JP3714430B2 - 分布帰還型半導体レーザ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、単一波長でレーザ発振する分布帰還型半導体レーザ装置(DFB−LD:Distributed Feed Back Laser Diode)に関し、特に利得の周期分布によって分布帰還をもたらせる機構を有する利得結合分布帰還型半導体レーザ装置(GC−DFB−LD:Gain−Coupled DFB−LD)に関する。
【0002】
【従来の技術】
分布帰還型半導体レーザ装置(以下、DFB−LDともいう。)は、誘導放出光を発生する活性層を含み、かつ該誘導放出光の導波方向にて該誘導放出光に対する屈折率や利得等が周期的に変動した素子構造を有し、該誘導放出光が該屈折率や利得などの周期的な変動により光分布帰還を受けて唯一の波長でレーザ発振が生ずるよう構成したものである。
【0003】
ここで、上記DFB−LDのうちの、屈折率の周期的な変動によって、いわゆる屈折率結合によって分布帰還が生じるものを屈折率結合分布帰還型半導体レーザ装置(IC−DFB−LD:Index−Coupled DFB−LD)と呼び、利得の周期的な変動によって、いわゆる利得結合によって分布帰還が生じるものを利得結合分布帰還型半導体レーザ装置(GC−DFB−LD:Gain−Coupled)と呼び、両者を区別する。
【0004】
GC−DFB−LDでは、IC−DFB−LDと比較して、単一波長でレーザ発振が格段に起こりやすいことが、例えば、Journal of Applied Physics,1972年,第43巻,2327頁(参考文献1)に示されている。
【0005】
また、実用上重要な点として、GC−DFB−LDでは、強い戻り光にも雑音を発生しないといった、IC−DFB−LDには見られない優れた特徴を有している。
【0006】
また、半導体レーザの高出力化,高効率化を図るのに重要な半導体レーザ素子の出射端面の反射率の設定については、IC−DFB−LDでは実質的に端面反射率を無くさなければならないのに対し、GC−DFB−LDでは任意の値に設定することができ、端面反射に関する設定の自由度が大きく、レーザ素子の構造の最適化に有利である。
【0007】
このように様々な優れた特性を発揮するGC−DFB−LDは、光計測装置、高速光伝送装置、光記録装置等における単一波長光源として実用上大変有用なものである。
【0008】
ところで、GC−DFB−LDを実現するためには、半導体レーザ素子の内部に利得を周期的に変化させる構造を導入する必要があり、大別して2つの方法がある。
【0009】
第1の方法は、活性層の形状や物性、さらには活性層への注入電流の密度等を周期的に変化させた構造(利得性回折格子)をレーザ素子内部に形成し、活性層自体をその利得が周期的に変化した構造とするというものである。また、第2の方法は、均一な利得を発生する活性層の近傍に光を吸収する領域を周期的に配置した構造(吸収性回折格子)を形成し、この構造により実効的に利得の摂動が生じるようにするというものである。ここで述べた後者の構造に関しては、特公平6−7624号公報に基本となる構造が開示されており、以下図面を用いて簡単に説明する。
【0010】
図9は、上記公報に開示されているGC−DFB−LDの構造を示す図である。図において、900は、誘導放出光を発生する、アンドープのun−AlGaAs活性層905を有するGC−DFB−LDで、このGC−DFB−LD900は、該活性層905近傍に誘導放出光の導波方向に沿って光吸収領域が周期的に配置され、これによって実効的に利得の周期的摂動が生じる素子構造となっている。
【0011】
すなわち、上記レーザ装置900を構成するp−GaAs基板901上には、ストライプ状の開口902aを有するn−GaAs電流狭窄層902が形成されている。また、該電流狭窄層902及びその開口902a内に露出する基板表面上には、p−AlGaAsクラッド層904が形成されており、該電流狭窄層902の開口902a部分が電流狭窄溝903となっている。
【0012】
さらに、上記クラッド層904上には、アンドープのun−AlGaAs活性層905が形成されており、該活性層905上には、n−AlGaAsバッファ層906を介してn−GaAs光吸収層907が形成されている。この光吸収層907は、その厚さが上記ストライプ状開口902aの長手方向に沿ってその厚さが周期的に変化した構造となっている。
【0013】
この光吸収層907上には、上面が平坦なn−AlGaAsクラッド層908が形成され、該クラッド層908の表面はn−GaAsキャップ層909により覆われている。
【0014】
そして、上記p−GaAs基板901の裏面にはp電極910aが形成され、上記n−GaAsキャップ層909の表面にはn電極910bが形成されている。
【0015】
次に製造方法について説明する。
まず、p−GaAs基板901上にn−GaAs電流狭窄層902を液相成長法により結晶成長し、その後、該電流狭窄層902及び基板901の表面領域を選択的にエッチングして電流狭窄溝903を形成する。
【0016】
次に、上記電流狭窄層902及び電流狭窄溝903上全面に、p−AlGaAsクラッド層904をその表面が平坦となるよう液相成長法により結晶成長し、続いて、un−AlGaAs活性層905、n−AlGaAsバッファ層906、及びn−GaAs光吸収層907を液相成長法により順次結晶成長する。
【0017】
その後、二光束干渉露光法とウエットエッチングにより光吸収層907を選択的にエッチングして、周期2400オングストロームの回折格子を光吸収層907の表面部分に形成する。
【0018】
次に、光吸収層907上にn−AlGaAsクラッド層908及びn−GaAsキャップ層909を順次結晶成長する。その後基板の裏面側、及び結晶成長層の表面側にそれぞれp電極910a及びn電極910bを付けて、GC−DFB−LD900を完成する。
【0019】
このような構成のGC−DFB−LD900では、回折格子が形成された光吸収層907によって、活性層で発生する誘導放出光の利得の、実効的な周期的変化が生ずることとなる。これにより誘導放出光の利得結合が生じて単一波長でのレーザ発振が生ずる。
【0020】
ところが、上記GC−DFB−LD900の構造においても、GaAs光吸収層907とAlGaAsクラッド層908との屈折率が異なるため、屈折率の周期変化に伴う誘導放出光の屈折率結合が利得結合と同時に発生し、利得結合に基づく優れた特性が弱められるという問題があった。
【0021】
なお、このように誘導放出光の屈折率結合と利得結合とが混在したDFB−LDは、部分GC−DFB−LD(Partial GC−DFB−LD)と呼ばれ、また、誘導放出光の利得結合のみにより誘導放出光の分布帰還が生じる純粋なGC−DFB−LDは、真性GC−DFB−LD(Pure GC−DFB−LD)と呼ばれ、両者は区別される。
【0022】
また、特開平5−29705号公報には、上記のようなGC−DFB−LDにおける利得結合と屈折率結合との混在により、利得結合によるレーザ発振の優れた特性が弱められるという問題に対する対策を施した分布帰還型半導体レーザ装置が開示されている。
【0023】
この公報に記載の分布帰還型半導体レーザ装置は、屈折率の周期変化を打ち消す構造を導入したものであり、以下図10を用いてその主要部の構成を説明する。
【0024】
図10(a)は、活性層近傍に形成された吸収性回折格子の構造を示している。この構造では、活性層で発生される誘導放出光に対して透明な下側の透明層13上に、光吸収層11が導波方向に沿って一定間隔で繰り返し配置されており、該透明層13の、隣接する光吸収層11間に対応する表面部分には、溝部13aが形成されている。そして、上記光吸収層11及び下側の透明層13の溝部13a上には、上記誘導放出光に対して透明な上側の透明層12が形成されている。
【0025】
そして、ここでは、上側の透明層12の屈折率を下側の透明層13の屈折率より大きくし、光吸収層13の屈折率を該上側の透明層12の屈折率より大きくしている。
【0026】
図10(b)は、図10(a)のA−A’線部分での屈折率分布、及びB−B’線部分での屈折率分布を示している。この図10(b)に示すように、上記光吸収層11が周期的に並ぶ方向では、A−A’線部分での屈折率の高低変化の位相と、B−B’線部分での屈折率の高低変化の位相とが逆転している。ここで、光吸収層11及び下側の透明層13と上側の透明層12との界面の形状を精密に調整することによって、全体として屈折率の周期変化分がキャンセルされた吸収性回折格子を実現することができ、純粋に利得結合による分布帰還だけが生ずる真性GC−DFB−LDの構造を得ることができる。
【0027】
また、特開平4−155987号公報には、上記吸収性回折格子における屈折率の周期変化分をキャンセルする構造を、利得性回折格子に適用したレーザ装置が開示されており、このレーザ装置は、屈折率の周期変動の位相が逆転した領域を近接配置して、全体として屈折率の周期変化分がキャンセルされた利得性回折格子を備えている。
【0028】
【発明が解決しようとする課題】
まず、上述した従来の部分GC−DFB−LDの素子構造では、IC−DFB−LDのものと比較して単一波長でレーザ発振する素子が得られる割合(歩留まり)が格段に良くなるものの、誘導放出光の高速での直接変調を行った時には、波長の不連続なシフト(モードホップ)現象や複数の波長の同時発振(マルチモード化)が生じるという問題があり、このような問題は実用上の障害となっていた。
【0029】
また、従来の屈折率の周期変化を打ち消した構造の真性GC−DFB−LDにおいても、回折格子の形状,深さ等がわずかにずれるだけで、図10(a)に示すA−A’部分とB−B’部分との間で屈折率の周期変化のバランスが大きく崩れてしまい、屈折率の周期変化を完全にキャンセルすることが困難となるという問題があった。
【0030】
言い換えると、屈折率の周期変化をうまくキャンセルする構造を作るには非常に高い加工精度と再現性が要求され、作製は非常に困難であるということである。例えば、DFB−LDの回折格子は、ピッチ100〜400nmといった極めて小さい格子(凸凹形状)を多数必要とするものであり、このような多数の凸凹形状をこれらが狙い通りの形状になるよう処理条件を制御して形成することは非常に難しい。
【0031】
このように真性GC−DFB−LDを作ろうとしても、実際に作製されるレーザ素子は、誘導放出光の分布帰還における屈折率結合の成分を完全に打ち消すことが実現不可能であることから、部分GC−DFB−LDになってしまい、事実上、優れた真性GC−DFB−LDを作製するのは不可能に近い。
【0032】
本発明は上記のような問題点を解決するためになされたもので、屈折率結合による分布帰還と利得結合による分布帰還とが混在する素子構造においても、誘導放出光の高速変調を行った時にも発振波長を単一波長に保持することができる分布帰還型半導体レーザ装置及びその製造方法を得ることを目的とする。
【0033】
また、本発明は、上記分布帰還型半導体レーザ装置における回折格子を形成するためのマスクパターンの形成に適した露光方法を得ることを目的とする。
【0038】
【課題を解決するための手段】
本発明の分布帰還型半導体レーザ装置は、誘導放出光を発生する活性層を含み、かつ該誘導放出光の導波方向にて該誘導放出光に対する屈折率及び利得が同一の単一周期でもって周期的に変動した、屈折率分布及び利得分布を有する素子構造を備え、該誘導放出光が該屈折率及び利得の周期的な変動により光分布帰還を受けてレーザ発振が生ずるよう構成した分布帰還型半導体レーザ装置であって、該素子構造は、その屈折率及び利得の周期的な変動における位相の不連続部を有し、前記誘導放出光の導波経路における屈折率変動の位相と利得変動の位相とが同位相あるいは逆位相の関係となっており、前記位相の不連続部での位相シフト量は、該屈折率変動の位相と利得変動の位相とが同位相である場合には、π[rad]より大きくかつ2π[rad]より小さい範囲内に設定され、該屈折率変動の位相と利得変動の位相とが逆位相である場合には、0[rad]より大きくかつπ[rad]より小さい範囲内に設定されていることを特徴とする。
【0039】
前記位相の不連続部での位相シフト量Ωは、前記屈折率分布による分布帰還の程度を示す屈折率結合定数κiと、前記利得分布による分布帰還の程度を示す利得結合定数κgとに基づいて、該屈折率変動の位相と利得変動の位相とが同位相である場合には、下記(1),(2),(3)式の関係を満たし、
Ω[rad] =π+5.7R−2.6R2 ・・・(1)
R=κg/(κg 2+κi 2)1/2 ・・・(2)
0<R<1 ・・・(3)
前記屈折率変動の位相と利得変動の位相とが逆位相である場合には、上記(2),(3)式及び下記(4)式の関係を満たすよう
Ω[rad] =π−5.7R+2.6R2 ・・・(4)
設定されていてもよい。
【0040】
前記位相の不連続部での位相シフト量は、前記屈折率分布による分布帰還の程度を示す屈折率結合定数κiと、前記利得分布による分布帰還の程度を示す利得結合定数κgとが、下記の2つの関係式
3≦R<1
R=κg/(κg 2+κi 2)1/2
を満たすよう設定されていてもよい。
【0041】
前記素子構造を、その両レーザ出射端面で実質的な光反射が生じないよう構成し、前記位相の不連続部での位相シフト量を、前記屈折率分布による分布帰還の程度を示す屈折率結合定数κiと、前記利得分布による分布帰還の程度を示す利得結合定数κgとが、下記の2つの関係式
0<R<0.3
R=κg/(κg 2+κi 2)1/2
を満たすよう設定してもよい。
【0049】
以下、本発明の作用について説明する。
【0050】
この発明(請求項1,3)においては、活性層からの誘導放出光に対する屈折率及び利得が、誘導放出光の導波方向にて同一の単一周期でもって周期的に変動した、屈折率分布及び利得分布を有する素子構造を備え、該素子構造を、該屈折率及び利得の周期的な変動における位相の不連続部を有するものとしたから、光分布帰還を受ける誘導放出光のうちの唯一の波長を有するものだけが位相が揃ってレーザ発振に至るようになる。これによりレーザ素子における安定な単一波長での発振を可能とできる。
【0051】
つまり、屈折率分布及び利得分布の両方が存在する素子構造のレーザ装置(部分GC−DFB−LD)では、誘導放出光に対する屈折率及び利得が周期的に変動した構造(つまり回折格子部分)に位相シフトがない場合、ブラッグ波長での反射波の位相がそろわず、ブラッグ波長での発振が生じず、レーザ発振が不安定となる。これに対し、上記回折格子部分に位相シフト部が存在している場合には、光分布帰還を受ける誘導放出光のうち、ブラッグ波長に相当する波長を有するものだけが位相が揃ってレーザ発振に至るようになる。
【0052】
また、上記位相シフト量を、0[rad]より大きくかつπ[rad]より小さい範囲、またはπ[rad]より大きくかつ2π[rad]より小さい範囲にしているので、位相シフト量の調整により、部分GC−DFB−LDにおける副モード抑圧比,つまり最も出力が大きな発振波長(主モード)と、2番目に出力が大きな発振波長(副モード)との出力の差を最大にすることができ、これにより誘導放出光の高速での直接変調を行った時にも発振波長を単一波長に保持することができる。
【0053】
この発明(請求項2,3)においては、屈折率分布及び利得分布を有する素子構造における利得の周期的な変動を、該誘導放出光の吸収によるものとし、該素子構造に、その屈折率及び利得の周期的な変動における位相の不連続部を設けているので、吸収性回折格子を有する分布帰還型半導体レーザ装置を、安定な単一波長での発振が可能なものとできる。
【0054】
この発明(請求項4)においては、請求項1ないし3のいずれかに記載の分布帰還型半導体レーザ装置において、前記位相の不連続部での位相シフト量Ωを、前記屈折率変動の位相と利得変動の位相とが同位相である場合には、下記(1),(2),(3)式の関係を概ね満たし、
Ω[rad] =π+5.7R−2.6R2 ・・・(1)
R=κg/(κg 2+κi 2)1/2
(κi:屈折率結合定数、κg:利得結合定数) ・・・(2)
0<R<1 ・・・(3)
前記屈折率変動の位相と利得変動の位相とが逆位相である場合には、上記(2),(3)式及び下記(4)式の関係を概ね満たすよう
Ω[rad] =π−5.7R+2.6R2 ・・・(4)
設定するので、分布帰還型半導体レーザ装置を、その屈折率結合定数と利得結合定数との比率に応じて、安定なレーザ発振が可能な最適な素子構造とできる。
【0055】
この発明(請求項5)においては、上記請求項1ないし4のいずれかに記載の分布帰還型半導体レーザ装置において、前記位相の不連続部での位相シフト量を、
前記屈折率結合定数κiと前記利得結合定数κgとが、
下記の2つの関係式
0.3≦R<1
R=κg/(κg 2+κi 2)1/2
を満たすよう設定したので、素子端面の反射率に拘わらず、高速での直接変調の際にも安定なレーザ発振を保持することができる。
【0056】
この発明(請求項6)において、請求項1ないし4のいずれかに記載の分布帰還型半導体レーザ装置において、前記位相の不連続部での位相シフト量を、
前記屈折率結合定数κiと前記利得結合定数κgとが、
下記の2つの関係式
0<R<0.3
R=κg/(κg 2+κi 2)1/2
を満たすよう設定したので、素子両端面での反射率を小さく、実質的には端面反射率を零にするすることにより、高速での直接変調の際にも安定なレーザ発振を保持することができる。
【0057】
この発明(請求項7)においては、屈折率分布及び利得分布を有する素子構造を形成する工程では、誘導放出光に対する屈折率及び利得の周期的な変動を発生させるための、位相の不連続部を有する回折格子を形成し、該位相の不連続部での位相シフト量を、最も出力が大きな発振波長と2番目に出力が大きな発振波長との間での出力の差である副モード抑圧比が最大となるよう設定するので、誘導放出光の高速での直接変調を行った時にも発振波長を単一波長に保持することができる部分GC−DFB−LDを、再現性よく製造することができる。
【0058】
この発明(請求項8)は、上記請求項7記載の分布帰還型半導体レーザ装置の製造方法において、該位相の不連続部での位相シフト量を、該屈折率分布による分布帰還の程度を示す屈折率結合定数と、該利得分布による分布帰還の程度を示す利得結合定数との比率から決まる前記副モード抑圧比の最大値に基づいて設定するので、その屈折率結合定数と利得結合定数との比率に応じた、安定なレーザ発振が可能な最適な素子構造を得ることができる。
【0059】
この発明(請求項9)においては、2光束干渉露光により、位相シフト部を有する回折格子状露光パターンを感光性材料層の複数の領域に形成する方法において、該感光性材料層上に、干渉縞を形成するためのプリズムを配置し、プリズムとして、該第1及び第2の側面の少なくとも一方の面に、該感光性材料層の各領域に対応する段差部が形成され、該段差部の両側の側面部分を通過した露光光が、光軸と垂直な面内で位相がずれたものとなるプリズムを用いるので、感光性材料層における位相シフト部の形成位置を、精度よくしかも再現性よく決めることができる。
【0060】
この発明(請求項10)においては、上記請求項9記載の露光方法を用いて、半導体ウエハの表面に塗布されたホトレジスト膜の、各チップ領域に対応する部分に、位相シフト部を有する回折格子状露光パターンを形成する際、前記プリズムを、その少なくとも一方の側面に形成された1つまたは隣接する複数の段差部が、各チップ領域の列に対応するよう該ホトレジスト膜上に配置するようにしたので、1つのプリズムを用いて、該ホトレジスト膜の、各チップ領域に対応する部分に、1つまたは複数の位相シフト部を有する回折格子状露光パターンを簡単に形成することができる。
【0061】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施形態1による分布帰還型半導体レーザ装置を説明するための図である。図において、100は本実施形態1の部分GC−DFB−LDであり、誘導放出光を発生する、アンドープのun−Al0.13Ga0.87As活性層103を有し、該活性層103近傍に誘導放出光の導波方向に沿って周期的に配置された光吸収領域106によって実効的に利得の周期的摂動が生じる素子構造となっている。
【0062】
すなわち、上記レーザ装置100を構成するn−GaAs基板101上には、層厚1μmのn−Al0.6Ga0.4As下クラッド層102が形成されている。また、該下クラッド層102上には、層厚0.08μmのアンドープのun−Al0.13Ga0.87As活性層103が形成されており、該活性層103上には、層厚0.2μmのp−Al0.5Ga0.5Asキャリアバリア層104を介して層厚0.058μmのp−Al0.3Ga0.7As第1ガイド層105が形成されている。
【0063】
該第1ガイド層105の表面部分は、凸凹形状を誘導放出光の導波方向に沿って一定周期で繰り返し配列した構造となっており、該構造における上記導波方向における中央部は位相が不連続な部分100aとなっている。そして、該第1ガイド層105の凸部上には、厚さ0.012μmのn−GaAs光吸収層106が配置されている。ここで光吸収層106を構成するGaAsは、活性層103を構成するA10.13Ga0.87Asよりも禁制帯輻が小さいことから、上記光吸収層106は、活性層で発生される誘導放出光の吸収体として機能する。従って、上記導波方向における中央部が位相の不連続な部分100aとなっている光吸収層の周期的な配列により、吸収性回折格子が構成されている。
【0064】
また、該第1ガイド層105及び光吸収層106上には、表面が平坦な層厚0.030μmのp−Al0.25Ga0.75As第2ガイド層108が形成されており、該第2ガイド層108を構成するAl0.25Ga0.75Asは、上記光吸収層106を構成するGaAsとは屈折率が異なっている。従って、本実施形態1のレーザ装置は、屈折率の周期的な分布も利得の周期的な分布とともに存在する、部分GC−DFB−LDとなっている。
【0065】
そして、該第2ガイド層108の中央部分には選択的に導波方向に沿って、層厚0.8μmのストライプ状p−Al0.75Ga0.25As上クラッド層109が形成されており、該上クラッド層109の表面上には、層厚0.5μmのp+−GaAsコンタクト層110が形成されている。ここで、上クラッド層109及びコンタクト層110の幅(上記ストライプの幅方向の寸法)は3μmとなっている。
【0066】
上記上クラッド層109及びコンタクト層110の、導波方向と平行な側面から上記第2ガイド層108の表面にまたがる領域には、窒化珪素からなる厚さ0.3μmの絶縁膜111が形成されており、該絶縁膜111の表面及びコンタクト層109の表面上にはp電極112が形成されている。また基板101の裏面には、n電極113が形成されている。
【0067】
次に、製造方法について図2ないし図4を用いて説明する。
図2(a)〜図2(e)は上記半導体レーザ装置の製造方法を主要工程順に示す断面図であり、各工程での図1のII−II線部分の断面構造を示している。図3は、上記半導体レーザ装置における回折格子を形成するためのレジストマスクの形成工程を説明するための図であり、図3(a)は、ウエハ上での各半導体レーザ装置の形成領域(チップ領域)を示し、図3(b)は、上記ウエハ上に形成したホトレジストを露光する工程を示している。なお、図3では、説明の都合上、ウエハ上には12個のチップ領域が設定されているとする。図4(a)及び(b)は、上記露光により各チップ領域上のホトレジスト膜に形成された露光パターンを示す斜視図及び断面図である。
【0068】
まず、有機金属気相成長法(MO−CVD:Metal−Organic Chemical Vapor Deposition)を用いた第1回目の結晶成長を行って、3インチ径のn−GaAs基板101上に半導体レーザ装置を構成する複数の半導体層を形成する。
【0069】
この第1回目の結晶成長では、上記基板上にn−A10.6Ga0.4As下クラッド層102が1μmの厚さに、un−Al0.13Ga0.87As活性層103が0.08μmの厚さに、p−A10.5Ga0.5Asキャリアバリア属104が0.2μmの厚さに成長され、さらにp−Al0.3Ga0.7As第1ガイド属105が0.058μm厚さに、n−GaAs層106が0.012μmの厚さに形成される(図2(a))。
【0070】
続いて、図3(b)に示すように、第1回目の結晶成長によりその表面上に複数の半導体層を成長した状態の基板(ウエハ)201を露光用処理台200上に載置し、希釈したポジ型ホトレジストを、該基板201の表面、つまりn−GaAs層106の表面上に約50nmの厚さに塗布してホトレジスト膜202を形成し(図2(b))、その後、一方の側面203aに第1〜第4の段差205a1〜205a4が設けられた直方体プリズム203をキシレン204を介して、上記ホトレジスト膜202が塗布された基板201上に置く。ここで、プリズム203と基板表面のホトレジスト膜202との間にキシレン204を介在させているのは、プリズム203底面での露光光の反射を抑えるためである。
【0071】
また、上記プリズム203の側面203aに形成された第1〜第4の段差205a1〜205a4は、ウエハ201上にマトリクス状に配置されているチップ領域201aの各列201a1〜201a4に対応している。ここで、最上位置の第1の段差205a1より上側の側面領域203a1が最も外側に位置し、第1,第2の段差205a1,205a2間の側面領域203a2は上記側面領域203a1より内側に位置し、第2,第3の段差205a2,205a3間の側面領域203a3は上記側面領域203a2より内側に位置している。また、第3,第4の段差205a3,205a4間の側面領域203a4は上記側面領域203a3より内側に位置し、最下位置の第4の段差205a4より下側の側面領域203a5は、側面領域203a4よりさらに内側に位置している。
【0072】
そして、Arガスレーザ(波長351.1nm)の平行光206をプリズムの、段差が設けられた側面203aを通してホトレジスト膜202に照射し、Arガスレーザ(波長351.1nm)の平行光207を、プリズムの、段差が設けられていない側面203bを通してホトレジスト膜202に照射すると、ホトレジスト膜202には、2つの平行光206及び207が作る干渉縞に対応した露光パターンが形成される。この露光後のホトレジスト膜202を適切な現像液により現像して、ピッチ120nmの回折格子状のレジストマスク202bを形成する(図2(c))。
【0073】
ここで、回折格子状のレジストマスク202bを作製する際に、一方の側面203aに上記のように段差205a1〜205a4が設けられたプリズム203を用いることにより、このプリズムの各側面領域203a1〜203a5を通過する光は、光路長の差に基づいて一定量づつ位相がずれることとなる。
【0074】
このため、上記プリズム203の側面203aを通過した、光軸と垂直な面内で位相がずれた部分を有する平行光206と、上記プリズムの側面203bを通過した、光軸と垂直な面内では位相が揃っている平行光207とにより、ホトレジスト202の表面上に形成される干渉縞は、ウエハ201上の各列201a1〜201a4のチップ領域201aの中央位置p1〜p4に位相の不連続部を有するものとなる。
【0075】
図4(a)は、1つのチップ領域201aにおけるホトレジスト膜202の立体的な露光パターン202aを示しており、この立体的な露光パターン202aは、基板表面上に線状凸凹形状を一定の周期でもって繰り返し配列した形状となっており、しかもこの露光パターン202aのチップ領域201aの中央部分には、該形状の繰返し変化における位相の不連続部(位相シフト部)202a0が位置している。この位相シフト部202a0での位相シフト量Ωは、図4(b)に示すように上記プリズム203の側面203aに設けられた段差の高さによって、0〜2πの範囲内で任意に設定することができる。
【0076】
このようにして作製した回折格子状のレジストマスク202bを用いて、塩酸,過酸化水素水,及び純水の混合液によるウエットエッチングを、上記第1回目の結晶成長で作製した光吸収層106の表面に施して、該光吸収層106を、これが該レジストマスク202bの立体的な形状に対応した形状となるようパターニングして、位相シフト部100aを有する吸収性回折格子107を形成する(図2(d))。
【0077】
次に、上記回折格子107が形成されている、第1回目の結晶成長層の表面上に、第2回目の結晶成長を行って複数の半導体層を形成する。この2回目の結晶成長では、光吸収層106及び第1ガイド層105上に、表面が平坦になるようp−Al0.25Ga0.75As第2ガイド層108が0.030μmの厚さに形成され、さらにその上にp−Al0.75Ga0.25As上クラッド層109が0.8μmの厚さに形成され、最後にp+−GaAsコンタクト層110が0.5μmに形成される(図2(e))。
【0078】
次に、ホトリソグラフィーとウエットエッチングを用いて、p−GaAsコンタクト層110及びp−AlGaAs上クラッド層109を選択的にエッチングして、誘導放出光の導波方向と平行な幅3μmのストライプ状部分を形成する。これによりリッジ型の光導波構造を作製する。
【0079】
このように光導波構造を作製した後、表面全面にプラズマCVD法により窒化珪素の絶縁膜111を約0.3μmの厚さに形成し、その後、リッジ頂上の絶縁膜だけを除去する。
【0080】
そして、基板101をその裏面に研磨処理を施して厚さ約100μmにまで薄層化し、基板の表面側にp電極112を、基板の裏面にn電極113を真空蒸着により形成する。その後、基板を、リッジ部と位相シフト部とが素子の中央に来るように300μm×300μm角のチップ状に劈開により分割して、レーザ装置を完成する。
【0081】
ここでは、レーザ光の出射端面には、特別なコーティングを施していない。また、AlxGa1-xAs混晶では、混晶比xが小さい方が禁制帯幅が小さくかつ屈折率が大きくなることから、上記の構造の回折格子107では、光吸収領域106により利得が小さく抑えられる部分が屈折率の高い部分に一致する構造であり、屈折率変動における位相と利得変動における位相とが逆位相となっている。
【0082】
上記の構造の素子について、分布帰還の程度を示すパラメータである結合定数(以下「κ」と略す)を測定したところ、屈折率結合による分布帰還の程度を示す屈折率結合定数(κi)は60[cm-1]、利得結合による分布帰還の程度を示す利得結合定数(κg)は20[cm-1]であった。
【0083】
また、作製された素子は、屈折率結合と利得結合とが混在する部分GC−DFB−LDであった。なお、上記結合係数κに関しては、The Bell System Technical Journal 1969年,第48巻,2909貢(参考文献2)に詳しく解説されている。
【0084】
次に、作用効果について説明する。
【0085】
上記のような吸収性回折格子を有する分布帰還型半導体レーザ装置として、0〜2π[rad]の範囲で異なる位相シフト量を有するサンプル素子を複数作製し、各サンプル素子にDC電流を注入し、片側の端面からの数mWの出力にてレーザ光を出射させ、各位相シフト量に対する副モード抑圧比(SMSR:Side Mode Suppression Ratio)、つまり最も出力が大きな発振波長(主モード)と次に出力が大きな発振波長(副モード)との出力の差を測定した。
【0086】
図5(a)は、サンプル素子の位相シフト量Ωと、該個々の位相シフト量に対するSMSRの平均値との相関関係を示しており、SMSRについては最大値を1.0とした相対値を用いて示している。
【0087】
この図5(a)から、位相シフトが全くない回折格子を有するサンプル素子でも、利得結合の効果により20dB以上の十分に大きなSMSRが得られたが、位相シフト量を約π/2[rad]とすることにより、より大きなSMSRが得られて発振波長の単一性が向上することが分かる。
【0088】
例えば、位相シフト量がπ/4[rad]である位相シフト部を導入したサンプル素子でも、SMSRは向上するが、このサンプル素子では、高速で直接変調を行った場合には波長の不連続な飛びが生じたり複数の波長が出現したりすることとなり、位相シフト量がπ/2[rad]である位相シフト部を導入したサンプル素子だけが最も安定して単一波長で発振した。
【0089】
つまり、本件の発明者は、部分GC−DFB−LDに最適な位相シフトを導入することにより単一波長での発振が非常に安定することを新たに見い出した。また、これらの素子は単一波長での発振特性に優れているのみならず、強い戻り光下でも雑音が生じず、GC−DFB−LDに特有の優れた特性が観察された。
【0090】
また、図1に示す半導体レーザ装置の構造において、第1ガイド層105,光吸収層106,第2ガイド層108の組成や層厚を変更して素子を作製すると、様々な屈折率結合定数κiと利得結合定数κgとの組み合わせを有する素子を作製することができる。この際、屈折率変化と利得変化とが位相のそろったものとなっている素子構造、あるいは屈折率変化と利得変化とが位相が逆転したものとなっている素子構造を実現することができる。
【0091】
例えば、レーザ素子における利得結合の程度を、下記の式で定義されるR値で表すと、
R=κg/(κg 2+κi 2)1/2,0≦R≦1
R=0の素子はIC−DFB−LDであり、Rが0<R<1の範囲である素子は、部分GC−DFB−LDであり、R=1の素子は真性GC−DFB−LDであるということになる。
【0092】
そこで、屈折率結合定数κiと利得結合定数κgとの組み合わせ及び位相シフト量を変えたサンプル素子を複数作製し、各サンプル素子のSMSRを測定した。ここでは、サンプル素子は、その光出射端面に無反射コーティングを施して両端面の反射率を1%以下に抑え、レーザ出射端面での光の反射が実質的に無い状態とした。
【0093】
図5(b)は、このような端面反射のないレーザ素子構造についての、最もSMSRが大きくなる最適な回折格子の位相シフト量ΩとR値との相関関係を示しており、各点は、作製したサンプル素子のR値に対する最適位相シフト量を示している。
【0094】
ここで、本件の発明者は、0<R<1である部分GC−DFB−LDに対しては、その利得結合の程度(つまりR値)によって最適な位相シフト量Ωが存在することを図5(b)の結果から新たに見い出すことができた。
【0095】
さらに、屈折率変動と利得変動との位相が一致している素子構造では、π<0<2πの範囲内に最適な位相シフト量Ωがあり、屈折率変動と利得変動の位相が反転している素子構造では、0<Ω<πの範囲内に最適な位相シフト量Ωが存在することも新たに見い出した。
【0096】
図5(b)に示す各点を結ぶ曲線を簡単な2次式で近似し、上記最適位相シフト量とR値との関係を一般化すると、屈折率と利得の周期変動の位相が一致している素子構造では、上記最適位相シフト量とR値関係は、下記(A)式により概ね表される。
【0097】
Ω[rad]=π+5.7R−2.6R2 ・・・(A)
また、屈折率と利得の周期変動の位相が反転している素子構造では、上記最適位相シフト量とR値との関係は、下記(B)式により概ね表される。
【0098】
Ω[rad]=π−5.7R+2.6R2 ・・・(B)
また、図5(b)から、屈折率分布及び利得分布の両方が存在する素子構造のレーザ装置(部分GC−DFB−LD)では、位相シフト量が、0[rad]より大きくかつπ[rad]より小さい範囲、またはπ[rad]より大きくかつ2π[rad]より小さい範囲にて、言い換えると実質的の位相シフト量Ωがπ以外の値をとる時に、部分GC−DFB−LDにおける副モード抑圧比を最大にすることが可能であることがわかる。
【0099】
さらに、図5(c)は、部分GC−DFB−LDに位相シフト回折格子を導入した素子における端面反射率の影響を示している。
【0100】
利得結合性が弱い素子(R<0.3)では、両端面反射率が小さくないと高速での変調時に波長の不安定性が見られた。それに対し、利得結合性が強い素子(R≧0.3)では、端面の反射率を低くしなくても高速変調で波長が安定であった。また、これらの素子は単一波長特性に優れているのみならず、強い戻り光下でも雑音が生じず、GC−DFB−LDに特有の優れた特性が観察された。
【0101】
つまり、真性GC−DFB−LDは事実上作製困難であるのに対し、本発明の部分GC−DFB−LDに最適な位相シフト部を有する回折格子を導入したレーザ素子は、現実的に作製可能なものであり、真性GC−DFB−LDの有する様々な長所を最も効果的に発揮できるものである。特にR≧0.3である素子は、端面コートの有無の制約を受けない点でより優れた素子であると言える。
【0102】
また、この実施形態1では、2光束干渉露光法により、半導体ウエハの表面に塗布されたホトレジスト膜の、各チップ領域に対応する部分に、位相シフト部を有する回折格子状露光パターンを形成する際、第1及び第2の側面の少なくとも一方の面に該ホトレジスト膜の各チップ領域に対応する段差部が形成されたプリズムを、ホトレジスト膜上に載置し、該プリズムの両側面を通して露光光をホトレジスト膜に照射するようにしているので、一方の露光光をホトレジスト膜上に直接照射し、他方の露光光を、ホトレジスト膜の上方位置に配置した位相板を通過させてホトレジスト膜に照射する方法等と比べて、位相シフト部の形成位置を、精度よくしかも再現性よく決めることができる。
【0103】
なお、上記実施形態1では、上記部分GC−DFB−LDとして、位相シフト部が1つである回折格子107を有するものを示したが、回折格子は位相シフト部を複数有するものでもよい。
【0104】
図6には、上記実施形態1の変形例として、位相シフト部を複数有する部分GC−DFB−LD600を示している。なお、図中、図1と同一符号は実施形態1の部分GC−DFB−LD100と同一のものを示している。
【0105】
そして、この部分GC−DFB−LD600は、位相シフト部600aが3箇所に形成された吸収性回折格子607を有している。
【0106】
このようなGC−DFB−LD600においても、各位相シフト部での位相シフト量を、素子全体として上記(A)式または(B)式を満たすよう設定することにより、SMSRを最大値に設定することができ、誘導放出光の直接変調を行った時にも、発振波長を単一波長に保持することができる。
【0107】
(実施形態2)
図7は本発明の実施形態2によるGC−DFB−LDの構造を示す図である。
図において、700は本実施形態2の部分GC−DFB−LDであり、この部分GC−DFB−LD700は、誘導放出光を発生する、アンドープのun−InGaAsP活性層703を有し、該活性層703の表面領域に誘導放出光の導波方向に沿って凸凹形状が周期的に形成され、これによって実効的に利得の周期的摂動が生じる素子構造となっている。ここで、上記活性層703の表面領域には、その複数の凸凹形状からなる利得性回折格子704が形成されており、該回折格子704は、位相シフト部700aを有している。
【0108】
すなわち、上記レーザ装置700を構成するn−InP基板701上には、層厚1.0μmのn−InP下クラッド層702が形成されている。また、該下クラッド層702上には、層厚0.1μmのアンドープのun−InGaAsP活性層703が形成されており、該活性層703の表面上には、中央にストライプ状凸部705aを有するp−InP上クラッド層705が形成されている。
【0109】
該上クラッド層705のストライプ状凸部705aの表面上には、p+−InGaAsコンタクト層706が形成されている。
【0110】
上記上クラッド層705のストライプ状凸部705a及びコンタクト層706の、導波方向と平行な側面から上記上クラッド層705の両側表面にまたがる領域には、窒化珪素からなる厚さ0.3μmの絶縁膜707が形成されており、該絶縁膜707の表面及びコンタクト層706の表面上にはp電極709が形成されている。また基板701の裏面には、n電極708が形成されている。
【0111】
次に製造方法について説明する。
まず、MO−CVDを用いた第1回目の結晶成長により、n−InP基板701上にn−InP下クラッド層702を1.0μmの厚さに、un−InGaAsP(λ=1.3μm)活性層703を0.1μmの厚さに順次形成する。
【0112】
続いて、成長層の最上層である活性層703上に、電子ビーム露光用のネガ型レジストを約100nmの厚さに塗布してホトレジスト膜を形成した後、位相シフト部を有するピッチ240nmの回折格子のパターンを電子ビーム露光装置により該ホトレジスト膜に直接描画する。このようにして露光されたホトレジスト膜を適切な現像液により現像すると、図4に示すものと同様の回折格子状のレジストマスクが形成される。
【0113】
引き続いてウェットエッチングにより第1回目の結晶成長で作製した活性層703を部分的にエッチング除去し、さらに該ホトレジスト膜を除去する。これにより、該活性層703の表面に複数のV溝が形成されて回折格子704が作製される。
【0114】
次に、第2回目のエピタキシャル成長により、該活性層703上に、p−InP上クラッド層705を1μmの厚さに、p+−InGaAsコンタクト層706を0.5μmの厚さに順次形成する。
【0115】
次に、ホトリソグラフィーとウエットエッチングを用いて、コンタクト層706と上クラッド層705を、幅2μmのストライプ状部分が残るよう選択的に除去し、リッジ型光導波構造を作製する。ここで、該ストライプ状の光導波構造は、回折格子と直交する方向に平行となるよう形成されている。
【0116】
そして、該光導波構造を作製した後、表面全面にプラズマCVD法により酸化珪素の絶縁膜707を約0.3μmの厚さに形成し、その後、該絶縁膜のリッジ頂上の部分だけを除去する。最後に基板701をその裏面側に研削処理を施して厚さ約100μmにまで薄層化し、その後、基板の表面側にp電極709を、基板の裏面にn電極708を真空蒸着により形成する。
【0117】
そして、リッジ部705aと位相シフト部700aとが素子の中央に来るように基板を250μm×250μm角のチップ状に劈開により分割して、素子を完成する。
【0118】
なお、図7では図示していないが、該レーザ素子の両端のレーザ光出射端面の一方には、反射率90%の高反射膜が、その他方には10%の低反射膜がコーティングされている。
【0119】
上記の構造の回折格子では、屈折率が高い部分の利得が大きくなる構造であり、誘導放出光の導波方向における屈折率の変動と利得の変動とが同位相となっており、この素子のκを測定したところ、屈折率結合係数κiは35[cm-1]、利得結合係数κgは20[cm-1]であり、これは上記Rの値に換算すると、R=0.5に相当している。
【0120】
次に作用効果について説明する。
上記のような利得性回折格子704を有する部分GC−DFB−LDとして、0〜2π[rad]の範囲で異なる位相シフト量を有するサンプル素子を複数作製し、各サンプル素子にDC電流を注入し、片側の端面からの数mWの出力にてレーザ光を出射させ、各位相シフト量に対する副モード抑圧比(SMSR)を測定した。
【0121】
図8は、サンプル素子の位相シフト量Ωと、各位相シフト量に対するSMSRの平均値との相関関係を示しており、SMSRについては最大値を1.0とした相対値を用いて示している。
【0122】
この図8から、位相シフトが全くない場合でも利得結合の効果により25[dB]以上の十分に大きなSMSRが得られたが、約5.3[rad]の位相シフトを導入することにより、より大きなSMSRが得られて単一波長発振特性が向上することが分かる。
【0123】
上記サンプル素子について高速での直接変調を行った場合、5.3〔rad]の位相シフトを導入した素子だけが、波長の不連続なホップ現象が生じたり複数の波長が出現したりすることがなく、最も安定して単一波長で発振した。
【0124】
また、図5(b)に示したRと位相シフト量Ωの関係は、周期的に配置された光吸収層からなる光吸収型回折格子を有する構造のみならず、図7に示す活性層の利得そのものを周期的に変化させた利得性回折格子を有する素子構造にも当てはまるものである。
【0125】
なお、半導体レーザを構成する材料系は上記実施形態で示したものに限定されるものではなく、III族元素としてAl,Ga,Inを、V族元素としてP,As,Nを含む半導体材料系、また、II族元素としてZn,Mg,Cdを、VI元素としてS,Se,Teを含む半導体材料系からなる半導体レーザに対しても本発明を適用することができることは言うまでもない。
【0126】
さらに、回折格子の作製方法や位相シフト部の作製方法も、上記実施形態で示したものに限定されるものではない。例えば、特にDFB−LDを光集積回路のモノリシック光源として利用する場合には、電子ビーム露光法によって、位相シフト部を有する回折格子状レジストマスクを直接描画する手法が有効である。
【0127】
また、位相シフト部を回折格子の構造も、上記実施形態1やその変形例で示した、素子中央部に位相シフト部を1つ有するものや、位相シフト部を複数有するマルチシフト型のものに限らず、位相が徐々にシフトするクレーデッドシフト型のものや、ストライプ状の屈折率導波路の幅を変えることによって実効的な位相シフトを実現するストライプ幅シフト型のものなど、IC−DFB−LDに対して公知となっている様々な、位相シフト部を有する回折格子の構造を用いることができる。
【0128】
さらに、レーザ素子の端面反射率は、公知である様々な材料を用いた薄膜のコーティングにより制御可能であり、また、上述したようにR値が小さい素子に対しては、上記実施形態で示した、薄膜による無反射コーティングにより端面反射率を低くした構造の他に、端面を粗面にしたもの、端面を斜めにカットしたもの、端面部分に窓構造を採用したものなど、公知である様々な端面構造を、位相シフト部を有する回折格子に組み合わせることができる。
【0129】
また、ストライプ状の導波路の構造や作製方法は、上記各実施形態で挙げたリッジ導波路型の構造及びその作製方法の他に、電極ストライプ型、埋め込みへテロ型(BH:Buried Heterostructure)などの様々な導波構造及びその作製方法を用いることができる。
【0130】
【発明の効果】
以上のようにこの発明(請求項1,3)に係る分布帰還型半導体レーザ装置によれば、屈折率分布及び利得分布を有する素子構造を、該屈折率及び利得の周期的な変動における位相の不連続部を有するものとしたので、光分布帰還を受ける誘導放出光のうちの唯一の波長を有するものだけが位相が揃ってレーザ発振するようになり、これによりレーザ素子における高速での直接変調時にも安定な単一波長での発振を可能とできる効果がある。
【0131】
また、上記位相シフト量を、0[rad]より大きくかつπ[rad]より小さい範囲、またはπ[rad]より大きくかつ2π[rad]より小さい範囲にしているので、位相シフト量の調整により、部分GC−DFB−LDにおける副モード抑圧比を最大にして、誘導放出光の高速での直接変調を行った時にも発振波長を単一波長に保持することができる効果がある。
【0132】
この発明(請求項2,3)に係る分布帰還型半導体レーザ装置によれば、光吸収性回折格子の構造に、屈折率及び利得の周期的な変動における位相の不連続部を設けているので、安定な単一波長での発振が可能な光吸収性回折格子を有する分布帰還型半導体レーザ装置を得ることができる。
【0133】
この発明(請求項4)によれば、請求項1ないし3のいずれかに記載の分布帰還型半導体レーザ装置において、前記位相の不連続部での位相シフト量Ωを、屈折率結合定数κi及び利得結合定数κgをパラメータとする所定の関係式を満たすよう設定するので、分布帰還型半導体レーザ装置を、その屈折率結合定数と利得結合定数との比率に応じて、安定なレーザ発振が可能な最適な素子構造とできる。
【0134】
この発明(請求項5)によれば、上記請求項1ないし4のいずれかに記載の分布帰還型半導体レーザ装置において、素子構造を、利得結合性が所定値以上に強い構造としたので、素子端面の反射率に拘わらず、高速変調での安定なレーザ発振を実現できる。
【0135】
この発明(請求項6)によれば、請求項1ないし4のいずれかに記載の分布帰還型半導体レーザ装置において、素子構造を、利得結合性が所定値以上に弱い構造としているので、素子両端面での反射率を小さく、実質的には端面反射率を零にすることにより、高速変調での安定なレーザ発振を実現できる。
【0136】
つまり、上記本発明によれば、容易に作製することができ、しかも単一波長での発振が安定した、GC−DFB−LDの様々な特徴を最も効果的に発揮できる部分GC−DFB−LDの素子構造を提供することができる。
【0137】
この発明(請求項7)に係る分布帰還型半導体レーザ装置によれば、屈折率分布及び利得分布を有する素子構造を形成する工程では、誘導放出光に対する屈折率及び利得の周期的な変動を発生させるための、位相の不連続部を有する回折格子を形成し、該位相の不連続部での位相シフト量を副モード抑圧比が最大となるよう設定するので、誘導放出光の高速変調を行った時にも発振波長を単一波長に保持することができる部分GC−DFB−LDを、再現性よく製造することができる効果がある。
【0138】
また、該位相の不連続部での位相シフト量を、該屈折率分布による分布帰還の程度を示す屈折率結合定数と、該利得分布による分布帰還の程度を示す利得結合定数との比率から決まる前記副モード抑圧比の最大値に基づいて設定することにより、その屈折率結合定数と利得結合定数との比率に応じた、安定なレーザ発振が可能な最適な素子構造を得ることができる。
【0139】
また、2光束干渉露光により、位相シフト部を有する回折格子状露光パターンを感光性材料層の複数の領域に形成する際、該感光性材料層上に、干渉縞を形成するためのプリズムを配置し、プリズムとして、該第1及び第2の側面の少なくとも一方の面に、該感光性材料層の各領域に対応する段差部が形成され、該段差部の両側の側面部分を通過した露光光が、光軸と垂直な面内で位相がずれたものとなるプリズムを用いることにより、感光性材料層における位相シフト部の形成位置を、精度よくしかも再現性よく決めることができる効果がある。
【0140】
また、半導体ウエハの表面に塗布されたホトレジスト膜の、各チップ領域に対応する部分に、位相シフト部を有する回折格子状露光パターンを形成する際、前記プリズムを、その少なくとも一方の側面に形成された1つまたは隣接する複数の段差部が、各チップ領域の列に対応するよう該ホトレジスト膜上に配置するようにすれば、1つのプリズムを用いて、該ホトレジスト膜の、各チップ領域に対応する部分に、1つまたは複数の位相シフト部を有する回折格子状露光パターンを簡単に形成することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1による分布帰還型半導体レーザ装置(GC−DFB−LD)の構造を示す斜視図である。
【図2】図2(a)〜図2(e)は上記半導体レーザ装置の製造方法を主要工程順に示す断面図であり、各工程での図1のII−II線部分の断面構造を示している。
【図3】上記実施形態1の半導体レーザ装置を構成する、位相シフト部を有する回折格子の作製プロセスを説明するための図であり、図3(a)は、ウエハ上での各半導体レーザ装置の形成領域(チップ領域)を示し、図3(b)は、上記ウエハ上に形成したホトレジスト膜を露光する工程を示している。
【図4】図4(a)及び(b)は、上記露光により各チップ領域上のホトレジスト膜に形成された露光パターンを示す斜視図及び断面図である。
【図5】図5(a)は上記実施形態1のGC−DFB−LDにおけるSMSRと位相シフト量Ωとの関係を示す図、図5(b)は、上記実施形態1のGC−DFB−LDにおけるR値と最適位相シフト量Ωとの関係を示す図、図5(c)は、上記実施形態1実施ののGC−DFB−LDにおける端面反射率と単一波長発振特性との関係を示す図である。
【図6】上記実施形態1の変形例による分布帰還型半導体レーザ装置(GC−DFB−LD)の構造を示す斜視図である。
【図7】本発明の実施形態2による分布帰還型半導体レーザ装置(GC−DFB−LD)の構造を示す斜視図である。
【図8】上記実施形態2のGC−DFB−LDにおけるSMSRと位相シフト量Ωとの関係を示す図である。
【図9】特公平6−7624号公報に開示されているGC−DFB−LDの構造を示す斜視図である。
【図10】特開平5−29705号公報に記載の分布帰還型半導体レーザ装置(真性GC−DFB−LD)の主要部の構成を説明するための図であり、図10(a)は、活性層近傍に形成された吸収性回折格子の構造を示し、図10(b)は、図10(a)のA−A’線部分での屈折率分布、及びB−B’線部分での屈折率分布を示している。
【符号の説明】
100,600,700 分布帰還型半導体レーザ装置(GC−DFB−LD)
100a,600a,700a 位相シフト部
101 n−GaAs基板
102 n−AlGaAs下クラッド層
103 un−AlGaAs活性層
104 p−AlGaAsキャリアバリア層
105 p−AlGaAs第1ガイド層
106 n−GaAs光吸収層
107,607 回折格子
108 p−AlGaAs第2ガイド層
109 p−AlGaAs上クラッド層
110 p+−GaAsコンタクト層
111,707 窒化硅素絶縁膜
112,709 p型用電極
1l3,708 n型用電極
201 基板
202 ホトレジスト膜
203 プリズム
204 キシレン
205a1〜205a4 段差部
206,207 平行光線
70l n−InP基板
702 n−InP下クラッド層
703 un−InGaAsP活性層
704 回折格子
705 p−InP上クラッド層
706 p+−InGaAsコンタクト層
Claims (4)
- 誘導放出光を発生する活性層を含み、かつ該誘導放出光の導波方向にて該誘導放出光に対する屈折率及び利得とが同一の単一周期でもって周期的に変動した、屈折率分布及び利得分布を有する素子構造を備え、該誘導放出光が該屈折率及び利得の周期的な変動により光分布帰還を受けてレーザ発振が生ずるよう構成した分布帰還型半導体レーザ装置であって、
該素子構造は、その屈折率及び利得の周期的な変動における位相の不連続部を有し、
前記誘導放出光の導波経路における屈折率変動の位相と利得変動の位相とが同位相あるいは逆位相の関係となっており、
前記位相の不連続部での位相シフト量は、該屈折率変動の位相と利得変動の位相とが同位相である場合には、π[rad]より大きくかつ2π[rad]より小さい範囲内に設定され、該屈折率変動の位相と利得変動の位相とが逆位相である場合には、0[rad]より大きくかつπ[rad]より小さい範囲内に設定されていることを特徴とする分布帰還型半導体レーザ装置。 - 前記位相の不連続部での位相シフト量Ωは、
前記屈折率分布による分布帰還の程度を示す屈折率結合定数κiと、前記利得分布による分布帰還の程度を示す利得結合定数κgとに基づいて、
該屈折率変動の位相と利得変動の位相とが同位相である場合には、下記(1),(2),(3)式の関係を満たし、
Ω[rad] =π+5.7R−2.6R2 ・・・(1)
R=κg/(κg 2+κi 2)1/2 ・・・(2)
0<R<1 ・・・(3)
前記屈折率変動の位相と利得変動の位相とが逆位相である場合には、上記(2),(3)式及び下記(4)式の関係を満たすよう設定されている、請求項1に記載の分布帰還型半導体レーザ装置。
Ω[rad] =π−5.7R+2.6R2 ・・・(4) - 前記位相の不連続部での位相シフト量は、
前記屈折率分布による分布帰還の程度を示す屈折率結合定数κiと、前記利得分布による分布帰還の程度を示す利得結合定数κgとが、下記の2つの関係式
3≦R<1
R=κg/(κg 2+κi 2)1/2
を満たすよう設定したものである、請求項1または2に記載の分布帰還型半導体レーザ装置。 - 前記素子構造を、その両レーザ出射端面で実質的な光反射が生じないよう構成し、
前記位相の不連続部での位相シフト量を、前記屈折率分布による分布帰還の程度を示す屈折率結合定数κiと、前記利得分布による分布帰還の程度を示す利得結合定数κgとが、下記の2つの関係式
0<R<0.3
R=κg/(κg 2+κi 2)1/2
を満たすよう設定した、請求項1または2に記載の分布帰還型半導体レーザ装置。
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