JP3711375B2 - チューブ容器の底部予備成形方法と装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、アルミラミネートチューブ容器を含む合成樹脂製チューブ容器の密封シールされる底部を、密封シール処理に先立って偏平に予備成形する底部の予備成形方法とこの方法を実施する装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
合成樹脂製チューブ容器は、逆立ちした姿勢で開放状態の底部から内容物を注入充填した後、この開放状態にある底部を偏平に押し潰して溶着シールして、その容器としての形態を完成させると共に、内容物の収納を達成するものとなっている。
【0003】
そのため、合成樹脂製チューブ容器は、逆立ちした姿勢のまま内容物の注入充填装置に搬送された後、引き続いてそのままシール装置へと搬送され、このシール装置で開放状態にある底部を偏平に押し潰して溶着シールすると云う成形工程を歴ることになる。
【0004】
このチューブ容器は、シール装置によって底部を溶着シールする際に、まず一対のクランプ治具によって偏平に押し潰されてから、このクランプ治具上に突出した出シロ部が溶着治具により溶着シールされるのであるが、偏平に押し潰された出シロ部は一定の厚さおよび形状を有するものであるために、シール装置の溶着治具の出シロ部に対する接触面には一定の寸法および形状の型面が形成されている。
【0005】
それゆえ、偏平に押し潰されて一対のクランプ治具上に突出した出シロ部は、この溶着治具の型面に正確に一致して位置する必要がある。
【0006】
この要求を満たす従来技術の代表例である特公平5−20290号公報に開示された技術は、チューブ容器の底部が、シール装置の一対のクランプ治具によって完全に偏平に押し潰される以前に、この底部内に、中心軸芯をシール装置の中心軸芯に一致させた平板状のクサビを侵入位置させて底部のシール装置に対する位置を芯出しした状態で規制しておき、クランプ治具による底部の完全な押し潰しの達成の直前に、クサビを底部内から離脱させるものである。
【0007】
この上記した従来技術は、チューブ容器の底部をシール装置に対して強制的に芯出しした状態とするので、多少のチューブ容器の変形とかホルダーに対するチューブ容器の組付き姿勢のずれ等に関わりなく、チューブ容器の底部をシール装置に対して正確に芯出しした状態で、簡単に偏平に押し潰すことができると云う利点を発揮する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来技術にあっては、一対のクランプ治具による底部の偏平押し潰しに先立って、この底部を偏平に押し拡げていたクサビを底部内から離脱させる必要があるため、クサビの離脱と一対のクランプ治具による押し潰し達成との間のわずかな時間、一対のクランプ治具により偏平に近く押し潰されている底部に対する機械的規制力が弱まることになり、この機械的規制力の弱まりにより、折角芯出ししたチューブ容器の底部の位置にわずかな位置ずれが発生する場合があると云う問題があった。
【0009】
また、チューブ容器の底部の芯出しを達成するクサビは、底部内への強引な押し込みにより底部を押し拡げるものであるため、柔らかいチューブ容器の場合には、クサビの底部内への押し込み時に、底部にへたり変形が発生することがあると云う問題があった。
【0010】
さらに、クサビは、チューブ容器の高さ方向に沿って変位動作するものであるので、このクサビを主要部分とする芯出し機能部分に、実際に溶着シールされる出シロ部(一対のクランプ治具上に突出した底部上端部)の高さ幅寸法を設定規制する機能部分を組合せることが難しく、それゆえ出シロ部の寸法設定は、チューブ容器の突き上げ量により設定するしかなく、このためチューブ容器の撓み変形とか成形寸法誤差等により出シロ部の高さ寸法が必ずしも正確に設定することができず、成形された溶着シール部の溶着強度にむらが発生する場合があると云う問題があった。
【0011】
そこで、本発明は、上記した従来技術における問題点を解消すべく創案されたもので、出シロ部の高さ寸法を正確に設定した状態で、シール装置の一対のクランプ治具による完全な押し潰しが達成されるまで、底部の芯出しした状態での押し広げを維持することを技術的課題とし、もって高い寸法精度で出シロ部を設定すると共に、きわめて正確に芯出しした状態で底部の予備成形を達成することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記技術課題を解決する本発明のうちの請求項1記載の発明の手段は、
合成樹脂製チューブ容器の底部を密閉シールするに先立って、チューブ容器の底部の上端部を偏平に押し潰す予備成形方法であること、
チューブ容器の底部を、シール装置の一対のクランプ治具間に突き上げ侵入させて、突き当たりによりクランプ治具上にシール部に成形される底部の出シロ部を突出させると共に、この出シロ部内に、出シロ部の高さ寸法範囲内で一対の芯出しピンを侵入位置させること、
次いで、この一対の芯出しピンを、一対のクランプ治具の押し潰し方向に直交する偏平方向に離反変位させることにより、出シロ部を含むチューブ容器の底部の上端部を偏平に押し広げると共に、チューブ容器の底部のシール装置に対する芯出しを達成すること、
この状態からクランプ治具でチューブ容器の底部を偏平に押し潰して保持した後に、芯出しピンを閉じ復帰させると共に底部の出シロ部内から上昇離脱させること、
にある。
【0013】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成のうち、一対の芯出しピンによるチューブ容器の底部の芯出しを、一対の芯出しピンを、クランプ治具間から突出した底部の出シロ部の偏平方向の内径幅よりも小さい間隔で、かつ両芯出しピン間の二等分点にシール装置の中心軸芯を位置させて配置し、底部の出シロ部の押し広げを、一対の芯出しピンの同期した等速離反動作により達成することを手段としている。
【0014】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明の構成のうち、底部を、一対のクランプ治具間に突き上げ侵入させる際に、一対のクランプ治具の間隔を底部の外径よりも小さくして、底部の平断面形状を略楕円状に押し潰すことを手段としている。
【0015】
また、上記技術課題を解決する本発明のうちの請求項4記載の発明の手段は、シール装置の一対のクランプ治具の直上に、このクランプ治具間に突き上げ侵入して突出したチューブ容器の底部の上端縁が突き当たる平坦な下面を位置させた突き当たり板を、この突き当たり板の下面とクランプ治具の上面との間隔が、成形する出シロ部の高さ幅と等しい値となる位置に配置した出シロ設定機能部を有すること、
クランプ治具間から突出した出シロ部の偏平方向の内径幅よりも小さい間隔で、かつ一対のクランプ治具の中心に位置するシール装置の中心軸芯を二等分点として偏平方向に沿って一対配置され、突き当たり板の下面から、底部の出シロ部の高さ幅よりも小さいが、この出シロ部の上端縁部に引っ掛かる高さで突出する芯出しピンを、偏平方向に沿って同期して等速離反移動させる芯出し機能部を有すること、
出シロ設定機能部と芯出し機能部とを、昇降変位可能に組付け保持する組付け機能部を有すること、
にある。
【0016】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明の構成のうち、出シロ設定機能部の突き当たり板を、組付け機能部に不動に固定された固定側突き当たり板と、芯出し機能部の芯出しピンを下面から突出した姿勢で取付け、この芯出しピンと一体に移動する移動側突き当たり板とから構成したことを手段としている。
【0017】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明のうち、出シロ設定機能部の移動側突き当たり板に対する芯出し機能部の芯出しピンの取付け箇所を、偏平方向に沿って複数個設けたことを手段としている。
【0018】
【作用】
請求項1記載の発明は、クランプ治具間に突き上げ侵入したチューブ容器の底部の上端縁の突き当たりにより出シロ部の高さ幅を設定するので、シール装置のシール部成形機能部の一構成部分であるクランプ治具の上面を基準として、直接出シロ部の高さ幅寸法を設定することになる。
【0019】
また、一対の芯出しピンによるチューブ容器の底部上端部の芯出ししながらの偏平な押し広げ動作は、一対の芯出しピンによる底部上端部に対する偏平方向への引っ張りにより達成されるので、この底部上端部押し広げ動作時に、チューブ容器に対して高さ方向の押圧力が作用することがなく、このため底部上端部は不正なへたり変形の発生の恐れが全くない状態で偏平に芯出しされることになる。
【0020】
一対のクランプ治具による底部の偏平押し潰し保持は、一対の芯出しピンにより底部上端部である出シロ部を芯出しすると共に偏平に押し広げた状態を維持したまま達成するので、一対の芯出しピンで設定された正確な芯出し一が正確に保持されることになる。
【0021】
この際、芯出しピンは、出シロ部の高さ幅寸法範囲内の侵入量で出シロ部内に侵入しているので、この芯出しピンが出シロ部を芯出しした状態で一対のクランプ治具により底部の偏平押し潰し保持動作が行われても、一対のクランプ治具と一対の芯出しピンとが機械的に干渉することはない。
【0022】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明における一対の芯出しピンの出シロ部内への侵入を、チューブ容器の底部の一対のクランプ治具間への突き上げ侵入動作による出シロ部設定と同時に確実に達成し、また一対の芯出しピンによる底部上端部の偏平押し広げと芯出しとを、一対の芯出しピンの同期した等速度離反動作と云う単純で簡単な動作で達成する。
【0023】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明における一対の芯出しピンの出シロ部内への侵入を、突き上げ侵入した底部上端部を一対のクランプ治具により略楕円状に押し潰すことによって偏平方向に沿った底部開口部幅を大きくし、これにより確実にかつ安定的に達成し、また一対の芯出しピンの偏平押し広げのための変位量を少なくすることを可能としている。
【0024】
請求項4記載の発明は、出シロ部の寸法設定を、出シロ設定機能部の突き当たり板下面に対するチューブ容器の底部上端縁の突き当たりと云う単純な操作で達成しているが、設定された出シロ部の寸法は、直接クランプ治具を基準としているので、安定してかく高い精度で設定されることになる。
【0025】
芯出し機能部の一対の芯出しピンは、クランプ治具間から突出した出シロ部の偏平方向の内径幅よりも小さい間隔で、突き当たり板下面から突出配置されているので、チューブ容器に許容範囲外の不正変形がない限り、チューブ容器の底部上端縁が突き当たり板下面に突き当たった出シロ部設定と同時に、この設定された出シロ部内に確実に侵入位置する。
【0026】
この出シロ部内に位置した一対の芯出しピンを、偏平方向に沿って同期して等速離反移動させると、一対の芯出しピンがシール装置の中心軸芯を二等分点として配置されていることから、離反移動する一対の芯出しピンの引っ掛かりにより強制的に偏平に押し広げられた出シロ部を含む底部上端部は、この芯出しピンによる偏平押し広げ達成と同時にその中心軸芯をシール装置の中心軸芯に一致させて、その芯出しが達成される。
【0027】
芯出しピンによる出シロ部の偏平押し広げと芯出しを達成した状態のまま、シール装置のクランプ治具によりチューブ容器底部を偏平に押し潰すことにより、底部の予備成形が完了するが、この際、芯出しピンの突出幅は出シロ部の高さ幅よりも小さいので、出シロ部内に侵入している芯出しピンとクランプ治具とが干渉することはない。
【0028】
クランプ治具による底部の予備成形が完了したならば、一対の芯出しピンを接近復帰させて出シロ部との引っ掛かりを無くした状態としてから、組付け機能部の作用により出シロ設定機能部と芯出し機能部とを出シロ部から上昇離脱させ、シール装置による出シロ部の溶着シール処理を可能な状態とする。
【0029】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明における出シロ設定機能部の突き当たり板を、固定側突き当たり板と移動側突き当たり板とに分割し、移動側突き当たり板に芯出し機能部の両芯出しピンを取付けたので、突き当たり板と芯出しピンとの位置関係、特に芯出しピンの突き当たり板下面からの突出量が常に一定値に維持されると共に、突き当たり板に押し付けられた状態で、芯出しピンにより押し広げ変位する出シロ部の偏平方向の両端部が、突き当たり板に対して擦れ変位することがないので、出シロ部の偏平押し広げ変形が好適に達成される。
【0030】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明における移動側突き当たり板に対する芯出しピンの取付け箇所を切り換え変更するだけで、芯出しピンの変位ストロークは同じでも、広がり幅寸法を増減変化させることができるので、径寸法の異なるチューブ容器にそのまま対応することができる。
【0031】
【実施例】
以下、本発明の一実施例を図面を参照しながら説明する。
図1および図2は、本発明による底部予備成形装置1の全体を示すもので、組付け機能部17は、不動に固定されて装置全体のベース体となるトップテーブル18と、このトップテーブル18の上面前端部に前後左右に位置調整可能に取付けられたベースブロック19と、このベースブロック19の前面に昇降変位可能に取付けられた昇降シリンダ20と、この昇降シリンダ20のピストンロッド先端に連結板21を介して昇降スランド変位可能に固定されたスライド板22と、スライド板22の前面に着脱ハンドル25により着脱自在に取付けられる出シロ設定機能部2と芯出し機能部5を取付けるための取付け板23とから構成されている。
【0032】
取付け板23に対する出シロ設定機能部2と芯出し機能部5の取付けのための構造は、取付け板23の前面下端から前方に延出した支持テーブル24と、取付け板23をそのまま下方に延長した形態の支持背板26と、支持テーブル24の前端縁から垂下設された一対の支持枠柱27とから構成されている。
【0033】
(以下、特に図3ないし図6参照)出シロ設定機能部2は、前後に分割され、支持背板26および支持枠柱27の下端に固定された一対の固定側突き当たり板3aと、左右に分割され、前後幅が小さくなった先端部分を両固定側突き当たり板3a間に位置させて芯出し機能部5のスライド駒7に固定された一対の移動側突き当たり板3bと、組付け機能部17のベースブロック19に設けられ、このベースブロック19に対する昇降シリンダ20の組付き高さ位置を調整することにより、突き当たり板3下面の高さ位置を調整設定する高さ位置調整ハンドル4(図2参照)とから構成されている。
【0034】
芯出し機能部5は、移動側突き当たり板3bの下面に突出固定された一対の芯出しピン6と、偏平方向である左右に水平に延びた姿勢で支持背板26と支持枠柱27との間に不動に固定されたガイドレール9と、このガイドレール9に吊下げ状にスライド自在に組付いた一対のスライド駒7と、この一対のスライド駒7をガイドレール9に沿って同期して等速移動させる移動機能部分とから構成されている。
【0035】
芯出し機能部5の移動機能部分は、支持テーブル24上に固定された開閉シリンダ13と、くの字状に屈曲した中央部を支点ピン12により支持背板26に回動自在に固定し、ガイドレール9を間にして前後に配置された一対の開閉リンク10とから構成され、両開閉リンク10は、上端部に設けた横長の長孔11に、開閉シリンダ13のピストンロッドの先端(図において下端)に固定されたピンブロック14に設けた伝達ピン15を摺動自在に係合させ、また下端部に設けた縦長の長孔11に、スライド駒7に固定された連結ピン8を摺動自在に係合させて構成されている。
【0036】
開閉シリンダ13が図3図示状態から作動して、そのピストンロッドを下降させると、両開閉リンク10は、その上端部を伝達ピン15で押下げられて、図3の2点鎖線図示に示すように、支点ピン12を支点として傾動して下端部を同時に等速で離反変位させるので、この両開閉リンク10の下端に連結ピン8を介して連結されたスライド駒7は、ガイドレール9に沿って同期して等速離反し、このためスライド駒7に固定された移動側突き当たり板3bと芯出しピン6との組合せ物は、同期して等速離反移動することになる。
【0037】
なお、16は、開閉シリンダ13のピストンロッドのストローク量調整、すなわち両開閉リンク10の開閉量を調整して設定する開閉量調整ナットで、この開閉量調整ナット16により、芯出しピン6による出シロ部T2の押し広げ量の微調整を行う。
【0038】
また、図6に示すように、移動側突き当たり板3bの下面には、偏平方向に沿って複数(図示実施例の場合、四つ)の取付け穴3cが設けられていて、チューブ容器の径寸法に適合した取付け穴3cを選択して芯出しピン6を取りつける。
【0039】
さらに、固定側突き当たり板3aおよび移動側突き当たり板3bの下面は、仮想される単一の水平面上に位置していることは云うまでもなく、同様に、底部予備成形装置1は、両芯出しピン6の2等分点が、シール装置のクランプ治具28が設定するシール装置の中心軸芯M上に位置するようにセットされる。
【0040】
本発明による底部T1の予備成形は、下降待機工程Aと、押し込み工程Bと、突き上げ工程Cと、押し広げ工程Dと、押し潰し工程Eと、閉じ復帰工程Fと、そして上昇離脱工程Gとの各工程を順に行うことにより達成される。
【0041】
組付け機能部17の昇降シリンダ20により出シロ設定機能部2の突き当たり板3を下降限に位置させた下降待機工程Aでは、図7ないし図9に示すように、突き当たり板3は、その下面を、設定された出シロ部T2の高さ幅と等しい距離でクランプ軸28上に位置させていると共に、両移動側突き当たり板3bは接近限に位置している。
【0042】
図示実施例の場合、図8から明らかなように、両芯出しピン6の間隔は、チューブ容器の底部T1の開口部の径と略等しい値となっている。
【0043】
図10ないし図12は、押し込み工程Bおよび突き上げ工程Cを示すもので、押し込み工程Bは、径寸法よりも小さい値の間隔に設定された一対のクランプ治具28間に、このクランプ治具28に取付けられたガイド板29でガイドされながら底部T1を押し上げて押し込むことにより、底部T1の開口端を、図11に示すように、偏平方向に細長な略楕円状に変形させ、このまま突き上げ工程Cにより、底部T1上端縁を突き当たり板3下面に突き当てて、出シロ部T2を設定すると同時にこの出シロ部T2内に一対の芯出しピン6を位置させる。
【0044】
すなわち、底部T1の開口端部をクランプ治具28を利用して偏平方向に細長となった略楕円状に変形させることにより、形成した出シロ部T2内への芯出しピン6の侵入の確実性を高めると共に、底部T1上端部(開口端部)に対するクランプ治具28の位置規制作用により、底部T1の突き上げ時における不正な変位の発生を抑えており、さらに底部T1の開口部を略楕円状に変形させることにより、曲率半径の小さい両側端部(偏平方向側の端部)の押し上げ力に対する機械的強度を高め、これにより突き上げ工程C時に、底部T1上端部に不良変形が発生するのを効果的に防止する。
【0045】
突き上げ工程Cにより出シロ部T2の設定が完了したならば、芯出し機能部5の開閉シリンダ13を作動させて、一対の芯出しピン6を同期して等速離反移動させることにより、図13ないし図15に示す、出シロ部T2の押し広げ工程Dを行い、出シロ部T2を芯出しした状態で偏平に押し広げる。
【0046】
押し広げ工程Dが完了したならば、両芯出しピン6による出シロ部T2の押し広げ動作をそのままにした状態で、図16ないし図18に示すように、一対のクランプ治具28による底部T1の押し潰し工程Eを行う。
【0047】
このシール装置のクランプ治具28による底部T1の押し潰し工程Eは、押し広げ工程Dにより芯出しされた状態で偏平に押し広げられた出シロ部T2すなわち底部T1をそのまま前後方向から押し潰すだけであるので、クランプ治具28に偏平に押し潰されて保持された出シロ部T2は、シール装置に対して芯出しされた状態となっている。
【0048】
押し潰し工程Eにより、出シロ部T2がシール装置側に保持されたならば、芯出し機能部5の開閉シリンダ13を逆作動させて、図19および図20に示すように、両芯出しピン6を相互に接近させる閉じ復帰工程Fを行い、芯出しピン6の出シロ部T2の偏平方向側の両端部に対する引っ掛かりを解除する。
【0049】
閉じ復帰工程Fにより芯出しピン6と出シロ部T2との引っ掛かりを解除したならば、組付け機能部17の昇降シリンダ20を逆作動させて、図21および図22に示すように、芯出しピン6および突き当たり板3を上昇変位させる上昇離脱工程Gを行い、芯出しピン6および突き当たり板3の出シロ部T2からの完全離脱を達成する。
【0050】
【発明の効果】
本発明は、上記した構成となっているので、以下に示す効果を奏する。
本発明のうち請求項1記載の発明は、チューブ容器底部開口端縁の機械的な突き当たり動作によりシール部に成形される出シロ部を設定するので、出シロ部の設定形成が簡単であると共に、出シロ部設定のための突き上げ動作は、芯出し動作の突き上げ動作をそのまま利用しているので、底部予備成形処理操作の大幅な単純化を達成できる。
【0051】
一対の芯出しピンによる出シロ部の偏平押し広げは、芯出しピンによる出シロ部両側端部の横方向への引っ張りにより達成されるので、出シロ部に、その高さ寸法を狂わす上下方向への力の加わる恐れが全くなく、もって出シロ部の高い寸法精度を維持した状態での偏平押し広げ処理を達成することができる。
【0052】
一対の芯出しピンは、出シロ部内に、この出シロ部の高さ寸法範囲内の突出高さで侵入するので、出シロ部内に位置した状態であっても、シール装置のクランプ治具と機械的に干渉することが全くなく、これにより両芯出しピンで正確に芯出しした状態のままクランプ治具で底部を押し潰し保持することができ、もって高い精度で芯出しをした状態で底部の偏平予備成形を達成できる。
【0053】
請求項2記載の発明は、底部の突き上げ動作だけで、一対の芯出しピンを出シロ部内に確実に侵入位置させることを可能とし、これにより処理の簡単化を達成し、また一対の芯出しピンの移動による出シロ部の芯出し動作を無理なくかつ正確そして速やかに達成できる。
【0054】
請求項3記載の発明は、底部の突き上げ処理時に、底部に対してクランプ治具が規制力を作用させるので、突き上げ変位する底部に、前後左右への不要な変位が発生すののを効果的に抑制し、これにより底部の突き当たり板および芯出しピンに対する好適で安定した突き上げ動作を得ることができると共に、一対の芯出しピンの間隔を大きく設定することが可能となるので、芯出しピンによる出シロ部の芯出しした偏平押し広げ動作をより速やかに達成することができる。
【0055】
請求項4記載の発明は、クランプ治具の直上に、このクランプ治具との距離を予め設定して設けた突き当たり板に対する底部上端縁の突き当たりにより出シロ部を設定するので、出シロ部をシール装置のクランプ治具を基準として直接的に設定することができ、もって出シロ部の正確な寸法設定が簡単に達成できる。
【0056】
出シロ部を芯出しした状態で偏平に押し広げる芯出し機構部を、一対の芯出しピンを同期して等速離反移動させる構成としたので、出シロ部の芯出し確認のために両芯出しピンの位置を確認する必要がなく、もって芯出しのために両芯出しピンを移動させる機能構成の構造を簡単なものとすることができる。
【0057】
出シロ設定機能部と芯出し機能部とを組付け機能部に昇降変位可能に組付けたので、出シロ設定機能部と芯出し機能部との組合せ位置関係を変化させることなくシール装置に対して両機能部を着脱を達成することができ、もって出シロ部からの離脱および待機状態への復帰が速やかにかつ安定的に達成できる。
【0058】
請求項5記載の発明は、出シロ設定機能部の移動側突き当たり板に芯出し機能部の芯出しピンを取付け固定したので、出シロ部に接触する突き当たり板と芯出しピンとの両方を、相互位置関係を変化させることなく一体変位させることができ、もって突き当たり板と芯出しピンとの組合せ構成の大幅な簡単化を達成できると共に、偏平押し広げ変形時における出シロ部の不正変位の発生を皆無とすることができる。
【0059】
請求項6記載の発明は、移動側突き当たり板に対する芯出しピンの取付け位置を変更するだけで、他の装置部分に手を加えることなくチューブ容器の径寸法変化に無理なくかつ適正に対応することができ、もってチューブ容器の径寸法変更に対して速やかにかつ簡単にそして的確に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による底部予備成形装置の一実施例を示す全体正面図。
【図2】図1に示した実施例の全体側面図。
【図3】図1に示した実施例における要部正面図。
【図4】図1に示した実施例における要部側面図。
【図5】図1に示した実施例における要部底面図。
【図6】図1に示した実施例における移動側突き当たり板の構成例を示す斜視図。
【図7】本発明の下降待機工程時を示す要部正面図。
【図8】同、下降待機工程時の要部の位置関係を示す平面図。
【図9】同、下降待機工程時を示す要部側面図。
【図10】本発明の押し込み工程および突き上げ工程時を示す要部正面図。
【図11】同、押し込み工程および突き上げ工程時の要部の位置関係を示す平面図。
【図12】同、押し込み工程および突き上げ工程時を示す要部側面図。
【図13】本発明の押し広げ工程時を示す要部正面図。
【図14】同、押し広げ工程時の要部拡大正面図。
【図15】同、押し広げ工程時の要部の位置関係を示す平面図。
【図16】本発明の押し潰し工程時を示す要部正面図。
【図17】同、押し潰し工程時の要部の位置関係を示す平面図。
【図18】同、押し潰し工程時を示す要部側面図。
【図19】本発明の閉じ復帰工程時を示す要部正面図。
【図20】同、閉じ復帰工程時の要部の位置関係を示す平面図。
【図21】本発明の上昇離脱工程時を示す要部正面図。
【図22】同、上昇離脱工程時の要部の位置関係を示す平面図。
【符号の説明】
1 ; 底部予備成形装置 2 ; 出シロ設定機能部
3 ; 突き当たり板 3a; 固定側突き当たり板
3b; 移動側突き当たり板 3c; 取付け穴
4 ; 高さ位置調整ハンドル 5 ; 芯出し機能部
6 ; 芯出しピン 7 ; スライド駒
8 ; 連結ピン 9 ; ガイドレール
10; 開閉リンク 11; 長孔
12; 支点ピン 13; 開閉シリンダ
14; ピンブロック 15; 伝達ピン
16; 開閉量調整ナット 17; 組付け機能部
18; トップテーブル 19; ベースブロック
20; 昇降シリンダ 21; 連結板
22; スライド板 23; 取付け板
24; 支持テーブル 25; 着脱ハンドル
26; 支持背板 27; 支持枠柱
28; クランプ治具 29; ガイド板
M ; 中心軸芯 T1; 底部
T2; 出シロ部
A ; 下降待機工程 B ; 押し込み工程
C ; 突き上げ工程 D ; 押し広げ工程
E ; 押し潰し工程 F ; 閉じ復帰工程
G ; 上昇離脱工程
Claims (6)
- 合成樹脂製チューブ容器の底部(T1)を密閉シールするに先立って、前記底部(T1)の上端部を偏平に押し潰す予備成形方法であって、前記底部(T1)を、シール装置の一対のクランプ治具(28)間に突き上げ侵入させて、突き当たりにより前記クランプ治具(18)上にシール部に成形される出シロ部(T2)を突出させると共に、該出シロ部(T2)内に、該出シロ部(T2)の高さ寸法範囲内で一対の芯出しピン(6) を侵入位置させ、次いで、該一対の芯出しピン(6) を、前記一対のクランプ治具(28)の押し潰し方向に直交する偏平方向に離反変位させることにより、前記出シロ部(T2)を含む底部(T1)の上端部を偏平に押し広げると共に、前記底部(T1)のシール装置に対する芯出しを達成し、この状態から前記クランプ治具(28)で前記底部(T1)を偏平に押し潰して保持した後、前記芯出しピン(6) を閉じ復帰させると共に前記出シロ部(T2)内から上昇離脱させるチューブ容器の底部予備成形方法。
- 一対の芯出しピン(6) を、クランプ治具(28)間から突出した出シロ部(T2)の偏平方向の内径幅よりも小さい間隔で、かつ両芯出しピン(6) 間の二等分点にシール装置の中心軸芯(M) を位置させて配置し、前記出シロ部(T2)の押し広げを、前記芯出しピン(6) の同期した等速離反動作により達成する請求項1記載のチューブ容器の底部予備成形方法。
- 底部(T1)を、一対のクランプ治具(28)間に突き上げ侵入させる際に、前記一対のクランプ治具(28)の間隔を前記底部(T1)の外径よりも小さくして、前記底部(T1)の平断面形状を略楕円状に押し潰す請求項1または2記載のチューブ容器の底部予備成形方法。
- シール装置の一対のクランプ治具(28)の直上に、該クランプ治具(28)間に突き上げ侵入して突出したチューブ容器の底部(T1)の上端縁が突き当たる平坦な下面を位置させた突き当たり板(3) を、該突き当たり板(3) の下面と前記クランプ治具(28)の上面との間隔が、成形する出シロ部(T2)の高さ幅と等しい値となる位置に配置した出シロ設定機能部(2) と、前記クランプ治具(28)間から突出した出シロ部(T2)の偏平方向の内径幅よりも小さい間隔で、かつ前記一対のクランプ治具(28)の中心に位置するシール装置の中心軸芯(M) を二等分点として偏平方向に沿って一対配置され、前記突き当たり板(3) の下面から、前記出シロ部(T2)の高さ幅よりも小さいが、該出シロ部(T2)の上端縁部に引っ掛かる高さで突出する芯出しピン(7) を、前記偏平方向に沿って同期して等速離反移動させる芯出し機能部(5) と、前記出シロ設定機能部(2) と芯出し機能部(5) とを、昇降変位可能に組付け保持する組付け機能部(17)と、から成るチューブ容器の底部予備成形装置。
- 出シロ設定機能部(2) の突き当たり板(3) を、組付け機能部(17)に不動に固定された固定側突き当たり板(3a)と、芯出し機能部(5) の芯出しピン(6) を下面から突出した姿勢で取付け、該芯出しピン(6) と一体に移動する移動側突き当たり板(3b)とから構成した請求項4記載のチューブ容器の底部予備成形装置。
- 出シロ設定機能部(2) の移動側突き当たり板(3b)に対する芯出し機能部(5) の芯出しピン(6) の取付け箇所を、偏平方向に沿って複数個設けた請求項5記載のチューブ容器の底部予備成形装置。
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JP20009196A JP3711375B2 (ja) | 1996-07-30 | 1996-07-30 | チューブ容器の底部予備成形方法と装置 |
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-
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- 1996-07-30 JP JP20009196A patent/JP3711375B2/ja not_active Expired - Lifetime
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