JP3710409B2 - 受信アレーアンテナキャリブレーション装置 - Google Patents

受信アレーアンテナキャリブレーション装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、受信アレーアンテナのもつ初期偏差(あるいは透過位相・振幅)と素子間相互干渉誤差からなる結合行列を推定し補償することで高分解能到来方向推定やヌルビーム形成など本来の高精度なビーム形成を可能とする遠隔キャリブレーション技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
アレーアンテナを用いた高分解能到来方向推定法として、相関行列の固有展開に基くMUSICやESPRITアルゴリズムの活発な研究開発が進められている。実際のアレーアンテナにおいてこれら高分解能アルゴリズムの性能限界は、アレー状態におけるアレー素子パターンの不均一性により規定されると考えられる。アレー素子パターンの不均一性の要因としては、電気長差やRF段の温度特性などによる素子チャンネル個別の給電系の透過振幅・位相(以後「初期偏差」と呼ぶ)に起因する要因と、アレーの放射素子での素子間結合(相互干渉)に起因する要因とが考えられる。
【0003】
これに対し、従来のアレーアンテナでのキャリブレーションは、初期偏差に関する誤差についてのみを補正するものであった。
【0004】
図5は、この従来のキャリブレーション法の構成と動作を説明する図である。このキャリブレーション法では、キャリブレーション信号発生器1で発生したキャリブレーション信号により送信アンテナ2を駆動する。この送信アンテナ2は、キャリブレーションの対象である受信アレーアンテナ3のアレー中心からアレーノーマル方向(アレーの中心からアレー面に対して垂直に延びる方向)に延びる直線上に、送信方向を受信アレーアンテナ3のアレー中心に向けた姿勢で設置する。この受信アレーアンテナ3の各素子の受信信号は、初期偏差推定装置4に入力される。初期偏差推定装置4は、各素子の受信信号から、それら各素子チャンネルごとの初期偏差を推定する。そして、それら各素子の初期偏差に基づき各素子の出力を校正する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような従来の初期偏差を対象としたキャリブレーション法では、素子間の相互干渉による誤差が考慮されていないため、初期偏差そのものにも誤差を含むとともに素子間干渉の影響を補償できない。
【0006】
すなわち、初期偏差はアレーアンテナ個別の素子の振幅と位相のばらつきに依るものであり、また上記従来方法ではアレーノーマル方向から到来するキャリブレーション信号により校正を行っていた。よって、素子間干渉が存在する場合には、初期偏差推定装置4に基づく素子パターンの校正では、アレーノーマル方向以外の角度についての各素子の受信振幅(及び位相)の不均一性が補償できないという問題があった。例えば図6の(a)には、4素子からなるアレーアンテナのキャリブレーション前の各素子の素子パターンが、線種の異なる4つのグラフとして示されている。このアレーアンテナに対して従来の初期偏差推定に基づくキャリブレーションを施すと同図(b)に示すようにアレーノーマル(角度0deg方向)では各素子の受信振幅(及び位相)が揃うが、別の角度に対する受信振幅等の不均一性は補償できていないことが分かる。
【0007】
受信信号に素子間干渉が残存し素子パターンが均一にならないことは、高精度なアレー信号処理(ビーム形成や到来方向推定処理)の本来の性能を発生できないこととなり、高精度アレー信号処理アルゴリズムの実用上の重要な課題となっていた。
【0008】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、素子間の相互干渉による誤差成分を推定し、その影響を抑制することで受信アレーアンテナをよりよく校正することができる受信アレーアンテナキャリブレーション装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る受信信号キャリブレーション装置は、キャリブレーションの対象である受信アレーアンテナを、そのアレー中心を回転中心としてアジマス方向に回転させる回転台と、前記受信アレーアンテナに向けてキャリブレーション信号を送信する送信アンテナと、前記回転台により前記受信アレーアンテナのアレーノーマル方向を切り替えつつ前記キャリブレーション信号を受信したときの、それら各方向についての受信時の前記受信アレーアンテナの各素子の受信信号を入力し、それら受信信号群に基づき、それら各素子の初期偏差誤差と素子間干渉の積である結合行列を推定する結合行列推定装置と、を備え、推定した前記結合行列を受信信号に乗じて補正することで前記受信アレーアンテナのキャリブレーションを可能としたものである。
【0010】
またこの発明は、前記結合行列推定装置が、前記受信アレーアンテナを前記各方向に向けた時の受信信号群から、線形最小二乗法により前記結合行列を推定することを特徴とするものである。
【0011】
またこの発明は、前記回転台による前記受信アレーアンテナの回転中心の位置を変数として様々に変えたときの前記結合行列を前記結合行列推定装置に推定させ、前記各変数に対応する前記結合行列の推定値で受信信号にそれぞれ補正して得られる補正結果を、所定の評価関数を用いて評価することで、前記受信アレーアンテナの前記回転中心を推定し、この推定した回転中心に対応する前記結合行列を最も尤もらしい結合行列として求める結合行列推定制御装置、を更に備えるものである。
【0012】
またこの発明は、前記評価関数が、推定した前記結合行列の対角要素以外の要素の総和の逆数が大きいほど、評価値が高くなる関数であることを特徴とするものである。
【0013】
またこの発明は、前記評価関数が、推定した前記結合行列で補正した受信信号が示す前記各素子の素子パターンが均一に近いほど、評価値が高くなる関数であることを特徴とするものである。
【0014】
またこの発明は、前記評価関数が、推定した前記結合行列で補正した受信信号から求めたMUSICスペクトルのピーク値が高いほど、評価値が高くなる関数であることを特徴とするものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る受信アレーアンテナのキャリブレーション装置の構成を示す図である。
【0016】
図1に示すように、このキャリブレーション装置は、キャリブレーションの対象である受信アレーアンテナ3を回転させる回転台5を備える。この回転台5は、受信アレーアンテナ3を、該受信アレーアンテナ3のアレー中心を軸としてアジマス方向に回転させる台である。
【0017】
送信アンテナ2は、キャリブレーション信号発生器1で発生したキャリブレーション信号を送信するアンテナであり、従来技術と同様のものを用いることができる。この送信アンテナ2の送信方向の中心線上に回転台5の中心(すなわち受信アレーアンテナ3のアレー中心)が位置するよう、回転台5,受信アレーアンテナ3,及び送信アンテナ2の配置が定められている。
【0018】
この実施の形態では、回転台5で受信アレーアンテナ3の方向を様々に変えながら、各方向でのキャリブレーション信号を受信し、それら各方向でのキャリブレーション信号の受信信号に基づき、受信アレーアンテナ3の素子同士の間の相互干渉を示す結合行列を推定する。結合行列推定装置6は、この結合行列の推定演算を行うための装置である。結合行列推定装置6には、受信アレーアンテナ3から各素子の受信信号が、回転台5からその時の受信アレーアンテナ3の方向を示す情報が入力される。
【0019】
この受信アレーアンテナキャリブレーション装置では、受信アレーアンテナ3を回転台5の上に設置し、該アンテナ3の全素子に給電した状態で回転台5を回転させ、該アンテナ3が各方向を向いているときのキャリブレーション信号を受信する。そして、その受信信号から、結合行列推定装置6にて線形最小二乗法にて結合行列を推定する。このとき、該アンテナ3の素子数以上の数の異なる方向について受信信号を取得する。素子数以上の方向の受信信号を用いることで、後述する推定方法により結合行列を推定できる。なお、ここでの受信アレーアンテナ3の回転は、結合行列を求めるのに十分な数の方向について受信信号を得れば足り、素子パターンを求める場合のように緻密に受信信号を求める必要はない。
【0020】
この実施の形態の手法は、受信アレーアンテナにおけるシングルモード(single-mode)とよばれる素子間の結合が、入射波の複素振幅にのみ依存するものであり、その入射角には依存しないという仮定に基づいている。この仮定は現実的なものである。すなわち、初期偏差誤差を表す初期偏差行列は複素定数を対角要素とする正方行列であり、素子間干渉も複素定数を要素とする正方行列であるからである。推定対象とする結合行列は、素子間の干渉を表す相互干渉行列と初期偏差行列の積である複素定数を要素とする正方行列となる。以下、この実施の形態1における結合行列推定方式を説明する。
【0021】
まず以下の説明に用いる記号の意味について説明する。以下では、Aをアレーのモードベクトル、Kを信号入射方向に依存しないsingle-modeの結合行列とする。また、受信アレーアンテナ3のアレーノーマル方向を方向nに向けてキャリブレーション信号Sを受信したときの受信信号データベクトルをX(t)とする。このうちモードベクトルAは、周知のようにステアリングベクトルおよび素子ファクタからなる。ここで、素子ファクタとしては、アレー素子が単独で孤立した状態で計測した素子パターン計測データ、あるいは素子パターンの設計値、を用いることができるので、このモードベクトルAは既知として取り扱うことができる。ここで、受信アレーアンテナ3の素子数をN、計測サンプリング数をMとすると、受信信号データベクトルXは(N×M)行列、モードベクトルAは(N×1)行列、結合行列Kは(N×N)行列、キャリブレーション信号Sは(1×M)行列となる。回転台5を回転させて受信アレーアンテナ3の方向をL段階に変え、各方向n(n=1,2,・・・,L)でのキャリブレーション信号を計測する。ただし、Lは素子数N以上とする。
【0022】
方向nでの受信信号データベクトルX(t)(tは時間)は次のようになる。
【数1】
Figure 0003710409
【0023】
ここで、モードベクトルAは次のようになる。
【数2】
Figure 0003710409
【0024】
このうちg(θ)は素子単独での応答特性であり、ここでは設計値または事前計測した素子単独パターンを用いるものとする。またA(θ)はステアリングベクトルであり、リニアアレーの場合、
【数3】
Figure 0003710409
である。
【0025】
ここで、数1に示した受信信号データベクトル群に右からキャリブレーション信号S(t)の複素共役転置S(t)をかけると次のようになる。
【数4】
Figure 0003710409
【0026】
キャリブレーション信号SをCW波(連続波)とすると、その複素共役転置S(t)を掛けることはフーリエ変換に相当する。すなわち、ここでは、各素子別に受信信号Xにフーリエ変換を施していることになる。結合行列の振幅位相の絶対値は不要であるため、ここでは簡単にS(t)・S(t)=1とした。
【0027】
ここで、数4に示したn個の式を次の数5に示すように一つの行列式に纏めれば、この式からKを決める操作は、線形最小二乗問題に帰着できる。
【0028】
【数5】
Figure 0003710409
上式を新たに、
【数6】
Figure 0003710409
と書くと、次式に示すように最小二乗法にて、
【数7】
Figure 0003710409
により結合行列Kが推定される(なお、数7の表現では結合行列の推定値という意味でKに「^」(ハット)を付したが、以下の記述では繁雑さを避けるため、推定した結合行列をハットなしのKで表す)。
【0029】
以上、結合行列推定装置6における結合行列Kの推定手法を説明した。このようにして推定した結合行列Kの逆行列を受信アレーアンテナ3の受信信号にかけることで、初期偏差及び素子間干渉の両方が除かれた受信信号を得ることができる。したがって、受信アレーアンテナ3を製作した場合、この実施の形態の装置でその受信アレーアンテナ3の結合行列Kを推定し、受信アレーアンテナ3の受信信号処理に用いる計算装置にその結合行列Kの逆行列を校正用データとして登録しておくことで、初期偏差のみならず素子間干渉まで補償することが可能になる。
【0030】
実施の形態2.
図2は、この発明の実施の形態2に係るキャリブレーション装置の構成を示すものである。この構成は、実施の形態1の装置構成に対し、回転中心推定装置8を備えた結合行列推定制御装置7を付け加えたものである。
【0031】
結合行列推定装置6は、白色雑音環境では良い推定性能が期待され、このような環境では実施の形態1の装置構成でも良好な結合行列推定が可能である。しかしながら、キャリブレーション対象の受信アレーアンテナ3を回転台5に設置したときの設置中心に誤差があると、大きな推定誤差が発生することが予想される。
【0032】
そこでこの実施の形態2では、受信アレーアンテナ3の回転中心座標を未知数とした評価関数を設け、評価関数を探索することで最も尤もらしい回転中心座標を推定し、この回転中心座標に対応した結合行列を求めることにより、上記の推定誤差の除去又は低減を図る。このようにして求めた結合行列の逆行列を受信信号データにかけることで、初期偏差と素子間干渉が補償された受信信号データが得られる点は、実施の形態1の場合と同様である。以下、この方式について詳細に説明する。
【0033】
この実施の形態では、回転中心推定のための評価関数として、結合行列Kの対角要素以外の要素(素子間結合)の総和の逆数が大きいほど大きい値になる次式の評価関数Cを用いる。
【0034】
【数8】
Figure 0003710409
ここで、Θは回転中心座標を表す未知パラメータであり、Ki,j(Θ)はパラメータΘを用いて求めた結合行列K(推定値)の(i,j)要素である。
【0035】
次に、結合行列推定制御装置7の処理シーケンスを順に説明する。ただし、以下のシーケンスは、キャリブレーション信号に対し、各方向nについての受信信号データベクトルX が求められた後に行われる。
【0036】
1)回転中心座標Θに対応するステアリングベクトルA(θ)を求める。
【0037】
2)結合行列推定装置6にこのステアリングベクトルの情報を渡し、結合行列Kを推定させる。結合行列推定装置6は、上記数7等の式を用いて結合行列Kの推定値を求める。
【0038】
3)推定した結合行列Kの逆行列を受信信号データベクトルにかけ、初期偏差および素子間干渉を補正した受信信号データベクトルを得る。
【0039】
4)補正した受信信号データベクトルを用いて評価関数Cの値を求める。
【0040】
5)回転中心座標Θを変数として様々に変えながら、上記1)〜4)のステップを繰り返し実行し、回転中心座標Θを変数とした評価関数Cの分布を求める。
【0041】
6)この評価関数分布を回転中心推定装置8に渡し、受信アレーアンテナ3の回転中心を推定させる。回転中心推定装置8は、その評価関数分布から、評価関数Cが最大となる変数Θを求め、これを回転中心座標の推定値として結合行列推定制御装置7に返す。
【0042】
このようにして受信アレーアンテナ3の回転中心座標Θが推定されると、この回転中心座標Θのときに数7により求めた結合行列の推定値が、当該受信アレーアンテナ3に対応する最も尤もらしい結合行列として得られる。
【0043】
図3は、評価関数Cの分布の例を示すものである。この図は、受信アレーアンテナ3の回転中心を、該アンテナの左右(x軸)および、前後(z軸)にそれぞれ、0.3λ、-0.6λだけずらして設置して計測を行った場合において、回転中心座標Θをその位置から各±1λの範囲で変化させて求めた評価関数Cの分布を(a)コンタマップと(b)鳥かん図として表現したものである。ここで、λは波長である。図3から分かるように、この例では、0.3λ、-0.6λの位置の評価関数値が最大となっており、回転中心座標が正確に推定されていることが分かる。
【0044】
この回転中心座標の誤差を考慮して、数3に示したアレーのモードベクトルを調整することで、受信アレーアンテナ3の回転中心に誤差がある場合でも、数7の線形最小二乗法により結合行列Kを正しく推定することができる。
【0045】
図4は、この実施の形態による回転中心推定の効果を示す図である。この図には、4素子からなる受信アレーアンテナ3について、(a)補正前の振幅についての素子パターン、(b)結合行列推定装置6のみを用いて推定した結合行列により補正した後の素子パターン、(c)この実施の形態の回転中心推定に基づき推定した結合行列で補正した後の素子パターン、をそれぞれ示す。なお、補正前の素子パターンは、図6に示した従来の補正前の素子パターン(a)と同じである。この図に示すように、結合行列推定装置6のみでは回転中心がずれているとかえって素子パターンが悪化する場合があるが、この実施の形態のように回転中心推定を組み合わせることにより、正確に結合行列が推定でき、初期偏差および素子間干渉が補償されて均一な素子パターンが得られる。
【0046】
また、この実施の形態では、前述のように、結合行列Kの対角要素以外の要素(素子間結合)の総和の逆数が大きいほど大きい値になる評価関数を用いたので、素子間結合が最も小さくなるように回転中心を求めることができ、それに応じた結合行列を求めることができる。
【0047】
次に、上記実施の形態2の変形例1を説明する。この変形例1は、装置構成は実施の形態2と同じでよく、評価関数のみ実施の形態2と異なるものを用いる。
【0048】
この変形例1では、評価関数として、推定した結合行列Kの逆行列で補正した各素子パターンが均一に近いほど大きくなる関数を採用する。このような評価関数の一例として、ここでは次式に示す評価関数Cを用いる。
【数9】
Figure 0003710409
この評価関数Cの定義式において、X は、受信アレーアンテナ3のアレーノーマル方向をある方向l(lは1〜Lの整数)に向けたときの受信信号データベクトルである。また、[K(Θ)−1は、回転中心座標をΘとして上述の方法で推定した結合行列Kの逆行列K−1を、方向lのときの受信信号データベクトルXにかけて得られる校正済みの受信データベクトルにおける、素子nの成分を示す。したがって、AvELM(l)は、方向lのときの校正済みの受信信号データベクトルにおける各素子nの成分を全素子について平均した平均値を示す。ここで、受信アレーアンテナ3の向きlを方向1〜LまでL段階に変えながら受信した結果を各素子ごとに見れば、当該素子の素子パターン(図6等を参照)においてL個の角度の値をとったものと等価と見なせる。したがって、AvELM(l)は、素子パターン群における、ある方向lに対する各素子の値の平均と見なすことができる。一方、評価関数Cにおいて、nについての総和演算は、方向lについての校正した受信信号ベクトルの素子nの成分とその平均AvELM(l)との差を各素子について総和したものである。これを全方向lについて総和することで、各素子についての素子パターンの平均からのずれ量の総和に相当する値を求めることができる。この値は、各素子の素子パターンのずれが小さいほど小さい値になる。したがって、この値の逆数である評価関数Cは、各素子の素子パターンが均一に近いほど大きい値となる関数といえる。
【0049】
このように、評価関数Cは、結合行列により補正した各素子パターンが、その平均値に近いほど、すなわち均一に近いほど、評価値が高くなる関数である。したがって、このような評価関数Cを用いることにより、素子パターンの均一性が高くなる尤もらしい回転中心を推定することができ、それに応じた結合行列を求めることができる。
【0050】
次に上記実施の形態2の変形例2を説明する。この変形例2は、装置構成は実施の形態2と同じでよく、評価関数のみ実施の形態2と異なるものを用いる。
【0051】
この変形例2では、評価関数として、推定した結合行列Kの逆行列で補正した受信信号データベクトルXの、アレーノーマル方向でのデータから求めたMUSICスペクトルのピーク値が大きいほど大きくなる評価関数Cを採用したものである。この評価関数Cの例を次式に示す。
【0052】
【数10】
Figure 0003710409
ここで、
【数11】
Figure 0003710409
であり、
【数12】
Figure 0003710409
は、推定した結合行列Kの逆行列で補正した受信信号データベクトルのアレーノーマル方向のデータ(すなわちK−1)についての雑音固有ベクトルである。ここで、lはアレーノーマル方向を表す。
【0053】
なお、アレーノーマル方向だけでなく、全ての角度方向で求めた数10の総和が大きいほど値の大きくなる評価関数を採用することも可能である。この場合、計算に要する時間が長くなるが、より適切な回転中心を求めることができる。
【0054】
このようにMUSICスペクトルを考慮した評価関数Cを用いることにより、MUSICスペクトルのピーク値が大きくなるように回転中心を推定することができ、それに応じた結合行列を求めることができる。
【0055】
【発明の効果】
この発明によれば、初期偏差のみならず素子間結合による干渉を含めた受信アレーアンテナの誤差を、結合行列の形で推定できる。したがって、推定した結合行列の逆行列を受信信号にかけることで、初期偏差および素子間の干渉の無い受信信号を得ることができるという効果がある。
【0056】
またこの発明によれば、回転台により方向を変えたときの受信信号群から、線形最小二乗法により、結合行列を推定することができる。
【0057】
またこの発明によれば、回転台の回転中心に誤差があっても、結合行列推定制御装置により最も尤もらしい回転中心を推定することができ、その推定した回転中心に対応する結合行列を求めることで、本来必要な結合行列を正しく推定可能となる。
【0058】
またこの発明によれば、推定した結合行列の対角要素以外の要素(素子間結合による成分)の総和の逆数が大きい(すなわち素子間結合が最も小さくなる)ほど評価値が高くなる評価関数を用いることで、尤もらしい回転中心を推定することができる。
【0059】
またこの発明によれば、推定した結合行列で補正した受信信号が示す前記各素子の素子パターンが均一に近いほど評価値が高くなる評価関数を用いることで、尤もらしい回転中心を推定することができる。
【0060】
またこの発明によれば、推定した前記結合行列で補正した受信信号から求めたMUSICスペクトルのピーク値が高いほど評価値が高くなる評価関数を用いて回転中心を推定することで、尤もらしい回転中心を推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態1に係る装置構成を示す図である。
【図2】 実施の形態2及び変形例1、2に係る装置構成を示す図である。
【図3】 回転中心を変数として様々に変えたときに得られる評価関数値の分布の例を示す図である。
【図4】 回転中心推定の効果を説明するための図である。
【図5】 従来の受信アレーアンテナキャリブレーション装置の装置構成を示す図である。
【図6】 初期偏差のみを補正する従来のキャリブレーション法の効果を説明する図である。
【符号の説明】
1 キャリブレーション信号発生器、2 送信アンテナ、3 受信アレーアンテナ、4 初期偏差推定装置、5 回転台、6 結合行列推定装置、7 結合行列推定制御装置、8 回転中心推定装置。

Claims (6)

  1. キャリブレーションの対象である受信アレーアンテナを、そのアレー中心を回転中心としてアジマス方向に回転させる回転台と、
    前記受信アレーアンテナに向けてキャリブレーション信号を送信する送信アンテナと、
    前記回転台により前記受信アレーアンテナのアレーノーマル方向を切り替えつつ前記キャリブレーション信号を受信したときの、それら各方向についての受信時の前記受信アレーアンテナの各素子の受信信号を入力し、それら受信信号群に基づき、それら各素子の初期偏差誤差と素子間干渉の積である結合行列を推定する結合行列推定装置と、
    を備え、推定した前記結合行列を受信信号に乗じて補正することで前記受信アレーアンテナのキャリブレーションを可能とした受信アレーアンテナキャリブレーション装置。
  2. 前記結合行列推定装置は、前記受信アレーアンテナを前記各方向に向けた時の受信信号群から、線形最小二乗法により前記結合行列を推定することを特徴とする請求項1に記載の受信アレーアンテナキャリブレーション装置。
  3. 前記回転台による前記受信アレーアンテナの回転中心の位置を変数として様々に変えたときの前記結合行列を前記結合行列推定装置に推定させ、前記各変数に対応する前記結合行列の推定値で受信信号にそれぞれ補正して得られる補正結果を、所定の評価関数を用いて評価することで、前記受信アレーアンテナの前記回転中心を推定し、この推定した回転中心に対応する前記結合行列を最も尤もらしい結合行列として求める結合行列推定制御装置、
    を更に備える請求項1又は2に記載の受信アレーアンテナキャリブレーション装置。
  4. 前記評価関数は、推定した前記結合行列の対角要素以外の要素の総和の逆数が大きいほど、評価値が高くなる関数であることを特徴とする請求項3記載の受信アレーアンテナキャリブレーション装置。
  5. 前記評価関数は、推定した前記結合行列で補正した受信信号が示す前記各素子の素子パターンが均一に近いほど、評価値が高くなる関数であることを特徴とする請求項3記載の受信アレーアンテナキャリブレーション装置。
  6. 前記評価関数は、推定した前記結合行列で補正した受信信号から求めたMUSICスペクトルのピーク値が高いほど、評価値が高くなる関数であることを特徴とする請求項3記載の受信アレーアンテナキャリブレーション装置。
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