JP3718608B2 - 竪型ローラミル - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、石炭等の原料を粉砕して所定粒度の微粉を製造する竪型ローラミルに係り、特にミル内の流動状態を改善したローラミルの構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
図7は従来から実施されている石炭焚ボイラシステムの微粉炭供給装置として使用される竪型ローラミルの概略構成を示す断面図である。同図において、竪型ローラミルは、被粉砕物としての原炭を上部から装置内に供給するための給炭管1と下部側の粉砕部5と上部側の分級部6とから基本的に構成されている。
【0003】
粉砕部5は、粉砕テーブル2、粉砕ローラ3、及び1次空気導入口としてのスロート4を本体下部のハウジング7の内側に配置して構成されている。分級部6は固定式分級10と回転式分級20とからなり、固定式分級器10は本体上部に配置され、この固定式分級器10の内側に前記回転式分級器20が配置される。
【0004】
前記粉砕部5のスロート4は図8に示すようにハウジング7側に固定された固定スロート41と、図10に示すように粉砕テーブル2の外周部に固定され、粉砕テーブル2とともに回転する回転スロート42の2種類の形式のものが知られている。また、前記回転スロート42の空気吐出方向についても粉砕テーブル2の回転方向に仰角が設定されたもの及び逆回転方向に仰角が設定されたものが知られている。なお、図9は図8のC−C線断面図、図11は図10のD−D線断面図であり、それぞれスロートフィン412,422で区切られたスロートポート411,421が形成され、これらスロートポート411,421から1次空気がスロート4の上部に側に噴出する。
【0005】
分級部6には、サイクロン型の固定式分級器10のみから構成されるもの、回転式分級器20のみから構成されるもの、および図7に示したように両者を組み合わせて構成されるものの3種類の形式が知られている。以下、図7に示した形式のものに基づいて動作およびミル内の粒子と空気の流れなどについて説明する。
【0006】
給炭管1から供給される被粉砕物として原炭(石炭)100は、回転している粉砕テーブル2の中央部に落下し、粉砕テーブル2の回転に伴う遠心力によって粉砕テーブル2上を渦巻き状の軌跡を描いて外周部に移動する。外周部に移動した原炭は粉砕テーブル2と粉砕ローラ3との間に導かれ、両者間に噛み込まれて粉砕される。粉砕された石炭はさらに外周へと移動し、粉砕テーブル2の回りに設けられたスロート4から噴出する150〜300℃に加熱された1次空気にぶつかり、乾燥されながら上方へと吹き上げられ、分級部6へと導かれる。スロート4から固定式分級器10の旋回羽根12の下端までの区間は1次分級部61と称され、吹き上げられた粒子は重力による分級を受けて粗い粒径の石炭粉は落下し、粉砕部5に戻される。そのため、この1次分級部61での分級を1次分級と称している。
【0007】
分級部6に到達した細かい粒子の石炭粉は固定式分級器10と回転式分級器20とによって所定粒度以下の微粉炭と所定粒度以上の粗粉炭とに分級され、粗粉炭は重力によりコーン部11の内壁に沿って落下し、粉砕テーブル2と粉砕ローラ3とによって再粉砕される。一方、回転羽根21によって巻き上げられた微粉炭は送炭管30を経て図示しないボイラのバーナへと送り出される。そのため、このように1次分級以降の分級部6における分級は1次分級に対して2次分級と称され、2次分級を行なう部分を2次分級部62と称している。
【0008】
これらの1次及び2次分級部61,62において分級することにより、ミルへ投入された原炭はミル内で再循環し、ミル外へと送り出されるため、ミル内には保有炭によって生じる流動層と移動層とが形成される。特にスロート4の真上の部分400は、粉砕部5の出口からの石炭粒子群、すなわち粉砕テーブル2から移動してくる原炭と、1次及び2次分級部61,62からの戻り炭と、粉砕テーブル2と粉砕ローラ3とによって新たに粉砕された生成微粉炭との混合物が1次空気と合流する領域である。この領域は下流に位置する分級部6の入り口となるため、この領域の流動状態は分級の性能に大きく影響する。
【0009】
この領域の流動状態を所望の状態にするために、粉砕テーブル2やスロート4の構造を工夫したものも多く、中でもスロート4側の構造に関するものの方が粉砕テーブル2側の構造に関するものより多くなっている。代表的なものとしては、固定スロート、回転スロートのようにスロート自体を固定させる例と回転させる例、及び両スロート各々について空気噴射速度の粉砕テーブル2の周方向の速度成分が粉砕テーブル2の回転方向に対して順方向と逆方向に設定する例とがある。
【0010】
なお、関連する技術としては、例えば特開平6−277539号公報、特開平9−225329号公報、特開平9−234381号公報、特公平7−83839号公報、及び特許第25512376号公報などに記載された発明が知られている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来技術では、粉砕テーブル2から遠心力によってテーブル外周に至った粉砕部出口石炭粒子群とスロート4から導入される1次空気の合流の過程についての配慮はなされておらず、本体複数のローラの存在により不均一となりがちなスロート上部400におけるハウジング周方向の粒子濃度分布のバラツキ(偏流)、あるいは異なる粒度分布をもつ粒子群の集合体である粉砕部出口石炭粒子群(原炭、戻り炭、新規生成微粉炭の混合物)内の混同度のばらつき、いわゆる分散性不良などの問題があった。
【0012】
これらの問題は、スロート部より下流側、位置的には上方に位置する1次及び2次分級部における分級性能低下の主要因ともなっており、粒度分布、動力、差圧、安定運用などによって規定されるミル性能に対する影響も大きいものとなっていた。
【0013】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、スロート上部における粉砕部出口粒子群と1次空気との合流方法を改善、即ち、粒子濃度の均一化(偏流抑制)と粒子群の混合の促進(分散性向上)を図り、総合的なミル性能(粒度分布、動力、差圧、安定運用)を向上させることにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明は、ハウジング内の下部に設けられた粉砕テーブル及び粉砕ローラと、前記粉砕テーブルの外周に配置された空気導入用スロートとからなる粉砕部を備え、前記空気導入用スロートから噴射される空気の方向が当該粉砕テーブルの回転方向と逆方向になるように構成された竪型ローラミルにおいて、
前記粉砕テーブルの外周部上面に複数の仕切部材を立設し、粒子群が粉砕テーブルの回転によって遠心力を受けて粉砕テーブルの外周端側に移動する過程で、前記仕切部材間に存在している間は仕切部材によって粒子群の周方向の相対的な移動が規制されて、当該粒子群が仕切部材から粉砕テーブル外に排出されることを特徴とする。
【0019】
このように構成すると、粉砕部出口粒子群がスロート上部において1次空気と合流する直前までに粒子群自身に十分な運動量を確保させることができる。これにより、粉砕部出口粒子群と1次空気との衝突の規模は大きくなるので、竪型ローラミルが自身の構造的な特質として持ち合わせている局部的な粒子滞留域が形成されることがなく、また、異なる粒度分布を持つ粒子群の集合体である粉砕部出口粒子群(原炭、戻り炭、新規生成微粉炭の混合物)が十分に混合されずに粉砕部出口の下流側の1次及び2次分級部に流入することがなくなる。
【0020】
さらに、偏流すなわち粒子濃度が高い領域が存在すること、及び低混合度すなわち粒子が均等に混じり合わずに局所的に粒度分布が異なるということは、分級を精度良く行なうについては障害となるので、上記のように構成することによって前記障害が排除できる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の説明において、前述の従来例と同等な各部には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0022】
<第1の実施形態>
図1は本発明の第1の実施形態に係る竪型ローラミルの構成を示す断面図、図2の(1)は図1のスロート部を示す要部拡大断面図、図2の(2)は図1の竪型ローラミルのスロート部及び粉砕テーブル外周部の平面図、図3は図2の(1)におけるA−A線断面図である。
【0023】
この実施形態は、前述の図7に示した従来例の粉砕テーブル2の外周の上面側に複数の仕切部材、一例として仕切りフィン200(以下、仕切部材の一例としての仕切りフィンと称する)を立設したもので、その他の構成は前述の図7に示した従来例と同等なので、ここでの説明は省略する。
【0024】
本実施形態のスロート構造はスロート群を粉砕テーブル2側に取り付け、粉砕テーブルとともに回転させるいわゆる回転スロートである。また、1次空気の流速の水平成分VPA・cosθ(VPA:1次空気流速、θ:吐出仰角)の方向と粉砕テーブル2の外周端201における周速Vωの方向(回転方向)は図3に示すように互いに逆方向に向くように設定されている。すなわち、1次空気は図3に示すようにスロートポート421に沿って仰角θで粉砕テーブル2の回転方向Tと逆方向の速度成分をもって噴出するので、粉砕テーブル2の周速Vωの方向と逆方向になる。
【0025】
このような構成のもとで、給炭管1から投入された原炭100、コーン部11の内壁を滑り落ちる戻り炭101、及びローラ3と粉砕テーブル2の間で粉砕された新規生成炭103は、ともに粉砕テーブル2の回転ωによって遠心力を受け、粉砕テーブル2の外周端201側へと移動していく。この粉砕テーブル2の外周端201側までの移動の過程で、石炭粒子の粉砕テーブル2の周方向の速度成分は、粒子群内部における粒子間スリップ及び粒子と粉砕テーブル2との間の壁面スリップによって減速し、粉砕テーブル2の周方向の速度よりも遅くなりながら粉砕テーブル2の外周端201に到達する。粉砕テーブル2の外周端201に到達した粒子群もしくは外周端201に到達寸前の粒子群は仕切りフィン200の間を通過し、もしくはフィン200間に存在しているが、フィン200間に存在している間は、フィン200によって周方向の位置が規定されるので、周方向の相対的な移動が規制されることになる。そのため、破砕テーブル2と共に回転することになり、結局、破砕テーブルの外周端201の周速と同一の速度Vωを得ることができ、水平方向で1次空気とこの周速Vωで衝突することになる。
【0026】
このように1次空気の粉砕テーブル2の周方向の速度成分はVpa・cosθであり、速度の方向は石炭粒子の円周方向の成分Vωと180゜異なる角度となっているので、石炭粒子と空気は激しく衝突し、スロート4の上部400において石炭粒子はよくほぐされた状態となり、ハウジング7の周方向の石炭粒子の偏流は抑制されるとともに粉砕部5で合流した異なる粒度分布を持つ粒子群の混合及び分散が効率よく行われる。偏流が抑制され、混合が促進された粒子は、1次分級部61を経て2次分級部62へと至り、所定の分級を受けた後、ミル出口へと送り出される。
【0027】
このように粉砕テーブル2に仕切りフィン200を設け、1次空気の流速の水平成分の方向と粉砕テーブル2の外周端201における周速Vωの方向(回転方向)が互いに逆方向に向くように設定すると、石炭粒子と空気は激しく衝突し、石炭粒子の偏流は抑制されるとともに粉砕部5で合流した異なる粒度分布を持つ粒子群の混合及び分散が効率よく行われ、分級を効率よく行うことができる。
【0028】
すなわち、本実施形態によれば、粉砕テーブル2の外周部に複数の仕切りフィン200を設けたので、粉砕テーブル2の外周を経て分級機6へ至る粒子に粉砕テーブル2の回転による速度成分を確実に伝達することができ、十分な水平方向の運動量を持って1次空気と衝突させることが可能となる。その結果、スロート上部400における粒子群のハウジング周方向の偏流が抑制され、粉砕部5における粉砕部出口石炭粒子群の混合、及び分散度が高まるので、1次及び2次分級部61,62の分級がシャープになるとともに、スロート4そのものやハウジング7内面のハウジング周方向の偏磨耗を防止することができる。特に、分級のシャープ化は、粗粉の確実な粉砕部5への戻しと微粉のミル外(送炭管)への確実なパスを意味するので、ミルの特性として下記のような特徴を持つことになる。
【0029】
(1)ミル出口微粉炭中の粗炭割合を減少させることができる。
【0030】
(2)無駄なミル内循環が減るので、保有炭量が低減され、その結果としてミル差圧及び粉砕動力の低減を図ることができる。なお、ミル内循環とは、本来ミル外へ排出されるべき細かい微粉が粗炭に混じってミル内の粉砕部に戻される現象のことである。
【0031】
(3)粉砕ローラの不安定挙動の原因となる粉砕部滞留微粉が減少するので、安定した運用が可能になる。
【0032】
また、偏流の抑制そのものによりスロート4の下側へ落下する通常では廃棄される石炭が減るので、落下炭低減効果に加えて、1次空気量の低減及びスロート差圧の低減が可能となる。なお、1次空気量の低減はファン動力の低減とミル出口微粉粒度の向上をもたらす。
【0033】
<第2の実施形態>
図4は本発明の第2の実施形態に係る竪型ローラミルの構成を示す断面図、図5は図1のスロート部を示す要部拡大断面図、図6は図2におけるB−B線断面図である。
【0034】
この実施形態は、前述の図7に示した従来例の粉砕テーブル2の上端面202の高さをスロート4の上端面401よりも高くしたことを特徴としており、その他の構成は前述の従来例及び前記第1の実施形態と同等なので、ここでの説明は省略する。
【0035】
本実施形態のスロート構造はスロート群を粉砕テーブル2側に取り付け、粉砕テーブル2とともに回転させるいわゆる回転スロート42である。
【0036】
このように構成のもとで、給炭管1から投入された原炭100、コーン部11の内壁を滑り落ちる戻り炭101、及びローラ3と粉砕テーブル2の間で粉砕された新規生成炭103は、ともに粉砕テーブル2の回転ωによって遠心力を受け、粉砕テーブル2の外周端201側へと移動していく。この粉砕テーブル2の外周端201側までの移動の過程で、石炭粒子の粉砕テーブル2の周方向の速度成分は、粒子群内部における粒子間スリップ及び粒子と粉砕テーブル2との間の壁面スリップによって減速し、粉砕テーブル2の周方向の速度よりも遅くなりながら移動して粉砕テーブル2の外周端201に到達する。
【0037】
外周側に移動していく粒子は、鉛直方向に粉砕テーブル2からの抗力Nと重力mgを受けており、両者が静的に釣り合っているため粒子の鉛直方向の動きは小さい。しかし、粒子が粉砕テーブルの外周端202に到達すると、抗力Nが消滅し、粒子は重力mgのみを受ける。実際には、1次空気の鉛直上向きの成分が粉砕テーブル2の外周端202よりも外側で加わるため、平均的に見ると粒子は1次空気による抗力と重力のアンバランスにより鉛直上向きに移動していく。しかし、空気と粒子は互いに各々の流れが干渉しあうため、ミクロ的に空気流速は変動し、粒子はスロート4の上端面401まで落下する。この落下の過程で、粒子は下向きの速度Vgを持つようになる。速度Vgは1次空気流速の鉛直方向成分Vpa・sinθとは逆向きなので、ここで粒子と空気は衝突しあうことになる。この衝突により、粒子の偏流は抑制され、同時に混合と分散も促進される。
【0038】
このようにこの第2の実施形態は、前述の第1の実施形態における粒子と空気との衝突が水平方向であるのに対し、粒子と空気との衝突が鉛直方向である点が異なるが、奏される効果は前述の第1の実施形態と同等である。
【0039】
<第3の実施形態>
次に、第3の実施形態として、第1の実施形態と第2の実施形態とを組み合わせ、第2の実施形態における粉砕テーブル2の上端面202に第1の実施形態における仕切りフィン200を立設し、粒子と空気の衝突を水平方向と鉛直方向の両者で行わせるように構成することもできる。この場合は、水平方向と鉛直方向の衝突が同時に発生するので、粒子の偏流の抑制効果と、混合及び分散の促進効果を相乗的に得ることができる。
【0040】
また、第1及び第2の実施形態では、スロート構造は回転スロートであるが、図8に示した固定スロートの場合であっても同様の効果を得ることができる。いずれを選択するかは設計的事項である。
【0041】
さらに、仕切りフィン200は、コーン部11の内壁を滑り落ちる戻り炭101と、ローラ3及び粉砕テーブル2の間で粉砕された新規生成炭103とが混合された微粉炭を粉砕テーブル2外に排出する排出効率を勘案し、強度が許す限り薄い方が好ましい。
【0042】
<第4の実施形態>
本発明の第4の実施形態は、第1の実施形態の仕切部材に対応するものとして、粉砕テーブル2の外周の上面側に複数の気体ノズル又は液体ノズル108を設けるものである。図12に示すように、ノズル108からの噴出気体又は噴出液体は、粉砕テーブルの外周上の石炭粒子の周速度成分を加速するように働く。そうすると、石炭粒子の減速は抑制されて、スロートからの空気と激しく衝突し、その結果、スロート上部における粒子群のハウジング周方向の偏流が抑制され、粒子群の混合及び分散度が高まる。
【0043】
<第5の実施形態>
本発明の第5の実施形態は、図12に示すように、仕切部材、一例としてのスクレイパー109を粉砕ローラ3とミル中心(粉砕テーブルの回転中心)との間に粉砕テーブル2上に放射状に設置するものである。粉砕テーブル上の仕切部材は、円周上に均等に配置されても良いし、複数の仕切薄板を一群として配置したり、またこれを多数の群として配置しても良い。この実施形態によると、粉砕テーブルの回転中心に落下してきた粉体は粉砕テーブルの回転に伴ってその遠心力で連れ廻りし、仕切部材109に進入してくる。粉体はその仕切部材で囲まれて粉砕テーブルの回転速度で遠心力が働き、粉砕ローラ(粉砕テーブル上には通常3つの粉砕ローラが自転している)の間の隙間を通過してスロート上部に勢い良く送られて、スロートからの空気と激しく衝突し、粉体の偏流が抑制される。
【0044】
次に、本発明の実施形態に係る竪型ローラミルの機能乃至効果について、実験結果を示す図13〜図17を用いて以下説明する。
【0045】
偏流抑制効果を示す図13において、横軸はハウジング周方向位置を示し、粉砕テーブル上に3つの粉砕ローラが120度間隔で配置されている場合の各ローラに対応する位置を示しており、図の「ローラ間」は隣接ローラとの中間位置、「ローラ」はローラの回転中心位置をそれぞれ表す。また、縦軸の炭層差圧は、ミル内の保有炭によって生じる差圧であり、スロート上部の圧力と分級機入口の圧力との差圧である。
【0046】
本発明によれば、粉砕テーブル外周を経て分級機へ至る粒子が、粉砕テーブルの回転による速度成分を確実に伝達され十分な水平方向の運動量を持って一次空気と衝突し、又は重力により鉛直方向の運動量を持って一次空気と衝突するので、スロート上部における粒子群のハウジング周方向のローラ回転中心位置に対応する炭層差圧が従来例に比べて、低減している。即ち、偏流抑制効果を奏しているのである。
【0047】
また、粉砕部出口石炭粒子群の混合・分散度改善効果を示す図14において、横軸はハウジング周方向位置を示し、3つ配置されたローラに対応する位置を示しており、縦軸は微粒中への粗粒混入率を示す。本発明によれば、粉砕部における異なる粒度分布を持つ粒子群の集合体である粉砕部出口石炭粒子群(原炭、戻り炭、新規生成微粉炭の混合物)の混合・分散度が、従来例に比べて、高まっていることが分かる。これによって、一次及び二次分級部の分級がシャープになることに加え、スロートそのものやハウジング内面のハウジング周方向の偏摩耗が防止できる効果がある。
【0048】
また、分級部における分級シャープ化の効果は図15に示す。分級シャープ化は、粗粉の確実な粉砕部への戻しと微粉のミル外(送炭管)への確実なパスを意味し、具体的には、ミルの特性としてミル出口微粉炭中の粗粉割合の低減となって現れ、これを示すのが図15である。図15で横軸は75μmのフルイの通過率を表し、縦軸は150μmの粗いフルイの通過率を示す。図から分かるように、本発明によれば、従来例に比べて分級シャープ化が達せられる。
【0049】
また、ミル差圧及び粉砕動力の低減効果を図16に示す。分級のシャープ化によって、無駄なミル内(例えば、本来ミル外へ排出されるべき細かい微粉が粗粉に混じってミル内の粉砕部へ戻される)が減るので、保有炭量が低減し、その結果としてミル差圧及び粉砕動力の低減が実現し、これが図16に示されているのである。
【0050】
また、安定運用域の拡大効果を図17に示す。分級のシャープ化によって、粉砕ローラの不安定挙動の原因となる粉砕部滞留微粉が低減するので、安定運用が可能となり、これが図17に示されているのである。
【0051】
一方、偏流抑制そのものにより、スロート下へ落下する石炭(この石炭は通常廃棄される)が低減するため、落下炭低減そのものの効果に加えて、その二次的効果として、一次空気量低減及びそれに伴うスロート差圧の低減が可能となる。一次空気量の低減はファン動力の低減とミル出口微粉粒度の向上をもたらす。
【0052】
以上のように、本発明の実施形態に依れば、総合的な波及効果が高いものである。
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、粉砕テーブルの外周部に複数の仕切部材を設けたので、粉砕テーブルからの微粉の排出効率を損なうことなく微粉をスロート上端部側に導出し、スロート上部における粉砕部出口粒子群と1次空気との合流方法を改善することが可能となる。その結果、総合的なミル性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る竪型ローラミルの概略構成を示す縦断面図である。
【図2】第1の実施形態に係る竪型ローラミルのスロート部の構成を示す断面図と粉砕テーブル外周部の構成を示す平面図である。
【図3】図2(1)におけるA−A線断面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る竪型ローラミルの概略構成を示す縦断面図である。
【図5】第2の実施形態に係る竪型ローラミルのスロート部の構成を示す断面図である。
【図6】図5におけるB−B線断面図である。
【図7】従来例に係る固定スロート方式の竪型ローラミルの概略構成を示す縦断面図である。
【図8】従来例に係る竪型ローラミルのスロート部の構成を示す断面図である。
【図9】図8におけるC−C線断面図である。
【図10】従来例に係る回転スロート方式の竪型ローラミルのスロート部の構成を示す縦断面図である。
【図11】図10におけるD−D線断面図である。
【図12】本発明の第3並びに第4の実施形態に係る竪型ローラミルの平面図である。
【図13】本発明によるハウジング周方向の偏流抑制効果の例を示す図である。
【図14】本発明による粉砕部出口石炭粒子群の混合・分散度改善効果の例を示す図である。
【図15】本発明による分級シャープ化の効果例を示す図である。
【図16】本発明によるミル差圧及び粉砕動力の低減効果の例を示す図である。
【図17】本発明により安定運用が可能となった例を示す図である。
【符号の説明】
1 給炭管
2 粉砕テーブル
200 仕切部材
201 外周端
202 粉砕テーブル上面
3 粉砕ローラ
4 スロート
41 固定スロート
42 回転スロート
400 スロート上部
401 スロート上面
421 スロートポート
422 スロートフィン
5 粉砕部
6 分級部
61 第1分級部
62 第2分級部
7 ハウジング
10 固定式分級器
11 コーン部
12,21 旋回羽根
20 回転式分級器
30 送炭管
101 スロートフィン
102 スロートポート
103 粉砕テーブル外周上端部
104 スロート上端部
108 ノズル
109 スクレイパー

Claims (1)

  1. ハウジング内の下部に設けられた粉砕テーブル及び粉砕ローラと、前記粉砕テーブルの外周に配置された空気導入用スロートとからなる粉砕部を備え、前記空気導入用スロートから噴射される空気の方向が当該粉砕テーブルの回転方向と逆方向になるように構成された竪型ローラミルにおいて、
    前記粉砕テーブルの外周部上面に複数の仕切部材を立設し、粒子群が粉砕テーブルの回転によって遠心力を受けて粉砕テーブルの外周端側に移動する過程で、前記仕切部材間に存在している間は仕切部材によって粒子群の周方向の相対的な移動が規制されて、当該粒子群が仕切部材から粉砕テーブル外に排出されることを特徴とする竪型ローラミル。
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