JP3717409B2 - 刈取収穫機の姿勢制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、走行装置の接地部に対する機体本体の前後傾斜角を変更操作自在な姿勢変更操作手段と、前記機体本体の水平基準面に対する前後傾斜角を検出する前後傾斜角検出手段と、前記傾斜角検出手段の検出情報に基づいて、前記機体本体の水平基準面に対する前後傾斜角が設定傾斜角に維持されるように、前記姿勢変更操作手段の作動を制御する前後姿勢制御を実行する制御手段とが設けられている刈取収穫機の姿勢制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記構成の刈取収穫機の姿勢制御装置において、従来では、例えば特許第2529735号(特開平3−61421号)公報に示されるように、刈取収穫機としてのコンバインにおいて、機体本体に備えられた左右一対のクローラ式の走行装置の夫々が、ローリング用油圧シリンダの伸縮作動により機体本体に対して平行上下動することで、走行装置の接地部に対する機体本体の左右傾斜角が変更操作されるとともに、上記左右の走行装置がピッチング用油圧シリンダの伸縮作動により一体的に前部側の横軸芯周りで機体本体に対して上下揺動することで、走行装置の接地部に対する機体本体の前後傾斜角が変更操作されるように構成されていた。従って、走行装置の接地部に対する機体本体の前後傾斜角を変更操作自在な姿勢変更操作手段が、上記ピッチング用の油圧シリンダによって構成されている。
【0003】
さらに、上記コンバインには、機体本体の水平基準面に対する左右傾斜角を検出する左右傾斜角センサと、機体本体の水平基準面に対する前後傾斜角を検出する前後傾斜角検出手段としての前後傾斜角センサとが設けられている。
上記各傾斜角センサは、例えば重力の作用を利用して機体本体の傾斜角を検出するものである。具体的には、図6及び図7(尚、図6及び図7は本発明の実施形態を説明する図である。)に示すように、機体本体に固定された容器41の内部に、シリコンオイル等の所定粘度の液体42を入れるとともに、同一形状の金属板を同一間隔で平行立設した検出電極43が、機体本体が傾斜していない状態で上記液体42が重力により初期姿勢(液面水平状態)に復帰しているときに同一漬浸状態となるように、傾斜角検出方向(図の左右方向)に間隔をあけて一対配置され、上記各検出電極43の静電容量を計測してその計測値の差(機体本体が傾斜していない状態ではゼロである)を傾斜角情報に変換する変換回路部44が備えられている。
尚、上記傾斜角センサの検出信号は、走行時の機体振動によるノイズを除去する等のためにフィルタ処理され、そのフィルタ処理された傾斜角検出信号が実際の姿勢制御に用いられている。
【0004】
そして、コンバインの制御装置が、上記左右傾斜角センサの検出情報に基づいて、機体本体の水平基準面に対する左右傾斜角が設定左右傾斜角に維持されるように前記ローリング用の油圧シリンダを作動させるローリング制御と、上記前後傾斜角センサの検出情報に基づいて、機体本体の水平基準面に対する前後傾斜角が設定前後傾斜角に維持されるように前記ピッチング用の油圧シリンダを作動させるピッチング制御を実行している。即ち、前記前後傾斜角センサの検出情報に基づいて、機体本体の水平基準面に対する前後傾斜角が設定傾斜角に維持されるように、前記姿勢変更操作手段の作動を制御する前後姿勢制御(上記ピッチング制御)を実行する制御手段が上記コンバインの制御装置にて構成されている。
【0005】
上記前後姿勢制御の具体例について説明すると、上記設定傾斜角に対応する設定信号値を中心とする所定範囲の姿勢制御用の不感帯が設けられ、前後傾斜角検出手段の検出信号と上記設定信号値との偏差が上記不感帯を外れていると、その偏差が前記不感帯内に入るように前記姿勢変更操作手段を作動させて、機体本体の前後傾斜角と上記設定傾斜角との角度ずれが上記不感帯の幅に対応する許容角度内に収まるように制御している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、コンバインが走行する圃場面が湿田状態のときには、乾田状態のときに比べて走行面が軟弱になるので、走行状態によって機体姿勢が前後方向に大きく傾く場合が生じる。例えば図19に示すように、コンバインが圃場の1つの作業行程に沿って刈取走行した後、90度向き変更しながら前後進状態を切り換えて次の作業行程に移動するときに、前進走行を停止させて後進走行に切り換えると、機体姿勢が前傾姿勢になり易く、逆に後進走行を停止させて前進走行に切り換えると、機体姿勢が後傾姿勢になり易い。そして、このように機体姿勢が前後方向へ大きく傾くと、運転者の乗り心地が低下するとともに、機体及び機体に付設した刈取部が圃場面に接触したり、あるいは突っ込んで損傷するような不都合が生じるおそれがある。
【0007】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、上記従来の不都合を解消させるために、湿田状態において適切な前後姿勢制御を実行することが可能となる刈取収穫機の姿勢制御装置を提供する点にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1によれば、前記制御手段が、前記前後姿勢制御として、通常制御モードと、湿田制御モードとに切り換え自在に構成され、且つ、前記通常制御モード及び前記湿田制御モードにおける制御感度として、前記湿田制御モードにおける制御感度を前記通常制御モードにおける制御感度よりも敏感な制御感度に設定するように構成され、
前記前後傾斜角検出手段が、重力の作用によって、前記機体本体の水平基準面に対する前後傾斜角を検出する重力式の傾斜角検出手段にて構成され、
前記機体本体の加速度を検出する加速度検出手段が設けられ、
前記制御手段が、前記通常制御モードでは、前記加速度検出手段にて検出される加速度が通常制御モード用の姿勢制御停止判別値を超えると、前記前後姿勢制御の実行を停止させ、且つ、前記湿田制御モードでは、前記加速度検出手段にて検出される加速度が前記通常制御モード用の姿勢制御停止判別値よりも大きい値の湿田制御モード用の姿勢制御停止判別値を超えると、前記前後姿勢制御の実行を停止させか、又は前記加速度検出手段にて検出される加速度の値に拘わらず、前記前後姿勢制御を実行することにより、前記湿田制御モードにおける制御感度を前記通常制御モードにおける制御感度よりも敏感な制御感度に設定するように構成されている。
つまり、前記制御手段が、通常制御モードと、湿田制御モードとに切り換え自在に構成され、湿田制御モードに切り換えると、通常制御モードにおける制御感度よりも敏感な制御感度に設定した制御感度で、前後傾斜角検出手段にて検出される機体本体の水平基準面に対する前後傾斜角が設定傾斜角に維持されるように、姿勢変更手段の作動を制御する。
【0009】
従って、湿田制御モードでは、機体本体の水平基準面に対する前後傾斜角が設定傾斜角からずれると、敏感な制御感度で、前後傾斜角が設定傾斜角になるように制御されるので、湿田状態の軟弱な走行面の圃場を走行するときに、走行状態によって機体姿勢が前後方向に大きく傾くような場合でも、適正な機体姿勢に維持することができ、もって、湿田状態において適切な前後姿勢制御を実行することが可能となる刈取収穫機の姿勢制御装置が提供される。
また、前記制御手段が、前記通常制御モードでは、機体本体の水平基準面に対する前後傾斜角を重力の作用によって検出する重力式の傾斜角検出手段の検出情報に基づいて、機体本体の水平基準面に対する前後傾斜角が設定傾斜角に維持されるように、前記姿勢変更操作手段の作動を制御する前後姿勢制御を実行しているときに、加速度検出手段にて検出される機体本体の加速度が通常制御モード用の姿勢制御停止判別値を超えると、上記前後姿勢制御の実行を停止させ、一方、前記湿田制御モードでは、上記前後姿勢制御を実行しているときに、加速度検出手段にて検出される機体本体の加速度が上記通常制御モード用の姿勢制御停止判別値よりも大きい値の湿田制御モード用の姿勢制御停止判別値を超えると、上記前後姿勢制御の実行を停止させるか、あるいは、前記加速度検出手段にて検出される加速度の値に拘わらず、前記前後姿勢制御を実行するようにして、前記湿田制御モードにおける制御感度を前記通常制御モードにおける制御感度よりも敏感な制御感度に設定している。
従って、通常制御モードでは、機体本体の加速度が通常制御モード用の姿勢制御停止判別値を超えると、前後姿勢制御の実行が強制的に停止されるので、例えば乾田状態で機体本体の加速度が発生すると、機体の前後傾斜角は変化しないにもかかわらず重力式の前後傾斜角検出手段が加速度の影響を受けて不適正な検出状態になっているとき、例えば図7(ロ)に示すように、機体が停止状態から図の左方向(前方)に向けて発進すると機体に前方側への加速度が発生し、前述の液体式の前後傾斜角検出手段の液面は後部側が高くなって後傾状態を誤検出しているときに、不適正な前後傾斜角検出情報に基づく前後姿勢制御の実行を適切に回避させることが可能となり、一方、湿田制御モードでは、機体本体の加速度が通常制御モード用の姿勢制御停止判別値よりも大きい値の湿田制御モード用の姿勢制御停止判別値を超えると、前後姿勢制御の実行が強制的に停止されるか、あるいは、加速度の値に拘わらず前後姿勢制御が実行されるので、湿田状態で機体本体の加速度が発生すると、加速度によって機体が前後方向に傾く方向と重力式の前後傾斜角検出手段が加速度の影響を受けて検出作動する傾斜角の方向とが一致する、例えば上述した図7(ロ)の場合において後傾状態を検出するが、この状態は加速度によって機体が後傾側に傾斜する方向と一致するので、前後傾斜角検出情報に基づく前後姿勢制御の実行を許容して適切な前後姿勢制御を可能としながら、湿田制御モードにおける制御感度を上記のように前後姿勢制御の実行を停止させる通常制御モードにおける制御感度に比べて敏感な制御感度に的確に設定することができる。
【0010】
請求項2によれば、請求項1において、前記制御手段が、前記前後姿勢制御において、前記前後傾斜角検出手段の検出信号と前記設定傾斜角に対応する設定信号値との偏差が姿勢制御用の不感帯を外れていると、前記偏差が前記不感帯内に入るように前記姿勢変更操作手段を作動させるように構成され、且つ、前記通常制御モードでは、前記姿勢制御用の不感帯として通常制御モード用の不感帯を用い、前記湿田制御モードでは、前記姿勢制御用の不感帯として前記通常制御モード用の不感帯の幅よりも狭い幅の湿田制御モード用の不感帯を用いることにより、前記湿田制御モードにおける制御感度を前記通常制御モードにおける制御感度よりも敏感な制御感度に設定するように構成されている。
【0011】
つまり、前記制御手段が、前記通常制御モードでは、機体本体の水平基準面に対する前後傾斜角を検出する前後傾斜角検出手段の検出信号と設定傾斜角に対応する設定信号値との偏差が通常制御用の不感帯を外れていると、前記偏差がその通常制御用の不感帯内に入るように前記姿勢変更操作手段を作動させ、一方、前記湿田制御モードでは、上記偏差が上記通常制御モード用の不感帯の幅よりも狭い幅の湿田制御モード用の不感帯を外れていると、前記偏差がその湿田制御用の不感帯内に入るように前記姿勢変更操作手段を作動させて、前記湿田制御モードにおける制御感度を前記通常制御モードにおける制御感度よりも敏感な制御感度に設定している。
【0012】
従って、姿勢制御用の不感帯として、湿田制御モードでは、通常制御モード用の不感帯よりも狭い幅の湿田制御モード用の不感帯を用いるという比較的簡素な構成によって、湿田制御モードにおける制御感度を通常制御モードにおける制御感度よりも敏感な制御感度に設定することができ、もって、請求項1の好適な手段が得られる。
【0016】
請求項3によれば、請求項1又は2において、前記姿勢変更操作手段が、前記走行装置の接地部に対する機体本体の左右傾斜角を変更操作自在に構成され、前記機体本体の水平基準面に対する左右傾斜角を検出する左右傾斜角検出手段と、刈取作業状態であるか非刈取作業状態であるかを検出する作業状態検出手段とが設けられ、
前記制御手段が、前記左右傾斜角検出手段の検出情報に基づいて、前記機体本体の水平基準面に対する左右傾斜角が設定傾斜角に維持されるように、前記姿勢変更操作手段の作動を制御する左右姿勢制御を実行するように構成され、且つ、前記作業状態検出手段にて非刈取作業状態であることが検出されている場合に、前記通常制御モードでは、前記左右姿勢制御を前記前後姿勢制御よりも優先させて実行し、前記湿田制御モードでは、前記前後姿勢制御を前記左右姿勢制御よりも優先させて実行するように構成されている。
【0017】
つまり、前記制御手段が、作業状態検出手段にて非刈取作業状態であることが検出されている場合に、前記通常制御モードでは、機体本体の水平基準面に対する左右傾斜角を検出する左右傾斜角検出手段の検出情報に基づいて、前記機体本体の水平基準面に対する左右傾斜角が設定傾斜角に維持されるように、前記姿勢変更操作手段の作動を制御する左右姿勢制御を、前記前後姿勢制御よりも優先させて実行し、前記湿田制御モードでは、前記前後姿勢制御を前記左右姿勢制御よりも優先させて実行する。
【0018】
従って、前後姿勢制御と左右姿勢制御を同時に実行すると、機体姿勢が不規則に変化して運転者の乗り心地が低下することから、前後姿勢制御と左右姿勢制御の実行に優先度を設けて、いずれか一方の制御を優先して実行した後、他方の制御を実行するような場合に、刈取作業状態では、通常、機体本体を一定速度で直進走行させて刈取作業を行うのに対して、非刈取作業状態では、例えば1つの作業行程に沿っての刈取作業を終えた後、枕地等において機体本体を向き変更させながら前進走行と後進走行とに切り換えるような操作を行うが、この前進走行と後進走行とに切り換える場合に、乾田状態では機体の前後傾斜角の変化はそれほど大きくないので、左右姿勢制御を前後姿勢制御よりも優先させることにより、上記向き変更に伴って機体姿勢が左右方向に傾くのを適切に回避させることができ、一方、湿田状態では上記前進走行と後進走行との切り換えに伴って機体の前後傾斜角が大きく変化するおそれがあるので、前後姿勢制御を左右姿勢制御よりも優先させることにより、機体姿勢が前後方向に大きく傾くのを適切に回避させることができ、もって、請求項1〜3のいずれか1項の好適な手段が得られる。
【0019】
請求項によれば、請求項において、前記姿勢変更操作手段が、前記機体本体における左側前部、左側後部、右側前部、及び、右側後部の夫々において前記走行装置の接地部に対する高さを各別に変更調節自在な4個の駆動手段を備えて構成され、
前記制御手段が、前記前後姿勢制御において、前記4個の駆動手段のうち、左側前部及び右側前部に位置する2個の駆動手段と、左側後部及び右側後部に位置する2個の駆動手段のいずれか一方の2個の駆動手段を駆動停止させた状態で、他方の2個の駆動手段を駆動操作するように構成され、且つ、前記左右姿勢制御において、前記4個の駆動手段のうち、左側前部及び左側後部に位置する2個の駆動手段と、右側前部及び右側後部に位置する2個の駆動手段のいずれか一方の2個の駆動手段を駆動停止させた状態で、他方の2個の駆動手段を駆動操作するように構成されている。
【0020】
つまり、機体本体の水平基準面に対する前後傾斜角を設定前後傾斜角に維持するための前後姿勢制御では、機体本体の左側前部及び右側前部に位置する2個の駆動手段と、左側後部及び右側後部に位置する2個の駆動手段のうちの一方の2個の駆動手段だけを駆動して、機体本体の水平基準面に対する前後傾斜角を変更操作し、機体本体の水平基準面に対する左右傾斜角を設定左右傾斜角に維持するための左右姿勢制御では、機体本体の左側前部及び左側後部に位置する2個の駆動手段と、右側前部及び右側後部に位置する2個の駆動手段のうちの一方の2個の駆動手段だけを駆動して、機体本体の水平基準面に対する左右傾斜角を変更操作する。
【0021】
従って、前記前後姿勢制御及び左右姿勢制御において、機体の前後左右に位置する4個の駆動手段のうちの、前後いずれかの側もしくは左右いずれかの側に位置する2個の駆動手段だけが同時に駆動されて残りの2個の駆動手段は駆動停止しているから、例えば、上記4個の駆動手段のうちの3個以上の駆動手段を同時に駆動すると、機体本体の姿勢が不安定になって各駆動手段に対する荷重負荷が変動し、その荷重負荷の変動によって各駆動手段の操作速度が変化しようとして他の駆動手段に対して互いに影響し合うため、滑らかな駆動操作が行えず乗り心地が低下するおそれがあるが、上記したように2個の駆動手段だけが同時に駆動されて残りの2個の駆動手段は駆動停止する構成であれば、機体本体の姿勢が不安定になることもなく、2個の駆動手段を極力滑らかに駆動操作して乗り心地の低下を生じないようにしながら、適正な前後姿勢制御及び左右姿勢制御を行うことができ、もって、請求項4の好適な手段が得られる。
【0022】
【発明の実施の形態】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態を、刈取収穫機としてのコンバインに適用した場合について図面に基づいて説明する。
図1に示すように、左右一対のクローラ走行装置1L,1R(走行装置に相当する)、刈取穀稈を脱穀処理する脱穀装置3、脱穀された穀粒を貯留する穀粒タンク4、搭乗運転部2等を備えた走行機体V(機体本体に相当する)に対して、稲や麦等の植立穀稈を刈り取って脱穀装置3に供給する刈取部10が昇降調節自在に備えられて、コンバインを構成してある。
【0023】
刈取部10は、先端部に設けた分草具6、分草具6にて分草された植立穀稈を引き起こす引起し装置5、引き起こされた穀稈の株元側を切断するバリカン型の刈刃7、刈取穀稈を徐々に横倒れ姿勢に変更しながら後方側に搬送する縦搬送装置8等にて構成され、走行機体Vの前部に横軸芯P1周りに油圧式の刈取シリンダCYによって揺動昇降自在に設けられている。
尚、上記縦搬送装置8の始端部には、刈取穀稈に接当したときにオン状態となり、刈取穀稈に接当していないときにオフ状態となる株元センサ53が設けられている。従って、刈取作業状態であるか非刈取作業状態であるかを検出する作業状態検出手段300が、上記株元センサ53にて構成されている。
又、上記分草具6の後方側箇所に、刈取部10の地面に対する高さを検出する超音波式の刈高さセンサ9が設けられている。詳述はしないが、この刈高さセンサ9は、下方側に向けて超音波を発信してから受信するまでの時間を計測することで、刈取部10の地面に対する高さを検出するように非接触式に構成されている。
【0024】
そして、このコンバインでは、左右のクローラ走行装置1L,1Rの接地部に対する走行機体Vの前後傾斜角及び左右傾斜角を変更操作自在な姿勢変更操作手段100が設けられている。以下、その構成について説明する。
先ず、左右のクローラ走行装置1L,1Rの走行機体Vへの取付構造を説明する。尚、左右のクローラ走行装置1L,1Rは夫々同一構成であるから、そのうち左側のクローラ走行装置1Lについて以下に説明し、右側のクローラ走行装置1Rについてはその説明を省略する。
【0025】
図2に示すように、走行機体Vを構成する前後向き姿勢の主フレーム11に対して固定される支持フレーム12の前端側には駆動スプロケット13が回転自在に支持されるとともに、複数個の遊転輪体14を前後方向に並べた状態で枢支し、且つ、後端部にテンション輪体15を支持したトラックフレーム16が前記支持フレーム12に対して上下動可能に装着されている。そして、前記駆動スプロケット13とテンション輪体15及び各遊転輪体14にわたり無端回動体であるクローラベルトBが巻回されている。
【0026】
前記支持フレーム12の前部側には水平軸芯P2周りで回動可能に側面視で略L字形に構成される前ベルクランク17aが枢支され、支持フレーム12の後部側には水平軸芯P3周りで回動可能に側面視で略L字形に構成される後ベルクランク17bが枢支されている。そして、前ベルクランク17aの下方側端部がトラックフレーム16の前部側個所に枢支連結され、後ベルクランク17bの下方側端部は、ストローク吸収用の補助リンク17b1を介して、トラックフレーム16の後部側個所に枢支連結されている。
一方、前後ベルクランク17a,17bの夫々の上方側端部には、夫々、油圧シリンダC2,C3のシリンダロッドが連動連結されている。前記各油圧シリンダC2,C3のシリンダ本体側は主フレーム11における横フレーム部分に枢支連結されており、前記各油圧シリンダC2,C3は夫々複動型の油圧シリンダにて構成されている。
【0027】
そして、前ベルクランク17aに対応する油圧シリンダC2(以下、左前シリンダという)を最も伸張させるとともに、後ベルクランク17bに対応する油圧シリンダC3(以下、左後シリンダという)を最も短縮させると、図2に示すように、トラックフレーム16が支持フレーム12に受け止め支持され、トラックフレーム16が主フレーム11に最も近づいてほぼ平行状態となる。この状態を下限基準姿勢という。
【0028】
そして、前記下限基準姿勢にある状態から、左後シリンダC3をそのままの状態に維持しながら左前シリンダC2を短縮作動させると、図3に示すように、走行機体Vの前部側を接地部に対して離間する方向に姿勢変更(即ち、前上昇操作)することになる。
また、前記下限基準姿勢にある状態から、左前シリンダC2をそのままの状態に維持しながら左後シリンダC3を伸長作動させると、図4に示すように、走行機体Vの後部側を接地部に対して離間する方向に姿勢変更(後上昇操作)することになる。
又、前記下限基準姿勢にある状態から、左前シリンダC2を短縮作動させ、且つ、左後シリンダC3を伸長作動させると、図5に示すように、走行機体Vが接地部に対して平行姿勢のまま離間する方向に姿勢変更(上昇操作)することになる。
【0029】
尚、図9に示すように、右側のクローラ走行装置1Rにおいても同様に、機体前部側に位置する右前シリンダC4と、機体後部側に位置する右後シリンダC5とが夫々備えられ、左側のクローラ走行装置1Lと同様な動作を行う。
従って、前記姿勢変更操作手段100が、走行機体Vにおける左側前部、左側後部、右側前部、及び、右側後部の夫々において前記左右クローラ走行装置1L,1Rの接地部に対する高さを各別に変更調節自在な4個の駆動手段としての前記4個の機体姿勢変更用の油圧シリンダC2〜C5を備えて構成されている。
【0030】
前記4個の油圧シリンダC2,C3,C4,C5の夫々に対応させて、左右クローラ走行装置1L,1Rにおける前記各ベルクランク17a,17bの回動支点部に対応する箇所に、その回動量に基づいて前記各油圧シリンダC2,C3,C4,C5の操作量(即ち、伸縮作動したストローク量)を検出するポテンショメータ形のストロ−クセンサ18,19,20,21が設けられている。
又、重力の作用によって、走行機体Vの水平基準面に対する左右傾斜角を検出する左右傾斜角検出手段としての重力式の左右傾斜角センサ23と、重力の作用によって、走行機体Vの水平基準面に対する前後傾斜角を検出する重力式の前後傾斜角検出手段としての重力式の前後傾斜角センサ24とが、走行機体Vに設けられ、この左右傾斜角センサ23及び前後傾斜角センサ24は、同一の構成になるものであり、以下、図6及び図7に基づいて説明する。
走行機体Vに固定された角型の容器41の内部に、シリコンオイル等の所定粘度の液体42が入れられるとともに、同一形状の金属板を同一間隔で平行に立設した検出電極43が傾斜角検出方向(図6において左右方向)に間隔をあけて一対配置されている。そして、走行機体Vが傾斜していない状態では上記液体42が重力により初期姿勢(液面水平状態)に復帰しているときに、上記一対の検出電極43が同一漬浸状態(図6の状態)になり、走行機体Vが傾斜すると、上記一対の検出電極43の漬浸状態が異なり(図7(イ)の状態)、その各検出電極43の静電容量を計測してその計測値の差(走行機体Vが傾斜していない状態ではゼロである)を傾斜角情報に変換する変換回路部44が備えられている。尚、図7(ロ)は、図の左方向(例えば機体前方)に加速度が生じたときに、上記液体42の後部側液面が前部側よりも高くなって後傾状態を誤検出する状態を示す。
【0031】
次に、動力伝達系を図8に示す。走行機体Vに搭載されたエンジンEから出力された動力は、脱穀クラッチ45を介して脱穀装置3に伝達されるとともに、走行クラッチ46及び無段変速装置47を介して左右のクローラ走行装置1L,1Rのミッション部48に伝達され、ミッション部48に伝達された動力は、クローラ走行装置1L,1Rに伝達されるとともに、刈取クラッチ49を介して刈取部10に伝達される。図中、50は、ミッション部48への入力回転数に基づいて車速を検出する車速センサである。上記無段変速装置47は、前記搭乗運転部2に設けた変速レバー51によって変速操作され、この変速レバー51が中立位置に操作されているか否かを検出する中立スイッチ52(図9参照)が設けられている。
【0032】
図9に示すように、マイクロコンピュータ利用の制御装置22が設けられ、この制御装置22に、前記各ストロークセンサ18〜21、刈高さセンサ9、左右傾斜角センサ23、前後傾斜角センサ24、車速センサ50、中立スイッチ52、及び株元センサ53の各検出情報が入力されている。
又、搭乗運転部2の操作パネルには、姿勢変更スイッチユニットSUと、前上げスイッチ40a及び後上げスイッチ40bが設けられ、それらの各操作情報も制御装置22に入力されている。
【0033】
さらに、搭乗運転部2の操作パネルには、走行機体Vに対する刈取部10の地面に対する高さ即ち刈取高さを設定するボリューム式の刈高さ設定器39、刈取部10の上昇指令及び下降指令を指令する刈取昇降レバー28の操作に基づいて、刈取部上昇を指令する上昇スイッチSW1、刈取部下降を指令する下降スイッチSW2等が備えられ、これらの情報も前記制御装置22に入力されている。
【0034】
図10に示すように、上記姿勢変更スイッチユニットSUには、走行機体Vの水平基準面に対する左右傾斜角を設定する左右傾斜角設定器25、水平制御(後述のローリング制御)を入り切りする水平自動スイッチ26、水平制御の入り状態を示す水平ランプ26a、前後制御(後述のピッチング制御)を入り切りする前後自動スイッチ27、前後制御の入り状態を示す前後ランプ27a、湿田制御モードに切り換えるための湿田スイッチ35、及び湿田制御モードであることを示す湿田ランプ35aが設けられ、さらに、十字レバー式の操作具36にて作動する、右上げスイッチ37a、左上げスイッチ37b、機体上げスイッチ38a及び機体下げスイッチ38bが設けられている。
【0035】
上記十字レバー式の操作具36の操作について説明すると、操作具36を左側に倒したときに、右上げスイッチ37aがオン作動して右上げ操作(左傾斜操作)が指令され、操作具36を右側に倒したときに、左上げスイッチ37bがオン作動して左上げ操作(右傾斜操作)が指令される。又、操作具36を後方側に倒したときに、機体上げスイッチ38aがオン作動して機体上げ操作が指令され、操作具36を前方側に倒したときに、機体下げスイッチ38bがオン作動して機体下げ操作が指令される。
【0036】
又、上記左右傾斜角設定器25には、水平スイッチ25a、左傾斜スイッチ25b及び右傾斜スイッチ25cが備えられている。つまり、水平スイッチ25aを押すと、設定左右傾斜角として水平状態に対応する傾斜角が設定され、左傾斜スイッチ25bを押すと、現在設定されている設定左右傾斜角が設定角度づつ左傾斜方向に修正され、右傾斜スイッチ25cを押すと、現在設定されている設定左右傾斜角が設定角度づつ右傾斜方向に修正される。そして、左右傾斜角設定器25にて設定されている左右傾斜角については、搭乗運転部2の前方側に設けた表示装置(図示しない)に、図11に示すように、1〜7の7段階(角度0の段階4が水平状態を表わし、プラスの角度が右傾斜方向、マイナスの角度が左傾斜方向を夫々表わす)のいずれであるかが表示される。尚、前後傾斜角については、傾斜角0(水平状態)が設定前後傾斜角として予め設定されている。
【0037】
一方、制御装置22からは、前記刈取シリンダCY及び前記4個の機体姿勢変更用の油圧シリンダC2〜C5を油圧制御するための油圧制御用の電磁弁29〜33に対する駆動信号が夫々出力されている。
尚、前記制御装置22は、刈取作業中において、刈高さセンサ9の検出値が刈高さ設定器39にて設定された設定刈高さに維持されるように刈取シリンダCYを作動させる刈高さ制御を実行する。
【0038】
上記制御装置22を利用して、前記前後傾斜角センサ24の検出情報に基づいて、走行機体Vの水平基準面に対する前後傾斜角が設定傾斜角に維持されるように、前記姿勢変更操作手段100の作動を制御する前後姿勢制御(以下、ピッチング制御という)、及び、前記左右傾斜角センサ23の検出情報に基づいて、走行機体Vの水平基準面に対する左右傾斜角が設定傾斜角に維持されるように、前記姿勢変更操作手段100の作動を制御する左右姿勢制御(以下、ローリング制御という)を実行する制御手段200が構成されている。
【0039】
そして、上記制御手段200が、上記ピッチング制御において、前記4個の油圧シリンダC2〜C5のうち、左側前部及び右側前部に位置する2個の油圧シリンダ(左前シリンダC2と右前シリンダC4)と、左側後部及び右側後部に位置する2個の油圧シリンダ(左後シリンダC3と右後シリンダC5)のいずれか一方の2個の油圧シリンダC2〜C5を駆動停止させた状態で、他方の2個の油圧シリンダC2〜C5を駆動操作するように構成され、且つ、上記ローリング制御において、前記4個の油圧シリンダC2〜C5のうち、左側前部及び左側後部に位置する2個の油圧シリンダ(左前シリンダC2と左後シリンダC3)と、右側前部及び右側後部に位置する2個の油圧シリンダ(右前シリンダC4と右後シリンダC5)のいずれか一方の2個の油圧シリンダC2〜C5を駆動停止させた状態で、他方の2個の油圧シリンダC2〜C5を駆動操作するように構成されている。
【0040】
尚、上記ローリング制御及びピッチング制御を実行する場合に、制御手段200は、前記4個の油圧シリンダC2〜C5のうちで駆動停止させた2個の油圧シリンダC2〜C5夫々の前記走行装置1L,1Rの接地部に対する各高さ位置を含む基準平面KHを設定して、他の2個の油圧シリンダC2〜C5を前記基準平面KHからの各操作量(伸縮作動したストローク量)が同じになるように駆動操作することにより、4個の油圧シリンダC2〜C5の前記走行装置1L,1Rの接地部に対する各高さ位置にて平面を形成する状態を維持させる平面維持姿勢変更作動を実行するように構成されている。
【0041】
上記基準平面KHの設定について、機体前部に位置する左前シリンダC2と右前シリンダC4を駆動停止させた状態で、機体後部に位置する左後シリンダC3と右後シリンダC5を駆動操作するピッチング操作の場合を例に説明する。
図12に示すように、上記4個の油圧シリンダC2〜C5の各高さ位置により斜線で示す平面が形成され、その平面における左側前部及び右側前部の各高さ位置を夫々a1,c1で示している。尚、上記4個の油圧シリンダC2〜C5による左側前部、左側後部、右側前部、及び、右側後部での高さ変更操作範囲(各油圧シリンダC2〜C5の駆動操作可能範囲に対応する)の下限位置を夫々、a0,b0,c0,d0で示し、上限位置を夫々、a2,b2,c2,d2で示している。
そして、この場合、左側前部の下限位置a0と左側後部の下限位置b0を結ぶ直線に平行に、左側前部の高さ位置a1から左側後部に向けて直線a1−b1を引き、又、右側前部の下限位置c0と右側後部の下限位置d0を結ぶ直線に平行に、右側前部の高さ位置c1から右側後部に向けて直線c1−d1を引き、この直線a1−b1と直線c1−d1とを含む平面a1−b1−c1−d1によって基準平面KHが設定されている。
【0042】
上記平面維持姿勢変更作動を実行する場合に、前記制御装置22は、前記各ストロークセンサ18〜21の検出情報に基づいて、前記駆動操作する2個の油圧シリンダC2〜C5の単位時間当たりの各操作量の変化を求めて、その2個の油圧シリンダC2〜C5のうちで前記単位時間当たりの操作量の変化が大きい変化速度大側の油圧シリンダC2〜C5における操作量が、前記単位時間当たりの操作量の変化が小さい変化速度小側の油圧シリンダC2〜C5における操作量よりも設定値以上大となるに伴って、前記変化速度大側の油圧シリンダC2〜C5における操作量が前記変化速度小側の油圧シリンダC2〜C5における操作量よりも設定値小となるまで、前記変化速度大側の油圧シリンダC2〜C5の駆動操作を停止させ、且つ、前記変化速度大側の油圧シリンダC2〜C5における操作量が前記変化速度小側の油圧シリンダC2〜C5における操作量よりも設定値以上小となるに伴って、前記変化速度大側の油圧シリンダC2〜C5の駆動操作を開始させることにより、前記駆動操作する2個の油圧シリンダC2〜C5の前記基準平面KHからの各操作量を同じにするように構成されている。
【0043】
即ち、駆動操作する2個の油圧シリンダC2〜C5による操作量(シリンダ伸縮量)の変化速度に差がある場合には、速度が遅い方のシリンダを連続的に駆動させながら、速度が速い方のシリンダの駆動をオンオフすることにより、上記駆動操作する2個の油圧シリンダC2〜C5間の操作量の差を設定値内に収めて、前記基準平面KHからの各操作量が同じになるように制御する。
この場合に、先ず、前記基準平面KHからのシリンダの操作量である伸縮量Wを、下式のように、現在のシリンダ位置と基準平面KHに対応する基準位置との差を、各油圧シリンダC2〜C5の駆動操作可能範囲、即ち上限位置から下限位置までの全ストロークSTで割ったときの割合(パーセント)で定義し、上記設定値としては、上記全ストロークSTの3パーセントに設定している。つまり、駆動操作する2個の油圧シリンダC2〜C5間の伸縮量Wの差は、最大でも各油圧シリンダC2〜C5の駆動操作可能な全ストロークSTの3パーセント以内に収められる。尚、上記シリンダ伸縮量Wがプラスのときは、現在のシリンダ位置が前記基準平面KHよりも上側に位置していることを示し、マイナスのときは、現在のシリンダ位置が前記基準平面KHよりも下側に位置していることを示す。
【0044】
【数1】
シリンダ伸縮量W=〔(シリンダ位置−基準位置)/ST〕×100
【0045】
次に、前記ローリング制御、及びピッチング制御による姿勢変更操作について具体的に説明する。
即ち、ローリング制御の場合は、走行面が左下がり状態であれば、前記下限基準姿勢(図2)にある状態から、左側のクローラ走行装置1Lにおいて、左前シリンダC2を短縮作動させ、且つ、左後シリンダC3を伸長作動させると、走行機体Vが接地部に対して左上り傾斜姿勢(右傾斜姿勢)に変化して、走行機体Vの水平基準面に対する左右傾斜角を水平状態にすることができる。又、走行面が右下がり状態であれば、前記下限基準姿勢にある状態から、右側のクローラ走行装置1Rにおいて、右前シリンダC4を短縮作動させ、且つ、右後シリンダC5を伸長作動させると、走行機体Vが接地部に対して右上り傾斜姿勢(左傾斜姿勢)に変化して、走行機体Vの水平基準面に対する左右傾斜角を水平状態にすることができる。
【0046】
ピッチング制御の場合は、走行面が前下がり状態であれば、前記下限基準姿勢(図2)にある状態から、左後シリンダC3及び右後シリンダC5を、夫々、そのままの状態に維持しながら、左前シリンダC2及び右前シリンダC4を同時に短縮作動させると、走行機体Vの前部側が左右のクローラ走行装置1L,1Rの夫々の接地部に対して上昇して後傾姿勢に姿勢変化して、走行機体Vの水平基準面に対する前後傾斜角を水平状態にすることができる。又、走行面が前上がり状態であれば、前記下限基準姿勢にある状態から、左前シリンダC2及び右前シリンダC4を、夫々、そのままの状態に維持しながら、左後シリンダC3及び右後シリンダC5を同時に伸長作動させると、走行機体Vの後部側が左右のクローラ走行装置1L,1Rの夫々の接地部に対して上昇して前傾姿勢に姿勢変化して、走行機体Vの水平基準面に対する前後傾斜角を水平状態にすることができる。
【0047】
さらに、前記制御手段200が、前記ピッチング制御として、通常制御モードと、湿田制御モードとに切り換え自在に構成され、且つ、その通常制御モード及び湿田制御モードにおける制御感度として、湿田制御モードにおける制御感度を通常制御モードにおける制御感度よりも敏感な制御感度に設定するように構成されている。つまり、前記湿田ランプ35aが消灯している状態(通常制御モードの状態)で湿田スイッチ35を押すと、湿田制御モードに切り換えられ、前記湿田ランプ35aが点灯している状態(湿田制御モードの状態)で湿田スイッチ35を押すと、通常制御モードに切り換えられる。
【0048】
具体的には、前記制御手段200が、前記ピッチング制御において、前記前後傾斜角センサ24の検出信号と前記設定傾斜角(設定前後傾斜角)に対応する設定信号値との偏差が姿勢制御用の不感帯を外れていると、その偏差が前記不感帯内に入るように前記姿勢変更操作手段100を作動させるように構成され、且つ、前記通常制御モードでは、前記姿勢制御用の不感帯として通常制御モード用の不感帯F1を用い、前記湿田制御モードでは、前記姿勢制御用の不感帯として上記通常制御モード用の不感帯F1の幅よりも狭い幅の湿田制御モード用の不感帯F2を用いることにより、湿田制御モードにおける制御感度を通常制御モードにおける制御感度よりも敏感な制御感度に設定するように構成されている。
【0049】
次に、図13〜図14に基づいて、上記通常制御モード用の不感帯F1と湿田制御モード用の不感帯F2の設定について説明する。上記設定信号値がksで示され、その設定信号値ksを中央にして、検出信号の増加側及び減少側の所定範囲を通常制御モード用の不感帯F1として設定し、その不感帯F1の内側に、その不感帯F1の幅よりも狭い幅で湿田制御モード用の不感帯F2を設定している。尚、以下説明する前後傾斜角センサ24の検出信号はノイズ成分が除去されたフィルタ処理後の信号であり、前後傾斜角センサ24の検出信号が増加するときに、走行機体Vが前上り姿勢になるとする。又、上記設定信号値ksは、水平状態に対応する値である。上記フィルタ処理としては、前後傾斜角センサ24の検出信号を所定時間間隔でサンプリングし、その設定個数の前後傾斜角データを平均値処理している。
【0050】
通常制御モードでは、図13に示すように、前後傾斜角センサ24の検出信号と上記設定信号値ksとの偏差が通常制御モード用の不感帯F1を外れると、その偏差が通常制御モード用の不感帯F1内に入るように、駆動操作される2個の各シリンダC2〜C5が作動される。そして、このシリンダの作動によって、上記偏差が通常制御モード用の不感帯F1内に入ると、上記シリンダの作動を停止させる。湿田制御モードでは、図14に示すように、前後傾斜角センサ24の検出信号と前記設定信号値ksとの偏差が湿田制御モード用の不感帯F2の外れると、その偏差が湿田制御モード用の不感帯F2内に入るように、駆動操作される2個の各シリンダC2〜C5が作動される。そして、このシリンダの作動によって、上記偏差が湿田制御モード用の不感帯F2内に入ると、上記シリンダの作動を停止させる。
【0051】
尚、図示はしないが、ローリング制御においても、左右傾斜角センサ23の検出信号と設定左右傾斜角に対応する設定信号値との偏差がローリング用の不感帯を外れると、その偏差が通常制御モード用の不感帯F1内に入るように、駆動操作される2個の各シリンダC2〜C5が作動される。
【0052】
図9に示すように、前記制御装置22及び前記車速センサ50を利用して、前記走行機体Vの加速度を検出する加速度検出手段400が構成されている。具体的には、制御装置22が車速センサ50の検出値を所定時間間隔でサンプリングし、この各サンプリングデータの差分によって加速度を求めている。
【0053】
そして、前記制御手段200が、前記通常制御モードでは、前記加速度検出手段400にて検出される加速度が通常制御モード用の姿勢制御停止判別値を超えると、前記ピッチング制御の実行を停止させ、且つ、前記湿田制御モードでは、前記加速度検出手段400にて検出される加速度の値に拘わらず、前記ピッチング制御を実行することにより、前記湿田制御モードにおける制御感度を前記通常制御モードにおける制御感度よりも敏感な制御感度に設定するように構成されている。
【0054】
クローラ走行装置1L,1Rが走行停止状態から前進走行を開始する場合を例にして説明すると、図15に示すように、走行停止状態では、車速及び加速度は共にゼロであり、走行を開始するに伴って車速が増加するとともに、加速度が増加する。走行中においても、車速が増速又は減速されると、それに応じて加速度が生じる。尚、加速度のグラフの縦軸で、プラス(+)は前進方向への加速度を表わし、マイナス(−)は後進方向への加速度を表わす。
【0055】
そして、通常制御モードでは、前記制御手段200は、前記加速度検出手段400にて検出される走行機体Vの加速度が通常制御モード用の姿勢制御停止判別値を超えるに伴って、前記ピッチング制御の実行を設定停止時間Tsの間停止させるように構成されている。上記通常制御モード用の姿勢制御停止判別値は、前進方向への加速度ではk1に、後進方向への加速度では−k1に設定されている(ただし、k1>0とする)。
【0056】
なお、前記制御手段200は、前記加速度検出手段400にて検出される走行機体Vの加速度が大であるほど、前記設定停止時間Tsを長時間側に変更させるように構成されている。具体的には、走行機体Vの加速度が通常制御モード用の姿勢制御停止判別値k1を超えて増加するときのピーク値kpを検出して、その加速度のピーク値kpと前記判別値k1との差に応じて、図16に示すように、設定停止時間Tsを長くしている。尚、設定停止時間Tsの最小値は、走行機体Vの加速度が上記通常制御モード用の姿勢制御停止判別値kよりも小さくなった直後に、前記ピッチング制御の実行が開始されないように設定されている。
【0057】
さらに、前記制御手段200は、前記設定停止時間Tsを前記前後傾斜角センサ24の検出応答特性に基づいて設定するように構成されている。具体的には、図17に示すように、前後傾斜角センサ24の時定数が大きいほど、前記設定停止時間Tsを長い時間に設定している。尚、この場合における前後傾斜角センサ24の時定数は、図18に示すように、走行機体Vの前後傾斜角が例えば0度(水平状態)から急に角度θ変化したときに、前後傾斜角センサ24の出力信号がその角度θに対応する検出値θsに達するときの立上がり時間tsを表わすものである。
【0058】
また、前記制御手段200は、前記作業状態検出手段300(株元センサ53)にて非刈取作業状態であることが検出されている場合に、前記通常制御モードでは、前記ローリング制御を前記ピッチング制御よりも優先させて実行し、前記湿田制御モードでは、前記ピッチング制御を前記ローリング制御よりも優先させて実行するように構成されている。
【0059】
具体例を説明すると、図19に示すように、矩形状の区画の圃場Mに対して、その各辺M1〜M4に沿う作業行程をいわゆる周り刈り形態で刈取走行する場合に、刈取走行中は、刈取高さを揃えるために前記ローリング制御を前記ピッチング制御よりも優先させて実行している。機体Vが1つの作業行程の終端部に達すると、機体Vの向きを90度変更しながら前進走行と後進走行とを切り換えて、次の作業行程の始端部に移動するが、上記作業行程の終端部に達したときに、前記株元センサ53がオン状態からオフ状態に変化して、非刈取作業状態になったことが検出され、次の作業行程の始端部から刈取走行を開始したときに、株元センサ53がオフ状態からオン状態に変化して、刈取作業状態になったことが検出される。そして、通常制御モードに切り換えられていれば、上記作業行程の終端部から次の作業行程の始端部までの間も、ローリング制御をピッチング制御よりも優先させて実行し、湿田制御モードに切り換えられていれば、上記作業行程の終端部から次の作業行程の始端部までの間は、ピッチング制御をローリング制御よりも優先させて実行する。
【0060】
次に、制御装置22による姿勢変更動作について、図20〜図26のフローチャートに基づいて説明する。
先ず、手動操作指令(左右傾斜、前後傾斜、上下昇降)がされた否かを判断し、手動操作指令がされた場合には、手動姿勢変更処理を実行する。
上記手動操作指令がされていない場合は、水平自動スイッチ26の状態を調べて、水平自動スイッチ26がオンしていないときは、ローリング制御及びピッチング制御のいずれも実行しない。水平自動スイッチ26がオンしているときに、前後自動スイッチ27がオンしていなければ、ローリング制御だけを実行する。水平自動スイッチ26と前後自動スイッチ27が共にオンしているときは、通常制御モードと湿田制御モードのいずれに切り換えられているかを判断する。
【0061】
そして、通常制御モードのときは、ピッチング制御停止フラグがオンしているかどうかを調べ、ピッチング制御停止フラグがオンしていないときは、前記走行機体Vの加速度が前記通常制御モード用の姿勢制御停止判別値k1を超えたか否かを判断し、走行機体Vの加速度が前記通常制御モード用の姿勢制御停止判別値k1を超えていなければ、ローリング制御を優先して先に実行し、その後、ピッチング制御を実行する。
上記ピッチング制御停止フラグがオンしているときは、前記走行機体Vの加速度が前記通常制御モード用の姿勢制御停止判別値k1を超えた後、前記設定停止時間Tsが経過しているか否かを調べて、前記設定停止時間Tsが経過していなければ、ローリング制御だけを実行し、前記設定停止時間Tsが経過していれば、前記ピッチング制御停止フラグをオフする。
【0062】
湿田制御モードのときは、刈取作業状態が検出されているかどうかを調べ、刈取作業状態であれば、ローリング制御を優先して先に実行し、その後、ピッチング制御を実行する。一方、非刈取作業状態であれば、ピッチング制御を優先して先に実行し、その後、ローリング制御を実行する。
【0063】
手動姿勢変更処理(図22)では、左上げスイッチ37bにて左上げが指令されていれば、右傾斜処理を実行する。尚、右傾斜処理では、右前シリンダC4及び右後シリンダC5のいずれかが下限位置に達するまで、後述のストローク調整処理を実行しながら、右前シリンダC4を伸長作動させるとともに右後シリンダC5を短縮作動させ、右前シリンダC4及び右後シリンダC5のいずれかが下限位置に操作されれば、左前シリンダC2及び左後シリンダC3のいずれかが上限位置に達するまで、後述のストローク調整処理を実行しながら、左前シリンダC2を短縮作動させるとともに左後シリンダC3を伸長作動させる。
【0064】
又、右上げスイッチ37aにて右上げが指令されていれば、左傾斜処理を実行する。尚、左傾斜処理では、左前シリンダC2及び左後シリンダC3のいずれかが下限位置に達するまで、後述のストローク調整処理を実行しながら、左前シリンダC2を伸長作動させるとともに左後シリンダC3を短縮作動させ、左前シリンダC2及び左後シリンダC3のいずれかが下限位置に操作されれば、右前シリンダC4及び右後シリンダC5のいずれかが上限位置に達するまで、後述のストローク調整処理を実行しながら、右前シリンダC4を短縮作動させるとともに右後シリンダC5を伸長作動させる。
【0065】
又、後上げスイッチ40bにて後上げが指令されていれば、前傾斜処理を実行する。尚、前傾斜処理では、左前シリンダC2及び右前シリンダC4のいずれかが下限位置に達するまで、後述のストローク調整処理を実行しながら、左前シリンダC2及び右前シリンダC4を伸長作動させ、左前シリンダC2及び右前シリンダC4のいずれかが下限位置に操作されれば、左後シリンダC3及び右後シリンダC5のいずれかが上限位置に達するまで、後述のストローク調整処理を実行しながら、左後シリンダC3及び右後シリンダC5を伸長作動させる。
【0066】
又、前上げスイッチ40aにて前上げが指令されていれば、後傾斜処理を実行する。尚、後傾斜処理では、左後シリンダC3及び右後シリンダC5のいずれかが下限位置に達するまで、後述のストローク調整処理を実行しながら、左後シリンダC3及び右後シリンダC5を短縮作動させ、左後シリンダC3及び右後シリンダC5のいずれかが下限位置に操作されれば、左前シリンダC2及び右前シリンダC4のいずれかが上限位置に達するまで、後述するようなストローク調整処理を実行しながら、左前シリンダC2及び右前シリンダC4を短縮作動させる。
【0067】
又、機体上げスイッチ38aにて機体上げが指令されていれば、機体上昇処理を実行する。尚、機体上昇処理では、左前シリンダC2が上限位置になるまで短縮作動させ、左後シリンダC3が上限位置になるまで伸長作動させ、右前シリンダC4が上限位置になるまで短縮作動させ、右後シリンダC5が上限位置になるまで伸長作動させる。
【0068】
又、機体下げスイッチ38bにて機体下げが指令されていれば、機体下降処理を実行する。尚、機体下降処理では、左前シリンダC2が下限位置になるまで伸長作動させ、左後シリンダC3が下限位置になるまで短縮作動させ、右前シリンダC4が下限位置になるまで伸長作動させ、右後シリンダC5が下限位置になるまで短縮作動させる。
【0069】
ローリング制御(図23)では、左右傾斜角センサ23の検出値と設定信号値との偏差がローリング用の不感帯を走行機体Vの左傾斜側に外れていれば、機体右側の前後に位置する各ストロークセンサ20、21の検出情報に基づいて、右前シリンダC4及び右後シリンダC5のいずれかが下限位置に操作されているか否かを判断し、両シリンダC4,C5がいずれも下限位置に操作されていなければ、その両シリンダC4,C5のいずれかが下限位置に達するまで、後述のストローク調整処理を実行しながら、右前シリンダC4を伸長作動させるとともに右後シリンダC5を短縮作動させる。右前シリンダC4及び右後シリンダC5のいずれかが下限位置に操作されれば、左前シリンダC2及び左後シリンダC3のいずれかが上限位置に達するまで、後述のストローク調整処理を実行しながら、左前シリンダC2を短縮作動させるとともに左後シリンダC3を伸長作動させる。
【0070】
上記左右傾斜角センサ23の検出値と設定信号値との偏差がローリング用の不感帯を走行機体Vの右傾斜側に外れていれば、機体左側の前後に位置する各ストロークセンサ18、19の検出情報に基づいて、左前シリンダC2及び左後シリンダC3のいずれかが下限位置に操作されているか否かを判断し、両シリンダC2,C3がいずれも下限位置に操作されていなければ、その両シリンダC2,C3のいずれかが下限位置に達するまで、後述のストローク調整処理を実行しながら、左前シリンダC2を伸長作動させるとともに左後シリンダC3を短縮作動させる。左前シリンダC2及び左後シリンダC3のいずれかが下限位置に操作されれば、右前シリンダC4及び右後シリンダC5のいずれかが上限位置に達するまで、後述のストローク調整処理を実行しながら、右前シリンダC4を短縮作動させるとともに右後シリンダC5を伸長作動させる。
このようにして、走行機体Vの高さを極力低くするようにしながら、走行機体Vの左右傾斜角と左右傾斜角設定器25にて設定された設定左右傾斜角との角度ずれが不感帯F内に収まるようにローリング制御を実行するのである。
【0071】
ピッチング制御(図24)では、ピッチングの不感帯として、通常制御モードに切り換えられていれば前記通常制御モード用の不感帯F1を用い、湿田制御モードに切り換えられていれば前記湿田制御モード用の不感帯F2を用いて、以下の処理を実行する。
前後傾斜角センサ24の検出値と設定信号値ksとの偏差がピッチングの不感帯を走行機体Vの前傾斜側に外れていれば、機体後部に位置する左右のストロークセンサ19、21の検出情報に基づいて、左後シリンダC3及び右後シリンダC5のいずれかが下限位置に操作されているか否かを判断し、両シリンダC3,C5がいずれも下限位置に操作されていなければ、その両シリンダC3,C5のいずれかが下限位置に達するまで、後述のストローク調整処理を実行しながら、左後シリンダC3及び右後シリンダC5を短縮作動させる。左後シリンダC3及び右後シリンダC5のいずれかが下限位置に操作されれば、左前シリンダC2及び右前シリンダC4のいずれかが上限位置に達するまで、後述のストローク調整処理を実行しながら、左前シリンダC2及び右前シリンダC4を短縮作動させる。
【0072】
前後傾斜角センサ24の検出値と設定信号値ksとの偏差がピッチングの不感帯を走行機体Vの後傾斜側に外れていれば、機体前部に位置する左右のストロークセンサ18、20の検出情報に基づいて、左前シリンダC2及び右前シリンダC4のいずれかが下限位置に操作されているか否かを判断し、両シリンダC2,C4がいずれも下限位置に操作されていなければ、その両シリンダC2,C4のいずれかが下限位置に達するまで、後述のストローク調整処理を実行しながら、左前シリンダC2及び右前シリンダC4を伸長作動させる。左前シリンダC2及び右前シリンダC4のいずれかが下限位置に操作されれば、左後シリンダC3及び右後シリンダC5のいずれかが上限位置に達するまで、後述するようなストローク調整処理を実行しながら、左後シリンダC3及び右後シリンダC5を伸長作動させる。
このようにして、走行機体Vの高さを極力低くするようにしながら、走行機体Vの前後傾斜角と水平状態に対応する前後傾斜角との角度ずれが不感帯内に収まるようにピッチング作動処理を実行するのである。
【0073】
次に、上記したように2個のシリンダを駆動操作するときに行われる前記ストローク調整処理について説明する。
図25に示すように、駆動操作する2個のシリンダをC(A),C(B)とし、両方のシリンダの一方が作動停止中でなければ、各ストロークセンサ18〜21の検出情報に基づいて、前記数1に示す式により、各シリンダごとの伸縮量W1,W2と、各シリンダによる単位時間あたりの伸縮量、即ち、各シリンダの伸縮量の変化速度V1,V2を求める。上記両方のシリンダの一方が作動停止中のときは、各シリンダごとの伸縮量W1,W2だけを求める。
【0074】
そして、一方のシリンダC(A)の変化速度V1が他方のシリンダC(B)の変化速度V2よりも大であることが検出されたときは、その速度小側のシリンダC(B)を連続作動しながら、速度大側のシリンダC(A)の作動をオンオフする。つまり、速度大側のシリンダC(A)の伸縮量W1と、速度小側のシリンダC(B)の伸縮量W2とを比較して、速度大側のシリンダC(A)の伸縮量W1が速度小側のシリンダC(B)の伸縮量W2よりも大きく、しかも、その差が全ストロークの3パーセントよりも大であれば、速度大側のシリンダC(A)の作動を停止させ、その差が3パーセントよりも小であれば、速度大側のシリンダC(A)の作動は停止させない。一方、速度大側のシリンダC(A)の伸縮量W1が速度小側のシリンダC(B)の伸縮量W2よりも小さく、しかも、その差が全ストロークの3パーセントよりも大であれば、停止させている速度大側のシリンダC(A)の作動を開始させる。
【0075】
逆に、シリンダC(A)の伸縮量W1の変化速度V1がシリンダC(B)の伸縮量W2の変化速度V2よりも小であることが検出されたときは、上記処理において、速度小側のシリンダをシリンダC(A)にして、この速度小側のシリンダC(A)を連続作動させながら、速度大側のシリンダC(B)をオンオフ作動させるようにして、同様な処理を行う。
【0076】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、前記湿田制御モードでの前後姿勢制御(ピッチング制御)の内容が第1実施形態と異なる点を除いて、第1実施形態と同様に構成されている。
即ち、第2実施形態では、前記制御手段200が、前記通常制御モードでは、前記加速度検出手段400にて検出される加速度が通常制御モード用の姿勢制御停止判別値k1を超えると、前記前後姿勢制御の実行を停止させ、且つ、前記湿田制御モードでは、前記加速度検出手段400にて検出される加速度が前記通常制御モード用の姿勢制御停止判別値k1よりも大きい値の湿田制御モード用の姿勢制御停止判別値k2を超えると、前記前後姿勢制御の実行を停止させることにより、前記湿田制御モードにおける制御感度を前記通常制御モードにおける制御感度よりも敏感な制御感度に設定するように構成されている。
【0077】
具体的には、通常制御モードの場合の図15に対応させて、図26に示すように、車速が増加するとともに加速度が増加して、加速度検出手段400にて検出される走行機体Vの加速度が湿田制御モード用の姿勢制御停止判別値k2を超えるに伴って、前記ピッチング制御の実行を設定停止時間Ts1の間停止させるように構成されている。尚、説明は省略するが、この湿田制御モード用の姿勢制御停止判別値k2についても、通常制御モード用の姿勢制御停止判別値k1と同様に、車速に応じて変更され、又、前後傾斜角センサ24の検出応答特性(時定数)に応じて設定される。
【0078】
この第2実施形態における湿田制御モードでのピッチング制御の処理フローを図27に示す。尚、この図27の処理フローは、図20中の湿田制御モードでのピッチング制御の処理フロー部分に置き換えて実行される。
即ち、先ず、ピッチング制御停止フラグがオンしているかどうかを調べ、ピッチング制御停止フラグがオンしていないときは、走行機体Vの加速度が前記湿田制御モード用の姿勢制御停止判別値k2を超えたか否かを判断し、走行機体Vの加速度が前記湿田制御モード用の姿勢制御停止判別値k2を超えていなければ、さらに、刈取作業状態が検出されているかどうかを調べ、刈取作業状態であれば、ローリング制御を優先して先に実行し、その後、ピッチング制御を実行する。一方、非刈取作業状態であれば、ピッチング制御を優先して先に実行し、その後、ローリング制御を実行する。
上記ピッチング制御停止フラグがオンしているときは、前記走行機体Vの加速度が前記湿田制御モード用の姿勢制御停止判別値k2を超えた後、前記設定停止時間Ts1が経過しているか否かを調べて、前記設定停止時間Ts1が経過していなければ、ローリング制御だけを実行し、前記設定停止時間Ts1が経過していれば、前記ピッチング制御停止フラグをオフする。
【0079】
〔別実施形態〕
次に別実施形態を列記する。
【0080】
上記実施形態では、左右傾斜角検出手段23及び前後傾斜角検出手段24を、重力式の傾斜角センサ23,24にて構成したが、これに限るものではなく、例えばレーザージャイロ等の角速度を検出するセンサの検出信号を積分して傾斜角を検出する手段でもよい。
【0081】
上記実施形態では、走行装置を、左右一対のクローラ走行装置1L,1Rで構成したが、これに限るものではなく、例えば、単一の走行装置でもよく、又、クローラ式ではなく車輪式の走行装置でもよい。
【0082】
上記実施形態では、姿勢変更操作手段100を、機体本体Vの前後左右の4箇所に位置した4個の駆動手段C2〜C5にて構成したが、例えば、左右の走行装置を各別に昇降駆動する左右一対の駆動手段(ローリング用油圧シリンダ)と、左右の走行装置を一体的に前後方向に傾斜させる1個の駆動手段(ピッチング用油圧シリンダ)とにて構成してもよい。
又、上記4個の駆動手段C2〜C5を構成する場合も、油圧シリンダ以外に、電動モータとネジ送り機構等からなる他の駆動手段にて構成してもよい。
【0083】
上記実施形態では、作業状態検出手段300を、株元センサ53にて構成し、株元センサ53がオンのときに刈取作業状態であり、株元センサ53がオフのときに非刈取作業状態であるとしたが、これ以外に、例えば作業状態検出手段300を、前記制御装置22と株元センサ53とを利用して構成して、株元センサ53がオフのとき、及びオフからオンに変化した後、設定距離走行するまでの間、非刈取作業状態であると検出するようにしてもよい。
従って、この場合には、湿田制御モードにおいて、コンバインが枕地から走行して圃場の穀稈を刈り始めた後、機体が凹凸のある枕地から離脱するまで、ピッチング制御がローリング制御に優先して実行されることになる。
【0084】
上記実施形態では、刈取収穫機としてコンバインを例示したが、コンバイン以外の刈取収穫機であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】コンバインの前部を示す側面図
【図2】走行装置の昇降操作構成を示す側面図
【図3】走行装置の昇降操作構成を示す側面図
【図4】走行装置の昇降操作構成を示す側面図
【図5】走行装置の昇降操作構成を示す側面図
【図6】傾斜角検出手段の構成を示す斜視図
【図7】傾斜角検出手段の検出動作を示す側面図
【図8】コンバインの動力伝達図
【図9】制御構成を示すブロック図
【図10】姿勢変更操作用のスイッチユニットの正面図
【図11】左右傾斜角の設定値を示す図
【図12】平面維持姿勢変更作動を示す斜視図
【図13】傾斜角検出手段の検出信号と姿勢変更動作を示すタイムチャート
【図14】傾斜角検出手段の検出信号と姿勢変更動作を示すタイムチャート
【図15】加速度検出処理と姿勢制御の停止処理を示すタイムチャート
【図16】姿勢制御の停止時間の変更特性を示すグラフ
【図17】姿勢制御の停止時間の設定を示すグラフ
【図18】傾斜角検出手段の検出応答特性を示すグラフ
【図19】コンバインの刈取走行状態を示す圃場の平面図
【図20】制御作動を示すフローチャート
【図21】制御作動を示すフローチャート
【図22】制御作動を示すフローチャート
【図23】制御作動を示すフローチャート
【図24】制御作動を示すフローチャート
【図25】制御作動を示すフローチャート
【図26】第2実施形態における加速度検出処理と姿勢制御処理を示すタイムチャート
【図27】第2実施形態における制御作動を示すフローチャート
【符号の説明】
1L,1R 走行装置
23 左右傾斜角検出手段
24 前後傾斜角検出手段
24 重力式の傾斜角検出手段
100 姿勢変更操作手段
200 制御手段
300 作業状態検出手段
400 加速度検出手段
C2〜C5 駆動手段
V 機体本体

Claims (4)

  1. 走行装置の接地部に対する機体本体の前後傾斜角を変更操作自在な姿勢変更操作手段と、
    前記機体本体の水平基準面に対する前後傾斜角を検出する前後傾斜角検出手段と、
    前記前後傾斜角検出手段の検出情報に基づいて、前記機体本体の水平基準面に対する前後傾斜角が設定傾斜角に維持されるように、前記姿勢変更操作手段の作動を制御する前後姿勢制御を実行する制御手段とが設けられている刈取収穫機の姿勢制御装置であって、
    前記制御手段が、前記前後姿勢制御として、通常制御モードと、湿田制御モードとに切り換え自在に構成され、且つ、前記通常制御モード及び前記湿田制御モードにおける制御感度として、前記湿田制御モードにおける制御感度を前記通常制御モードにおける制御感度よりも敏感な制御感度に設定するように構成され
    前記前後傾斜角検出手段が、重力の作用によって、前記機体本体の水平基準面に対する前後傾斜角を検出する重力式の傾斜角検出手段にて構成され、
    前記機体本体の加速度を検出する加速度検出手段が設けられ、
    前記制御手段が、前記通常制御モードでは、前記加速度検出手段にて検出される加速度が通常制御モード用の姿勢制御停止判別値を超えると、前記前後姿勢制御の実行を停止させ、且つ、前記湿田制御モードでは、前記加速度検出手段にて検出される加速度が前記通常制御モード用の姿勢制御停止判別値よりも大きい値の湿田制御モード用の姿勢制御停止判別値を超えると、前記前後姿勢制御の実行を停止させか、又は前記加速度検出手段にて検出される加速度の値に拘わらず、前記前後姿勢制御を実行することにより、前記湿田制御モードにおける制御感度を前記通常制御モードにおける制御感度よりも敏感な制御感度に設定するように構成されている刈取収穫機の姿勢制御装置。
  2. 前記制御手段が、前記前後姿勢制御において、前記前後傾斜角検出手段の検出信号と前記設定傾斜角に対応する設定信号値との偏差が姿勢制御用の不感帯を外れていると、前記偏差が前記不感帯内に入るように前記姿勢変更操作手段を作動させるように構成され、且つ、前記通常制御モードでは、前記姿勢制御用の不感帯として通常制御モード用の不感帯を用い、前記湿田制御モードでは、前記姿勢制御用の不感帯として前記通常制御モード用の不感帯の幅よりも狭い幅の湿田制御モード用の不感帯を用いることにより、前記湿田制御モードにおける制御感度を前記通常制御モードにおける制御感度よりも敏感な制御感度に設定するように構成されている請求項1記載の刈取収穫機の姿勢制御装置。
  3. 前記姿勢変更操作手段が、前記走行装置の接地部に対する機体本体の左右傾斜角を変更操作自在に構成され、
    前記機体本体の水平基準面に対する左右傾斜角を検出する左右傾斜角検出手段と、刈取作業状態であるか非刈取作業状態であるかを検出する作業状態検出手段とが設けられ、
    前記制御手段が、前記左右傾斜角検出手段の検出情報に基づいて、前記機体本体の水平基準面に対する左右傾斜角が設定傾斜角に維持されるように、前記姿勢変更操作手段の作動を制御する左右姿勢制御を実行するように構成され、
    且つ、前記作業状態検出手段にて非刈取作業状態であることが検出されている場合に、前記通常制御モードでは、前記左右姿勢制御を前記前後姿勢制御よりも優先させて実行し、前記湿田制御モードでは、前記前後姿勢制御を前記左右姿勢制御よりも優先させて実行するように構成されている請求項1又は2に記載の刈取収穫機の姿勢制御装置。
  4. 前記姿勢変更操作手段が、前記機体本体における左側前部、左側後部、右側前部、及び、右側後部の夫々において前記走行装置の接地部に対する高さを各別に変更調節自在な4個の駆動手段を備えて構成され、
    前記制御手段が、前記前後姿勢制御において、前記4個の駆動手段のうち、左側前部及び右側前部に位置する2個の駆動手段と、左側後部及び右側後部に位置する2個の駆動手段のいずれか一方の2個の駆動手段を駆動停止させた状態で、他方の2個の駆動手段を駆動操作するように構成され、且つ、前記左右姿勢制御において、前記4個の駆動手段のうち、左側前部及び左側後部に位置する2個の駆動手段と、右側前部及び右側後部に位置す る2個の駆動手段のいずれか一方の2個の駆動手段を駆動停止させた状態で、他方の2個の駆動手段を駆動操作するように構成されている請求項3記載の刈取収穫機の姿勢制御装置。
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