JP3710993B2 - 耐水性を有する発泡型防火性組成物 - Google Patents

耐水性を有する発泡型防火性組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP3710993B2
JP3710993B2 JP2000162690A JP2000162690A JP3710993B2 JP 3710993 B2 JP3710993 B2 JP 3710993B2 JP 2000162690 A JP2000162690 A JP 2000162690A JP 2000162690 A JP2000162690 A JP 2000162690A JP 3710993 B2 JP3710993 B2 JP 3710993B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
weight
foam
parts
compound
composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2000162690A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2001342355A (ja
Inventor
長生 堀
晃一郎 高橋
智美 府藤
竜司 福田
亨 中島
泰三 青山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Obayashi Corp
Kaneka Corp
Original Assignee
Obayashi Corp
Kaneka Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Obayashi Corp, Kaneka Corp filed Critical Obayashi Corp
Priority to JP2000162690A priority Critical patent/JP3710993B2/ja
Publication of JP2001342355A publication Critical patent/JP2001342355A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3710993B2 publication Critical patent/JP3710993B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐水性を有する発泡型防火性組成物に関し、詳しくは、一般建造物の梁、天井や壁や扉などの開口部周辺に張り付けて使用し、火炎にさらされた際に、発泡炭化層を形成して、木材等の可燃物を防火したり、煙、炎、燃焼により発生するガス等の外部への流出を防いだりする効果を有し、さらに耐水性を有する発泡型防火性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、建造物の防火性能を高める目的で、建造物の梁等を耐火性材料で被覆しており、現在の耐火被覆は半湿式の耐火材(ロックウール等)を吹き付けるのが主流である。しかし、この方法は作業時に材料が発散し易く、その防止のために養生が必要であり、作業の安全面において、高所作業などの課題が残されていた。また、これらの課題を解決する手段としてセラミック等の無機化合物と不織布等による耐火・防火シートも各種提案されている。しかし、扉等の開口部周辺の運動性を有する部位には、これら耐火・防火シートは伸縮性が乏しく変位追従性が著しく劣るため、使用に適していなかった。
【0003】
一方、建築物に用いられるシーリング材の難燃化として、特開平3−31379号公報や特開平9−53075号公報では、シーリング材中にポリリン酸アンモニウム、多価アルコール類、アミノ基含有化合物等を配合する発泡型防火性シーラント組成物が提案されている。これら発泡型防火性シーラント組成物は火炎にさらされた際に、不燃性の発泡炭化層を形成することにより、木材等の可燃物を防火し、あるいは、煙、炎、燃焼により発生するガス等の外部への流出を防ぐことができる。更に、特開平10−18433号公報では、この発泡型防火性シーラント組成物を用いた耐火被覆シートを提案している。しかし、これらシーラント組成物によるシートは、ゴムとしての強度が低く、また液状の組成物を型に流し込み硬化させて得ているため、成形に時間を要し、大面積のシート成形には適していない等の課題があった。また、シーラント組成物はシート状に成形した場合、耐水性に課題があった。さらにこれらの文献には、熱可塑性樹脂、なかでもブロック共重合体に関する記載はない。
【0004】
特開平9−227716には、熱可塑性樹脂と、リン化合物で中和処理された膨張性黒鉛無機充填剤よりなる熱膨張性を有する耐火性樹脂組成物が提案されている。このような樹脂組成物はシート状に成形でき、簡便に耐火被覆できるが、ポリリン酸アンモニウムは徐々に吸湿しまたは水に溶解するため、水や湿気によってその防火性が著しく損なわれ、耐火性及び/又は耐候性の面でも問題があった。
【0005】
耐水性を改善する目的で、特許平7−109377号公報では、熱可塑性樹脂に無水リン酸又はリン酸塩及び必要に応じて炭素系材料及び不燃性ガス発生材料を配合した発泡性耐火被覆用熱可塑性樹脂組成物が提案されている。ここで開示されている組成物では耐水性のレベルが不充分であり、建築材料としての要望に答えられるものではなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上述の従来技術の課題に鑑み、
(1)成形加工(特にシートへの成形加工)が容易であり、
(2)成形体(特にシート)とした場合の物性(強度や柔軟性など)が優れ、
(3)その成形体が、加熱により膨張、発泡した炭化層を形成することにより、可燃物を防火したり、煙、炎、燃焼により発生するガス等の外部への流出を防いだりする効果を有し、
(4)成形体が水分や湿気を吸収してもその外観に変化がなく、そして
(5)成形体が水分や湿気を吸収した後に発泡した場合でも、吸収していないものと比べて、発泡倍率が低下することはなく、かつ、発泡炭化層の形状も異なることのない
発泡型防火組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、熱可塑性樹脂、好ましくはブロック共重合体にポリリン酸塩化合物と可塑剤を配合することにより、柔軟性、発泡性、強度及び加工性に優れ、かつ耐水性を有する発泡型防火性組成物を得るに至った。
すなわち本発明は、(A)熱可塑性樹脂、(B)ポリリン酸塩化合物、ならびに(C)可塑剤を含有する発泡型防火性組成物に関する。
また本発明の発泡型防火性組成物は、さらに(D)多官能アルコールおよび(E)アミノ基含有化合物の少なくとも一種を含有することができる。
さらに本発明は、上記発泡型防火性組成物から成形される成形体、あるいは、上記発泡型防火性組成物からシート状に成形される耐火シートにも関する。
以下に本発明を詳述する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の(A)成分としては、熱可塑性樹脂を使用する。熱可塑性樹脂の例としては、ポリプロピレン及びポリエチレン等のポリオレフィン類、ポリスチレン、ABS、MBS、アクリル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、ポリブタジエン、スチレン−イソプレン−スチレン等のブロック共重合体等よりなる群から選択されるものが使用される。これら熱可塑性樹脂は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0009】
上記熱可塑性樹脂のうち、ブロック共重合体が好ましく、加工性、シートの柔軟性の点で、芳香族ビニル系化合物よりなるブロック及びオレフィン系化合物よりなるブロックからなるものがさらに好ましい。このようなブロック共重合体を用いると、成形体(特にシート)が柔軟で容易に変形でき、複雑な形状の被覆も容易である。芳香族ビニル系化合物よりなるブロックは、芳香族ビニル系化合物が50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上を占めるブロックのことをいう。オレフィン系化合物よりなるブロックは、オレフィン系化合物が50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上を占めるブロックのことをいう。
【0010】
芳香族ビニル系化合物としては特に限定されず、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、メトキシスチレン、インデン等が挙げられる。2種以上を用いてもよい。上記化合物の中でも、コストと物性及び生産性のバランスから、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、インデンが好ましく、その中から2種以上選んでもよい。
【0011】
上記オレフィン系化合物としては特に限定されず、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブチレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン等の炭素数1〜6のオレフィン系化合物が挙げられ、その中から2種以上選んでもよい。更に上記化合物から得られるオレフィン系化合物よりなるブロックの具体例としては、ポリブタジエンブロック、ポリイソプレンブロック、及びそれらの水添物であるポリエチレン・ブチレンブロック、ポリエチレン・プロピレンブロック、並びに、ポリイソブチレンブロックが挙げられ、加熱時の発泡特性、防湿性の点で、特にポリイソブチレンブロックが好ましい。ポリイソブチレンブロックとは、イソブチレンを主体としてなるブロック、すなわち、イソブチレンが50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上を占めるブロックのことをいう。
【0012】
芳香族ビニル系化合物よりなるブロックと、オレフィン系化合物よりなるブロックとから形成されるブロック共重合体は、いずれの構造を有するものも使用可能であるが、物性のバランスと合成の簡便さから、(芳香族ビニル系化合物よりなるブロック−オレフィン系化合物よりなるブロック−芳香族ビニル系化合物よりなるブロック)の構造を有するトリブロック体、(オレフィン系化合物よりなるブロック−芳香族ビニル系化合物よりなるブロック)の構造を有するジブロック体、またはこれらの混合物が好ましい。
【0013】
芳香族ビニル系化合物よりなるブロックと、オレフィン系化合物よりなるブロックとから形成されるブロック共重合体中のオレフィン系化合物と芳香族ビニル系化合物との割合に特に制限はないが、物性のバランスから、オレフィン系化合物95〜20重量部と芳香族ビニル系化合物5〜80重量部が好ましく、さらにオレフィン系化合物90〜60重量部と芳香族ビニル系化合物10〜40重量部がより好ましい。
【0014】
芳香族ビニル系化合物よりなるブロックと、オレフィン系化合物よりなるブロックとから形成されるブロック共重合体の数平均分子量にも特に制限はないが、30000から500000が好ましく、50000から400000が特に好ましい。数平均分子量が30000未満の場合、機械的な特性等が十分に発現されず、また、500000を超える場合、成形性等の低下が大きい。
【0015】
本発明の(B)成分としてはポリリン酸塩化合物を使用する。このポリリン酸塩化合物は、加熱環境下において、有機物の脱水触媒として作用するほか、自らも不燃性の無機質リン酸被膜を形成する働きを持つものである。ポリリン酸塩化合物としては、ポリリン酸の塩またはその誘導体であれば、特に制限はない。
ポリリン酸の塩としては、ポリリン酸とアンモニアまたは有機塩基との塩が好ましく、ポリリン酸とアンモニアまたはアミンとの塩が更に好ましく、特にポリリン酸アンモニウムが好ましい。また、前記塩を形成するアミンとしては、例えば、メチルアミン、エチルアミン等が挙げられる。
ポリリン酸の塩の誘導体としては、ポリリン酸アミド、ポリリン酸の有機アミン変性体等が例示でき、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸メラミンアミド、メラミン変性ポリリン酸アンモニウムが好ましい。
(B)成分としては、ポリリン酸アンモニウム及び/又はメラミン変性ポリリン酸アンモニウムを用いるのが特に好ましい。
【0016】
ポリリン酸とアンモニアまたはアミンとの塩は加熱により分解温度に達すると、脱アンモニア等の脱アミンにより縮合リン酸を生じる。この酸が有機物の脱水触媒として作用し、有機物を炭化させる結果、防火炭化層の形成につながる。また、この際発生するアンモニアガス等は、発泡剤として作用し、組成物全体を膨張させることになる。
本発明に使用するポリリン酸とアンモニアまたはアミンとの塩は、リン含有量15重量%、窒素含有量14重量%、分解温度200℃以上のものが好ましく、また取り扱いやすさの点から、吸湿性の低いものが適している。このようなポリリン酸とアンモニアまたはアミンとの塩としては、特に限定はないが、例えば、ポリリン酸アンモニウムからなる住友化学工業株式会社製の不溶化高分子リン化合物(商品名「スミセーフPM」)、チッソ株式会社製の被覆ポリリン酸アンモニウム(商品名「テラージュC60」等が挙げられる。
【0017】
この成分(B)の配合量は、特に限定されるわけではないが、成分(A)100重量部に対して10〜200重量部配合するのが好ましい。成分(B)の配合量が10重量部未満であると、組成物全体を効果的に炭化、発泡させることが期待できなくなり、逆に、成分(B)の配合量が200重量部を超えると、配合物の粘度が高くなり成形性が低下するとともに、耐水性が低下する傾向がある。
【0018】
本発明の(C)成分としては、可塑剤を使用する。この成分(C)は、柔軟性等のゴム特性や成形流動性を向上する目的で、また、成形体の耐水性を向上する目的で、上記発泡型防火組成物に配合する。
可塑剤としては特に限定されず、一般的なものを用いることができるが、成分(A)と相溶性が良いものが好ましい。相溶性の良い可塑剤の具体例としては、例えば、ポリブテン、水添ポリブテン、液状ポリブタジエン、水添液状ポリブタジエン、ポリαオレフィン類、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル、α−メチルスチレンオリゴマー、アタクチックポリプロピレン等が挙げられるが、その中でも好ましくは、ポリブテン、不飽和結合を含まない水添ポリブテン、水添液状ポリブタジエン、ポリαオレフィン、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル、アタクチックポリプロピレン等の炭化水素系重合体が好ましい。上記炭化水素系重合体の数平均分子量としては、300〜10000であることが好ましく、400〜3000であることがより好ましい。重合体の数平均分子量が300以下であると流動性が高いため、発泡体の形状保持性が悪い。また、10000以上であると成分(A)との相溶性が悪くなる。
【0019】
炭化水素系重合体からなる可塑剤のうち特に好ましいのは、耐水性と発泡特性のバランスから、ポリブテンとポリαオレフィンである。
可塑剤(C)は、成分(A)と成分(B)の合計100重量部に対して可塑剤1〜400重量部であることが好ましい。可塑剤の配合量が1重量部未満であると耐水性が悪く、400重量部をこえると成形性が困難になる。
本願の発泡型防火性組成物は、上記成分(A)、(B)及び(C)を含有するものであり、加熱により膨張、発泡し炭化層を形成しうるが、公知の成分、例えば、加熱により炭化層を形成しうる成分、発泡剤、発泡助剤をさらに加えてもよい。このような公知成分としては下記(D)成分と(E)成分が好ましい。
【0020】
また、本発明では上記(A)及び(B)及び(C)成分以外に、(D)成分として多官能アルコールを使用してもよい。多官能アルコールは、加熱により膨張し、さらに脱水触媒であるポリリン酸塩化合物(B)の存在下、炭化により発泡炭化膜を形成するものである。加熱により炭化する分解温度が200℃以上、好ましくは300℃以上のものが使用できる。このような多官能アルコールとしては、モノ−、ジ−またはトリ−ペンタエリスリトール等の多価アルコールや、でんぷんやセルロース等の多糖類、グルコース、フルクトース等の少糖類等が例示されるが、これに限定されるものではない。また、これらは単独で使用するほか、2種以上併用してもよい。
【0021】
この成分(D)の配合量は、特に限定されるわけではないが、成分(A)と成分(C)の合計100重量部に対して5〜200重量部であることが好ましい。成分(D)の配合量が5重量部未満であると膨張が不十分となり、逆に成分(D)の配合量が200重量部を超えると発泡炭化膜の形成が不十分となる。
【0022】
さらに、本発明では上記(A)、(B)、(C)及び(D)成分以外に(E)成分としてアミノ基含有化合物を使用してもよい。アミノ基含有化合物は、膨張剤として作用し、加熱による分解に伴い、窒素やアンモニア等の不燃性ガスを発生し、組成物全体を適度の大きさに膨張させる効果がある。
具体的にはジシアンジアミド、メラミン、グアナミン、グアニジン、尿素、アゾジカルボンアミンやメラミン樹脂、グアナミン樹脂、尿素樹脂等のアミノ樹脂等が例示されるが、これに限定されるものではない。また、これらは単独で使用するほか、2種以上併用してもよい。
【0023】
この成分(E)の配合量は、特に限定されるわけではないが、成分(A)と成分(C)の合計100重量部に対して3〜100重量部であることが好ましい。成分(E)の配合量が3重量部未満であると膨張が不十分となり、逆に、成分(E)の配合量が100重量部を超えると、形成される発泡炭化膜の強度が不十分となる傾向がある。
【0024】
本発明においては(A)、(B)、(C)成分に対し(D)、(E)の少なくとも一種の成分が添加されることが好ましいが、(D)、(E)2成分が併用して添加されることが最も好ましい。
(A)、(B)、(C)、(D)、(E)成分の好ましい配合量は上記の通りであるが最も好ましい配合量は、成分(A)100重量部に対し、成分(B)30〜100重量部、成分(C)5〜200重量部、成分(D)10〜100重量部、成分(E)5〜50重量部である。
【0025】
また、本発明の組成物には各用途に合わせた要求特性に応じて、上記成分以外に、必要に応じて補強剤、充填剤のほか、ヒンダードフェノール系やヒンダードアミン系の酸化防止剤や紫外線吸収剤、光安定剤、顔料、界面活性剤、粘着付与剤等を適宜配合することができる。
【0026】
本発明の発泡型防火性組成物の調製法には特に制限はなく、例えば、上記各成分を配合し、ミキサーやロール、ニーダーや押出機等を用いて常温または加熱下において混練したり、適量の溶剤に成分を溶解させた後混合するなど、通常の方法を採用することができる。得られた発泡型防火性組成物は、射出成形、押出成形、カレンダー成形など、通常、熱可塑性樹脂で用いられる成型法により成形することができる。
【0027】
また、本発明の発泡型防火性組成物からなる成形体の用途は特に制限はないが、例えばシート状に成形し、天井、壁、柱、梁、扉等に張り付けまたは積層し、火炎にさらされた際に断熱性の発泡炭化層を形成して、煙、炎、燃焼により発生するガス等の外部への流出を防ぐために使用することが出来る。また、特に天井裏に耐火性天井材と張り付け、または積層することにより、火災時に天井材が火炎にさらされた際に断熱性の発泡炭化層を形成して、火災による熱が梁に伝わるのを防止し、梁の熱による強度低下を抑制することに使用することができる。この様な使用により、梁への耐火被覆をなくすことができ、施工性、作業性を著しく改善することができる。この他、発泡シート、発泡ガスケット、成形体としても利用できる。具体的には、防火扉の上下左右の隙間部にシート貼りやガスケット固定等によりセットすることにより、火災時の炎や煙の貫通を防止できるといった使用方法がある。また、この組成物成形体を上記目的で使用する場合の耐火確認対象物への固定方法としては、汎用の方法が用いられ、特に制限はないが釘やビス等の物理的方法で固定しても良いし、接着剤、粘着剤等化学的方法を用いてもよい。また成形体にあらかじめ粘着性を持たせたり、接着及び/または粘着剤層を積層しておいてもよい。
【0028】
【実施例】
以下に、実施例に基づき本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら制限を受けるものではない。
尚、実施例に先立ち各種測定法、評価法について説明する。
(発泡特性試験)10×10×2mmの成形品を坩堝に入れ、ガスバーナーにより坩堝下面の3分後の到達温度が約600℃となるような炎で加熱し、発泡倍率を加熱発泡後の炭化したシートの厚み/加熱発泡前の厚みの比として求めた。
【0029】
(耐水性試験)10×10×2mmのシートを、50℃の温水に2週間浸漬した。そのシートを上記発泡特性試験と同様な方法で加熱し、その発泡状態を観察した。倍率保持性を浸漬後の発泡倍率/浸漬前の発泡倍率×100(%)とした。外観は、温水浸漬後の未発泡シートの表面にクラックや割れ、変色のないものを○良好とし、クラックや割れ、変色したものを×不良とした。発泡層の形状保持性は、発泡炭化層の形状を観察し、その形状保持性を目視にて評価した。すなわち、発泡炭化層が崩れることなく、形状を保っているものを○、形状を保たず崩れるものを×とした。
【0030】
(製造例)
2Lのセパラブルフラスコの重合容器内を窒素置換した後、注射器を用いて、n−ヘキサン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)480mL及び塩化ブチル(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)690mL、p− ジクミルクロライド)0.647g(2.8mmol)を加えた。重合容器を−70℃のドライアイス/メタノールバス中につけて冷却した後、ジメチルアセトアミド1.22g(14.0mmol)を加えた。次にイソブチレンモノマー232mL(2872mmol)が入っている三方コック付耐圧ガラス製液化採取管にテフロン製の送液チューブを接続し、重合容器内にイソブチレンモノマーを窒素圧により送液した。さらに四塩化チタン8.7mL(79.1mmol)を加えて重合を開始した。重合開始から1時間同じ温度で撹拌を行った後、重合溶液からサンプリング用として重合溶液約1mLを抜き取った。続いて、あらかじめ−70℃に冷却しておいたスチレンモノマー77.9g(748mmol)、n−ヘキサン14mLおよび塩化ブチル20mLの混合溶液を重合容器内に添加した。該混合溶液を添加してから10分後に、約200mLのメタノールを加えて反応を終了させた。
【0031】
反応溶液から溶剤等を留去した後、トルエンに溶解し2回水洗を行った。さらにトルエン溶液を多量のメタノールに加えて重合体を沈殿させ、得られた重合体を60℃で24時間真空乾燥することにより目的のブロック共重合体を得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により得られた重合体の分子量を測定した。スチレン添加前のイソブチレン重合体のMwが65,000、Mw/Mnは1.2であり、スチレン重合後のブロック共重合体のMwが95,000、Mw/Mnが1.6であるブロック共重合体が得られた。
【0032】
(実施例1)
製造例で得られたスチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体100重量部、ポリリン酸アンモニウム(住友化学(株)社製スミセーフPM)33.3重量部、多価アルコールとしてペンタエリスリトール13.3重量部、メラミン5重量部、プロセスオイル20重量部を170℃において溶融混練した後、170℃で2mm厚にプレス成形した。得られた成形品の発泡特性及び発泡特性に対する耐水性を評価した。結果を表2に示す
【0033】
(実施例2)
製造例で得られたスチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体100重量部、ポリリン酸アンモニウム(住友化学(株)社製スミセーフPM)50重量部、多価アルコールとしてペンタエリスリトール20重量部、メラミン7.5重量部、ポリαオレフィン(出光石化製PAO5010)30重量部を170℃において溶融混練した後、170℃で2mm厚にプレス成形した。得られた成形品の発泡特性及び発泡特性に対する耐水性を評価した。結果を表2に示す。
【0034】
(実施例3)
製造例で得られたスチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体100重量部、ポリリン酸アンモニウム(住友化学(株)社製スミセーフPM)50重量部、多価アルコールとしてペンタエリスリトール20重量部、メラミン7.5重量部、ポリブテン(出光石化製300H)30重量部を170℃において溶融混練した後、170℃で2mm厚にプレス成形した。得られた成形品の発泡特性及び発泡特性に対する耐水性を評価した。結果を表2に示す。
【0035】
(比較例1)
変性シリコーン系シーリング剤(鐘淵化学工業(株)社製MSポリマー)を100重量部用い、これに可塑剤としてジオクチルフタレート(DOP)を50重量部、ポリリン酸アンモニウムを100重量部、多価アルコールとしてペンタエリスルトールを40重量部、アミノ基含有化合物としてジシアンジアミドを15重量部加え、室温下で撹拌した後、さらに3本ロールにてよく混練し、ペースト状とした。この組成物に硬化触媒としてオクチル酸錫を3重量部、硬化助剤としてラウリルアミンを0.75重量部加え、撹拌した。
このようにして得られた組成物を用いて、厚さ2mm厚のシートを作製した後、23℃で1週間、更に50℃で1週間養生した。更に、10×20×2mmの型に上記組成物を注入し、これを23℃で1週間、更に50℃で1週間養生した。その成型品により発泡特性試験及び耐水性試験を行った。結果を表2に示す。
【0036】
(比較例2)
塩化ビニル樹脂100重量部、ポリリン酸アンモニウム(住友化学(株)社製スミセーフPM)50重量部、多価アルコールとしてペンタエリスリトール20重量部、メラミン20重量部からなる組成物を170℃において溶融混練した後、170℃で2mm厚にプレス成形した。得られた成形品の発泡特性及び発泡特性に対する耐水性を評価した。結果を表2に示す。
【0037】
(比較例3)
IIR(イソブチレン・イソプレン共重合ゴム)(JSR社製ブチル065)100重量部、ポリリン酸アンモニウム(住友化学(株)社製スミセーフPM)240重量部、ポリブテン(出光石化製300H)120重量部、粘着付与樹脂(荒川化学社製アルコンP−125)20重量部、水酸化アルミニウム120重量部、膨張性黒鉛(巴工業社製GRAFGUARD220−50N)70重量部からなる組成物を170℃において溶融混練した後、170℃で2mm厚にプレス成形した。得られた成形品の発泡特性及び発泡特性に対する耐水性を評価した。結果を表2に示す。
【0038】
【表1】
Figure 0003710993
【0039】
【表2】
Figure 0003710993
【0040】
表2に示されるように、実施例1〜3の組成物は、防火断熱に十分な効果がある不燃性の発泡炭化層を形成し、耐水性が優れることが確認できた。更に、比較例1の変性シリコーン系シーリング剤の組成物に比べ、成形加工性においても優れていることが明らかになった。また、比較例2の組成物に比較して、発泡倍率も高く、耐水性も良好であった。また、比較例3の組成物では温水に浸漬後、発泡評価を行ったところ、発泡体の形状が不定形となり発泡倍率の測定は不可であった。
【0041】
【発明の効果】
このように、本発明の発泡型硬化性組成物は、伸縮性に富みゴム物性に優れているため、扉の開口部等の変位追従性が要求される箇所での使用にも適し、成形性に優れ、大面積のシート成形も容易となるものである。さらに、耐湿及び耐水性に優れているため長期にわたる使用が可能であり、定期的な張り替え等の必要がなくなる。このような組成物は、一般建築物において防火・耐火性能が要求される場所に広範囲に適用可能となる優れたものである。

Claims (7)

  1. (A)熱可塑性樹脂、(B)ポリリン酸塩化合物、ならびに(C)可塑剤を含有することを特徴とする発泡型防火性組成物であって、(A)熱可塑性樹脂が、芳香族ビニル系化合物よりなるブロックと、イソブチレンを主体としてなるブロックとから形成されるブロック共重合体である発泡型防火性組成物。
  2. さらに(D)多官能アルコールを含有する請求項1記載の発泡型防火性組成物。
  3. さらに(E)アミノ基含有化合物を含有する請求項1又は2に記載の発泡型防火性組成物。
  4. (B)ポリリン酸塩化合物がポリリン酸アンモニウム及び/又はメラミン変性ポリリン酸アンモニウムである請求項1〜3のいずれかに記載の発泡型防火性組成物。
  5. (C)可塑剤がポリブテンまたはポリαオレフィンである請求項1〜4のいずれかに記載の発泡型防火性組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の発泡型防火性組成物から成形されることを特徴とする成形体。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載の発泡型防火性組成物からシート状に成形されることを特徴とする耐火シート。
JP2000162690A 2000-05-31 2000-05-31 耐水性を有する発泡型防火性組成物 Expired - Fee Related JP3710993B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000162690A JP3710993B2 (ja) 2000-05-31 2000-05-31 耐水性を有する発泡型防火性組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000162690A JP3710993B2 (ja) 2000-05-31 2000-05-31 耐水性を有する発泡型防火性組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001342355A JP2001342355A (ja) 2001-12-14
JP3710993B2 true JP3710993B2 (ja) 2005-10-26

Family

ID=18666560

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000162690A Expired - Fee Related JP3710993B2 (ja) 2000-05-31 2000-05-31 耐水性を有する発泡型防火性組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3710993B2 (ja)

Families Citing this family (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2083043B1 (en) 2002-08-12 2017-01-18 ExxonMobil Chemical Patents Inc. Plasticized polyolefin compositions
US7271209B2 (en) 2002-08-12 2007-09-18 Exxonmobil Chemical Patents Inc. Fibers and nonwovens from plasticized polyolefin compositions
US7998579B2 (en) 2002-08-12 2011-08-16 Exxonmobil Chemical Patents Inc. Polypropylene based fibers and nonwovens
US8003725B2 (en) 2002-08-12 2011-08-23 Exxonmobil Chemical Patents Inc. Plasticized hetero-phase polyolefin blends
US7531594B2 (en) 2002-08-12 2009-05-12 Exxonmobil Chemical Patents Inc. Articles from plasticized polyolefin compositions
US8192813B2 (en) 2003-08-12 2012-06-05 Exxonmobil Chemical Patents, Inc. Crosslinked polyethylene articles and processes to produce same
US8389615B2 (en) 2004-12-17 2013-03-05 Exxonmobil Chemical Patents Inc. Elastomeric compositions comprising vinylaromatic block copolymer, polypropylene, plastomer, and low molecular weight polyolefin
JP2006176987A (ja) * 2004-12-21 2006-07-06 Inaba Denki Sangyo Co Ltd 熱膨張性防火装着具、及び、それを用いた防火構造
CN101218296B (zh) 2005-07-15 2010-12-08 埃克森美孚化学专利公司 弹性体组合物
JP2011058346A (ja) * 2009-08-10 2011-03-24 Sekisui Chem Co Ltd エキスパンションジョイント用防火装置
US11299597B2 (en) * 2016-12-16 2022-04-12 Eco Research Institute Ltd. Flame retardant foam and manufacturing method of flame retardant foam
JP7261048B2 (ja) * 2018-03-16 2023-04-19 積水化学工業株式会社 熱膨張性シート及び熱膨張性シートの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2001342355A (ja) 2001-12-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3710993B2 (ja) 耐水性を有する発泡型防火性組成物
EP1331242A1 (en) Elastomeric intumescent material
WO1998031730A1 (fr) Moulage de type feuille resistant au feu, lamine resistant au feu et recouvrant une tole, structure resistant au feu pour paroi et procede de fabrication de la tole et de la paroi resistant au feu
JP2006249364A (ja) 発泡型防火性組成物
CN1973019A (zh) 用于防火的陶瓷化组合物
JP3838780B2 (ja) 耐火性シート状成形体及びシート積層体
HU206739B (en) Latexbinded anti-burning materials and layered materials against burning
JP2001090225A (ja) 耐火シート及び耐火被覆材
JP2002129022A (ja) 発泡型防火性組成物
JP2002322374A (ja) 耐火性に優れた発泡型防火性組成物
JP2007291795A (ja) 防火区画貫通部構造
WO2009001473A1 (ja) メタロセン-エチレンプロピレンジエン共重合体ゴム系連続気泡体及びその製造方法
JP2003064261A (ja) 耐火性に優れた発泡型防火性組成物、発泡型防火性シート状成形体、及び発泡型防火性シート積層体
JP2006045950A (ja) 目地用耐火材及びその製造方法、目地用耐火材を用いた耐震スリット材及びその製造方法、並びに耐震スリット材を備えた建築構造物
JP2002114914A (ja) 耐火性樹脂組成物およびそのシート状成形体
JP3727046B2 (ja) 発泡型防火性組成物
JP2005255921A (ja) 発泡型防火性組成物
JPH0326216B2 (ja)
EP3165562A1 (en) Expandable and crosslinkable elastomeric formulation for the manufacture of insulation materials exhibiting high fire retardancy and low smoke creation properties
JP2001322195A (ja) 防水層を積層した発泡型防火性積層体
JP2002129025A (ja) 耐水性を有する発泡型防火性組成物
JP2002294078A (ja) 耐水性を有する発泡型防火性組成物
JP2001011979A (ja) 耐火性部材
JP2000345165A (ja) 発泡型防火性組成物
JP2000159903A (ja) 耐火性樹脂シート及びその積層体

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20040318

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050511

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050517

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050707

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20050707

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20050802

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20050811

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R3D04

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090819

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090819

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100819

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110819

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees