JP3717591B2 - 貯蔵庫の断熱箱体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷蔵庫、冷凍庫や温蔵庫などの様に庫内が温度調整されている貯蔵庫の本体を構成する断熱箱体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来この種の貯蔵庫の断熱箱体は、たとえば特公平6−52150号公報(F25D23/08)などに記載されており、内箱と外箱との間にウレタンなどの合成樹脂からなる断熱材を注入発泡させて製作されている。そして、この内箱および外箱は、ステンレス板、亜鉛鋼板や塩化ビニール鋼板などの鋼板で構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、貯蔵庫が寿命になると、廃棄されるが、そのままでは嵩張るので、解体される。しかしながら、断熱箱体の全面に設けられている鋼板は強度が大きく、かつ、鋼板の内側には断熱材が付着しているので、簡単には剥がすことができない。そこで、この鋼板をバーナーやロータリーカッターなどの切断装置で切断するが、この切断時に熱が発生し、この熱で内側の断熱材が発火する虞がある。したがって、この様な切断装置の取扱には注意を要し、鋼板の切断作業を簡単に行うことができない。この様に、断熱箱体の表面を構成する鋼板を取り外すことが困難であるため、断熱箱体を解体する事は容易ではない。
【0004】
また、外箱および内箱が鋼板で構成されていると、断熱箱体が重くなり、運搬等に支障をきたす。
【0005】
本発明は、以上のような課題を解決するためのもので、解体が容易な貯蔵庫の断熱箱体を提供することを目的とする。さらに、軽量化された貯蔵庫の断熱箱体を提供することを二次的目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の貯蔵庫(1)の断熱箱体(2)は、外箱(4)と内箱(5)との間の空間に断熱材(6)を発泡充填して形成されている。そして、前記目的を達成するために、本発明の断熱箱体においては、外箱の左右両側面および背面が、耐熱性を具備する柔軟なシート(21)で構成され、このシートと内箱との間の空間に前記断熱材が発泡充填され、かつ 、前記外箱の背面の左右両側には各々、支柱(18)が設けられており、断熱箱体の側面を覆っている飾り板(31)が、前記支柱に固着手段(32)で固定されている。
【0007】
また、外箱の天板(16)は金属板で構成されている場合がある。
さらに、外箱の底板(17)は金属板で構成されている場合がある。
【0008】
【0009】
また、外箱の左右両側面および背面を構成する前記シートが前記支柱の庫外側の側面に沿って案内されて設けられている場合がある。
【0010】
【0011】
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、本発明における貯蔵庫の断熱箱体の実施の一形態を図1ないし図9を用いて説明する。図1は本発明における貯蔵庫の正面図である。図2は図1の貯蔵庫の断熱箱体の横断面図である。図3は図2の各コーナー部の拡大断面図である。図4は図1の貯蔵庫の断熱箱体の縦断面図である。図5は図4の各コーナー部の拡大断面図である。図6は断熱箱体の組み立て分解斜視図である。図7は飾り板を取り付けた状態における断熱箱体の横断面図である。図8は冷却機を取り付けた状態における断熱箱体の縦断面図である。図9は扉を取り付けた状態における断熱箱体の横断面図である。
【0013】
図1ないし図6において、貯蔵庫としての業務用縦型冷蔵庫1の貯蔵庫本体である断熱箱体2は、外箱4と内箱5とを備えており、この外箱4と内箱5との間の空間にウレタンなどの断熱材6を注入発泡させて形成されている。
【0014】
そして、内箱5はステンレス板、亜鉛鋼板や塩化ビニール鋼板などの鋼板で構成されており、左右側面および後面を構成するコの字状の側板11と、上面を構成する天井板12と、下面を構成する床板13とからなっている。そして、この側板11、天井板12および床板13をスポット溶接して内箱5は形成されている。また、天井板12には図4に図示するように、開口12aが形成されている。
【0015】
一方、外箱4は、上面が鋼板製の天板16で、また、下面が鋼板製の底板17で構成されている。この天板16には、図4に図示するように、天井板12の開口12aに対向する位置に、開口16aが形成されている。そして、外箱4の背面側の左右両側すなわちコーナー部には、支柱としてのL型の押し出し材18が立設している。この樹脂製の押し出し材18のL字の角部が、外箱4の背面のコーナー部の角部となるように配置されている。この押し出し材18は、断熱材6が注入発泡される際に位置ずれをおこさないように、天板16および底板17に取り付けられて支持されている。また、外箱4の左右側面および背面は一枚の柔軟なシート21で構成されている。このシート21は、樹脂製シート(たとえば軟質の塩ビシート)などであり、断熱材6を注入発泡する際の熱に耐える耐熱性を具備し、かつ、清掃時などの水に耐える耐水性を具備している。
【0016】
また、断熱箱体2の前端部には鋼板を板金加工した門構え23が配置されている。この門構え23は、図6に図示するように、略矩形の外枠23aと、この外枠23aの中側に略十字状に取り付けられている内枠23bとからなっている。
【0017】
そして、図6において、断熱箱体2を製造する際には、断熱箱体2の前端部が作業台(図示しない)に載置される状態で製造される。すなわち、門構え23を作業台に置き、この門構え23の両端部に天板16および底板17を配置し、この天板16と底板17との間に内箱5を配置する。この内箱5と門構え23とは図3および図5に図示するように、断熱性を具備する合成樹脂製のブレーカー24で連結されている。また、天板16の開口16aの端部と内箱5の天井板12の開口12aの端部とはブレーカー25で連結されて閉塞されている。ついで、一対の押し出し材18を天板16および底板17に取り付ける。そして、シート21の一方の前端部21aを門構え23に接着剤などで接着し、押し出し材18の外側の側面(庫外側に向いている側面)に沿って案内して、シート21の反対側の前端部21aを門構え23に達するように、シート21を張り、シート21の前端部21aを門構え23に接着する。また、シート21を張る際には、押し出し材18の外側の側面に接着剤を塗布しておき、シート21が押し出し材18に接着される様にしておく。
【0018】
そして、断熱材6の注入発泡の際に、シート21が外側に膨らんで変形しないように、シート21の回りに変形防止用の治具(図示しない)が配置され、その後、外箱4と内箱5との間の空間に硬質発泡ウレタンなどの断熱材6が注入発泡されるとともに、門構え23の内部にも断熱材6が充填される。この様にして、断熱箱体2は製造される。なお、26は排水口、27は棚支持用の金具である。
【0019】
この様にして組み立てられた断熱箱体2の側面に、図7に図示する飾り板31を取り付ける際には、鋼板や樹脂板からなる飾り板31の端部を押し出し材18および門構え23に、固着手段であるビス32などで固定する。
【0020】
また、図8において、天板16の開口16aと内箱5の天井板12の開口12aとで構成された断熱箱体2の開口2aに、断熱材からなる冷凍機搭載台36が取り付けられている。この冷凍機搭載台36の上面には凝縮器38、凝縮器用送風機39および圧縮機41が載置されている。一方、冷凍機搭載台36の下面には冷却器42および冷却器用送風機43が垂下している。これらの凝縮器38、凝縮器用送風機39、圧縮機41、冷却器42および冷却器用送風機43が冷凍機を構成しており、この冷凍機が冷蔵庫1の庫内を冷却する。
【0021】
さらに、図9において、断熱箱体2の門構え23の左右両側には、断熱扉である扉46が図示しないヒンジ機構により回動自在にビスなどの固着手段で取り付けられている。この扉46の庫内側すなわち断熱箱体2側の面の周縁には、パッキン48が設けられており、このパッキン48の先端部には磁石48aが設けられている。そして、扉46が閉じている状態では、パッキン48が扉46と断熱箱体2との隙間を密封している。その際に、パッキン48の磁石48aが鋼板製の門構え23に磁気吸着して、パッキン48の密封が確実に行われるようにしている。また、門構え23が鋼板で構成されているので、見栄えが良好となる。そして、扉46は、図1に図示するように、上下左右に各1個ずつ計4枚設けられている。なお、図1において、51は扉46の把手、52は排水パイプ、また、53は冷蔵庫1の支持脚である。
【0022】
前述のように実施の形態では、支柱である押し出し材18の角部が、断熱箱体2の背面の左右両側の角部に位置しており、この押し出し材18の角部に沿って、シート21が案内されて張られている。この様に押し出し材18でシート21の角部は位置決めされているので、シート21は柔軟で変形しやすいが、所定の角部の形状を保持することができる。
【0023】
また、外箱4をシート21で構成しているので、鋼板で構成した場合よりも、軽量化することができるとともに、製造コストを削減することができる。そして、断熱箱体2を解体する際にも、外箱4がシート21で構成されているので、簡単に分解することができる。
【0024】
さらに、底板17が鋼板で構成されているので、支持脚53を底板17に取り付けることができる。また、断熱箱体2の荷重や、庫内に収納された商品などの荷重を受ける強度を確保することができる。
【0025】
以上、本発明の実施の形態を詳述したが、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例を下記に例示する。
(1)本発明は、冷蔵庫以外の他の形式、たとえば、冷凍・冷蔵ショーケース、冷凍庫や温蔵庫などの様に庫内が温度調整されている貯蔵庫に適用可能である。
【0026】
(2)実施の形態においては、扉46は4枚設けられているが、その枚数などは適宜変更可能である。
(3)実施の形態においては、飾り板31を押し出し材18に固定する固着手段は、ビスであるが、ボルトとナットなどでも可能である。
【0027】
(4)内箱の材質および製造方法などは、適宜変更可能である。
(5)実施の形態においては、シート21は一枚であるが、複数のシートを用いることも可能である。また、シート21は押し出し材18および門構え23に接着されているが、必ずしも接着されている必要はない。
【0028】
【発明の効果】
本発明によれば、外箱の左右両側面および背面が耐熱性を具備する柔軟なシートで構成されているので、このシートを破って外箱を破壊することができる。この様にして、外箱を破壊すると、断熱材は簡単に外すことができるので、断熱箱体を簡単に解体することができる。また、シートは鋼板よりも軽いので、断熱箱体を軽量化することができる。さらに、断熱箱体の側面を覆っている飾り板が、支柱に固着手段で固定されており、この飾り板で断熱箱体の外観を顧客の要求に応じたものに適宜変更することができる。
【0029】
また、外箱の天板は金属板で構成されている場合がある。この場合には、前述の様に外箱の左右両側面および背面がシートで構成されて断熱箱体が解体容易であるにも係わらず、天板は強度のある金属板で構成されているので、天板上に冷凍機などの重量のある部材を搭載することができる。
【0030】
さらに、外箱の底板は金属板で構成されている場合がある。この場合にも、前述の様に外箱の左右両側面および背面がシートで構成されて断熱箱体が解体容易であるにも係わらず、底板は強度のある金属板で構成されているので、断熱箱体の荷重を支えることができる。
【0031】
また、外箱の左右両側面および背面を構成する前記シートが前記支柱の庫外側の側面に沿って案内されて設けられている場合がある。この場合には、この支柱で、シートが位置決めされる。したがって、シートは柔軟で変形しやすいが、断熱箱体の後側のコーナー部の角部を所定の形状とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明における貯蔵庫の正面図である。
【図2】 図2は図1の貯蔵庫の断熱箱体の横断面図である。
【図3】 図3は図2の各コーナー部の拡大断面図である。
【図4】 図4は図1の貯蔵庫の断熱箱体の縦断面図である。
【図5】 図5は図4の各コーナー部の拡大断面図である。
【図6】 図6は断熱箱体の組み立て分解斜視図である。
【図7】 図7は飾り板を取り付けた状態における断熱箱体の横断面図である。
【図8】 図8は冷却機を取り付けた状態における断熱箱体の縦断面図である。
【図9】 図9は扉を取り付けた状態における断熱箱体の横断面図である。
【符号の説明】
1 冷蔵庫(貯蔵庫)
2 断熱箱体
4 外箱
5 内箱
6 断熱材
16 天板
17 底板
18 押し出し材(支柱)
21 シート
23 門構え
31 飾り板
32 ビス(固着手段)
48 パッキン
48a 磁石
Claims (4)
- 外箱と内箱との間の空間に断熱材を発泡充填して形成されている貯蔵庫の断熱箱体において、
前記外箱の左右両側面および背面が、耐熱性を具備する柔軟なシートで構成され、このシートと内箱との間の空間に前記断熱材が発泡充填され、
かつ、前記外箱の背面の左右両側には各々、支柱が設けられており、
断熱箱体の側面を覆っている飾り板が、前記支柱に固着手段で固定されていることを特徴とする貯蔵庫の断熱箱体。 - 前記外箱の天板が金属板で構成されていることを特徴とする請求項1記載の貯蔵庫の断熱箱体。
- 前記外箱の底板が金属板で構成されていることを特徴とする請求項1または2記載の貯蔵庫の断熱箱体。
- 外箱の左右両側面および背面を構成する前記シートが前記支柱の庫外側の側面に沿って案内されて設けられていることを特徴とする請求項1、2または3記載の貯蔵庫の断熱箱体。
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1996
- 1996-03-29 JP JP09946696A patent/JP3717591B2/ja not_active Expired - Fee Related
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