JP3715833B2 - 車両走行安全装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は車両走行安全装置に関し、より詳しくは、車両進行方向に存在する物体(障害物)を検知し、接触の可能性を判定して自動ブレーキを作動させている間に物体が検知できなくなった場合に対処するようにしたものに関する。
【0002】
【従来の技術】
近時、先行車などの障害物(物体)との接触回避技術が種々提案され、例えば特開平6−298022号公報において、レーザレーダなどの検知手段を用いて先行車などの障害物との車間距離(相対距離)を検知して警報を発する、あるいは自動ブレーキ装置(制動装置)を作動させる技術が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、レーザレーダで先行車などの障害物を検知して自動ブレーキ装置を作動させているとき、大きなピッチ角が発生して障害物がレーザレーダの検知範囲から外れたり、レーザレーダに故障が生じるなどして、検知していた障害物を見失うことがある。
【0004】
そのような場合、自動ブレーキ動作を急に解除すると、乗員に違和感を与えると共に、障害物が現実に近接しているときは接触の可能性が生じることから、自動ブレーキ動作を継続するのが望ましい。
【0005】
他方、見失うまで検知していた障害物の情報自体が、例えば、検知時間が短くて精度が低いなどの理由で不確かなことも考えられる。さらには、他車が前方を素早く横断して遠ざかった場合など、障害物が真に不在となったため見失うことも予想される。そのような際にも自動ブレーキ動作を継続するのは不要であって、継続すると運転フィーリングを低下させる。
【0006】
いずれにしても、減速度をむやみに変化させたりすると、実際の状況に合わないとき、違和感を与えたり運転フィーリングを低下させると共に、減速度を急激に変化させると、運転操作に悪影響を及ぼす恐れもある。
【0007】
従って、この発明の目的は、上記した不都合を解消することにあり、自動ブレーキを作動させているときに障害物を見失った場合、接触回避効果を達成しつつ違和感を与えることがなく、運転フィーリングを低下させることもないようにした車両走行安全装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、請求項1項にあっては、車両の進行方向に存在する物体を検知する物体検知装置、前記車両を制動する制動装置、前記車両の車速を検出する車速検出手段、前記物体検知装置の検知結果に基づいて前記物体の前記車両からの距離を検出する距離検出手段、前記物体検知装置の検知結果に基づいて前記車両に対する前記物体の相対速度を検出する相対速度検出手段、前記距離検出手段および相対速度検出手段の検出結果に基づいて前記物体との接触の可能性の度合いを判定する接触可能性度合い判定手段、および前記接触可能性度合い判定手段の判定結果に基づいて前記制動装置を自動的に作動させる自動制動手段を備え、前記接触可能性度合い判定手段は、前記自動制動手段の作動中に、前記物体検知手段が前記物体を検知できなくなったとき、前記物体検知手段のそれ以前の検知結果に基づいて前記接触の可能性の度合いを判定する車両走行安全装置において、前記車両のステアリング操作を検出するステアリング操作検出手段、を備えると共に、前記自動制動手段は、その作動中に、前記ステアリング操作検出手段によって前記車両のステアリング操作が検出されたとき、前記検出されたステアリング操作状態に応じて減速度の増加割合を減少させる如く構成した。
【0009】
これによって、自動制動手段の作動中に物体を検知できなくなったときも、接触回避効果を達成しつつ、運転者に違和感を与えることがないと共に、操作に影響を与えることがなく、さらに運転フィーリングを低下させることもない。また、運転者がステアリング操作による障害物回避との干渉を防止できると共に、減速度の増加を必要最少限度に抑制することができる。
【0010】
請求項2項にあっては、前記接触可能性度合い判定手段は、前記自動制動手段の作動中に、前記物体検知手段が前記物体を検知できなくなったとき、前記物体検知手段のそれ以前の検知結果に基づいて前記距離を推定し、前記推定した距離が第1の所定値以下であるとき、接触の可能性の度合いが大きいと判定する如く構成した。これによって、接触の可能性の度合いを的確に判定することができ、接触回避と運転フィーリングの低下防止を一層良く実現することができる。
【0011】
請求項3項にあっては、前記接触可能性度合い判定手段は、前記自動制動手段の作動中に、前記物体検知手段が前記物体を検知できなくなったとき、前記物体検知手段のそれ以前の検知結果に基づいて前記距離を推定し、前記推定した距離が第2の所定値以下であると共に、前記相対速度が第3の所定値以上であるとき、接触の可能性の度合いが大きいと判定する如く構成した。これによって、接触の可能性の度合いを一層的確に判定することができ、減速度指令値を一層適正に求めることができて接触回避と運転フィーリングの低下防止を一層良く実現することができる。
【0012】
請求項4項にあっては、前記自動制動手段は、前記接触可能性度合い判定手段により接触の可能性の度合いが大きいと判定されたときは、前記減速度を徐々に増加させる如く構成した。これによって、前記した作用効果に加えて、運転者に違和感を与えることが一層なく、運転フィーリングの低下を一層良く防止することができる。
【0013】
請求項5項にあっては、前記自動制動手段は、前記ステアリング操作検出手段によって前記車両のステアリング操作が検出されたとき、前記減速度の増加を中止する如く構成した。これによって、前記した作用効果に加えて、運転者のステアリング操作に干渉することがない。
【0014】
請求項6項にあっては、前記接触可能性度合い判定手段は、前記自動制動手段の作動中に、前記物体検知手段が前記物体を検知できなくなったとき、前記物体検知手段のそれ以前の検知結果に基づいて前記距離と相対速度を推定し、前記推定した距離が第4の所定値以あるいは前記相対速度が第5の所定値以下であるとき、接触の可能性の度合いが小さいと判定する如く構成した。これによって、前記した作用効果に加えて、接触の可能性の度合いが小さい場合を一層的確に判定することができ、減速度指令値を一層適正に求めることができて接触回避と運転フィーリングの低下防止を一層良く実現することができる。
【0015】
請求項7項にあっては、さらに、前記車両に対する前記物体の車幅方向の相対位置を検出する相対位置検出手段を備え、前記接触可能性度合い判定手段は、前記自動制動手段の作動中に、前記物体検知手段が前記物体を検知できなくなったとき、前記相対位置検出手段のそれ以前の検出結果に基づいて前記物体の相対位置を推定し、車幅方向に回避できたと判定される場合に接触の可能性の度合いが小さいと判定する如く構成した。これによって、前記した作用効果に加えて、接触の可能性が減少したことを的確に判断することができると共に、不要な減速を防止することができる。
【0016】
請求項8項にあっては、前記自動制動手段は、前記接触可能性度合い判定手段により接触の可能性の度合いが小さいと判定されたときは、前記減速度を徐々に減少させる如く構成した。これによって、前記したと同様の作用効果を得ることができる。
【0017】
請求項9項にあっては、前記自動制動手段は、前記減速度が設定値以下となったとき、前記自動制動装置の作動を中止する如く構成した。これによって前記した作用効果に加えて、自動制動手段の動作を的確に停止することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に即してこの発明の実施の形態を説明する。
【0019】
図1はこの発明に係る車両走行安全装置を全体的に示す概略図である。
【0020】
以下説明すると、車両10(車輪Wなどの構成部品で断片的に示す)の前方のヘッドライト(図示せず)付近に、レーザレーダ12(物体検知装置)が1基、設けられる。レーザレーダ12は、車両10の進行方向に向けて路面と水平にレーザ光(電磁波)を発射し、進行方向に存在する物体(先行車などの障害物)からの反射波(エコー)を受信する。
【0021】
ここで、反射波はレーザ光の吸収度に応じて相違し、先行車のテールランプのリフレクタなどに反射するとき、最も強度が大きい。
【0022】
レーザレーダ12の出力は、マイクロコンピュータからなるレーダ出力処理部14(物体検知装置)に入力される。レーダ出力処理部14は、レーザ光を発射してから反射波(エコー)を受信するまでの時間を測定して物体までの相対距離(離間距離)を測定し、さらに相対距離を微分することで物体の相対速度を測定する。
【0023】
また、反射波の入射方向から、物体の方位を検知し、物体の二次元情報を得る。さらに、レーザレーダ12の受信した反射波の受信強度も、レーダ出力処理部14に入力される。レーダ出力処理部14の出力は、同様にマイクロコンピュータからなる処理ECU16に送られる。
【0024】
車両10の中央位置付近にはヨーレートセンサ18が配置され、車体重心を中心とする鉛直(重力)軸回りの自転運動の速さ(回転角速度)に応じた信号を出力する。さらに、車両10のドライブシャフト(図示せず)の付近には車輪速センサ(車速検出手段)20が設けられ、車両10の走行速度(車速)に応じた信号を出力する。
【0025】
また、車両10のステアリングホイール(図示せず)の付近にはステアリング舵角センサ(ステアリング操作検出手段)21が設けられ、運転者が入力するステアリング操作角に応じた信号を出力する。これらセンサ18,20,21の出力も処理ECU16に送られる。
【0026】
また、車両10のブレーキ機構(制動装置)22において、ブレーキペダル24は負圧ブースタ26を介してマスタシリンダ28に接続される。負圧ブースタ26はダイアフラム(図示せず)で2つの室に仕切られ、機関吸気系から導入される負圧と機関外から導入される大気圧の割合が調節されて運転者の踏み込み力が倍力され、それに応じた油圧(ブレーキオイル圧)がマスタシリンダ28から油路30を介して車輪Wのブレーキ装置(図示せず)に供給され、車両10を制動する。
【0027】
負圧ブースタ26の負圧供給系と大気圧供給系(共に図示せず)には電磁バルブ(空圧電磁バルブ)36が設けられる。電磁バルブ36は駆動回路(図示せず)を介して処理ECU16に接続され、処理ECU16からの指令値(PWMのデューティ比信号)に応じて開閉して大気圧を導入し、大気圧と負圧との割合を調節し、運転者のブレーキ操作とは独立に、ブレーキ機構22を作動させ、車両10を自動的に制動する。
【0028】
また、車両10の運転席(図示せず)の適宜位置にはアラーム、インジケータなどからなる警報装置40が設けられる。警報装置40は処理ECU16に接続され、その指令を受けて警報動作を行う。
【0029】
次いで、この装置の動作、より具体的には前記した処理ECU16の動作を説明する。
【0030】
図2はその動作を示すフロー・チャートであり、図3は同様にその動作を示すブロック図である。
【0031】
図3を先に参照して説明すると、この装置は状態量算出部を備え、状態量算出部は、レーザレーダ12および車輪速センサ20などの検出値に基づき、自車(車両10)に対する障害物(先行車などの物体)の相対距離と相対速度、および自車の速度(走行速度)と加速度(走行加速度)などを算出する。
【0032】
自動ブレーキ判断部は、状態量算出部の算出値に基づき、障害物との接触の可能性の度合いを求め、自動ブレーキ作動の適否を判断する。減速度指令値算出部は、自動ブレーキの判断部の判断結果に基づいて減速度指令値を算出し、それに基づいて電磁バルブ36の指令値を算出する。
【0033】
より具体的には、算出した障害物との相対距離と相対速度、自車の速度(走行速度)、加速度(走行加速度)などから、ステアリング操作で接触を回避できる相対距離とブレーキ操作で接触を回避できる相対距離のしきい値を求める。
【0034】
相対速度が比較的低い領域で、ステアリング操作で接触を回避できる相対距離が、ブレーキの作動によって接触を回避できる相対距離よりも大きい場合の制御を例にとると、算出された相対距離がステアリング操作による接触回避可能相対距離(しきい値)以下で、ブレーキによる接触回避可能相対距離(しきい値)以上であるとき、電磁バルブ36を介してブレーキ機構22を自動的に作動させて車両10を制動(必要に応じて警報装置40を通じて運転者に警報)する。
【0035】
この場合、減速度指令値は、まだブレーキにより回避可能と思われるため、比較的小さい値とする。その後、相対距離がブレーキ操作で接触を回避できる相対距離以下となった場合、より大きな減速度指令値で自動ブレーキを作動させる。
【0036】
この場合、先ず警報装置40を介して警報動作を行い、次いでブレーキ機構22を作動させる。減速度指令値算出部は、自動ブレーキ判断部の判断結果に基づいて減速度指令値を算出し、それに基づいて指令値(デューティ値)を演算し、駆動回路を介して電磁バルブ36を駆動する。
【0037】
また、後述の如く、自動ブレーキが作動しているときに障害物を見失った場合、それ以前の情報に基づいて接触の可能性の度合いを求め、減速度指令値算出部は、それに基づいて減速度(指令値)を補正する。
【0038】
上記を前提として図2フロー・チャートを参照してこの発明に係る装置の動作を説明する。
【0039】
図2フロー・チャートは主として、前記したブレーキ機構22を作動させて自動ブレーキ動作を行っているときに、障害物を見失った場合の処理を示す。尚、図示のプログラムは、例えば100msecごとに実行される。
【0040】
以下説明すると、S10において障害物を見失ったか否か判断し、肯定されるときはS12に進み、見失うまでの情報に基づいて接触の可能性の度合い(以下単に「接触の可能性」という)を判断(判定)する。
【0041】
図4はその作業を示すサブルーチン・フロー・チャートである。この実施の形態においては、将来の相対距離などを推定して接触の可能性を判定するようにした。
【0042】
即ち、自車に対する障害物の相対距離が将来小さくなると推定されるときは、接触の可能性が大きくなると予測される。従って、接触の可能性を予測する基準値として、相対距離基準値(ここでは「Lc1」という。例えば、0m付近)を設定し、将来の相対距離を予測し、それがLc1以下になるときは接触の可能性が大きいと判定するようにした。
【0043】
図4フロー・チャートを参照して説明すると、S100において障害物を見失ったときの自車に対する障害物の将来の相対距離Xおよび現在の相対速度△V1を推定する。
【0044】
これについて説明すると、先ず、検知されていたときの障害物の速度をV0、加速度をa0、自車から障害物までの相対距離をX0、そのとき(検知されていたとき)から現在までの経過時間をtとすると、障害物の現在の相対距離X1および速度V1は、以下のように推定することができる。
X1=X0+(V0・t+1/2・a0・t2 )−インテグラルVdt
V1=V0+a0・t
ここでVは自車速度であり、自車は等減速運動しているとする。
【0045】
これより、障害物の現在の相対速度ΔV1は、以下のように推定することができる。
ΔV1=V−V1
【0046】
次いで、障害物の将来の相対距離Xを推定すると、現在からT時間後のそれは、式1のように表すことができる。
Figure 0003715833
ここで、aは前述のように自車加速度を示す。
【0047】
将来(即ち、T>0)において、Xが基準値Lc1以下となる条件は、下記のいずれかになる。換言すれば、下記の条件のいずれか成立すると、将来、X≦Lc1となると予測することができる。
1)a−a0>0
2)a−a0=0、かつΔV1>0
3)a−a0<0、かつΔV1>0、かつ
X1+1/2ΔV12 /(a−a0)≦Lc1
【0048】
これについて説明を補足する。
【0049】
式1を微分すると、Xの微分値(Xドット)は以下のようになる。
Xドット=−ΔV1−(a−a0)・T=0
書き直すと、
T=ΔV1/−(a−a0)=−ΔV1/(a−a0)
【0050】
T≧0となるので、
T=−ΔV1/(a−a0)≧0
ここで、a−a0<0とすると、ΔV1>0となる。よって、a−a0<0、かつ、ΔV1>0、となる。
【0051】
また、このときのXがLc1以下であるから、
Figure 0003715833
となる。従って、図5に示す如く、前記条件3)が成立するとき、X≦Lc1となる。
【0052】
図4の説明に戻ると、S102に進み、そこで障害物の将来の相対距離XがLc1以下となるか、換言すれば、前記条件1)から3)のいずれかが成立するか否か判断し、肯定されるときはS104に進んで接触の可能性が大きいと判定する。
【0053】
他方、S102で否定されるときはS106に進み、見失う直前の相対距離、相対速度および自車の現在の減速度から接触が回避されたか否か判断し、肯定されるときはS108に進んで接触の可能性が小さいと判定すると共に、否定されるときはS108の処理をスキップする。
【0054】
図2の説明に戻ると、次いでS14に進んで求めた接触の可能性が大きいか否か判定し、肯定されるときはS16に進んで減速度指令値を所定単位量ずつ加算補正して減速度を増加させる。
【0055】
他方、S14で否定されるときはS18に進んで接触の可能性が小さいか否か判定し、肯定されるときはS20に進んで減速度指令値を前記した所定単位量ずつ減算補正し、減速度を減少させる。所定単位量は例えば0.5G/secに相当する値とする(G:重力加速度相当値)。尚、所定単位量は増加と減少とで相違させても良く、さらには状況に応じて可変にしても良い。
【0056】
尚、S18で接触の可能性が小さくないと判定されるとき、S20の処理をスキップして現在の減速度指令値を保持する。また、S10で否定されるときはS22に進み、自車と障害物の状態量に基づいて減速度指令値を計算する。
【0057】
この実施の形態は上記の如く、接触の可能性に基づいて減速度指令値を補正するようにしたので、自動ブレーキを作動させているときに障害物を見失った場合、接触回避効果を達成しつつ違和感を与えることがなく、運転フィーリングを低下させることもない。
【0058】
また、減速度指令値をむやみに変化させることがないので、実際の状況に合わずに違和感を与えたり運転フィーリングを低下させることがないと共に、減速度を所定単位量ずつ変化させるので、運転操作に悪影響を及ぼすこともない。
【0059】
図6はこの発明の第2の実施の形態に係る装置の動作を示す、図4と同様のサブルーチン・フロー・チャートである。
【0060】
第2の実施の形態においては、同様に将来の相対距離などを推定すると共に、将来の相対距離が小さく、かつそのときの相対速度が大きいときは、接触の可能性が大きいと判定するようにした。
【0061】
以下説明すると、S200で将来の相対距離Xおよび将来の相対速度△V2を推定し、S202に進み、将来の相対距離Xが基準値(ここではLc2で示す)以下か否か判断し、肯定されるときはS204に進んで将来の相対速度ΔV2が基準値Vc以上か否か判断する。
【0062】
S204でも肯定されるときはS206に進んで接触の可能性が大きいと判定する。他方、S202あるいはS204で否定されるときはS208に進んで障害物が回避されたか否か判断し、肯定されるときはS210に進んで接触の可能性が小さいと判定すると共に、否定されるときはS210の処理をスキップする。
【0063】
このように、S202,S204では、相対距離の基準値Lc2(例えば、0m)、相対速度の基準値Vc(例えば、20km/h)を設定し、それに基づいて接触の可能性を判定する。
【0064】
障害物の将来の相対距離Xが基準値Lc2以下となる条件は、第1の実施の形態で述べた条件1)ないし3)のいずれかである。
【0065】
また、将来の相対距離Xが基準値Lc2以下となるまでの時間T2は、以下のように求めることができる。
T2={(ΔV12 +2・(a−a0)・(X1−Lc2))1/2 −ΔV1}/(a−a0))
【0066】
上記はa0−a≠0の場合である。a0−a=0の場合は、
T2=(X1−Lc2)/ΔV1
となる。
【0067】
従って、将来の相対速度ΔV2は下記のように求めることができる。
ΔV2=ΔV1+(a−a0)・T2 ΔV1:現在の相対速度
【0068】
以上の如く、前記条件1)ないし3)のいずれかが成立すると共に、ΔV2≧Vcの場合、障害物の将来の相対距離XはLc2以下となり、そのときの相対速度ΔV2がVc以上となるので、接触の可能性が大きいと判定することができる。
【0069】
尚、残余の構成は、第1の実施の形態と異ならない。
【0070】
第2の実施の形態は上記の如く構成したので、第1の実施の形態に比較し、接触の可能性を一層的確に判定することができ、それによって減速度指令値を一層適正に求めることができ、接触回避と運転フィーリングの低下防止を一層良く実現することができる。
【0071】
図7はこの発明の第3の実施の形態に係る装置の動作を示す、図4と同様のサブルーチン・フロー・チャートである。
【0072】
第3の実施の形態は、接触の可能性が小さいと判定する場合に関する。
【0073】
以下説明すると、S300において自車に対する障害物の現在の相対距離X1および相対速度ΔV1を算出(推定)し、S302に進んで算出値に基づき、このままでは自車が障害物に接触するか否か判断し、肯定されるときはS304に進んで接触の可能性が大きいと判定する。
【0074】
他方、S302で否定されるときはS306に進んで算出した相対速度が零以下か否か判断し、肯定されるときは接触が回避されたと判断することができるため、S308に進んで接触の可能性が小さいと判定する。
【0075】
また、S306で否定されるときはS310に進んで算出した相対距離が零以下か否か判断し、肯定されるときは同様に接触が回避されたと判断できるため、S308に進んで接触の可能性が小さいと判定する。
【0076】
尚、残余の構成は、第1の実施の形態と異ならない。
【0077】
第3の実施の形態は上記の如く構成したので、従前の実施の形態に比較し、接触の可能性、特にそれが小さい場合を一層的確に判定することができ、それによって減速度指令値を一層適正に求めることができ、接触回避と運転フィーリングの低下防止を一層良く実現することができる。
【0078】
図8はこの発明の第4の実施の形態に係る装置の動作を示す、図4と同様のサブルーチン・フロー・チャートである。
【0079】
第4の実施の形態も、第3の実施の形態と同様に、接触の可能性が小さいと判定される場合に関する。
【0080】
以下説明すると、S400において自車に対する障害物の現在の相対距離X1、相対速度ΔV1、障害物横方向位置Y0、および自車横方向移動量Y1を算出(推定)する。ここで、横方向は、図9にYなどで示す如く、車幅方向を意味する。
【0081】
次いでS402に進んで算出値に基づき、このままでは自車が障害物に接触するか否か判断し、肯定されるときはS404に進んで接触の可能性が大きいと判定する。
【0082】
他方、S402で否定されるときはS406に進んで横方向(車幅方向)に回避したか否か判断する。
【0083】
図9を参照して説明する。見失う前の障害物100の横方向の位置をY0、横方向速度をVy、そのときから現在までの経過時間をtとすると、その間の障害物の横方向への移動量Yおよび自車の横方向への移動量Y1は、以下のように推定することができる。
Y=Y0+Vy・t
Y1=インテグラル{Vsin(インテグラルωdt)}dt
ω:自車ヨーレート
【0084】
障害物の幅(横方向長さ)をレーザレーダ12の出力に基づいて推定するか、あるいは所定値(例えば2m)とみなすと、現在の自車と障害物の横方向の間隔dは、以下のように求めることができる。
d=|Y−Y1|−(障害物幅+自車幅)/2
【0085】
従って、S406において現在の自車と障害物の横方向の間隔dを算出し、それが0以下か否か判断すれば、横方向に接触が回避されたか否か判断することができる。
【0086】
S406で肯定、即ち、横方向に接触が回避されたと判断されるときはS408に進んで接触の可能性が小さいと判定すると共に、否定されるときはS408をスキップする。
【0087】
尚、残余の構成は、第1の実施の形態と異ならない。
【0088】
第4の実施の形態は上記の如く構成したので、第3の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。さらに、接触が回避されたことによる接触の可能性の低下を的確に判定することができ、減速を不要に継続させることがない。
【0089】
図10はこの発明の第5の実施の形態に係る装置の動作を示す、図4と同様のサブルーチン・フロー・チャートである。
【0090】
第5の実施の形態は、第3および第4の実施の形態を組み合わせたものである。
【0091】
以下説明すると、S500において自車に対する障害物の現在の相対距離X1、相対速度ΔV1、障害物横方向位置Y0および自車横方向移動量Y1を算出(推定)し、S502に進んで算出値に基づき、このままでは自車が障害物に接触するか否か判断し、肯定されるときはS504に進んで接触の可能性が大きいと判定する。
【0092】
他方、S502で否定されるときはS506に進んで算出した相対速度△V1が零以下か否か判断し、肯定されるときは接触が回避されたと判断することができるため、S508に進んで接触の可能性が小さいと判定する。
【0093】
また、S506で否定されるときはS510に進んで算出した相対距離X1が零以下か否か判断し、肯定されるときは同様に接触が回避されたと判断できるため、S508に進んで接触の可能性が小さいと判定する。
【0094】
また、S510で否定されるときはS512に進んで横方向(車幅方向)に回避したか否か判断し、肯定されるときは同様に接触が回避されたと判断できるため、S508に進んで接触の可能性が小さいと判定すると共に、否定されるときはS508をスキップする。
【0095】
尚、残余の構成は、第2の実施の形態などと異ならない。
【0096】
第5の実施の形態は上記の如く構成したので、第3および第4の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0097】
図11はこの発明の第6の実施の形態に係る装置の動作を示すフロー・チャートである。
【0098】
第6の実施の形態においては、接触の可能性を判定(判断)した後、運転者がステアリング操作によって障害物回避動作を行ったか否か判断して減速度指令値を決定(補正)するようにした。
【0099】
以下説明すると、S600において接触の可能性を求める。これは従前の実施の形態のいずれかに基づいて行う。次いでS602に進んで求めた接触の可能性が大きいか否か判定し、肯定されるときはS604に進んでステアリング操作による障害物回避動作の有無を判断する。
【0100】
これについて説明すると、先ずステアリング舵角センサ21の検出値から舵角を求め、さらに求めた舵角の微分値または差分値を算出して舵角速度を求める。尚、舵角および舵角速度は左右を問わないため、絶対値で求める。
【0101】
運転者が障害物を回避すべくステアリング操作したときは、舵角および舵角速度の絶対値が大きくなると推定することができるので、図12に示すような特性を予め設定しておき、求めた舵角および舵角速度の絶対値を基準値Sと比較し、それを超えているとき、運転者がステアリング操作を行ったと判断する。
【0102】
従って、S604では求めた舵角の絶対値などを基準値S(図12に示す)と比較してステアリング操作による障害物回避動作があるか否か判断する。S604で否定されるときは、S606に進んで接触の可能性が大きいと判定されていることから減速度指令値を加算補正し、減速度を増加させる。
【0103】
他方、S604で肯定されるときは、運転者のステアリング操作による回避動作を妨げないため、S606をスキップして現在の減速度指令値を保持する。
【0104】
また、S602で否定されるときはS608に進んで接触の可能性が小さいか否か判定し、肯定されるときはS610に進んで減速度指令値を減算補正して減速度を減少させる。尚、S608で否定されて接触の可能性が中程度と判定されるときはS610をスキップし、現在の減速度指令値を保持する。
【0105】
図13は図11フロー・チャートの処理を説明するタイム・チャートである。時刻t0で自動ブレーキが作動し、t1で障害物を見失ったとすると、接触の可能性が大きいと判定される間は減速度が徐々に増加させられる。
【0106】
また、その間に時刻t2でステアリング操作による障害物の回避動作が開始されたと推定されるときは、減速度の増加が中止される。時刻t2’で回避動作が終了したと推定されると、そのときの接触の可能性が依然大きいとすると、減速度が再び増加させられる。時刻t3で接触の可能性が大きくなく、接触回避に必要な減速度に達したと判断されると、減速度の増加は中止される。
【0107】
その後、時刻t4で相対速度の減少などが生じて接触が回避されたと判断されると、減速度が徐々に低下させられ、零に達したところで自動ブレーキ制御が中止される(後述する第8の実施の形態で述べるが、想像線で示す如く、減速度が所定値(例えば0.1G)以下となったとき制御が中止されるようにしても良い)。
【0108】
第6の実施の形態は上記の如く構成したので、従前の実施の形態で述べた作用効果に加え、運転者がステアリング操作によって障害物を回避するとき、その操作と干渉することがない。
【0109】
図14はこの発明の第7の実施の形態に係る装置の動作を示すフロー・チャートである。
【0110】
第7の実施の形態においては、ステアリング(ステア)操作状態に応じて減速度指令値を決定(補正)するようにした。
【0111】
以下説明すると、S700およびS702で第6の実施の形態と同様の処理を行った後、S704に進んでステアリング操作状態に応じて減速度指令値の加算値を算出する。
【0112】
即ち、図15に示すような特性を予め設定しておき、求めた舵角および舵角速度の絶対値から、図示の3つの領域のいずれにあるか判断し、それに応じて減速度指令値の増加(増大)速度を選択する。
【0113】
増加(増大)速度は図示の如く、舵角および舵角速度の絶対値が大きくなるほど減少するように設定する。
【0114】
次いでS706に進んで選択した増加速度に基づいて減速度指令値を加算補正する。
【0115】
尚、S702で否定されるときはS708以降に進んで第6の実施の形態と同様の処理を行う。
【0116】
第7の実施の形態は上記の如く構成したので、第6の実施の形態で述べたと同様に運転者がステアリング操作による障害物回避との干渉を防止できると共に、減速度の増加を必要最少限度に抑制することができる。
【0117】
図16はこの発明の第8の実施の形態に係る装置の動作を示すフロー・チャートである。
【0118】
以下説明すると、S800からS808の処理において従前の実施の形態と同様に接触の可能性に応じて減速度指令値を決定(補正)した後、S810に進んで減速度が設定値(例えば0.1G)以下になったか否か判断し、肯定されるときはS812に進んで自動ブレーキ制御を停止するようにした。尚、S810で否定されるときはS812の処理をスキップし、自動ブレーキ制御を継続する。
【0119】
第8の実施の形態は上記の如く構成したので、従前の実施の形態で述べた効果に加えて、自動ブレーキ動作の停止時期を的確に決定することができる。
【0120】
第1ないし第8の実施の形態においては上記の如く、車両10の進行方向に存在する物体を検知する物体検知装置(レーザレーダ12、レーダ出力処理部14)、前記車両を制動する制動装置(ブレーキ機構22)、前記車両の車速を検出する車速検出手段(車輪速センサ20)、前記物体検知装置の検知結果に基づいて前記物体の前記車両からの距離X,X1を検出する距離検出手段(処理ECU16、状態量算出部、S100,S200,S300,S400,S500)、前記物体検知装置の検知結果に基づいて前記車両に対する前記物体の相対速度V1,ΔV1,ΔV2を検出する相対速度検出手段(処理ECU16、状態量算出部、S100,S200,S300,S400,S500)、前記距離検出手段および相対速度検出手段の検出結果に基づいて前記物体との接触の可能性の度合いを判定する接触可能性度合い判定手段(処理ECU16、自動ブレーキ判断部、S12,S100からS108,S200からS210,S300から308,S400からS408,S500からS512,S600からS608,S700からS708,S800からS806)、および前記接触可能性度合い判定手段の判定結果に基づいて前記制動装置を自動的に作動させる自動制動手段(処理ECU16、減速度指令値算出部、S18からS22,S602からS610,S702からS710,S802からS812)を備えた車両走行安全装置において、前記接触可能性度合い判定手段は、前記自動制動手段の作動中に、前記物体検知手段が前記物体を検知できなくなったとき、前記物体検知手段のそれ以前の検知結果に基づいて前記接触の可能性の度合いを判定する如く構成した。
【0121】
また、前記接触可能性度合い判定手段は、前記自動制動手段の作動中に、前記物体検知手段が前記物体を検知できなくなったとき、前記物体検知手段のそれ以前の検知結果に基づいて前記距離(将来相対距離)を推定し、前記推定した距離が第1の所定値(基準値Lc1)以下であるとき、接触の可能性の度合いが大きいと判定する(処理ECU16、自動ブレーキ判断部、S12,S100からS108)如く構成した。
【0122】
また、前記接触可能性度合い判定手段は、前記自動制動手段の作動中に、前記物体検知手段が前記物体を検知できなくなったとき、前記物体検知手段のそれ以前の検知結果に基づいて前記距離(将来の相対距離)を推定し、前記推定した距離が第2の所定値(基準値Lc2)以下であると共に、前記相対速度(将来の相対速度)ΔV2が第3の所定値(基準値Vc)以上であるとき、接触の可能性の度合いが大きいと判定する(処理ECU16、自動ブレーキ判断部、S12,S200からS210)如く構成した。
【0123】
また、前記自動制動手段は、前記接触可能性度合い判定手段により接触の可能性の度合いが大きいと判定されたときは、減速度を徐々に増加させる(処理ECU16、減速度指令値算出部、S18からS22,S602からS610,S702からS710,S802からS812)如く構成した。
【0124】
さらに、前記車両のステアリング操作を検出するステアリング操作検出手段(ステアリング舵角センサ21)を備え、前記自動制動手段は、前記ステアリング操作検出手段によって前記車両のステアリング操作が検出されたとき、前記減速度の増加を中止するか、前記減速度の増加割合を減少させる(処理ECU16、減速度指令値算出部、S604からS606,S704からS706)如く構成した。
【0125】
また、前記接触可能性度合い判定手段は、前記自動制動手段の作動中に、前記物体検知手段が前記物体を検知できなくなったとき、前記物体検知手段のそれ以前の検知結果に基づいて前記距離(相対距離)と相対速度を推定し、前記推定した距離が第4の所定値(0)以下あるいは前記相対速度が第5の所定値(0)以下であるとき、接触の可能性の度合いが小さいと判定する(処理ECU16、自動ブレーキ判断部、S306から308,S506からS512)如く構成した。
【0126】
さらに、前記車両に対する前記物体の車幅方向の相対位置dを検出する相対位置検出手段(処理ECU16、S400,S500)を備え、前記接触可能性度合い判定手段は、前記自動制動手段の作動中に、前記物体検知手段が前記物体を検知できなくなったとき、前記相対位置検出手段のそれ以前の検出結果に基づいて前記物体の相対位置を推定し、車幅方向に回避できたと判定される場合に接触の可能性の度合いが小さいと判定する(処理ECU16、減速度指令値算出部、S406,S408,S512,508)如く構成した。
【0127】
また、前記自動制動手段は、前記接触可能性度合い判定手段により接触の可能性の度合いが小さいと判定されたときは、減速度を徐々に減少させる(処理ECU16、減速度指令値算出部、S18からS22,S602からS610,S702からS710,S802からS812)如く構成した。
【0128】
また、前記自動制動手段は、前記減速度が設定値(0.1G)以下となったとき、前記自動制動装置の作動を中止する(処理ECU16、減速度指令値算出部、S810からS812)如く構成した。
【0129】
尚、上記において、物体をレーザレーダ12から検知したが、ミリ波レーダを用いても良く、あるいはCCDカメラなどの視覚センサなどを用いても良い。
【0130】
【発明の効果
求項1項にあっては、自動制動手段の作動中に物体を検知できなくなったときも、接触回避効果を達成しつつ、運転者に違和感を与えることがないと共に、操作に影響を与えることがなく、さらに運転フィーリングを低下させることもない。また、運転者がステアリング操作による障害物回避との干渉を防止できると共に、減速度の増加を必要最少限度に抑制することができる。
【0131】
請求項2項にあっては、接触の可能性の度合いを的確に判定することができ、接触回避と運転フィーリングの低下防止を一層良く実現することができる。
【0132】
請求項3項にあっては、接触の可能性の度合いを一層的確に判定することができ、減速度指令値を一層適正に求めることができて接触回避と運転フィーリングの低下防止を一層良く実現することができる。
【0133】
請求項4項にあっては、前記した作用効果に加えて、運転者に違和感を与えることが一層なく、運転フィーリングの低下を一層良く防止することができる。
【0134】
請求項5項にあっては、前記した作用効果に加えて、接触の可能性の度合いが小さい場合を一層的確に判定することができ、減速度指令値を一層適正に求めることができて接触回避と運転フィーリングの低下防止を一層良く実現することができる。
【0135】
請求項6項にあっては、前記したと同様の作用効果を得ることができる。
【0136】
請求項7項にあっては、前記した作用効果に加えて、接触の可能性が減少したことを的確に判断することができると共に、不要な減速を防止することができる。
【0137】
請求項8項にあっては、前記した作用効果に加えて、接触の可能性が減少したことを的確に判断することができると共に、不要な減速を防止することができる。
【0138】
請求項9項にあっては、前記した作用効果に加えて、自動制動手段の動作を的確に停止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る車両走行安全装置を全体的に示す概略図である。
【図2】図1装置の動作を示すフロー・チャートである。
【図3】図2フロー・チャートの動作を説明するブロック図である。
【図4】図2フロー・チャートの接触の可能性(の度合い)判定(判断)作業を示すサブルーチン・フロー・チャートである。
【図5】図4フロー・チャートの接触の可能性(の度合い)の判定作業を説明するグラフである。
【図6】この発明の第2の実施の形態に係る装置の動作を説明する、図4と同様な図2フロー・チャートの接触の可能性(の度合い)判定(判断)作業を示すサブルーチン・フロー・チャートである。
【図7】この発明の第3の実施の形態に係る装置の動作を説明する、図4と同様な図2フロー・チャートの接触の可能性(の度合い)判定(判断)作業を示すサブルーチン・フロー・チャートである。
【図8】この発明の第4の実施の形態に係る装置の動作を説明する、図4と同様な図2フロー・チャートの接触の可能性(の度合い)判定(判断)作業を示すサブルーチン・フロー・チャートである。
【図9】図8フロー・チャートの横方向回避の判断作業を説明する説明図である。
【図10】この発明の第5の実施の形態に係る装置の動作を説明する、図4と同様な図2フロー・チャートの接触の可能性(の度合い)判定(判断)作業を示すサブルーチン・フロー・チャートである。
【図11】この発明の第6の実施の形態に係る装置の動作を説明する、図2と同様なフロー・チャートである。
【図12】図11フロー・チャートのステアリング操作による障害物回避動作の有無の判断に使用される特性の説明グラフである。
【図13】図11フロー・チャートの処理を説明するタイム・チャートである。
【図14】この発明の第7の実施の形態に係る装置の動作を説明する、図2と同様なフロー・チャートである。
【図15】図14フロー・チャートのステアリング操作による減速度加算値計算に使用される特性の説明グラフである。
【図16】この発明の第8の実施の形態に係る装置の動作を説明する、図2と同様なフロー・チャートである。
【符号の説明】
10 車両
12 レーザレーダ(物体検知装置)
14 レーダ出力処理部(物体検知装置)
16 処理ECU
20 車輪速センサ(車速検出手段)
21 ステアリング舵角センサ(ステアリング操作検出手段)
22 ブレーキ機構(制動装置)
36 電磁バルブ
40 警報装置
100 障害物(物体)

Claims (9)

  1. a.車両の進行方向に存在する物体を検知する物体検知装置、
    b.前記車両を制動する制動装置、
    c.前記車両の車速を検出する車速検出手段、
    d.前記物体検知装置の検知結果に基づいて前記物体の前記車両からの距離を検出する距離検出手段、
    e.前記物体検知装置の検知結果に基づいて前記車両に対する前記物体の相対速度を検出する相対速度検出手段、
    f.前記距離検出手段および相対速度検出手段の検出結果に基づいて前記物体との接触の可能性の度合いを判定する接触可能性度合い判定手段、
    および
    g.前記接触可能性度合い判定手段の判定結果に基づいて前記制動装置を自動的に作動させる自動制動手段、
    を備え、前記接触可能性度合い判定手段は、前記自動制動手段の作動中に、前記物体検知手段が前記物体を検知できなくなったとき、前記物体検知手段のそれ以前の検知結果に基づいて前記接触の可能性の度合いを判定する車両走行安全装置において、
    h.前記車両のステアリング操作を検出するステアリング操作検出手段、
    を備えると共に、前記自動制動手段は、その作動中に、前記ステアリング操作検出手段によって前記車両のステアリング操作が検出されたとき、前記検出されたステアリング操作状態に応じて減速度の増加割合を減少させることを特徴とする車両走行安全装置。
  2. 前記接触可能性度合い判定手段は、前記自動制動手段の作動中に、前記物体検知手段が前記物体を検知できなくなったとき、前記物体検知手段のそれ以前の検知結果に基づいて前記距離を推定し、前記推定した距離が第1の所定値以下であるとき、接触の可能性の度合いが大きいと判定することを特徴とする請求項1項記載の車両走行安全装置。
  3. 前記接触可能性度合い判定手段は、前記自動制動手段の作動中に、前記物体検知手段が前記物体を検知できなくなったとき、前記物体検知手段のそれ以前の検知結果に基づいて前記距離を推定し、前記推定した距離が第2の所定値以下であると共に、前記相対速度が第3の所定値以上であるとき、接触の可能性の度合いが大きいと判定することを特徴とする請求項1項記載の車両走行安全装置。
  4. 前記自動制動手段は、前記接触可能性度合い判定手段により接触の可能性の度合いが大きいと判定されたときは、前記減速度を徐々に増加させることを特徴とする請求項1項ないし3項のいずれかに記載の車両走行安全装置。
  5. 記自動制動手段は、前記ステアリング操作検出手段によって前記車両のステアリング操作が検出されたとき、前記減速度の増加を中止することを特徴とする請求項1項ないし4項のいずれかに記載の車両走行安全装置。
  6. 前記接触可能性度合い判定手段は、前記自動制動手段の作動中に、前記物体検知手段が前記物体を検知できなくなったとき、前記物体検知手段のそれ以前の検知結果に基づいて前記距離と相対速度を推定し、前記推定した距離が第4の所定値以あるいは前記相対速度が第5の所定値以下であるとき、接触の可能性の度合いが小さいと判定することを特徴とする請求項1項ないし5項のいずれかに記載の車両走行安全装置。
  7. さらに、
    i.前記車両に対する前記物体の車幅方向の相対位置を検出する相対位置検出手段、
    を備え、前記接触可能性度合い判定手段は、前記自動制動手段の作動中に、前記物体検知手段が前記物体を検知できなくなったとき、前記相対位置検出手段のそれ以前の検出結果に基づいて前記物体の相対位置を推定し、車幅方向に回避できたと判定される場合に接触の可能性の度合いが小さいと判定することを特徴とする請求項1項ないし項のいずれかに記載の車両走行安全装置。
  8. 前記自動制動手段は、前記接触可能性度合い判定手段により接触の可能性の度合いが小さいと判定されたときは、前記減速度を徐々に減少させることを特徴とする請求項1項ないし7項のいずれかに記載の車両走行安全装置。
  9. 前記自動制動手段は、前記減速度が設定値以下となったとき、前記自動制動装置の作動を中止することを特徴とする請求項1項ないし8項のいずれかに記載の車両走行安全装置。
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