JP3712837B2 - 固体の熱分解反応の解析方法 - Google Patents
固体の熱分解反応の解析方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3712837B2 JP3712837B2 JP19072297A JP19072297A JP3712837B2 JP 3712837 B2 JP3712837 B2 JP 3712837B2 JP 19072297 A JP19072297 A JP 19072297A JP 19072297 A JP19072297 A JP 19072297A JP 3712837 B2 JP3712837 B2 JP 3712837B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- reaction
- sample
- temperature
- thermal decomposition
- rate
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Investigating Or Analyzing Materials Using Thermal Means (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、固体の熱分解反応の反応速度論的な解析方法に関し、特に、熱分解反応の減量速度が一定になるように試料温度を制御して、そこで得られた熱重量曲線に基づいて熱分解反応を解析することに特徴のある解析方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
固体の熱分解反応は、一般に、反応の進み具合に応じて反応速度が変化していく。反応の進み具合は反応率αで表し、この反応率αは次の(4)式で定義される。
【数4】
α=(Wi−W)/(Wi−Wf) … (4)
ここで、α:反応率
Wi:熱分解反応の始期の試料重量
Wf:熱分解反応の終期の試料重量
W:熱分解反応の任意の時点の試料重量
【0003】
反応率αの時間的な変化割合が反応速度(dα/dt)であり、この反応速度は、固体の熱分解反応の一般的な反応速度式として、次の(1)式で表すことができる。
【数5】
dα/dt=A・exp(−E/RT)・f(α) … (1)
ここで、α:反応率
t:時間
A:前指数因子
E:熱分解反応の活性化エネルギー
R:ガス定数
T:試料温度
f(α):αの関数となる反応モデル式
【0004】
上述の(1)式に出てくる反応モデル式f(α)は、反応率αに応じて反応速度がどのように変化するかを表現したものであり、αのみの関数になっている。特定の熱分解反応を解析しようとする場合に、一般に、(1)式における、活性化エネルギーEと、反応モデル式f(α)の関数形と、前指数因子Aとは未知である。これらを明らかにすることができれば、試料温度Tと反応率αとに応じてどのように反応速度が変化するかを解明できたことになる。
【0005】
上述の(1)式は、Thermochimica Acta, 157(1990)171‐179 に記載されており、この論文には反応モデル式f(α)の関数形も多く紹介されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
熱分解反応における試料の重量変化を観測するには、熱重量測定法を用いることになる。固体の熱分解反応を観測するには、試料温度を一定にして重量変化を観測する方法(等温法)と、試料を等速昇温させて試料の重量変化を観測する方法(非等温法のうちの等速昇温法)とがよく知られている。等温法は高精度ではあるが、時間がかかるという問題がある。等速昇温法は、等温法よりも簡便なため、よく利用されるが、試料内の温度分布・圧力分布・粒度分布が不均一な状態で測定することになるため、測定精度が劣るという問題がある。
【0007】
このような問題点を解決するために、試料の減量速度に応じて試料の昇温速度を変化させるような熱重量測定方法が開発されている(特開平7−260662号)。このように、昇温速度を変化させる熱分析方法を、CRTA(Controlled‐Rate Thermal Analysis、速度制御熱分析)法と呼んでいる。
【0008】
この発明の目的は、上述の(1)式の反応速度式とCRTA法とを利用して、熱分解反応の活性化エネルギーEと反応モデル式f(α)とを求めるための新しい手法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述の(1)式において、反応率αの時間的変化(dα/dt)は反応速度Cであり、これは、熱重量測定で求めることのできる減量速度(dW/dt)の絶対値に等しい。この反応速度Cが一定になるように試料温度Tを制御する場合を考えると、上述の(1)式の左辺はCとなって、次の(3)式のように変形できる。
【数6】
ln(1/f(α))=ln(A/C)−(E/RT) … (3)
【0010】
この(3)式は、ln(1/f(α))と(1/T)とが直線関係になることを示している。すなわち、グラフの縦軸にln(1/f(α))を、横軸に試料温度Tの逆数(1/T)をとって、反応率αと試料温度Tの関係をプロットすると、両者が直線関係になる。そして、その直線の傾きが(−E/R)になり、切片がln(A/C)になる。
【0011】
しかしながら、現実には、解析しようとする熱分解反応について、その反応モデル式f(α)の関数形が未知であるから、ln(1/f(α))を求めることができない。そこで、n種類の反応モデル式f(α)を仮定すれば、n種類の直線関係が得られることになる。図1は、このn種類の直線関係を模式的に示したグラフである。縦軸はln(1/f(α))、横軸は(1/T)である。直線の傾きは(−E/R)に等しいから、それぞれの直線の傾きを実測することで、n種類の活性化エネルギーの仮定値Ei(i=1〜n)を得ることができる。なお、図1では、5種類の反応モデル式を仮定している。
【0012】
このような状況では、測定した熱分解反応について、どの反応モデル式f(α)が実際の熱分解反応に一番近いものであるのか決定することができず、それゆえに、熱分解反応の活性化エネルギーEがいくらなのかを決定をすることができない。
【0013】
そこで、同一の熱分解反応について、2種類の反応速度CaとCbで熱重量曲線を測定することを考える。すなわち、まず、反応速度が一定値Caとなるように試料温度を制御して熱重量曲線を測定し(第1の測定段階)、次に、反応速度が一定値Cbとなるように試料温度を制御して熱重量曲線を測定する(第2の測定段階)。これに対応して、上述の(3)式を変形すれば、次の(5)式と(6)式が得られる。これらを整理すると(2)式が得られる。
【数7】
ln(1/f(α))=ln(A/Ca)−(E/RTa) … (5)
ln(1/f(α))=ln(A/Cb)−(E/RTb) … (6)
ln(Cb/Ca)=(E/R){(1/Ta)−(1/Tb)} … (2)
【0014】
ここで、Taは、第1の測定段階における試料温度を意味し、Tbは、第2の測定段階における試料温度を意味する。
【0015】
上述の(2)式は反応モデル式f(α)を含まないので、反応モデル式f(α)が未知であっても、活性化エネルギーEを求めることができる。このように、本発明者は、複数の異なる反応速度を用いて、反応速度が一定となるような熱重量測定法を実施することで、反応モデル式f(α)が未知であっても熱分解反応の活性化エネルギーEを求められる方法を見出したものである。
【0016】
上述の(2)式において、Ca、Cb、Rは既知である。また、第1の測定段階と第2の測定段階の熱重量曲線から、特定の反応率αに達した時点における試料温度TaとTbとを求めることができる。これらの値を(2)式に代入すると活性化エネルギーEを算出できる。
【0017】
また、複数の反応率αに基づいて活性化エネルギーEの値を複数個算出することができる。例えば3種類のαx、αy、αzに達した時点における試料温度Ta、Tbをそれぞれ求めて、これらから、3種類の活性化エネルギーEx、Ey、Ezを算出することができる。そして、図2に示すように、それらの平均値をとって最終的な活性化エネルギーEを求めることができる。これにより、得られた活性化エネルギーEの数値の信頼性が向上する。多数の反応率αについてそれぞれ活性化エネルギーEを算出してその平均値をとれば、信頼性はより向上する。
【0018】
次に、このようにして得られた活性化エネルギーEと、図1の直線の傾きから求めたn個の活性化エネルギーEiとを比較する。そして、活性化エネルギーEに一番近いEiを選択する。この選択したEiに対応する反応モデル式f(α)が、測定した熱分解反応の最も確からしい反応モデル式f(α)となる。したがって、最初に図1を作るときに、可能性のありそうな反応モデル式f(α)をできるだけ多種類想定して、多くのEiを求めておけば、最終的に得られる反応モデル式f(α)の確からしさが向上する。
【0019】
反応モデル式f(α)が決まれば、図1において、その反応モデル式f(α)の直線の切片から、前指数因子Aを求めることができる。これにより、活性化エネルギーE、反応モデル式f(α)の関数形、前指数因子Aのすべてが求められたことになり、熱分解反応が解明されたことになる。
【0020】
以上の説明では、二つの反応速度Ca、Cbを用いているが、三つ以上の反応速度を使うと、活性化エネルギーEの算出精度が向上する。例えば、三つの反応速度Ca、Cb、Ccを用いて3種類の熱重量測定を行うと、CaとCbの組み合わせで上述の(2)式が得られ、CbとCcの組み合わせ、及び、CcとCaの組み合わせで、次の(7)式と(8)式が得られる。
【数8】
ln(Cb/Ca)=(E/R){(1/Ta)−(1/Tb)} … (2)
ln(Cc/Cb)=(E/R){(1/Tb)−(1/Tc)} … (7)
ln(Ca/Cc)=(E/R){(1/Tc)−(1/Ta)} … (8)
【0021】
これらの(2)(7)(8)式のそれぞれから、活性化エネルギーEを算出できるので、それらの平均値を求めることで、Eの数値の信頼性が向上する。
【0022】
本発明は、CRTA法のうちでも、減量速度が一定になるように試料温度を制御するという特別な方法を採用している。この制御方法を、CDRC(Constant Decomposition Rate Contorol、等分解速度制御)法と呼ぶことにする。
【0023】
【発明の実施の形態】
この発明は、原理的にはどのような熱天秤を用いても実施可能であるが、以下に、熱天秤の構成例を示す。図3は、この発明を実施するための熱天秤の一例の概略構成を示す正面断面図である。この熱天秤は、石英製の保護管10の内部に測定試料容器12と標準試料容器14とがあり、これらの容器は試料ホルダ16で支持されている。二つの容器12、14の周囲にはPt製またはNi製の均熱筒(図示せず)が配置されている。保護管10の周囲には、合計4本の赤外線ランプ20があり、この赤外線ランプ20は楕円集光鏡22の焦点の位置に配置されている。試料の温度は、容器12、14を支持する感熱板に接着された示差熱電対18で測定できる。
【0024】
試料ホルダ16の下端は天秤ビーム24の先端に支持されている。天秤ビーム24の他端には平衡用分銅28があり、その先にスクリーン30が固定されている。光源ランプ32からの光は、スクリーン30を通過して光電素子34に入射する。試料ホルダ16の重量変化は光電素子34の出力変化として現れる。一方、試料ホルダ16の下端には磁石26と分銅36が固定されている。光電素子34の出力は天秤制御回路38に入力され、この天秤制御回路38は、試料ホルダ16の重量に応じて制御コイル40に電流を流す。すなわち、試料ホルダ16の重量が制御コイル40にフィードバックされる。そして、制御コイル40の電流に応じて磁石26に力が加わる。これにより、試料ホルダ16の位置が保たれる。
【0025】
示差熱電対18で測定された試料温度はプログラム自動温度制御装置42に入力される。また、示差熱電対18で測定された示差熱温度は直流増幅器44で増幅されて、記録計46で記録される。また、天秤制御回路38の出力すなわち試料ホルダ16の重量も、記録計46で記録される。
【0026】
プログラム自動温度制御装置42には、示差熱電対18からの試料温度データと、天秤制御回路38からの重量データとが入力される。そして、このプログラム自動温度制御装置42は、試料の重量変化速度が一定になるように、赤外線ランプ20に電流を流して試料温度を制御している。
【0027】
図3に示す赤外線加熱炉は、抵抗加熱炉と比較して熱慣性が小さく、温度制御の応答性に優れている。
【0028】
次に、試料の温度制御方法について説明する。固体の熱分解反応を観測するには、基本的には、試料を昇温しながら試料重量の時間的変化を測定する。そして、本発明では、試料の減量速度が一定になるように試料の昇温速度を制御するCDRC法を採用している。したがって、熱分解反応が盛んになるにつれて、昇温速度が小さくなっていく。熱分解反応が激しくなると、目的の減量速度を保つには、むしろ昇温から降温に移行することもある。
【0029】
図4は、従来の等速昇温法とCDRC法とを比較した熱重量曲線のグラフである。使用した試料は、CaSO4・2H2Oの粉末である。縦軸は試料の減量率(最初の重量Wiからの減少分を百分率で表している)であり、横軸は絶対温度T(単位はK)である。従来の等速昇温法(毎分5℃の昇温速度)では温度Tの増加につれて試料が減量していく。これに対して、CDRC法では、熱分解反応の開始時点での温度T1と比較して、熱分解反応が進んだ時点での温度T2の方が低いことが分かる。これは、試料の減量速度を一定にするために、降温制御をしているためである。
【0030】
ところで、熱分解反応が開始するまでは試料の減量は生じないから、減量速度が一定になるような温度制御を無制限に実施すれば、昇温速度は限りなく大きくなることになる。これを避けるために、現実には、昇温速度の最大値を設定して、昇温速度がこれより大きくならないようにしている。
【0031】
図5は、3種類の反応速度Ca、Cb、Ccを用いて、CDRC法による熱重量曲線を測定したグラフであり、横軸は時間t、縦軸は減量率である。また、そのときの試料温度Ta、Tb、Tcの変化も示してある。
【0032】
図6はCDRC法による熱重量曲線のデータから、上述の(2)式に代入する値を得る方法を示している。二つの反応速度Ca、Cbについて熱重量曲線を測定すると、まず、熱分解反応の始期の重量Wiと、終期の重量Wfとが分かる。そこで、上述の(4)式を用いて、任意の減量率のところで反応率αを計算できる。いま、特定の反応率αxに達した時点を考えると、二つの熱重量曲線について、このときの試料温度Ta、Tbを求めることができる。このTa、Tbと、Ca、Cbと、ガス定数Rとを上述の(2)式に代入すれば、活性化エネルギーEを算出できる。
【0033】
さらに、別の反応率(例えばαy、αzなど)のところでも、同様に活性化エネルギーEを算出できる。複数の反応率にもとづいて複数の活性化エネルギーEが得られたら、図2に示すように、それらの平均値をとって最終的な活性化エネルギーとする。
【0034】
次に、上述の図1のグラフを得るには、n種類の反応モデル式f(α)について、図6に示した熱重量曲線上の各点における試料温度Tと反応率αの組み合わせを、縦軸がln(1/f(α))、横軸が(1/T)の座標軸上にプロットすればよい。その際、用いる熱重量曲線としては、図6の反応速度Caによる曲線を用いてもよいし、反応速度Cbによる曲線を用いてもよいし、別に測定した熱重量曲線を用いてもよい。
【0035】
熱分解反応の反応モデル式f(α)の関数形については、例えば、Thermochimica Acta, 157(1990)171‐179 に多く記載されているが、それらのうちで比較的簡単な関数形を示すと、次のようなものがある。
【数9】
f(α)=1
f(α)=(1−α)1/2
f(α)=(1−α)2/3
f(α)=(1−α)
f(α)=1/(2α)
f(α)=1/{−ln(1−α)}
【0036】
このような反応モデル式を仮定することで、図1のようなn種類の直線が選られ、その傾きからn種類の活性化エネルギーEiが得られる。その中から、すでに求めた活性化エネルギーEに一番近いものを選択する。その活性化エネルギーEiに対応する反応モデル式f(α)が、最も確からしい反応モデル式となる。その反応モデル式について、図1の直線の切片を求めることで、上述の(1)式における前指数因子Aも定まる。
【0037】
【発明の効果】
この発明の解析方法は、少なくとも二つの反応速度でCDRC法を実施して、その測定結果を特定の解析手法で解析することにより、反応モデル式f(α)が未知であっても、熱分解反応の活性化エネルギーEを求めることができる。また、この活性化エネルギーEに基づいて、反応モデル式f(α)の関数形や、反応速度式の前指数因子Aを求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】CDRC法における反応率αと温度Tとの関係を特定の座標系でプロットして直線関係で表したグラフである。
【図2】反応率αごとに求めた活性化エネルギーEを平均化することを表すグラフである。
【図3】この発明を実施するための熱天秤の概略構成を示す正面断面図である。
【図4】従来の等速昇温法とCDRC法とを比較した熱重量曲線のグラフである。
【図5】CDRC法による熱重量曲線と温度変化のグラフである。
【図6】CDRC法による熱重量曲線から(2)式に代入する値を得る方法を示すグラフである。
【符号の説明】
Ca:第1の反応速度
Cb:第2の反応速度
α:反応率
Wi:熱分解反応の始期の試料重量
Wf:熱分解反応の終期の試料重量
W:熱分解反応の任意の時点の試料重量
t:時間
A:前指数因子
E:熱分解反応の活性化エネルギー
R:ガス定数
T:試料温度
f(α):αの関数となる反応モデル式
Claims (6)
- 固体の熱分解反応の反応速度式を次の(1)式のように表した場合に、熱分解反応の活性化エネルギーEを以下の(イ)〜(ホ)の段階によって求める、固体の熱分解反応の解析方法。
【数1】
dα/dt=A・exp(−E/RT)・f(α) … (1)
ここで、α=(Wi−W)/(Wi−Wf)
α:反応率
Wi:熱分解反応の始期の試料重量
Wf:熱分解反応の終期の試料重量
W:熱分解反応の任意の時点の試料重量
t:時間
A:前指数因子
E:熱分解反応の活性化エネルギー
R:ガス定数
T:試料温度
f(α):αの関数となる反応モデル式
(イ)試料の減量速度(dW/dt)の絶対値(これは、dα/dtに等しい)が、一定の第1反応速度Caになるように、試料温度Tを変化させて、特定の熱分解反応に起因する試料の重量変化を測定する第1の測定段階。
(ロ)前記第1の測定段階の熱重量曲線から、試料の熱分解が特定の反応率αに達した時点における試料温度Tを求めて、これを第1温度Taとする段階。
(ハ)試料の減量速度(dW/dt)の絶対値(これは、dα/dtに等しい)が、一定の第2反応速度Cbになるように、試料温度Tを変化させて、前記特定の熱分解反応に起因する試料の重量変化を測定する第2の測定段階。
(ニ)前記第2の測定段階の熱重量曲線から、試料の熱分解が前記特定の反応率αに達した時点における試料温度Tを求めて、これを第2温度Tbとする段階。
(ホ)第1反応速度Ca、第2反応速度Cb、第1温度Ta、第2温度Tbと、ガス定数Rとを用いて、次の(2)式により、前記特定の熱分解反応の活性化エネルギーEを求める段階。
【数2】
ln(Cb/Ca)=(E/R){(1/Ta)−(1/Tb)} … (2) - 請求項1記載の解析方法において、複数の異なる反応率αについて、それぞれ第1温度Taと第2温度Tbとを求めてから、各反応率αのそれぞれについて活性化エネルギーEを求め、それらの複数の活性化エネルギーEの平均値を、前記(ホ)の段階における最終的な活性化エネルギーEとすることを特徴とする解析方法。
- 請求項1記載の解析方法において、前記(ホ)の段階で求めた活性化エネルギーEをもとにして、反応モデル式f(α)を以下の(ヘ)〜(チ)の段階によって求める解析方法。
(ヘ)試料の減量速度(dW/dt)の絶対値(これは、dα/dtに等しい)が、一定の反応速度Cになるように、試料温度Tを変化させて、前記特定の熱分解反応に起因する試料の重量変化を測定する測定段階。
(ト)前記特定の熱分解反応について、反応モデル式f(α)をn種類(nは2以上の自然数)仮定して、前記(ヘ)の段階の熱重量曲線にもとづき、反応率αと試料温度Tの関係を、ln(1/f(α))と試料温度Tの逆数(1/T)とからなる座標軸を備えたグラフ上にプロットして直線関係を求め、その直線の傾きから、前記n種類の反応モデル式f(α)のそれぞれについて、熱分解反応の活性化エネルギーの仮定値Ei(i=1〜n)を求める段階。
(チ)前記n個の仮定値Eiのうちで、前記(ホ)の段階で求めた活性化エネルギーEに一番近いものを選択して、その選択した仮定値Eiに対応する反応モデル式f(α)を、前記特定の熱分解反応の反応モデル式f(α)とする段階。 - 請求項3記載の解析方法において、前記(ヘ)の測定段階の熱重量曲線として、前記(イ)の第1の測定段階または前記(ハ)の第2の測定段階の熱重量曲線を利用することを特徴とする解析方法。
- 請求項3記載の解析方法において、前記(チ)の段階で求めた反応モデル式f(α)を利用して、前指数因子Aを次の(リ)及び(ヌ)の段階によって求める解析方法。
(リ)試料の減量速度(dW/dt)の絶対値(これは、dα/dtに等しい)が、一定の反応速度Cになるように、試料温度Tを変化させて、前記特定の熱分解反応に起因する試料の重量変化を測定する測定段階。
(ヌ)前記(リ)の段階の熱重量曲線にもとづき、前記(チ)の段階で求めた反応モデル式f(α)を利用して、反応率αと試料温度Tの関係を、ln(1/f(α))と試料温度Tの逆数(1/T)とからなる座標軸を備えたグラフ上にプロットして直線関係を求め、その直線の切片を求めて、次の(3)式に基づいて、前指数因子Aを求める段階。
【数3】
ln(1/f(α))=ln(A/C)−(E/RT) … (3) - 請求項5記載の解析方法において、前記(リ)の測定段階の熱重量曲線として、前記(イ)の第1の測定段階または前記(ハ)の第2の測定段階の熱重量曲線を利用することを特徴とする解析方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19072297A JP3712837B2 (ja) | 1997-07-02 | 1997-07-02 | 固体の熱分解反応の解析方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19072297A JP3712837B2 (ja) | 1997-07-02 | 1997-07-02 | 固体の熱分解反応の解析方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1123442A JPH1123442A (ja) | 1999-01-29 |
JP3712837B2 true JP3712837B2 (ja) | 2005-11-02 |
Family
ID=16262734
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP19072297A Expired - Fee Related JP3712837B2 (ja) | 1997-07-02 | 1997-07-02 | 固体の熱分解反応の解析方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3712837B2 (ja) |
Families Citing this family (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003137512A (ja) | 2001-11-02 | 2003-05-14 | Rigaku Corp | 金属酸化物の製造方法,半導体装置及び金属酸化物製造装置 |
FR2917163B1 (fr) * | 2007-06-06 | 2015-10-23 | Waters Investments Ltd | Calorimetre a balayage differentiel a chauffage infrarouge |
JP5894757B2 (ja) * | 2011-09-30 | 2016-03-30 | アドバンス理工株式会社 | 熱定数測定装置 |
CN104713799B (zh) * | 2015-03-19 | 2017-12-19 | 国网新疆电力公司 | 一种硫化硅橡胶性能评估方法 |
CN113188942B (zh) * | 2021-04-07 | 2023-02-03 | 青岛科技大学 | 一种用于含pvc混合塑料热裂解过程中的活化能分析方法 |
CN113990403B (zh) * | 2021-09-17 | 2024-07-09 | 南京理工大学 | 一种等温条件下利用标准曲线库初筛反应模型的方法 |
-
1997
- 1997-07-02 JP JP19072297A patent/JP3712837B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH1123442A (ja) | 1999-01-29 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US3263484A (en) | Differential microcalorimeter | |
JP3370592B2 (ja) | 示差熱分析装置 | |
Grapes et al. | Combining nanocalorimetry and dynamic transmission electron microscopy for in situ characterization of materials processes under rapid heating and cooling | |
JPH081414B2 (ja) | 高分離度の分析を行うための方法と装置 | |
JP3712837B2 (ja) | 固体の熱分解反応の解析方法 | |
US4408568A (en) | Furnace wall ash monitoring system | |
Gray | A simple generalized theory for the analysis of dynamic thermal measurement | |
US4720623A (en) | Power control device for a resistance heater in an oven | |
US6913383B2 (en) | Method and apparatus for thermally investigating a material | |
JP3370581B2 (ja) | 高速熱分析装置 | |
JP3856173B2 (ja) | 固体の熱分解反応の解析方法 | |
JP3114137B2 (ja) | 熱伝導率式ガス濃度分析計 | |
JP2949314B2 (ja) | 熱量測定装置及び方法 | |
JPH1123505A (ja) | 熱分析装置 | |
JP2536494B2 (ja) | 試料単独方式の熱流束型示差走査熱量計 | |
Kossoy | A short guide to calibration of DTA instruments | |
RU2583343C1 (ru) | Способ определения интенсивности структурной перестройки расплавов жаропрочных сплавов | |
JPH08136361A (ja) | 測温抵抗体比較校正装置の均熱ブロック及び測温抵抗体の比較校正方法 | |
Kotoyori et al. | An adiabatic self-ignition testing apparatus | |
JPH06265492A (ja) | 熱分析装置 | |
Hurban et al. | Measuring of Gas Flow Speed in Reflow Furnace | |
JPS61201147A (ja) | 気体抽出式試料分析装置における試料加熱炉 | |
JPH0525304B2 (ja) | ||
JPH0968509A (ja) | 材料の加熱制御方法およびその装置 | |
RU2176394C2 (ru) | Устройство для измерения скорости текучих сред |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20050808 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20050816 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20050818 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080826 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090826 Year of fee payment: 4 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |