JP3711833B2 - 調湿システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、除湿システム、加湿システム、除加湿システム等の調湿システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、除湿システムとしては、図6の横断面図に示すようなものがある。この除湿システムは、ケーシング1内を仕切り板で除湿通路2と再生通路3とに区画し、この除湿通路2に空気が矢印X方向に流れ、再生通路3に空気が矢印Y方向に流れるようにしている。この除湿通路2と再生通路3とに、設置状態で、水平軸回りに回転する円板状の吸着ロータ5の各部が順次面するようにしている。上記吸着ロータ5は、例えば、シリカゲル、ゼオライト、アルミナ等の吸着材をハニカム状または多孔多粒状に成形してなり、流通する空気から水分を吸着する一方、加熱された空気に水分を放出する。そして、上記再生通路3の吸着ロータ5よりも上流側に加熱コイル6を設け、さらに、設置状態で、水平軸回りに回転する円板状の顕熱ロータ7の各部が、除湿通路2の吸着ロータ5よりも下流側の部分と再生通路3の加熱コイル6の上流側の部分とに順次面するようにしている。
【0003】
そして、上記除湿通路2に入口11から流入した外気OAは、吸着ロータ5によって、水分が吸着されて除湿され、かつ、吸着熱により温度上昇させられ、さらに、顕熱ロータ7によって熱が奪われて、適切な温度になった除湿空気SAが出口12から室内に向けて供給される。一方、室内からの空気RAが再生通路3に入口13から流入して、顕熱ロータ7で予熱され、さらに、温水が供給される加熱コイル6によって加熱される。この加熱された空気によって、吸着ロータ5から水分が放出されて、吸着ロータ5が再生されて、水分を含んだ空気EAが外部に放出される。
【0004】
このように、除湿通路2を流れる空気から吸湿ロータ5で水分を再生通路3に移送して、除湿空気SAを室内に供給するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の除湿システムでは、図6,7に示すように、吸着ロータ5および顕熱ロータ7が水平軸回りに回転して、吸着ロータ5の端面5aおよび顕熱ロータ7の端面7aが鉛直方向になっているため、全体の高さが高くなって、戸建て住宅の1階の天井面と2階の床面との間に設置できないという問題がある。より詳しくは、125m2の床空間に一般に150m3の調和除湿空気の供給が必要であるが、この場合、吸着ロータ5の直径は300mm以上必要になって、ケース1の部分を考えると、除湿システムの全高は350mm以上になる。しかし、戸建て住宅の1階の天井側の設置スペースの高さは一般に約250mmであるので、上記除湿システムを一般の戸建て住宅に設置できないという問題がある。
【0006】
そこで、この発明の目的は、戸建て住宅等の狭い天井裏スペースであっても設置することができる調湿システムを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明の調湿システムは、
第1調湿通路と、第2調湿通路と、上記第2調湿通路を流れる空気から第1調湿通路を流れる空気へ水分を移送する吸着ロータと、上記第1調湿通路において吸着ロータよりも上流側に設けられた加熱手段とを備えた調湿システムにおいて、
設置状態で、上記吸着ロータの端面は水平面に対して0から45度の角度をなし、
上記第1調湿通路において加熱手段よりも上流側の空気と、上記第2調湿通路において吸着ロータよりも下流側の空気との間で熱交換をする積層式顕熱熱交換器を設け、
上記第2調湿通路において上記吸着ロータよりも上流側に加熱手段を設け、
さらに、上記第2調湿通路において上記積層式顕熱熱交換器をバイパスするバイパス通路を設け、
上記バイバス通路を開閉するダンパーと、上記積層式顕熱熱交換器の上記第2調湿通路側の通路を開閉するダンパーとを設けた
ことを特徴としている。
【0008】
上記構成によれば、上記吸着ロータの端面は水平面に対して、0から45度の傾きで傾斜しているので、吸着ロータの高さが低くなり、ひいては、調湿システムの高さが低くなって、戸建て住宅の狭い天井裏スペースにも設置できるようになる。
【0009】
また、この調湿システムは天井または床から突出することがないから、室内の美観を損なわない。
【0010】
上記吸着ロータの端面を水平面に対して45度近傍に傾けた場合には、調湿システムの高さはある程度高くなるが、幅が狭くなる。吸着ロータの端面を水平にすると、高さは最も低くなる。
また、上記積層式顕熱熱交換器によって、第1調湿通路において加熱手段よりも上流側の空気と、上記第2調湿通路において加湿ロータよりも下流側の空気との間で熱交換をして、熱を回収して予熱に使用することができる。しかも、この積層式顕熱熱交換器は高さが低いので、この除湿システムは戸建て住宅の低い天井裏スペースでも設置できる。
さらに、上記第2調湿通路において上記吸着ロータよりも上流側に加熱手段を設け、上記第2調湿通路において上記積層式顕熱熱交換器をバイパスするバイパス通路を設け、上記バイバス通路を開閉するダンパーと、上記積層式顕熱熱交換器の上記第2調湿通路側の通路を開閉するダンパーとを設けたので、上記両ダンパーを制御して、上記バイパス通路と上記積層式顕熱熱交換器の上記第2調湿通路側の通路とを開閉することによって、コンパクトな構造で、除湿と加湿とを選択的に行うことができる。
また、1実施形態では、上記積層式顕熱熱交換器と上記バイパス通路とは、平面視においてほぼ同じ形状、大きさをしている。
上記実施形態によれば、上記積層式顕熱熱交換器と上記バイパス通路とが、平面視においてほぼ同じ形状、大きさをしているので、さらに、薄型、コンパクトになる。
【0011】
なお、調湿システムとは、除湿システム、加湿システムおよび除加湿システムを総称する言葉である。除湿システムでは、第1調湿通路は再生通路となり、第2調湿通路は除湿通路となり、加湿システムでは、第1調湿通路は加湿通路となり、第2調湿通路は吸湿通路となる。
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0024】
まず、この発明の説明の便宜上、参考例について説明する。図1,2に示すように、この調湿システムの一例としての除湿システムは、円板状の吸着ロータ21と円板状の顕熱ロータ22とがそれぞれ設置状態で鉛直軸の回りに回転し、端面21a,22aが略水平になっている点が図6,7に示す従来例との主な相異点である。したがって、図6,7に示す従来例の構成部と同一構成部は同一参照番号を付して説明を省略し、異なる点を主に以下に説明する。
【0025】
図1,2に示すように、第2調湿通路としての除湿通路2に入口11から流入した外気OAは、図2に示す吸着ロータ21の上端面21aから吸着ロータ21内に流入し、下端面21bから流出し、吸着ロータ21によって水分が吸着されて乾燥し、かつ、吸着ロータ21の吸着熱によって温度が上昇した除湿空気が顕熱ロータ22の上端面22aから顕熱ロータ22内に流入する。この顕熱ロータ22によって、上記除湿空気の顕熱が奪われて適切な温度になり、かつ、顕熱ロータ22が加熱される。このようにして、除湿され、かつ、適切な温度になった除湿空気SAが出口12から室内に向けて供給される。
【0026】
なお、図2に示すように、空気が吸着ロータ21に上端面21aから流入して下端面21bから流出し、また、空気が顕熱ロータ22に上端面22aから流入して下端面22bに流出するように仕切壁25,26を設けている。
【0027】
一方、室内からの空気RAが第1調湿通路としての再生通路3に入口13から流入して、顕熱ロータ22で予熱され、さらに、温水が供給される加熱コイル6によって加熱される。この加熱された空気によって、吸着ロータ5から水分が放出されて、吸着ロータ5が再生されて、水分を含んだ空気EAが外部に放出される。
【0028】
このように、除湿通路2を流れる空気から吸湿ロータ21で水分を再生通路3に移送して、除湿空気SAを室内に供給するようにしている。
【0029】
この除湿システムでは、設置状態において、吸着ロータ21および顕熱ロータ22の回転軸を鉛直に配置し、それらの端面21a,21b,22a,22bが略水平をなすようにしている。つまり、円板状の吸着ロータ21および円板状の顕熱ロータ22の端面21a,21b,22a,22bがケーシング20の水平な底面と平行になっている。したがって、吸着ロータ21および顕熱ロータ22の高さが低くなり、ひいては、ケーシング20の高さが低くなる。したがって、この除湿システムは戸建て住宅の高さの低い天井裏スペースにも設置できる。
【0030】
また、この除湿システムは天井または床から突出することがないから、室内の美観を損なわない。
【0031】
上記参考例では、吸着ロータ21および顕熱ロータ22を共に端面が設置状態で略水平になるように配置したが、幅を狭くする必要があるときには、吸着ロータ21および顕熱ロータ22の両方または片方を必要に応じて、それらの端面を水平面に対して0度から45度の範囲で傾ければよい。そうすれば、高さを所望の程度低くできる上に、幅も所望の程度狭くできる。
【0032】
図3,4に示す参考例は、顕熱ロータに代えて積層式顕熱熱交換器32を用いた点が、図1,2に示す参考例と主に異なる。したがって、図1,2に示す参考例と同一構成部は同一参照番号を付して説明を省略し、異なる点を主に以下に説明する。
【0033】
上記積層式顕熱熱交換器32は、直交する方向の扁平な通路が複数積層されて、両通路を流れる空気の間で顕熱の差を利用して熱交換を行うもので、扁平な通路を積層しているため、高さが低くなっている。したがって、この除湿システムは、吸着ロータ21が水平で高さが低いことと、積層式顕熱熱交換器32の高さが低いこととが相俟って、全体に亘って高さが低くなって、戸建て住宅の狭い天井裏スペースにも設置できる。
【0034】
この除湿システムは、図3,4に示すように、除湿通路2において吸着ロータ21によって水分が吸着されて乾燥し、かつ、吸着ロータ21の吸着熱によって温度が上昇した除湿空気が積層式顕熱熱交換器32に流入する。この積層式顕熱熱交換器32によって、上記除湿空気の顕熱が奪われて適切な温度になる。このようにして、除湿され、かつ、適切な温度になった除湿空気SAが出口12から室内に向けて供給される。
【0035】
一方、室内からの空気RAが再生通路3に入口13から流入して、積層式顕熱熱交換器32で予熱され、さらに、加熱コイル6によって加熱される。この加熱された空気によって、吸着ロータ5から水分が放出され、吸着ロータ5が再生され、水分を含んだ空気EAが外部に放出される。
【0036】
この除湿システムは、水平な吸着ロータ21および高さの低い積層式顕熱熱交換器32を用いているので、高さが低くなって、戸建て住宅の高さの低い天井裏スペースにも設置できる。
【0037】
なお、上記積層式顕熱熱交換器32は、その内部において熱交換する空気が直交する方向に流れるので、出口12、入口13の配置が、図1,2に示す実施形態の出口12、入口13の配置とは逆になっている。
【0038】
図5は調湿システムである除加湿システムの実施形態を示し、この除加湿システムの実施形態は、図3,4に示す参考例とは、除湿通路2において、吸着ロータ21の上流側に加湿時に動作する加熱手段の一例としての加熱コイル41を設け、さらに、積層式顕熱熱交換器32をバイパスするバイパス通路42を設け、このバイパス通路42および積層式顕熱熱交換器32の除湿通路2側の通路を開閉する図示しないバンパーを設けた点が図3,4に示す参考例と異なる。したがって、図3,4に示す参考例の構成部と同一構成部は同一参照番号を付して説明を省略し、異なる点を主に以下に説明する。
【0039】
この除加湿システムを、図3,4に示す参考例と同様に、高さが低くて、戸建て住宅の高さの低い天井裏スペースにも設置できる。
【0040】
この除加湿システムを除湿システムとして動作させるときは、加熱コイル41への温水等の熱媒の供給を停止して、加熱コイル41の動作を停止し、バイパス通路42を閉鎖する。この場合、図3,4に示す参考例と全く同様に機能して除湿をおこなって除湿空気SAを室内に送ることができる。
【0041】
この除加湿システムを、加湿システムとして動作させるときには、図3,4の参考例では、除湿通路2として機能していた第2調湿通路2は加湿通路2として機能し、再生通路3として機能していた第1調湿通路3は吸湿通路3として機能する。加湿時には、加湿通路2の加熱コイル41の運転を行い、吸湿通路3の加熱コイル6の運転を停止し、図示しないダンパーで、バイパス通路42を開放する一方、積層式顕熱熱交換器32の加湿通路2に面する部分を閉鎖する。
【0042】
そうすると、上記加湿通路2の加熱コイル41で加熱された高温の空気は、吸着ロータ21から水分を吸収して、加湿空気となり、この加湿空気は、バイパス通路42を通って、積層式顕熱熱交換器32を通らなくて熱交換することなく、したがって、熱損失をすることなく、高温の加湿空気SAが室内に供給される。
【0043】
一方、室内からの空気RAは、加湿通路2側が図示しないダンパーで閉鎖された積層式顕熱熱交換器32の吸湿通路3側を熱交換することなく通り、さらに、運転を停止している加熱コイル6を通り、吸着ロータ21に水分が吸収されて、排気EAとして外に放出される。この水分を吸収した吸着ロータ21の部分は、加湿通路2において水分を放出する。
【0044】
に示す実施形態において、設置状態で、吸湿ロータ21を水平に配置しているが、高さと幅の要求に応じて、吸着ロータ21の端面を水平面に対して0度から45度の範囲に傾けて、高さと幅を戸建て住宅の要求に合致するようにしてもよい。
【0045】
【0046】
【0047】
【0048】
【0049】
【発明の効果】
以上より明らかなように、請求項1の発明の調湿システムは、設置状態で、吸着ロータの端面が水平面に対して0から45度の傾きで傾斜しているので、吸着ロータの高さが低くなり、ひいては、全体の高さが低くなって、戸建て住宅の狭い天井裏スペースにも設置できる。また、この調湿システムは天井または床から突出することがないから、室内の美観を損なわない。
【0050】
【0051】
【0052】
【0053】
の発明の調湿システムは、熱回収用に高さが低い積層式顕熱熱交換器を用いているので、戸建て住宅の低い天井裏スペースでも設置できる。また、この調湿システムは室内に突出することがないから、室内の美観を損なわない。
【0054】
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の参考例の除湿システムの横断面図である。
【図2】 図1のI−II断面図である。
【図3】 他の参考例の横断面図である。
【図4】 図3のIV−IV線断面図である。
【図5】 この発明の実施形態の除加湿システムの斜視図である。
【図6】 従来の除湿システムの横断面図である。
【図7】 従来の除湿システムの斜視図である。
【符号の説明】
1,20 ケーシング
2 除湿通路
3 再生通路
5,21 吸着ロータ
6,41 加熱コイル
7 顕熱ロータ
32 積層式顕熱熱交換器
42 バイパス通路

Claims (2)

  1. 第1調湿通路(3)と、第2調湿通路(2)と、上記第2調湿通路(2)を流れる空気から第1調湿通路(3)を流れる空気へ水分を移送する吸着ロータ(21)と、上記第1調湿通路(3)において吸着ロータ(21)よりも上流側に設けられた加熱手段(6)とを備えた調湿システムにおいて、
    設置状態で、上記吸着ロータ(21)の端面は水平面に対して0から45度の角度をなし、
    上記第1調湿通路(3)において加熱手段(6)よりも上流側の空気と、上記第2調湿通路(2)において吸着ロータ(21)よりも下流側の空気との間で熱交換をする積層式顕熱熱交換器(32)を設け、
    上記第2調湿通路(2)において上記吸着ロータ(21)よりも上流側に加熱手段(41)を設け、
    さらに、上記第2調湿通路(2)において上記積層式顕熱熱交換器(32)をバイパスするバイパス通路(42)を設け、
    上記バイバス通路(42)を開閉するダンパーと、上記積層式顕熱熱交換器(32)の上記第2調湿通路(2)側の通路を開閉するダンパーとを設けた
    ことを特徴とする調湿システム。
  2. 請求項1に記載の調湿システムにおいて、
    上記積層式顕熱熱交換器(32)と上記バイパス通路(42)とは、平面視においてほぼ同じ形状、大きさをしていることを特徴とする調湿システム。
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