以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る空調装置1aの概要構成例を示す模式図である。図2は、本発明の実施の形態1に係る空調装置1aに備えられているデシカントローター90の概要構成図である。図3は、図1に示す空調装置1aの加湿運転時(加湿モード時)における空調装置1a内の空気の温湿度(温度及び絶対湿度)変化を空気線図上に表したものである。図4は、図1に示す空調装置1aの除湿運転時(除湿モード時)における空調装置1a内の空気の温湿度変化を空気線図上に表したものである。図1〜4に基づいて、空調装置1aについて説明する。なお、空調装置1aは、加湿運転(加湿モード)及び除湿運転(除湿モード)の両運転を実行できるものとして説明するが、加湿運転及び除湿運転の少なくともどちらか一方の運転を実行するものであってもよい。
この空調装置1aは、室外空気を取り入れて除湿または加湿処理を行い、その後、調湿された空気を室内に放出するものである。なお、図1を含め、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。また、図1では、RAが空調装置1aに取り入れられた還気を、OAが空調装置1aに取り入れられた外気を、SAが空調装置1aで調湿された給気を、EAが空調装置1aから室外へ放出する排気を、表している。さらに、空気AR1、空気AR2及び空気AR3は、それぞれ後述する給気風路2、給気バイパス風路3a、排気風路4を流通する空気を表している。記号A〜Kは、各風路の位置を示すもので、後述する図3及び図4の説明にて用いる。
本実施の形態1に係る空調装置1aは、給気風路2、給気バイパス風路3a、排気風路4、全熱交換器5、第1給気熱交換器6、第2給気熱交換器7、第1排気熱交換器8、デシカントローター90、で少なくとも構成されている。
給気風路2は、外気OAの流入口となる給気風路入口2aから給気SAの排出口となる給気風路出口2bまでを接続するように形成されている。給気風路2を流通する空気AR1は、給気風路入口2aから流入し、バイパス部11a、全熱交換器5、第1給気熱交換器6、デシカントローター90、合流部11bという順番で通過して、給気風路出口2bから室内へ供給される。
なお、バイパス部11aは、給気風路2及び給気バイパス風路3aと、が分岐する部分である。バイパス部11aは、給気風路2における全熱交換器5を通過する前(全熱交換器5の上流側)に設けられている。また、合流部11bは、給気風路2及び給気バイパス風路3aとが接続する部分である。合流部11bは、給気風路2におけるデシカントローター90より下流に設けられている。
給気バイパス風路3aは、給気風路2から分岐して全熱交換器5をバイパスしてからデシカントローター90の下流側における給気風路2に再び接続するように形成されている。給気バイパス風路3aを流通する空気AR2は、バイパス部11a、第2給気熱交換器7、デシカントローター90、合流部11bとなる順番で流通する。
排気風路4は、還気RAの流入口となる排気風路入口4aから排気EAの排出口となる排気風路出口4bまでを接続するように形成されている。排気風路4を流通する空気AR3は、排気風路入口4aから流入し、全熱交換器5、第1排気熱交換器8、デシカントローター90という順番で通過して、排気風路出口4bから室外へ排気される。
全熱交換器5は、給気風路2の第1給気熱交換器6の上流と、排気風路4の第1排気熱交換器8の上流と、の両方の風路にまたがるように配置されている。これにより、全熱交換器5は、第1給気熱交換器6の上流における給気風路2を流通する空気AR1と、第1排気熱交換器8の上流における排気風路4を流通する空気AR3との間で、温度(顕熱)及び水分(潜熱)の交換(全熱交換)が可能になっている。全熱交換器5は、例えば紙を積層して複数の風路が構成されており、空気AR1と空気AR3はこれらの複数の風路を流通するようになっている。そして、空気AR1と空気AR3は、各風路間の仕切りである紙を介して温度及び水分を交換する。
第1給気熱交換器6は、給気風路2における全熱交換器5とデシカントローター90との間に設けられている。第1給気熱交換器6は、第1給気熱交換器6に供給される冷媒によって空気AR1を冷却または加温することが可能となっている。第1給気熱交換器6は、例えば冷媒配管を流通する冷媒とフィンを通過する空気AR1との間で熱交換ができるようなプレートフィンアンドチューブ型熱交換器で構成するとよい。
第2給気熱交換器7は、給気バイパス風路3aにおけるデシカントローター90より上流側に設けられている。第2給気熱交換器7は、第2給気熱交換器7に供給される冷媒によって空気AR2を冷却または加温することが可能となっている。第2給気熱交換器7は、例えば冷媒配管を流通する冷媒とフィンを通過する空気AR2との間で熱交換ができるようなプレートフィンアンドチューブ型熱交換器で構成するとよい。
第1排気熱交換器8は、排気風路4における全熱交換器5とデシカントローター90の間に設けられている。第1排気熱交換器8は、第1排気熱交換器8に供給される冷媒によって空気AR3を冷却または加温することが可能となっている。第1排気熱交換器8は、例えば冷媒配管を流通する冷媒とフィンを通過する空気AR3との間で熱交換ができるようなプレートフィンアンドチューブ型熱交換器で構成するとよい。
デシカントローター90は、中心軸が設けられ空気が通気する面が円形状の略円板形状をしている。また、デシカントローター90は、吸着材(例えばゼオライト、シリカゲル、メソポーラスシリカ、または高分子吸着材など)が、回転軸方向(空気が通気する方向)に通気性を有するローター基材(ハニカム構造、コルゲート構造などを有する多孔質部材)に塗布、表面処理または含浸されている。
デシカントローター90は、給気風路2、給気バイパス風路3a及び排気風路4にまたがるように配置され、各風路を流通する空気が通過するようになっている。したがって、デシカントローター90は、軸回転することで、給気風路2に面する領域90a、給気バイパス風路3aに面する領域90b、及び、排気風路4に面する領域90cが順に移動しながら、各風路を流通する空気に含まれている水分の吸着または各風路を流通する空気によって吸着されていた水分の脱着を行うことが可能となっている。
具体的には、加湿運転(後段で詳細に説明する)をする場合、排気風路4を流通している空気中の水分が、デシカントローター90で吸着され、デシカントローター90が回転移動することで給気風路2及び給気バイパス風路3aを流通している空気にてデシカントローター90に吸着されている水分が脱着される。
また、除湿運転(後段で詳細に説明する)をする場合、給気風路2及び給気バイパス風路3aを流通している空気中の水分が、デシカントローター90で吸着され、デシカントローター90が回転移動することで排気風路4を流通している空気にてデシカントローター90に吸着されている水分が脱着される。
図2に示すように、デシカントローター90は、回転方向に対して、給気風路2に面する領域90a、給気バイパス風路3aに面する領域90b、排気風路4に面する領域90cが、順になるように配置されている。したがって、デシカントローター90は、軸回転することで、給気風路2に面する領域、給気バイパス風路3aに面する領域、排気風路4に面する領域が連続的に移動して、各風路を流通する空気中の水分の吸着と脱着を行うことが可能となっている。
デシカントローター90は、その中心軸に、例えばモーター(図示なし)による回転機構を有しており、モーターにDCモーターを用いて回転数を変化させたり、モーターにACモーターを用いてインバータ制御により電源周波数を変化させ回転数を変化させたりすることで、回転速度を制御することが可能となっている。したがって、空気の条件や、ファンの風量に応じてデシカントローター90の回転速度を制御すれば、デシカントローター90の水分吸着量または水分脱着量を調整することが可能になる。
以下、再び、図1の説明に戻る。その他に、図1に示すように、強制的に給気風路2に空気を取り込む給気ファン10aと強制的に排気風路4に空気を取り込む排気ファン10bが、それぞれ給気風路2と排気風路4に設けられていてもよい。その場合、給気ファン10aと排気ファン10bの位置は、特に限定されるものではないが、例えば給気ファン10aを合流部11bより下流に配置し、排気ファン10bを排気風路出口4bの近傍に配置するとよい。
給気ファン10a及び排気ファン10bは、風量を制御することが可能となっているとよい。そうすることにより、空調装置1aに取り入れる空気の条件に応じて風量を設定することが可能になる。給気ファン10a及び排気ファン10bの風量は、例えば給気ファン10a及び排気ファン10bを回転させるモーターにDCモーターを用いて回転数を変化させ、または、ACモーターを用いてインバータ制御により電源周波数を変化させて回転数を変化させたりすることにより制御するとよい。
給気ファン10a及び排気ファン10bの風量を制御可能とすることによってデシカントローター90を通過する空気流速も変化させることができる。デシカントローター90の水分脱着時の空気と吸着材間の水分移動速度は、空気流速が増加すると大きくなるため、デシカントローター90を通過する空気流速を変化させることで空調装置1aの除湿能力または加湿能力を制御することが可能になる。
第1給気熱交換器6、第2給気熱交換器7及び第1排気熱交換器8に使用される冷媒は、特に限定されるものではないが、例えば水、二酸化炭素、炭化水素またはヘリウム等の自然冷媒、HFC410AまたはHFC407C等の塩素を含まない冷媒、または既存の製品に使用されているR22またはR134a等のフロン系冷媒などを用いるとよい。
次に、空調装置1aの動作について説明する。空調装置1aの運転動作は、空気AR1及び空気AR2を加湿する加湿運転と、空気AR1及び空気AR2を除湿する除湿運転と、を実行することが可能となっている。まず、加湿運転の運転動作を図1と図3に基づいて説明する。
図3は、加湿運転時における空調装置1a内の空気の温湿度変化を空気線図上に表したものである。図1の記号A〜Kの位置の空気の状態を、図3の空気線図上に表している。図3において、実線は空気AR1及び空気AR2の状態変化、点線は空気AR3の状態変化を表している。図3のグラフの横軸は温度を表し、縦軸は絶対湿度を表している。
加湿運転では、第1給気熱交換器6と第2給気熱交換器7には高温の冷媒が供給され、それぞれ空気AR1と空気AR2を加温するように設定されており、一方で、第1排気熱交換器8には低温の冷媒が供給され、空気AR3を冷却するように設定されている。
加湿運転は、一般に冬季に行われる。そのため、外気OA (図3、A)の状態は低温、低湿であり、還気RA(図3、H)の状態は高温、高湿となっている。外気OAは、給気風路入口2aから空調装置1aに流入し、バイパス部11aによって空気AR1と、空気AR2とに分流される。一方、還気RAは、排気風路入口4aから空調装置1aに流入し、空気AR3になる。
低温、低湿な空気AR1(図3、A)は、全熱交換器5にて高温、高湿な空気AR3(図3、H)と全熱交換し、温湿度が上昇する(図3、B)。空気AR1は、その後、第1給気熱交換器6にて加温され、相対湿度が低下した状態となる(図3、C)。引き続いて、空気AR1は、デシカントローター90を通過する際に、相対湿度が低いためデシカントローター90に保持されている水分が脱着されて、加湿される。その際に、空気AR1の温度は、水分の脱着により熱量を奪われるため、低下する(図3、D)。
一方で、空気AR2は、第2給気熱交換器7で、給気風路2の第1給気熱交換器6を流通した空気AR1と同程度の温度まで加温される(図3、F)。ここで、デシカントローター90通過前において、空気AR2は、空気AR1と異なり空気AR3と全熱交換を行わないので、絶対湿度が空気AR1よりも低い状態となっている。そのため、同一温度まで加温されても空気AR2の相対湿度は、給気風路2を流通する空気AR1よりも低い状態となっている。
その後、空気AR2は、デシカントローター90を通過する際に、相対湿度が低いため、デシカントローター90に保持されている水分を脱着しながら、加湿される。また、空気AR2の温度は、水分の脱着により熱量を奪われるため、低下する(図3、G)。そして、空気AR1と空気AR2は、合流部11bにて合流し、空気AR1の温度は低下し、空気AR2の温度は上昇する(図3、E)。
上記のように加湿された空気AR1と空気AR2は、合流部11bにて合流した後に、加湿された給気SAとして室内へ供給される。
排気風路入口4aから排気風路4に流入した空気AR3は、全熱交換器5にて空気AR1(図3、A)と全熱交換し、温湿度が低下する(図3、I)。その後、空気AR3は、第1排気熱交換器8にて冷却されて温度が低下し、相対湿度が上昇して相対湿度100%の状態となる(図3、J)。引き続いて、空気AR3は、デシカントローター90を通過する際に、相対湿度が高いため、デシカントローター90に水分を吸着されることで、絶対湿度が低くなる。その際に、空気AR3の温度は、デシカントローター90にて水分吸着時に発生する吸着熱により加温され、上昇する(図3、K)。デシカントローター90を通過後、空気AR3は室外に排気EAとして放出される。
加湿運転時のデシカントローター90の水分保持状況は以下のように変化する。デシカントローター90の保持水分量は、通過する空気の相対湿度によって決定され、相対湿度が低いほど減少する。第1給気熱交換器6及び第2給気熱交換器7により、それぞれ空気AR1及び空気AR2の相対湿度は低くなるように加温されている。そのため、デシカントローター90の保持水分量は、給気風路2を通過する際に水分が脱着されるため減少し、給気バイパス風路3aを通過する際にさらに減少する。なお、脱着された水分は空気AR1及び空気AR2の加湿に利用される。
また、デシカントローター90は、空気AR3が排気風路4を通過する際に、空気AR3から水分を吸着して保持水分量が増加する。デシカントローター90の保持水分量は、通過する空気の相対湿度によって決定され、相対湿度が高いほど増加する。第1排気熱交換器8により、空気AR3の相対湿度は100%近くになるように冷却されているため、デシカントローター90の保持水分量は、排気風路4を通過するときに増加する。
次に、除湿運転の運転動作を図1と図4に基づいて説明する。図4は、除湿運転時における空調装置1a内の空気の温湿度変化を空気線図上に表したものである。図1の記号A〜Kの位置の空気の状態を、図4の空気線図上に表している。図4において、実線は空気AR1及び空気AR2の状態変化、点線は空気AR3の状態変化を表している。図4のグラフの横軸は温度を表し、縦軸は絶対湿度を表している。
除湿運転では、第1給気熱交換器6、第2給気熱交換器7には低温の冷媒が供給され、それぞれ空気AR1と空気AR2を冷却するように設定されており、一方で、第1排気熱交換器8には高温の冷媒が供給され、空気AR3を加温するように設定されている。
除湿運転は、一般に夏季に行われる。そのため、外気OA(図4、A)の状態は高温、高湿であり、還気RA(図4、H)の状態は低温、低湿となっている。外気OAは、給気風路入口2aから空調装置1aに流入し、バイパス部11aによって給気風路2に流入する空気AR1と、給気バイパス風路3aに流入する空気AR2とに分流される。一方、還気RAは、排気風路入口4aから空調装置1aに流入し、排気風路4を流通する空気AR3になる。
高温、高湿な空気AR1は、全熱交換器5にて低温、低湿な空気AR3(図4、H)と全熱交換し、温湿度が低下する(図4、B)。その後、空気AR1は、第1給気熱交換器6にて冷却され、温度が低下し、相対湿度100%の状態になる(図4、C)。引き続いて、空気AR1は、デシカントローター90を通過する際に、相対湿度が高いため、デシカントローター90に水分を吸着されるため、除湿される。その際に、空気AR1の温度は、吸着時に発生する吸着熱により加温され、上昇する(図4、D)。
一方で、空気AR2は、第2給気熱交換器7にて冷却されて温度が低下し、相対湿度が上昇して相対湿度100%の状態になる(図4、F)。次に、空気AR2は、相対湿度が高いため、デシカントローター90に水分を吸着されて、湿度が低下する。また、空気AR2の温度は、吸着時に発生する吸着熱により加温され、上昇する(図4、G)。そして、空気AR1と空気AR2は、合流部11bにて合流し、空気AR1の温度は低下し、空気AR2の温度は上昇する(図4、E)。
上記のように、除湿された空気AR1と空気AR2は、合流部11bにて合流した後に、給気SAとして室内へ供給される。
排気風路入口4aから排気風路4に流入する空気AR3は、全熱交換器5にて給気風路2を流通するAR1(図4、A)と全熱交換し、温湿度が上昇する(図4、I)。その後、空気AR3は、第1排気熱交換器8にて加温され、温度が上昇し、相対湿度が低下した状態となる(図4、J)。引き続いて、空気AR3は、デシカントローター90を通過する際に、相対湿度が低いため、デシカントローター90に保持されている水分が脱着されることで、湿度が上昇する。この時、空気AR3の温度は、デシカントローター90にて水分脱着時に熱量を奪われるため、低下する(図4、K)。その後、空気AR3は、室外に排気EAとして放出される。
除湿運転時のデシカントローター90の水分保持状況は以下のように変化する。第1給気熱交換器6及び第2給気熱交換器7により、それぞれ空気AR1及び空気AR2の相対湿度は100%となるように冷却されている。そのため、デシカントローター90の保持水分量は、給気風路2を通過する際に水分を吸着するため増加し、給気バイパス風路3aを通過する際にさらに増加する。なお、水分が吸着されることにより、空気AR1及び空気AR2は除湿される。
また、第1排気熱交換器8により、空気AR3の相対湿度は低くなるように加温されている。そのため、デシカントローター90の保持水分量は、排気風路4を通過する際に水分が脱着されるため、減少する。
次に、空調装置1aの除湿運転及び加湿運転で生じる効果について説明する。空調装置1aでは、特に、加湿運転時の加湿量を高効率に増加させる点で効果が得られる。まず、空調装置1aの加湿運転での効果について詳しく説明する。
加湿運転時の加湿量を効率的に増加させるためには、デシカントローター90の水分移動量を大きくする必要がある。デシカントローター90の水分移動量(吸着量と脱着量)を増加させるためには、空気AR1及び空気AR2と空気AR3との間の相対湿度差をより大きくすることが必要である。
そこで、まず空気AR3については、第1排気熱交換器8によって冷却し、相対湿度100%とする。一方、空気AR1及び空気AR2については、第1給気熱交換器6と第2給気熱交換器7によってそれぞれを加温し、相対湿度を設定された値まで小さくする。
なお、空気AR1及び空気AR2と空気AR3をそれぞれ加温、冷却する際に、それぞれ第1給気熱交換器6及び第2給気熱交換器7、第1排気熱交換器8以外の熱源の熱(ヒートポンプ以外の熱源、例えばヒーターの排熱等又はペルチェ素子の冷熱等)を用いてもよい。
ここで、第1給気熱交換器6及び第2給気熱交換器7によって、それぞれ空気AR1、空気AR2が所定の温度まで加温されるとき、より絶対湿度の低い空気AR2のほうが、相対湿度が低くなる。それは、空気AR2の絶対湿度は、全熱交換器5を流通する空気AR1と比べて低くなっているからである。よって、空気AR2を所定の温度まで加温したときの相対湿度は、全熱交換器5通過後の空気AR1を所定の温度まで加温した場合と比較すると、低くなる。
したがって、空調装置1aは、給気バイパス風路3aを設けていることにより、相対湿度が空気AR1より低い空気AR2が得られるので、デシカントローター90における水分移動量が増加し、加湿量を効率的に大きくすることが可能となる。
ここで、仮に、給気バイパス風路3aを設けない場合に、空調装置1aと同じ加湿量を得ようとした場合は、相対湿度を低下させるために、空気AR1をより高温に加温する必要がある。こうして、熱交換器の設定温度を高温にするほど、ヒートポンプ又は他の熱源の運転効率が低下してしまい、装置全体の運転効率が低下してしまう(上記した他の熱源についても、高温(低温)にするほど、高温(低温)の熱(冷熱)を得ることができるが、それにより装置全体としての運転効率が低下してしまう)。
それに対して、空調装置1aは、全熱交換器5をバイパスする給気バイパス風路3aが設けられており、給気バイパス風路3aが設けられていない空調装置とは異なり、第1給気熱交換器6及び第2給気熱交換器7の設定温度をさほど高くしなくても、それぞれ低相対湿度の空気AR1及び空気AR2が得られる。つまり、第1給気熱交換器6と第2給気熱交換器7を加温する、ヒートポンプ又は他の熱源の運転効率が低下してしまうことが抑制され、装置全体としての運転効率も高くすることが可能となっている。
次に、再び、図2よりデシカントローター90の動き(回転)と各風路での働きについて説明する。デシカントローター90は、回転方向に対して、給気風路2に面する領域90a、給気バイパス風路3aに面する領域90b、排気風路4に面する領域90cが、順になるように配置されている。したがって、デシカントローター90は、軸回転することで、給気風路2に面する領域90a、給気バイパス風路3aに面する領域90b、排気風路4に面する領域90cを連続的に移動する。また、デシカントローター90の回転方向は、上記順序で各風路を連続的に移動すれば、特に限定されるものではない。
加湿運転時において、デシカントローター90は、空気AR1及びAR2が、それぞれ給気風路2及び給気バイパス風路3aを通過する際に水分が脱着され保持水分量は減少する。なお、脱着された水分は空気AR1及び空気AR2の加湿に利用される。
引き続き、デシカントローター90は、AR3が排気風路4を通過する際に、空気AR3に含まれている水分を吸着するため、保持水分量は増加する。なお、水分が吸着されることで、空気AR3は除湿される。
デシカントローター90は、上記のように給気風路2及び給気バイパス風路3aで水分の脱着を、排気風路4で水分の吸着を連続的に行うことで加湿運転を行うことが可能となっている。
仮に、デシカントローター90が、回転方向に対して、給気風路2に面する領域90a、排気風路4に面する領域90b、給気バイパス風路3aに面する領域90cの順序で連続的に移動すると、給気風路2から排気風路4に移動する部分のデシカントローター90が保持する水分量が、相対湿度の高い給気風路2の湿度状態に応じた水分量となってしまう。
そして、デシカントローター90が、給気風路2に十分に水分を脱着しないまま、排気風路4に面する領域90cに移動することになるからである。したがって、デシカントローター90が排気風路4に面する領域90cに移動する際に、空気AR3から吸収することができる水分量が減少してしまう。つまり、デシカントローター90は、水分交換量が減少してしまうので、加湿量が小さいものとなってしまう。したがって、空調装置1aは、デシカントローター90が、回転方向に対して、給気風路2に面する領域90a、給気バイパス風路3aに面する領域90b、排気風路4に面する領域90cの順序で連続的に移動するものとする。
空調装置1aの除湿運転における効果について詳しく説明する。除湿運転時において、空気AR3については、第1排気熱交換器8によって加温し、相対湿度を設定されている値まで小さくする。一方、空気AR1及び空気AR2については、第1給気熱交換器6と第2給気熱交換器7によって、冷却して相対湿度100%とする。
なお、空気AR1及び空気AR2と空気AR3をそれぞれ冷却、加温する際に、それぞれ第1給気熱交換器6及び第2給気熱交換器7、第1排気熱交換器8以外の熱源の熱を用いることもできることは言うまでもない。
ここで、仮に、給気バイパス風路3aを設けない場合に、空調装置1aと同じ除湿量を得ようとした場合は、相対湿度を100%とするために、空気AR1をより低温に冷却する必要がある。こうして、第1給気熱交換器6の設定温度を低温にするほど、ヒートポンプ又は他の熱源の運転効率が低下してしまい、装置全体の運転効率が低下してしまう。
それに対して、空調装置1aは、全熱交換器5をバイパスする給気バイパス風路3aが設けられており、給気バイパス風路3aが設けられていない空調装置とは異なり、少なくとも第2給気熱交換器7の冷却温度がさほど低くなくても相対湿度100%の空気AR2が得られる。したがって、少なくとも第2給気熱交換器7を冷却する、ヒートポンプ又は他の熱源の運転効率が低下してしまうことが抑制され、装置全体としての運転効率を高くすることが可能になっている。
次に、各風路の風量比について説明する。給気風路2を流通するAR1と給気バイパス風路3aを流通するAR2の風量比は、全熱交換器5での温湿度の交換効率を基に選定するとよい。なお、全熱交換器5の温湿度の交換効率は、全熱交換器5でのエンタルピーの交換効率(顕熱及び潜熱の交換効率)に対応するものである。一般的に、全熱交換器5のエンタルピーの交換効率は、60%〜80%である。なお、全熱交換器5でのエンタルピーの交換効率は、全熱交換する空気の風量が同一の場合において定義される。
空調装置1aは、空気AR1及び空気AR2を合わせた風量と空気AR3の風量が同一となっている。したがって、空調装置1aに取り込んだ外気OAが給気風路2と給気バイパス風路3aで分流するので、全熱交換器5を流通する空気AR1と空気AR3の風量を比較すると、空気AR3の風量の方が大きい。
このように、全熱交換器5を流通する風量のどちらかが低下した場合は、全熱交換器5でのエンタルピーの交換効率が変化する。仮に、全熱交換器5のどちらかの風路(給気風路2または給気バイパス風路3a)の風量が低下した場合に、両方の風路の風量が同一の場合のエンタルピーの交換効率以上となっているとき、エンタルピーの交換量の低下度合いは小さい。しかし、どちらかの風路の風量が低下した場合に、両方の風路の風量が同一の場合のエンタルピーの交換効率より小さい場合、風量低下に応じてエンタルピーの交換量が著しく低下するようになる。したがって、全熱交換器5でのエンタルピーの交換量の低下は、温湿度の交換量の低下となるので、空調装置1aの除加湿量が低下してしまうことになる。
そこで、空気AR2の風量は、全熱交換器5における空気AR1のエンタルピーの交換効率が低下しない風量とするため、AR3の風量に対するAR2の風量の比が、全熱交換器5でのエンタルピーの交換効率よりも高くなるように規定する。例えば、全熱交換器5でのエンタルピーの交換効率が70%である場合は、空気AR3の風量を10とした場合、空気AR1の風量は7以上にすればよい。
なお、空気AR1と空気AR2を合わせた風量と、空気AR3との風量は、特に限定されるものではないが、空調装置1aでは等しい場合を例に説明する。
そのように風量を規定すれば、空気AR1の風量が空気AR3の風量に対して低下し、全熱交換器5でのエンタルピーの交換効率が小さくなってしまうことを抑制することが可能になる。
各風路の風量比は、風路の通風抵抗によっても決定される。したがって、各風路の風量は、全熱交換器5、第1給気熱交換器6、第2給気熱交換器7、第1排気熱交換器8、デシカントローター90及び各風路を形成するダクト部分の通風抵抗などを基にして、設定される。
引き続いて、図2を用いてデシカントローター90の各風路が面する領域の面積(通風面積)について説明する。デシカントローター90の各風路が面する領域の面積は、以下のように設定するとよい。なお、以下の説明では、デシカントローター90の給気風路2が面する領域90aの面積をS1、デシカントローター90の給気バイパス風路3aが面する領域90bの面積をS2、デシカントローター90の排気バイパス風路3bが面する領域90cの面積をS3、デシカントローター90の全通風面積をS(S1+S2+S3)とする。
空調装置1aは、空気AR1及び空気AR2を合わせた風量と、空気AR3の風量が等しくなっているので、空気AR1及び空気AR2と、空気AR3と、の間の水分移動量は同じである。したがって、面積S1と面積S2を合わせた面積は、面積Sの1/2と設定するとよい。
以下に説明するように、面積S1及び面積S2の比は、それぞれ面積S1及び面積S2における水分移動量に応じて規定するとよい。(なお、水分移動量は、各風路の風量と、デシカントローター90を通過時の絶対湿度の変化幅を掛け合わせて得られる。)
つまり、面積S1と面積S2を合わせた面積と、面積S1の比率は、空気AR1の風量及び空気AR2を合わせた風量に対して、空気AR1の風量が占める比率より低くするものと規定するということである。例えば、空気AR1の風量及び空気AR2の風量を合わせた風量と、空気AR1の風量と、の比が10対7のとき、面積S1と面積S2を合わせた面積が50%(残りの50%は空気AR3の通風面積)なので、面積S1は35%以下、面積S2は15%より大きくなるように設定するということになる。
デシカントローター90の各風路が面する領域を水分移動量に応じて設定することについて説明する。面積S1+面積S2と面積S3に対して、それぞれの面積の水分移動量の比が一致しない場合、一方の風路では、水分移動量に対し余分な面積が存在し、もう一方の風路では水分移動量に対し面積が不足することになる。デシカントローター90の水分保持量が、デシカントローター90を通風する空気の相対湿度に応じた水分保持量と近接しており、水分移動量に対して余分な面積は、事実上水分交換に寄与しないことになってしまう。
一方、水分移動量に対し面積が不足している部分では、デシカントローター90の水分保持量及び通風する空気の水分保持量とに大きく差があり、水分移動をする余地があるにもかかわらず、デシカントローター90に面する領域の面積及びデシカントローター90の通過時間が制限されているために、十分な水分移動がされないことになってしまう。
上記の理由により、デシカントローター90の各風路が面する領域を水分移動量に応じて設定することで、デシカントローター90の通風面積の過不足を回避できることになる。このようにすると、デシカントローター90での水分移動量を多くすることが可能となり、効率的に除加湿することが可能となる。
図5は、図1に示す空調装置1aに顕熱交換器12aを設けた概要構成例を示す模式図である。顕熱交換器12aは、例えば樹脂を積層して複数の風路が構成されており、空気がこれらの複数の風路を流通するようになっている。そして、顕熱交換器12aを流通する空気同士は、各風路間の仕切りである樹脂を介して温度を交換する。
図5に示されるように、顕熱交換器12aは、給気バイパス風路3aの第2給気熱交換器7の上流と、排気風路4の第1排気熱交換器8の上流であって全熱交換器5より下流、の両方の風路にまたがるように設けられている。これにより、顕熱交換器12aは、第2給気熱交換器7の上流における空気AR2と、第1排気熱交換器8の上流であって全熱交換器5より上流における空気AR3との間で、温度(顕熱)を交換することが可能となっている。
例えば、加湿運転時において、顕熱交換器12aは、全熱交換器5通過後の空気AR3の温度が空気AR2の温度より高いため、空気AR2は加温されるとともに、空気AR3が冷却される。そして、空気AR2は、顕熱交換器12aの下流で第2給気熱交換器7によりさらに加温され、空気AR3は、顕熱交換器12aの下流で第1排気熱交換器8によりさらに冷却される。
上記のように、空気AR2及び空気AR3は、顕熱交換器12aによりそれぞれ加温、冷却されるので、第2給気熱交換器7及び第1排気熱交換器8における熱交換量をそれぞれ減少させることができる。つまり、第2給気熱交換器7及び第1排気熱交換器8に供給する熱量を減少することが可能となり、ヒートポンプ又は他の熱源の運転効率が向上するので、装置全体としての運転効率が向上する。
また、図5において、顕熱交換器12aを、温湿度を交換する全熱交換器としても、同様の効果を得ることができる。この場合、空気AR2が全熱交換器を通過する際に絶対湿度が増加するが、この全熱交換器に流入する空気AR3は、全熱交換器5を通過後であるので、空気AR1と温湿度を交換しており、その絶対湿度が低下している。そのため、顕熱交換器12aを全熱交換器としても空気AR2の絶対湿度の増加幅は限られており、空気AR2の相対湿度を低くするのに、さほど第2給気熱交換器7の温度を高くしなくてもよい。
図6は、図1に示す空調装置1aの風路構成を変更した概要構成例を示す模式図である。全熱交換器13aは、全熱交換器5と同様に、例えば紙を積層して複数の風路が構成されており、空気がこれらの複数の風路を流通するようになっている。そして、全熱交換器13aを流通する空気同士は、各風路間の仕切りである紙を介して温度を交換する。
図6に示すように、全熱交換器13aは、後述する第1給気風路14の第1給気熱交換器7の上流、後述する第2給気風路15の第2給気熱交換器7の上流、排気風路4の第1排気熱交換器8の上流、以上3つの風路にまたがるように設けられている。また、全熱交換器13aは、後述する空気AR5及び空気AR3と、後述する空気AR6及び空気AR5と全熱交換した後の空気AR3と、の間で温度及び水分の交換が可能になっている。なお、図6において、デシカントローター90と第1給気風路14及び第2給気風路15が面する領域は、それぞれ第1給気風路14に面する領域90d、第2給気風路15に面する領域90eと定義している。
第1給気風路14は、外気OAの流入口となる給気風路入口2aから給気SAの排出口となる給気風路出口2bまでを接続するように形成されている。第1給気風路14を流通する空気AR5は、給気風路入口2aから流入し、分岐部18a、全熱交換器13a、第1給気熱交換器6、デシカントローター90、合流部18bという順番で通過して、給気風路出口2bから室内へ供給される。
なお、分岐部18aは、第1給気風路14及び第2給気風路15と、が分岐する部分である。分岐部18aは、第1給気風路14における全熱交換器13aを通過する前に設けられている。また、合流部18bは、第1給気風路14及び第2給気風路15と、が接続する部分である。合流部18bは、第1給気風路14におけるデシカントローター90より下流に設けられている。
第2給気風路15は、第1給気風路14から分岐して全熱交換器13aを通過してからデシカントローター90の下流側における第1給気風路14に再び接続するように形成されている。第2給気風路15を流通する空気AR6は、分岐部18a、全熱交換器13a、第2給気熱交換器7、デシカントローター90、合流部18bとなる順番で流通する。
図6に示す空調装置1aにおいても、加湿運転時においては、第1給気熱交換器6及び第2給気熱交換器7を加温するヒートポンプ又は他の熱源の運転効率が低下してしまうことが抑制され、装置全体としての運転効率を高くすることが可能となっている。また、除湿運転時においては、少なくとも第2給気熱交換器7を冷却するヒートポンプ又は他の熱源の運転効率が小さくなってしまうことが抑制され、装置全体としての運転効率を高くすることが可能となっている。さらに、装置の構成部品数を低減できるので、装置をよりコンパクトにすることが可能になっている。
以上に述べたように、本実施の形態1における空調装置1aは、加湿運転時において、給気バイパス風路3a(又は、第2給気風路15)を設けていることによって、空気AR1に比べてより相対湿度の低い空気AR2が得られるので、デシカントローター90の水分移動量が増加し、加湿量を効率的に大きくすることが可能となっている。
また、第1給気熱交換器6及び第2給気熱交換器7の設定温度を高温にするほど、ヒートポンプ又は他の熱源の運転効率が低下してしまい、装置全体としての効率が低下する運転となってしまうが、空調装置1aは、全熱交換器5をバイパスする給気バイパス風路3aが設けられているので、第1給気熱交換器6及び第2給気熱交換器7の設定温度をさほど高くしなくても相対湿度の低い空気AR1及び空気AR2が得られるので、ヒートポンプ又は他の熱源の運転効率が小さくなってしまうことが抑制され、装置全体としての運転効率を高くすることが可能となっている。
除湿運転時においては、空気AR2の絶対湿度は、全熱交換器5を通過する空気AR1の絶対湿度よりも高くなっているので、第2給気熱交換器7の冷却温度をさほど低くしなくても、相対湿度100%の空気AR2が得られる。したがって、少なくとも第2給気熱交換器7を冷却するヒートポンプ又は他の熱源の運転効率が小さくなってしまうことが抑制され、装置全体としての運転効率を高くすることが可能となっている。
また、空調装置1aは、図5に示すように顕熱交換器12aを給気バイパス風路3aと排気風路4にまたがるように設けたり、図6に示すように、全熱交換器13aを第1給気風路14及び第2給気風路15と排気風路4をまたがるように設けても、加湿運転時においては、第1給気熱交換器6及び第2給気熱交換器7を加温するヒートポンプ又は他の熱源の運転効率が低下してしまうことが抑制され、装置全体としての運転効率を高くすることが可能となっている。また、除湿運転時においては、少なくとも第2給気熱交換器7を冷却するヒートポンプ又は他の熱源の運転効率が小さくなってしまうことが抑制され、装置全体としての運転効率を高くすることが可能となっている。さらに、図6に示す空調装置1aは、装置の構成部品数を低減できるので、装置をよりコンパクトにすることが可能になっている。
実施の形態2.
図7は、本発明の実施の形態2に係る空調装置1bの概要構成例を示す模式図である。なお、本実施の形態2では、実施の形態1と同一部分には同一符号とし、実施の形態1との相違点を中心に説明するものとする。本実施の形態2に係る空調装置1bは、実施の形態1と比べると、風路構成が異なっている。なお、空気AR4は、後述する排気バイパス風路3bを流通する空気を表している。
具体的には、給気バイパス風路3a(又は、第1給気風路14)が設けられておらず、排気バイパス風路3b(又は、第2排気風路17)が設けられている。加えて、排気バイパス風路3bが設けられていることに伴い、第2排気熱交換器20が設けられている。また、実施の形態1と風路構成が異なっているので、デシカントローター91もその風路構成に伴ったものとなっている。
排気バイパス風路3bは、排気風路4から分岐して全熱交換器5をバイパスしてからデシカントローター91の下流側における排気風路4に再び接続するように形成されている。排気バイパス風路3bを流通する空気AR4は、バイパス部11c、第2排気熱交換器20、デシカントローター91、合流部11dとなる順番で流通する。
なお、バイパス部11cは、排気風路4及び排気バイパス風路3bが分岐する部分である。バイパス部11cは、排気風路4における全熱交換器5を通過する前に設けられている。また、合流部11dは、排気風路4及び排気バイパス風路3bが接続する部分である。合流部11dは、排気風路4におけるデシカントローター91より下流であって、排気ファン10bより上流に設けられている。
第2排気熱交換器20は、排気バイパス風路3bにおけるデシカントローター91より上流側に設けられている。第2排気熱交換器20は、第2排気熱交換器20に供給される冷媒によって空気AR4を冷却または加温することが可能となっている。第2排気熱交換器20は、例えば冷媒配管を流通する冷媒とフィンを通過する空気AR4との間で熱交換ができるようなプレートフィンアンドチューブ型熱交換器で構成するとよい。
図8は、本発明の実施の形態2のデシカントローター91の概要構成図である。実施の形態1で説明したデシカントローター90と、本実施の形態2のデシカントローター91の構成及び機能は同様であるが、次に説明するように各風路と面する領域が異なる点で相違する。
図8に示すように、デシカントローター91は、回転方向に対して、排気風路4に面する領域91a、排気バイパス風路3bに面する領域91b、給気風路2に面する領域91cが順になるように配置されている。したがって、デシカントローター91は、軸回転することで、給気風路2に面する領域91a、排気風路4に面する領域91b、排気バイパス風路3bに面する領域91cが連続的に移動して、各風路を流通する空気中の水分の吸着と脱着を行うことが可能となっている。
具体的には、加湿運転(後段で詳細に説明する)をする場合、空気AR3及び空気AR4に含まれる水分が、デシカントローター91で吸着され、デシカントローター91が回転移動することで、デシカントローター91に吸着されている水分は、空気AR1に脱着される。
また、除湿運転(後段で詳細に説明する)をする場合、空気AR1に含まれている水分が、デシカントローター91で吸着され、デシカントローター91が回転移動することで、デシカントローター91に吸着されている水分は、空気AR3及びAR4に脱着される。
なお、デシカントローター91における排気風路4に面する領域91a、排気バイパス風路3bに面する領域91b、給気風路2に面する領域91cが占める面積比率は、実施の形態1で述べたように、各風路の風量比及びエンタルピーの交換効率から規定すればよい。
次に、本実施の形態2における空調装置1bの動作について説明する。空調装置1bの運転動作は、空気AR1を加湿する加湿運転と、空気AR1を除湿する除湿運転と、を実行することが可能となっている。まず、加湿運転の運転動作を図7と図9に基づいて説明する。
図9は、図7に示す空調装置の加湿運転時における空調装置1b内の空気の温湿度変化を空気線図上に表したものである。図9において、実線は空気AR1の状態変化、点線は空気AR3及び空気AR4の状態変化を表している。図9のグラフの横軸は温度を表し、縦軸は絶対湿度を表している。
加湿運転では、第1給気熱交換器6には高温の冷媒が供給され、空気AR1を加温するように設定されており、一方で、第1排気熱交換器8及び第2排気熱交換器20には低温の冷媒が供給され、それぞれ空気AR3及び空気AR4を冷却するように設定されている。
加湿運転は、一般に冬季に行われる。そのため、外気OA (図9、H)の状態は低温、低湿であり、還気RA(図9、A)の状態は、高温、高湿となっている。外気OAは、給気風路入口2aから空調装置1bに流入し、空気AR1となる。一方、還気RAは排気風路入口4aから空調装置1bに流入し、バイパス部11cによって空気AR3と空気AR4に分流される。
低温、低湿な空気AR1(図9、H)は、全熱交換器5にて高温、高湿な空気AR3(図9、A)と全熱交換し温湿度が上昇する(図9、I)。空気AR1は、その後、第1給気熱交換器6にて加温され、温度が上昇し、相対湿度が低下した状態となる(図9、J)。引き続いて、空気AR1は、デシカントローター91を通過する際に相対湿度が低いためデシカントローター91に保持されている水分が脱着されて、加湿される。その際に、空気AR1の温度は、水分の脱着により熱量を奪われるため、低下する(図9、K)。デシカントローター91を通過後、空気AR1は給気SAとして室内に供給される。
排気風路入口4aから排気風路4に流入した空気AR3は、全熱交換器5にて空気AR1(図9、H)と全熱交換し、温湿度が低下する(図9、B)。その後、空気AR3は、第1排気熱交換器8にて冷却されて温度が低下し、相対湿度が上昇して相対湿度100%の状態となる(図9、C)。引き続いて、空気AR3は、デシカントローター91を通過する際に、相対湿度が高いため、デシカントローター91に水分を吸着されて、低絶対湿度になる。その際に、空気AR3の温度は、デシカントローター91にて水分吸着時に発生する吸着熱により加温され、上昇する(図9、D)。
一方で、空気AR4は、第2排気熱交換器20にて冷却されて温度が低下し、相対湿度が上昇して相対湿度100%の状態となる(図9、F)。その後、空気AR4は、デシカントローター91を通過する際に、相対湿度が高いため、デシカントローター91に水分を吸着されて、絶対湿度が低くなる。その時、空気AR4の温度は、水分吸着時に発生する吸着熱により加温され、温度は上昇する(図9、G)。そして、空気AR3と空気AR4は、合流部11dにて合流し、空気AR4の温度は低下し、空気AR3の温度は上昇する(図9、E)。
以上のように、空気AR3と空気AR4は、合流部11dにて合流した後に、排気EAとして室外へ放出される。
加湿運転時のデシカントローター91の水分保持状況は以下のように変化する。第1給気熱交換器6により、空気AR1の相対湿度は小さくなるように加温されている。そのため、デシカントローター91の保持水分量は、給気風路2を通過する際に水分を脱着するため減少する。なお、水分が脱着されることにより、空気AR1は加湿される。
また、第1排気熱交換器8及び第2排気熱交換器20により、それぞれ空気AR3及び空気AR4の相対湿度は100%になるように冷却されている。そのため、デシカントローター91の保持水分量は、排気風路4を通過する際に、水分を吸着して増加し、排気バイパス風路3bを通過する際に、さらに増加する。
また、デシカントローター91は、空気AR3及び空気AR4がそれぞれ排気風路4及び排気バイパス風路3bを通過する際に、それぞれ空気AR3及び空気AR4から水分を吸着して保持水分量が増加する。第1排気熱交換器8及び第2排気熱交換器20により、それぞれ空気AR3及び空気AR4の相対湿度は100%になるように冷却されているため、デシカントローター91の保持水分量は、排気風路4を通過する際に減少し、排気バイパス風路3bを通過する際にさらに減少する。
次に、除湿運転の運転動作を図7と図10に基づいて説明する。図10は、図7に示す空調装置1bの除湿運転時における空調装置1b内の空気の温湿度変化を空気線図上に表したものである。図7の記号A〜Kの位置の空気の状態を、図10の空気線図上に表している。図10において、実線は空気AR1の状態変化、点線は空気AR3及び空気AR4の状態変化を表している。図10のグラフの横軸は温度を表し、縦軸は絶対湿度を表している。
除湿運転では、第1排気熱交換器8と第2排気熱交換器20には高温の冷媒が供給され、それぞれ空気AR3と空気AR4を加温するように設定されており、一方で、第1給気熱交換器6には低温の冷媒が供給され、空気AR1を冷却するように設定されている。
除湿運転は、一般に夏季に行われる。そのため、外気OA(図10、H)の状態は高温、高湿であり、還気RA(図10、A)の状態は低温、低湿である。
高温、高湿な空気AR1(図10、H)は、全熱交換器5にて低温、低湿な空気AR3(図10、A)と全熱交換し、温湿度が減少する(図10、I)。空気AR1は、その後、第1給気熱交換器6にて冷却され、相対湿度100%の状態となる(図10、J)。引き続いて、空気AR1は、デシカントローター91を通過する際に、相対湿度が高いためデシカントローター91に水分を吸着されて、除湿される。その際に、空気AR1の温度は、デシカントローター91に水分吸着時に発生する吸着熱により加温され、上昇する(図3、K)。デシカントローター91を通過後、空気AR1は室内に給気SAとして供給される。
低温、低湿な空気AR3(図10、A)は、全熱交換器5にて高温、高湿な空気AR1(図10、H)と全熱交換し、温湿度が上昇する(図10、B)。空気AR3は、その後、第1排気熱交換器8にて加温され、相対湿度が低下した状態となる(図10、C)。引き続いて、空気AR3は、デシカントローター91を通過する際に、相対湿度が低いためデシカントローター91に保持されている水分が脱着されて、加湿される。その際に、空気AR3の温度は、水分の脱着により熱量を奪われるため、低下する(図10、D)。
一方で、空気AR4は、第2排気熱交換器20で、排気風路4の第1排気熱交換器8を通過した空気AR3と同程度の温度まで加温される(図10、F)。ここで、空気AR4は、空気AR3と異なり空気AR1と全熱交換を行わないので、絶対湿度が空気AR3よりも低い状態となっている。そのため、同一温度まで加温されても空気AR4の相対湿度は、排気風路4を流通する空気AR3よりも低い状態となっている。
その後、空気AR4は、デシカントローター91を通過する際に、相対湿度が低いため、デシカントローター91に保持されている水分を脱着しながら、加湿される。また、空気AR4の温度は、水分の脱着により熱量を奪われるため、低下する(図10、G)。そして、空気AR3と空気AR4は、合流部11dにて合流し、空気AR3の温度は低下し、空気AR4の温度は上昇する(図10、E)。
上記のように加湿された空気AR3と空気AR4は、合流部11dにて合流して排気EAとして室外へ放出される。
除湿運転時のデシカントローター91の水分保持状況は以下のように変化する。第1給気熱交換器6により、空気AR1の相対湿度は100%となるように冷却されている。そのため、デシカントローター91の保持水分量は、給気風路2を通過する際に水分を吸着するため増加する。なお、水分が吸着されることにより、空気AR1は除湿される。
また、第1排気熱交換器8及び第2排気熱交換器20により、それぞれ空気AR3及び空気AR4の相対湿度は小さくなるように加温されている。そのため、デシカントローター91の保持水分量は、排気風路4を通過する際に、水分が脱着されて減少し、排気バイパス風路3bを通過する際に、さらに減少する。
引き続いて、デシカントローター91は、排気バイパス風路3bを通過する空気AR4(空気AR3より相対湿度が低い)によって水分がさらに脱着されるため、デシカントローター91の保持水分量はさらに減少する。
次に、本実施の形態2に係る空調装置1bの除湿運転時の効果について説明する。空調装置1bは、排気風路4に全熱交換器5をバイパスする排気バイパス風路3bが設けられているので、本実施の形態2の加湿運転時の効果と実施の形態1の除湿運転の効果が対応しており、また、本実施の形態2の除湿運転時の効果と実施の形態1の加湿運転の効果が対応している。
空調装置1bの除湿運転における効果について詳しく説明する。空調装置1bは、特に、除湿運転時の除湿量を高効率に増加させる点で効果が得られる。除湿運転時の除湿量を効率的に増加させるためには、デシカントローター91の水分移動量を増加させる必要がある。デシカントローター91の水分移動量を増加させるためには、空気AR1と空気AR3及び空気AR4との間の相対湿度差をより大きくすることが必要である。
そこで、空気AR1については、第1給気熱交換器6によって冷却し、相対湿度を100%にする。一方、空気AR3及び空気AR4については、第1排気熱交換器8と第2排気熱交換器20によって加温し、相対湿度を設定されている値まで小さくする。
なお、空気AR1と空気AR3及び空気AR4をそれぞれ冷却、加温する際に、それぞれ第1給気熱交換器6、第1排気熱交換器8及び第2排気熱交換器20以外の熱源の熱を用いることもできることは言うまでもない。
ここで、第1排気熱交換器8及び第2排気熱交換器20によって、それぞれ空気AR3、空気AR4が所定の温度まで加温されるとき、より絶対湿度の低い空気AR4のほうが、相対湿度が低くなる。それは、空気AR4の絶対湿度は、全熱交換器5を流通する空気AR3と比べて、低くなっているからである。よって、空気AR4を所定の温度まで加温したときの相対湿度は、全熱交換器5通過後の空気AR3を所定の温度まで加温した場合と比較すると、小さくなる。
したがって、空調装置1bは、排気バイパス風路3bを設けていることにより、相対湿度が空気AR3より低い空気AR4が得られるので、デシカントローター91における水分移動量が増加し、除湿量を効率的に大きくすることが可能となる。
ここで、仮に、排気バイパス風路3bを設けられていない場合に、空調装置1bと同じ除湿量を得ようとした場合は、相対湿度を低くするために、空気AR3及び空気AR4をより高温に加温する必要がある。こうして、第1排気熱交換器8及び第2排気熱交換器20の設定温度を高温にするほど、ヒートポンプ又は他の熱源の運転効率が低下してしまい、装置全体の運転効率が低下してしまう。
それに対して、空調装置1bは、排気バイパス風路3bが設けられているので、第1排気熱交換器8及び第2排気熱交換器20の加温温度がさほど高くなくても、それぞれ相対湿度が低い空気AR3及び空気AR4が得られる。つまり、第1排気熱交換器8及び第2排気熱交換器20を加温するヒートポンプ又は他の熱源の運転効率が低下してしまうことが抑制され、装置全体としての運転効率も高くすることが可能になっている。
空調装置1bの加湿運転での効果について詳しく説明する。加湿運転時において、空気AR1については、第1給気熱交換器6によって加温し、相対湿度を設定されている値まで小さくする。一方、空気AR3及び空気AR4については、第1排気熱交換器8と第2排気熱交換器20によって冷却し、相対湿度を100%にする。
なお、空気AR1と空気AR3及び空気AR4をそれぞれ加温、冷却する際に、それぞれ第1給気熱交換器6、第1排気熱交換器8及び第2排気熱交換器20以外の熱源の熱を用いることができることは言うまでもない。
ここで、仮に、排気バイパス風路3bを設けられていない場合に、空調装置1bと同じ加湿量を得ようとした場合は、相対湿度を100%とするために、空気AR3をより低温に冷却する必要がある。こうして、第1排気熱交換器8の設定温度を低温にするほど、ヒートポンプ又は他の熱源の運転効率が低下してしまい、装置全体の運転効率が低下してしまう。
それに対して、空調装置1bは、全熱交換器5をバイパスする排気バイパス風路3bが設けられており、排気バイパス風路3bが設けられていない空調装置とは異なり、少なくとも第2排気熱交換器20の冷却温度がさほど低くなくても相対湿度の高い空気AR4が得られる。したがって、少なくとも第2排気熱交換器20を冷却するヒートポンプ又は他の熱源の運転効率が小さくなってしまうことが抑制され、装置全体としての運転効率を高くすることが可能になっている。
本実施の形態2の空調装置1bの運転効率をさらに高めるために、顕熱交換器12bを設けてもよい。図11は、図7に示す空調装置1bに顕熱交換器12bを設けた概要構成例を示す模式図である。図11に示すように、顕熱交換器12bは、排気バイパス風路3bの第2排気熱交換器20の上流と、給気風路2の第1給気熱交換器6の上流で全熱交換器5より下流と、の両方の風路にまたがるように設けられている。これにより、顕熱交換器12bは、第2排気熱交換器20の上流における空気AR4と、第1給気熱交換器6の上流で全熱交換器5より下流における空気AR1との間で、温度(顕熱)を交換することが可能となっている。
例えば、除湿運転時において、顕熱交換器12bは、全熱交換器5通過後の空気AR1の温度が空気AR4の温度より高いため、空気AR4は加温されるとともに、空気AR1が冷却される。そして、空気AR4は、顕熱交換器12bの下流で第2排気熱交換器20によりさらに加温され、空気AR1は、顕熱交換器12bの下流で第1給気熱交換器6によりさらに冷却される。
上記のように、空気AR4及び空気AR1は、顕熱交換器12bによりそれぞれ加温、冷却されるので、それぞれ第2排気熱交換器20及び第1給気熱交換器6における熱交換量を減少させることができる。つまり、第2排気熱交換器20及び第1給気熱交換器6に供給する熱量を減少することが可能となり、ヒートポンプ又は他の熱源の運転効率が向上するので、装置全体としての運転効率が向上する。
また、図11において、顕熱交換器12を、温湿度を交換する全熱交換器としても、同様の効果を得ることができることは言うまでもない。
図12は、図7に示す空調装置1bの風路構成を変更した概要構成例を示す模式図である。本実施の形態2の全熱交換器13bと、実施の形態1の全熱交換器13aの機能は同様であるが、次に示すように導かれる風路が異なっている点で相違する。
図12に示すように、全熱交換器13bは、後述する第1排気風路16の第1排気熱交換器8の上流、後述する第2排気風路17の第2排気熱交換器20の上流、給気風路2の第1給気熱交換器6の上流、以上3つの風路にまたがるように設けられている。また、全熱交換器13bは、後述する空気AR7及び空気AR1と、後述する空気AR8及び空気AR7と全熱交換した後の空気AR1と、の間で温度及び水分の交換が可能になっている。なお、図12において、デシカントローター91と第1排気風路16及び第2排気風路17が面する領域は、それぞれ第1排気風路16に面する領域91d、第2排気風路17に面する領域91eと定義している。
第1排気風路16は、還気RAの流入口となる排気風路入口4aから排気EAの排出口となる排気風路出口4bまでを接続するように形成されている。第1排気風路16を流通する空気AR7は、排気風路入口4aから流入し、分岐部18c、全熱交換器13b、第1排気熱交換器20、デシカントローター91、合流部18dという順番で通過して、排気風路出口4bから室外へ放出される。
なお、分岐部18aは、第1排気風路16及び第2排気風路17と、が分岐する部分である。分岐部18aは、第1排気風路16における全熱交換器13bを通過する前に設けられている。また、合流部18dは、第1排気風路16及び第2排気風路17と、が接続する部分である。合流部18dは、第1排気風路16におけるデシカントローター91より下流に設けられている。
第2排気風路17は、第1排気風路16から分岐して全熱交換器13bをバイパスしてからデシカントローター91の下流側における第1排気風路16に再び接続するように形成されている。第2排気風路17を流通する空気AR8は、分岐部18c、第2排気熱交換器20、デシカントローター91、合流部18dとなる順番で流通する。
図12に示す空調装置1bにおいても、除湿運転時においては、第1排気熱交換器8及び第2排気熱交換器20を加温するヒートポンプ又は他の熱源の運転効率が低下してしまうことが抑制され、装置全体としての運転効率を高くすることが可能となっている。また、加湿運転時においては、少なくとも第2排気熱交換器20を冷却するヒートポンプ又は他の熱源の運転効率が低下してしまうことが抑制され、装置全体としての運転効率を高くすることが可能となっている。さらに、装置の構成部品数を低減できるので、装置をよりコンパクトにすることが可能になっている。
以上に述べたように、本実施の形態2における空調装置1bは、除湿運転時において、排気バイパス風路3b(又は、第2排気風路17)を設けていることによって、空気AR3に比べてより相対湿度の低い空気AR4が得られるので、デシカントローター91における水分移動量が増加し、除湿量を効率的に大きくすることが可能となっている。
また、第1排気熱交換器8及び第2排気熱交換器20の設定温度を高温にするほど、ヒートポンプ又は他の熱源の運転効率が低下してしまい、装置全体としての効率が低下する運転となってしまうが、空調装置1bは、全熱交換器5をバイパスする排気バイパス風路3bが設けられているので、第1排気熱交換器8及び第2排気熱交換器20の設定温度をさほど高くしなくても相対湿度の低い空気AR3及び空気AR4が得られるので、ヒートポンプ又は他の熱源の運転効率が低下してしまうことが抑制され、装置全体としての運転効率を高くすることが可能となっている。
加湿運転時においては、空気AR4の絶対湿度は、全熱交換器5を通過する空気AR3の絶対湿度よりも高くなっているので、第2排気熱交換器20の冷却温度をさほど低くしなくても、相対湿度100%の空気AR4が得られる。したがって、少なくとも第2排気熱交換器20を冷却するヒートポンプ又は他の熱源の運転効率が低下してしまうことが抑制され、装置全体としての運転効率を高くすることが可能となっている。
また、空調装置1bは、図11に示すように顕熱交換器12bを排気バイパス風路3bと給気風路2にまたがるように設ける構成や、図12に示すように、全熱交換器13bを第1排気風路16及び第2排気風路17と給気風路2をまたがるように設けても、除湿運転時においては、第1排気熱交換器8及び第2排気熱交換器20を加温するヒートポンプ又は他の熱源の運転効率が低下してしまうことが抑制され、装置全体としての運転効率を高くすることが可能となっている。また、加湿運転時においては、少なくとも第2排気熱交換器20を冷却するヒートポンプ又は他の熱源の運転効率が低下してしまうことが抑制され、装置全体としての運転効率を高くすることが可能となっている。さらに、図12に示す空調装置1bは、装置の構成部品数を低減できるので、装置をよりコンパクトにすることが可能になっている。
実施の形態3.
図13は、本発明の実施の形態3に係る空調装置1cの概要構成例を示す模式図である。なお、本実施の形態3では、実施の形態1及び実施の形態2と同一部分には同一符号とし、実施の形態1及び実施の形態2との相違点を中心に説明するものとする。本実施の形態3に係る空調装置1cは、実施の形態1及び実施の形態2と比べると、風路構成及び、顕熱交換器12cが設けられている点が異なっている。
具体的には、実施の形態1の給気バイパス風路3a(又は、第1給気風路14)及び実施の形態2の排気バイパス風路3b(又は、第2排気風路17)の両方の風路が設けられている。それに伴い、次に述べるようにデシカントローター92もその風路構成に沿ったものとなっている。
なお、デシカントローター92における給気風路2に面する領域92a、給気バイパス風路に面する領域92b、排気風路4に面する領域92c、排気バイパス風路3bに面する領域92dが占める面積比率は、実施の形態1で述べたように、各風路の風量比及びエンタルピーの交換効率から規定すればよい。
顕熱交換器12cは、給気バイパス風路3aにおける第2給気熱交換器7の上流と、排気バイパス風路における第2排気熱交換器20の上流と、の両方の風路にまたがるように設けられている。顕熱交換器12cの機能は、顕熱交換機12a及び顕熱交換器12cと同様である。
図14は、本発明の実施の形態3のデシカントローター92の概要構成図である。図14に示すように、デシカントローター92は、回転方向に対して、給気風路2に面する領域92a、給気バイパス風路3aに面する領域92b、排気風路4に面する領域92c、排気バイパス風路3bに面する領域92dが順になるように配置されている。したがって、デシカントローター92は、軸回転することで、給気風路2に面する領域92a、給気バイパス風路3aに面する領域92b、排気風路4に面する領域92c、排気バイパス風路3bに面する領域92dが連続的に移動して、各風路を流通する空気中の水分の吸着と脱着を行うことが可能となっている。
具体的には、空気AR3及び空気AR4に含まれる水分が、デシカントローター92で吸着され、デシカントローター92が回転移動することで、デシカントローター92に吸着されている水分は、空気AR1及び空気AR2に脱着される。
また、除湿運転をする場合、空気AR1及び空気AR2に含まれる水分が、デシカントローター92で吸着され、デシカントローター92が回転移動することで、デシカントローター92に吸着されている水分は空気AR3及び空気AR4に脱着される。なお、空調装置1cも、ヒートポンプ以外の熱源、例えばヒーターの排熱等又はペルチェ素子の冷熱等を用いてもよい。
本実施の形態3の空調装置1cは、加湿運転時において、第1給気熱交換器6及び第2給気熱交換器7の少なくとも一方を加温する。除湿運転時において、第1排気熱交換器8及び第2排気熱交換器20の少なくとも一方を加温する。
空調装置1cは、加湿運転時において、給気バイパス風路3aを設けていることによって、空気AR1に比べてより相対湿度の低い空気AR2が得られるので、デシカントローター92における水分移動量が増加し、加湿量を効率的に大きくすることが可能となっている。
また、除湿運転時において、排気バイパス風路3bを設けていることによって、空気AR3に比べてより相対湿度の低い空気AR4が得られるので、デシカントローター92における水分移動量が増加し、加湿量を効率的に大きくすることが可能となっている。つまり、空調装置1cは、加湿運転時と除湿運転時の両方とも、それぞれ加湿量及び除湿量を効率的に増加させることが可能となっている。
また、空調装置1cは、加湿運転時には、給気バイパス風路3aが設けられているので、第1給気熱交換器6及び第2給気熱交換器7の設定温度をさほど高くしなくても相対湿度の低いそれぞれ空気AR1及び空気AR2が得られる。また、除湿運転時には、第1排気熱交換器8及び第2排気熱交換器20の設定温度をさほど高くしなくても相対湿度の低いそれぞれ空気AR3及び空気AR4が得られる。したがって、除湿運転時及び加湿運転時において、ヒートポンプ又は他の熱源の運転効率が低下してしまうことが抑制され、装置全体としての運転効率を高くすることが可能となっている。
さらに、空調装置1cは、顕熱交換器12cが設けられているので、空気AR2及び空気AR4は、顕熱交換器12bによりそれぞれ顕熱交換されるので、それぞれ第2給気熱交換器7及び第2排気熱交換器20における熱交換量を減少させることができる。つまり、第2給気熱交換器7及び第2排気熱交換器20に供給する熱量を減少することが可能となり、ヒートポンプ又は他の熱源の運転効率が向上するので、装置全体としての運転効率が向上する。また、図13において、顕熱交換器12cを、温湿度を交換する全熱交換器としても、同様の効果を得ることができることは言うまでもない。