成形体20のシール壁24のたわみ荷重より小さくなるため、該たわみ荷重の違いによって、型成形部51側でシール性が低下する。
【0006】
ところで、図9に示すように、車内側側壁53を厚く形成し、型成形部51の接続支持位置53aを、押出成形体20の接続支持位置26aに一致させた型成形部59の使用も考えられる。この構成によれば、型成形部59の接続支持位置53a,54b間のスパンSwを、スパンSbに合わせることができる。しかし、型成形部59では、車内側側壁53が厚い分だけ余分な材料を必要とし、全体重量も増えることになる。また、前記ゴム製の型成形部59では、厚さが増すほど成形後のひけ(収縮)が大きくなるため、シール壁55の形状が予定通りになりにくい。
【0007】
本発明の目的は、上記課題を解決し、型接続される押出成形体のシール壁と型成形部のシール壁とのたわみ荷重を略同一とし、もってたわみ荷重の違いから生じるシール性の低下を防止することのできる自動車用ウエザストリップを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の自動車用ウエザストリップは、自動車ボデーのドア開口縁に沿って取り付けられるウエザストリップの押出成形体が、取付基部と、該取付基部から延びる車内側側壁、車外側側壁及び該両側壁間のブリッジ部と、該両側壁及びブリッジ部に接続支持されてドアガラスの上縁をシールするシール壁とを備え、ドア開口縁におけるルーフ部とピラー部とのコーナー部に取り付けられる型成形部が、取付基部と、該取付基部から延びる車内側側壁及び車外側側壁と、該両側壁に接続支持されてドアガラスの上縁をシールするシール壁とを備え、押出成形体と型成形部とが該型成形部の型成形時に型接続されてなる自動車用ウエザストリップにおいて、型成形部の車内側側壁によるシール壁の接続支持位置を押出成形体のブリッジ部によるシール壁の接続支持位置と略一致させ、型成形部の車内側側壁の車内側面のシール壁寄りの部分が押出成形体の車内側側壁の車内側面より車外側に奥まって位置するように設定したことを特徴としている。
【0009】
ここで、型成形部の車内側側壁の車内側面の前記車外側に奥まって位置した部分に、少なくとも1つのリブを形成することが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施した形態例について、図面を参照して説明する。なお、本形態例の実施部位は、従来例と同じく図5に示される後部ドア41に対応するルーフ部42及びリアピラー部43に装着されるウエザストリップ1である。
【0011】
ウエザストリップ1は、図1に示すように、ルーフ部42に取り付けられる押出成形体20と、リアピラー部43に取り付けられる押出成形体30と、ルーフ部42とリアピラー部43とのコーナー部に取り付けられる型成形部2とで構成される。
【0012】
押出成形体20は、従来例のものと同一なので同一符号を付して重複説明を避けるが、付言すれば、取付基部21はルーフ部42に固着されたリテーナ44に取り付けられており、ブリッジ部26は中間部分がブリッジ補助部27によって車内側側壁22に連結されている。また、車内側側壁22のシール壁側端部から車内側に向かっては、ルーフ部42に取り付けられたトリム45に圧接するように、シールリップ29が突設されている。
【0013】
押出成形体30は、押出成形体20の取付基部21、車内側側壁22、車外側側壁23、シール壁24にそれぞれ対応する、取付基部31、車内側側壁32、車外側側壁33及びシール壁34を備えるが、その詳細については、本発明と直接関係が無いので説明を省略する。
【0014】
押出成形体20,30は、各々の全体がEPDMゴムにより一体的に押出成形された後に加硫発泡されてなるスポンジゴム製のものである。押出成形体20,30を所定の長さに切断してから、それらの突合わせ端部を金型(図示略)内にセットし、そのキャビティにEPDMゴムを充填して型成形部2を形成形することにより、相互に型接続されている。
【0015】
型成形部2は、図1〜図4に示すように、押出成形体20の取付基部21に対応して接続する取付基部3を備え、該取付基部3はルーフ部42に固着されたリテーナ44に取り付けられる。取付基部3は、型成形後に中空部形成用の中子19を抜き取るためのスリット4を備え、スリット4は中子19を抜き取った後に接着・閉口される。
【0016】
取付基部3の車内側側縁からは、押出成形体20の車内側側壁22及びブリッジ部26と対応して接続する車内側側壁5が延設されている。車内側側壁5の車外側面はブリッジ部26の車外側面と対応している。型成形部2の肉厚は、車内側側壁5の車内側面のシール壁9寄りの部分(本例では図2に範囲Pで示す部分)が、図4に示すように、押出成形体20の車内側側壁22の車内側面より車外側に奥まって位置するように設定されている。車内側側壁5の車内側面の前記車外側に奥まって位置した部分には、型成形部2の長さ方向に間隔をおいた5つのリブ7が形成されている。
【0017】
取付基部3の車外側側縁からは、押出成形体20の車外側側壁23と対応して接続する車外側側壁8が延設されている。さらに、型成形部2は、両側壁5,8に接続支持されてドアガラス40の上縁を包むようにシールする、押出成形体20のシール壁24と対応して接続するシール壁9を備える。型成形部2の車内側側壁5によるシール壁9の接続支持位置5aは、押出成形体20のブリッジ部26によるシール壁24の接続支持位置26aと一致し、型成形部2の車外側側壁8によるシール壁9の接続支持位置8bは、押出成形体20の車外側側壁23によるシール壁24の接続支持位置23bと一致している。
【0018】
型成形部2には、取付基部3と車内側側壁5と車外側側壁8とシール壁9とによって、押出成形体20の中空部28と対応して連通する中空部10が形成されている。車内側側壁5のシール壁側端部から車内側に向かっては、ルーフ部42に取り付けられたトリム45に圧接するように、押出成形体20のシールリップ29と対応して接続するシールリップ11が突設されている。
【0019】
本形態例のウエザストリップ1によれば、ドアガラス40が上昇しきるとき、その上縁は、押出成形体20のシール壁24及び型成形部2のシール壁9に当接し、シール壁24,9が中空部28,10側にドアガラス40の上縁を包むようにたわみ変形することによってシールされる。このとき、押出成形体20のシール壁24は接続支持位置26a,23b間のスパンSbでドアガラス40の上縁を受け止め、型成形部2のシール壁9は接続支持位置5a,8b間のスパンSwでドアガラス40の上縁を受け止める。接続支持位置26aと5a、23bと8bはそれぞれ一致しているため、型成形部2の接続支持位置5a,8b間のスパンSwは、押出成形体20の接続支持位置26a,23b間のスパンSbと略等しく、従って、シール壁9,24間のたわみ荷重は略同一となり、もってたわみ荷重の違いから生じるシール性の低下は生じない。
【0020】
また、型成形部2の肉厚は、車内側側壁5の車内側面の主要部(前記シール壁9寄りの部分)が押出成形体20の車内側側壁22の車内側面より車外側に奥まって位置するように設定されているため、必要材料を少なくして全体重量の増加を抑制することができ、さらに、成形後のひけを小さくしてシール壁9の形状を予定通りに形成できる。
【0021】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば次のように発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することもできる。
(1)ルーフ部からフロントピラー部にかけて、又はルーフ部からセンターピラー部にかけて装着されるウエザストリップに実施すること。
(2)型成形部2の車内側側壁5の車内側面にリブ7を設けないこと。
【0022】
【発明の効果】
本発明の自動車用ウエザストリップは、上記の通り構成されているので、型接続される押出成形体のシール壁と型成形部のシール壁とのたわみ荷重を略同一とし、もってたわみ荷重の違いから生じるシール性の低下を防止することができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る自動車用ウエザストリップを車外側から見た斜視図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】図1のIII−III線断面図である。
【図4】同ウエザストリップを構成する型成形部を型成形後に車内側から見た斜視図である。
【図5】自動車ボデーのドア開口縁を示す側面図である。
【図6】従来の自動車用ウエザストリップを車外側から見た斜視図である。
【図7】同ウエザストリップを構成する型成形部の型成形後の断面図である。
【図8】図6のVIII−VIII線断面図である。
【図9】従来の別の自動車用ウエザストリップを構成する型成形部の断面図である。
【符号の説明】
1 ウエザストリップ
2 型成形部
3 取付基部
5 車内側側壁
5a 接続支持位置
7 リブ
8 車外側側壁
9 シール壁
20 押出成形体
21 取付基部
22 車内側側壁
23 車外側側壁
24 シール壁
25 中空空間
26 ブリッジ部
26a 接続支持位置
40 ドアガラス
41 後部ドア
42 ルーフ部
43 リアピラー部
Claims (2)
- 自動車ボデーのドア開口縁に沿って取り付けられるウエザストリップの押出成形体は、取付基部と、該取付基部から延びる車内側側壁、車外側側壁及び該両側壁間のブリッジ部と、該両側壁及びブリッジ部に接続支持されてドアガラスの上縁をシールするシール壁とを備え、
前記ドア開口縁におけるルーフ部とピラー部とのコーナー部に取り付けられる型成形部は、取付基部と、該取付基部から延びる車内側側壁及び車外側側壁と、該両側壁に接続支持されてドアガラスの上縁をシールするシール壁とを備え、
前記押出成形体と型成形部とが該型成形部の型成形時に型接続されてなる自動車用ウエザストリップにおいて、
前記型成形部の車内側側壁によるシール壁の接続支持位置を前記押出成形体のブリッジ部によるシール壁の接続支持位置と略一致させ、前記型成形部の車内側側壁の車内側面のシール壁寄りの部分が前記押出成形体の車内側側壁の車内側面より車外側に奥まって位置するように設定したことを特徴とする自動車用ウエザストリップ。 - 前記型成形部の車内側側壁の車内側面の前記車外側に奥まって位置した部分に少なくとも1つのリブを形成したことを特徴とする請求項1記載の自動車用ウエザストリップ。
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