JP3714278B2 - コネクタハウジング - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、キャビティ内に端子金具に係止するランスを備えたコネクタハウジングに関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のコネクタハウジングの一般的な構造は、例えば実開平2−16573号公報に記載されたとおりであるが、これを模式的に示すと図4及び図5のようになっている。すなわち、ハウジング本体1内には端子金具5が挿入されるキャビティ2が形成される一方、このキャビティ2の底面3に、端子金具5を抜け止め状態に係止するためのランス4が撓み変形可能に設けられている。そして、端子金具5がキャビティ2内に後面側から挿入されると、ランス4が撓み変形しつつ押し込まれ、正規位置に挿入されると、ランス4が復元変形しつつ端子金具5に設けられたランスホールに嵌まることで、端子金具5が抜け止め状態に係止されるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで近年では、端子金具5は小型化される傾向にあり、このことは元々コネクタハウジングを小型化するという要請に基づくものである。しかしながら、上記した従来のものは、この要請に対して十分に応え得るものではなかった。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、コネクタハウジングを小型化するという要請に応え得るものを提供するところにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1の発明は、端子金具の挿入されるキャビティ内に端子金具に係止する撓み変形可能なランスが設けられ、前記キャビティがランスの撓み方向に複数室並んで配設され、さらには相手のコネクタハウジングをロックするためのロックアームが設けられているコネクタハウジングにおいて、前記キャビティにおける前記ランスの撓み方向に隣り合うキャビティ間を仕切る仕切り壁の部分を別体に形成し、この仕切り壁部分が装着可能とされており、前記ランスと前記ロックアームとを有する本体部と、前記キャビティを有する端子収容部とから構成され、この端子収容部には、前記仕切り壁部分と前記キャビティの前壁部分とが一体に形成され、且つ前記本体部には、前方へ開口する装着空間が凹み形成され、この装着空間内に前記端子収容部全体が嵌合されるとともに装着空間の内壁面によって端子収容部が保持されるようになっており、前記端子収容部には、前記端子金具の周りを包囲するものであって、前記仕切り壁部分を含む前記キャビティの周壁が設けられ、さらには、前記端子収容部が前記本体部の前記装着空間内に前方から嵌合されロック機構により組み付けられて前記前壁部分が前記キャビティの前面をなすようにされ、前記端子金具は前記本体部の後面に開口する挿入孔の後面から挿入され、前記ランス撓み変形させつつ正規位置まで押し込まれると、前記ランスが復元変形しつつ係止されることで、前記端子金具が抜け止め状態で前記キャビティ内に収容されるところに特徴を有する。
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記端子収容部には、前記ランスを撓み変形させて前記端子金具に対する係止を解除するための治具を挿入可能な解除空間が形成されているところに特徴を有する。
【0005】
【発明の作用及び効果】
請求項1及び請求項2の発明によれば、キャビティにおけるランスの撓み方向に隣り合うキャビティ間を仕切る仕切り壁の部分を別体に形成し、この仕切り壁部分が装着可能とされているから、コネクタハウジングを小型化するという要請に応え得るものを提供することができる。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態を図1ないし図3に基づいて説明する。この実施形態では、雌側のコネクタハウジングH(以下ではハウジングという)について適用した場合を例示している。
ハウジングHは、図1に示すように、本体部10と端子収容部20とに分けて別体として形成されており、この本体部10に端子収容部20を装着することで構成されている(図2参照)。
【0007】
本体部10は、合成樹脂を素材として成形金型を用いて成形され、外形が略ブロック状をなしている。本体部10の前面側には、端子収容部20を装着するための装着空間12が、所定の厚みの周縁部を残して中央部よりも少し後方の位置まで凹み形成されている。一方後面側には、雌側端子金具30が挿入される複数の挿入孔13が整列して形成され、それぞれの前端側は装着空間12に開口している。各挿入孔13の底面14の前端部からは、装着空間12に向けてランス15が突出して形成されている。また本体部10の上面前端からは、図1及び図2に明示されているように、ハウジングHに図示しない相手の雄側のコネクタハウジングをロックするためのロックアーム16が突設されている。
【0008】
端子収容部20は、同じく合成樹脂材を素材として別の成形金型によって成形され、上記の本体部10の装着空間12内に嵌合可能なブロック状に形成されている。端子収容部20内には、雌側端子金具30の主に前端の接続部分を収容するための複数のキャビティ21が、本体部10内に形成された挿入孔13に対応して形成されている。ここで各キャビティ21の左右の側壁22の間の間隔は、図3に示すようにランス15の幅よりも少し大きい寸法であり、言い換えると、ランス15の幅はキャビティ21の両側壁22との間に僅かな隙間26を残す程度に幅広に形成されている。また図1ないし図3に明示されているように、端子収容部20において上下のキャビティ21間には、仕切り壁27が設けられている。また図1及び図2に明示されているように、端子収容部20には、各キャビティ21の前面をなす前壁28が設けられている。
【0009】
各キャビティ21の奥側の底面には、ランス15が下方に撓み変形することを許容する撓み空間23が形成されている。またキャビティ21の前面には、図示しない相手の雄側端子金具のタブが挿入される挿入開口24が形成されているとともに、その下方には、ランス15を下方に撓み変形させて雌側端子金具30に対する係止を解除するための治具を挿入することが可能な解除空間25が形成されている。
【0010】
上記のような構造の端子収容部20が、図1の矢線に示すように本体部10の装着空間12内に前方から嵌合され、端子収容部20の外面と装着空間12の内面との間に設けられた図示しないロック機構を介して、図2に示すように一体的に組み付けられる。ここで、端子収容部20の各キャビティ21は、本体部10の対応する挿入孔13と前後に整合して連通される。またランス15は、キャビティ21内の奥側に入り込んで収容され、図3に示すように、ランス15とキャビティ21の両側壁22との間には僅かな隙間26が構成され、ランス15が撓み空間23に向けて撓み変形可能な状態となる。
【0011】
したがって、挿入孔13の後面から雌側端子金具30が挿入されると、ランス15を下方に向けて撓み変形させつつ押し込まれ、図2の鎖線に示すように、雌側端子金具30が正規位置まで押し込まれると、ランス15が復元変形しつつ雌側端子金具30のアゴ部に係止することで、雌側端子金具30が抜け止め状態で収容されることになる。
【0012】
ところで本体部10は、上記したように一対の成形金型によって成形され、ランス15の両側に設けられる隙間等は、一方の金型の接合面から突設された成形ピンを抜き差しすることで形成される。このような成形ピンは、成形作業を行う際に加わる力に耐え得る強度を保つ等のために、ある程度の厚みを必要としている。
【0013】
そのため従来のように、キャビティ21とランス15とを同一金型内で一度に成形する場合には、キャビティ21の両側に相応の厚みを持ったピンが挿入されることになるので、ランス15とキャビティ21の両側壁22の間にはピンの厚みに相当する隙間ができ、言い換えると、ランス15の幅が狭くならざるを得ない。
【0014】
その点この実施形態では、キャビティ21の側壁22を有する端子収容部20と、ランス15を有する本体部10とをそれぞれ別の金型を用いて成形するようにしたため、本体部10のランス15を成形する際に、後にキャビティ21の両側の側壁22が装着されるスペースにランス15を成形するための成形ピンを挿入して、ランス15を成形することができる。そのためランス15を、後から構成されるキャビティ21のほぼ全幅に匹敵する幅に成形することができるのである。
【0015】
以上説明したように本実施形態によれば、キャビティ21の側壁22を有する端子収容部20を、ランス15を有する本体部10とは別体に成形するようにしたから、本体部10を成形する際に、後に装着されるキャビティ21の側壁22のスペースに金型のピンを挿入してランス15を成形できる。これにより、ランス15は、キャビティ21のほぼ全幅にわたる幅寸法を保有することができ、最大限の端子保持力を発揮することができる。
【0016】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)端子収容部を本体部の装着空間に装着するには、圧入する、もしくは接着剤を使用して接着する等の方法を用いてもよい。
(2)本発明は、雄側のハウジングも含めて、要はキャビティ内にランスを備えたコネクタハウジング全般に広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る組み付け前の状態の断面図
【図2】組み付け後の断面図
【図3】図2のX−X線断面図
【図4】従来例の縦断面図
【図5】図4のy−y線断面図
【符号の説明】
10…本体部
15…ランス
20…端子収容部
21…キャビティ
22…側壁
23…撓み空間
H…コネクタハウジング
Claims (2)
- 端子金具の挿入されるキャビティ内に端子金具に係止する撓み変形可能なランスが設けられ、前記キャビティがランスの撓み方向に複数室並んで配設され、さらには相手のコネクタハウジングをロックするためのロックアームが設けられているコネクタハウジングにおいて、
前記キャビティにおける前記ランスの撓み方向に隣り合うキャビティ間を仕切る仕切り壁の部分を別体に形成し、この仕切り壁部分が装着可能とされており、
前記ランスと前記ロックアームとを有する本体部と、前記キャビティを有する端子収容部とから構成され、この端子収容部には、前記仕切り壁部分と前記キャビティの前壁部分とが一体に形成され、且つ前記本体部には、前方へ開口する装着空間が凹み形成され、この装着空間内に前記端子収容部全体が嵌合されるとともに装着空間の内壁面によって端子収容部が保持されるようになっており、
前記端子収容部には、前記端子金具の周りを包囲するものであって、前記仕切り壁部分を含む前記キャビティの周壁が設けられ、
さらには、前記端子収容部が前記本体部の前記装着空間内に前方から嵌合されロック機構により組み付けられて前記前壁部分が前記キャビティの前面をなすようにされ、
前記端子金具は前記本体部の後面に開口する挿入孔の後面から挿入され、前記ランス撓み変形させつつ正規位置まで押し込まれると、前記ランスが復元変形しつつ係止されることで、前記端子金具が抜け止め状態で前記キャビティ内に収容されることを特徴とするコネクタハウジング。 - 前記端子収容部には、前記ランスを撓み変形させて前記端子金具に対する係止を解除するための治具を挿入可能な解除空間が形成されていることを特徴とする請求項1記載のコネクタハウジング。
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