JP3710293B2 - リテーナー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真複写機やプリンタ、或いはファクシミリ装置等に用いられる感光体ドラムの生産工程において、生産された感光体ドラムやその原材料としての素管等を通函やパレット或いは設備機械上に保持するリテーナーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、このような感光体ドラムは、以下に示すような生産工程によって生産されている。図1は、感光体ドラムの生産工程の概略を示すフローチャート及び模式図である。同図において、まず、生産工程に感光体ドラムの原材料となる素管1が投入される。これは、例えば直径60〜300mm程度、長さ600mmぐらいまでのアルミの押し出し管等を切削仕上げしたものである。次に、高圧洗浄工程において、素管1を回転させつつ上下させながら、外周面及び内周面に高圧の洗剤等を吹き付け、表面に付着している埃や切削時の油分を除去する。
【0003】
そして、超音波洗浄工程において、洗剤中で超音波洗浄を行い、脱脂する。さらに、ブラシ洗浄工程において、回転するブラシ2で素管1の外周面を擦り洗いし、固着している異物等を取り除く。このようにして洗浄による脱脂及び磨き上げが完了すると、すすぎ工程において、純水中にクリーンエアーを吹き込んでバブリングを行い、その気泡の破裂を利用してすすぎを行う。次に、温水引き上げ工程において、加熱して表面張力を低下させた純水から素管1をゆっくりと引き上げる事により、表面の水切りを行う。
【0004】
以上のような洗浄工程が完了すると、まず、乾燥工程において、130〜140℃雰囲気中で、表面の吸着水を飛ばす。次に、塗工工程において、予め調合されて循環している感光体の液中に、上端を密閉した素管1を上端部を残してディップ(浸漬)し、外周面に感光体を塗布する。そして、下端剥離工程において、素管1の下端の外周面及び内周面に塗布された感光体の剥離を行う。
【0005】
さらに、熱処理工程において、温度勾配を設けて素管1を徐々に加熱し、塗布された感光体中の溶剤を、いわゆる気泡欠陥が発生しないようにしながら取り除き、感光体を固化する。以上の工程は、全てクリーンルーム内で行われる。最後に、検査工程において外観検査を行い、組立工程において、出来上がった感光体ドラムの両端にフランジを取り付け、梱包して保管する。
【0006】
ところで、上記のような各工程を行う装置間で、素管1(或いは出来上がった感光体ドラム)をピッキングして移載するために、従来より移載機が用いられている。図2は、或工程におけるこの移載機のチャッキング装置部分の構成を模式的に示す図である。同図において、7は矢印方向に上下する移載機側のチャック固定部、6はチャックを支持するチャックシャフト、5は素管1をピッキングするチャック、4はチャック5を素管1に案内するために先端がテーパ状をしたガイドである。また、3は素管1を搬送する通函或いはパレット上に設けられ、素管1を立てた状態で保持するリテーナーである。
【0007】
同図に示したチャック5は、一般的にエアーピッカー等と呼ばれているものであり、ゴム等の弾性体でできた風船状のものに、エアーを出し入れする事により膨張,収縮させ、素管1をその内周面でピッキングするものである。但し、この形式には限定されるものではなく、例えば図3に示すように、アーム8aを半径方向に開閉するリンク式チャック8のようなものを使用しても良い。
【0008】
具体的なピッキングの手順としては、図2において、チャック5を収縮させた状態で、チャック固定部7を下降させ、ガイド4により案内されつつ素管1の上端よりチャック5を挿入する。そして、チャック5を膨張させて素管1をその内周面よりチャッキングし、同じくチャック固定部7を上昇させて素管1を持ち上げる。その後、チャック固定部7を一部分として持つ図示しない移載機により、別の工程を行う装置へ素管1を移載する。尚、素管1の代わりに、出来上がった感光体ドラムを取り扱う場合もあり、これらを総称してワークと呼んでいる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記感光体ドラムの生産工程において、各種の口径のドラムを生産する際に、従来は上記素管1等(ワーク)を保持するリテーナー3を、その対象となる径に応じて交換しなければならず、その段取り替えのための作業工数が必要であった。本発明は、このような問題点に鑑み、生産する感光体ドラムの径が変化しても交換が不用なリテーナーを提供する事を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明では、所定の円筒部材を保持するリテーナーであって、立設された柱状部材と、該柱状部材の周囲より外側に放射状に延びる保持部材と、該保持部材を前記柱状部材の外側斜め上方に付勢する付勢手段とを備え、前記柱状部材は、半径方向に放射状に設けられた切り欠き部を有し、該切り欠き部にピンを設けており、前記保持部材は、長穴を有し、前記切り欠き部に嵌め込まれ、前記長穴が前記ピンと摺動自在に係合し、前記長穴が前記柱状部材に対して外側から内側へと斜め下方に向かって設けられ、バネが前記保持部材の下方に配置され、前記柱状部材に上下に摺動自在に嵌合する円板を設け、前記円板の上面には前記保持部材の下端が当接し、前記円板の下面には前記バネの上端が嵌め込まれ、前記バネにより、前記円板は上方に付勢され、前記保持部材が上に押され、前記バネ、前記円板、前記ピン及び前記長穴が前記付勢手段を成し、前記円筒部材は、上方より装着され、下降にすると前記保持部材と当接して前記保持部材を押し下げ、前記保持部材が斜め下方内側に押し込まれ、前記付勢手段により前記保持部材が前記円筒部材の内周面に圧接する事により、前記円筒部材を保持する構成とする。
【0011】
また、前記保持部材の外側上部に、傾斜部を設けた構成とする。また、前記円筒部材は、感光体ドラム或いはその原材料としての素管である構成とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図4は、本発明の一実施形態の基本的な構成を示す図であり、同図(a)は平面図、同図(b)は(a)のC−C断面で示す正面縦断面図である。本実施形態のリテーナー3は、同図に示すように、ベース19に立設された略円柱形の本体11を基本構造としており、これは、上端に設けられたテーパ部11aと、その下側から下方にかけて半径方向に例えば3箇所に等角度間隔で放射状に設けられた切り欠き部11bとを有している。本体11の下部には、円筒部11cが設けられており、ここに後述する円板14が上下に摺動自在に嵌合している。ベース19は、図示しないパレット,設備機械等にセットされている。尚、本体11は、略円柱形に限定されない。
【0013】
切り欠き部11bには、縦長で板状の爪12がそれぞれ嵌め込まれており、切り欠き部11bの例えば上下2箇所に設けられたピン13に、それぞれ爪12の長穴12aが摺動自在に係合している。この長穴12aは、本体11に対して外側から内側へと斜め下方に向かって設けられている。また、爪12の外側上下の角には、それぞれ傾斜部12b,12cが設けられている。そして、爪12の下端は円板14の上面に当接している。
【0014】
円板14の下面中央には、下方に延びる突起14aが設けられており、この周りに圧縮コイルバネ17の上端が嵌め込まれている。本体11の下端には、固定板18が取り付けられていて、この固定板18の上面中央には、上方に延びる突起18aが設けられている。この周りには、圧縮コイルバネ17の下端が嵌め込まれている。そして、圧縮コイルバネ17により、円板14は上方に付勢され、爪12を常に上へ押している状態となっている。同図(b)においては、爪12の長穴12aの下端がピン13と当接して吊り合っている。尚、固定板18の中央には、貫通穴18bが設けられている。
【0015】
本体11の下部にはキャップ15が嵌め込まれており、リテーナー3に素管1等がセットされたときに、このキャップ15上面でその下端を受ける。尚、16はリングであり、本体11下部に設けられた溝部11dに嵌め込む事により、本体11をベース19に固定する。今、同図(b)に示すように、リテーナー3上方より、例えば素管1が矢印Aで示す方向にセットされると、素管1の下端が爪12の傾斜部12bに当接し、爪12を押し下げるので、爪12は矢印Bで示すように、長穴12aに沿って本体11に対して斜め下方内側に押し込まれる。
【0016】
このとき、図5に示すように、爪12下端に当接している円板14も、圧縮コイルバネ17の付勢力に逆らって下降する。そして、素管1がその内周面を爪12の外面に摺動させつつ、更に下降すると、一点鎖線で示すように、素管1の下端がキャップ15の上面に当接し、内部より爪12に圧接された状態で、リテーナー3に保持される。ところで、素管1の上部は、図示を省略している。
【0017】
爪12の外側下部の角には、傾斜部12cを設けてあるので、爪12が動作しても、この付近がキャップ15内周等に干渉するような事はない。尚、素管1が摺動により傷つけられる事等のないように、特に素管1が接触する爪12,キャップ15等は、樹脂等の軟らかい材料で作られる。また、セットされる素管1等(ワーク)に付着していた溶剤や油分等がキャップ15上面に滞留する事の無いように、図4(a)に示すように、キャップ15の上面周囲に複数の切り欠き15aを設けてある。
【0018】
リテーナー3にセットされた素管1等のワークが取り外されると、円板14が圧縮コイルバネ17の付勢力により上昇し、爪12が長穴12aに沿って本体11に対して斜め上方外側に開いて図4の状態に戻る。このように、セットされるワークの径に応じて爪12が開閉する構造であるので、この開閉範囲内の口径を持つワークであれば、リテーナー3を交換する事無く、フレキシブルに対応する事ができる。本実施形態においては、一例としてワークの外径が30〜40mmの範囲で対応可能となっている。
【0019】
尚、特許請求の範囲で言う柱状部材は、実施形態における本体11に対応しており、保持部材は、爪12に対応しており、付勢手段は、圧縮コイルバネ17,円板14,ピン13及び爪12の長穴12aを組み合わせたものに対応している。
【0020】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、生産する感光体ドラムの径が変化しても交換が不用なリテーナーを提供する事ができる。
【0021】
さらに、リテーナーに対するワークのセッティングをスムーズに行う事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】感光体ドラムの生産工程の概略を示すフローチャート及び模式図。
【図2】移載機の従来のチャッキング装置部分の構成を模式的に示す図。
【図3】リンク式チャックを使用した例を示す図。
【図4】本発明のリテーナーの一実施形態の基本的な構成を示す図。
【図5】ワーク装着時のリテーナーの様子を示す図。
【符号の説明】
3 リテーナー
11 本体
12 爪
13 ピン
14 円板
15 キャップ
16 リング
17 圧縮コイルバネ
18 固定板
19 ベース
Claims (3)
- 所定の円筒部材を保持するリテーナーであって、
立設された柱状部材と、
該柱状部材の周囲より外側に放射状に延びる保持部材と、
該保持部材を前記柱状部材の外側斜め上方に付勢する付勢手段と
を備え、
前記柱状部材は、半径方向に放射状に設けられた切り欠き部を有し、該切り欠き部にピンを設けており、
前記保持部材は、長穴を有し、前記切り欠き部に嵌め込まれ、前記長穴が前記ピンと摺動自在に係合し、前記長穴が前記柱状部材に対して外側から内側へと斜め下方に向かって設けられ、
バネが前記保持部材の下方に配置され、
前記柱状部材に上下に摺動自在に嵌合する円板を設け、
前記円板の上面には前記保持部材の下端が当接し、
前記円板の下面には前記バネの上端が嵌め込まれ、
前記バネにより、前記円板は上方に付勢され、前記保持部材が上に押され、
前記バネ、前記円板、前記ピン及び前記長穴が前記付勢手段を成し、
前記円筒部材は、上方より装着され、下降にすると前記保持部材と当接して前記保持部材を押し下げ、前記保持部材が斜め下方内側に押し込まれて、前記付勢手段により前記保持部材が前記円筒部材の内周面に圧接する事により、前記円筒部材を保持する事を特徴とするリテーナー。 - 前記保持部材の外側上部に、傾斜部を設けた事を特徴とする請求項1に記載のリテーナー。
- 前記円筒部材は、感光体ドラム或いはその原材料としての素管である事を特徴とする請求項1または請求項2に記載のリテーナー。
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