JP2003143046A - 受信アレーアンテナキャリブレーション装置 - Google Patents

受信アレーアンテナキャリブレーション装置

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JP2003143046A
JP2003143046A JP2001333476A JP2001333476A JP2003143046A JP 2003143046 A JP2003143046 A JP 2003143046A JP 2001333476 A JP2001333476 A JP 2001333476A JP 2001333476 A JP2001333476 A JP 2001333476A JP 2003143046 A JP2003143046 A JP 2003143046A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 受信アレーアンテナについて、素子間の干渉
による誤差をも補正可能なキャリブレーション装置を提
供する。 【解決手段】 受信アレーアンテナ3を回転台5により
回転させて、該アンテナ3が各方向を向いたときのキャ
リブレーション信号の受信信号を求める。結合行列推定
装置6が、それら各方向の受信信号から、線形最小二乗
法を用いて、初期偏差行列と素子間干渉を表す相互干渉
行列との積である結合行列を推定する。この結合行列を
受信アレーアンテナ3の受信信号に乗じることで、初期
偏差と素子間干渉の両方を抑制することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、受信アレーアン
テナのもつ初期偏差(あるいは透過位相・振幅)と素子
間相互干渉誤差からなる結合行列を推定し補償すること
で高分解能到来方向推定やヌルビーム形成など本来の高
精度なビーム形成を可能とする遠隔キャリブレーション
技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】アレーアンテナを用いた高分解能到来方
向推定法として、相関行列の固有展開に基くMUSICやESP
RITアルゴリズムの活発な研究開発が進められている。
実際のアレーアンテナにおいてこれら高分解能アルゴリ
ズムの性能限界は、アレー状態におけるアレー素子パタ
ーンの不均一性により規定されると考えられる。アレー
素子パターンの不均一性の要因としては、電気長差やR
F段の温度特性などによる素子チャンネル個別の給電系
の透過振幅・位相(以後「初期偏差」と呼ぶ)に起因す
る要因と、アレーの放射素子での素子間結合(相互干
渉)に起因する要因とが考えられる。
【0003】これに対し、従来のアレーアンテナでのキ
ャリブレーションは、初期偏差に関する誤差についての
みを補正するものであった。
【0004】図5は、この従来のキャリブレーション法
の構成と動作を説明する図である。このキャリブレーシ
ョン法では、キャリブレーション信号発生器1で発生し
たキャリブレーション信号により送信アンテナ2を駆動
する。この送信アンテナ2は、キャリブレーションの対
象である受信アレーアンテナ3のアレー中心からアレー
ノーマル方向(アレーの中心からアレー面に対して垂直
に延びる方向)に延びる直線上に、送信方向を受信アレ
ーアンテナ3のアレー中心に向けた姿勢で設置する。こ
の受信アレーアンテナ3の各素子の受信信号は、初期偏
差推定装置4に入力される。初期偏差推定装置4は、各
素子の受信信号から、それら各素子チャンネルごとの初
期偏差を推定する。そして、それら各素子の初期偏差に
基づき各素子の出力を校正する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のような従来の初
期偏差を対象としたキャリブレーション法では、素子間
の相互干渉による誤差が考慮されていないため、初期偏
差そのものにも誤差を含むとともに素子間干渉の影響を
補償できない。
【0006】すなわち、初期偏差はアレーアンテナ個別
の素子の振幅と位相のばらつきに依るものであり、また
上記従来方法ではアレーノーマル方向から到来するキャ
リブレーション信号により校正を行っていた。よって、
素子間干渉が存在する場合には、初期偏差推定装置4に
基づく素子パターンの校正では、アレーノーマル方向以
外の角度についての各素子の受信振幅(及び位相)の不
均一性が補償できないという問題があった。例えば図6
の(a)には、4素子からなるアレーアンテナのキャリ
ブレーション前の各素子の素子パターンが、線種の異な
る4つのグラフとして示されている。このアレーアンテ
ナに対して従来の初期偏差推定に基づくキャリブレーシ
ョンを施すと同図(b)に示すようにアレーノーマル
(角度0deg方向)では各素子の受信振幅(及び位相)
が揃うが、別の角度に対する受信振幅等の不均一性は補
償できていないことが分かる。
【0007】受信信号に素子間干渉が残存し素子パター
ンが均一にならないことは、高精度なアレー信号処理
(ビーム形成や到来方向推定処理)の本来の性能を発生
できないこととなり、高精度アレー信号処理アルゴリズ
ムの実用上の重要な課題となっていた。
【0008】この発明は、上記のような課題を解決する
ためになされたものであり、素子間の相互干渉による誤
差成分を推定し、その影響を抑制することで受信アレー
アンテナをよりよく校正することができる受信アレーア
ンテナキャリブレーション装置を提供することを目的と
する。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明に係る受信信号
キャリブレーション装置は、キャリブレーションの対象
である受信アレーアンテナを、そのアレー中心を回転中
心としてアジマス方向に回転させる回転台と、前記受信
アレーアンテナに向けてキャリブレーション信号を送信
する送信アンテナと、前記回転台により前記受信アレー
アンテナのアレーノーマル方向を切り替えつつ前記キャ
リブレーション信号を受信したときの、それら各方向に
ついての受信時の前記受信アレーアンテナの各素子の受
信信号を入力し、それら受信信号群に基づき、それら各
素子の初期偏差誤差と素子間干渉の積である結合行列を
推定する結合行列推定装置と、を備え、推定した前記結
合行列を受信信号に乗じて補正することで前記受信アレ
ーアンテナのキャリブレーションを可能としたものであ
る。
【0010】またこの発明は、前記結合行列推定装置
が、前記受信アレーアンテナを前記各方向に向けた時の
受信信号群から、線形最小二乗法により前記結合行列を
推定することを特徴とするものである。
【0011】またこの発明は、前記回転台による前記受
信アレーアンテナの回転中心の位置を変数として様々に
変えたときの前記結合行列を前記結合行列推定装置に推
定させ、前記各変数に対応する前記結合行列の推定値で
受信信号にそれぞれ補正して得られる補正結果を、所定
の評価関数を用いて評価することで、前記受信アレーア
ンテナの前記回転中心を推定し、この推定した回転中心
に対応する前記結合行列を最も尤もらしい結合行列とし
て求める結合行列推定制御装置、を更に備えるものであ
る。
【0012】またこの発明は、前記評価関数が、推定し
た前記結合行列の対角要素以外の要素の総和の逆数が大
きいほど、評価値が高くなる関数であることを特徴とす
るものである。
【0013】またこの発明は、前記評価関数が、推定し
た前記結合行列で補正した受信信号が示す前記各素子の
素子パターンが均一に近いほど、評価値が高くなる関数
であることを特徴とするものである。
【0014】またこの発明は、前記評価関数が、推定し
た前記結合行列で補正した受信信号から求めたMUSICス
ペクトルのピーク値が高いほど、評価値が高くなる関数
であることを特徴とするものである。
【0015】
【発明の実施の形態】実施の形態1.図1は、この発明
の実施の形態1に係る受信アレーアンテナのキャリブレ
ーション装置の構成を示す図である。
【0016】図1に示すように、このキャリブレーショ
ン装置は、キャリブレーションの対象である受信アレー
アンテナ3を回転させる回転台5を備える。この回転台
5は、受信アレーアンテナ3を、該受信アレーアンテナ
3のアレー中心を軸としてアジマス方向に回転させる台
である。
【0017】送信アンテナ2は、キャリブレーション信
号発生器1で発生したキャリブレーション信号を送信す
るアンテナであり、従来技術と同様のものを用いること
ができる。この送信アンテナ2の送信方向の中心線上に
回転台5の中心(すなわち受信アレーアンテナ3のアレ
ー中心)が位置するよう、回転台5,受信アレーアンテ
ナ3,及び送信アンテナ2の配置が定められている。
【0018】この実施の形態では、回転台5で受信アレ
ーアンテナ3の方向を様々に変えながら、各方向でのキ
ャリブレーション信号を受信し、それら各方向でのキャ
リブレーション信号の受信信号に基づき、受信アレーア
ンテナ3の素子同士の間の相互干渉を示す結合行列を推
定する。結合行列推定装置6は、この結合行列の推定演
算を行うための装置である。結合行列推定装置6には、
受信アレーアンテナ3から各素子の受信信号が、回転台
5からその時の受信アレーアンテナ3の方向を示す情報
が入力される。
【0019】この受信アレーアンテナキャリブレーショ
ン装置では、受信アレーアンテナ3を回転台5の上に設
置し、該アンテナ3の全素子に給電した状態で回転台5
を回転させ、該アンテナ3が各方向を向いているときの
キャリブレーション信号を受信する。そして、その受信
信号から、結合行列推定装置6にて線形最小二乗法にて
結合行列を推定する。このとき、該アンテナ3の素子数
以上の数の異なる方向について受信信号を取得する。素
子数以上の方向の受信信号を用いることで、後述する推
定方法により結合行列を推定できる。なお、ここでの受
信アレーアンテナ3の回転は、結合行列を求めるのに十
分な数の方向について受信信号を得れば足り、素子パタ
ーンを求める場合のように緻密に受信信号を求める必要
はない。
【0020】この実施の形態の手法は、受信アレーアン
テナにおけるシングルモード(single-mode)とよばれ
る素子間の結合が、入射波の複素振幅にのみ依存するも
のであり、その入射角には依存しないという仮定に基づ
いている。この仮定は現実的なものである。すなわち、
初期偏差誤差を表す初期偏差行列は複素定数を対角要素
とする正方行列であり、素子間干渉も複素定数を要素と
する正方行列であるからである。推定対象とする結合行
列は、素子間の干渉を表す相互干渉行列と初期偏差行列
の積である複素定数を要素とする正方行列となる。以
下、この実施の形態1における結合行列推定方式を説明
する。
【0021】まず以下の説明に用いる記号の意味につい
て説明する。以下では、Aをアレーのモードベクトル、
Kを信号入射方向に依存しないsingle-modeの結合行列
とする。また、受信アレーアンテナ3のアレーノーマル
方向を方向nに向けてキャリブレーション信号Sを受信
したときの受信信号データベクトルをX(t)とす
る。このうちモードベクトルAは、周知のようにステア
リングベクトルおよび素子ファクタからなる。ここで、
素子ファクタとしては、アレー素子が単独で孤立した状
態で計測した素子パターン計測データ、あるいは素子パ
ターンの設計値、を用いることができるので、このモー
ドベクトルAは既知として取り扱うことができる。ここ
で、受信アレーアンテナ3の素子数をN、計測サンプリ
ング数をMとすると、受信信号データベクトルXは(N
×M)行列、モードベクトルAは(N×1)行列、結合
行列Kは(N×N)行列、キャリブレーション信号Sは
(1×M)行列となる。回転台5を回転させて受信アレ
ーアンテナ3の方向をL段階に変え、各方向n(n=
1,2,・・・,L)でのキャリブレーション信号を計
測する。ただし、Lは素子数N以上とする。
【0022】方向nでの受信信号データベクトルX
(t)(tは時間)は次のようになる。
【数1】
【0023】ここで、モードベクトルAは次のように
なる。
【数2】
【0024】このうちg(θ)は素子単独での応答特
性であり、ここでは設計値または事前計測した素子単独
パターンを用いるものとする。またA(θ)はステ
アリングベクトルであり、リニアアレーの場合、
【数3】 である。
【0025】ここで、数1に示した受信信号データベク
トル群に右からキャリブレーション信号S(t)の複素
共役転置S(t)をかけると次のようになる。
【数4】
【0026】キャリブレーション信号SをCW波(連続
波)とすると、その複素共役転置S(t)を掛けるこ
とはフーリエ変換に相当する。すなわち、ここでは、各
素子別に受信信号Xにフーリエ変換を施していることに
なる。結合行列の振幅位相の絶対値は不要であるため、
ここでは簡単にS(t)・S(t)=1とした。
【0027】ここで、数4に示したn個の式を次の数5
に示すように一つの行列式に纏めれば、この式からKを
決める操作は、線形最小二乗問題に帰着できる。
【0028】
【数5】 上式を新たに、
【数6】 と書くと、次式に示すように最小二乗法にて、
【数7】 により結合行列Kが推定される(なお、数7の表現では
結合行列の推定値という意味でKに「^」(ハット)を
付したが、以下の記述では繁雑さを避けるため、推定し
た結合行列をハットなしのKで表す)。
【0029】以上、結合行列推定装置6における結合行
列Kの推定手法を説明した。このようにして推定した結
合行列Kの逆行列を受信アレーアンテナ3の受信信号に
かけることで、初期偏差及び素子間干渉の両方が除かれ
た受信信号を得ることができる。したがって、受信アレ
ーアンテナ3を製作した場合、この実施の形態の装置で
その受信アレーアンテナ3の結合行列Kを推定し、受信
アレーアンテナ3の受信信号処理に用いる計算装置にそ
の結合行列Kの逆行列を校正用データとして登録してお
くことで、初期偏差のみならず素子間干渉まで補償する
ことが可能になる。
【0030】実施の形態2.図2は、この発明の実施の
形態2に係るキャリブレーション装置の構成を示すもの
である。この構成は、実施の形態1の装置構成に対し、
回転中心推定装置8を備えた結合行列推定制御装置7を
付け加えたものである。
【0031】結合行列推定装置6は、白色雑音環境では
良い推定性能が期待され、このような環境では実施の形
態1の装置構成でも良好な結合行列推定が可能である。
しかしながら、キャリブレーション対象の受信アレーア
ンテナ3を回転台5に設置したときの設置中心に誤差が
あると、大きな推定誤差が発生することが予想される。
【0032】そこでこの実施の形態2では、受信アレー
アンテナ3の回転中心座標を未知数とした評価関数を設
け、評価関数を探索することで最も尤もらしい回転中心
座標を推定し、この回転中心座標に対応した結合行列を
求めることにより、上記の推定誤差の除去又は低減を図
る。このようにして求めた結合行列の逆行列を受信信号
データにかけることで、初期偏差と素子間干渉が補償さ
れた受信信号データが得られる点は、実施の形態1の場
合と同様である。以下、この方式について詳細に説明す
る。
【0033】この実施の形態では、回転中心推定のため
の評価関数として、結合行列Kの対角要素以外の要素
(素子間結合)の総和の逆数が大きいほど大きい値にな
る次式の評価関数Cを用いる。
【0034】
【数8】 ここで、Θは回転中心座標を表す未知パラメータであ
り、Ki,j(Θ)はパラメータΘを用いて求めた結合
行列K(推定値)の(i,j)要素である。
【0035】次に、結合行列推定制御装置7の処理シー
ケンスを順に説明する。ただし、以下のシーケンスは、
キャリブレーション信号に対し、各方向nについての受
信信号データベクトルX が求められた後に行われ
る。
【0036】1)回転中心座標Θに対応するステアリン
グベクトルA(θ)を求める。
【0037】2)結合行列推定装置6にこのステアリン
グベクトルの情報を渡し、結合行列Kを推定させる。結
合行列推定装置6は、上記数7等の式を用いて結合行列
Kの推定値を求める。
【0038】3)推定した結合行列Kの逆行列を受信信
号データベクトルにかけ、初期偏差および素子間干渉を
補正した受信信号データベクトルを得る。
【0039】4)補正した受信信号データベクトルを用
いて評価関数Cの値を求める。
【0040】5)回転中心座標Θを変数として様々に変
えながら、上記1)〜4)のステップを繰り返し実行
し、回転中心座標Θを変数とした評価関数Cの分布を
求める。
【0041】6)この評価関数分布を回転中心推定装置
8に渡し、受信アレーアンテナ3の回転中心を推定させ
る。回転中心推定装置8は、その評価関数分布から、評
価関数Cが最大となる変数Θを求め、これを回転中心
座標の推定値として結合行列推定制御装置7に返す。
【0042】このようにして受信アレーアンテナ3の回
転中心座標Θが推定されると、この回転中心座標Θのと
きに数7により求めた結合行列の推定値が、当該受信ア
レーアンテナ3に対応する最も尤もらしい結合行列とし
て得られる。
【0043】図3は、評価関数Cの分布の例を示すも
のである。この図は、受信アレーアンテナ3の回転中心
を、該アンテナの左右(x軸)および、前後(z軸)に
それぞれ、0.3λ、-0.6λだけずらして設置して計測
を行った場合において、回転中心座標Θをその位置から
各±1λの範囲で変化させて求めた評価関数Cの分布
を(a)コンタマップと(b)鳥かん図として表現した
ものである。ここで、λは波長である。図3から分かる
ように、この例では、0.3λ、-0.6λの位置の評価関
数値が最大となっており、回転中心座標が正確に推定さ
れていることが分かる。
【0044】この回転中心座標の誤差を考慮して、数3
に示したアレーのモードベクトルを調整することで、受
信アレーアンテナ3の回転中心に誤差がある場合でも、
数7の線形最小二乗法により結合行列Kを正しく推定す
ることができる。
【0045】図4は、この実施の形態による回転中心推
定の効果を示す図である。この図には、4素子からなる
受信アレーアンテナ3について、(a)補正前の振幅に
ついての素子パターン、(b)結合行列推定装置6のみ
を用いて推定した結合行列により補正した後の素子パタ
ーン、(c)この実施の形態の回転中心推定に基づき推
定した結合行列で補正した後の素子パターン、をそれぞ
れ示す。なお、補正前の素子パターンは、図6に示した
従来の補正前の素子パターン(a)と同じである。この
図に示すように、結合行列推定装置6のみでは回転中心
がずれているとかえって素子パターンが悪化する場合が
あるが、この実施の形態のように回転中心推定を組み合
わせることにより、正確に結合行列が推定でき、初期偏
差および素子間干渉が補償されて均一な素子パターンが
得られる。
【0046】また、この実施の形態では、前述のよう
に、結合行列Kの対角要素以外の要素(素子間結合)の
総和の逆数が大きいほど大きい値になる評価関数を用い
たので、素子間結合が最も小さくなるように回転中心を
求めることができ、それに応じた結合行列を求めること
ができる。
【0047】次に、上記実施の形態2の変形例1を説明
する。この変形例1は、装置構成は実施の形態2と同じ
でよく、評価関数のみ実施の形態2と異なるものを用い
る。
【0048】この変形例1では、評価関数として、推定
した結合行列Kの逆行列で補正した各素子パターンが均
一に近いほど大きくなる関数を採用する。このような評
価関数の一例として、ここでは次式に示す評価関数C
を用いる。
【数9】 この評価関数Cの定義式において、X は、受信ア
レーアンテナ3のアレーノーマル方向をある方向l(l
は1〜Lの整数)に向けたときの受信信号データベクト
ルである。また、[K(Θ)−1は、回転中心
座標をΘとして上述の方法で推定した結合行列Kの逆行
列K−1を、方向lのときの受信信号データベクトルX
にかけて得られる校正済みの受信データベクトルにお
ける、素子nの成分を示す。したがって、AvELM
(l)は、方向lのときの校正済みの受信信号データベ
クトルにおける各素子nの成分を全素子について平均し
た平均値を示す。ここで、受信アレーアンテナ3の向き
lを方向1〜LまでL段階に変えながら受信した結果を
各素子ごとに見れば、当該素子の素子パターン(図6等
を参照)においてL個の角度の値をとったものと等価と
見なせる。したがって、AvELM(l)は、素子パタ
ーン群における、ある方向lに対する各素子の値の平均
と見なすことができる。一方、評価関数Cにおいて、
nについての総和演算は、方向lについての校正した受
信信号ベクトルの素子nの成分とその平均AvELM
(l)との差を各素子について総和したものである。こ
れを全方向lについて総和することで、各素子について
の素子パターンの平均からのずれ量の総和に相当する値
を求めることができる。この値は、各素子の素子パター
ンのずれが小さいほど小さい値になる。したがって、こ
の値の逆数である評価関数C は、各素子の素子パター
ンが均一に近いほど大きい値となる関数といえる。
【0049】このように、評価関数Cは、結合行列に
より補正した各素子パターンが、その平均値に近いほ
ど、すなわち均一に近いほど、評価値が高くなる関数で
ある。したがって、このような評価関数Cを用いるこ
とにより、素子パターンの均一性が高くなる尤もらしい
回転中心を推定することができ、それに応じた結合行列
を求めることができる。
【0050】次に上記実施の形態2の変形例2を説明す
る。この変形例2は、装置構成は実施の形態2と同じで
よく、評価関数のみ実施の形態2と異なるものを用い
る。
【0051】この変形例2では、評価関数として、推定
した結合行列Kの逆行列で補正した受信信号データベク
トルXの、アレーノーマル方向でのデータから求めたMU
SICスペクトルのピーク値が大きいほど大きくなる評価
関数Cを採用したものである。この評価関数Cの例
を次式に示す。
【0052】
【数10】 ここで、
【数11】 であり、
【数12】 は、推定した結合行列Kの逆行列で補正した受信信号デ
ータベクトルのアレーノーマル方向のデータ(すなわち
−1)についての雑音固有ベクトルである。ここ
で、lはアレーノーマル方向を表す。
【0053】なお、アレーノーマル方向だけでなく、全
ての角度方向で求めた数10の総和が大きいほど値の大
きくなる評価関数を採用することも可能である。この場
合、計算に要する時間が長くなるが、より適切な回転中
心を求めることができる。
【0054】このようにMUSICスペクトルを考慮した評
価関数Cを用いることにより、MUSICスペクトルのピ
ーク値が大きくなるように回転中心を推定することがで
き、それに応じた結合行列を求めることができる。
【0055】
【発明の効果】この発明によれば、初期偏差のみならず
素子間結合による干渉を含めた受信アレーアンテナの誤
差を、結合行列の形で推定できる。したがって、推定し
た結合行列の逆行列を受信信号にかけることで、初期偏
差および素子間の干渉の無い受信信号を得ることができ
るという効果がある。
【0056】またこの発明によれば、回転台により方向
を変えたときの受信信号群から、線形最小二乗法によ
り、結合行列を推定することができる。
【0057】またこの発明によれば、回転台の回転中心
に誤差があっても、結合行列推定制御装置により最も尤
もらしい回転中心を推定することができ、その推定した
回転中心に対応する結合行列を求めることで、本来必要
な結合行列を正しく推定可能となる。
【0058】またこの発明によれば、推定した結合行列
の対角要素以外の要素(素子間結合による成分)の総和
の逆数が大きい(すなわち素子間結合が最も小さくな
る)ほど評価値が高くなる評価関数を用いることで、尤
もらしい回転中心を推定することができる。
【0059】またこの発明によれば、推定した結合行列
で補正した受信信号が示す前記各素子の素子パターンが
均一に近いほど評価値が高くなる評価関数を用いること
で、尤もらしい回転中心を推定することができる。
【0060】またこの発明によれば、推定した前記結合
行列で補正した受信信号から求めたMUSICスペクトルの
ピーク値が高いほど評価値が高くなる評価関数を用いて
回転中心を推定することで、尤もらしい回転中心を推定
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態1に係る装置構成を示す図であ
る。
【図2】 実施の形態2及び変形例1、2に係る装置構
成を示す図である。
【図3】 回転中心を変数として様々に変えたときに得
られる評価関数値の分布の例を示す図である。
【図4】 回転中心推定の効果を説明するための図であ
る。
【図5】 従来の受信アレーアンテナキャリブレーショ
ン装置の装置構成を示す図である。
【図6】 初期偏差のみを補正する従来のキャリブレー
ション法の効果を説明する図である。
【符号の説明】
1 キャリブレーション信号発生器、2 送信アンテ
ナ、3 受信アレーアンテナ、4 初期偏差推定装置、
5 回転台、6 結合行列推定装置、7 結合行列推定
制御装置、8 回転中心推定装置。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 キャリブレーションの対象である受信ア
    レーアンテナを、そのアレー中心を回転中心としてアジ
    マス方向に回転させる回転台と、 前記受信アレーアンテナに向けてキャリブレーション信
    号を送信する送信アンテナと、 前記回転台により前記受信アレーアンテナのアレーノー
    マル方向を切り替えつつ前記キャリブレーション信号を
    受信したときの、それら各方向についての受信時の前記
    受信アレーアンテナの各素子の受信信号を入力し、それ
    ら受信信号群に基づき、それら各素子の初期偏差誤差と
    素子間干渉の積である結合行列を推定する結合行列推定
    装置と、 を備え、推定した前記結合行列を受信信号に乗じて補正
    することで前記受信アレーアンテナのキャリブレーショ
    ンを可能とした受信アレーアンテナキャリブレーション
    装置。
  2. 【請求項2】 前記結合行列推定装置は、前記受信アレ
    ーアンテナを前記各方向に向けた時の受信信号群から、
    線形最小二乗法により前記結合行列を推定することを特
    徴とする請求項1に記載の受信アレーアンテナキャリブ
    レーション装置。
  3. 【請求項3】 前記回転台による前記受信アレーアンテ
    ナの回転中心の位置を変数として様々に変えたときの前
    記結合行列を前記結合行列推定装置に推定させ、前記各
    変数に対応する前記結合行列の推定値で受信信号にそれ
    ぞれ補正して得られる補正結果を、所定の評価関数を用
    いて評価することで、前記受信アレーアンテナの前記回
    転中心を推定し、この推定した回転中心に対応する前記
    結合行列を最も尤もらしい結合行列として求める結合行
    列推定制御装置、 を更に備える請求項1又は2に記載の受信アレーアンテ
    ナキャリブレーション装置。
  4. 【請求項4】 前記評価関数は、推定した前記結合行列
    の対角要素以外の要素の総和の逆数が大きいほど、評価
    値が高くなる関数であることを特徴とする請求項3記載
    の受信アレーアンテナキャリブレーション装置。
  5. 【請求項5】 前記評価関数は、推定した前記結合行列
    で補正した受信信号が示す前記各素子の素子パターンが
    均一に近いほど、評価値が高くなる関数であることを特
    徴とする請求項3記載の受信アレーアンテナキャリブレ
    ーション装置。
  6. 【請求項6】 前記評価関数は、推定した前記結合行列
    で補正した受信信号から求めたMUSICスペクトルのピー
    ク値が高いほど、評価値が高くなる関数であることを特
    徴とする請求項3記載の受信アレーアンテナキャリブレ
    ーション装置。
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