JP3715419B2 - コンバインの扱深調節方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンバインの扱深調節構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のコンバインの扱深調節構造は、穀稈を刈り取る刈取部と、同刈取部で刈り取った穀稈を脱穀する脱穀部との間に搬送部を介設し、同搬送部に穀稈の株元を挟扼して穀稈を脱穀部へ搬送する縦搬送機構を配設し、同縦搬送機構に扱深調節機構を連動連結して、縦搬送機構を変位移動可能に構成している。
【0003】
そして、扱深調節機構によって縦搬送機構を変位移動することにより、脱穀部に搬送される穀稈の穂先位置を調節して、脱穀部での扱深さを調節するようにしていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来のコンバインの扱深調節構造にあっては、縦搬送機構の扱深調節機構に設けたポテンシオメータによって、縦搬送機構の位置を検出するようにしていたため、ポテンシオメータの取付け誤差が生じた場合には、設計値通りの縦搬送機構の移動範囲が確保できず、従って、扱深さの調節範囲を確保することができなかった。
【0005】
また、それに伴って、運転部に設けた扱深表示メータの表示にも誤差が生じてしまい、作業者が正確に扱深を把握することができないといった不具合があった。
【0006】
しかも、縦搬送機構の変位移動量と扱深さの変化量とが非線型的な関係であったため、扱深表示メータの表示と実際の扱深さとの間にずれが生じてしまい、この面からも、作業者が正確に扱深さを把握することができなかった。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明では、穀稈を刈り取る刈取部と、刈り取った穀稈を脱穀する脱穀部との間に搬送部を介設し、同搬送部に扱深調節機構を設け、同扱深調節機構は、制御装置を具備し、同制御装置によって、穀稈の株元を挟扼して穀稈を脱穀部へ搬送する縦搬送機構を変位移動させて、脱穀部での扱深さを調節可能に構成すると共に、縦搬送機構の回動を検出するためのポテンシオメータを配設してなるコンバインの扱深調節方法において、縦搬送機構を浅扱側に配設されたリミットスイッチに当接する浅扱側限界位置まで移動させ、その位置におけるポテンシオメータの値を最浅扱側設定位置として制御装置に設定すると共に扱深さを表示する扱深表示メータが最浅扱表示となるように扱深表示メータを調整し、その後、扱深表示メータが最深扱表示となるまで縦搬送機構を深扱側へ移動させ、その位置におけるポテンシオメータの値を最深扱設定位置として制御装置に設定することとした。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明に係るコンバインの扱深調節構造は、穀稈を刈り取る刈取部と、刈り取った穀稈を脱穀する脱穀部との間に搬送部を介設し、同搬送部に扱深調節機構を設け、同扱深調節機構は、制御装置を具備し、同制御装置によって、穀稈の株元を挟扼して穀稈を脱穀部へ搬送する縦搬送機構を変位移動させて、脱穀部での扱深さを調節可能に構成し、しかも、扱深調節機構は、縦搬送機構の移動範囲の両端位置をそれぞれ最浅扱側設定位置と最深扱側設定位置として制御装置に設定すべく構成したものである。
【0012】
最浅扱側設定位置と最深扱側設定位置との設定方法としては、例えば、縦搬送機構を浅扱側の限界位置まで移動させ、その位置を最浅扱側設定位置として制御装置に設定する一方、縦搬送機構を深扱側の限界位置まで移動させ、その位置を最深扱側設定位置として制御装置に設定するものである。
【0013】
このように、最浅扱設定位置又は最深扱設定位置のいずれか一方のみを設定し、同位置からの相対位置から他方の設定位置を定めるのではなく、両設定位置を制御装置に設定することにより、組立時のポテンシオメータの取付け誤差等に起因する扱深調節機構の個体差が解消され、縦搬送機構の移動範囲を確保でき、従って、扱深さの調節範囲を確保することができる。
【0014】
また、縦搬送機構を浅扱側の限界位置まで移動させ、その位置を最浅扱側設定位置として制御装置に設定するとともに、扱深さを表示する扱深表示メータが最浅扱表示となるように扱深表示メータを調整し、さらに、扱深表示メータが最深扱表示となる位置まで縦搬送機構を深扱側へ移動させ、その位置を最深扱側設定位置として制御装置に設定することにより、扱深表示メータによって作業者に扱深さを正確に知らせることができるものである。
【0015】
また、最浅扱側設定位置と最深扱側設定位置との間で、縦搬送機構を脱穀部での扱深さに比例させて移動させることにより、作業者が脱穀部での扱深さを正確に把握でき、従って、扱深さを正確に調節することができるものである。
【0016】
【実施例】
以下に、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【0017】
図1及び図2は、本発明に係る扱深調節構造Bを具備するコンバインAを示しており、同コンバインAは、機体フレーム1の下部に左右一対のクローラ式の走行部2,2 を配設し、機体フレーム1の前端に刈取部3を昇降自在に取付けるとともに、同刈取部3の直後方位置に脱穀部4を設け、同脱穀部4の直後方位置に排藁処理部5を設ける一方、機体フレーム1の右側前部に運転部6を設け、同運転部6の直後方位置に殻粒貯溜タンク7を設けており、刈取部3と脱穀部4との間には、搬送部9を介設している。図中、8は脱穀部4の左側上部に設けたフィードチェンである。
【0018】
そして、刈取部3により穀稈を刈取り、刈り取った穀稈を搬送部9により脱穀部4へ搬送し、同脱穀部4において穀稈を脱穀し、脱穀した穀粒を選別して、精粒は、穀粒貯留タンク7に貯留し、一方、排藁は、排藁処理部5により細断して外部へ放出するようにしている。
【0019】
刈取部3は、図1に示すように、機体フレーム1の左側前端部に立設した支柱10の上端に、刈取フレーム11を上下回動自在に取付けている。
【0020】
そして、刈取フレーム11は、図3及び図4に示すように、左右一対の支柱10,10 の上端間に、左右幅方向に伸延する筒状の回動支軸12を軸線廻りに回動自在に横架し、同回動支軸12の右側部より前下方へ向けて筒状の縦フレーム13を伸延し、同縦フレーム13の下端に左右幅方向に伸延する筒状の下側横フレーム14の中途部を連通連設し、同下側横フレーム14の左側端部より前上方へ向けて筒状の立上がりフレーム15を立上げるとともに、下側横フレーム14の右側端部より前上方へ向けて支持フレーム(図示せず。)を立上げて、両フレーム15の上端間に上側横フレーム16を横架し、同上側横フレーム16の中途部と前記縦フレーム13の上部との間に上方へ凸状に湾曲する上側連結フレーム17を横架する一方、前記下側横フレーム14の左右側部及び中央部よりそれぞれ前方へ向けて左右連結フレーム18a,18b 及び中央連結フレーム18c からなる連結フレーム18を延設して形成している。19は下部搬送装置支持フレームである。
【0021】
また、上記した刈取フレーム11には、植立する六条の穀稈を分草する分草板20を左右幅方向に一定の条間隔を開けて計七個取付けるとともに、各分草板20により分草された六条の穀稈を引起す穀稈引起し装置21と、同穀稈引起し装置21により引起された六条の穀稈の株元を掻き込む穀稈掻込み装置22と、同穀稈掻込み装置22により掻き込まれた穀稈の株元を刈り取る刈刃装置23を取付けている。
【0022】
穀稈引起し装置21は、左右に隣接する分草板20,20 間の直後方位置に上下方向に伸延する引起しケース30を計六個立設し、各引起しケース30の上部と前記上側横フレーム16との間に計六個の引起しケースを介設し、各引起しケース30内に多数の引起しタイン31a を上下方向に回行可能に取付けた引起し機構31を設けるとともに、同引起し機構31は、各引起しタイン31a が上下移動時に進出し、かつ、下方移動時に退入すべく構成している。
【0023】
穀稈掻込み装置22は、上記各引起しケース30の直後方位置に、タイン付掻込みベルト32とスターホイル33とを上下に対向させて配置している。
【0024】
搬送部9は、上記した刈取フレーム11に、刈刃装置23により刈り取られた六条の穀稈の下部を脱穀部4側へ搬送する下部搬送装置24と、同穀稈の上部を脱穀部4側へ搬送する上部搬送装置25と、同穀稈の穂先部を搬送する穂先搬送装置26と、上・下部搬送装置25,24 から脱穀部4のフィードチェン8へ穀稈を受け渡す補助をする補助搬送装置27を取付けている。
【0025】
下部搬送装置24は、左側部の二条分の穀稈の下部を挟扼して内側後方の合流部Pへ搬送する左側下部搬送機構34と、中央部の二条分の穀稈の下部を挟扼して内側後方の合流部Pへ搬送する中央下部搬送機構35と、右側部の二条分の穀稈の下部を挟扼して内側後方の合流部Pへ搬送する右側下部搬送機構36と、これら搬送機構34,35,36により搬送されて合流部Pで合流した穀稈の下部を挟扼してフィードチェン8へ搬送する縦搬送機構37とを具備している。
【0026】
そして、これら搬送機構34,35,36は、基本的に搬送チェン34a,35a,36a と、これら搬送チェン34a,35a,36a の各穀稈搬送路と対向させて配置した挟扼体34b,35b,36b とから構成しており、後述する縦搬送機構37も同様に構成している。
【0027】
上部搬送装置25は、左側部の二条分の穀稈の上部を掻上げて内側後方の合流部Pへ搬送する左側上部搬送機構38と、中央部の二条分の穀稈の上部を掻上げて内側後方の合流部Pへ搬送する中央上部搬送機構39と、右側部の二条分の穀稈の上部を掻上げて内側後方の合流部Pへ搬送する右側上部搬送機構40とを具備しており、右側上部搬送機構40は、前側搬送体41と後側搬送体42とに二分割して形成している。
【0028】
そして、これら搬送機構38,39 及び前後搬送体41には、多数の搬送タイン38a,39a,41a を前後方向に回行可能に取付けるとともに、各搬送タイン38a,39a,41a は、後方移動時に進出し、かつ、前方移動時に退入すべく取付けており、後側搬送体42も同様に構成している。
【0029】
また、左側上部搬送機構38は左側下部搬送機構34と、中央上部搬送機構39は中央下部搬送機構35と、前側搬送体41は右側下部搬送機構36と、後側搬送体42は縦搬送機構37と、それぞれ上下に対向させて配置して、穀稈の上下部を確実に保持して搬送するようにしている。
【0030】
穂先搬送装置26は、左側部穂先搬送機構43と中央部穂先搬送機構44と右側部穂先搬送機構45とを具備しており、これら穂先搬送機構43,44,45は、スターホイル33の直後方位置において、左側上部搬送機構38と中央上部搬送機構39と前側搬送体41の各上方で、かつ、これらの各穀稈搬送路を間に挟んで各搬送機構38,39 及び前側搬送体41と対向する位置に配置して、それぞれ二条分の穀稈の穂先部を搬送するようにしている。
【0031】
そして、これら穂先搬送機構43,44,45は、前記した六個の引起し駆動ケース中、三個の引起し駆動ケースより下方へ延設して形成した穂先搬送駆動ケースに連動連接しており、各穂先搬送機構43,44,45には、複数の搬送タイン43a,44a,45a を前後方向に回行可能に取付けるとともに、各搬送タイン43a,44a,45a が後方移動時に進出し、かつ、前方移動時に退入すべく構成している。
【0032】
補助搬送装置27は、縦搬送機構37の終端側部と後側搬送体42の終端側部との間に配置するとともに、フィードチェン8の始端側部8aに近接させて配置しており、同補助搬送装置27は下部搬送装置24の各搬送機構34,35,36,37 と同様に構成して、穀稈の中途部をフィードチェン8へ受け渡し搬送するようにしている。
【0033】
縦搬送機構37は、図5に示すように、刈取フレーム11の前端部に縦搬送支持フレーム46を立設し、同縦搬送支持フレーム46のチェンガイド47を回動自在に取付け、同チェンガイド47の前端に駆動用スプロケット48を配設するとともに、チェンガイド47の後端に従動用スプロケット49を配設し、両スプロケット48,49 間に縦搬送チェン50を巻回している。
【0034】
また、縦搬送機構37には、同縦搬送機構37を変位移動させて、脱穀部4での扱深さを調節するための扱深調節機構51を連動連結している。
【0035】
扱深調節機構51は、図5及び図6に示すように、刈取フレーム11の中途部にモータ52を取付け、同モータ52にギヤケース53を連動連結し、同ギヤケース53の出力軸54に回動アーム55の基端を取付け、同回動アーム55の先端に略L字状に形成した縦搬送支持体56を枢着し、同縦搬送支持体56に前記チェンガイド47を取付けている。
【0036】
尚、チェンガイド47と縦搬送支持フレーム46との枢着部には、ポテンシオメータ(図示省略)を配設し、同ポテンシオメータによって縦搬送機構37の回動量を検出できるようにしている。また、縦搬送支持体56は、回動アーム55に枢着した支持体基端部56a と、同支持体基端部56a の先端に支持体基端部56a に沿わせて摺動可能に取付けた連結部56b と、同連結部56b に基端部を取付け、かつ、先端部をチェンガイド47に連結した支持体先端部56c とから構成し、連結部56b を支持体基端部56a に沿わせて摺動移動させることにより、縦搬送機構37の初期取付け位置を調節できるようにしている。
【0037】
また、縦搬送機構37の後端部には、図7及び図8に示すように、縦搬送機構37によって搬送される穀稈57の株元を検出するための株元検出センサ58と、穀稈57の穂先を検出するための穂先検出センサ59とを配設している。
【0038】
すなわち、チェンガイド47の中途部に支持杆60の基端部を取付け、同支持杆60の先端部に株元検出センサ58を取付けており、同株元検出センサ58は、センサケース58a に株元検出体58b を上下方向へ向けて回動自在に取付け、縦搬送機構37によって、穀稈57が搬送されている場合には、穀稈57の株元が株元検出体58b を下方へ向けて回動させるようにしている。
【0039】
また、刈取フレーム11の後端に支持杆61の基端部を取付け、同支持杆61の先端部を縦搬送機構37へ向けて伸延させて、支持杆61の先端部と縦搬送チェン50の穀稈送り側50a と略直交させ、更には、支持杆61の先端に穂先検出センサ59をブラケット62を介して支持杆61に沿わせて摺動可能に取付けており、同穂先検出センサ59は、センサケース59a に縦搬送チェン50側から浅扱側穂先検出体59b と深扱側穂先検出体59c とを順に縦搬送チェン50の伸延方向へ向けて回動自在に取付け、縦搬送機構37によって搬送される穀稈57の穂先が両穂先検出体59b,59c を回動させるようにしている。尚、図7及び図8中、63は扱胴、63a は扱歯である。
【0040】
また、縦搬送機構37は、制御装置(図示省略)を具備しており、同制御装置には、前記モータ52と、ボテンシオメータと、株元検出センサ58と、穂先検出センサ59とが接続され、同制御装置によって、縦搬送機構37を移動させることにより、脱穀部4での扱深さを調節できるようにしている。
【0041】
すなわち、縦搬送機構37を機体の左側方へ移動させると、それに伴って、穀稈57の穂先も機体の左側方へ移動し、その状態で扱胴63に受け渡されることとなり、従って、扱胴63において穀稈57が浅く脱穀され、いわゆる浅扱状態となる。一方、縦搬送機構37を機体の右側方へ移動させると、それに伴って、穀稈57の穂先も機体の右側方へ移動し、その状態で扱胴63に受け渡されることとなり、従って、扱胴63において穀稈57が深く脱穀され、いわゆる深扱状態となる。
【0042】
その際に、株元検出センサ58によって穀稈57の有無を検出するとともに、穂先検出センサ59によって穂先が扱胴63の適正位置にあるか否かを検出し、両センサ58,59 の検出結果に基づいて縦搬送機構37を移動させ、扱深さを自動的に適正にする扱深自動制御を行っている。
【0043】
すなわち、株元検出センサ58の株元検出体58b と穂先検出センサ59の浅扱側穂先検出体59b とが回動し、穂先検出センサ59の深扱側穂先検出体59c のみが回動していない状態では、穂先が扱胴63の適正範囲内に位置していると判断し、継続して作業を行うようにしていが、株元検出センサ58の株元検出体58b のみが回動し、穂先検出センサ59の浅扱側穂先検出体59b と深扱側穂先検出体59c とが回動していない状態では、穂先が適正範囲を越えて浅扱側に位置していると判断し、縦搬送機構37を機体の右側方、すなわち、深扱側へ移動させ、穂先が適正範囲内に入るようにしている。
【0044】
一方、株元検出センサ58の株元検出体58b と、穂先検出センサ59の浅扱側穂先検出体59b と深扱側穂先検出体59c とが全て回動している状態では、穂先が適正範囲を越えて深扱側に位置していると判断し、縦搬送機構37を機体の左側方、すなわち、浅扱側へ移動させ、穂先が適正範囲内に入るようにしている。
【0045】
尚、本実施例では、縦搬送機構37の前端側を支点として、後端側を機体の略左右幅方向へ向けて変位移動することにより、脱穀部4での扱深さを調節するように構成しているが、縦搬送機構37の後端側を支点として、前端側を機体の略上下方向へ向けて変位移動することにより、縦搬送機構37が挟扼する穀稈57の株元の上下位置を調節して、脱穀部4での扱深さを調節するように構成することもできる。
【0046】
また、縦搬送機構37は、工場出荷時又は始動直後の初期設定時等において、次のようにして、移動範囲の両端位置を最浅扱設定位置と最深扱設定位置として制御装置に設定することにより、移動範囲を予め記憶できるようにしている。
【0047】
まず、縦搬送機構37の浅扱側と深扱側とに図示していないリミットスイッチを配設し、縦搬送機構37を両リミットスイッチ間で移動できるように構成する。
【0048】
そして、縦搬送機構37を浅扱側のリミットスイッチに当接する浅扱側限界位置まで移動させ、その位置におけるポテンシオメータの値を最浅扱側設定位置として制御装置に設定する一方、縦搬送機構37を深扱側のリミットスイッチに当接する深扱側限界位置まで移動させ、その位置におけるポテンシオメータの値を最深扱側設定位置として制御装置に設定する。
【0049】
このように、最浅扱設定位置又は最深扱設定位置のいずれか一方のみを設定し、同位置からの相対位置から他方の設定位置を定めるのではなく、両設定位置を記憶することにより、組立時のポテンシオメータの取付け誤差等に起因する扱深調節機構51の個体差が解消され、縦搬送機構37の移動範囲を確保でき、従って、扱深さの調節範囲を確保することができる。
【0050】
また、縦搬送機構37を浅扱側のリミットスイッチに当接する浅扱側限界位置まで移動させ、その位置におけるポテンシオメータの値を最浅扱側設定位置として制御装置に設定する。その際に、同ポテンシオメータの値を扱深表示メータへも送り、扱深表示メータが最浅扱表示となるように調整し、次いで、扱深表示メータが最深扱表示となるまで縦搬送機構37を深扱側へ移動させ、その位置におけるポテンシオメータの値を最深扱設定位置として制御装置に設定してもよい。
【0051】
このように、縦搬送機構37の最浅扱設定位置と最深扱設定位置とを、扱深表示メータの最浅扱表示と最深扱表示とに一致させることにより、扱深表示メータによって作業者に扱深さを正確に知らせることができる。
【0052】
図11は、他実施例としての扱深調節機構64を示しており、同扱深調節機構64は、刈取フレーム11に縦搬送機構37のチェンガイド47の下端を枢着するとともに、刈取フレーム11にギヤケース65を取付け、同ギヤケース65の出力軸66に回動アーム67の基端を枢着し、同回動アーム67の先端に連動アーム68の基端を枢着し、同連動アーム68の先端にチェンガイド47の中途部を枢着している。図中、69は駆動モータ、70a は駆動平歯車、70b は従動平歯車である。
【0053】
また、扱深調節機構64は、ギヤケース65に従動平歯車70b の回動歯数をカウントするカウンタ71を配設している。
【0054】
そして、駆動モータ69の回動角度に比例して、縦搬送機構37の後端部が機体の左右幅方向に移動するように回動アーム67と連動アーム68とを設定しており、従って、縦搬送機構37が、最浅扱側設定位置と最深扱側設定位置との間で、脱穀部4での扱深さに比例して変位移動するようにしている。
【0055】
そのため、縦搬送機構37の移動によって、穀稈57の穂先位置を線型的に移動させることができ、脱穀部4での扱深さを作業者が正確に把握でき、従って、扱深さを正確に調節することができる。
【0056】
図10は、他実施例としての穂先検出体72を示しており、同穂先検出体72は、中途部で折曲可能に構成している。
【0057】
すなわち、穂先検出体72を基端側検出体72a と先端側検出体72b とから構成し、基端側検出体72a の先端部に枢軸72c を突設する一方、先端側検出体72b の基端部に長孔72d を穿設し、同長孔72d に前記枢軸72c を回動自在かつ摺動自在に取付けている。
【0058】
また、基端側検出体72a の先端部に係止ピン72e を突設する一方、先端側検出体72b の基端部と中途部とに係止フック72f,72g を形成している。
【0059】
そして、図10(a) に示すように、先端側検出体72b を基端側検出体72a の先方に伸延させ、係止ピン72e に基端部側の係止フック72f を係止することにより、穂先検出体72の全長が長くなるようにしている。
【0060】
また、図10(b) に示すように、係止ピン72e から基端部側の係止フック72f を取外し、先端側検出体72b を回動し、図10(c) に示すように、基端側検出体72a に先端側検出体72b を収容し、係止ピン72e に中途部側の係止フック72g を係止することにより、穂先検出体72の全長が短くなるようにしている。
【0061】
そして、例えば、稲刈作業時においては、図10(a) に示すように、穂先検出体72の全長を長くして使用し、麦刈作業時においては、図10(c) に示すように、穂先検出体72の全長を短くして使用するようにしている。
【0062】
そのため、麦刈作業時に稈が立っても穂先検出体72が誤作動することがなくなり、扱深さを正確に調節することができる。
【0063】
図11は、他実施例としての穂先検出センサ73を示しており、同穂先検出センサ73は、センサケース74に浅扱側穂先検出部75と深扱側穂先検出体部76とをそれぞれ配設している。
【0064】
各穂先検出部75(76)は、長さの異なる長短2本の検出体75a,75b(76a,76b)をセンサケース74にそれぞれ回動自在に取付けている。
【0065】
そして、例えば、稲刈作業時においては、長い検出体75a,76a によって穀稈57を検出し、麦刈作業時においては、短い検出体75b,76b によって穀稈57を検出するようにしている。
【0066】
このようにしても、前述したと同様に、麦刈作業時に稈が立っても穂先検出センサ73が誤作動することがなく、扱深さを正確に調節することができる。
【0067】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【0068】
本発明によれば、縦搬送機構を浅扱側のリミットスイッチに当接する浅扱側限界位置まで移動させ、その位置におけるポテンシオメータの値を最浅扱側設定位置として制御装置に設定するとともに、扱深さを表示する扱深表示メータが最浅扱表示となるように扱深表示メータを調整し、さらに、扱深表示メータが最深扱表示となる位置まで縦搬送機構を深扱側へ移動させ、その位置におけるポテンシオメータの値を最深扱側設定位置として制御装置に設定しているため、組立時のポテンシオメータの取付け誤差等に起因する扱深調節機構の個体差が解消され、縦搬送機構の移動範囲を確保でき、従って、扱深さの調節範囲を確保することができ、さらに扱深表示メータによって作業者に扱深さを正確に知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る扱深調節構造を具備するコンバインを示す側面図。
【図2】同正面図。
【図3】刈取部の側面図。
【図4】同正面図。
【図5】扱深調節機構を示す斜視図。
【図6】同背面図。
【図7】扱深調節機構の作動を示す説明図。
【図8】扱深調節機構の作動を示す説明図。
【図9】他実施例としての扱深調節機構を示す説明図。
【図10】他の実施例としての穂先検出センサを示す平面図。
【図11】他の実施例としての穂先検出センサを示す側面図。
【符号の説明】
A コンバイン
B 扱深調節機構
1 機体フレーム
2 走行部
3 刈取部
4 脱穀部
8 フィードチェン
9 搬送部
37 縦搬送機構
47 チェンガイド
50 縦搬送チェン
57 穀稈
58 株元検出センサ
59 穂先検出センサ
63 扱胴
64 扱深調節機構
65 ギヤケース
69 駆動モータ
Claims (1)
- 穀稈(57)を刈り取る刈取部(3)と、刈り取った穀稈(57)を脱穀する脱穀部(4)との間に搬送部(9)を介設し、同搬送部(9)に扱深調節機構(51)を設け、同扱深調節機構(51)は、制御装置を具備し、同制御装置によって、穀稈(57)の株元を挟扼して穀稈(57)を脱穀部(4)へ搬送する縦搬送機構(37)を変位移動させて、脱穀部(4)での扱深さを調節可能に構成すると共に、縦搬送機構 (37) の回動を検出するためのポテンシオメータを配設してなるコンバインの扱深調節方法において、
縦搬送機構 (37) を浅扱側に配設されたリミットスイッチに当接する浅扱側限界位置まで移動させ、その位置におけるポテンシオメータの値を最浅扱側設定位置として制御装置に設定すると共に扱深さを表示する扱深表示メータが最浅扱表示となるように扱深表示メータを調整し、その後、扱深表示メータが最深扱表示となるまで縦搬送機構 (37) を深扱側へ移動させ、その位置におけるポテンシオメータの値を最深扱設定位置として制御装置に設定することを特徴とするコンバインの扱深調節方法。
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JP30908697A JP3715419B2 (ja) | 1997-11-11 | 1997-11-11 | コンバインの扱深調節方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JPH11137054A JPH11137054A (ja) | 1999-05-25 |
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-
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- 1997-11-11 JP JP30908697A patent/JP3715419B2/ja not_active Expired - Fee Related
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