JP2006304205A - アンテナ位相較正装置及びそれを用いた追尾アンテナ装置 - Google Patents

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和彦 光山
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Abstract

【課題】 アンテナ素子やケーブルの個体差による各系統のアンテナ素子間の位相較正を行うことができるアンテナ位相較正装置及びそれを用いた追尾アンテナ装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 互いに隣接し基準となるアンテナ素子間の見かけ上の位相差を零とする初期較正を行う初期較正手段24,33と、初期較正を行った前記基準となるアンテナ素子それぞれとこれに隣接する他のアンテナ素子との間の見かけ上の位相差を検出し、検出した見かけ上の位相差から基準となるアンテナ素子間の真の位相差である基準位相差を算出する位相差検出手段25,52と、全ての隣接するアンテナ素子間の見かけ上の位相差が前記基準位相差の符号を逆にした値となるよう各系統のアンテナ素子の位相調整を行う位相調整手段16を有する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、アンテナ位相較正装置及びそれを用いた追尾アンテナ装置に関し、特に、アレーアンテナのアンテナ素子間位相差を較正するアンテナ位相較正装置及びそれを用いた追尾アンテナ装置に関する。
従来から、受信特性の改善を目的として、電波の到来方向にアンテナビームを電子的に走査して追尾するフェーズドアレーアンテナシステムが提案されている。受信側でフェーズドアレーアンテナシステムを構築する場合、到来してくる電波の方向を推定する技術や、推定した方向に正確にアンテナビームを向ける技術には、複数系統のアンテナ素子間の位相較正を行うことが受信特性の改善効果を上げるのに重要である。
正確に電波の到来方向を推定し、アンテナビームを向けるためには、複数系統のアンテナ素子間の電気長が等しいことが理想である。しかし、実際には電力増幅器などの高周波回路部品の個々の特性や、周囲の温度、経時変化などによっても特性が変化するために、電波到来方向の推定精度の悪化や、アンテナビーム方向が理想値とずれる原因となる。
こうしたアンテナ素子聞の位相ずれの較正方法として、アンテナ装置内に較正用の無変調基準信号源を備え、この較正用の基準信号をアレーアンテナの各アンテナ素子の近傍に設けた給電線から、特性が既知の方向性結合器を経由して各アンテナ素子に入カし、複数系統のアンテナ素子間の位相差を検出して較正する方法がある(非特許文献1参照)。
一方、アンテナ素子の位相のばらつきも含めた較正方法として、遠方界から到来し方向が既知の信号を受信して、各系統の移相器を順次回転させ、アレーアンテナの全合成出力電力を測定して較正する方法がある(非特許文献2参照)。
"Digital Beamforming for Rader System",MICROWAVEJOURNAL,JAN,1989,pp.121−136 真野 片木「フェーズドアレーアンテナの素子振幅位相測定法」電子情報通信学会論文誌(B)Vol.J−65B,No.5,pp555−560
非特許文献1の技術では、アンテナ装置内で各受信系統のアンテナ素子間の位相較正を行う場合に、較正用の特別な基準信号や装置が必要であり、装置が複雑となるという問題がある。また、較正時には通常の信号伝送を中断する必要がある。また、アンテナ近傍の給電線から基準信号が入力されるため、アンテナ素子そのものや、アンテナ素子と送信機または受信機の間に接続されるケーブルの影響などは含まれないため、それらの個体差による位相ずれの較正を行うことはできないという問題があった。
非特許文献2の技術では、遠方界からの信号を用いて較正を行う場合、較正用の基準信号を送信でき、かつ、見通し内で方向が既知の基準局を設置する必要があった。また、実際の運用中などで、SNRが小さく、マルチパス波が多数存在する複雑な伝搬環境において、劣化した受信信号をそのまま用いて合成出力電力により較正を行うことは困難であるという問題があった。
本発明は、上記の点に鑑みなされたもので、アンテナ素子やケーブルの個体差による各系統のアンテナ素子間の位相較正を行うことができるアンテナ位相較正装置及びそれを用いた追尾アンテナ装置を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、複数系統のアンテナ素子で構成されるアレーアンテナのアンテナ素子間位相差を較正するアンテナ位相較正装置において、
互いに隣接し基準となるアンテナ素子間の見かけ上の位相差を零とする初期較正を行う初期較正手段と、
前記初期較正を行った前記基準となるアンテナ素子それぞれとこれに隣接する他のアンテナ素子との間の見かけ上の位相差を検出し、前記見かけ上の位相差から前記基準となるアンテナ素子間の真の位相差である基準位相差を算出する位相差検出手段と、
全ての隣接するアンテナ素子間の見かけ上の位相差が前記基準位相差の符号を逆にした値となるよう各系統のアンテナ素子の位相調整を行う位相調整手段を有することにより、アンテナ素子やケーブルの個体差による各系統のアンテナ素子間の位相較正を行うことができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1記載のアンテナ位相較正装置において、
前記複数系統のアンテナ素子を切り替えて前記初期較正手段及び位相差検出手段に供給する切り替え手段を有する。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2記載のアンテナ位相較正装置と、
前記位相差検出手段で検出した位相差から電波の到来方向を推定する到来方向推定手段と、
推定された前記電波の到来方向に前記アレーアンテナの主ビームを向けるビーム制御手段と、
前記推定された前記電波の到来方向に主ビームを向けたアレーアンテナの複数系統のアンテナ素子それぞれの受信信号を合成する合成手段を有することにより、アンテナ位相較正装置と追尾アンテナ装置で回路を共用することができ、アンテナ位相較正装置として特別な回路を必要としない。
請求項4に記載の発明は、請求項3記載の追尾アンテナ装置において、
前記到来方向推定手段は、直交周波数分割多重方式で変調されたパイロットキャリア信号を含む信号から電波の到来方向を推定することにより、SNRが小さい信号や、マルチパス環境下で劣化した信号であっても、正確にアンテナ素子間位相差を測定して較正することが可能となり、位相較正処理を到来方向推定の較正制御処理と同時に実施することができ、較正用の特別な基準信号などは必要なく、伝送しながら位相較正を行うことができる。
本発明によればアンテナ素子やケーブルの個体差による各系統のアンテナ素子間の位相較正を行うことができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明のアンテナ位相較正装置を用いた追尾アンテナ装置の一実施形態のブロック図を示す。同図中、リニアアレーアンテナを構成する4系統のアンテナ素子10〜10それぞれの間隔はdとされている。
アンテナ素子10〜10それぞれの受信信号は低雑音電力増幅器11〜11で増幅されたのちカプラ12〜12で分岐されて切り替えスイッチ13の端子a〜aに供給される一方、ビーム制御部14に供給される。
ビーム制御部14は、追尾制御部15の到来方向推定結果に基づいて内蔵の可変移相器を制御し、アンテナビームを走査させる。ビーム制御部14の出力信号は位相調整部16に供給される。
位相調整部16は、追尾制御部15の制御により移相器P1〜P4を調整して各系統間の位相調整を行う。位相調整部16の出力する各系統の信号はカプラ17〜17で分岐されて切り替えスイッチ13の端子c〜cに供給される一方、合成回路部18に供給される。合成回路部18は、全受信系統の信号を合成して出力する。
切り替えスイッチ13は、端子a〜aまたは端子c〜cのいずれかを選択して端子e,eに接続する。端子e,eは追尾制御部15に接続されている。
ここで、位相較正時は、ビーム制御部14の可変移相器の移相量は固定され、追尾開始後は、位相調整部16の移相器P1〜P4の移相量は固定される。
図2は、追尾制御部15の一実施形態のブロック図を示す。同図中、周波数変換部21,22は切り替えスイッチ13から入力された2系統の信号をデジタル信号処理可能な周波数に変換する。
到来方向推定装置23内の初期較正部24は、機器の特性や伝搬環境による信号劣化を補正すると共に、周波数変換部21,22の出力する2系統の信号の位相差を見かけ上零にセットする2系統の較正係数(Hx)を生成して内部メモリに保持し、この較正係数を位相差検出部25に供給する。
位相差検出部25は、周波数変換部21,22の出力する2系統の信号を初期較正部24からの2系統の較正係数で較正したのち、2系統の信号の位相差を検出して到来方向推定部26に供給すると共に、位相調整部16に制御信号を供給する。
到来方向推定部26は、2系統の信号の位相差から到来方向を推定する。そして、ビーム制御部14に制御信号を供給する。
カプラ12〜12,17〜17は個々の特性が揃えられており、カプラ12〜12から切り替えスイッチ13までの路長は全て等しく、カプラ17〜17から切り替えスイッチ13までの路長は全て等しく、分岐後に各系統間で位相差は生じないものとする。
なお、製作過程で位相差が生じる場合であっても、ネットワークアナライザなどで測定して、それらの値が既知であれば、演算処理時に補正して相殺することは可能である。
ここで、図3に示すように、電波の到来方向に起因するアンテナ素子間位相差をφとし、ケーブルや低雑音電力増幅器11〜11などの個々の特性の違いなどで生じる各系統間の位相差をφ12,φ23,φ34とすると、追尾制御部15に入力される各系統間の位相差φa12,φa23,φa34は、それぞれφa12=φ+φ12、φa23=φ+φ23、φa34=φ+φ34となる。
各アンテナ素子間隔dは全て等しいため、電波の到来方向θに起因するアンテナ素子間位相差φは等しく、次式で表される。
φ=2πdsinθ/λ
なお、dはアン子ナ素子間隔、θは電波の到来方向、λは電波の波長を表す。
図4は、到来方向推定の初期較正からフェーズドアレーアンテナの位相較正及び追尾開始までのフローチャートを示す。
まず、基準となるアンテナ素子10,10間の真の位相差φa12を測定するための手順について説明する。最初におおよそアンテナのボアサイト方向(θ≒0)から電波を受信する。このとき、正確にボアサイト方向(θ=0〉である必要はない。
ステップS1において、切り替えスイッチ13の端子e,a間、端子e,a間を接続し、到来方向推定における基準方向(推定値0度とする方向)とするため、到来方向推定装置23の初期較正部24で2系統の較正係数を生成して内部メモリに保持し、以降、この2系統の較正係数を位相差検出部25に供給することで初期較正を行う。
ここでは、後述のように、2系統の受信信号それぞれから抽出したパイロット信号のIQ座標値を既知パイロット信号のIQ座標値で複素除算して2系統の較正係数を得る。これ以降、2系統の受信信号は上記2系統の較正係数でそれぞれ複素除算されることで較正される。
このとき、端子a,a間の真の位相差φa12は上記のようにφa12=φ+φ12であるが、周波数変換部21,22の出力する2系統の信号は2系統の較正係数で除算されることにより、位相差検出部25が出力する見かけ上の位相差はφ’a12=0となる。
次に、ステップS2で、切り替えスイッチ13の端子e,a間、端子e,a間を接続し、端子a,a間の見かけ上の位相差を位相差検出部25で測定して内部メモリに保持する。なお、周波数変換部21,22の出力する2系統の信号はステップS1で得られた2系統の較正係数で除算される。
真の位相差φa23はφa23=φ+φ23であるから、見かけ上の位相差φ’a23は初期較正時のオフセット量を差し引いて、次式のようになる。
φ’a23=φ+φ23−(φ+φ12
=φ23−φ12
さらに、切り替えスイッチ13の端子e,a間、端子e,a間を接続し、端子a,a間の見かけ上の位相差を位相差検出部25で測定して内部メモリに保持する。なお、周波数変換部21,22の出力する2系統の信号はステップS1で得られた2系統の較正係数で除算される。
端子a,a間の位相差は素子結合の影響が小さく、端子a,a間の位相差と端子a,a間の位相差の単純和となる場合、真の位相差φa13は、
φa13=φa12+φa23
=2φ+φ12+φ23
であるから、端子a,a間の見かけ上の位相差φ’a13は次式のようになる。
φ’a13=2φ+φ12+φ23−(φ+φ12
=φ+φ23
=φa23
つまり、見かけ上の位相差φ’a13は端子a,a間の真の位相差を示している。
次に、ステップS3で端子a,a間の真の位相差φa12を算出する。端子a,a間の見かけ上の位相差φ’a13から端子a,a間の見かけ上の位相差φ’a23との差をとると、次式のようになり、端子a,a間の真の位相差φa12が得られる。
φa23−φ’a23=φ+φ23−(φ23−φ12
=φ+φ12
=φa12
従って、系統間の位相差を0とするためには、位相差検出部25で測定した見かけ上の位相差が−φa12となるように以下に示す位相調整をすればよい。この真の位相差φa12は位相差検出部25の内部メモリに保持しておく。
なお、基準をアンテナ素子10,10間としたが、他のアンテナ素子(例えば10,10)間を基準としてもよい。その場合、上記に示した見かけ上の位相差の測定は、基準とした2つのアンテナ素子(例えば10,10)と隣接する残りの1つのアンテナ素子(例えば10)間で行うことになる。また、素子数がn(nは5以上の整数)のアレーアンテナにおいても、上記の手順は同じである。
次に、ビーム制御部14の各可変移相器をすべて同じ移相値0とし、アンテナビームの基準方向(ビーム制御0度とする方向)を設定する。以下に示す位相調整では、このビーム制御0度とする方向が到来方向推定における基準方向に一致するよう調整される。この設定は、ステップS4で位相調整部16の調整を実施する以前であれば、どの段階で実施しても構わない。
受信している信号を同位相で合成するために、ステップS4で以下の手順により位相調整を行う。まず、切り替えスイッチ13の端子e,c間、端子e,c間を接続し、位相差検出部25で周波数変換部21,22の出力する2系統の信号を2系統の較正係数で除算したのち端子c,c間の位相差を検出し、端子c,c間の見かけ上の位相差φ’c12がステップS3で求めた−φa12となるように位相調整部16の位相調整器P2を調整する。これにより、端子c,c間の真の位相差は0、つまり端子c,cにおける信号は同相になる,
次に、切り替えスイッチ13の端子e,c間、端子e,c間を接続し、位相差検出部25で周波数変換部21,22の出力する2系統の信号を2系統の較正係数で除算したのち端子c,c間の位相差を検出し、端子c,c間の見かけ上の位相差φ’c23が−φa12となるように位相調整部16の位相調整器P3を調整する。
更に、切り替えスイッチ13の端子e,c間、端子e,c間を接続し、位相差検出部25で周波数変換部21,22の出力する2系統の信号を2系統の較正係数で除算したのち端子c,c間の位相差を検出し、端子c,c間の見かけ上の位相差φ’c34が−φa12となるように位相調整部16の位相調整器P4を調整する。
以上により、各系統のアンテナ素子間の位相差は合成回路18の直前で全て0となり、同位相で合成される。上記手順は、素子数がnのアレーアンテナにおいても、同様にして各系統を全て同相化することができる。
なお、測定した真の位相差φa12をそのまま保持し、この値となるように位相調整を行うと説明したが、例えば、位相差検出部25から出力される見かけ上の位相差に、オフセット量φa12を加算すれば、各系統での位相調整を真の位相差で調整することもできる。
以上の手順により、上記処理を行っている際に到来してくる電波の方向を、到来方向推定における基準方向(推定値0度とする方向)として設定するとともに、系統間の位相ずれを較正して同相合成することで、フェーズドアレーアンテナの主ビームの基準方向(ビーム制御0度とする方向)と一致させ、図5に示すように、推定方向に正確に主ビームを向けることができる。
この後、ステップS5で、切り替えスイッチ13の端子e,a間、端子e,a間を接続し、位相差検出部25で周波数変換部21,22の出力する2系統の信号を2系統の較正係数で除算したのち端子a,a間の位相差を検出して、到来方向推定部26に供給する。
到来方向推定部26は端子a,a間の見かけ上の位相差φ’a12から電波の到来方向を推定し、ステップS6で推定した到来方向にフェーズドアレーアンテナの主ビームの基準方向を一致させるようビーム制御部14に制御信号を供給する。図6は、電波の到来方向が図5に示す状態から−θだけ変化した場合の追尾の様子を示している。
このようにして、各系統のアンテナ素子の位相較正を実施することができ、また、アンテナ素子間位相差を正確に求める到来方向推定装置23の初期較正部24と位相差検出部25を利用することで、位相較正用の特別な回路を必要としない。
到来方向推定装置23の一実施形態について、図7に示すブロック図を用いて説明する。到来方向推定方法としては、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)信号に含まれるパイロット信号を使用する。
この到来方向推定方法で必要となる受信系統は2系統のみであり、2つのアンテナ素子間の位相差を1シンボルに含まれるパイロット信号の位相回転量から求め、到来方向に換算することが特徴である。
例えば、「テレビジョン放送番組素材伝送用可搬形OFDM方式デジタル無線伝送システム」ARIB STD−B33に記載された形式のOFDM信号では、CP(Continual Pilot)等のパイロット信号が、帯域全体に渡って挿入されているため、上記パイロット信号を使用することで、マルチパスが存在する伝搬環境においても、希望波1波のみの到来方向を高精度に推定することができる。
例えば切り替えスイッチ13の端子e,a間、端子e,a間を接続した場合に、周波数変換部21,22の出力する2系統の信号をシンボル単位でアナログ/デジタル変換したのち直交復調し、シンボル単位の復調信号をFFT(Fast Fourier Transform)演算によってフーリエ変換することにより、時間領域の信号から周波数領域の信号に変換された信号が、図7の端子30,30からパイロット抽出部31,31に供給される。
ここで、周波数領域のOFDM信号は、互いに直交する全K(Kは例えば857)本のキャリア(搬送波)の中に、一定数Q(Qは例えば8)本の搬送波毎にパイロットキャリア(CP:Continual Pilot)がP(Pは例えば108)本挿入されている。このP本のパイロットキャリアはキャリア番号iに相当するWiの値(1または0)に従って、BPSK変調されている。なお、上記Wiの値はPN(Pseudorandom Noise)系列で規定されている。
パイロット抽出部31,31は、上記P本のパイロット信号を抽出して補正部32,32及び初期較正部33に供給する。補正部32,32それぞれは、抽出されたパイロット信号を初期較正部33から供給される較正係数で複素除算することにより較正する。
図8は、初期較正部33それぞれのブロック図を示す。初期較正時には、到来方向の基準となる位置に送受のアンテナを対面して設置し、通常の伝送時と同じCP信号を含むOFDM信号を伝送する。このOFDM信号を受信して、パイロット抽出部31,31それぞれで抽出したパイロット信号のIQ座標値(複素数Pr)を初期較正部33内の複素除算部40に供給する。
既知パイロット発生部41は抽出したパイロット信号の基準となる既知パイロット信号のIQ座標値(複素数Pt)を発生している。複素除算部40はパイロット抽出部31,31それぞれで抽出したパイロット信号のIQ座標値(複素数Pr)を既知パイロット信号のIQ座標値で複素除算し、2系統の較正係数(複素数Hx=Pr/Pt)として較正係数保持部42に保持する。
伝送時には、パイロット抽出部31,31それぞれで抽出した複数のキャリアのパイロット信号のIQ座標値(複素数Pr)を補正部32,32において、初期較正部33内の較正係数保持部42から供給される2系統の較正係数(Hx)で複素除算することで較正する。
これにより、周波数変換部21,22,A/D変換部,直交復調部,FFT演算部,パイロット抽出部31,31それぞれのパイロット信号に対する振幅・位相特性が較正される。
ところで、初期較正部33では、較正を行った時点の到来方向に起因するアンテナ素子間の信号位相差や個々の受信系統の特性の違いによる位相差を全て含めて、見かけ上0となるような較正係数が取得される。
つまり、初期較正部33においては、マルチパス波や雑音などの影響を抑圧できる一方で、両系統間の位相差まで0とみなす較正係数が得られる。例えば、両系統間の真の位相差がpである場合に較正係数を取得すると、初期較正後の見かけ上の位相差は0(真の位相差−p)となる。さらに、到来角が変化して真の位相差がp+qとなった場合には、見かけ上の位相差はq(=真の位相差−p=p+q−p)となる。
補正部32,32で補正された各パイロット信号をIFFT(Inverse FFT)演算部45,45に供給して、シンボル単位で逆フーリエ変換することにより、周波数領域の信号から時間領域の信号に変換する。
一方、既知パイロット発生部48で発生した既知パイロット信号をIFFT演算部49によりシンボル単位で逆フーリエ変換することにより、周波数領域から時間領域へ変換し、相互相関部46,46でシンボル区間にわたってIFFT演算部45,45の出力する受信パイロット信号の時間領域信号と既知パイロット信号の時間領域信号との相互相関値を求める。
相互相関部46,46の出力する2系統の相互相関値は正規化部50,50で正規化されて方向ベクトル生成部51に供給され、ここで、2系統の相互相関値を要素とする要素数2の列ベクトルを、受信波の方向を指し示す方向ベクトルとして生成する。
本発明では、「テレビジョン放送番組素材伝送用可搬形OFDM方式デジタル無線伝送システム」ARIB STD−B33に記載されているPN系列で規定されているOFDMの参照パイロット信号を使用する場合、相互相関を求める際に鋭い時間ピーク特性が得られ、高精度の到来方向推定結果を得ることができる。
ここで、数式を用いて上記手順を説明する。受信OFDM信号のパイロット信号の入力複素ベクトルXは(1)式で表される。
Figure 2006304205
但し、sは希望波、hは希望波の方向ベクトル、cはi番目の相関性干渉波、hc,iはi番目の相関性干渉波の方向ベクトル、uはj番目の非相関性干渉波、hu,jはj番目の非相関性干渉波の方向ベクトル、nは熱雑音である。
ここで、相関性干渉波とはマルチパス、非相関性干渉波とはマルチパス以外の妨害波を意味する。一方、参照パイロット信号をrとし、r=sとする。入力複素ベクトルXと参照パイロット信号rの共役複素数r(つまりs)との相関ベクトルrxrは(2)式で表される。なお、E[]は[]内の時間平均を表す。
Figure 2006304205
伝搬路に相関性干渉波が存在しない場合または無視できる場合、(2)式は次のように近似できる。
xr≒E[|s|]h
この相関ベクトルrxrを正規化した値を要素とする要素数2の方向ベクトルを得る。
方向ベクトルは受信波の到来角情報を有しており、位相差検出部52で上記の方向ベクトルからアンテナ素子10,10間の位相差を求め端子54から出力する。さらに、到来角推定部53で受信波の到来方向推定値を求め端子55から出力する。
なお、アンテナ素子10,10間隔はOFDM信号電波の半波長以下で、位相回転差分に対して、到来方向がただ1つ特定できる範囲であるものとする。
上記位相差検出部52では、到来角推定部53での到来方向推定のほか、図2の位相差検出部25と同様に、切り替えスイッチ13の端子a,a間、端子a,a間、端子a,a間それぞれの見かけ上の位相差を検出して真の位相差φa12を算出し、切り替えスイッチ13の端子c,c間、端子c,c間、端子c,c間それぞれの見かけ上の位相差が−φa12となるように位相調整部16の位相調整器P2,P3,P4を調整する制御信号を出力する。
ところで、図1に示すビーム制御部14は、指向性制御部と、アンテナ素子10〜10それぞれの受信信号に対応して設けられた4系統の可変減衰器及び可変移相器よりなる。なお、可変減衰器は必ずしも設ける必要はなく、少なくとも4系統の可変移相器があればよい。
指向性制御部は、到来方向推定部26で推定された到来角に基づき、指向性制御部で保持している到来角対重みテーブルを参照し、4系統の受信高周波信号に対して可変減衰器と可変移相器で適切な重みを付け、合成回路部18で合成する。
この到来角対重みのテーブルは、例えばアンテナの形状、種類に応じて、予め用意されており、希望波の方向にメインビームを向けるような適切な重みを4系統の可変減衰器と可変移相器に与える。
なお、上記実施形態では、リニアアレーアンテナで説明したが、アンテナ素子が2次元配置された平面アレーアンテナなどに適用可能で、2次元の到来方向を拡張して推定することができる。
このように、位相較正装置を、OFDM信号を利用した到来方向推定装置と組み合わせることで、SNR(Signal to Noise Ratio)が小さい信号や、マルチパス環境下で劣化した信号であっても、正確にアンテナ素子間位相差を測定して較正することが可能であり、位相較正処理を到来方向推定の較正制御処理と同時に実施することが可能である。この場合、通常の伝送で使用するデータを含んだOFDM信号をそのまま利用するため、較正用の特別な基準信号などは必要なく、伝送しながら位相較正を行うことができる。
なお、真の位相差φa12が請求項記載の基準位相差に相当し、初期較正部24,33が請求項記載の初期較正手段に相当し、位相差検出部25,52が位相差検出手段に相当し、位相調整部16が位相調整手段に相当し、切り替えスイッチ13が切り替え手段に相当し、到来方向推定部26が到来方向推定手段に相当し、ビーム制御部14がビーム制御手段に相当し、合成回路部18が合成手段に相当する。
本発明のアンテナ位相較正装置を用いた追尾アンテナ装置の一実施形態のブロック図である。 追尾制御部の一実施形態のブロック図である。 アンテナ素子間位相差を説明するための図である。 到来方向推定の初期較正からフェーズドアレーアンテナの位相較正及び追尾のフローチャートである。 較正終了時の様子を示す図である。 到来方向変化した場合の追尾の様子を示す図である。 到来方向推定装置の一実施形態のブロック図である。 初期較正部のブロック図である。
符号の説明
10〜10 アンテナ素子
11〜11 低雑音電力増幅器
12〜12,17〜17 カプラ
13 切り替えスイッチ
14 ビーム制御部
15 追尾制御部
16 位相調整部
18 合成回路部
21,22 周波数変換部
23 到来方向推定装置
24,33 初期較正部
25 位相差検出部
26 到来方向推定部
31,31 パイロット抽出部
32,32 補正部
40 複素除算部
41,48 既知パイロット発生部
42 較正係数保持部
45,45 IFFT演算部
46,46 相互相関部
50,50 正規化部
51 方向ベクトル生成部
52 位相差検出部
53 到来角推定部

Claims (4)

  1. 複数系統のアンテナ素子で構成されるアレーアンテナのアンテナ素子間位相差を較正するアンテナ位相較正装置において、
    互いに隣接し基準となるアンテナ素子間の見かけ上の位相差を零とする初期較正を行う初期較正手段と、
    前記初期較正を行った前記基準となるアンテナ素子それぞれとこれに隣接する他のアンテナ素子との間の見かけ上の位相差を検出し、検出した前記見かけ上の位相差から前記基準となるアンテナ素子間の真の位相差である基準位相差を算出する位相差検出手段と、
    全ての隣接するアンテナ素子間の見かけ上の位相差が前記基準位相差の符号を逆にした値となるよう各系統のアンテナ素子の位相調整を行う位相調整手段を
    有することを特徴とするアンテナ位相較正装置。
  2. 請求項1記載のアンテナ位相較正装置において、
    前記複数系統のアンテナ素子を切り替えて前記初期較正手段及び位相差検出手段に供給する切り替え手段を
    有することを特徴とするアンテナ位相較正装置。
  3. 請求項1または2記載のアンテナ位相較正装置と、
    前記位相差検出手段で検出した位相差から電波の到来方向を推定する到来方向推定手段と、
    推定された前記電波の到来方向に前記アレーアンテナの主ビームを向けるビーム制御手段と、
    前記推定された前記電波の到来方向に主ビームを向けたアレーアンテナの複数系統のアンテナ素子それぞれの受信信号を合成する合成手段を
    有することを特徴とする追尾アンテナ装置。
  4. 請求項3記載の追尾アンテナ装置において、
    前記到来方向推定手段は、直交周波数分割多重方式で変調されたパイロットキャリア信号を含む信号から電波の到来方向を推定することを特徴とする追尾アンテナ装置。
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