JP3714661B2 - ディジタル伝送システム及び伝送状態表示方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、直交周波数分割多重(OFDM:Orthogonal Frequency Division Multiplex)変調方式等のマルチキャリア変調方式を用いたディジタル伝送装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ヨーロッパやアメリカおよび日本でディジタル放送が検討されており、その変調方式としてOFDM変調方式の採用が有力視されている。
このOFDM変調方式とは、マルチキャリア変調方式の一種で、多数のディジタル変調波を加え合わせたものである。 このときの各キャリアの変調方式にはQPSK(Quadrature Phase Shift Keying:4相位相偏移変調)方式等が用いられ、合成波であるOFDM信号を得ることができる。
ここで、このOFDM信号を数式で表すと、以下のようになる。
まず、各キャリアのQPSK信号をαk(t)とすると、これは式(1)で表せる。
αk(t)=ak(t)・cos(2πkft)+bk(t)・sin(2πkft) ・・・・・(1)
ここで、kはキャリアの番号を示し、ak(t)、bk(t)は、k番目のキャリアのデータで、[−1]または[1]の値をとる。
次に、キャリアの本数をNとすると、OFDM信号はN本のキャリアの合成であり、これをβk(t)とすると、これは次の式(2)で表すことができる。
βk(t)=Σαk(t) (但し、k=1〜N) ・・・・・・(2)
ところで、OFDM変調方式では、マルチパスの影響を低減するため、信号にガードインターバルを付加するのが一般的である。
このOFDM信号は、上記信号単位から構成され、この信号単位シンボルは、例えば有効サンプル1024サンプルにガードインターバルデータ48サンプルを付加した1072サンプルのシンボル894組に、6組の同期シンボルを付加した、全900シンボルからなるフレームと呼ぶストリーム単位の繰返しで構成される。
【0003】
図17は従来技術によるOFDM伝送装置における変復調部の基本的な構成を示すブロック図であり、伝送路符号化部1T、符号化部2T、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform:逆フーリエ変換)部3A、ガード付加部3B、同期シンボル挿入部5、クロック発振器6、直交変調処理部8とからなる送信側処理部101と図示しない送信アンテナを有する送信側Txと、図示しない受信アンテナとACG部9A、直交復調処理部9B、同期検出&相関部4A、FST補正部4B、FFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)部3C、復号化部2R、伝送路復号化部1R、電圧制御クロック発振器10からなる受信側処理部203を有する受信側Rxとにより構成され、これら送信側Txと受信側Rxは、例えば、電波を用いた無線の伝送路Lにより結ばれている。
【0004】
以下、図17を用いてOFDM信号の変復調処理について説明する。
送信側処理部101の伝送路符号化部1Tに連続的に入力されるデータDinは、例えば900シンボルからなるフレーム毎に処理され、このフレーム期間内で同期シンボルの6シンボル期間を除く894個の情報シンボル毎に、1から400番と、625から1024番までの計800サンプル期間に、間欠状態のレート変換済データDiiとして出力される。
また、伝送路符号化部1Tは、フレーム周期である900シンボル毎に、送信側のフレーム制御パルスFSTを発生し、同期シンボル期間の開始を表わすフレームパルス信号として、他のブロックに供給する。
符号化部2Tは、入力されたデータDiiを符号化し、I軸とQ軸の2軸にマッピングしたデータRfとIfを出力する。
IFFT部3Aは、これらデータRfとIfを周波数成分と見なし、1024サンプルからなる時間軸信号R(実数成分)とI(虚数成分)に変換する。
ガード付加部3Bは、1024サンプルからなる時間軸信号RとIの開始期間における波形の中で、例えば最初の48サンプルの波形を1024サンプル後に付加し、合計1072サンプルの時間軸波形からなる情報シンボルRgとIgを出力する。 この48サンプルは反射波混入時の緩衝帯となる。
同期シンボル挿入部5は、これら情報シンボルRg,Igに対して、それらの894サンプル毎に、予めメモリ等に記憶された、6シンボルからなる同期波形を挿入し、フレーム構成のデータRsgとIsgを作成する。
これらのデータRsg,Isgは直交変調処理部8に供給され、ここでD/A変換器81と直交変調器82、ローカル発振器83により、周波数FcのキャリアによるOFDM変調波信号RFとして生成され、高周波増幅され、ここでは図示しないが、送信アンテナを介して伝送路Lに送出されることになる。 伝送帯域は、UHF帯やマイクロ波帯が用いられる。
なお、送信側Txにおける処理に必要なクロックCK(周波数16MHz)は、クロック発振器6から各ブロックに送信側クロックCKdとして供給される。
【0005】
上記の様にして送信されたOFDM変調波信号RFは、図示しない受信アンテナを介し、受信側Rxの高周波部であるAGC部9Aを経由して直交復調処理部9Bに入力され、直交復調器91により電圧制御発振器93から供給される周波数Fc'の局発信号と乗算されて、ベースバンド信号に直交復調された後、A/D変換器92によってディジタル化され、データR'sgとI'sgに変換される。
これらのデータR'sg,I'sgは、FFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)部3Cに供給され、ここでパルスFSTrcに基づきFFTとして利用する1024サンプルのデータ期間を決定するゲート信号を作成して、緩衝帯である48サンプルを除外することにより、時間軸波形信号R'sg,I'sgは、周波数成分信号R'fとI'fに変換される。
そして、これら周波数成分信号R'f,I'fは、復号化部2Rにて識別、復号化されて、データD'oになり、伝送路復号化部1Rにて連続した信号Doutとして出力される。
一方、上記データR'sgとI'sgは、同期検出&相関部4Aにも入力され、ここで同期シンボル群が検出され、これによりフレームパルスとなるパルスFSTrが取り出される。 このパルスFSTrは、受信側Rxのフレーム制御パルスとなり、受信側Rxの各ブロックに供給される。
また、この同期検出&相関部4Aは、電圧制御クロック発振器10から発生されるクロックCKrcとデータR'sgとI'sgの同期成分を比較し、比較結果に応じた相関出力ScをFST補正部4Bに出力する。 そして、FST補正部4Bで制御電圧VCを生成し、これにより電圧制御クロック発振器10を制御し、正しい周期のクロックCKrcが発生され、受信側の各ブロックに供給される。
【0006】
次に、図17に示した各ブロックの詳細について説明する。
伝送路符号化部1Tは、伝送中に混入の恐れがある各種のエラーによるデータ誤りを防止するため、インターリーブ処理、エネルギー拡散処理、エラー訂正用符号処理等を行う。
符号化部2Tは、信号Diiを、マッピングROMを用いてI,Q軸の所定点の情報に変換し、また、不要キャリアに相当する期間の信号は0に置換し、データRfとIfを作成する。
IFFT変換部3Aは、入力信号RfとIfをクロックCKdとパルスFSTとでタイミングを決められた、シンボル周期の時間軸波形RとIに変換する。
具体的には、プレッシー社のPDSP16510等を用いれば実現できる。
ガード付加部3Bは、ここに入力された信号RとIを1024サンプル遅延させる遅延器と、1025サンプル目から1072サンプル目のみ遅延出力を選択する切り替え器からなり、これらはクロックCKとパルスFSTによってタイミングを決められる。 ここで得られる全1072サンプルからなるシンボルは、1025サンプル目から1072サンプル目に、1サンプル目から48サンプル間の時間軸波形が付加され、情報シンボルRg,Igとなる。
【0007】
次に、同期シンボル挿入部5の一例を図18に示す。 まず、ROM5−1,5−2は、クロックCKとパルスFSTでタイミングが決められたコントローラ5−5によって制御され、これにより、パルスFSTに応じたタイミングで同期シンボル信号を発生する。
同様にSEL5−3,5−4は、クロックCKとパルスFSTでタイミングが決められたコントローラ5−6によって制御され、ガード付の時間情報シンボル信号Rg,Igの、現段階では無信号期間である1シンボルから6シンボルまでの期間だけを、ROM5−1,5−2から読み出した同期シンボル信号に切り替えて出力する。
ここで、この同期シンボル信号としては、例えば、1シンボル期間中無信号で、該同期シンボル群の存在を大まかに見つけるためのヌル(NULL)シンボル、1シンボル期間に1本のキャリアにしか信号成分を持たない特殊なシンボル(以下、CWシンボルと称す)、1シンボル期間に伝送帯域の下限周波数から上限周波数に変化する波形であって、シンボルの切り替わり点を正確に求めるためのスイープ(SWEEP)シンボル、遅延検波復調をするために必要な位相基準を示す基準シンボル(以下、リファレンスシンボルと称す)等である。 なお、同期シンボルを6組とする場合、上記にさらに2つの予備シンボルが付加される。
次に、直交変調処理部8について説明を補足すると、D/A変換器81により、実数部の信号Rsgと虚数部の信号Isgに対してD/A変換を行い、直交変調器82では、まず実数部信号に対しては、発振器83からの周波数fcのキャリア信号のままで変調し、虚数部信号に対しては、発振器83の周波数fcのキャリア信号を90°移相した信号で変調することによって直交変調を施し、これらの信号を合成してOFDM変調波信号を得る。
【0008】
次に、受信側Rxの構成動作について説明する。
受信側Rxでは、伝送されたフレーム構成の信号は、AGC部9Aに入力され、ここで、受け取った信号レベルを適正レベルに修正する制御信号Saを発生しレベルを変更する。 AGC部9Aにて適正レベルとなったOFDMフレーム構成信号は、直交復調処理部9Bに入力される。
ここでの処理は、送信側Txとは逆に、直交復調器91によって、電圧制御発振器93から出力される周波数Fc'のキャリア信号により復調した出力を実数部信号として取り出し、キャリア信号を90°移相して復調した出力を虚数部信号として取り出すものである。 そして、これら実数部と虚数部の各復調アナログ信号を、A/D変換器92によりディジタル信号に変換する。
同期検出&相関部4Aは、受信した信号R'sgとI'sgからフレームの区切りを探索しフレームの基準FSTrcを出力するとともに相関出力Scを出力する。
そして、FFT部3Cは、このパルスFSTrcに基づいてシンボルを区切り、前述のようにフーリエ変換を行うことでOFDM復調を行い、データR'fとI'fを出力する。
復号化部2Rは、例えばROMテーブル手法にて、データR'fとI'fを識別し、データD'oを算出する。
伝送路復号化部7は、逆インターリーブ処理、エネルギー逆拡散処理、エラー訂正処理等を行い、連続したディジタルデータDout、エラー訂正処理状況であるBER(ビット・エラー・レート)状態を示す信号Sbおよび受信側クロック信号CKRXを出力する。
【0009】
次に、図19に同期検出&相関部4Aの具体的構成の一例を示し、説明する。直交復調したディジタル信号である時間軸信号R'sg,I'sgは、NULL終了検出器4−1とSWEEP演算器4−2に入力される。
NULL終了検出器4−1は、フレーム構成のシンボル群から同期シンボル中で無信号状態にあるNULLを検出し、同期シンボルの大まかな位置(タイミング)を検出し、NULL終了時点からタイマ回路によりSWEEPシンボル開始時点を推定して、SWEEP開始指示パルスSTを出力する。
SWEEP演算器4−2は、SWEEP開始指示パルスSTを参照しNULLシンボルの2シンボル後に存在する波形を、SWEEPシンボル波形と推定して取り込み、各シンボルの正確な切り替わりタイミングを捜索する。
具体的には、予めSWEEPシンボルのパターンが格納してあるメモリ4−3を用い、入力されたOFDM信号とこのメモリ4−3から読み出したパターンを例えば相関演算し、相関出力Scを、図17のFST補正部4Bに出力する。
FST補正部4BはフレームパルスFSTrを基準に、各シンボルの正確な切り替わりタイミングとの位相ずれを算出し、受信側の基準クロックCKrの補正信号VCを出力し、受信側のフレーム位相を伝送データに一致させる。
フレームカウンタ4−4は、SWEEP開始指示パルスSTに基づいて、クロックCKのカウントを開始し、このカウント数がフレーム周期に相当する値(例えば、1072×900)に到達する毎に、パルスFSTrを出力するとともに、カウント値を0に戻してから再びクロックCKのカウントを開始する。
従って、以後は、一定カウント毎に、即ちフレーム開始点毎にパルスFSTrが出力されることになり、受信側ではこのパルスFSTrを高速フーリエ変換、復号化、逆レート変換の開始タイミングとする。
【0010】
次に、図20と図21を用いて、NULL終了検出器4−1の具体的構成と、SWEEP開始位置推定過程の詳細を説明する。
NULL終了検出器4−1へ供給される信号R'sg,I'sgは、絶対値回路4-1-1,4-1-2で絶対値化、加算器4-1-3で加算され、絶対値加算出力4aとなる。この絶対値加算出力4aを、比較器4-1-4において、しきい値Vthと比較し、しきい値Vthを越えない期間、即ち、T1〜T2間のNULLシンボル期間に相当する比較結果出力4bを得る。
そして、エッジ検出器4-1-5において、比較結果出力4bから、信号の立上りエッジを検出する。 そして、遅延回路4-1-6により、この信号立上りエッジ検出信号4cを1シンボル遅延し、SWEEP開始指示パルスSTを発生する。
このSWEEP開始開始指示パルスSTによって、正しいSWEEPシンボル開始位置(T3)を特定することができ、SWEEP演算器4−2に、SWEEPシンボル波形の開始部分から取り込めるため、SWEEP演算における位相ずれを正確に算出でき、各シンボルの正確な切り替わりタイミングを捜索することが可能となる。
すなわち、SWEEP演算器4−2から出力される相関出力Sc信号を基に、FST補正部4Bでずれ検出を行い、受信側サンプルレートとなるクロックCKrcの速度を調整し、伝送されてきた同期シンボル位相とのロック処理を行うことによって、FFTゲートの時間的位置の誤差は消える。 なお、反射波があるからゲート位置はシンボル期間の後部がベターである。
ところで、粗調整にあたる同期シンボルの検出エッジを基に決定するSWEEP開始指示パルスの時間的位置が正確であれば、微調整にあたるクロックCKrcの速度調整により行うFFTゲートの時間的位置補正量が減少し、その所要時間も減少する。 すなわち、より少ない時間で、誤差0(ずれ無し)のゲート位置に設定でき、最良の復号状況を達成できる。
この様な場合の、相関出力信号Scの一例を、図22に示す。 図から明らかな様に、この場合の相関出力信号Scは、反射波がなく、主波による鋭いピークが唯一存在する形となる。
【0011】
次に反射波あり時の動作、NULL検出しきい値との関連を説明する。
図23に示す如く、反射波が存在すると、NULL終了点の検出ずれが大きくなり、検出エッジの時間的位置は遅れるため、粗調整の精度は低下し、微調整で行う補正量も増加し、ひいては微調整に要する時間が増加して、最良の復号状況への到達が遅れる。 反射波の影響を低減する場合、しきい値Vthを低め(α=0.3)に設定すれば、主波によるNULL終了点を検出し易くなって、粗調時のずれ量は少なくなり、上述の微調整の所用時間の延長は防止できる。
このような場合の、相関出力信号Scの一例を図24に示す。 図から明らかなように、この場合の相関出力信号Scは、主波による山と反射波による山が存在する形となる。
以上は、雑音成分の混入の少ない高CNでの状態が前提であった。 しかし、図25に示すように、入力電界の低い使用条件では雑音成分が増加し、比較結果出力4bにNULL期間の雑音成分で発生した偽信号が混ざる。このため、粗調整の精度は大幅な低下となる恐れがある。 また、更に電界が弱まるとNULL期間の雑音成分が、常にしきい値Vthを越えてしまい、NULL期間の終了点を全く検出不能となる場合も生じる。 このような低CNでの動作を確保するには、しきい値Vthは高め(α=0.8)が良い。
このような場合の、相関出力信号Scの一例を図26に示す。 図から明らかな様に、この場合の相関出力信号Scは、受信側で再生したFSTrパルスを基準に取り込んだSWEEP信号に雑音が多く含まれ、SWEEPパターンメモリ4−3の位相をずらしながら一致度を演算するが、高CN時ほど一致度が高まらないため、主波により生じる山は緩い形となる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、以上説明したようなディジタル伝送装置を、マラソン中継等の移動しながらの電波伝送に用いる場合、受信側のアンテナを移動中の中継車等の送信アンテナに正確に向け、強い電波を受ける方向調整作業が必要となる。 以後、この方向調整作業を、ここでは短縮して、方調と呼ぶ。
この方調作業を容易化するため、図17に示す様な従来の装置には、電界の強さをAGC部9Aの制御信号Saと見立て、電界の強さ(Sa値)に応じて周波数が変化する低周波の信号を出力する手段(例えば、図示しない電界強度を音の高・低で表す手段)や電界強度レベルメータが装備されていた。
旧来のアナログ伝送の場合、ほとんどのケースで、伝送品質は電界が強い程に良好となる。 しかし、ディジタル伝送の場合は、電界が強くて反射波の混入が多い状態より、多少電界が弱くても反射波が無く、主波のみ存在する状態の方が、良好な伝送状態を得られることが圧倒的に多い。
また従来のアナログ伝送方式では、反射波の影響を大きく受けるため、見通しのきく状態でのみ使用されていたが、近年開発されたディジタル伝送方式、特にOFDM変調方式は、反射波の影響が少ないため、見通し外での伝送に積極的に利用されていることは、前述した通りである。
しかし、見通し外からの伝送となると、受信側のアンテナ方向調整者は、送信側を目視できなくなる。 そのため、アンテナ方向調整者が、目視できない送信側に対して正確に方調するには、電界強度やBER(ビット・エラー・レート)状態をそれぞれ検出し、専用のレベルメータ等に表示し、これらと再生画像を見比べながら方調を行うこととなる。
【0013】
ここで、ディジタル伝送方式において、受信信号を画像化するためには、前述の受信側処理部203のOFDM復調で得たディジタルデータDoutを、図示しないMPEGデコーダを用いて画像に復元する必要がある。 このように、ディジタル伝送方式では、アナログ伝送方式のように、アンテナ方向調整者のいる受信アンテナ側で、受信信号を画像化することが容易ではないため、前述の電界強度やBER状態を示す専用のレベルメータ等に頼って、方調を行うことが多い。
しかしながら、前述のように、ディジタル伝送の場合、電界は強いが反射波の混入が多い状態より、多少電界が弱くても反射波が無く、主波のみ存在する状態の方が、良好な伝送状態を得られることが圧倒的に多いため、反射波の混入状況(ゴースト状況)を把握せず、電界強度やBER状態と再生画像を個々に見て方調を行っても、必ずしも品質の高い伝送が実現できないことになる。
本発明はこれらの欠点を除去し、OFDM信号等のディジタル伝送においては、電界強度やBER状態だけでは、必ずしも伝送品質の良否は分からないため、反射波の有無・混入状態(ゴースト状態)を映像化し、更には電界強度やBER値の状態等も映像化し、これらの状況を総合的に視認しながら方調することにより、高品質な伝送状態の維持作業を容易化することを目的とする。
また、方向調整者が、複数台の中継車に対しアンテナ方調等の操作を行う場合、多数の表示モニタを見なくても済むように、映像化した伝送状態を、他の映像信号に同期させることで、俗に言う、スーパーインポーズ状態で表示することを目的とする。
さらには、異常な伝送状態を検知した時に、映像化した異常な伝送状態波形を所定時間正常な伝送状態波形に重畳し残留表示させ、伝送路特性の把握を可能にすることを目的とする。
また、その異常状態発生時に警告音を発生し、異常状態発生を知らせることを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の目的を達成するため、マルチキャリア変調方式を用いたディジタル伝送システムにおいて、受信側に、受信信号から、反射波の混入状態を表すゴースト状態信号、復号BER(ビット・エラー・レート)状態を表すBER状態信号及び電界強度を表す電界強度状態信号の内、少なくとも上記ゴースト状態信号を生成し当該対応する状態信号を映像化信号に変換生成する手段と、当該映像化信号を所定の表示基準に基づいて画像表示する手段を有し、当該表示画像の状態から伝送状態を総合的に解析・把握するようにしたものである。
また、上記映像化信号に変換生成する手段は、少なくとも上記ゴースト状態の映像化信号と対応するガード期間及び時間目盛を表す映像化信号を所定の位置関係で統合するものである。
更に、上記映像化信号に変換生成する手段は、上記生成された対応する状態の映像化信号と上記受信信号の復号映像信号を所定の位置関係で統合する手段を具備するものである。
また、マルチキャリア変調方式を用いたディジタル伝送システムにおいて、受信側で、受信信号から、反射波の混入状態を表すゴースト状態信号、復号BER(ビット・エラー・レート)状態を表すBER状態信号及び電界強度を表す電界強度状態信号の内、少なくとも上記ゴースト状態信号を生成し、当該対応する状態信号を映像化し、所定の表示基準に基づいて画像表示し、当該表示画像の状態から伝送状態を総合的に解析・把握するものである。
また、少なくとも上記ゴースト状態の映像化信号と対応するガード期間及び時間目盛を表す映像化信号を所定の位置関係で統合し画像表示するものである。
さらに、上記生成された対応する状態の映像化信号と上記受信信号の復号映像信号を所定の位置関係で統合し画像表示するものである。
【0015】
また、上記生成された対応する状態の映像化信号を適宜表示位置を切換え画像表示するものである。
また、上記ゴースト状態の映像化信号の所定レベル範囲にある信号を他のレベル範囲にある信号と異なる属性として画像表示するものである。
更には、上記ゴースト状態の映像化信号のガード期間を表す映像化信号を他の映像化信号と異なる属性として画像表示するものである。
また、反射波の混入状態を表すゴースト状態を示す情報を、映像信号に変換して横方向表示し、表示の分解能もしくは表示の範囲を拡大するものである。
更にまた、異常な伝送状態を検知した時に、映像化した異常な伝送状態波形を所定時間、正常な伝送状態波形に重畳し残留表示させ、伝送路特性の把握を可能にするものである。
また、その異常状態発生時に警告音を発生し、異常状態発生を知らせるようにしたものである。
これにより、ゴースト状態映像化信号、更にはBER状態映像化信号及び電界強度映像化信号とを映像モニタに画像表示することによって、それぞれの映像化信号の状態を関連付けて総合的に見ることができるため、伝送状態を正確に把握することができる。
従って、アンテナ方向調整者は、この表示画像により効率的に方調作業を行うことができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1に、OFDM変調方式を用いた本発明の伝送システムの全体ブロック構成を示し、以下、受信側における構成・動作を主として説明する。
この伝送システムは、送信側Txに図17に示す送信側処理部(ATX:送信アンテナ)101を、受信側Rxに図17に示す受信側処理部(ARX:受信アンテナ)203、伝送状態映像変換部7、映像表示装置11を有する構成である。
受信側Rxにおいて、受信側処理部203から得られる電界強度を表すAGC制御信号Sa、相関出力ScおよびBER状態を示す信号Sbは、伝送状態映像変換部7に接続される。 また、受信側処理部203の動作タイミング基準であるパルスFSTrcも、伝送状態映像変換部7に接続される。 後述のようにして伝送状態映像変換部7で生成された伝送状態映像信号は、映像表示装置11により表示される。
【0017】
図2の(a)に、伝送状態映像変換部7の一実施例のブロック構成を示し、以下に説明する。
制御信号Saは、電界強度−映像変換部7−1に入力される。 電界強度−映像変換部7−1の出力は、映像統合部7−4に入力される。
信号Sbは、BER状態−映像変換部7−2に入力される。 BER状態−映像変換部7−2の出力は、映像統合部7−4に入力される。
信号ScおよびFSTrcは、ゴースト状態−映像変換部7−3に入力される。ゴースト状態−映像変換部7−3の出力は、映像統合部7−4に入力される。
映像統合部7−4からの同期信号C.SYNCは、電界強度−映像変換部7−1、BER状態−映像変換部7−2、ゴースト状態−映像変換部7−3の同期入力端子に接続される。 また、映像統合部7−4からは、後述する伝送状態映像信号が出力される。
電界強度−映像変換部7−1、BER状態−映像変換部7−2、ゴースト状態−映像変換部7−3は、同期信号C.SYNC入力に従い、各々の状態を示す信号を、それぞれ映像信号に変換する。 映像統合部7−4では、映像化されたこれらの信号を統合し、映像用の同期信号を付加した伝送状態映像信号を生成する。
ここで、図2の(b)に各伝送状態映像信号の表示画像の1例を示し説明する。
ゴースト状態映像は、棒グラフあるいは折れ線グラフ状の相関出力波形映像に時間目盛とガード期間の範囲とを対応付け表示画面の左側に表示される。 またBER状態映像は、画面の右上に中程度のサイズのドットブロックとして表示され、電界強度映像は、画面の右下に小ドットを積み重ねたブロックを数列、配置したものとして表示される。 これらは、伝送状態に応じて、表示される波形、ブロック数が変化する。 なお、これらの伝送状態映像の表示の更新は、受信・復号される映像信号の更新周期に依存する。
【0018】
次に、図3の(a)に電界強度−映像変換部7−1の一実施例のブロック構成を示し、(b)に電界強度映像化信号の映像表示画面上における表示状態を模式的に示し、以下に一例を用いて説明する。
電界強度を表す制御信号Saは、A/D変換器7-1-1に入力されて、例えば、6ビットのディジタル信号DSaに変換される。 この電界強度を表す信号DSaは、デコーダ(DEC)7-1-2で、例えば、信号Da0〜Da23の全24の信号に変換される。 ここで、信号DSaが01h、即ち10進で1ならば、Da0とDa1のみレベルHとなる。 また、信号DSaが15h、即ち、10進で21なら、Da0からDa21がレベルHとなる。
信号Da0からDa23の各出力は、24個のアンドゲート(AND)7-1-4に入力される。 AND7-1-4の計24個の出力は、オアゲート(OR)7-1-5に入力される。 同期信号C.SYNCは、表示位置パルス発生器7-1-3に入力され、ここで、同期信号C.SYNCのタイミングに応じて、対応する表示位置のパルスa0〜a23が出力される。 パルスa0〜a23は、AND7-1-4のもう一方の端子に入力され、信号Da0〜Da23と論理積を取られる。
ここで、電界強度を表す信号DSaが00h、即ち10進で0なら、信号Da0のみレベルHであるから、パルスa0のみ論理積がHとなって、パルスa0に対応する位置のブロックのみ表示される。 また、信号DSaが16h、即ち10進で22ならば、信号Da0〜Da22まで論理積がHとなり、パルスa0〜a22に対応する位置の全ブロックが表示される。
ここで例えば、パルスa0は、走査線が208H〜210Hで、サンプル数が384サンプル〜414サンプルの位置においてレベルHとなり、パルスa22は、走査線が202H〜204Hで、サンプル数が540〜570サンプルの位置においてレベルHとなり、パルスa23は、走査線が199H〜201Hで、サンプル数が540〜570サンプルの位置においてレベルHとなるものとすれば、電界強度映像は、図3の(b)に示すように表示される。
すなわち、電界強度映像は、電界強度を表す制御信号Saの値に応じて、表示されるブロック数が変化するものとなる。
【0019】
次に、図4の(a)にBER状態−映像変換部7−2の一実施例のブロック構成を示し、(b)にBER状態映像化信号の映像表示画面上における表示状態を模式的に示し、以下に一例を用いて説明する。
BER状態を表す信号Sbは、A/D変換器7-2-1に入力され、約3ビットのディジタル信号DSbに変換される。 該BER状態を示す信号DSbは、デコーダ(DEC)7-2-2にて、例えば、信号Db0〜Db4の全5つの信号に変換される。
ここで、信号DSbが01h、即ち10進で1なら、信号Db1とDb0のみレベルHとなる。 またDb0〜Db4の各出力は、5個のアンドゲート(AND)7-2-4に入力される。 そしてAND7-2-4の計5個の出力は、オアゲート(OR)7-2-5に入力される。
同期信号C.SYNCは、表示位置パルス発生器7-2-3に入力され、同期信号C.SYNCのタイミングに応じて、BER状態を表示するためのパルスb0〜b4が出力される。 ここで、映像表示画面上におけるBER状態表示用のパルスb0〜b4は、図4の(b)に模式的に示すように表示される。
パルスb0〜b4は、AND7-2-4のもう一方の端子に入力され、信号Db0〜Db4と論理積を取られる。 ここで、BER状態を表す信号DSbが00h、即ち10進で0なら、信号Db0のみレベルHであるから、パルスb0のみ論理積がHとなって、パルスb0に対応する位置のブロックのみ表示される。 また、信号DSbが03h、即ち10進で3なら、Db0〜Db3まで論理積がHとなり、パルスb0〜b3に対応する位置の全ブロックが表示される。
すなわち、BER状態映像は、BER状態を表す制御信号Sbの値に応じて、表示されるブロック数が変化するものとなる。
【0020】
ここで、図4の(b)の様に、映像表示画面上にBER状態表示用パルスb0〜b4を表示するための論理処理について説明する。
表示位置パルス発生器7-2-3は、例えば、NTSC用であれば、14.3MHzクロックにてカウント動作し、H周期にてリセットされる910分周カウンタと、1/2Hクロックにてカウント動作し、V周期にてリセットされる525分周カウンタとの論理処理を行う。
これにより、図4(b)に示すように、例えば、b4信号は、走査線が80H〜96Hで、サンプル数が512サンプル〜526サンプルの位置において、表示され、b3信号は、走査線が80H〜96Hで、サンプル数が528サンプル〜542サンプルの位置に表示される。 b2信号は、走査線が80〜96Hで、サンプル数が544〜558サンプルの位置に表示される。 b1信号は、走査線が80〜96H、サンプル数が560〜574サンプルの位置に表示される。b0信号は、走査線が80〜96Hで、サンプル数が576〜590サンプルの位置に表示される。
【0021】
次に、ゴースト状態−映像変換部7−3の一実施例のブロック構成を、図5に示し、以下に一例を用いて説明する。
前述したゴースト状態を表す相関出力信号Scは、A/D変換器7-3-1に入力され、8ビットのディジタルの相関出力信号DScに変換される。 そして、この信号DScはFIFO7-3-2に入力される。 また、前述のフレーム周期のパルスFSTrcは、FIFO7-3-2の書き込みリセット端子に入力される。 FIFO7-3-2のディジタル相関出力信号D'Scは、比較器7-3-4に入力される。 比較器7-3-4の出力であるゴースト状態のレベル信号LEは、ゲート7-3-6に入力される。 また、前述の同期信号C.Syncは、タイミングパルス発生器7-3-3に入力される。 そして、該発生器7-3-3は、同期信号C.Syncに応じ、FIFO7-3-2に読出しリセット信号RRSTと読出しイネーブル信号REを、Hカウンタ7-3-5に同期信号HD、ゲート7-3-6にブランキングゲート信号BGを出力する。 またHカウンタ7-3-5は、信号HDに応じて発生したH周期の三角波の信号Dhを、比較器7-3-4へ入力する。
【0022】
ここで、信号C.SYNCとRRST、RE、HD、Dh、BG、LEの各信号の関係を図6に示し、以下にこの動作について説明する。
タイミングパルス発生器7-3-3は、映像周期での1フィールド期間の開始時期にリセット信号RRSTを出力し、FIFO7-3-2に、最初の書込み内容から読出し準備を行わせる。 また、H周期毎のRE信号により、FIFO7-3-2に書込まれた内容(DSc)が、1データずつ順番に読出される。 そして、映像のH周期に応じて読出された信号D'Scは、H周期の値Dhと比較され、D'Sc<Dhの期間にレベルHとなるゴースト状態を表すレベル信号LEが生成される。 ここで、ブランキング期間における信号LEの発生を防止するため、ブランキング期間にレベルがLとなる信号BGを用いて、ブランキング期間は強制的にレベルをLとする。
これによって、相関出力信号Scのレベルが高ければ、Hレベルの期間が長いゴースト状態映像化信号である信号LEが作成される。
【0023】
ここで、図7に示す様に、ゴースト状態映像化信号を棒グラフ状の映像として、映像表示画面の左側に縦方向に表示する場合について説明する。 ここでは、走査線n番目に相当するゴースト状態レベル信号LEが主波であり、かつ最大値をとるものとする。 また、信号Dhは2サンプル毎に値1ずつ増加し、最終的に450前後に達する信号とする。
例えば、走査線n番目に相当する信号D'Scが、値241であったとすると、Hカウンタ7-3-5出力のDhの値が241を越える時間は、サンプル数で482サンプル目であり、LEは1サンプル〜482サンプルの期間、レベルHを出力することになる。 しかし、信号BGが1サンプル目から90サンプル目までの期間、レベルLを出力するため、信号BGがレベルLの期間は、信号LEがレベルLにゲートされ、走査線n番目のゴースト状態映像化信号は、91サンプル目から482サンプル目がレベルHとなり、図7に示すように、表示される。
また、走査線n+1番目に相当する信号D'Scが値123であったとすると、Dhの値が123を越える時間は、サンプル数で246サンプル目であり、LEは1サンプル〜246サンプルの期間、レベルHを出力するが、信号BGで上記の様にゲートされるため、走査線n+1番目のゴースト状態映像化信号は、91サンプル目から246サンプル目がレベルHとなり、図7に示すように、表示される。
同様に、走査線n−2番目に相当する信号D'Scが値89であったとすると、Dhの値が89を越える時間は、サンプル数178サンプル目であり、信号LEは1サンプル〜178サンプルの期間、レベルHを出力するが、信号BGで上記の様にゲートされるため、走査線n−2番目のゴースト状態映像化信号は、91〜178サンプル目がレベルHとなり、図7に示すように表示される。
【0024】
次に、映像統合部7−4の一実施例のブロック構成を図8に示し、以下に説明する。
前述の電界強度映像化信号、BER状態映像化信号、ゴースト状態映像化信号は、ゲート7-4-1,7-4-2,7-4-3を経由して加算器7-4-6へ入力される。
表示選択器7-4-4は、電界強度映像化信号、BER状態映像化信号、ゴースト状態映像化信号の内、表示する信号を個別に選択(ON/OFF)するための信号を出力する。 映像同期信号発生器7-4-5は、同期信号C.SYNCを、加算器7-4-6及び外部に出力すると共に、ゴースト状態映像化信号に対する時間軸の目盛及びガード期間の範囲を示すパルスを出力するもので、例えばNTSC用であれば、14.3MHzクロックにてカウント動作し、H周期にてリセットされる910分周カウンタと1/2Hクロックによりカウント動作し、V周期にてリセットされる525分周カウンタとにより論理処理を行う。 ゲート7-4-1,7-4-2,7-4-3は、表示選択器7-4-4の選択信号に応じ、電界強度映像化信号、BER状態映像化信号、ゴースト状態映像化信号をそれぞれON/OFFゲートする。 加算器7-4-6は、映像表示画面上において、各映像化信号が所定の大きさ、位置に表示される様、同期信号C.SYNCに基づき、ゲート7-4-1,7-4-2,7-4-3を通過した各映像化信号と上記の目盛及び範囲を示す信号を加算し、伝送状態映像化信号を生成する。
ここで、加算器7-4-6における各映像化信号の加算比率の1例を以下に示す。加算器7-4-6に入力される信号がすべてディジタルレベルの+5Vであるとすると、電界強度映像化信号、BER状態映像化信号、ゴースト状態映像化信号は、各々0.2の比率で、目盛信号と範囲信号は、0.05の比率で、同期信号C.SYNCは0.1の比率で加算される。 これにより、同期部分を含めて、約1Vp-p程度の伝送状態映像化信号が生成される。
【0025】
ここで、図9の(a)に、上記ゴースト状態映像化信号に対する時間軸の目盛を示す信号curとガードインターバル期間の範囲を示す信号C-GIが、モニタ画面に表示される例を模式的に示し、(b)に、同期信号C.SYNCを基準に、上記の目盛信号curと範囲信号C-GIの信号発生のタイムチャートを示し、説明する。
上記目盛信号curは、例えば、モニタの有効画像範囲の走査線32H目から16H毎に240Hまでの間で、サンプル数が108〜144サンプルの位置においてレベルHとなるものとする。 範囲信号C-GIは、例えば、走査線が112H〜160Hで、サンプル数が112サンプル〜128サンプルの位置においてレベルHとなるものとする。
ガードインターバル期間の範囲を示す信号C-GIは、正常な伝送状態で、主波が存在すべき走査線n番目から表示を開始し、表示の終了は、ガードインターバルが3μsecで、OFDMのサンプルクロック周波数が16MHzの場合、48H後に設定することで、3μsecの期間を示す帯状の画像となる。 また、時間目盛を示す信号curは、OFDMのサンプルクロック周波数が16MHzであれば、走査線16H毎にレベルHとなるよう設定することにより、1μsec毎の目盛線となる。
【0026】
次に、ゴースト状態映像化信号とBER状態映像化信号、更に電界強度映像化信号を映像表示モニタに画像表示することにより、現在の伝送状態を正確に把握できる様子を、伝送状態の映像表示画面を模式的に示す図10を用い説明する。図10の(a)は、反射波がなく、高レベルの主波を受信している状態におけるゴースト状態映像の1例である。 この場合、ガード期間内の走査線n番目付近に、主波を示す高レベルの山が存在しており、画面右側に表示されたBER状態、電界強度も良好な値となっているため、良好な伝送状態であることが分かる。同図(b)は、高レベルの主波と中レベルで主波との到達時間差がガード期間内(2μsec)の反射波を受信している状態におけるゴースト状態映像の1例である。この場合、ガード期間内の走査線n番目付近に、主波を示す高レベルの山が存在し、ガード期間の2/3程度の位置に第2の中レベルの山が表示される。 この第2の山の存在で、中レベルの反射波が存在するが、その遅延時間は2μsec程度で、ガード期間内にあり、反射波を相殺できる状態であると判定できる。 また、この場合のBER状態、電界強度も、比較的良好な値となっているため、良好な伝送状態であることが分かる。
同図(c)は、高レベルの主波と小レベルで主波との到達時間差がガード期間を越える(5μsec)反射波を受信している状態におけるゴースト状態映像の1例である。 この場合は、ガード期間内の走査線n番目付近に、主波を示す高レベルの山が存在し、ガード期間を外れた位置に、第2の小さな山が表示される。 この第2の小さな山の存在で、レベルが小程度の反射波が存在し、その遅延時間は、ガード期間を越える5μsec程度であり、反射波を相殺できない状態であると判定できる。 また、この場合は、電界強度は良好であるが、BER状態がやや不良な値となっており、やや不良な伝送状態であることが分かる。
【0027】
同図(d)は、中レベルの主波と大レベルで主波との到達時間差がガード期間を越える(5μsec)反射波を受信している状態におけるゴースト状態映像の1例である。 この場合は、ガード期間内の走査線n本目付近に主波を示す山が存在し、ガード期間を外れた位置に第2の大きな山が表示される。 この第2の大きな山の存在により、レベル大の反射波が存在し、その遅延時間はガード期間を越える5μsec程度であり、レベル大の反射波を相殺できない状態であると判定できる。また、この場合のBER状態、電界強度も、不良な値となっており、不良な伝送状態であることが分かる。
同図(e)は、小レベルの主波とレベルが大で主波との到達時間差があまりない(2μsec)反射波を受信している状態におけるゴースト状態映像の1例である。この場合は、走査線n本目以前に主波を示す小さな山が存在し、ガード期間内の走査線n本目付近に反射波による第2の大きな山が表示される。 この場合、主波による第1の小さな山でなく、第2の大きな山である反射波に受信同期しようとしていることが判る。 また、この場合、電界強度は良好であるが、BER状態は不良な値となっており、不良な伝送状態であることが分かる。
ここで、この大レベルの反射波は、通常は継続せず消えゆく運命にあるため、反射波のレベルが低下した時点で、受信同期を主波に戻すアクションが行われる可能性大であり、この場合、BER値が劣悪になる恐れがあり、近い内に、劣悪な伝送状態となることを予め予想することができる。
以上のように、ゴースト状態映像化信号とBER状態映像化信号、更には電界強度映像化信号とを映像モニタに画像表示することによって、それぞれの映像化信号の状態を関連付けて総合的に見ることができるため、伝送状態を正確に把握することができる。
従って、アンテナ方向調整者は、この表示画像により効率的に方調作業を行うことができる。
【0028】
次に、図1の伝送状態映像変換部7を、上記伝送状態映像化信号と受信・復号した映像信号を重畳する伝送状態映像重畳部7bとした一実施例のブロック構成を図11に示し、以下に説明する。
図1の受信側処理部203のOFDM復調で得たディジタルデータDoutを、図示しないMPEGデコーダを用いて復号した映像信号は映像統合部7b-4へ、電界強度を表す制御信号Sa、BER状態を表す信号Sb、相関出力信号Scは、それぞれ電界強度−映像変換部7b-1、BER状態−映像変換部7b-2、ゴースト状態−映像変換部7b-3により、それぞれ映像信号化された後、映像統合部7b-4に入力される。
図12に、この映像統合部7b-4のブロック構成を示し、以下に説明する。
受信・復号した映像信号は、外部映像同期型同期信号発生器7b-4-5と、加算器7b-4-6に入力される。 前述の電界強度映像化信号、BER状態映像化信号、ゴースト状態映像化信号は、ゲート7b-4-1,7b-4-2,7b-4-3を経由して、加算器7b-4-6へ入力される。
表示選択器7b-4-4では、電界強度映像化信号、BER状態映像化信号、ゴースト状態映像化信号の内、表示する信号を個別に選択(ON/OFF)するための信号を出力する。 外部映像同期型同期信号発生器7b-4-5は、映像信号から抽出した同期信号C.SYNCを加算器7b-4-6および外部に出力すると共に、ゴースト状態映像化信号に対する時間軸の目盛及びガード期間の範囲を示すパルスを出力する。 ゲート7b-4-1,7b-4-2,7b-4-3は、表示選択器7b-4-4の選択信号に応じ、電界強度映像化信号、BER状態映像化信号、ゴースト状態映像化信号を、それぞれON/OFFゲートする。 加算器7b-4-6は、映像表示画面上において、各映像化信号が、所定の大きさ、位置に表示される様、同期信号C.SYNCに基づき、ゲート7b-4-1,7b-4-2,7b-4-3を通過した各映像化信号と上記の目盛及び範囲を示す信号および受信復号した映像信号を加算し、伝送状態重畳映像信号を生成する。
この伝送状態重畳映像信号を映像モニタに画像表示することにより、それぞれの映像化信号と受信復号した映像信号の状態を関連付けて総合的に見ることができるため、図10より更に、伝送状態を正確に把握することができる。
ここで、加算器7b-4-6における各信号の加算比率の1例を、以下に示す。 加算器7b-4-6に入力される信号が全てディジタルレベルの+5Vであるとすると、電界強度映像化信号、BER状態映像化信号、ゴースト状態映像化信号は各々0.2の比率で、目盛信号と範囲信号は、0.05の比率で、映像部分が0.7V程度のアナログ信号である映像信号は、比率1で加算される。
【0029】
次に、外部映像同期型信号発生器7b-4-5の一実施例のブロック構成を図13に示し、以下に説明する。
外部映像同期型信号発生器7b-4-5の同期抽出器7b-4-5-1では、入力された映像信号から外部の同期信号を抽出する。 同期信号発生器7b-4-5-2は、抽出した外部の同期信号に応じて、内部の同期信号C.SYNCを作り出す。
なお、上記時間軸の目盛、ガード期間の範囲パルスは、前述の映像統合部7-4と同様にして生成される。
次に、表示位置切替型のBER状態−映像変換部7b-2の一実施例のブロック構成を図14に示し、前記BER状態−映像変換部7-2と異なる部分について、以下に説明する。
表示位置パルス発生器7b-2-3は、前記BER状態−映像変換部7-2と同様に同期信号C.SYNCのタイミングに応じて、BER状態を表示するためのパルスb0〜b4を出力するが、モード切替信号により、他の表示位置に対応するパルスb'0〜b'4を切替、出力する。 このパルスb0〜b4及びb'0〜b'4の映像表示画面上における位置変更の様子を、模式的に図15に示す。
表示位置パルス発生器7b-2-3は、NTSC用であれば、14.3MHzクロックにてカウント動作し、H周期にてリセットされる910分周カウンタと、1/2Hクロックにてカウント動作し、V周期にてリセットされる525分周カウンタとの論理処理を行う。
このように、モード切替信号=H(モード1)の場合、画面上方のパルスb0〜b4に対応する表示位置のブロックが表示され、モード切替信号=L(モード2)の場合、画面下方のパルスb'0〜b'4に対応する表示位置のブロックが表示される。
【0030】
ここで、図15のように、例えば、b4信号は、走査線が80H〜96Hで、サンプル数が512サンプル〜526サンプルの位置において、表示される。
b3信号は、走査線が80H〜96Hで、サンプル数が528サンプル〜542サンプルの位置に表示される。 b2信号は、走査線が80H〜96Hで、サンプル数が544サンプル〜558サンプルの位置に表示される。 b1信号は、走査線が80H〜96H、サンプル数が560サンプル〜574サンプルの位置に表示される。 b0信号は、走査線が80H〜96Hで、サンプル数が576サンプル〜590サンプルの位置に表示される。
また、b'4信号は、走査線192H〜208H、サンプル数520〜534サンプルの位置に表示され、以下同様にして、b'0信号は、走査線192H〜208H、サンプル数584〜598サンプルの位置に表示される。
【0031】
次に、図16に、本発明の伝送システムを画像コーデックと組み合わせ、上記伝送状態映像をMPEG復号画像に重畳して表示する映像・音声伝送システムの一実施例のブロック構成を示し、図1のOFDM変調方式を用いた伝送システムと異なる部分について、説明する。
送信側において、映像信号と音声信号は、MPEG−ENC部101Mにて、送信側処理部101からの基準クロックCKTXに従い、圧縮されたディジタルデータDinに変換される。 受信側において、受信した伝送信号は、受信側処理部203で復調され、データDoutとして、伸張処理を行うMPEG−DEC部203Mに入力される。 MPEG−DEC部203Mにて伸張された映像信号は、図11に示す伝送状態映像重畳部7bに入力され、ここで、前述の図2(b)に示す各映像化信号と時間目盛及びガード範囲を示す信号に重畳され、伝送状態重畳映像信号が生成される。
この伝送状態重畳映像信号を、映像表示装置11に画像表示することにより、それぞれの映像化信号と受信復号した映像信号の状態を関連付けて総合的に見ることができるため、伝送状態を正確に把握することができる。
なお、本発明は、電界強度、BER状態、ゴースト状態を映像信号化したことで、表示する装置も一般的なビデオモニタを使用できるため、状況に応じて最適なサイズで伝送状態の画像表示が可能となる。
また、ゴースト状態映像化信号の所定レベル範囲にある信号を他のレベル範囲にある信号と異なる属性(輝度レベル、色相等)として画像表示することで、注意すべき伝送状態を素早く見つけることができる。
【0032】
更には、ゴースト状態映像化信号のガード期間を表す映像化信号を他の映像化信号と異なる属性(輝度レベル、色相等)として画像表示することで、注意すべき伝送状態を素早く見つけることができる。
また、伝送状態を測定収集する際に、映像信号の形態に変換されているため、VHSやベータカム等のVTRに録画することで、測定収集した多量の伝送状態データを容易かつ安価に記録することができる。
これにより、ゴースト状態映像化信号、更にはBER状態映像化信号及び電界強度映像化信号とを映像モニタに画像表示することによって、それぞれの映像化信号の状態を関連付けて総合的に見ることができるため、伝送状態を正確に把握することができる。
従って、アンテナ方向調整者は、この表示画像により効率的に方調作業を行うことができる。
【0033】
次に、伝送状態映像変換部7、伝送状態映像重畳部7b(図2、図11)におけるゴースト状態−映像変換部7−3,7b−3(図5、図11)の他の実施例について、図27,図28,図29を用いて説明する。
前述のごとく、図5のゴースト状態−映像変換部7−3は、図7に示す様に、映像表示画面の左側に縦方向に、ゴースト状態映像化信号が棒グラフ状の映像として表示されていたため、分解能が走査線の本数によって限定された。 また、時間軸が縦方向の表示となり、人間の直感と不一致となり、瞬間の判断を要求される方向調整作業において、時間軸を頭の中で変換する本来の業務とは無関係な作業を追加することとなる等の問題がある。
そこで、本実施例では、ゴースト状態を示すゴースト状態映像化信号を、映像表示画面に横方向に表示し、表示の分解能あるいは表示範囲を拡大すると共に、時間軸を横方向に設定することにより、方向調整者が、オシロスコープ等と同等の感覚で、ゴースト状態を見ることができるようにする。
図27に、本発明の横表示のゴースト状態−映像変換部7a−3の構成を示すブロック図を、図28に、その映像表示画面の模式図を、図29に、各部波形図を示す。
なお、伝送状態映像変換部7、伝送状態映像重畳部7bにおけるゴースト状態−映像変換部7−3,7b−3以外の構成については、図2、図5、図11等に示すものと同等の構成のため、説明を省略する。
【0034】
図27において、 前述したゴースト状態を表す相関出力信号Scは、A/D変換器7a-3-1に入力され、例えば8ビットのディジタルの相関出力信号DScに変換される。 そして、この信号DScは、FIFO7a-3-2に入力される。
前述のフレーム周期のパルスFSTrcは、FIFO7a-3-2の書込みリセット端子に入力される。 FIFO7a-3-2のディジタル相関出力信号D'Schは、比較器7a-3-4に入力される。 比較器7a-3-4の出力であるゴースト状態のレベル信号LEhは、ゲート7a-3-5に入力される。
また、同期信号C.Syncは、クロック(CK)再生器7a-3-6、HD抽出器7a-3-7、VD抽出器7a-3-8にそれぞれ接続される。 CK再生器7a-3-6のクロック出力は、カウンタ7a-3-9に接続される。 カウンタ7a-3-9の出力WEは、FIFO7a-3-2のWE端子に接続される。
また、HD抽出器7a-3-7の出力HDは、カウンタ7a-3-10に接続される。 カウンタ7a-3-10の出力C−Sは、第1のデコーダ7a-3-3に接続される。
そしてVD抽出器7a-3-8の出力VDは、Hカウンタ7a-3-11に接続される。Hカウンタ7a-3-11の出力C−Hは、第1のデコーダ7a-3-3及び第2のデコーダ7a-3-12に接続される。
そして、第1のデコーダ7a-3-3は、FIFO7a-3-2のRR端子に読出しリセット信号RRSTを、FIFO7a-3-2のRE端子に読出しイネーブル信号REを、それぞれ出力する。
FIFO7a-3-2の出力(D'Sch)は、比較器7a-3-4に入力される接続される。第2のデコーダ7a-3-12の出力Dhhは、比較器7a-3-4に接続される。 比較器7a-3-4の出力LEhはゲート7a-3-5に接続される。
CK再生器7a-3-6は、同期信号C.Syncを基に、例えば、14.3MHzのクロック(CK)を再生する。 カウンタ7a-3-9は、該CKを分周し、相関出力信号Scの変化周期に応じた周期のWE信号を作成出力する。 HD抽出器7a-3-7は、同期信号C.SyncからH周期成分を抽出し、H周期のHD信号を出力する。 カウンタ7a-3-10は、HD信号でリセットされ、CK周期毎に値が増加するカウンタ信号C−Sを出力する。 VD抽出器7a-3-8は、同期信号C.SyncからV周期成分を抽出し、V周期のVD信号を出力する。 Hカウンタ7a-3-11は、VD信号でリセットされ、1H周期毎に値が増加するカウンタ信号C−Hを出力する。
【0035】
ここで図29に示す様に、デコーダ7a-3-3は、入力されるカウンタ信号C−Sとカウンタ信号C−Hにより、走査線m本目からm+n本目の期間に、1H期間で1CK期間、レベルLとなる読出しリセット信号RRSTを出力する。 これにより、FIFO7a-3-2の読み出しアドレスを0番目に初期化する。
また、同じく走査線m本目からm+n本目の期間にレベルHとなる読出しイネーブル信号REとで、FIFO7a-3-2の読み出しアドレスを進めることによりFIFO7a-3-2に書込まれた相関出力信号ScであるD'schが読み出される。
デコーダ7a-3-12は、ここに入力されるカウンタ信号C−Hから、走査線m本目にレベルlaを出力し、以後1H毎にレベルをiずつ低下させ、m+n本目にla-niとなる出力Dhhを発生する。
ここで、比較器7a-3-4は、相関出力信号ScであるD'schとデコーダ出力Dhhを比較し、D'sch>Dhhの期間、レベルHとなる信号LEhを出力する。
【0036】
即ち、図29に示す様に、走査線m本目の1H期間では、D'schはすべてDhh以下であるため、信号LEhはレベルLのままである。 次に、走査線m+1本目の1H期間では、D'sch>Dhhとなる中央部の僅かな期間t1のみ、信号LEhはレベルHとなる。 そして、走査線m+2本目の1H期間では、D'sch>Dhhとなる中央部の期間が前の走査線より広がり、信号LEhがレベルHとなる期間t2も長くなる。 以後、この様な処理、動作を繰り返すことにより、相関出力信号Scの波形を走査線構造で表現した信号LEhが完成する。
これにより、ゴースト状態を表す相関出力信号Scを映像化し、図28に示す様に、映像表示画面上に横方向に、ゴースト状態映像を表示することができる。
なお、図29では、説明を簡単にするため、ゴースト状態を表す相関出力信号Scの波形を走査線構造で表現した信号LEhとして、主波のみを示している。
【0037】
次に、伝送状態映像変換部7、伝送状態映像重畳部7b(図2、図11)の他の実施例について、図30〜図40を用いて説明する。
前述の如く、伝送路特性をゴースト状態映像化信号、更にはBER状態映像化信号及び電界強度映像化信号で把握しようとした場合、異常状態の発生に備えて常にモニタを凝視していなければならず、観測者の負担を増大させている。
また、人間の目で認識できないような短時間に異常状態が発生しても、人間は異常状態と認識することはできず、正確な伝送路特性を把握できない等の問題が生じている。
そこで、本実施例では、伝送状態が悪化し、ゴースト状態映像化信号等の伝送状態を表す情報が、予め定めた伝送状態不良と見なす異常な伝送状態となったことを検知した時、この時の異常な伝送状態波形を、所定の時間、正常な伝送状態波形に重畳し残留表示させ、伝送路特性の把握を可能にするものである。
また、その異常状態発生時に警告音を発生し、異常状態発生を知らせるようにしたものである。
【0038】
図30に本発明の異常状態検知及び残留表示機能を有する伝送状態映像変換部7aの構成を示す。 なお、伝送状態映像変換部7、伝送状態映像重畳部7bとの相違点は、異常状態検知&残留表示部7a−5と異常状態映像統合部7a−6が付加された点である。
ここで、ゴースト状態の映像表示、異常状態の映像表示を、電界強度やBER状態の映像表示と必ずしも同時に表示する必要はない。 また、この構成を実現するためには、ハードで構成するほか、DSP(Digital Signal Processor)や、ワンチップマイコン等で構成する方法も考えられる。
図30において、前述したゴースト状態を表す相関出力信号Scと、フレーム周期のパルスFSTrcは、異常状態検知&残留表示部7a−5に接続される。
ゴースト状態−映像変換部7a−3の出力は、異常状態検知&残留表示部7a−5に接続される。 映像統合部7a−4の出力及び異常状態検知&残留表示部7a−5の出力CNTは、異常状態映像統合部7a−6に接続される。
異常状態検知&残留表示部7a−5は、ゴースト状態−映像変換部7a−3から出力されるゴースト状態映像化信号Sc'に基づき、伝送状態の異常状態を検知する。 そして、異常状態が検知された時には、異常状態映像化信号を出力し、検知されない時にはLレベルを出力する。
異常状態映像統合部7a−6は、映像統合部7a−4から出力される伝送状態映像化信号と、異常状態検知&残留表示部7a−5から出力される異常状態映像化信号を加算し、異常状態映像化信号を含む伝送状態映像化信号を出力する。
【0039】
次に、異常状態検知&残留表示部7a−5の構成を図32に示し、説明する。相関出力信号Sc、フレーム周期のパルスFSTrc、同期信号C.Syncは、異常状態残留表示部7a-5Bに接続される。
ゴースト状態映像化信号Sc'は、異常状態検知器7a-5Aに接続される。 異常状態残留表示部7a-5Bの後述の出力C−S,C−Hは、異常状態検知器7a-5Aに接続される。 異常状態検知器7a-5Aの出力ABNは、異常状態残留表示部7a-5B、警告音発生器7a-5C及びタイマ回路7a-5Dに接続される。 タイマ回路7a-5Dの出力G2は、異常状態残留表示部7a-5Bに接続される。
異常状態検知器7a-5Aは、ゴースト状態映像化信号Sc'の画面上における表示位置を、後述の出力C−S及びC−Hに基づき検知する。
そして、異常状態検知器7a-5Aは、ゴースト状態映像化信号Sc'が、異常な伝送状態とされる位置(例えば、図31のガード期間範囲の外側)に表示された場合、異常状態であると検出してHレベルを、正常な伝送状態とされる位置、例えば、ガード期間範囲内に表示された場合は、正常な伝送状態であるとして、Lレベルとなる信号ABNを出力する。
ここで、異常状態残留表示部7a-5Bの出力である異常状態映像化信号CNTは、信号ABNがLレベルの時(正常な伝送状態の時)にはLレベルとなり、Hレベルの時(異常状態が検出された時)は、後述の異常状態映像化信号が出力される。警告音発生器7a-5Cは、信号ABNがHレベルの時、警告音ALARMを発生する。 タイマ回路7a-5Dは、異常状態映像化信号CNTの表示状態を制御する。例えば、所定の時間、連続して表示する、あるいは所定の時間、点滅させて表示する、または表示が終了する直前に点滅させて表示するなどの制御を行う。
【0040】
図33に、本発明の異常状態残留表示部7a-5Bの構成の一例を示し説明する。これは、図27に詳細を示す、ゴースト状態−映像変換部7a−3に、FIFO書込み制御器7a-5-13とゲート7a-5-14を付加した構成に相当する構成である。相関出力信号Scは、A/D変換器7a-5-1に入力され、例えば、8ビットのディジタルの相関出力信号DScに変換される。 そして、信号DScは、FIFO7a-5-2に入力される。
FIFO7a-5-2のディジタル相関出力信号D'Schbは、比較器7a-5-4に入力される。 比較器7a-5-4の出力であるゴースト状態のレベル信号LEhbは、ゲート7a-5-5に入力される。 ゲート7a-5-5の出力LEhb'はゲート7a-5-14に入力される。
前述のフレーム周期のパルスFSTrcは、FIFO書込み制御器7a-5-13に接続される。 FIFO書込み制御器7a-5-13の出力WRSTb、WEbは、それぞれFIFO7a-5-2の書込みリセット端子WR、書込みイネーブル端子WEに接続される。
また、同期信号C.Syncは、クロック(CK)再生器7a-5-6、HD抽出器7a-5-7、VD抽出器7a-5-8にそれぞれ接続される。 CK再生器7a-5-6のクロック出力は、カウンタ7a-5-9に接続される。 カウンタ7a-5-9の出力WEは、FIFO書込み制御器7a-5-13に接続される。
また、HD抽出器7a-5-7の出力HDは、カウンタ7a-5-10に接続される。
カウンタ7a-5-10の出力C−Sは、第1のデコーダ7a-5-3に接続される。
そしてVD抽出器7a-5-8の出力VDは、Hカウンタ7a-5-11に接続される。Hカウンタ7a-5-11の出力C−Hは、第1のデコーダ7a-5-3及び第2のデコーダ7a-5-12に接続される。
そして、第1のデコーダ7a-5-3からは、FIFO7a-5-2のRR端子に読出しリセット信号RRST、FIFO7a-5-2のRE端子に読出しイネーブル信号REが出力される。 また第1のデコーダ7a-5-3の出力G1は、ゲート7a-5-5に接続される。 第2のデコーダ7a-5-12の出力Dhhは、比較器7a-5-4に接続される。
【0041】
以下に、異常状態残留表示部7a-5Bの動作について説明するが、図27に示すゴースト状態−映像変換部7a−3と同様構成の部分は、同様動作のため、説明を省略する。
FIFO7a-5-2は、前述のような異常な状態にあるゴースト状態映像化信号を、所定時間、記憶しておくためのFIFOである。
FIFO7a-5-2の書込み動作において、正常な伝送状態にある時は、通常の書込み動作を行い、入力されるゴースト状態を表すディジタル相関出力信号DScは更新されるが、異常な伝送状態となった時には、所定時間、書込み動作が停止し、異常状態時のゴースト状態映像化信号波形が、所定時間、FIFO7a-5-2に保持される。 なお、FIFO7a-5-2の読出し動作においては、図27と同様、第1のデコーダ7a-5-3から、読出し制御用の信号RE及びRRSTを受け取り、常時、読出し動作が行われる。
FIFO書込み制御器7a-5-13は、異常状態のゴースト状態映像化信号記憶用のFIFO7a-5-2の書込みを制御するもので、書込み制御信号WRSTb,WEbは後述の異常状態検知器7a-5Aの出力ABNにより、上記のように、書込み動作と書込み動作停止とに切り換わる。
比較器7a-5-4は、FIFO7a-5-2の出力D'Schbに対し、図27と同様の動作を行う。 ゲート7a-5-5は、比較器7a-5-4の出力LEhbのブランキング期間を、強制的にレベルLにする。
ゲート7a-5-14は、伝送状態が正常な時には、出力CNTを強制的にレベルLにし、異常時にのみ、ゲート7a-5-5の出力LEhb'を異常状態映像化信号CNTとして出力する。
【0042】
ここで、この異常状態映像化信号CNTであるゲート7a-5-5の出力LEhb'の生成動作について、図39を用いて説明する。
なお図39には、図27に示すゴースト状態−映像変換部7a−3の各部波形Dhh、D'Sch、LEhを、合わせて表示している。
前述の図29でも説明したように、デコーダ7a-5-3は、入力されるカウンタ信号C−Sとカウンタ信号C−Hにより、走査線m本目からm+n本目の期間に1H期間で1CK期間、レベルLとなる読出しリセット信号RRSTを出力する。
これにより、FIFO7a-5-2の読み出しアドレスを0番目に初期化する。
また、同じく走査線m本目からm+n本目の期間にレベルHとなる読出しイネーブル信号REとで、FIFO7a-5-2の読み出しアドレスを進めることにより、FIFO7a-5-2に保持された異常状態映像化信号となるD'schbが読出される。
デコーダ7a-5-12は、ここに入力されるカウンタ信号C−Hから、走査線m本目にレベルlaを出力し、以後1H毎にレベルをiずつ低下させ、m+n本目にla-niとなる出力Dhhを発生する。
ここで、比較器7a-5-4は、FIFO7a-5-2出力D'schbとデコーダ出力Dhhを比較し、D'schb>Dhhの期間、レベルHとなる信号LEhbを出力する。
即ち、図39に示す様に、走査線m本目の1H期間では、D'schbは全てDhh以下であるため、信号LEhbはレベルLのままである。 次に、走査線m+1本目の1H期間では、D'schb>Dhhとなる左端部の僅かな期間t1のみ、信号LEhbはレベルHとなる。 そして、走査線m+2本目の1H期間では、D'schb>Dhhとなる左端部の期間が前の走査線より広がり、信号LEhbがレベルHとなる期間t2も長くなる。 以後、この様な処理、動作を繰り返すことによって、異常状態映像化信号波形を走査線構造で表現した信号LEhbが生成される。
ここで、伝送状態が正常な時は、FIFO7a-5-2の書込みが更新されるため、出力D'schbは現在のゴースト状態波形となる。 そのため、異常状態映像化信号であるLEhbは、ゴースト状態映像化信号LEhと同様の信号となり出力されることになるが、前述のようにゲート7a-5-14により強制的にLレベルにされるため、正常時は、異常状態映像化信号は画面に表示されない。
【0043】
次に、異常状態検知器7a-5Aの具体的構成の一例を図35に示し、説明する。これは、図34のように表示画面をA〜Hの8つの領域に分割し、異常状態映像化信号がどの領域に表示されるかを検知することにより、伝送状態の正常、異常を検知する場合の構成である。
ゴースト状態映像化信号Sc'は、異常検知信号発生器7a-5A-3に接続される。信号C−S及びC−Hは、共にデコーダ7a-5A-1及びデコーダ7a-5A-2に接続される。 デコーダ7a-5A-1の8つの出力Ra,Rb,…,Rh及びデコーダ7a-5A-2の出力RESET及びF-ENDは、異常検知信号発生器7a-5A-3に接続される。 ここで、デコーダ7a-5A-1の出力は、表示画面を分割した数だけ出力される。
デコーダ7a-5A-1は、信号C−S及びC−Hから現在の表示画面上の走査位置を、領域単位で示す8つの信号Ra,Rb,…,Rhを出力する。 例えば、この8つの出力において、現在、図5の領域Aを走査している場合には、信号RaのみがHレベルで、その他の信号Rb,Rc,…,RhはLレベルとなる。
デコーダ7a-5A-2は、映像信号のフレーム終了付近のVブランキング期間内にHレベルとなる信号RESET及びF-ENDを出力し、異常検知信号発生器7a-5A-3が出力する信号ABNをフレーム単位で更新する。
【0044】
図36に、異常検知信号発生器7a-5A-3の具体的構成の一例を示し説明する。ゴースト状態映像化信号Sc'は、8個のANDゲート5A-3-1-1に接続される。
デコーダ7a-5A-1からの8出力Ra,Rb,…,Rhは、それぞれ8個のANDゲート5A-3-1に接続される。
信号RESETは、8個のSRフリップフロップ(SR・FF)5A-3-2に接続される。信号F-ENDは、Dフリップフロップ(D・FF)5A-3-4に接続される。
8個のANDゲート5A-3-1からの各出力は、それぞれ8個のSR・FF5A-3-2に接続され、SR・FF5A-3-2からの各出力は、異常条件検出器5A-3-3に接続される。 異常条件検出器5A-3-3の出力S-ABNは、D・FF5A-3-4に接続される。
8つのANDゲート5A-3-1において、信号Sc'とRa,Rb,…,Rhのそれぞれの論理積が取られ、論理積出力ANDa,ANDb,…,ANDhを各々出力する。
それらを、対応するSR・FF5A-3-2のセット端子に入力すると、各SR・FF5A-3-2は、各領域内におけるゴースト状態波形の表示の有無を示す信号SRa,SRb,…,SRhを出力する。 これらの信号は、Hレベルの時には領域内にゴースト状態波形の表示ありを、Lレベルの時には表示なしを示す。
これら信号SRa〜SRhに基づき、異常条件検出器5A-3-3において、ゴースト状態映像化信号Sc'の異常状態発生を検出し、異常状態が検知された時にはHレベル、検知されなかったときにはLレベルとなる信号S-ABNを出力する。
この信号S-ABNはD・FF5A-3-4に入力され、ここでF-END信号をイネーブルとして、異常状態検知結果が毎フレーム更新される信号ABNを出力する。
なお、F-END信号によりABN信号が更新された後、SR・FF5A-3-2はRESET信号によりリセットされる。
【0045】
図37に、この異常条件検出器5A-3-3の具体的構成の一例を示し、説明する。上記信号SRbは、NOTゲート5A-3-3-1に接続され、信号SRcは、NOTゲート5A-3-3-2に接続され、信号SRdは、NOTゲート5A-3-3-3に接続される。 そして、SRa,SRe,SRf,SRg,SRhの5つの信号は、ANDゲート5A-3-3-4に接続される。
NOTゲート5A-3-3-1,5A-3-3-2,5A-3-3-3の各出力SRb',SRc',SRd'はANDゲート5A-3-3-4に接続される。
この異常条件検出器5A-3-3は、例えば、図34のA〜Hの8つの領域に対し、ゴースト状態波形が、領域A及びE〜Hに表示され、領域B,C,Dに表示されていない状態を、異常状態として検出するように設定されている。
ここで、図34における領域B〜Dの範囲は、図31のガード期間範囲に相当しており、ゴースト状態を表す相関出力波形のピークが表示画面の左端(領域A)にずれて表示される程、即ち、ガード期間範囲から外れて表示される程、異常な伝送状態にあることが検出できる。
そこで、異常条件検出器5A-3-3では、NOTゲート5A-3-3-1〜5A-3-3-3にて、信号SRb,SRc,SRdに対して否定を求め、ANDゲート5A-3-3-4で、信号SRa,SRb',SRc',SRd',SRe〜SRhの論理積を取ることにより、ゴースト状態映像化信号の異常状態発生を検出し、信号S-ABNを出力する。
この信号S-ABNは、異常状態が検知された時にはHレベル、検知されなかった時にはLレベルとなる。
【0046】
ここで、異常条件検出器5A-3-3の動作を、図34、図40を用い、更に詳しく説明する。
一例として、表示画面を図34の様にA〜Hの8つの領域に分割し、ゴースト状態波形が表示された場合を考える。 なお、説明を簡略化するため、飛び越し走査を考えず、1画面を単に6本の走査線で表示することとする。 図40は、このときのタイムチャートである。
信号Ra〜Rhは、それぞれの領域A〜Hが走査された時に、Hレベルとなる。信号F-ENDは、1画面の走査が終了したVブランキング期間に、所定の時間、Hレベルとなる。 信号RESETは、信号F-ENDの後のVブランキング期間に、所定の時間、Hレベルとなる。
信号SRa〜SRhは、それぞれ信号Ra〜RhがHレベルの時に信号Sc'がHレベルになると、Hレベルとなる。 信号S-ABNは、信号SRa〜SRhが上記の条件を満たした時、Hレベルとなる。
信号ABNは、信号S-ABNの状態が、信号F-ENDの立上りで保持(更新)されたものである。 信号SRa〜SRhは、信号RESETの立上りによりリセットされ、これにより信号S-ABNもリセットされ、Lレベルとなる。
【0047】
図38に、FIFO書込み制御器7a-5-13の構成の一例を示し、説明する。 信号FSTrcは、セレクタ7a-5-13-2に接続される。 クロックCKはセレクタ7a-5-13-3に接続される。
信号ABNは、セレクタ7a-5-13-2、7a-5-13-3に接続される。 書込み停止信号発生器7a-5-13-1の出力WES及びWRSは、それぞれセレクタ7a-5-13-2、7a-5-13-3に接続される。
異常状態を表すABN信号により、セレクタ7a-5-13-2及び7a-5-13-3が切り換えられる。
ABN信号がLレベルの時、つまり正常な伝送状態の時、セレクタ7a-5-13-2及び7a-5-13-3の出力WEb及びWRbには、それぞれ信号FSTrc及びCKが出力され、図33のFIFO7a-5-2において通常の書込み制御が行われる。
また、ABN信号がHレベルの時、つまり異常状態の時、セレクタ7a-5-13-2及び7a-5-13-3の出力WEb及びWRbには、それぞれ、書込み停止信号発生器7a-5-13-1から出力されるHレベルの信号WES及びWRSが出力され、図33のFIFO7a-5-2の書込みを停止する制御が行われる。
【0048】
次に、伝送状態映像変換部7aの他の実施例について、図41、図42を用いて説明する。
図41に示す伝送状態映像変換部7a'は、図30におけるゴースト状態−映像変換部7a−3と異常状態検知&残留表示部7a−5に含まれる同一動作のブロックを共通化し、ゴースト状態−映像変換・異常状態検知&残留部7a−7とした構成である。 図42に、このゴースト状態−映像変換・異常状態検知&残留部7a−7の具体的構成を示す。
図42に示すように、図33において用いられている、A/D変換器7a-5-1、デコーダ7a-5-3、デコーダ7a-5-12、CK再生器7a-5-6、H抽出器7a-5-7、V抽出器7a-5-8、カウンタ7a-5-9、カウンタ7a-5-10、Hカウンタ7a-5-11が共通化できるため省略できる。
ここで、伝送状態映像変換部7a'の動作は、伝送状態映像変換部7aと同様であるので、説明を省略する。
【0049】
以上のように、前述の伝送状態映像変換部7,7a,7a'、伝送状態映像重畳部7bによれば、ゴースト状態映像化信号、更にはBER状態映像化信号及び電界強度映像化信号とを映像モニタに画像表示することによって、それぞれの映像化信号の状態を関連付けて総合的に見ることができるため、伝送状態を正確に把握することができる。 しかし、以下の点について更に考慮する必要がある。
昨今は、多様な伝送条件に対応するため、反射波混入時の緩衝帯となるガードインターバル(GI)の長さを、伝送状況に応じて変更、切り替える動きがある。つまり、例えば、1024サンプルからなる時間軸波形に対し、48サンプルのガードインターバル波形を付加して合計1072サンプル/シンボルの時間軸波形を形成する信号形態と、96サンプルのガードインターバル波形を付加して合計1120サンプル/シンボルの時間軸波形を形成する信号形態とを、伝送する情報の内容、伝送状態等の伝送条件に応じ、より良いGI長の信号形態を選択するようにする。
ここで、GI長を、伝送状況に応じて変更し、切り替える場合、GI長を決定するGIモード信号を、図1,図17等に示す送信側処理部101の伝送路符号化部とガード付加部に入力し、受信側処理部203の同期検出&相関部と伝送路復号化部に入力し、GI長を切り替えている。
しかしながら、前述の伝送状態映像変換部7,7a,7a'、伝送状態映像重畳部7b等では、伝送状況に応じ、GI長を変更、切り替える伝送形態が考慮されておらず、またGIモード信号も入力されないため、GI長を変更した場合、ゴースト状態映像化信号波形に対応した位置関係で表示されているガード期間を示す表示範囲が、対応しないものとなり、正確に伝送状態を把握できなくなる。
【0050】
そこで、これらの不具合を改善し、GI長を変更した場合でも、ゴースト状態映像化信号波形に対応した位置関係でガード期間を示す範囲が表示され、正確に伝送状態を把握できるようにした本発明の伝送状態映像変換部について、図43〜図52を用いて説明する。
これは、GI長の変更、切り替えに従って、ガード期間を示す表示範囲を変更する機能を伝送状態映像変換部に付加することで、GI長を変更した場合でも、ゴースト状態映像化信号波形に対応した位置関係でガード期間を示す範囲が表示されるようにしたものである。
【0051】
図43に、GIモード信号を自動検出する本発明の伝送状態映像変換部7cの構成を示す。 ここで、図2の伝送状態映像変換部7に示すものと同等の構成については、説明を省略する。
相関出力信号Sc、フレーム周期のパルスFSTrcはゴースト状態−映像変換部7c−3に入力される。 FSTrc信号は、ガードインターバルモード検出器7c−8に入力される。 ガードインターバルモード検出器7c−8の出力GIモード信号は、ゴースト状態−映像変換部7c−3と映像統合部7c−4に入力される。 ゴースト状態−映像変換部7c−3の出力は、映像統合部7c−4に入力される。
映像統合部7c−4からの同期信号C.Syncは、電界強度−映像変換部7c−1、BER状態−映像変換部7c−2、ゴースト状態−映像変換部7c−3の同期入力端子に接続される。 映像統合部7c−4からは、伝送状態映像信号が出力される。
電界強度−映像変換部7c−1、BER状態−映像変換部7c−2、ゴースト状態−映像変換部7c−3は、同期信号C.Syncに従って伝送状態を示す各信号を映像信号に変換する。 映像統合部7c−4は、映像化された各信号を統合し、映像用の同期信号を付加する。もしくは、外部入力された映像信号に重畳する。ガードインターバルモード検出部7c−8は、ガードインターバル長に対応するGIモードを検出し、関連するブロックにGIモード信号を送る。
この様な構成を有する伝送状態映像変換部7cは、ガードインターバル検出部7c−8にて、FSTrc信号からガードインターバル周期に対応するGIモード信号を自動検出する。 そして、該GIモード信号に応じて、ガード期間範囲の表示範囲・長さ、伝送状態が異常となる範囲(アラーム範囲)、相関出力信号Scのサンプリング周期を切り替え変更する。
図44の(a)に、ガードインターバル期間が3μs時の表示画面例を示す。この場合、ガード期間範囲が目盛り3ヶ分の長さとなり、アラーム範囲もガード範囲外となる。
図44の(b)に、ガードインターバル期間が6μs時の表示画面例を示す。この場合、ガード期間範囲が目盛り6ヶ分の長さとなり、画面右側のガード期間範囲外であるアラーム範囲も狭くなる。
【0052】
図45に、ガードインターバルモード検出部7c−8の具体的な構成を示す。FSTrc信号は、カウンタ7c-8-1のリセット端子とラッチ7c-8-2のイネーブル端子に接続される。 カウンタ7c-8-1の出力端子はラッチ7c-8-2のD入力端子に接続される。 クロック(CK)源7c-8-4はカウンタ7c-8-1のCK入力端子に接続される。 ラッチ7c-8-2の出力端子は判定器7c-8-3に入力される。
以下、ガードインターバルモード検出部7c−8の動作について、説明する。ここで、CK源7c-8-4のCK周波数を16MHzと仮定した場合、FSTrc信号は60.3ms周期で生じるため、カウンタ7c-8-1の最大値は約964800となる。
カウンタ7c-8-1は、次のFSTrc信号により、一旦値0にリセットされるが、ラッチ7c-8-2はリセット寸前の値、すなわちカウンタ7c-8-1の最大値を記憶している。
そのため、判定器7c-8-3において、ラッチ7c-8-2の出力PKの値を検出することにより、対応するガードインターバルを判定することができる。
なお、CK源7c-8-4の周波数精度もあり、必ずしも964800が最大値とならないため、±21600程度の許容範囲を与えて判定させる。
図46の(a)に、カウンタ7c-8-1の最大値が964800程度となるガードインターバルが3μs時の各出力の関係を示す。
図46の(b)に、カウンタ7c-8-1の最大値が1008000程度となるガードインターバルが6μs時の各出力の関係を示す。
以上の様に、ラッチ7c-8-2の出力、すなわちカウンタ7c-8-1の最大値を判定することにより、GIモードを決定することができる。
【0053】
図47にゴースト状態−映像変換部7c−3の具体的構成を示し、説明する。CK再生器7c-3-6のCK信号は、カウンタ7c-3-9に入力される。 GIモード信号は、カウンタ7c-3-9に入力される。 カウンタ7c-3-9の出力WE信号は、FIFO7c-3-2のWE端子に接続される。
相関出力信号Scの変化は、通常、シンボル周期に依存するため、ガードインターバル長を増加(3μsから6μs)すると、ゴースト状態映像化信号の変化も、67μsから70μsと長くなる。
カウンタ7c-3-9は、その変化に応じてWE信号の発生周期を変更するため、GIモード信号に従って、サンプリング周期が変わることになる。
図48に、カウンタ7c-3-9の具体的な構成を示し、説明する。 CK信号は、カウンタ7c-3-9-1のCK端子に接続される。 カウンタ7c-3-9-1の出力は、デコーダ7c-3-9-2に入力される。
デコーダ7c-3-9-2の出力はカウンタ7c-3-9-1のリセット端子に入力され、かつ、WE信号として出力される。 GIモード信号はデコーダ7c-3-9-2のデコード値切替端子に接続される。
【0054】
以下各部の動作について説明する。 カウンタ7c-3-9-1は、リセットRST端子がHレベルなら、CK入力に応じてカウント動作を行う。
デコーダ7c-3-9-2は、GIモード信号に従い、例えば、1072サンプル/シンボルの場合1071、もしくは1120サンプル/シンボルの場合1119が入力されるとレベルLを出力する。 そして、リセット端子がレベルLになると、カウンタ7c-3-9-1は、値を0に戻す。
この結果、カウンタ7c-3-9-1は、0〜1071もしくは0〜1119のカウントを繰り返す。
図49の(a)に、ガードインターバルが3μs時のカウンタ7c-3-9の出力WEを示す。 図の様に、67μs周期でレベルLとなるWE信号が得られる。
図49の(b)に、ガードインターバルが6μs時のカウンタ7c-3-9の出力WEを示す。 図の様に、70μs周期でレベルLとなるWE信号が得られる。
【0055】
図50に、映像統合部7c−4の具体的構成を示し、説明する。
電界強度映像化信号、BER状態映像化信号、ゴースト状態映像化信号は、各々ゲート7c-4-1、7c-4-2、7c-4-3を経由して、加算器7c-4-6へ入力される。
表示選択器7c-4-4は、電界強度映像化信号、BER状態映像化信号、ゴースト状態映像化信号の加算を個別にON/OFFするための信号を出力する。
GIモード信号は、外部映像同期型同期信号発生器7c-4-5に入力される。 映像信号は、外部映像同期型同期信号発生器7c-4-5および加算器7c-4-6に入力される。 外部映像同期型同期信号発生器7c-4-5は、同期信号C.Syncを外部に出力する。 また、時間目盛やガード期間範囲を示す表示信号を加算器7c-4-6に出力する。
ゲート7c-4-1,7c-4-2,7c-4-3は、表示選択器7c-4-4に従って、各映像化信号をON/OFFする。 ゲート7c-4-1,7c-4-2,7c-4-3を経由した各信号は、加算器7c-4-6で、C.Sync信号とともに、各々加算され、伝送状態映像化信号となる。
加算器7c-4-6における加算比率の例を以下に示す。 例えば、入力される信号が、全てディジタルレベルの+5Vであれば、電界強度映像化信号、BER状態映像化信号、ゴースト状態映像化信号は、各々0.2の比率で、時間目盛信号とガード期間範囲信号は、0.05の比率で、C.Sync信号は、0.1の比率で加算される。 これによって、同期部分を含め、約1Vp-p程度の映像化信号が作成される。
【0056】
図51に外部映像同期型同期信号発生器7c-4-5の具体的構成を示し、以下に説明する。
同期抽出器7c-4-5-1は、入力された映像信号から抽出同期信号を取り出す。
この抽出同期信号はカウンタ7c-4-5-2に入力される。 カウンタ7c-4-5-2は、垂直同期信号に応じてリセットされる。 カウンタ7c-4-5-2の出力は、デコーダ7c-4-5-3,7c-4-5-4,7c-4-5-5に接続される。
そして、例えばガード期間3μs範囲を示すデコーダ7c-4-5-3、6μs範囲を示すデコーダ7c-4-5-4、12μs範囲を示すデコーダ7c-4-5の出力は選択器(SEL)7c-4-5-6に接続され、GIモード信号に従って、これらの何れかが選択され、各種範囲出力となる。
図52の(a)に、ガードインターバルモード3μs時のガード期間範囲信号を示す。 この例では、表示画面下よりの走査線220本から230本、かつ、横方向400画素から580画素のみを範囲とし帯状の信号を発生する。
図52の(b)に、ガードインターバルモード6μs時のガード期間範囲信号を示す。 この例では、表示画面下よりの走査線220本から230本、かつ、横方向400画素から760画素のみを範囲とし帯状の信号を発生する。
なお、同様手法で、図44の(a),(b)に示すアラーム範囲を切替れば良い。また、本実施例ではガードインターバルを自動検出し、各部へのモードを切り替えたが、手動でGIモード信号を切替る方法でも良い。
【0057】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、電界強度状態、BER状態および反射波のレベル・有無等を表すゴースト状態を映像信号化して表示するディジタル伝送装置を実現でき、それぞれの伝送状態映像化信号の状態、あるいはこれと受信・復号した映像信号の状態を関連付けて総合的に見ることができるため、より正確な方調作業を容易に実施できる。 また、異常伝送状態発生時に警告を発生する機能を持つディジタル伝送装置を実現でき、より正確でかつ容易に伝送路特性を把握できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の伝送システムの全体構成の一実施例を示すブロック図
【図2】本発明の伝送状態映像変換部7の一例のブロック図及び各伝送状態映像信号の表示画像の一例を示す模式図
【図3】本発明の電界強度−映像変換部7−1の一例のブロック図及び電界強度映像化信号の映像表示画面上における表示状態の一例を示す模式図
【図4】本発明のBER状態−映像変換部7−2の一例のブロック図及びBER状態映像化信号の映像表示画面上における表示状態の一例を示す模式図
【図5】本発明のゴースト状態−映像変換部7−3の一実施例の構成を示すブロック図
【図6】本発明のゴースト状態−映像変換部7−3の各部波形を示すタイムチャート
【図7】本発明のゴースト状態映像化信号の映像表示状態の一例を示す模式図
【図8】本発明の映像統合部7−4の一実施例の構成を示すブロック図
【図9】本発明のゴースト状態映像化信号の時間目盛とガード範囲の画像表示の一例を示す模式図及び同期信号、目盛信号と範囲信号の信号発生のタイムチャート
【図10】本発明の伝送状態における各映像表示画面を模式的に示す図
【図11】本発明の伝送状態映像重畳部7bの一実施例の構成を示すブロック図
【図12】本発明の外部映像同期型映像統合部7b-4の一実施例の構成を示すブロック図
【図13】本発明の同期信号発生器7b-4-5の一実施例の構成を示すブロック図
【図14】本発明のBER状態−映像変換部7b-2の一実施例の構成を示すブロック図
【図15】本発明のBER状態映像化信号の表示の一例を示す模式図
【図16】本発明の映像・音声伝送システムの全体構成の一実施例を示すブロック図
【図17】一般的な伝送システムの全体構成を示すブロック図
【図18】一般的な同期シンボル挿入部5の構成を示すブロック図
【図19】一般的な同期検出&相関部4Aの構成を示すブロック図
【図20】一般的なNULL終了検出器4−1の構成を示すブロック図
【図21】NULL検出、SWEEP開始位置推定動作を説明するタイムチャート
【図22】反射波のない場合の相関出力信号Scの一例を示す波形図
【図23】NULL検出、SWEEP開始位置推定動作を説明するタイムチャート
【図24】反射波混入時の相関出力信号Scの一例を示す波形図
【図25】NULL検出、SWEEP開始位置推定動作を説明するタイムチャート
【図26】低電界時の相関出力信号Scの一例を示す波形図
【図27】本発明のゴースト状態−映像変換部7a−3の一実施例を示すブロック図
【図28】本発明の各伝送状態映像信号の表示画像の一例を示す模式図
【図29】本発明のゴースト状態−映像変換部7a−3の各部波形を示すタイムチャート
【図30】本発明の伝送状態映像変換部7aの一例を示すブロック図
【図31】本発明の各伝送状態映像信号の表示画像の一例を示す模式図
【図32】本発明の異常状態検知&残留表示部7a−5の一例を示すブロック図
【図33】本発明の異常ゴースト状態残留表示部7a-5Bの一例を示すブロック図
【図34】本発明の異常状態検知画面の分割処理を説明するための模式図
【図35】本発明の異常状態検知器7a-5Aの一例を示すブロック図
【図36】本発明の異常検知信号発生器5A−3の一例を示すブロック図
【図37】本発明の異常条件検出器5A-3-3の一例を示すブロック図
【図38】本発明のFIFO書込み制御器7a-5-13の一例を示すブロック図
【図39】本発明の異常状態検知&残留部7a−5の各部波形を示すタイムチャート
【図40】本発明の異常状態検知器7a-5Aの動作を示すタイムチャート
【図41】本発明の伝送状態映像変換部7a'の一例を示すブロック図
【図42】本発明のゴースト状態−映像変換・異常状態検知&残留部7a-7の一例を示すブロック図
【図43】本発明の伝送状態映像変換部7cの一例を示すブロック図
【図44】本発明の各伝送状態映像信号の表示画像の一例を示す模式図
【図45】本発明のガードインターバルモード検出部7c−8の一例を示すブロック図
【図46】本発明のガードインターバルモード検出動作を説明するための図
【図47】本発明のゴースト状態−映像変換部7c−3の一例を示すブロック図
【図48】本発明のゴースト状態−映像変換部7c-3内のカウンタ7c-3-9のブロック図
【図49】本発明のカウンタ7c-3-9の動作を説明するための図
【図50】本発明の映像統合部7c−4の一例を示すブロック図
【図51】本発明の外部映像同期型同期信号発生器7c-4-5の一例を示すブロック図
【図52】本発明のガード期間範囲表示の状態を説明する模式図
【符号の説明】
101:送信側処理部、203:受信側処理部、1R:伝送路復号化部、4C:同期検出&相関部、4B:FST補正部、9A:AGC部、9B:直交復調処理部、7,7a,7a',7b,7c:伝送状態映像変換部、7-1:電界強度−映像変換部、7-2:BER状態−映像変換部、7-3,7a-3,7c-3:ゴースト状態−映像変換部、7-4,7b-4:映像統合部、7a-5:異常状態検知&残留部、7b:伝送状態重畳映像変換部、7c-8:ガードインターバルモード検出部、11:映像表示装置、101M:MPEG−ENC部、203M:MPEG−DEC部、Sa:AGC制御信号、Sc:相関出力信号、Sb:BER状態信号、DSa:ディジタル化電界強度信号、Da0〜Da23:デコード出力、a0〜a23:表示位置パルス、DSb:ディジタル化BER状態信号、Db0〜Db4:デコード出力、b0〜b4:表示位置パルス、DSc:ディジタル化ゴースト状態信号、Dh:H周期カウント出力、LE:ゴースト状態レベル信号、BG:ブランキング期間ゲート信号、FSTr:受信側フレーム制御パルス。
Claims (3)
- マルチキャリア変調方式を用いて映像信号を送信装置から受信装置へ伝送するディジタル伝送システムの伝送状態表示方法において、
上記受信装置側で、受信した上記映像信号から、主波に対する反射波の混入する位置及びレベルの状態を表すゴースト状態信号と、復号BER(ビットエラーレート)状態を表すBER状態信号と、電界強度状態を表す電界強度状態信号を生成し、上記ゴースト状態信号、上記BER状態信号、上記電界強度状態信号をそれぞれ映像化信号に変換し、それぞれの上記映像化信号を、同一画面上のそれぞれの所定位置に表示させるように変換統合して表示部に出力し、ゴースト状態映像と、BER状態映像と、電界強度状態映像を同一画面上のそれぞれの所定位置に表示し、上記ゴースト状態映像が上記表示部のあらかじめ定めた領域に存在するとき、伝送状態が異常であることを報知する信号を出力することを特徴とする伝送状態表示方法。 - 請求項1において、
上記あらかじめ定めた領域は、ガード期間に相当する領域外であることを特徴とする伝送状態表示方法。 - 請求項1乃至2において、
伝送状態が異常であることを報知する信号が出力されたとき、警告音を発生するかもしくは異常状態映像化信号を表示することを特徴とする伝送状態表示方法。
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