JP3714562B2 - 自動車 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、フロアパネルの下方にスペアタイヤを格納するためのスペアタイヤキャリヤを有する自動車に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
バックドアを有する自動車、例えば、図8に示す如きバックドア101を備えた自動車においては、そのバックドア101が、車体100に対して、上端部101Aの側をヒンジ支点にして図示矢印方向に開放可能となっている。この種の自動車において、その車体100のフロアパネルの下方に、スペアタイヤキャリヤによってスペアタイヤを格納できるようにしたものが従来より知られている。この種の技術に関連するものとして、例えば、実開昭58−126280号公報や実開昭58−129279号公報などによるものが既に提案されている。
【0003】
スペアタイヤキャリヤは、後述するように、チェーンと、これが巻き付けられるチェーンホイールと、これを回転させるための駆動軸を備え、この駆動軸を回転させると、チェーンホイールが回転し、これにチェーンが巻き付けられて、チェーンの自由端側に保持されたスペアタイヤがフロアパネルの下方に格納されるようになっている。
【0004】
図8において符号103で示すものは、フロアパネルの下方に配置されたスペアタイヤキャリヤの駆動軸に係合し、該駆動軸を回転させるためのスペアタイヤ脱着用ロッドであるが、従来においては、このロッド103を車体後方から差し込むための穴104がリアバンパ102に設けられていた。かかる従来例においては、ロッド挿入ガイド用穴104が常に車体外に露出しているので、ロッド103を穴104に挿入しさえすれば、スペアタイヤの昇降が可能となり、スペアタイヤが不用意に持ち去られるおそれがあった。又、かかるロッド挿入用穴104が、常に目視できる状態で車体外に露出しているので、自動車の外観上の見栄えが悪いという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、スペアタイヤが不用意に持ち去られるおそれをなくし、しかもロッド挿入用穴に起因する外観上の見栄えの悪さを解消した自動車を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するため、一端側が車体にヒンジ連結されたバックドアを備えていると共に、チェーンとこれが巻き付けられるチェーンホイールと該チェーンホイール回転用駆動軸とを有するスペアタイヤキャリヤが、車体のフロアパネルの下方に配備され、スペアタイヤ脱着用ロッドの先端部を前記駆動軸に係合させて、スペアタイヤ脱着用ロッドを回転操作することにより、前記駆動軸を介してチェーンホイールを回転させ、チェーンをチェーンホイールに巻き付けつつ、チェーンの自由端側に保持したスペアタイヤをフロアパネルの下方に格納するようにした自動車において、前記フロアパネルの後端部に固着されていて、バックドアが開放されているとき少なくとも一部が車体後方に露出し、バックドアが閉鎖されているとき該ドアによって被われるクロスシルに、スペアタイヤ脱着用ロッドの先端部を車体の後方から駆動軸に導いて、この駆動軸に係合させるためのロッド挿入ガイド用の穴を形成した構成を提案する。
【0007】
その際、バックドアを開放したとき、車体外方に露出するクロスシル部分に形成されたロッド挿入ガイド用の穴にグロメットを装着し、このグロメットの穴を通してスペアタイヤ脱着用ロッドの挿入を可能とすると効果的である。
【0008】
又、スペアタイヤ脱着用ロッドの挿入方向に沿って配置されたガイド筒をクロスシルに装着し、このガイド筒内の貫通穴を通してスペアタイヤ脱着用ロッドの挿入を可能とすると有利である。
【0009】
更に、ガイド筒の貫通穴を、スペアタイヤ脱着用ロッドの挿入方向下流側で漸次すぼまるテーパ状穴とすると特に有利である。
【0010】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に従って詳細に説明する。
【0011】
図1は、スペアタイヤキャリヤとバックドアを有する自動車の後部の下部側を示す側断面図であり、矢印X(図2も参照)がその自動車の前進方向となる。図1において、符号1はバックドアを示し、このドア1は一端側が車体2にヒンジ連結されている。図2は、かかるバックドア1を備えた自動車10の背部側を示し、この例の自動車では、バックドア1の上端部1Aが車体2にヒンジ連結され、当該ドア1が、図2に示した開放位置と、図1に示した閉鎖位置(図8参照)との間を回動開閉される。
【0012】
図1に戻って、自動車の車室4の下部は、車体2のフロアパネル5によって区画され、このフロアパネル5の下方にはスペアタイヤキャリヤ6が配備されている。図3において、符号7で示すものは車体2を載せるシャシフレームであるが、このシャシフレーム7は、一対のサイドレール8,8と、これらのレールの間に横架されて固着され、車体の幅方向に延びるクロスメンバ9とを有している。本例の自動車では、上記スペアタイヤキャリヤ6がクロスメンバ9に組付けられている。
【0013】
図1において、スペアタイヤキャリヤ6は、チェーン14と、このチェーンの基端部14aが係止され、当該チェーン14が巻き付けられるチェーンホイール12と、該チェーンホイール回転用の駆動軸13を有し、チェーンホイール12は、シャシフレーム7を構成するクロスメンバ9の下面に固着されたブラケット30に回転自在に支持された支持軸31に固定されている。支持軸31は、チェーンホイール回転用駆動軸13に連結され、駆動軸13の回転によって回転駆動される。従って、図2に示したスペアタイヤ脱着用ロッド3を用い、この先端部3aを駆動軸13に係合させて、スペアタイヤ脱着用ロッド3を回転操作すると、駆動軸13と支持軸31を介してチェーンホイール12が回転する。
【0014】
チェーンホイール12が回転すると、チェーン14が、そのチェーンホイール12に巻き付けられ、図3に示したようにチェーン14の自由端部に取り付けられた保持部材32に保持されたスペアタイヤ15が吊り上げられる。このように、チェーン14をチェーンホイール12に巻き付けつつ、チェーン14の自由端側に保持したスペアタイヤ15をフロアパネル5の下方に格納するのである。逆の操作によって、スペアタイヤ15を下方に下げ、そのタイヤ15をチェーン14から外し、スペアタイヤ15を使用することができる。
【0015】
ここで、図1に示すように、フロアパネル5の後端部の下面には、車体2の幅方向に延びる車体補強用のクロスシル33が固着されている。本例では、このクロスシル33が、車体2の後方側に位置するアウタパネル16と、このアウタパネル16よりも車体前方側に位置して、該パネル16に対向したインナパネル17により構成され、両パネル16,17の下部合せフランジ部34がスポット溶接により互いに固着されている。又、各パネル16,17の上部フランジ部がフロアパネル5の下面にスポット溶接されている。
【0016】
図1はバックドア1が閉鎖されている状態を示しているが、このようにバックドア1が閉鎖されているとき、クロスシル33は該ドア1によって被われ、外部から目視されない状態となる。これに対し、バックドア1が開放されているときは、クロスシル33の少なくとも一部、本例では図2に示すように、そのアウタパネル16の外面が車体後方に露出した状態となる。なお、図1において符号18及び19でそれぞれ示すものは、リヤバンパ及びこれを被うバンパカバーである。
【0017】
ここで本例の特徴とするところは、スペアタイヤ脱着用ロッド3(図2)の先端部3aを車体2の後方から駆動軸13に導いて、この駆動軸13に係合させるためのロッド挿入ガイド用の穴をクロスシル33に形成した点にある。本例では、クロスシル33のアウタパネル16とインナパネル17に、ロッド挿入方向に沿うようにそれぞれ穴が形成されている。図1において、符号21で示すものが、クロスシル33のアウタパネル16に設けられたロッド挿入ガイド用の穴であり、又、符号22で示すものが、インナパネル17に設けられたロッド挿入ガイド用の穴である。
【0018】
ここで、図2に示すように、バックドア1を開放した状態で、クロスシル33のアウタパネル16がロッド挿入ガイド用の穴21と共に車体外に露出している。かかる状態で、スペアタイヤ脱着用ロッド3を車体2の後方から穴21に差し込む。すると、同ロッド3は図1に示した奥側の穴22を通って、その先端部3aが駆動軸13に係合する。すなわち、両穴21,22によるガイド作用により、ロッド先端3aが駆動軸13の方に導かれて、この軸に係合するのである。この係合後、ロッド3を従来と同じく回転操作すれば、チェーン14(図3)が巻き上げられ、スペアタイヤ15がフロアパネル5の下方に格納される。
【0019】
一方、図2に示したバックドア1を閉じると、このドア1によって、クロスシル33のアウタパネル16と、これに形成されたロッド挿入ガイド用の穴21が隠されてしまうので、その穴21に起因する外観上の見栄えを損わないようにすることができる。又、バックドア1を閉じた状態では、ロッド挿入ガイド用の穴21が隠され、この穴21にロッド3を挿入することができないので、フロアパネル5の下方に格納されているスペアタイヤが不用意に持ち去られることを防止できる。更に、スペアタイヤキャリヤ6は、リヤバンパ18よりも上方に位置するクロスシル33の穴21,22に挿入されたロッド3によって操作されるので、必然的にスペアタイヤキャリヤ6のチェーンホイール12の高さが高くなり、このため、格納時のスペアタイヤの地上高も高くなり、デパーチャアングルを大きくすることができる。
【0020】
ここで、図1及び図4に示すように、クロスシル33にはガイド筒23が装着されており、本例ではそのアウタパネル16とインナパネル17とのうちの一方のパネル17に、ガイド筒23のフランジ部23aがリベット24によって固定されている。すなわち、ガイド筒23は、スペアタイヤキャリヤ6の側からインナパネル17の穴22に挿入されて、該パネル17に固定され、スペアタイヤ脱着用ロッド3の挿入方向に沿って配置されるのである。かかるガイド筒23内の貫通穴23Aが、アウタパネル16側の穴21と協働して、スペアタイヤ脱着用ロッド3の挿入時に、そのロッド先端部3aを駆動軸13の端部にぶつけたりすることなく、該駆動軸13に円滑に係合させることができる。このように、ガイド筒23内の貫通穴23Aを通してスペアタイヤ脱着用ロッド3の挿入を可能としたのである。
【0021】
なお、ガイド筒23については、これをアウタパネル16の方に装着してもよく、又、両パネル16,17にわたって装着してもよい。更に、図1に示すように、ガイド筒23の貫通穴23Aを、スペアタイヤ脱着用ロッド3の挿入方向下流側で漸次すぼまるテーパ状穴とすると、ロッド3の挿入が容易になると共に、ロッド先端部3aを正確に駆動軸13に係合させることができる。
【0022】
図1に示したガイド筒23は、クロスシル33に対して、車体2の前方側から装着されるのであるが、図6に示したガイド筒25は車体の後方側から装着されるものである。この例のガイド筒25はクロスシル33の両パネル16,17の双方に装着され、内部の貫通穴25Aを通してスペアタイヤ脱着用ロッド3を挿入することができる。このようなガイド筒25によっても、ロッド先端部3aを駆動軸13(図1)に円滑に係合させることができる。
【0023】
本例のガイド筒25の先端部には、ツリー状の複数の係止用突起25bが設けられている。図7に示すように、クロスシル33の両パネル16,17には穴21,22が穿たれ、一方の穴21にはガイド筒25の円筒部25aが挿入され、他方の穴22には係止突起25bが係合する。すなわち、ガイド筒25の挿入装着時には、係止突起25bは穴22の部位の通過を許され、正規の装着位置(図6)で、係止突起25bの一つによってガイド筒25が抜け出ないように、該ガイド筒がインナパネル17に固定係止されるのである。このようなガイド筒25を用いると、リベットやビスなどを用いることなく、当該ガイド筒を固定係止することができる。図6及び図7に示した実施例のガイド筒以外の構成は、前述した実施例の構成と変りはない。
【0024】
又、図1に示した構成において、図5に示すように、バックドアを開放したとき、車体外方に露出するクロスシル部分、図の例ではそのアウタパネル16に形成されたロッド挿入ガイド用の穴21に、ゴム等の弾性体より成るグロメット27を装着し、このグロメット27の穴27aを通してスペアタイヤ脱着用ロッド3の挿入を可能とするように構成することもできる。かようなグロメット27を装着すると、ロッド3を挿入するとき、その先端部3aをアウタパネル16の外面にぶつけるようなことが無くなり、アウタパネル16の塗膜が傷付く不具合を防止できる。
【0025】
上述した各実施例では、図1に示したようにスペアタイヤキャリヤ6のブラケット30をシャシフレーム7に固定したが、このブラケット30をフロアパネル5の下面に固着することもできる。これから判るように、本発明は、シャシフレームのないモノコックタイプの自動車にも適用できるものである。
【0026】
又、スペアタイヤを1個のみではなく複数個、スペアタイヤキャリヤ6によってフロアパネル5の下方に格納できる自動車においても、本発明の適用が可能であり、更に、バックドア1が、この側部側や下端部側の一端側で車体にヒンジ連結された自動車においても本発明の適用が可能である。
【0027】
【発明の効果】
請求項1に記載の構成によれば、スペアタイヤ脱着用ロッドの挿入ガイド用であって、車体外に露出する穴を、閉鎖されたバックドアによって被われるクロスシルに設けたため、バックドアの閉鎖時において、その穴がバックドアによって隠されてしまう。従って、かかる穴に起因した外観上の見栄えを損わないようにすることができ、又、フロアパネルの下方に格納されているスペアタイヤが不用意に持ち去られる不具合を防止できる。
【0028】
請求項2に記載の構成によれば、スペアタイヤ脱着用ロッドの挿入時に、その先端部をクロスシルの外面にぶつけないようにすることができ、クロスシルの塗膜が傷付く不具合を防止できる。
【0029】
請求項3に記載の構成によれば、スペアタイヤ脱着用ロッドの挿入時に、その先端部を、スペアタイヤキャリヤ側の駆動軸の端部にぶつけることなく、該駆動軸に、円滑に係合させることができる。
【0030】
請求項4に記載の構成によれば、スペアタイヤ脱着用ロッドの挿入をより一層容易に行うことができると共に、その先端部を正確に駆動軸に係合させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明一実施例の自動車の側断面図である。
【図2】図1に示したバックドアを開放させた状態を示す自動車の背部側を示す外観斜視図である。
【図3】図1に示したフロアパネルの下位に配置されるシャシフレーム周りの構成を、格納されるスペアタイヤと共に示す斜視図である。
【図4】スペアタイヤ脱着用ロッドをガイドするためのガイド筒をクロスシルと共に示す斜視図である。
【図5】クロスシルのアウタパネルにグロメットを装着したスペアタイヤ脱着用ロッド挿入部の側断面図である。
【図6】クロスシルのアウタパネルとインナパネルとにガイド筒を装着したスペアタイヤ脱着用ロッド挿入部の側断面図である。
【図7】アウタパネルやインナパネルの一部を、これに装着されるガイド筒と共に示す斜視図である。
【図8】従来技術を説明するのに用いた自動車の背部側をスペアタイヤ脱着用ロッドと共に示す外観斜視図である。
【符号の説明】
1 バックドア
2 車体
3 スペアタイヤ脱着用ロッド
3a 先端部
5 フロアパネル
6 スペアタイヤキャリヤ
10 自動車
12 チェーンホイール
13 駆動軸
14 チェーン
15 スペアタイヤ
21 ロッド挿入ガイド用の穴
22 ロッド挿入ガイド用の穴
23 ガイド筒
23A 貫通穴
25 ガイド筒
25A 貫通穴
27 グロメット
27a 穴
33 クロスシル

Claims (4)

  1. 一端側が車体にヒンジ連結されたバックドアを備えていると共に、チェーンとこれが巻き付けられるチェーンホイールと該チェーンホイール回転用駆動軸とを有するスペアタイヤキャリヤが、車体のフロアパネルの下方に配備され、スペアタイヤ脱着用ロッドの先端部を前記駆動軸に係合させて、スペアタイヤ脱着用ロッドを回転操作することにより、前記駆動軸を介してチェーンホイールを回転させ、チェーンをチェーンホイールに巻き付けつつ、チェーンの自由端側に保持したスペアタイヤをフロアパネルの下方に格納するようにした自動車において、前記フロアパネルの後端部に固着されていて、バックドアが開放されているとき少なくとも一部が車体後方に露出し、バックドアが閉鎖されているとき該ドアによって被われるクロスシルに、スペアタイヤ脱着用ロッドの先端部を車体の後方から駆動軸に導いて、この駆動軸に係合させるためのロッド挿入ガイド用の穴を形成したことを特徴とする自動車。
  2. バックドアを開放したとき、車体外方に露出するクロスシル部分に形成されたロッド挿入ガイド用の穴にグロメットを装着し、このグロメットの穴を通してスペアタイヤ脱着用ロッドの挿入を可能とした請求項1に記載の自動車。
  3. スペアタイヤ脱着用ロッドの挿入方向に沿って配置されたガイド筒をクロスシルに装着し、このガイド筒内の貫通穴を通してスペアタイヤ脱着用ロッドの挿入を可能とした請求項1又は2に記載の自動車。
  4. ガイド筒の貫通穴を、スペアタイヤ脱着用ロッドの挿入方向下流側で漸次すぼまるテーパ状穴とした請求項3に記載の自動車。
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