JP3718880B2 - 金属パイプ継手の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は金属パイプ継手の製造方法に関し、例えば自動車用空調システムにおける冷媒配管等の継手の製造方法として有効に利用することができる。
【0002】
【従来の技術】
自動車用空調システムにおける冷媒配管においては、冷媒通路の曲げ部分の省スペース化を図るという観点から、図5に示すような金属パイプ継手が用いられている。図5において、1は固定ブロック、2はアルミ製の金属パイプである。固定ブロック1には、L字状の通路3が形成されていると共に、固定ブロック1を図示しない他の部材に固定するためのボルト穴4が形成されている。金属パイプ2は、その接続端部2aが固定ブロック1の通路3の一端部3aに受容され、ロウ材5によってロウ付されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術によれば、金属パイプ2が固定ブロック1にロウ付されるので、ロウ材5に発生するピンホールやロウ切れによるロウ付の不完全さなどによってリークを発生したり、あるいは、過度のロウ流れによって金属パイプ2aの接続端部2aの開放面が塞がれるなどの弊害を生じるおそれがあった。
【0004】
本発明は上記観点に基づいてなされたもので、その目的は、ロウ付手段を用いることなく曲げ部分の省スペース化を図ることのできる金属パイプ継手の製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明においては、他の導管部材に連通接続される金属パイプの接続端部近傍を曲げの内側半径が略0となるように曲げ、前記金属パイプの接続端部近傍に曲折部を形成する曲げ工程と、前記金属パイプを保持するための保持プレートに形成されたパイプ貫通孔に前記金属パイプの接続端部を貫通挿入して前記保持プレートを前記金属パイプの曲折部と接続端部との間に固定する固定工程であって、前記保持プレートのパイプ貫通孔の両端面に当該パイプ貫通孔よりも大径の第1および第2環状凹部を形成し、当該第1および第2環状凹部に相当する前記金属パイプの部分を拡径して前記保持プレートの第1および第2環状凹部に圧接する第1および第2フランジ部を形成し、前記金属パイプの第1および第2フランジ部によって前記保持プレートを前記金属パイプに挟持固定する前記固定工程とを有する金属パイプ継手の製造方法によって、上記目的を達成する。
【0006】
前記曲げ工程においては、曲げ型と締め型とによる前記金属パイプの曲げに先立って、前記金属パイプを圧力型とワイパ型とによって形成された前記金属パイプの外径よりも僅かに小径のパイプ挿通孔に通し、前記金属パイプがその外径が絞られて塑性変形した状態下で、曲げの内側半径が略0となるように前記金属パイプを前記曲げ型と締め型とによって曲げるように構成することができる。更に、これに加えて、前記金属パイプの曲げに応じて前記圧力型を前記金属パイプの曲げ部分に向かって前記金属パイプの軸方向に移動させると共に、前記金属パイプの曲げの間中、前記金属パイプに軸方向の圧縮力を与えるように構成することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1は本発明方法によって製造された金属パイプ継手の一例を示す断面図、図2は図1の構成を矢印A方向からみた平面図である。
【0008】
図1および図2において、10はアルミ等の金属パイプ、11は金属パイプ10に固定された保持プレートである。金属パイプ10は、接続端部12の近傍に、曲げの内側半径RINが略0となるようにL字状に曲げられた曲折部13を有している。保持プレート11はパイプ貫通孔14を有し、パイプ貫通孔14の両端面にパイプ貫通孔14よりも大径の第1および第2環状凹部15,16がパイプ貫通孔14と同軸に形成されている。金属パイプ10は、接続端部12が保持プレート11を貫通して突出するようにパイプ貫通孔14に貫通挿入されており、保持プレート11の第1および第2環状凹部15,16に相当する部分に形成された第1および第2フランジ部17,18によって保持プレート11を挟持固定している。保持プレート11は、金属パイプ10の接続端部12と曲折部13との間に固定されている。金属パイプ10の接続端部12は、本例では、金属パイプ10の外径よりもやや拡径されており、図示しない導管部材が連通接続されるようになっている。保持プレート11には、更に、図示しない他の部材に固定するためのボルト穴19が形成されている。
【0009】
このような金属パイプ継手は、以下に述べる、曲げ工程で曲げの内側半径RINが略0となるように金属パイプ10が曲げられ、その後固定工程で保持プレート11が金属パイプ10に挟持固定される。
【0010】
図3および図4は金属パイプ10の曲げ工程を示す断面構成図で、図3は曲げる前の状態を示し、図4は曲げた後の状態を示している。
【0011】
図3および図4において、20は曲げ型、21は締め型、22は圧力型、23はワイパ型である。曲げ型20と締め型21の挟持面20a,21aは断面半円形の溝形状で、挟持面20a,21aにより金属パイプ10の外周囲が覆われるようになっている。締め型21は図面上下方向に移動可能で、これを曲げ型20に向かって移動させることで、曲げ型20と締め型21とによって金属パイプ10が挟持されるようになっている。曲げ型20および締め型21は、曲げ中心Cを中心として下方に回転駆動されるようになっている。曲げ型20は曲げ中心C側が略楔形状で、その先端が、極小半径の曲面、例えば半径0.5mm程度の極めて小さな半径に形成されている。圧力型22は締め型21の側に、ワイパ型23は曲げ型20の側に夫々配置されている。圧力型22の圧力面22aおよびワイパ型23のワイパ面23aは断面半円形の溝で、圧力型22とワイパ型23とが合わさることで断面円形のパイプ挿通孔24が形成されるようになっている。パイプ挿通孔24の内径は金属パイプ10の外径よりも僅かに小で、金属パイプ10がここを通されることで外径が絞られて塑性変形受けるように構成されている。パイプ挿通孔24の内径は、好ましくは、金属パイプ10の外径よりも1〜4%程度小径に構成される。パイプ挿通孔24の一端は曲げ中心C側に開口しており、その反対側は、テーパ孔25およびパイプ挿通孔24よりも大径のガイド孔26を介して、曲げ中心Cとは反対の側に開口している。このようなパイプ挿通孔24を形成する圧力型22およびワイパ型23は、固定の取付台27に設けられている。圧力型22は、取付台27の摺動溝28に係合しており、金属パイプ10の軸方向に摺動可能で、第1の油圧装置29によって移動するようになっている。ワイパ型23はボルト30,31によって取付台27に固定されている。参照番号32は押出部材で、金属パイプ10と外径および内径が略同一のパイプ部32aと、第2の油圧装置33によって油圧力を受ける受圧部32bとを有している。押出部材32は、そのパイプ部32aがパイプ挿通孔24に挿入され、第2の油圧装置33の油圧力によって金属パイプ10の後端を押すことができるように構成されている。参照番号34は芯金で、押出部材32を貫通して金属パイプ10内の曲げ中心Cに相当する部位まで挿入されている。芯金34の先端部は、図4に示されるように金属パイプ10が曲げられたときに金属パイプ10の外側内壁にその先端部表面が当接するように、曲面形成されている。
【0012】
このような構成で、先ず、金属パイプ10は、押出部材32により後端が押されることで圧力型22およびワイパ型23によって形成されたパイプ挿通孔24に通され、その外径が絞られて塑性変形した状態で曲げ型20および締め型21側に送り出される。金属パイプ10が所定長送り出されることで、締め型21が曲げ型20に向かって移動され、塑性変形した状態の金属パイプ10が曲げ型20と締め型21とによって挟持される。次いで、第2の油圧装置33によって押出部材32を介して金属パイプ10に軸方向圧縮力をかけ、この状態で、図4に示すように、曲げ型20および締め型21を曲げ中心Cを中心として下方に回転駆動すると共に、曲げ型20および締め型21の回転に応じて圧力型22を金属パイプ10の曲げ部分に向かって軸方向に移動させる。金属パイプ10は塑性変形した状態で、略楔形の曲げ型20によって曲げられるので、曲げの内側半径RINが略0となるようにL字状に曲げられることとなる。しかも、曲げの間中金属パイプ10に軸方向の圧縮力が加えられると共に曲げに応じて圧力型22が移動されるので、金属パイプ10の曲げ外側の肉圧が減少することが防止される。金属パイプ10の曲げ終了で、締め型21を曲げ型20から離間させ、金属パイプ10を押出して曲げ工程を終了する。
【0013】
固定工程では、先ず、パイプ貫通孔14およびボルト穴19が形成された保持プレート11のパイプ貫通孔14の両端面に、パイプ貫通孔14よりも大径の第1および第2環状凹部15,16を形成し、金属パイプ10の接続端部12をパイプ貫通孔14に貫通挿入する。次いで、保持プレート11の第1および第2環状凹部15,16に相当する金属パイプ10の部分を拡径して保持プレート11の第1および第2環状凹部15,16に圧接する第1および第2フランジ部17,18を形成し、金属パイプ10の第1および第2フランジ部17,18によって保持プレート11を金属パイプ10に挟持固定する。金属パイプ10は内側の曲げ半径RINが略0でL字状に曲げられているので、金属パイプ10と保持プレート11との間の距離Hを小さくすることができ、曲げ部分の省スペース化を図ることができる。また、ロウ付手段を用いないので、ピンホールやロウ切れなどによるリークや過度のロウ流れによる通路閉塞等のおそれがなくなる。
【0014】
上記例では曲げ工程の後に固定工程を行うこととしたが、これに限定するものではない。
【0015】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、金属パイプの接続端部近傍を曲げの内側半径が略0となるように曲げ曲げ工程と、保持プレートのパイプ貫通孔の両端面にパイプ貫通孔よりも大径の第1および第2環状凹部を形成し、第1および第2環状凹部に相当する金属パイプの部分を拡径して第1および第2環状凹部に圧接する第1および第2フランジ部を形成し、金属パイプの第1および第2フランジ部によって保持プレートを金属パイプに挟持固定する固定工程とによって製造するようにしたので、ロウ付手段を用いることなく曲げ部分の省スペース化を図ることのできる金属パイプ継手の製造方法を提供するこができ、ピンホールやロウ切れなどによるリークや過度のロウ流れによる通路閉塞等のおそれがなくなる。
【0016】
また、曲げ工程において、曲げ型と締め型とによる金属パイプの曲げに先立って、金属パイプの外径を絞り塑性変形させ、この状態下で曲げるようにしたので、曲げの内側半径が略0となるように金属パイプを容易に曲げることができる。更に、曲げの間中金属パイプに軸方向の圧縮力を加えると共に曲げに応じて圧力型を移動するようにしたので、金属パイプの曲げ外側の肉圧が減少することが防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明方法によって製造された金属パイプ継手の一例を示す断面図である。
【図2】図2は図1の構成を矢印A方向からみた平面図である。
【図3】図3は金属パイプの曲げ工程を示す断面構成図で、曲げる前の状態を示している。
【図4】図4は金属パイプの曲げ工程を示す断面構成図で、曲げた後の状態を示している。
【図5】図5は金属パイプ継手の従来例を示す断面図である。
【符号の説明】
10 金属パイプ
11 保持プレート
12 接続端部
13 曲折部
14 パイプ貫通孔
15 第1環状凹部
16 第2環状凹部
17 第1フランジ部
18 第2フランジ部
20 曲げ型
21 締め型
22 圧力型
23 ワイパ型
24 パイプ挿通孔
Claims (3)
- 他の導管部材に連通接続される金属パイプの接続端部近傍を曲げの内側半径が略0となるように曲げ、前記金属パイプの接続端部近傍に曲折部を形成する曲げ工程と、
前記金属パイプを保持するための保持プレートに形成されたパイプ貫通孔に前記金属パイプの接続端部を貫通挿入して、前記保持プレートを前記金属パイプの曲折部と接続端部との間に固定する固定工程とを有し、
前記曲げ工程が、
曲げ型と締め型とによる前記金属パイプの曲げに先立って、圧力型とワイパ型とによって形成された、前記金属パイプの外径よりも僅かに小径のパイプ挿通孔に前記金属パイプを通し、前記金属パイプの外径を絞ることによって前記金属パイプを塑性変形させ、当該塑性変形を受けた状態の前記金属パイプを前記曲げ型と前記締め型とによって挟持する工程と、
前記塑性変形を受けた前記金属パイプを、前記曲げ型と前記締め型とを回動させることによって、曲げの内側半径が略0となるように曲げる工程とを含み、
前記固定工程が、
前記保持プレートのパイプ貫通孔の両端面に当該パイプ貫通孔よりも大径の第1および第2環状凹部を形成する工程と、
前記第1および第2環状凹部に対応する前記金属パイプの部分を拡径することによって、前記保持プレートの第1および第2環状凹部に圧接する第1および第2フランジ部を前記金属パイプに形成し、前記金属パイプの第1および第2フランジ部によって、前記保持プレートを前記金属パイプに挟持固定する工程とを含む金属パイプ継手の製造方法。 - 前記圧力型と前記ワイパ型とによって形成される前記パイプ挿通孔の内径が、前記金属パイプの外径よりも1〜4%程度小径に構成された請求項1に記載の金属パイプ継手の製造方法。
- 前記曲げ工程が、更に、前記ワイパ型とによって前記金属パイプの外径を絞り前記金属パイプに塑性変形を与える前記圧力型を前記金属パイプの曲げに応じて前記金属パイプの曲げ部分に向かって前記金属パイプの軸方向に移動させると共に、前記金属パイプの曲げの間中、前記金属パイプに軸方向の圧縮力を与える工程を含む請求項1に記載の金属パイプ継手の製造方法。
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