JP3711074B2 - アルコール含有食品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルコール含有食品に関し、詳しくはアルコール含有食品の品質改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
我が国においては、醸造アルコール(以下エタノールと称する)は酒類の他、食酢、醤油、みりん等の調味料、その他の食品原料として多量に使用されている。エタノールは、無色透明の特有の臭いと味を持つ可燃性液体で、水や各種有機溶剤との相溶性に富み、また、多くの物質に対する溶解性を持っている。一方、食品用溶剤の他、殺菌作用、静菌作用が強いので、食品用の殺菌剤、保存料として使われている。エタノールは、殺菌剤として60〜90%と高濃度が必要であるが、2〜3%の低濃度で微生物に対する静菌効果を持っているので、食品の保蔵用に汎用されている。しかし、エタノールは揮発性が強く、また、食品添加物の保存料と同等の効果を出すためには数%の含有が必要であり、食品本来の風味を損ないやすい。そこで、比較的保存期間の短い食品の日持向上の目的で使われる。エタノールは、酸類や他の日持向上剤と併用すると静菌性に相乗効果が期待できるので、これらを組み合わせた製剤として、みそ、醤油、めん類、菓子類、畜肉加工品、水産加工品、漬け物など、あらゆる加工食品の日持向上剤として最も広く使用されている。特に、近年我が国においては、食品添加物の使用を避ける傾向にあり、日持向上におけるエタノールの使用は増加しているのが現状である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、エタノールを含む食品が増えている状況で、食品中のエタノール特有の味、臭いが強く、子供は勿論、大人でも嫌う傾向にあり、エタノールを上手に使用できる飲料又は食品が求められている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、本発明者等は、各方面からの鋭意検討の結果、アミノ酸類の中でこれまで検討されていないベタインをアルコール含有食品に含有した新しい食品を提供する。この食品は、酒精飲料又はアルコール系食品やその食品素材の食味や刺激臭等を改善することを見いだし、本発明を完成させた。すなわち、本発明の要旨とするものは、アルコール含有食品及びその原料にベタインを含有させることを特徴とする食味改善に関するものであり、ベタインをアルコールに対して1〜10%Wt/Volを添加、混合することを特徴とし、ベタインを含有して刺激臭等食味改善されたアルコール含有食品及びその製造方法に関するものである。
【0005】
ベタインは、別名トリメチルグリシンといい、ビート(甜菜)中に比較的多く(0.07〜0.30%)存在し、19世紀中頃ビート糖の廃糖蜜から初めて単離されている。ビート以外の植物及び動物にも広く見いだされ、動物ではエビ、カニ、イカ、貝類などの水産物に多く含まれており、植物では麦芽、キノコ類、植物の葉、タケノコ、種子などに認められ、小麦のフスマには約0.35%も含有されている。このため、我々のベタインの食経験は古くより豊富といえる。また、化学的にはアミノ基を持たないアミノ酸類で、物理化学的に安定で、溶解度は水に対して61.0g/100g(25℃)、エタノールに対して8.7g/100gと高い。ベタインは、長年、飼料添加物及び発酵助剤として量的に使用されており、近年では香粧品への用途が広がっている。また、我が国においては、ベタインは天然アミノ酸類(調味料)として認められているが、調味料としての呈味性は、一般のアミノ酸と比べ乏しいといえる。しかし、ベタインの物理化学的性質(褐変防止、保湿性、吸湿性、水分活性低下など)を利用した食品素材として、水産加工品を中心として使用されている。本発明に使用されるベタインは、ビート由来に限定されるものでなく、多くの植物や動物から抽出されたもの、又は生合成物から抽出したものも該当する。
【0006】
本発明のアルコール含有食品は、酒精飲料〔日本食品添加物協会発行「2001年度版・食品添加物マニュアル」の169頁、別表(2)に表示されるものであり、焼酎、ウイスキーなどのアルコール飲料(酒精分1容量%以上を含有する飲料)をいう〕、又は、アルコール系食品素材(みそ、醤油などの調味料)、めん類、菓子類、畜肉加工品、水産加工品、漬け物、惣菜などのエタノール含量0.5容量%以上(前述酒精飲料を除く)である全ての加工食品が含まれる。本発明により、それらアルコール含有食品の持つ特有のエタノールの刺激感は低減され、食品本来が持つ味質に改良することが可能となった。
【0007】
本発明は、アルコール含有食品に上記ベタインを添加、混合することを特徴とする。かかる添加方法は、アルコール含有食品の製造前、製造中及び製造後のいつでも、また、どのような方法でも可能で、最終製品にベタインが含まれていれば良い。なお、最終製品にベタインが、製品中のエタノール量に対して1〜10%Wt/Vol共存することが必要である。ベタインの添加量が1%未満の場合には、本発明の所期の効果であるエタノール由来の刺激感の低減を充分に行うことが出来ず、逆に10%を超えるとベタイン特有の呈味性(甘みと苦み)が味質に悪影響を与えるので、共に好ましくない。また、ベタインを単独添加しても、エタノール由来の刺激感低減の効果を充分に発揮するが、これとは別に、当該ベタインの作用機序とは異なる食味改善効果を有する添加物、例えば食品添加用アミノ酸、糖類等を併用添加することにより、その効果を更に改良することが可能である。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下実施例で本発明を詳細に説明する。
【0009】
【実施例1】
ベタイン添加量の相違による焼酎の官能評価
焼酎甲類(宝酒造株式会社製、エタノール含量25%)にベタイン(日本甜菜製糖株式会社製)を0、0.125、0.25、0.625、1.25、1.875、2.5、3.125、3.75%(対エタノール0、0.5、1、2.5、5、7.5、10、12.5、15%)を加えて溶解させた。常温で2日間保存後、エタノール刺激、エタノール臭、食味の官能評価を行った。これらの結果を表1に示す。なお、官能評価は7名の専門パネルにより行い下記の基準で評価した。
エタノール刺激
◎;殆ど刺激がない
○;あまり刺激がない
△;やや刺激がある
×;非常に刺激がある
エタノール臭
◎;殆ど臭いがしない
○;あまり臭いがしない
△;やや臭いがする
×;非常に臭いがする
食味
◎;非常に美味しい
○;美味しい
△;やや不味い
×;不味い
【0010】
【表1】
【0011】
ベタイン添加では、無添加に比べ、0.25%添加以上で、味におけるエタノール刺激が緩和され、エタノール臭も低減される傾向であった。しかし、食味においては、ベタイン3.125%及び3.75%添加では、ベタイン由来の苦みと甘みが強く、やや不味い、不味いとの評価であった。
【0012】
【実施例2】
奈良漬へのベタイン添加効果
奈良漬(市販品、エタノール含量11.2%)にベタインを1%添加混合し、常法により充填包装し、一ヶ月間冷蔵保存後、実施例1と同じ官能評価を実施した。これらの結果を表2に示す。なお、官能評価は6名の専門パネルにより行った。
エタノール刺激
◎;殆ど刺激がない
○;あまり刺激がない
△;やや刺激がある
×;非常に刺激がある
エタノール臭
◎;殆ど臭いがしない
○;あまり臭いがしない
△;やや臭いがする
×;非常に臭いがする
食味
◎;非常に美味しい
○;美味しい
△;やや不味い
×;不味い
【0013】
【表2】
【0014】
ベタイン添加の奈良漬は、無添加の奈良漬に対して、エタノール由来の刺激感が明らかに緩和され、また、エタノール臭も低減された。
【0015】
【発明の効果】
アルコール含有食品及びその原料にベタインを混合、含有することにより、エタノール特有の刺激感を和らげることができ、また、エタノール臭が低減できるため、食品本来の風味を引き出すことができる。また、このことによりアルコール含有食品の需要が拡大する。
Claims (3)
- ベタインをアルコールに対して1〜10%Wt/Vol含有せしめることを特徴とするアルコール含有食品。
- 該食品が酒精飲料又はアルコール系含有素材であることを特徴とする請求項1に記載のアルコール含有食品。
- アルコール含有食品又はその原料に、ベタインをアルコールに対して1〜10%Wt/Vol添加、混合せしめることを特徴とするアルコール含有食品の製造方法。
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