JP3710694B2 - 起床式ベッド装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は床板体の一部を起伏駆動して利用者の上半身を起こすことができるようにした起床式ベッド装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
病人や老人などのように自力で起き上がることができない利用者には、床板の一部を起伏駆動することができるようにした、いわゆる起床式ベッド装置が利用されている。起床式ベッド装置は、ベッドフレームを有し、このベッドフレームには床板体が設けられている。
【0003】
床板体は複数の床部に分割されていて、そのうちの1つをベッドフレームに固定し、他の床部を上記ベッドフレームに設けられた駆動機構によって起伏させることができるようになっている。たとえば、複数の床部のうち、利用者の上半身に対応する部分の背床部と、脚部に対応する複数の脚床部とが起伏駆動されるようになっている。複数の脚床部はほぼへの字状に屈曲される。それによって、利用者の脚部を屈曲状態で保持することで、上半身が起こされた利用者の臀部が前方へずれ動くのを阻止し、上半身を起こした姿勢を楽に維持できるようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、複数の脚床部を屈曲させた場合、その屈曲部分が利用者の膝の裏側の部分に位置していれば、利用者の脚を安定した屈曲状態で確実に保持することができる。
【0005】
しかしながら、利用者によっては身長や体格が異なる。そのため、複数の脚床部を常に一定の位置で屈曲させるようにしたのでは、その屈曲部が利用者の脚の膝の裏側の位置から前後方向に大きくずれてしまうことがある。
【0006】
そのような場合には、利用者の脚部のたとえば太腿の部分や脹脛の部分が脚床部の屈曲部によって不要に圧迫されるなどのことがあり、利用者は上半身を起こした姿勢を維持することに苦痛を感じることがある。
【0007】
この発明は、利用者の身長などに応じて脚部を屈曲状態で保持する床部の屈曲部の位置を変更することができるようにした起床式ベッド装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、ベッドフレームに設けられた床板体を複数の床部に分割し、隣り合う床部を互いに回動可能に連結し、その床部を上記ベッドフレームに設けられた駆動機構によって起伏駆動する起床式ベッド装置において、
上記床板体の互いに隣り合う3枚の床部のうち、中央に位置する第1の床部の一側に位置する第2の床部と他側に位置する第3の床部とを、上記第1の床部に選択的に回動不能に固定する選択固定手段が設けられており、
上記選択固定手段は、
上記第1の床部の幅方向端部に上面に開放して形成された凹部と、
この凹部に中途部を露出させ上記幅方向と交差する前後方向に沿ってスライド可能かつ一端部と他端部とをそれぞれ上記第1の床部の一側面と他側面とから突出可能に設けられた移動軸と、
この移動軸の上記凹部に露出した中途部に移動軸の移動方向に沿って回動可能に連結されて設けられ起立させて上記移動軸をスライド操作するとともに、上記凹部内へ倒伏させることで上記移動軸の移動を阻止する操作部材と、
上記第2の床部に形成され上記移動軸を上記操作部材によってスライド操作して上記第1の床部の一側面から突出させたときにこの移動軸の一端部が嵌合する第1の嵌合部と、
上記第3の床部に形成され上記移動軸を上記操作部材によってスライド操作して上記第1の床部の他側面から突出させたときにこの移動軸の他端部が嵌合する第2の嵌合部と
を具備することを特徴とする起床式ベッド装置にある。
【0011】
この発明によれば、選択固定手段によって第1の床部に対して第2の床部又は第3の床部を選択的に固定できるため、第1の床部に第2、第3の床部うちのどちらの床部を固定するかによって屈曲位置を変更することができる。
【0012】
選択固定手段は移動軸をスライドさせるだけであるから、その操作を容易に行なうことができる。
【0013】
移動軸をスライドさせるための、この移動軸に連結された操作部材を凹部内へ倒伏させると、この操作部材によって移動軸がスライドするのを阻止するから、第1の床部に対する第2又は第3の床部の固定状態を確実に維持することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながらこの発明の一実施の形態を説明する。
【0015】
図4に示す起床式ベッド装置はベースフレーム1を備えている。このベースフレーム1は矩形枠状に形成されていて、その四隅部にはキャスタ2が設けられている。ベースフレーム1には、ベッドフレーム3がリンク4によって上下動可能に設けられている。このリンク4は上下駆動機構5によって駆動される。それによって、ベッドフレーム3はベースフレーム1上で上下駆動されるようになっている。つまり、ベッドフレーム3は高さ調整可能となっている。
【0016】
上記ベッドフレーム3には、長手方向一端にヘッドボード6、他端にフットボード7が設けられ、さらに上面には床板体8が設けられている。この床板体8は6つの床部9a〜9fに分割されていて、中央に位置する固定床部9cはベッドフレーム3に固定されている。
【0017】
上記固定床部9cの一側には腰床部9bと背上げ床部9aとが順次回動可能に連結され、他側には第1の脚床部9d(第2の床部)、調整床部9e(第1の床部)及び第2の脚床部9f(第3床部)が順次回動可能に連結されている。そして、この床板体8上には屈曲可能なマットレス11が載置されている。
【0018】
なお、各床部9a〜9fは図3に示すように隣り合う側面が互いに入り込む凹凸形状に形成され、その凹凸部分が図1(a)、(b)及び図2に示す連結軸10によって回動可能に連結されている。
【0019】
上記ベッドフレーム3の床板体8の下面側の部分には背上げ駆動機構12が設けられている。この背上げ駆動機構12は、図4に示すように回転駆動される第1の駆動軸13と第2の駆動軸14を有する。第1の駆動軸13には第1のアーム15の基端が連結されている。この第1のアーム15の先端部には一対のローラ16が所定間隔で回転可能に設けられている。これらローラ16は上記背床部9aの下面に設けられた断面コ字状のガイドレール17に転動可能に係合している。したがって、上記第1のアーム15が起上方向に駆動されれば、その起上に連動して背床部9aが上昇させられることになる。
【0020】
上記第2の駆動軸14には第2のアーム21の基端部が連結固定されている。この第2のアーム21の先端部には第2のローラ22が設けられている。この第2のローラ22は第1の脚床部9dの下面に転接している。したがって、上記第2のアーム21が起上方向に駆動されれば、第2のローラ22によって第1の脚床部9dが固定床部9cに連結された一端を支点として他端が上昇する方向に回動する。
【0021】
第1の脚床部9dが回動すると、この回動に第2の脚床部9fが調整床部9eを介して連動する。第2の脚床部9fとベッドフレーム3との間には保持杆18が両端部を回動可能に連結して設けられ、この保持杆11によって上記第2の脚床部9fが上記第1の脚床部9dに連動した状態で保持されるようになっている。
【0022】
上記第1の脚床部9d、調整床部9e及び第2の脚床部9fは図1(a)、(b)に示すように連結軸10によって互いに回動可能に連結されているとともに、上記第1の脚床部9dと第2の脚床部9fは調整床部9eに対し選択固定手段に25によって選択的に回動不能に固定できるようになっている。
【0023】
上記選択固定手段25は図3に示すように調整床部9eの幅方向両端部に設けられている。つまり、調整床部9eの幅方向両端部には、図1(a)、(b)に示すように上面に開口した凹部26が形成されている。この凹部26には凹部26とほぼ同様、上面が開放した箱形のケース27が収容されている。
【0024】
上記調整床部9eには、上記幅方向と交差する前後方向に沿って移動軸28がスライド可能に設けられている。つまり、調整床部9eの第1の脚床部9d側の一側面と、第2の脚床部9f側の他側面とにはそれぞれブッシュ30が装着された第1の通孔29が形成されている。上記凹部26とケース27との前後方向に位置する両側壁には第1の通孔29と同じ高さで第2の通孔31が形成されている。
【0025】
上記第1の通孔29と第2の通孔31には上記移動軸28がスライド可能に挿通支持されている。この移動軸28は上記調整床板部9eの前後方向の長さ寸法よりも長く形成されていて、その中途部は上記ケース27内に露出している。
【0026】
移動軸28の上記ケース27内に露出した部分には連結部32が設けられ、この連結部32には操作部材33の基端部が軸線を移動軸28のスライド方向と交差させた支軸34によって枢着されている。つまり、上記操作部材33は移動軸28の移動方向に沿って回動可能になっている。
【0027】
図1(a)に示すように、連結部32をケース27内の一端部に位置するよう、移動軸28をスライドさせて上記操作部材33を他端側へ倒伏させると、この操作部材33の先端に設けられた突起35がケース27の一対の側壁に形成された係合孔36の一方に弾性的に係合する。それによって、操作部材33がケース27内で倒伏状態で保持されるため、上記移動軸28がスライド不能となる。
【0028】
図1(b)は移動軸28を図1(a)の状態と逆方向にスライドさせた状態を示しており、この場合には操作部材33の先端の突起35が他方の係合孔36に弾性的に係合して上記移動軸28をスライド不能に保持する。
【0029】
上記第1の脚床部9dの上記調整床部9e側の端部には、内部を第1の嵌合孔41(第1の嵌合部)とした第1の管状部材42が設けられている。この第1の管状部材42は、一端を第1の脚床部9dの一側面に露出させ、他端に形成されたL字状の取付け部43がねじ44によって第1の脚床部9dに固定されている。
【0030】
上記第2の脚床部9fの上記調整床部9e側の端部には、内部を第2の嵌合孔45(第2の嵌合部)とした第2の管状部材46が設けられている。この第2の管状部材46は、一端を第2の脚床部9fの一側面に露出させ、他端に形成されたL字状の取付け部47がねじ48によって第2の脚床部9fに固定されている。
【0031】
上記移動軸28を図1(a)に示すように第1の脚床部9d側へスライドさせれば、ブッシュ30から突出した移動軸28の一端部が第1の管状部材42の第1の嵌合孔41に入り込む。それによって、第1の脚床部9dは連結軸10を支点とする回動が阻止されることになる。
【0032】
上記移動軸28を図1(b)に示すように第2の脚床部9f側へスライドさせれば、ブッシュ30から突出した移動軸28の他端部が第2の管状部材46の第2の嵌合孔45に入り込む。それによって、第2の脚床部9fは連結軸10を支点とする回動が阻止されることになる。
【0033】
つまり、移動軸28を第1の脚床部9d側と、第2の脚床部9f側のいずれにスライドさせるかによって、上記第1の脚床部9dと第2の脚床部9fのいずれかを上記調整床部9eに回動不能に固定できるようになっている。
【0034】
つぎに、上記構成の起床式ベッド装置を使用する場合について説明する。
【0035】
背上げ駆動機構12を作動させると、図4に示すように背床部9aが起上されるとともに、第1、第2の脚床部9d、9fが上昇して山形状に屈曲する。したがって、マットレス11上に仰臥した利用者Uは、上半身を起こすことができるばかりか、脚部が屈曲した第1、第2の脚床部9d、9fによって支持されるから、上半身を起こしても臀部が前方へずれ動き難くなり、上半身を起こした姿勢を楽に維持することができる。
【0036】
ところで、移動軸28が図1(b)に示すように第2の脚床部9f側にスライドさせられ、調整床部9eが第2の脚床部9f側に固定されている場合、床板体8は図5(a)に示すように、第1の脚床部9dと調整床部9eとの連結部分で山形状に屈曲することになる。
【0037】
利用者Uの身長や体格などによっては床板体8の山形状に屈曲した部分Xが利用者Uの膝の裏側の部分からずれてしまうことがある。図5(a)では、床板体8の山形状に屈曲した部分Xが利用者Uの太腿側にずれている。そのため、利用者Uは床板体8の屈曲部分Xによって太腿の部分が圧迫されることになるから、不快感や苦痛を感じることがある。
【0038】
そのような場合には、図1(b)に鎖線で示すように操作部材33をケース27内から起上させ、この操作部材33を持って移動軸28を第1の脚床部9dが輪へスライドさせる。それによって、移動軸28の第2の脚床部9f側の一方の端部が図1(a)に示すように第2の嵌合孔45から外れ、他方の端部が第1の脚床部9dの第1の嵌合孔41と嵌合した状態になるから、調整床部9eは第1の脚床部9dに固定され、第2の脚床部9fは調整床部9eに対して回動可能となる。
【0039】
この状態で、背上げ駆動機構12を作動させると、床板体8は、図5(b)に示すように調整床部9eと第2の脚床部9fとの連結部分で屈曲することになり、その屈曲部分Yが図5(a)の状態に比べて利用者Uの足側にずれる。したがって、調整床部9eと第2の脚床部9fとの屈曲部分Yを利用者Uの膝の裏側の部分に位置させることができるから、その屈曲部分Yによって利用者Uの脚部が不要に圧迫されるのを防止することができる。
【0040】
すなわち、調整床部9eを、第1の脚床部9dと第2の脚床部9fのいずれかに選択的に固定することができるから、利用者Uの身長や体格などに応じて調整床部9eが屈曲する位置を変え、その屈曲部分X又はYが利用者の脚部を不要に圧迫するのを防止することができる。
【0041】
上記移動軸28のスライド操作は、この移動軸28に、移動方向に沿って回動可能に連結された操作部材33をケース27内から起立させれば、この操作部材33によって容易に行なうこことができる。
【0042】
移動軸28を所定の状態にスライドさせたならば、上記操作部材33を倒伏させれば、操作部材33の上端に設けられた突起35がケース27に形成された係合孔36に係合してケース27内に保持される。
【0043】
操作部材33がケース27内に保持された状態においては、移動軸28がスライド不能となる。そのため、移動軸28が不用意にスライドし、この移動軸28による調整床部9eと第1の脚床部9d又は第2の脚床部9fとの連結状態が解除されるのを防止することができる。
【0044】
なお、上記一実施の形態では調整床部に形成された凹部にケースを設けるようにしたが、ケースを設けなくともよく、その場合、凹部の側壁に係合孔を形成ればよい。
【0045】
【発明の効果】
この発明によれば、選択固定手段によって第1の床部に対して第2の床部又は第3の床部を選択的に固定できるようにした。
【0046】
そのため、利用者の身長や体格などに応じて第1の床部に対して第2、第3の床部のうちのどちらの床部を固定するかを選択することで、床板体の屈曲位置を変更することができる。
【0047】
また、選択固定手段は移動軸をスライドさせるだけであるから、その操作を容易に行なうことができる。
【0048】
また、移動軸をスライドさせるための、この移動軸に連結された操作部材を凹部内へ倒伏させると、この操作部材によって移動軸がスライドするのを阻止するから、第1の床部に対する第2又は第3の床部の固定状態を確実に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)はこの発明の一実施の形態を示す調整床部を第1の脚床部に連結固定した状態の断面図、(b)は調整床部を第2の脚床部に連結固定した状態の断面図。
【図2】床板体の幅方向の端部に設けられた選択固定手段の斜視図。
【図3】床板体の平面図。
【図4】ベッド装置の側面図。
【図5】(a)は床板体の屈曲部分が利用者の膝の裏側の部分からずれている状態の説明図、(b)は床板体の屈曲部分が利用者の膝の裏側の部分に位置する状態の説明図。
【符号の説明】
3…ベッドフレーム
8…床板体
9a〜9f…床部
12…背上げ駆動機構
25…選択固定手段
26…凹部
28…移動軸
33…操作部材
41…第1の嵌合孔(第1の嵌合部)
45…第2の嵌合孔(第2の嵌合部)

Claims (1)

  1. ベッドフレームに設けられた床板体を複数の床部に分割し、隣り合う床部を互いに回動可能に連結し、その床部を上記ベッドフレームに設けられた駆動機構によって起伏駆動する起床式ベッド装置において、
    上記床板体の互いに隣り合う3枚の床部のうち、中央に位置する第1の床部の一側に位置する第2の床部と他側に位置する第3の床部とを、上記第1の床部に選択的に回動不能に固定する選択固定手段が設けられており、
    上記選択固定手段は、
    上記第1の床部の幅方向端部に上面に開放して形成された凹部と、
    この凹部に中途部を露出させ上記幅方向と交差する前後方向に沿ってスライド可能かつ一端部と他端部とをそれぞれ上記第1の床部の一側面と他側面とから突出可能に設けられた移動軸と、
    この移動軸の上記凹部に露出した中途部に移動軸の移動方向に沿って回動可能に連結されて設けられ起立させて上記移動軸をスライド操作するとともに、上記凹部内へ倒伏させることで上記移動軸の移動を阻止する操作部材と、
    上記第2の床部に形成され上記移動軸を上記操作部材によってスライド操作して上記第1の床部の一側面から突出させたときにこの移動軸の一端部が嵌合する第1の嵌合部と、
    上記第3の床部に形成され上記移動軸を上記操作部材によってスライド操作して上記第1の床部の他側面から突出させたときにこの移動軸の他端部が嵌合する第2の嵌合部と
    を具備することを特徴とする起床式ベッド装置。
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