JP3709935B2 - インクジェット印刷用ポリオレフィン系樹脂シート及びその製造方法 - Google Patents

インクジェット印刷用ポリオレフィン系樹脂シート及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、インクジェットプリンターによって印刷可能なポリオレフィン系樹脂シートに関するものである。より詳しく述べるならば、本発明は、コロナ放電処理や特殊ポリオレフィン系プライマー処理などの前処理工程を必要とせず、ポリオレフィン系樹脂シートの表面にインクジェット印刷用インク受容層が形成された、インクジェット印刷に適したポリオレフィン系樹脂シートに関する。
近年、電子スチルカメラやコンピューターの普及と共に、それらを取り込んでデジタル画像データを紙面等の印刷媒体に直接フルカラー印刷させるための技術の1つとしてインクジェット印刷方式が急速に発達している。インクジェット印刷方式は、コンピューターとインクジェット印刷方式のプリンターがあれば、従来のオフセット印刷などの印刷方式では不可欠である製版、刷版工程を省略して、コンピューターで入稿されたデジタルデーターをプリンターで出力して、必要な時に、必要なだけの量を印刷することが可能である。このため、印刷原稿の入稿から印刷仕上がりまでの納期対応が劇的に短縮されるだけでなく、印刷環境がクリーンであり、また従来の印刷技能を必要としないなど、誰でも手軽に高画質の印刷物を得られるメリットがある。
インクジェット印刷方式は、種々の作動原理、例えば、静電吸引方式、圧電素子(ピエゾ素子)を用いてインクに機械的振動または変位を与える方式、インクを加熱して発泡させ、その圧力を利用する方式などによりインクの微小液滴を紙面などの出力媒体に向けて飛ばし付着、定着させて画像や文字などの印刷、記録を行うものであり、最近、これらのインクジェット印刷プリンターが高画質フルカラー印刷に適応化、大型印刷に適応化、高速印刷に適応化されるなどの進歩に伴って、従来の紙などの出力媒体だけでなく布地、フィルム基材、布地と熱可塑性樹脂との複合シート(ターポリン)などの様々な印刷媒体に対して印刷が可能になるなどの拡がりを見せつつある。
他方インクジェット印刷分野においてインクを受容する印刷媒体側の技術進歩(インク受容層)としては、印刷媒体表面に付着したインクが滲みや流れを発生し、印刷、画像及び印字の品位を損ねることがない様に、印刷媒体の支持体に対し、インクの吸収を速やかにし、明瞭なインクドットが形成されるように、種々の多孔質微粒子及び、樹脂バインダーを主成分とするインク受容層を設けることが提案されている。前者は、多孔質微粒子の空隙の毛細管現象による浸透作用でインクを吸着、定着させる空隙浸透タイプであり、後者は、インクの溶媒によるバインダー樹脂の膨潤を利用した吸収、定着させる膨潤吸収タイプである。更に、これらの多孔質微粒子と樹脂バインダーとを組み合わせることによって、多孔質微粒子の空隙浸透作用と、バインダー樹脂の膨潤吸収作用の特徴を兼ね備えた、より様々な品種のインク種及びプリンター種に対応可能な高性能な出力媒体が提案されている。
この様にデジタル画像をコンピューター処理して容易に印刷媒体に記録することができるインクジェット印刷方式の普及は、例えば印刷業界、広告業界、サイン・ディスプレイ業界、各種イベント業界、アミューズメント業界、建築・インテリア設計業界などの様々な分野における視覚的キャッチ性、宣伝効果の高い精密印刷物として最近益々その用途を拡げている。なかでも、最近、大型印刷対応の要望に伴って開発された広幅のインクジェットプリンターの出現によって、188cm幅の大型印刷物が可能となり、このため、屋外用途での需要が目覚ましく進展し、例えば屋外設置の広告看板、ビル建築養生シート、内照式テント、安全標識などへの展開の要望が高まりつつある。従来これらの屋外設置の広告看板、ビル建築養生シート、内照式テント、安全標識などの産業資材分野では、繊維布帛を基材に含む軟質ポリ塩化ビニル樹脂被覆シート、いわゆる軟質ポリ塩化ビニル樹脂ターポリンが膜材強度、屋外耐久性、防炎性、及び汎用コスト性などの理由から使用されている。実際に軟質ポリ塩化ビニル樹脂ターポリンを印刷媒体としてインクジェット印刷に対応できるように、軟質ポリ塩化ビニル樹脂ターポリンの表面にインク受容層を形成したものが提案され、上記の用途においてその実用が評価検討されている。
軟質ポリ塩化ビニル樹脂は、柔軟かつ強靱で防炎性があり、また耐久性、加工性、コスト性に優れた合成樹脂材料として、玩具、文具、雑貨、建材、化粧板、壁紙、床材、テント膜材、防水シートなど広く使用、普及している。しかし最近、ポリ塩化ビニル樹脂製品の廃棄、焼却処理の際にポリ塩化ビニル樹脂の熱分解により発生する有毒性塩化水素ガスが問題にされ、かつ、微量ながら多くの異性構造を有する猛毒性、難分解性、生体蓄積性のダイオキシンを発生するという問題が社会的に深刻に認識されまたそれと同時に軟質ポリ塩化ビニル樹脂製品に汎用可塑剤として不可欠のフタル酸エステルが、環境ホルモンとして疑わしい物質の1つとしてリストされたために、一部の製品においては、軟質ポリ塩化ビニル樹脂から他の熱可塑性樹脂へと材料の置き換え化が急速に進み、現在でも尚多くの用途においてポリ塩化ビニル樹脂を他の樹脂により置き換えることが検討されている。特に屋外用途に使用するインクジェット印刷用膜材に対しては、その展示サイクルの短さ故、回収後の廃棄の理由から非塩化ビニル樹脂製品に対する要望が強く、これをポリオレフィン系樹脂により代替えすることが検討されている。
しかし、一般にポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)等のポリオレフィン樹脂は、無極性、高結晶性であるために、接着性が低く、かつ塗料の処理が困難な材料として知られており、このため軟質ポリ塩化ビニル樹脂をポリオレフィン樹脂により代替した事によって、ターポリンの表面層にインクジェット印刷用に適したインク受容層を形成することが極めて困難になってしまうという問題がある。
従来ポリオレフィン樹脂の接着性や、塗装性を向上させるために、例えば、コロナ放電処理及び/又プライマー処理などの手段を用いて、ポリオレフィン樹脂表面を改質する方法が採用されている。しかしコロナ放電処理の場合、必ずしも汎用性の接着剤や、塗料類全般の塗布に対して有効性があるわけではなく、また、コロナ放電処理の効果は、密着性が向上するというレベルでしかないために、爪で擦ると、ポリオレフィン樹脂成型品の表面から、接着剤や塗料の塗膜が削れ落ちるという接着強度的な欠点がある。
一方プライマー処理の場合においては、ポリオレフィン樹脂に下塗りするプライマーとして塩素化ポリプロピレン、変性クロロプレンゴム、イソシアネート化合物、ポリヒドロキシポリオレフィンとイソシアネート化合物との付加体、並びに水素基末端ポリブタジエングリコールとポリイソシアネートとの反応生成物などが知られている。しかし上記プライマーのうち塩素化ポリプロピレンの場合、ポリオレフィン樹脂に対して塩素化ポリプロピレンの粘着効果によって密着性を改善するだけでしかなく、耐熱性と耐候性とが悪いという欠点がある。
また、ポリ塩化ビニル樹脂をハロゲン非含有のポリオレフィン樹脂により置き換える場合、そのプライマーとして塩素を含有する塩素化ポリプロピレンや変性クロロプレンゴムなどを使用すると、非ハロゲン化という目的に対して、大きな矛盾を生ずることになる。また、ポリヒドロキシポリオレフィンとイソシアネート化合物との付加体や水酸基末端ポリブタジエングリコールとポリイソシアネートとの反応生成物を用いると、耐熱性はある程度得られるが、ポリオレフィン樹脂との接着性に十分な改良効果は得られない。また、イソシアネート化合物の硬化反応を完結させるために100〜200℃の加熱硬化処理を施すことは、熱軟化温度の低いポリオレフィン樹脂製品に対して、成型品の熱溶融、又は変形などのトラブルを発生させるという欠点がある。従ってポリオレフィン樹脂に対して、有効で簡単に使用できるプライマー処理剤や、接着剤は未だ見出されておらず、また、ポリオレフィン系樹脂に対してある程度有効で、かつ、ある程度簡単に使用可能なプライマー処理剤、または、その配合組成が見出されたとしても、プライマー処理工程を不可欠要件とすること自体が、加工工程の見地からあまり好ましいものではない。
この様な現状において、ポリオレフィン樹脂に他の熱可塑性樹脂をブレンドして、その接着性、塗装性を向上させる試みが種々検討されているが、ポリオレフィン系樹脂と相溶性がよく、また接着剤や塗料の塗装性にも優れ、しかも樹脂物性や成型加工性、コスト性を損なわないようなブレンド系樹脂は未だ見出されていない。例え異種の樹脂のブレンドによって直接ポリオレフィン樹脂成形品に接着剤や塗料の塗布が可能となっても、異種の樹脂ブレンドによる悪影響の方が遙かに大きくなり、その結果製品の実用性を損なってしまうというのが現今の技術の実情である。
この様にポリオレフィン樹脂に対する接着向上、塗装性向上の提案が多種多様にわたってなされているにも拘わらず、これらは、顕著な欠点を有しているため、これらの技術を応用しても、ポリオレフィン樹脂シート及びターポリンに、インクジェット印刷性のすぐれたインク受容層を形成させる有効な方法がなく、従って、インクジェット印刷用のポリオレフィン系樹脂シート及びターポリンなどの膜材は知られていなかったのである。
一方、インクジェット印刷用に適したインク受容層を形成するためのコーティング剤の開発が活発に行われた結果、インクジェット印刷インクとして主として水性インクが用いられるという動向に伴い、これらのインク受容層用コーティング剤として、水を溶媒とする水系コーティング剤が主として用いられ、それによって、ベース配合組成種のバリエーションが豊富となり、また、水性インクの定着性、水性インクの発色性、加工性、取り扱い性などのコントロールが容易になるなどの利点がある。この様に水性インク受容層コーティング剤が普及することによって、尚更ポリオレフィン系樹脂シート及びポリオレフィン系樹脂ターポリンに対してもこれらの水性インク受容層コーティング剤塗布によるインク受容層の形成より容易になることが要望されている。
また、ポリオレフィン樹脂は、ポリ塩化ビニル樹脂に較べて難燃性が低いため、ポリオレフィン系樹脂シート又はターポリンにインクジェット印刷可能なインク受容層を形成したインクジェット印刷用膜材を、現在のポリ塩化ビニル樹脂ターポリン膜材に使用されている屋外設置の広告看板、ビル建築養生シート、内照式テント、安全標識などの産業資材用途に使用すると、防炎規格を満たし得ないという問題がある。従って、このような従来のポリオレフィン系樹脂を使用したインクジェット印刷用膜材は、これを難燃化する必要がある。一般的に熱可塑性樹脂の難燃化には、無機系難燃剤、有機系難燃剤の配合が有効な手段として広く使用されている。これらの難燃剤の多くは、臭素系化合物難燃剤及び塩素系化合物難燃剤などのようなハロゲン置換された有機系化合物を含むものであり、これらの難燃剤を使用することによって高度の難燃性を得ることが可能である。例えば、テレビなどの電化製品の筐体、及びコンピューターディスプレー及び複写機などのOA機器の筐体に使用されているスチレン系樹脂(HIPS)及びABS樹脂に対して、その難燃剤として、臭素系化合物難燃剤が使用されている。
臭素系化合物難燃剤は、ポリ塩化ビニル樹脂の焼却時に問題となっている塩化水素ガスを発生せず、また塩素化ダイオキシン発生の懸念もない。しかし、これらの臭素系化合物難燃剤もハロゲン原子を含有するものであるから、臭素系化合物難燃剤によって難燃化された熱可塑性樹脂製品が環境負荷を大きくするという意見があり、このため、環境負荷を軽減させるという目的のために、難燃剤リサイクルについて種々の検討が行われている。この様な社会状況の中で、環境負荷のない難燃剤として、ハロゲン原子を含有しない、いわゆる非ハロゲン系難燃剤を使用した難燃化熱可塑性樹脂製品の出現が望まれるようになった。そして多くの非ハロゲン系難燃剤が開発され、また従来公知の非ハロゲン系難燃剤を含めて様々な配合組成が提案されている。しかし、これらの非ハロゲン系難燃剤では、ハロゲン系難燃剤ほど高効率で、優れた難燃効果が得られないため、必然的に非ハロゲン系難燃剤の配合量を多量にすることが必要になっている。
このように非ハロゲン系難燃剤を高含有率で使用すると、そのマイナス面として成型加工性の悪化の問題、樹脂物性及び耐久性の低下の問題、製造コストの増大の問題などの問題点が多く、またこれらの問題の一つ一つが実用上の深刻な問題であるために、ごく一部の用途でしか実用化されていない。
従来ポリオレフィン系樹脂シート及びターポリンの難燃剤として、臭素系化合物難燃剤を使用したものは知られているが、臭素系化合物難燃剤によって難燃化されたポリオレフィン系樹脂シート又はターポリンに直接インクジェット印刷性受容層が設けられた印刷用膜材は知られていない。また、従来ポリオレフィン系樹脂シート及びターポリンの難燃剤として、非ハロゲン系難燃剤を使用したものは知られているが、非ハロゲン系難燃剤によって難燃化されたポリオレフィン系樹脂シート及びターポリンに、直接インクジェット印刷性受容層が設けられた非ハロゲン難燃性のインクジェット印刷用のポリオレフィン系樹脂シートまたはターポリン膜材は知られていない。
本発明は、ポリオレフィン系樹脂シート及びターポリンの表面にコロナ放電処理やプライマー処理などの煩雑な前処理を必要とするという上記従来技術の問題点を解消し、インクジェット印刷性にすぐれたインク受容層を有する印刷用ポリオレフィン系樹脂シートを提供しようとするものである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく研究、検討を重ねた結果、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対しスチレン系共重合樹脂を5〜100重量部配合したブレンド組成物からなるポリオレフィン系樹脂ブレンド基材表面に、コロナ放電処理やプライマー処理などの前処理工程を施すことなく、有機系溶剤に可溶性の熱可塑性樹脂を含む中間処理層を設け、その表面に微粒子顔料または、多孔質微粒子の1種以上を含有する水系のコーティング剤を直接塗布し、乾燥してインクジェット印刷に好適な表面層を設けることが可能であることを見出した。更に、本発明者らは上記ポリオレフィン系樹脂100重量部に対しスチレン系共重合樹脂を5〜100重量部配合したブレンド組成物100重量部に対し、臭素系化合物難燃剤及び非ハロゲン系難燃剤の1種以上を10重量部から250重量部配合することによって難燃性が付与された難燃性のインクジェット印刷用のポリオレフィン樹脂シート及び、ターポリン膜材などの印刷用シートが得られ、特に非ハロゲン系難燃剤のみを使用することによってハロゲン非含有のインクジェット印刷用のポリオレフィン樹脂シートまたはターポリン膜材などの印刷用シートが得られることを見い出して本発明を完成させるに至った。
本発明のインクジェット印刷用ポリオレフィン系樹脂シートは、
ポリオレフィン系樹脂と、スチレン系共重合樹脂とを、100:5〜100:100の重量比で含有する樹脂ブレンドからなるフィルム層を有するシート状基材と、
前記シート状基材の樹脂ブレンドフィルム層に密着して結着している中間処理層と、
前記中間処理層の全面上に密着して結着しているインク受容層とを含み、
前記中間処理層が、有機系溶剤に熱可塑性樹脂を溶解したコーティング剤の塗布・乾燥によって形成されたものであり、
前記インク受容層が、熱可塑性樹脂の水系エマルジョン、熱可塑性ゴムのラテックス及び水溶性高分子化合物から選ばれた少なくとも1種を含む水系コーティング液の塗布、固化により形成されたものであること
を特徴とするものである。
本発明のインクジェット印刷用ポリオレフィン系樹脂シートにおいて、前記樹脂ブレンドフィルム層と、前記中間処理層との界面部分において、前記樹脂ブレンドフィルム層中のスチレン系共重合樹脂の一部分と、前記中間処理層中の熱可塑性樹脂の一部分とによる接着層が形成されていることが好ましい。
本発明のインクジェット印刷用ポリオレフィン系樹脂シートにおいて、前記シート状基材において、前記樹脂ブレンドフィルム層が繊維布帛からなる基布の少なくとも1面に形成されていることが好ましい。
本発明のインクジェット印刷用ポリオレフィン系樹脂シートにおいて、前記基布の一外表面全面上に前記樹脂ブレンドフィルム層が形成され、この樹脂ブレンドフィルム層上に、前記中間処理層を介して前記インク受容層が形成されており、前記基布の他の最外裏面全面上に、前記樹脂ブレンドフィルムからなる裏面層が形成されていてもよい。
本発明のインクジェット印刷用ポリオレフィン系樹脂シートにおいて、前記樹脂ブレンドフィルム裏面層上に、裏面側中間処理層が形成されており、かつその全面上に裏面側インク受容層が形成されていてもよい。
本発明のインクジェット印刷用ポリオレフィン系樹脂シートにおいて、前記シート状基材の裏面側に、前記樹脂ブレンドとは異るポリオレフィン系樹脂組成物からなる裏面層が形成されていてもよい。
本発明のインクジェット印刷用ポリオレフィン系樹脂シートにおいて、前記中間処理層用熱可塑性樹脂がアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、及びスチレン系樹脂から選ばれた1種以上を含むことが好ましい。
本発明のインクジェット印刷用ポリオレフィン系樹脂シートにおいて、前記インク受容層が、さらに、その合計重量の10〜80重量%の、微細顔料粒子及び/又は多孔質微粒子を含有することが好ましい。
本発明のインクジェット印刷用ポリオレフィン系樹脂シートにおいて、前記シート状基材に含まれる前記樹脂ブレンドフィルム層が、非ハロゲン系難燃剤及び臭素系化合物難燃剤から選ばれた1種以上を含む難燃剤を、前記樹脂ブレンド重量に対し10〜250重量部の添加量で含むことが好ましい。
本発明のインクジェット印刷用ポリオレフィン系樹脂シートにおいて、前記樹脂ブレンドフィルム裏面層が、非ハロゲン系難燃剤及び臭素系化合物難燃剤から選ばれた1種以上を含む難燃剤を、前記樹脂ブレンドフィルム裏面層中の樹脂ブレンド重量に対し10〜250重量部の添加量で含むことが好ましい。
本発明のインクジェット印刷用ポリオレフィン系樹脂シートにおいて、前記ポリオレフィン系樹脂裏面層が、非ハロゲン系難燃剤及び臭素系化合物難燃剤から選ばれた1種以上を含む難燃剤を、前記ポリオレフィン系樹脂裏面層中のポリオレフィン系樹脂の重量に対し10〜250重量部の添加量で含むことが好ましい。
本発明のインクジェット印刷用ポリオレフィン系樹脂シートにおいて、前記非ハロゲン系難燃剤が、無機金属水酸化物、無機金属酸化物、無機金属炭酸塩、ホウ酸系化合物、硫黄系化合物、リン酸エステル系化合物、ポリリン酸アンモニウム系化合物、(イソ)シアヌル酸誘導体化合物、シアナミド化合物、尿素系化合物、から選ばれた1種以上を含むことが好ましい。
本発明のインクジェット印刷用ポリオレフィン系樹脂シートにおいて、前記スチレン系共重合樹脂が、スチレン重合体ブロック(A)及びブタジエン重合体ブロック、イソプレン重合体ブロック及びビニルイソプレン重合体ブロックから選ばれた1種の重合体ブロック(B)とからなるA−B−A型ブロック共重合体、及びA−B型ブロック共重合体;スチレンと、ブタジエン、イソプレン及びビニルイソプレンの少なくとも1種とのランダム共重合体;並びに、前記ブロック共重合体及びランダム共重合体中のビニル結合含有(B)成分単位に対し、水素添加を施して得られた水素添加スチレン系共重合樹脂、から選ばれた少なくとも1種からなることが好ましい。
本発明のインクジェット印刷用ポリオレフィン系樹脂シートの製造方法は、ポリオレフィン系樹脂と、スチレン系共重合樹脂とを、重量比100:5〜100:100で含む樹脂ブレンドの溶融混練物からフィルムを形成する工程と、前記樹脂ブレンドフィルムの面上に、熱可塑性樹脂を含むコーティング液を直接塗布し、乾燥して、中間処理層を形成する工程と、
中間処理層上に、熱可塑性樹脂を含む水系コーティング液を塗布してインク受容層を形成する工程と、を含み、
前記中間処理層の形成工程に用いられるコーティング液が、有機系溶剤中に、前記熱可塑性樹脂を溶解したものであり、
前記インク受容層の形成工程において、熱可塑性樹脂の水系エマルジョン、熱可塑性ゴムのラテックス、及び水溶性高分子化合物から選ばれた少なくとも1種をバインダーとして含む水系コーティング液が用いられることを特徴とするものである。
本発明のインクジェット印刷用ポリオレフィン系樹脂シートの製造方法において、前記中間処理層用熱可塑性樹脂が、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂及びスチレン系樹脂から選ばれた1種以上を含むことが好ましい。
本発明のインクジェット印刷用ポリオレフィン系樹脂シートの製造方法において、前記中間処理層形成用コーティング液が、前記熱可塑性樹脂と混和し、かつ前記スチレン系共重合樹脂を完全溶解、一部溶解、又は膨潤せしめる有機系溶剤をさらに含み、このコーティング液を、前記樹脂ブレンドフィルムの少なくとも一面上に直接塗布し、このコーティング液層から前記有機系溶剤を蒸発除去して、中間処理層を形成し、それによって、前記樹脂ブレンドフィルム層と前記中間処理層との界面部分において、前記樹脂ブレンドフィルム層中のスチレン系共重合樹脂の一部分と、前記中間処理層中の熱可塑性樹脂の一部分とによる接着層が形成されることが好ましい。
上記、実施例及び、比較例により明らかな様に、本発明に係る印刷用シートのシート状基材のポリオレフィン樹脂ブレンドフィルム層は、従来技術におけるポリオレフィン系樹脂シート及びターポリンのように、その表面にコロナ放電処理やプライマー処理などの煩雑な前処理を必要とせずに、インクジェット印刷性インク受容層を汎用のコート剤によって容易に形成することが可能である。また、このポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層上に形成されたインク受容層は、印刷性に優れているのみならず、ポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層と強く密着して、結着されているため、折り曲げや屈曲に対する耐久性に優れており、従って本発明による印刷用シートは、屋内はもとより、屋外で使用される精密画像の広告看板、イベント展示物、垂れ幕、横断幕などの幅広い分野での視覚的注目度の高いシートとして活用できる。また、本発明の印刷用シートは、難燃化して消防法に規定の防炎性能を十分に満たすこともでき、更に非ハロゲン難燃化も可能であるため、テント用途にも使用可能であって、極めて有用性の高いシートである。
本発明のインクジェット印刷用ポリオレフィン系樹脂シート(以下印刷用シートと記すことがある)は、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対しスチレン系共重合樹脂を5〜100重量部配合してなるポリオレフィン系樹脂ブレンドからなるフィルム層を含むシート状基材層と、この樹脂ブレンドフィルム層の表面全面に、有機系溶剤と、それに可溶性の熱可塑性樹脂を含有するコーティング剤を直接塗布、乾燥して形成された熱可塑性樹脂含有中間処理層が強固に密着して設けられ、この中間処理層上に、熱可塑性樹脂エマルジョン、熱可塑性ゴムラテックス、水溶性高分子化合物から選ばれた1種以上による水系熱可塑性樹脂ベースのインク受容層コーティング剤を塗布し乾燥によって形成されたインク受容層が形成されているものである、このインク受容層は、好ましくは微粒子顔料または、多孔質微粒子の1種以上をインク受容層の重量に対し、10〜80重量%含有していてもよく、水性インク、溶剤系インク、油性インクを受容可能である。
また、本発明の印刷用シートにおいて、ポリオレフィン系樹脂とスチレン系共重合樹脂とのブレンドからなるフィルム層を含むシート状基材層が繊維布帛を含み、繊維布帛の片面、又は両面に前記ポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層が積層されていて、少なくともその片面に中間処理層が形成され、この中間処理層の少なくとも1表面上にインク受容層が形成されていればよい。インク受容層は、微粒子顔料または、多孔質微粒子の1種以上をインク受容層の重量に対し10〜80重量%含有していてもよく、水性インク、溶剤系インク、油性インクを受容可能である。また、これら上記ポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層及び、裏面ポリオレフィン系樹脂組成物層にそのポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、臭素系化合物難燃剤及び非ハロゲン系難燃剤の1種以上を10重量部から250重量部配合してもよく、それによって防炎性が付与される。特に非ハロゲン系難燃剤のみを使用することによって、火災時に有毒ガス及び/又は刺激性ガスなどを発生することがない、或は少ないポリオレフィン樹脂シートまたはターポリン膜材などの印刷用シートが得られる。
図1に示された印刷用シート1は、ポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層2からなるシート状基材層と、その表面上に形成され、熱可塑性樹脂を含む中間処理層9と、この中間処理層9の上に形成された、インク受容層3から構成されている。
図2に示されている印刷用シート1において、図1の印刷用シートのポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層2の裏面側に、さらに繊維基布4が貼着されて、シート状基材層5が形成されている。
図3において、図2の印刷用シート1の繊維基布4の裏面側に、裏面側ポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層6が形成されている。
図4の印刷用シート1において、図2の構成の印刷用シートの繊維基布4の裏面側に裏面側ポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層6が貼着され、その上に、裏面側中間処理層10が形成され、さらにその上に、裏面側インク受容層7が形成されている。
図5の印刷用シート1において、図1の構成の印刷用シートのポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層の裏面側に裏面側ポリオレフィン系樹脂組成物層8が形成されている。
図6の印刷用シート1において、図2の構成の印刷用シートに、さらに、繊維基布4の裏面側に裏面側ポリオレフィン系樹脂組成物層8が形成されている。
本発明の印刷用シートのポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層において、ポリオレフィン系樹脂とともに使用されるスチレン系共重合樹脂としては、A−B−A型スチレンブロック共重合樹脂(Aはスチレン重合体ブロック、Bはブタジエン重合体ブロック、イソプレン重合体ブロック、もしくはビニルイソプレン重合体ブロックを表す。)、A−B型スチレンブロック共重合樹脂(AとBは、上記と同義である。)、スチレンランダム共重合樹脂、およびこれらのスチレン系共重合樹脂の水素添加樹脂が用いられる。前記A−B−A型スチレンブロック共重合樹脂及び、A−B型スチレン共重合樹脂において、Aはスチレン重合体ブロック、Bはブタジエン重合体ブロック、イソプレン重合体ブロック、もしくはビニルイソプレン重合体ブロックを表す。
これらのブロック共重合体は、ポリスチレンをハードセグメントとして含むスチレン系ブロック共重合樹脂である。A−B−A型スチレンブロック共重合樹脂としては、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合樹脂(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合樹脂(SIS)及びスチレン−ビニルイソプレン−スチレンブロック共重合樹脂(SVIS)、などを包含し、A−B−A型水素添加スチレンブロック共重合樹脂としては、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合樹脂の水素添加樹脂であるスチレン−エチレン−ブテン−スチレンブロック共重合樹脂(SEBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合樹脂の水素添加樹脂であるスチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合樹脂(SEPS)などがあり、A−B型スチレン共重合樹脂としては、例えば、スチレン−ブタジエンブロック共重合樹脂(SB)、スチレン−イソプレンブロック共重合樹脂(SI)などがあり、A−B型水素添加ブロック共重合樹脂としては、例えば、スチレン−ブタジエンブロック共重合樹脂の水素添加樹脂であるスチレン−エチレン−ブテンブロック共重合樹脂(SEB)、スチレン−イソプレンブロック共重合樹脂の水素添加樹脂であるスチレン−エチレン−ブテンブロック共重合樹脂(SEP)などが挙げられる。
これらのスチレン系共重合樹脂に使用できるスチレン重合体ブロックAとは、芳香族ビニルモノマーであり、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、1−ビニルナフタレン、1−ビニルアントラセンなどが挙げられるが、スチレンが好ましく用いられる。
また、これらのスチレン系共重合樹脂に使用できる重合体ブロックBとしては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどが挙げられるが、1,3−ブタジエン、イソプレンを用いることが特に好ましい。
これらA−B−A型ブロック共重合樹脂及び、その水素添加樹脂並びに、A−B型ブロック共重合樹脂及び、その水素添加樹脂は、そのAブロック重合体の数平均分子量が2,000〜40,000であり、Bブロック重合体の数平均分子量が10,000〜200,000であることが望ましい。また、上記スチレン系共重合樹脂の数平均分子量としては、30,000〜250,000の範囲のものが好ましい。この数平均分子量が30,000より小さいとブロック共重合樹脂の機械的強度が得られないことがあり、本発明のポリオレフィン系樹脂ブレンド基材層の強度を低下させてしまうことがある。また前記数平均分子量が250,000を超えると溶融粘度が高くなり、他の樹脂成分との溶融混練性を悪くし成形加工性を困難とすることがあり、また本発明のポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層とインク受容層との密着性が不十分になることがある。
これらのスチレン系ブロック共重合樹脂のBブロック成分のイソプレン重合体ブロック、もしくは、イソプレン−ブタジエン重合体ブロックの水素添加樹脂における水素添加率は、70%以上であることが好ましく、より好ましくは80%以上である。水素添加率が70%より低い場合には、耐熱性、耐候性が低下することがある。これらのスチレン系ブロック共重合樹脂の水素添加は、公知の方法によって行われ、例えば、水素添加反応は、反応に不活性な溶媒に、スチレン系ブロック共重合樹脂を溶解させ、この状態で、公知水素添加触媒、例えば、ラネーニッケル、チーグラー系の触媒などを用いて、共重合体に分子状態の水素を反応させる方法が好ましく用いることができる。
また、Bブロック成分として、イソプレン重合体ブロックもしくは、イソプレン−ブタジエン重合体ブロックにおいて、そのイソプレン中の3,4ビニル結合と1,2ビニル結合との合計量が、水素添加前の状態で、25モル%以上であることが好ましい。ビニル結合の合計量が25モル%より小さいと、本発明の印刷性シートのポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層とインク受容層との接着性が十分に得られないことがある。また、Bブロック成分として用いられるブタジエン重合体ブロックにおいて、そのブタジエン中の1,2ビニル結合の含有量が、20モル%以上であることが好ましい。ビニル結合の合計量が20モル%より小さいと、本発明の印刷性シートのポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層とインク受容層との密着性が十分に得られないことがある。
上記A−B−A型ブロック共重合樹脂及び、その水素添加樹脂において、ポリスチレンブロック成分が40重量%を超えるとポリオレフィン樹脂との相溶性が低下することがあるため、それは40重量%以下であることが好ましい。また、上記A−B型ブロック共重合樹脂及び、その水素添加樹脂において、ポリスチレンブロック成分が40重量%を超えるとポリオレフィン樹脂との相溶性が低下することがあるため、それは40重量%以下であることが望ましい。これらのA−B−A型ブロック共重合樹脂、及び、その水素添加樹脂、並びにA−B型ブロック共重合樹脂及び、その水素添加樹脂などの市販品としては、例えば、シェル.ケミカル社のクレイトンG(商標)、旭化成工業(株)のタフテック(商標)、(株)クラレのハイブラー(商標)及びセプトン(商標)などが挙げられる。
また、水素添加スチレン系ランダム共重合樹脂としては、スチレンとブタジエンの水素添加ランダム共重合樹脂が挙げられ、この水素添加スチレン系ランダム共重合樹脂の市販品としては、日本合成ゴム(株)のダイナロン(商標)が挙げられる。
上記スチレン系共重合樹脂は、有機系溶剤に可溶性または、少なくとも部分可溶性、もしくは膨潤性であることが好ましく、例えば、有機系溶剤として、イソプロパノール、n−ブタノールなどのアルコール系溶剤、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶剤、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素系溶剤、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素系溶剤、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどのアミド系溶剤、及び酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤、その他テトラヒドロフランなどの1種以上を用いることができ、スチレン系共重合体樹脂は、これらの有機系溶剤に可溶性または、少なくとも部分可溶性、もしくは膨潤性であることが好ましい。
本発明における印刷用シートのポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層において、前記スチレン系共重合樹脂は、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、5〜100重量部配合され、樹脂ブレンドとして用いられる。その配合量が5重量部より少ないと、印刷性及びインク受容層との接着性が十分に得られず、またその配合量が、100重量部を超えると、耐熱性、及び耐候性を劣化し、ポリオレフィン系樹脂ブレンドの加工性、機械的強度を低下させる。
特に、本発明における印刷用シートのポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層において、これらのスチレン系共重合樹脂としては、水素添加スチレンブロック共重合樹脂、水素添加スチレンランダム共重合樹脂から選ばれた1種以上を使用することが好ましく、それによって、得られる印刷用シートの耐候性を向上させることができる。
本発明の印刷用シートは、前記ポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層をインク受容層用形成面とするものである。本発明の印刷用シートにおいて、ポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルムによりシート状基材層を構成し、このフィルムの少なくとも片面にインク受容層が形成されていてもよく、あるいは、前記ポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルムを繊維布帛の片面又は両面に積層して形成されたターポリンであって、このターポリンの前記フィルム層上にインク受容層が形成されていてもよい。
また、前記ポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層の裏面に、スチレン共重合体系樹脂を含有しないポリオレフィン系樹脂組成物から成型された裏面ポリオレフィン系樹脂組成物フィルムを積層してもよく、あるいは、繊維布帛の表面に、前記ポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルムを積層し、その裏面に前記裏面ポリオレフィン系樹脂組成物フィルム層を積層してもよい。これらのいずれにおいても、前記ポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層面に、前記インク受容層が形成されている。前記裏面構造側において、樹脂ブレンドフィルム層にスチレン共重合体系樹脂を含有しないポリオレフィン系樹脂組成物フィルムを積層して得られる2層構造シートは、表側面だけにインクジェット印刷が可能であるため、片面印刷用途に適しており、また、裏面フィルム層として、スチレン系樹脂を含有しないポリオレフィン系樹脂組成物フィルムを用いることによって、寸法変化が少なく形態安定性の高い印刷用シートを得ることができる。
本発明の印刷用シートのポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層、及び裏面ポリオレフィン系樹脂層に用いられるポリオレフィン系樹脂の種類は同一であってもよく、或は異種であってよく、例えば、エチレン−α−オレフィン共重合体、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタアクリル酸共重合体、エチレン−メタアクリル酸エステル共重合体など、及びこれらの2種類以上の混合物などを用いることができる。本発明で用いるポリオレフィン系樹脂は、ラジカル重合法又はイオン重合法により製造されたものを使用できる。ラジカル重合法で得られるポリエチレン系樹脂は、エチレン単独又はエチレンと、それとラジカル重合し得る単量体とを共重合して得られるもので、ラジカル重合し得る単量体としては、例えばアクリル酸、メタアクリル酸などの不飽和カルボン酸及びそのエステル化物や酸無水物、酢酸ビニルなどのビニルエステル類などが挙げられる。
不飽和カルボン酸のエステル化物としては、例えばアクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸グリシジルなどが挙げられる。これらの単量体は、1種のみならず2種以上用いることができる。イオン重合法で得られるポリエチレン系樹脂は、エチレン単独又はエチレンと炭素原子数=3〜18のα−オレフィンを、遷移金属固体触媒又はメタロセン系均一触媒を使用して、重合することにより得られ、α−オレフィンとしては、例えばプロピレン、ブテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1、オクタデセン−1などが用いられるが、炭素原子数4〜10のα−オレフィンを用いることが好ましい。また、これらのα−オレフィンは、1種または2種以上用いてもよい。
本発明の印刷用シートのポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層及び、裏面ポリオレフィン系樹脂層に使用されるポリオレフィン系樹脂としては、特に限定はないが、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタアクリル酸共重合体、エチレン−メタアクリル酸エステル共重合体、エチレン−マレイン酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体など、さらには、エチレンと共重合可能な極性モノマーを2種以上共重合させたエチレン系多元共重合体などが好ましく使用できる。
更に、これらのエチレン系共重合体は、単独使用又は2種以上のブレンド組成に於いて、メルトインデックスが、0.3〜20g/10min 、共重合モノマー含有量が、5〜35重量%のものが本発明に好適に使用できる。メルトインデックスが、0.3g/10min 未満であるとポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム及び裏面側ポリオレフィン系樹脂組成物フィルムの成形加工が極めて困難になりまたそれが20g/10min よりも高いと、得られるフィルムの強度及び耐熱性が不十分になり、かつ粘着性が増大してブロッキングを発生しやすくなる。また共重合モノマーの含有量が35重量%よりも多いと得られる樹脂ブレンド又は樹脂組成物の加工時の粘着性が増し、成形加工が極めて困難になることがある。
本発明の印刷用シートのポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層及び、裏面ポリオレフィン系樹脂組成物層に使用されるポリオレフィン系樹脂としては、前記ポリオレフィン系樹脂以外に、ポリプロピレン系樹脂、例えばポリプロピレン、ポリプロピレンとエチレン−プロピレンゴム(EPRゴム)とのリアクター重合樹脂、もしくはこれらのポリマーアロイ体であるPP−EPR樹脂、ポリプロピレンとエチレン−プロピレン−共役ジエン系ゴム(EPDMゴム)とのリアクター重合樹脂、もしくはこれらのポリマーアロイ体であるPP−EPDM樹脂などを使用することができる。
本発明の印刷用シートのポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層及び、裏面ポリオレフィン系樹脂組成物層は、必要に応じて、有機系顔料、無機系顔料などによって着色されていてもよく、その他に可塑剤、軟化剤、安定剤、滑剤、防炎剤、難燃剤、発泡剤、帯電防止剤、界面活性剤、架橋剤、硬化剤、有機系顔料着色剤、無機系顔料着色剤、導電性フィラー、各種フィラー、防黴剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、老化防止剤などのように、通常使用される添加剤を本発明の効果、目的を逸脱しない範囲で配合していても良い。
本発明の印刷用シートのポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層及び、裏面ポリオレフィン系樹脂組成物層に使用できる難燃剤には、ハロゲン系難燃剤として臭素系化合物、非ハロゲン系難燃剤としては、リン酸エステル系化合物、ポリリン酸アンモニウム系化合物、(イソ)シアヌル酸誘導体化合物、シアナミド化合物、尿素系化合物、無機金属水酸化物、無機金属酸化物、無機金属炭酸塩、ホウ酸系化合物、硫黄系化合物などを用いることができる。
臭素系化合物難燃剤としては、デカブロモジフェニルオキサイド、オクタブロモジフェニルオキサイド、テトラブロモジフェニルオキサイド、テトラブロモビスフェノールA、ビストリブロモフェノキシエタン、トリブロモフェノール、エチレンビステトラブロモフタルイミド、エチレンビスペンタブロモフタルイミド、エチレンビスペンタブロモジフェニル、ヘキサブロモベンゼン、ヘキサブロモシクロドデカン、臭素化ポリスチレン、TBAポリカーボネートオリゴマー、1,2−ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、トリス(2,3−ジブロモプロピル−1)イソシアヌレート、トリス(2,4,6−トリブロモフェノキシ)イソシアヌレート、並びに臭素置換リン酸エステル類、例えばトリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート、トリス(2,4,6−トリブロモフェニル)ホスフェート、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェートなどが使用でき、これらを三酸化アンチモン、五酸化アンチモンなどの酸化アンチモン化合物と併用して用いることが好ましい。
非ハロゲン系難燃剤において、前記リン酸エステル系化合物難燃剤としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリプロピルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリペンチルホスフェート、トリヘキシルホスフェート、ジメチルエチルホスフェート、及びメチルジブチルホスフェートなどの鎖状アルキルリン酸エステル;トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、ジフェニルオクチルホスフェート、p−ベンジルフェニルホスフェート、及びヒドキシフェニルジフェニルホスフェートなどの芳香族リン酸エステル化合物;並びにこれらの化合物のオリゴマー状縮合体などを用いることができる。
このオリゴマー状縮合体としては、例えば、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノールAテトラフェニルジホスフェート、ビスフェノールAテトラクレジルジホスフェート、1,3−フェニレンビス(ジフェニルホスフェート)、レゾルシノールジホスフェート、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、トリオキシベンゼントリホスフェートなどのオリゴマー状芳香族リン酸エステル縮合体を用いることができる。
非ハロゲン系難燃剤において、前記ポリリン酸アンモニウム系化合物難燃剤としては、オルソリン酸アンモニウムと尿素の縮合生成物が用いることができる。また縮合リン酸塩化合物としては、ポリリン酸アンモニウム、メラミン変性ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸メラミンなどが使用できる。ポリリン酸アンモニウムは、重合度が200以上のものが好適に用いられ、更にポリリン酸アンモニウムの表面が、メラミン系樹脂、尿素樹脂、トリアジン樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化樹脂で被覆処理されて水に難溶化されたものが好適に用いられる。ポリリン酸アンモニウムの重合度が200未満であると、ポリリン酸アンモニウムが水溶性となり、非ハロゲン系難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物を積層したシートの耐水性が低下したり、難燃化効果の持続性が乏しくなるなどして屋外での使用に不適切な物となる。本発明の印刷性シートに使用できる縮合リン化合物としては、メラミン樹脂で表面処理された重合度600〜1200のポリリン酸アンモニウムが好ましく使用できる。
非ハロゲン系難燃剤において、前記(イソ)シアヌル酸誘導体化合物難燃剤としては、メラミン、硫酸メラミン、燐酸メラミン、ポリ燐酸メラミン、トリメチロールメラミン、シアヌル酸トリメチルエステル、シアヌル酸トリエチルエステル、アンメリン、アンメリド、及び2,4,6−トリオキシシアニジンなどのシアヌル酸誘導体などを用いることができる。また、イソアンメリン、イソメラミン、イソアンメリド、トリメチルカルボジイミド、トリエチルカルボジイミド、及びトリカルボイミドなどのイソシアヌル酸誘導体を用いることができる。
非ハロゲン系難燃剤において、前記シアナミド系化合物難燃剤としては、例えばジシアンジアミド、ジシアンジアミジシン、グアニジン、スルファミン酸グアニジン、燐酸グアニジン、及びジグアニドなどのシアナミド誘導体を用いることができる。
また非ハロゲン系難燃剤において、前記尿素系化合物難燃剤としては、尿素、ジメチロール尿素、ジアセチル尿素、トリメチル尿素、N−ベンゾイル尿素、及び燐酸グアニル尿素などの尿素誘導体を用いることができる。
非ハロゲン系難燃剤において、前記硫黄系化合物難燃剤としては、チオ尿素、硫酸アンモニウム、スルファミン酸アンモニウムなどを用いることができる。
本発明の印刷用シートに用いられる非ハロゲン系難燃剤において、前記無機金属水酸化物としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化ジルコニウム、塩基性炭酸マグネシウム、ドロマイト、ハイドロタルサイト、ヒドロキシスズ酸亜鉛、酸化スズの水酸化物、ホウ砂などの無機金属水酸化物などが挙げられる。また非ハロゲン系難燃剤において、前記無機金属酸化物としては、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化バリウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化モリブデン、酸化アンチモン、ジルコニウム−アンチモン複合酸化物などの無機金属酸化物などが挙げられる。さらに非ハロゲン系難燃剤において、前記無機金属炭酸塩としては、炭酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸マグネシウム−カルシウムなどが挙げられる。さらに非ハロゲン系難燃剤において、前記ホウ酸系化合物としては、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウムなどが挙げられる。
これらの無機系非ハロゲン系難燃剤は、1種のみで用いられてもよくまたは2種以上併用してもよい。これらの無機系非ハロゲン難燃剤の中でも特に水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、酸化アンチモン、ジルコニウム−アンチモン複合酸化物などはその難燃効果が高く、経済的にも有利である。また、これらの無機系非ハロゲン難燃剤の粒径は、化合物の種類によって異なるが、例えば水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムの場合平均粒径が、20μm以下、好ましくは10μm以下であるものが加工性、分散性のうえで好ましい。
更に本発明の印刷用シートにおいて使用される無機系非ハロゲン系難燃剤は、その表面をステアリン酸、オレイン酸、パルチミン酸、などの脂肪酸またはその金属塩、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、またはこれらの変性物、有機ボラン、有機チタネート、シランカップリング剤などにより被覆もしくは表面処理、改質されていることが好ましい。本発明の印刷用シートに使用される上記難燃剤の配合方法については上記説明のポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム、裏面側ポリオレフィン系樹脂組成物層の成型及び、インク受容層を形成する際の配合中に添加しておけばよい。特に繊維布帛に対しては、前処理によって難燃剤を付着、吸着させてもよい。インク受容層に添加する場合の配合量においては、印刷性への影響を考慮してインク受容層の全重量に対し、2〜30重量%であることが好ましく、5〜25重量%であることがより好ましい。
本発明の印刷用シートのポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層及び裏面側ポリオレフィン系樹脂組成物層の加工に使用されるコンパウンドは、公知の方法、例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、二軸混練機などを用いて溶融混練後、単軸押出機、二軸押出機などで溶融混練造粒する方法、さらには、この造粒コンパウンドに単軸押出機、二軸押出機などで、前記臭素系難燃剤、非ハロゲン系難燃剤、有機系顔料、無機系顔料などの着色剤、及び各種添加剤を溶融混合造粒した高濃度のマスターバッチを作製しておき、タンブラーブレンダー、タンブルミキサー、ヘンシェルミキサーのような混合機を用いてドライブレンドし、混合後、更に単軸押出機、二軸押出機などで溶融混練造粒する方法を採用することができる。
本発明の印刷用シートのポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層及び、裏面側ポリオレフィン系樹脂組成物層に用いられるフィルムまたは、シートは、前記非ハロゲン系難燃剤及び/又は臭素系難燃剤を含む、又は含まない上記コンパウンドを用いてT−ダイ法、インフレーション法、カレンダー法など公知のフィルム、シート加工技術によって製造することができ、特に有機系顔料、無機系顔料などによって着色されたフィルム、シートの製造の際には、カレンダー法により100〜250℃の温度範囲にて上記オレフィン系樹脂ブレンドフィルム層用フィルム、シートの成型加工を行うことによりコンパウンドの色替えロスがすくなく、製造効率を高めることができる。
本発明の印刷用シートのポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層及び、裏面側ポリオレフィン系樹脂組成物層に用いるフィルム、シートの厚さは、80〜1000μmであることが好ましく、特に130〜500μmであることがより好ましい。この厚さが前記範囲よりも薄いと成型加工が困難であり、かつそれを繊維布帛と熱圧着してラミネートした時に繊維布帛面の凹凸によりフィルムの頭切れを起こし、防水性を損なうため、屋外用の日除けテント用途、シートハウス用途、広告用印刷膜材用途などに使用できず、また、厚さが、前記範囲よりも厚いと、カレンダー加工が困難となり、かつ重くて柔軟性を欠き、取り扱い性が不良になる。
また、本発明の印刷用シートにおいて、ポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層及び、裏面側ポリオレフィン系樹脂組成物層の形成には、上記ポリオレフィン系樹脂エマルジョン、または水分散体と、上記スチレン系共重合樹脂のエマルジョン、または水分散体との混合物に、必要に応じて上記臭素系難燃剤及び非ハロゲン系難燃剤から選ばれた1種以上を加えた配合組成物を、公知の塗布方法、例えば、ドクターナイフコート法、グラビアコート法、ロータリースクリーンコート法、ディップコート法などにて基材にコーティングを行い、水分を乾燥させる方法を用いることもできる。
また、本発明の印刷用シートにおいて、ポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層及び、裏面側ポリオレフィン系樹脂組成物層の形成には、上記ポリオレフィン系樹脂を有機系溶剤に溶解した溶液と、上記スチレン系共重合樹脂を有機系溶剤に溶解させた溶液との混合物に、必要により上記難燃剤の1種以上を加えた配合組成物を、公知の塗布方法、例えば、ドクターナイフコート法、グラビアコート法、ロータリースクリーンコート法、ディップコート法などにて基材にコーティングを行い、溶剤を乾燥させる方法を用いることができる。
これらのエマルジョン系(水分散体)または、溶剤系のポリオレフィン系樹脂塗布組成物を用いたポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層の形成方法としては、直接、繊維布帛にポリオレフィン系樹脂ブレンド塗布組成物をコーティングして塗布−乾燥してもよいし、または、離型紙、離型フィルムなどにポリオレフィン系樹脂塗布組成物をコーティングして塗布−乾燥したものを繊維布帛にラミネート転写して積層してもよい。
本発明の印刷用シートに使用できる繊維布帛としては、織布、編布、不織布のいずれでもよく、織布としては特に織組織に限定はないが、平織織物を用いると、得られる表面処理シートの縦緯物性バランスが優れたものになる。編布としてはラッセル編の緯糸挿入トリコットを用いることが好ましく、不織布としては長繊維を用いた不織布を用いることが好ましく、特にスパンボンド不織布などが使用できる。また、繊維布帛の縦糸・緯糸は合成繊維、天然繊維、半合成繊維、無機繊維またはこれらの2種以上から成る混合繊維のいずれによって製織されてもよいが、加工性、汎用性を考慮するとポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維、ポリウレタン繊維、または、これらの混合繊維などの合成繊維の長繊維糸条、短繊維紡績糸条、スプリットヤーン、テープヤーンなどのいずれの形状でも使用できる。そのうちでも引張強力、引裂強力、耐熱クリープ特性などに優れているポリエステル繊維、ポリアミド繊維、これらの混合繊維や、複合繊維などから形成されるマルチフィラメント平織繊維布帛または、スパン平織繊維布帛を用いることが好ましい。
本発明の印刷用シートに使用する繊維布帛には、必要に応じて難燃化処理された繊維布帛及び、予め難燃化された繊維によって製織された布帛を使用することができる。難燃化処理された繊維布帛としては、繊維の種類に応じて、前記臭素系化合物難燃剤、前記リン酸エステル系化合物難燃剤、前記ポリリン酸アンモニウム系化合物難燃剤、前記(イソ)シアヌル酸誘導体化合物難燃剤、前記シアナミド系化合物難燃剤、前記尿素系化合物難燃剤、前記硫黄系化合物難燃剤から選ばれた1種以上を水または有機系溶剤、あるいはエマルジョン及び、ラテックスなどを分散媒体として用い、難燃剤を分散して、あるいは溶解して含む難燃化処理剤を上記繊維布帛に含浸させ、乾燥、熱処理して得られるものが挙げられる。また、予め難燃化された繊維としては、糸をポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂などの熱可塑性樹脂から紡糸する段階で上記難燃剤から選ばれた1種以上をブレンドして溶融紡糸された難燃繊維、あるいは、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂などの熱可塑性樹脂を合成する段階で原料モノマーの一部をリン酸エステル含有モノマーや、ハロゲン含有モノマーに置換して合成して得られる熱可塑性樹脂から溶融紡糸された難燃繊維が挙げられる。
これらの繊維布帛とポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層とは、繊維布帛の片面に積層してもよいし、その両面に積層してもよいが、屋外用途の耐久性を考慮すると繊維布帛の両面に、ポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層シートを積層することが好ましく、必要に応じて、その裏面を別の組成からなる裏面側ポリオレフィン系樹脂組成物層で構成されていてもよい。
特に本発明の印刷用シートの両面にインク受容層が形成される場合、片面の印刷絵柄が、もう一方の印刷絵柄に透けて映らない様にするためにインク受容層が形成された2枚のポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層の間に遮光層を設けることが好ましい。この遮光層は、ポリオレフィン系樹脂にカーボンブラック、酸化チタンなどの無機系顔料、縮合アゾ、シアニンブルー、キナクリドンなどの有機系顔料更にアルミニウム粉末、ブロンズ粉末などの金属粉末及び金属蒸着された無機系フィラーなどを適量配合して得られる厚さが0.03〜0.2mmのフィルムが使用できる。また、この遮光層の形成は、ポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルムの裏側に上記の無機系顔料及び有機系顔料、金属粉末などを含有するグラビアインキまたは、スクリーンインキなどのインキを用いて遮光層を印刷塗布形成させても良い。
これらのポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム、裏面ポリオレフィン系樹脂フィルム、遮光層フィルムと繊維布帛との積層の方法として、シートと繊維布帛との間に接着剤層を設けても良いし、接着剤なしに積層しても良い。
また、積層の方法として、シートと繊維布帛との間に接着剤層を設けてもよいし、接着剤なしに積層結着してもよい。本発明の印刷用シートの製造に用いる繊維布帛とポリオレフィン系樹脂ブレンド基材層及び、裏面ポリオレフィン系樹脂層との積層方法は、フィルム、シートの成型加工時に同時に繊維布帛と熱ラミネート積層するカレンダートッピング法、T−ダイラミネート法、あるいは、カレンダー法、T−ダイ法、インフレーション法などによりシートを一度成型加工した後に、ラミネーターによる熱圧着により繊維布帛との積層を行う方法などがあるが、本発明による印刷用シートの製造には、カレンダー法によって成型加工された上記シートと、ポリエステル繊維平織布帛との熱圧着による方法が、効率的かつ経済的である。
このとき、平織布帛の織組織は目抜け平織であると、目抜け部分を介在して表と裏のシートが熱溶融ブリッジするために、特別な接着剤を必要とせずに本発明の印刷用シートを製造する事ができ、また、縦方向、横方向の物性のバランスをより良好にすることができる。また、本発明の印刷用シートに使用されるポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層及び、裏面側ポリオレフィン系樹脂組成物層の形成方法が、上記エマルジョン系(水分散体)または、溶剤系のポリオレフィン系樹脂塗布組成物を用いる形成方法によって行われる場合には、繊維布帛の織組織は、糸密度の高い非目抜け平織りであることが好ましく、特にスパン繊維布帛などを使用する事が好ましい。
本発明の印刷用シートの厚さは、特に限定されるものではなく、その用途によって適宜選定される。例えば、印刷用シートの場合80〜1000μmであり、印刷用ポリオレフィン系樹脂基材層を繊維布帛の片面に設けたシートの場合には120〜1600μmであり、印刷用ポリオレフィン系樹脂基材層を繊維布帛の両面に設けたシートの場合には160〜2000μm程度である。
本発明の印刷用シートにおいて、シート状基材の樹脂ブレンドフィルム層と、インク受容層との間に、熱可塑性樹脂の有機溶剤溶液を前記樹脂ブレンドフィルム層の全面に塗布、乾燥して中間処理層が形成され、この中間樹脂層を介して、シート状基材の樹脂ブレンドフィルム層と、インク受容層とが密着して結着されていてもよい。
前記樹脂ブレンドフィルム層と中間処理層との界面部分において、前記樹脂ブレンドフィルム層中のスチレン系共重合体樹脂の一部分と、前記中間処理層中の熱可塑性樹脂の一部分とによる接着層が形成されていることが好ましい。
本発明の印刷用シートにおいて、中間処理層に含まれる熱可塑性樹脂としては、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂の1種以上から選ばれたものが使用できる。
ポリウレタン系樹脂としては、ジイソシアネート化合物とヒドロキシル基を分子構造内に2個以上有するポリオール化合物の中から選ばれた1種以上と、イソシアネート基と反応する官能基を含有する化合物との付加重合反応によって得られるものが用いられる。ジイソシアネート化合物としては、芳香族、脂肪族、脂環式(水素添加物を包含する)のジイソシアネート化合物が用いられる。ヒドロキシル基を2個以上有するポリオール化合物としては、分子量300〜10,000、好ましは、500〜5,000であり、ジイソシアネート化合物と反応する量を含有するものである。更に、前記ジオールの他に分子鎖長の調節剤として、イソシアネート基と反応する官能基を有する化合物を使用してもよい。これらの熱可塑性ポリウレタン樹脂は、上記の化合物を用いて公知の方法によって製造される。
上記熱可塑性ポリウレタン樹脂を、有機系溶剤中に、好ましくは10〜40重量%の固形分濃度で溶解させたものが、中間処理層用溶剤コーティング剤として使用され、必要に応じてジイソシアネート化合物または、イソシアネート基を分子内に3個以上含有するポリイソシアネート化合物を添加して、その被膜強度及び、耐熱性などを向上、改善させることができる。更に、本発明の印刷用シートにおいて、中間処理層の形成に用いられる熱可塑性ポリウレタン系樹脂としては、無黄変ポリウレタン樹脂を使用するのが耐光性の面で好ましく、無黄変ポリウレタン樹脂は、上記ジイソシアネート化合物の中から特に脂肪族、脂環式(水素添加物を包含する)ジイソシアネートを選んで製造することによって得られる。
本発明の印刷用シートにおいて、中間処理層の形成に用いられるアクリル系樹脂としては、(メタ)アクリレートモノマーのラジカル重合によって得られるアクリル共重合樹脂が好ましく、特に(メタ)アクリレートモノマーとラジカル共重合可能なその他のモノマーとの共重合によって得られるアクリル系共重合樹脂が好ましく使用できる。(メタ)アクリレートモノマーとラジカル共重合可能なモノマーとしては、例えばアルキル基の炭素数が2〜18のアルキルメタアクリレート、アルキル基の炭素数が1〜18のアルキルアクリレートの他、アクリル酸やメタクリル酸等のα,β−不飽和酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、等の不飽和基含有二価カルボン酸及びそれらのアルキルエステル、スチレン、α−メチルスチレン、核置換スチレン等の芳香族ビニル化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物、無水マレイン酸、マレイミド、N−置換マレイミド等が挙げられ、これらは単独、あるいは2種以上を併用してメチル(メタ)アクリレートモノマーと共重合されるものが好ましい。この熱可塑性アクリル系共重合樹脂を、有機系溶剤中に、好ましくは10〜40重量%の固形分濃度で溶解させたものが、中間処理層用溶剤コーティング剤として使用される。
本発明の印刷用シートにおいて、中間処理層の形成に用いられるポリアミド系樹脂としては、炭素原子数4〜12個のジカルボン酸と、炭素原子数4〜14個のジアミンとの重縮合から得られるもの、もしくは、炭素原子数6〜12個の環状ラクタムの開環重合によって得られるものなどが使用できる。また本発明に使用できるポリアミド系樹脂としては、これらの共重合樹脂であっても良く、更にポリアミド−ポリウレタン共重合樹脂、ポリアミド−ポリエステルの共重合樹脂であっても良い。この熱可塑性ポリアミド樹脂を、有機系溶剤中に、好ましくは10〜40重量%の固形分濃度で溶解させたものが、中間処理層用溶剤コーティング剤として使用される。
本発明の印刷用シートにおいて、中間処理層の形成に用いられるポリエステル系樹脂としては、炭素原子数4〜12のジカルボン酸と、ジオールとの重縮合によって得られる非結晶性の飽和ポリエステル樹脂が使用される。これらの非結晶性の飽和ポリエステル樹脂としては、少なくとも芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジカルボン酸の組み合わせから選ばれた2種以上のジカルボン酸及び、そのエステル形成誘導体と、ジオール及び、そのエステル形成誘導体との重縮合によって得られる飽和ポリエステル共重合樹脂が、本発明の溶剤系コーティング剤に好ましく使用できる。また、これらのジオールは、2種以上を併用しても良い。更に、中間処理層に使用できる熱可塑性ポリエステル樹脂として、脂肪族ポリエーテルブロック重合体及び/又は脂肪族ポリエステルブロック重合体成分を上記飽和ポリエステル共重合樹脂に組み込んだ共重合樹脂なども使用することができ、更にポリエステル−ポリアミド共重合樹脂、ポリエステル−ポリウレタン共重合樹脂なども好ましく使用することができる。この熱可塑性ポリエステル樹脂を、有機系溶剤中に、好ましくは10〜40重量%の固形分濃度で溶解させたものが、中間処理層用溶剤コーティング剤として使用される。
本発明の印刷用シートにおいて、中間処理層の形成に用いられるスチレン系樹脂としては、スチレンモノマーのラジカル重合によって得られるスチレン樹脂が好ましく、特にスチレンモノマーとラジカル共重合可能なその他のモノマーとの共重合によって得られるスチレン系共重合樹脂が好ましく使用できる。スチレンモノマーとラジカル共重合可能なモノマーとしては、例えばアルキル基の炭素数が2〜18のアルキルメタアクリレート、アルキル基の炭素原子数が1〜18のアルキルアクリレートの他、アクリル酸やメタクリル酸等のα,β−不飽和酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、等の不飽和基含有二価カルボン酸及びそれらのアルキルエステル、核置換スチレン等の芳香族ビニル化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物、無水マレイン酸、マレイミド、N−置換マレイミド等が挙げられ、これらは単独、あるいは2種以上を併用してスチレンモノマーと共重合されるものが好ましい。
中間処理層の形成に用いられるその他のスチレン系共重合樹脂として、A−B−A型スチレンブロック共重合樹脂(Aはスチレン重合体ブロック、Bはブタジエン重合体ブロック、イソプレン重合体ブロック、もしくはビニルイソプレン重合体ブロックである。)、A−B型スチレンブロック共重合樹脂(AとBは、上記と同義である。)、スチレンランダム共重合樹脂、およびこれらのスチレン系共重合樹脂の水素添加樹脂が使用できる。上記A−B−A型スチレンブロック共重合樹脂及び、A−B型スチレン共重合樹脂において、Aはスチレン重合体ブロック、Bはブタジエン重合体ブロック、イソプレン重合体ブロック、もしくはビニルイソプレン重合体ブロックである。これらのブロック共重合体は、ポリスチレンをハードセグメントとするスチレン系ブロック共重合樹脂である。この熱可塑性ポリスチレン系共重合樹脂を、有機系溶剤中に、好ましくは10〜40重量%の固形分濃度で溶解させたものが、中間処理層用溶剤コーティング剤として使用される。
本発明の印刷用シートにおいて、中間処理層の形成に用いられる熱可塑性樹脂としては、上記ポリウレタン系樹脂、上記アクリル系樹脂、上記ポリエステル系樹脂、上記ポリアミド系樹脂、スチレン系樹脂の1種以上から選ばれたものが使用でき、これらの熱可塑性樹脂を含有する溶剤系コーティング剤において使用される有機系溶剤としては、イソプロパノール、n−ブタノールなどのアルコール系溶剤、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶剤、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素系溶剤、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素系溶剤、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどのアミド系溶剤、及び酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤、その他テトラヒドロフランなどの1種以上から選ばれた混合有機系溶剤が好ましい。
本発明の印刷用シートにおいて、中間処理層には前記臭素系化合物難燃剤、前記非ハロゲン系難燃剤から選ばれた1種以上を中間処理層の重量に対し、5〜30重量%含んでいてもよく、これらの難燃剤は、上記有機系溶剤に可溶であることが中間処理層を形成する溶剤系コーティング剤の取り扱い性及び、加工性の観点で好ましい。これらの中間処理層を形成する溶剤系コーティング剤の塗布する方法としては、特別に限定はないが、これらの溶剤系コーティング剤をポリオレフィン系樹脂ブレンド基材層の表面に均一、かつ均質に塗布できるような塗布、コーティング方式が望ましく、例えば、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、コンマコート法、ロールコート法、リバースロールコート法、バーコート法、キスコート法、フローコート法などが好適である。中間処理層の厚みに特に制限はないが、上記コーティング方法のいずれか、もしくは、組み合わせによって、固形分付着量で5〜60g/m2 、好ましくは、10〜35g/m2 の目付厚さに形成されることが好ましい。固形分付着量が5g/m2 よりも少ないと、水系熱可塑性樹脂ベースのインク受容層コーティング剤の塗工性及び中間処理層との密着性が十分に得られなく、また、60g/m2 を超えるとコーティング処理の回数が増え、悪戯に工程が煩雑化し、製造コストが高くなり好ましくない。
また、中間処理層は、無機系顔料、有機系顔料などの着色剤により着色されていても良い。
本発明の印刷用シートにおいて、インク受容層が、中間処理層上に形成される場合には、インク受容層形成用コーティング液は、前述と同様の溶剤系コーティング液が用いられてもよく、或は下記の水系コーティング液を用いられてもよい。水系コーティング液は、水性媒体と、熱可塑性樹脂(バインダー)とを含むものである。
本発明の印刷用シートにおいて、インク受容層の形成に用いられる水系コーティング液の熱可塑性樹脂バインダー成分には、熱可塑性樹脂エマルジョン、熱可塑性ゴムラテックス、水溶性高分子化合物から選ばれた1種以上を含有することが好ましい。
熱可塑性樹脂エマルジョンとしては、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合樹脂、酢酸ビニル−マレイン酸ジブチル共重合樹脂、酢酸ビニル−ベオバ共重合樹脂、酢酸ビニル−エチレン共重合樹脂(VAE)、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)などの酢酸ビニル系共重合樹脂エマルジョン、アクリル酸エステル−メタクリル酸メチル共重合樹脂、アクリル酸エステル−スチレン共重合樹脂などのアクリル酸エステル系共重合樹脂エマルジョン、ポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂、ポリカプロラクトン系ポリウレタン樹脂、アクリル系ポリウレタン樹脂などのポリウレタン樹脂エマルジョン、ポリエステル系樹脂エマルジョン、ポリアミド系樹脂エマルジョン、ポリエチレン系樹脂エマルジョン、アイオノマー樹脂エマルジョンなど、及び、これらのエマルジョンの混合物、更に、これらの樹脂構造中に水酸基、カルボン酸基、4級アンモニウム塩基などを導入させた官能基含有変性共重合体エマルジョンなどが挙げられる。また、熱可塑性樹脂エマルジョンはコア−シェル異相構造のハイブリッドエマルジョンであっても良く、これらのコア−シェル型エマルジョンとしては、例えば、コアポリマーに上記酢酸ビニル系共重合樹脂または、アクリル酸エステル系共重合樹脂を選び、シェルポリマーにポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂などの熱可塑性樹脂を選んでポリマーアロイ化したものなどが使用できる。
熱可塑性ゴムラテックスとしては、ブタジエン重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、カルボキシル変性スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、メチルメタアクリレート−ブタジエン共重合体、2−ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体などのブタジエン系樹脂ラテックス、ポリスチレン系ラテックスなどが挙げられる。更に、これらの樹脂構造中に水酸基、カルボン酸基、4級アンモニウム塩基などを導入させた官能基含有変性共重合体ラテックスなどが挙げられる。また、水溶性高分子化合物としては、水もしくは、水とアルコールの混合溶媒に可溶なもの、例えば、カチオン変性デンプン、ゼラチン、ポリアミノ酸、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、デンプン−アクリロニトリル重合体の加水分解生成物、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリアミン系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリエチレンイミン系樹脂、ポリエチレンポリアミド系樹脂、ポリアミドエピクロルヒドリン系樹脂、ポリアミンエピクロルヒドリン系樹脂、ポリアミドポリアミン系樹脂、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン系樹脂、ジシアンジアミド系樹脂、ポリエチレンオキサイド系樹脂、ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイド共重合体樹脂等のポリアルキレンオキサイド誘導体樹脂、さらには、カルボン酸基、水酸基、エーテル基、4級アンモニウム塩基などを導入することにより得られる親水性ポリエステル系樹脂や親水性ポリウレタン系樹脂などが挙げられる。
本発明の印刷用シートにおけるインク受容層の形成に用いられる水系コーティング液の樹脂バインダー成分には、上記の熱可塑性樹脂エマルジョン、熱可塑性ゴムラテックス、水溶性高分子化合物から選ばれた1種以上を組み合わせて使用することが、インクジェット印刷時のインク吸収性、インク定着性、インク発色性などの印刷要因のコントロールバランスが容易となり、また効果的である。また、本発明の印刷用シートのインク受容層の耐摩耗性向上及び、耐水性の向上を目的として、インク吸収性が損なわれない範囲において硬化剤や架橋剤を添加してもよい。このような硬化剤及び架橋剤としては、水性エポキシ系硬化剤、水性メラミン系硬化剤、水性イソシアネート系架橋剤、水性カルボジイミド系架橋剤、水性オキサゾリン系架橋剤などを、使用する樹脂配合系が含有する官能基の種類及び、官能基量に応じて適量使用することができる。
本発明の印刷用シートにおいて、インク受容層の形成に用いられる水系コーティング液には、インクの定着を向上させることを目的として、公知の定着剤(耐水化剤)を併用してもよい。定着剤としては、インクの分子構造に含まれるスルホン酸基、カルボン酸基とイオン結合して水に不溶性の錯体を形成することができるカチオン性化合物を使用するのが好ましく、カチオン性化合物としては発色性、溶出性を考慮してカチオン系樹脂から選択することがより好ましい。このようなカチオン系樹脂の例としては、ポリエチレンイミン塩、ジメチルアミンエピハロヒドリン縮合体、ポリアルキレンポリアミンジシアンジアミドアンモニウム縮合体、ポリビニルアミン塩、ポリアリルアミン塩、(メタ)アクリル酸アルキル4級アンモニウム塩、(メタ)アクリルアミドアルキル4級アンモニウム塩、ポリジメチルジアリルアンモニウム塩、ポリスチレン4級アンモニウム塩、ポリビニールピリジウムハライド、ポリビニールベンジルトリメチルアンモニウム塩などが挙げられる。これらは、単独もしくは混合して用いてもよい。また、インク吸収性が損なわれない範囲において、インク受容層の耐摩耗性向上及び、耐水性の向上を目的として、硬化剤や架橋剤を添加してもよい。このよう硬化剤及び架橋剤としては、エポキシ系硬化剤、メラミン系硬化剤、イソシアネート系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤などを、使用する樹脂に応じて使用することができる。
本発明の印刷用シートのインク受容層を形成する水系コーティング液に用いられる微粒子顔料、及び多孔質微粒子としては、シリカ、カオリンクレー、ゼオライト、セピオライト、ハイドロタルサイト、アルミナ水和物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、タルク、硫酸バリウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、ケイ藻土、酸化チタン、などの無機系化合物顔料及び、ナイロン系樹脂微粒子、尿素系樹脂微粒子、ベンゾグアナミン系樹脂微粒子などの有機系化合物顔料、その他の微粒子顔料として、セルロース微粒子、ケラチン微粒子、キトサン微粒子、アルギン酸重合物微粒子、アミノ酸重合物微粒子(プロテイン)、コラーゲン変性化合物微粒子などの天然物由来の有機系化合物顔料が挙げられるが、本発明の印刷用シートの水系のインク受容層コーティング剤に用いられる多孔質微粒子としては、特にシリカが好ましい。シリカ(二酸化珪素)としては、珪酸ソーダと鉱酸(硫酸)及び塩類を、水溶液中で反応させる湿式法によって得られる合成非晶質シリカを、インク受容層の重量に対し、10〜80重量%使用することが好ましい。この湿式法によって合成される非晶質シリカは、シリカ表面のシラノール基(≡Si−OH基)に水素結合で結合する水分と、シラノール基自体が含有する水酸基として存在する水分を結合水分として有するため含水シリカとして、シリカの他の乾式合成法やエアロゲル合成法によって得られる水分含有率の極めて少ない無水シリカと区別されるものである。本発明の印刷用シートにおいて、インク受容層コーティング剤に配合して用いられる非晶質含水シリカの平均凝集粒径としては、特に制約はないが、平均凝集粒径(コールカウンター法)が1〜20μmのもの、好ましくは2〜10μmの非晶質含水シリカを用いることができる。また、非晶質含水シリカの含水率としては、3〜15重量%のもの、好ましくは5〜10重量%の非晶質含水シリカを用いることができる。シリカの配合量が10重量%より少ないと、得られる印刷用シートのインク吸着性及び、発色性が十分に得られず、シリカの配合量が80重量%を超えると、インク受容層の耐摩耗性を悪くし、また、乱反射性を増すことにより、発色性がかえって悪くなるため好ましくない。
本発明の印刷用シートにおいてインク受容層の形成に用いられる水系コーティング液には、水の他に、コーティング液の塗工粘度調整のための希釈剤としてアルコール類を含んでいてもよく、及び、また、コーティング塗工層の乾燥速度調整の目的で、少量のメチルセロソルブ、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの親水性溶媒を添加してもよい。
本発明の印刷用シートにおいてインク受容層の形成に用いられる水系コーティング液には、必要に応じて、有機系顔料、無機系顔料によって着色されていても良く、必要に応じて更に、可塑剤、軟化剤、安定剤、ワックス、防炎剤、難燃剤、消泡剤、分散剤、浸透剤、界面活性剤、撥水剤、撥油剤、導電性フィラー、各種フィラー、防黴剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、蛍光増白剤、老化防止剤、増粘剤などの通常使用される添加剤を本発明の効果を逸脱しない範囲で使用していても良い。
インク受容層を形成する水系コーティング液の塗布の方法としては、特別に限定される物ではないが、これらの水系コーティング液をポリオレフィン系樹脂基材層上に設けられた熱可塑性樹脂表面処理層の表面に均一、かつ均質に塗布できる様な塗布、コーティング方式が望ましく、例えば、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、コンマコート法、ロールコート法、リバースロールコート法、バーコート法、キスコート法、フローコート法などが好適である。
本発明の印刷用シートにおいて、インク受容層の形成には上記塗布方法の組み合わせ、または、単一方式にて、熱可塑性樹脂を含有する水系コーティング液を複数回繰り返してコーティング、乾燥して、本発明のインク受容層の形成を行ってもよい。また、本発明の印刷用シートにおいて、インク受容層の形成が、上記塗布方法の組み合わせ、または、単一方式にて、熱可塑性樹脂を含有する水系コーティング液を複数回繰り返してコーティングし、かつ乾燥する場合、コーティングごとのインク受容層の配合組成が、互いに異なっていてもよい。例えば、ポリビニルアルコール系樹脂を主体とするインク受容層の上に、更にポリウレタン系樹脂を主体とするインク受容層を設けても良く、また、例えば、ポリウレタン系樹脂を主体とするインク受容層の上に更に、ポリビニルアルコール系樹脂を主体とするインク受容層を設けることによって、インク受容層の耐水性、耐摩耗性などの耐久性面での改良を行うことができる。また、それぞれのインク受容層に用いられる微粒子顔料及び、多孔質微粒子の配合量を変えてコーティングを行い、コーティング層ごとに微粒子顔料及び、多孔質微粒子の含有濃度勾配を持たせることによって、インクの吸着性、インクの発色性などの印刷性面での改良を行うことができる。また、それぞれのインク受容層に用いられる微粒子顔料及び、多孔質微粒子の種類を変えてコーティングを行い、コーティング層ごとに微粒子顔料及び、多孔質微粒子の含有種を変えることによって、インクの吸着性、インクの発色性などの印刷性面での改良を行うことができる。また、本発明の印刷用シートのインク受容層が、シートの両面に形成される場合において、互いの面のインク受容層を形成する水系コーティング剤に用いられる上記熱可塑性樹脂が、それぞれ異なっていても良く、例えば片面がポリウレタン系樹脂主体で、もう一方の面がポリビニルアルコール系樹脂主体の異種インク受容層構成、例えば片面が、ポリウレタン系樹脂主体で、もう一方の面がポリエチレンオキサイド系樹脂主体の異種インク受容層構成、例えば片面が、ポリビニルアルコール系樹脂主体で、もう一方の面がアクリル系樹脂主体の異種インク受容層構成などの異種組合わせであっても良い。
本発明の印刷用シートの上記水系熱可塑性樹脂コーティングによるインク受容層の形成において、形成されるインク受容層の厚みに特に制限はないが、上記コーティング方法のいずれか、もしくは、組み合わせによって、固形分付着量で5〜60g/m2 、好ましくは、10〜35g/m2 に形成されるのが良い。固形分付着量が5g/m2 よりも少ないと、本発明の印刷用シートの印刷性、及び発色性が十分に得られなく、また、60g/m2 を超えるとコーティング処理の回数が増え、悪戯に工程が煩雑化し、製造コストが高くなり好ましくない。
本発明の印刷用シートへのインクジェット印刷方法としては、公知の印刷方法、及び市販のインクジェットプリンターを用いて行うことができる。
本発明の印刷用シートに使用できるインクジェット印刷用のインクとしては、水性インク、溶剤系インク、油性インクのいずれを用いてもよい。水性インクは、顔料、染料の分散溶媒として水と水溶性有機溶剤を主成分として含有するものである。水溶性有機溶剤として、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール類及びN−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−ビニル2−ピロリドンなどのピロリドン類が、水性インクの湿潤剤として使用され、また、水溶性有機溶剤としてエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル類が水性インクの浸透剤として使用される。水溶性有機溶剤の含有量としては、水性インク全重量に対し、10〜50重量%の範囲が挙げられる。また必要により、水性インク組成中にpH調整剤、界面活性剤、水性高分子分散剤、キレート化剤、消泡剤、防腐防黴剤などの添加剤を使用してもよい。
また、油性インクは顔料の分散溶媒として、ガス油、ナフサ、あるいは150℃以上の沸点を有する有機溶剤を主体とするインクである。また溶剤系インクは顔料の分散溶媒として、シクロヘキサン、アセトン、メチルエチルケトンなどの150℃以下の沸点を有する有機溶剤を主体として含むインクである。溶剤系インク及び、油性インクの組成としては、有機系顔料、染料などの着色剤と有機溶剤の他、バインダー樹脂として、フェノール樹脂、アクリル樹脂、マレイン酸樹脂、ロジン樹脂、エポキシ樹脂、ブチラール樹脂などの熱可塑性樹脂が使用され、その他添加剤として、界面活性剤、キレート化剤、防腐防黴剤などの添加剤を使用しても良い。
水性インクに使用できる染料としては、天然染料、合成染料など従来公知の染料、例えばニトロソ系、ニトロ系、アゾ系、スチルベン系、ジフェニルメタン系、トリアリールメタン系、キノリン系、メチン系、ポリメチン系、チアゾール系、インダミン系、インドフェノール系、アジン系、オキサジン系、チアジン系、アミノケトン系、オキシケトン系、アントラキノン系、インジゴイド系、フタロシアニン系の染料が使用できる。
また、水性インク、溶剤系インク、油性インクに使用できる顔料としては、有機系顔料、無機系顔料など従来公知のもの、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、アントラキノン系、ジオキサジン系、インジコ系、ベンチジン系、チオインジコ系、ペリノン系、ペリレン系、イソインドリノン系、酸化チタン、カドミウム系、酸化鉄系、カーボンブラック系の顔料が挙げられる。
実施例
本発明を下記実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらにより限定されるものではない。下記実施例、及び比較例においてインク受容層と、ポリオレフィン系樹脂シートとの密着性の評価、耐久性の評価、及び印刷性の評価など試験は下記方法により行った。
(I)インク受容層とオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層との密着性
シート状基材の片面(又は両面)にインク受容層を形成しているポリオレフィン系樹脂シート(図3、図4)のインク受容層面に、セロハン粘着テープ(商標:セロテープ:ニチバン(株))を貼り、セロハン粘着テープの上から数回強く擦りつけてセロハン粘着テープを十分にインク受容層面に密着させた後、セロハン粘着テープの一端を剥がし、この部分を把持してインク受容層からセロハン粘着テープを引き剥がして、セロハン粘着テープの粘着面におけるインク受容層の付着状況(ポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層からのインク受理層の剥がれ度合い)を、下記の判定基準によって評価した。
○:剥離セロハン粘着テープに全くインク受容層が付着していない。(密着良好である。)
△:剥離セロハン粘着テープに部分的(半分以下)にインク受容層が付着している。
×:剥離セロハン粘着テープにインク受容層の面積の半分以上が付着している。(密着していない。)
(II)インク受容層とオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層との密着性(耐屈曲性)
インク受容層を形成したポリオレフィン系樹脂シート(図3、図4)の摩耗強さを、JIS規格L−1096(6.17摩耗強さ)B法:スコット形法により評価した。
インク受容層を形成した試験シートより3cm幅×10cmサイズの試験片を採取し、(株)東洋精機製作所製スコット型試験機を用いて揉み荷重0.5kgf で50回、100回の屈曲揉み試験を行った。この試験でのインク受容層と、ポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルムとの密着性の耐久度合いを下記の基準で判定した。
○:インク受容層はポリオレフィン系樹脂基材シートに密着保持されている。(異常なし)
△:インク受容層の一部(半分以下)が、ポリオレフィン系樹脂基材シートから脱落している。
×:インク受容層の半分以上が、ポリオレフィン系樹脂基材シートから脱落している。
(III )印刷性
ポリオレフィン系樹脂シート(図3、図4)上に形成されたインク受容層に、水性インク、溶剤系インク、油性インクを装備した市販のインクジェットプリンターを用いて、風景写真画像を印刷し、各インクの印刷性評価を下記(IV)に記載の方法により判定した。
1)水性インクによる印刷
インクジェットプリンター機種名:Hi−Fi JET FJ−50、(6色ピエゾ型):ローランドディー.ジー(株)製
インク顔料:シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、ライトシアン、ライトマゼンタ
印刷出力:720dpi
2)溶剤系インクによる印刷
インクジェットプリンター機種名:ラミレスPJ−1304NX、(オンデマンド方式):武藤工業(株)製
インク顔料:シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック
印刷出力:384dpi
3)油性インクによる印刷
インクジェットプリンター機種名:PJ5400(4色ピエゾ型):オリンパス光学工業(株)製
インク顔料:シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック
印刷出力:360dpi
(IV)印刷されたインク受容層とオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層との密着性(耐屈曲性)
前記(III )項で印刷されたシートの摩耗強さをJIS規格L−1096(6.17摩耗強さ)B法:スコット形法により評価した。
インクジェット印刷されたシートより3cm幅×10cmサイズの試験片を採取し、(株)東洋精機製作所製スコット型試験機を用いて、揉み荷重0.5kgf で50回、及び100回の屈曲揉み試験を行った。この試験での印刷後のインク受容層と、ポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルムとの密着性の耐久度合いを下記の基準で判定した。
○:印刷されたインク受容層はポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルムに密着保持されている。(異常なし)
△:印刷されたインク受容層の一部(半分以下)が、ポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルムから脱落している。
×:印刷されたインク受容層の半分以上が、ポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルムから脱落している。
(V)防炎性
前記(III )項で印刷されたシートの防炎性をJIS規格L−1091(A−2法区分3、2分加熱)による45度防炎試験法により判定した。
○:残炎、残塵、炭化面積は基準値以内であり合格
×:残炎、残塵、炭化面積のいずれかの項目、もしくは全てが基準値を超え、不合格
実施例1
低密度ポリエチレン樹脂(商標:ジェイレクスLLBF1350:日本ポリオレフィン(株):MFR 0.5g/10min 、密度0.91)100重量部に対し、水素添加スチレン−ビニルイソプレン−スチレン共重合樹脂としてスチレン系共重合樹脂(1)(商標:ハイブラー7125(HV−3):(株)クラレ:MFR 0.7g/10min :スチレン含有量20wt%)30重量部を含む樹脂ブレンドに、滑剤(商標:LE−5:川研ファインケミカル(株))1.0重量部と、紫外線吸収剤(商標:バイオソーブ510:共同薬品(株))0.5重量部と、酸化防止剤(商標:イルガノックス1010:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株))0.3重量部と、着色剤(商標:酸化チタンCR:石原産業(株))5重量部とを配合して調製したコンパウンドをバンバリーミキサーで溶融混練した後、150℃に設定した熱ロール(2本ロール)で5分間均一に混練した後、この混練組成物を150℃の条件にてカレンダー圧延して0.2mm厚のフィルムを成形した。この混練組成物のロール混練及び、カレンダー成形において、粘着及び/又はプレートアウトによる不都合の発生はなく、操業性は良好であった。
次にこの混練組成物から得られた0.2mmの白に着色されたポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルムを、ポリエステル繊維平織目開き基布(250デニールポリエステルマルチフィラメント:糸密度縦糸25本/2.54cm×横糸24本/2.54cm)の両面に、140℃に設定したラミネーターで熱圧着して貼り合わせ、厚さ0.5mm、重量450g/m2 のシート状基材を作製した。次にこのシート状基材の片面に下記組成のポリウレタン系樹脂を、IPA/トルエン溶剤に溶解した熱可塑性樹脂中間処理剤を80メッシュのグラビアコーターを用いて、8g/m2 の固形分付着量で塗布し、80℃の熱風乾燥炉を2分間通過させて溶剤の乾燥を行い、熱可塑性樹脂中間処理層を形成させた。
〈ポリウレタン系熱可塑性樹脂中間処理層用コート液〉
ポリエステル系ポリウレタン(商標:タケラックE−350:
武田薬品工業(株)、固形分26wt%:溶剤IPA、
トルエン) 100重量部
紫外線吸収剤(商標:バイオソーブ510:共同薬品(株)) 0.1重量部
希釈剤:トルエン 50重量部
次に、このポリウレタン系熱可塑性樹脂中間処理面に下記組成のポリビニルアルコール系樹脂をベースとする水系インク受容層用コート液を、クリアランスコーターを用いて18g/m2 の固形分付着量で均一塗布し、80℃の熱風乾燥炉を2分間通過させて水の乾燥を行い、インク受容層を形成させた。
〈ポリビニルアルコール樹脂ベース水系インク受容層用コート液〉
ポリビニルアルコール(商標:PVA−117:(株)クラレ) 50重量部
含水シリカ(商標:E−170:日本シリカ工業(株)、
含水率6wt%) 51重量部
含窒素ポリマーインクセット剤(商標:スミレーズレジン#
1001:住友化学工業(株)、固形分30wt%) 2重量部
ポリアクリル酸塩分散剤(商標:スミレーズレジンDS−10:
住友化学工業(株)、固形分40wt%) 1重量部
紫外線吸収剤(商標:バイオソーブ510:共同薬品(株)) 0.1重量部
蛍光増白剤(商標:ユビテックスEBF:チバ・スペシャルテ
ィ・ケミカルズ(株)) 0.2重量部
希釈剤:水 200重量部
(※実施例1のインク受容層に含有されるシリカの含有率は、50wt%であった)
実施例2
実施例1の低密度ポリエチレン樹脂100重量部をエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(商標:エバテートK−2010:住友化学工業(株):MFR 3.0g/10min :VA含有量25wt%)100重量部に置き換えたこと以外は、実施例1と同様の組成と手順に沿って、厚さ0.5mm、重量450g/m2 のシート状基材を得た。次にこのシート状基材の片面に、実施例1と同一の、ポリウレタン系樹脂をIPA/トルエン溶剤に溶解した熱可塑性樹脂中間処理剤を使用して、実施例1と同様の手順に従って8g/m2 の固形分付着量の熱可塑性樹脂中間処理層を形成させた。次に、このポリウレタン系熱可塑性樹脂表面処理面に実施例1と同じポリビニルアルコール系樹脂をベースとする水系インク受容層用コート液を、実施例1と同様の手順に従って18g/m2 の固形分付着量で均一塗布してインク受容層を形成した。
実施例3
実施例1の低密度ポリエチレン樹脂100重量部をEPR−PPリアクター樹脂(商標:キャタロイKS−353P:モンテル・エス・ディ・ケー・サンライズ(株):MFR 0.45g/10min 、EPR 60wt%、PP 40wt%)100重量部に置き換えたこと以外は、実施例1と同様の組成と手順に沿って、厚さ0.5mm、重量450g/m2 のシート状基材を得た。次にこのシート状基材の片面に実施例1と同一のポリウレタン系樹脂を、IPA/トルエン溶剤に溶解された熱可塑性樹脂中間処理剤を使用して、実施例1と同様の手順に従って8g/m2 の固形分付着量の熱可塑性樹脂中間処理層を形成させた。次に、このポリウレタン系熱可塑性樹脂中間処理面に実施例1と同一のポリビニルアルコール系樹脂をベースとする水系インク受容層用コート液を、実施例1と同様の手順に従って18g/m2 の固形分付着量で均一塗布してインク受容層を形成した。
実施例1〜実施例3の効果
実施例1〜実施例3で得られたシートの性能を上記試験法(I),(II),(III ),(IV)より評価した結果、実施例1〜実施例3で得られたシートの片面に形成されたポリビニルアルコール樹脂をベースとするインク受容層は、ポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層によく密着して結着されていて、セロハン粘着テープにポリビニルアルコール樹脂をベースとするインク受容層の取られは全くなく、また、ポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層とポリウレタン系樹脂による熱可塑性表面処理層もよく密着して結着されていた。スコット形法屈曲揉み試験(100回)においては、インク受容層と熱可塑性中間処理層との界面での剥がれや、脱落はなく、また、ポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層と熱可塑性表面処理層との界面での剥がれや、脱落はなかった。実施例1〜実施例3のシートを用いてインクジェット印刷により得られた風景写真画像は、水性インク、溶剤系インク、油性インクともインクの吸収性、定着性が良く、風景写真画像は滲みのない、発色性にも優れた極めて鮮明なものであった。更に、印刷後のシートのスコット形法屈曲揉み試験(100回)を行ってみたところ、剥がれや、脱落などの異常はなく、良好な耐久性を示していた。結果を表1に示す。
実施例4
実施例1の低密度ポリエチレン樹脂100重量部を、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(商標:エバテートK−2010:住友化学工業(株))50重量部と、EPR−PPリアクター樹脂(商標:キャタロイKS−353P:モンテル・エス・ディ・ケー・サンライズ(株))50重量部とに置き換えたこと、及び難燃剤として、水酸化マグネシウム(商標:キスマ5A:協和化学工業(株))80重量部と、ポリリン酸アンモニウム(商標:ホスタフラムAP−745(=EXOLIT IFR23)クラリアント社)50重量部とを配合したこと以外は実施例1と同様の組成と手順に沿って、厚さ0.5mm、重量500g/m2 のシート状基材を得た。次にこのシート状基材の片面に下記組成のポリエステル系樹脂をMEK、トルエン溶剤に溶解させた熱可塑性樹脂中間処理剤を80メッシュのグラビアコーターを用いて8g/m2 の固形分付着量で塗布し、80℃の熱風乾燥炉を2分間通過させて溶剤の乾燥を行い、熱可塑性樹脂中間処理層を形成させた。
〈ポリエステル系熱可塑性樹脂中間処理層用コート液〉
飽和ポリエステル系共重合樹脂(商標:バイロン53SS:
東洋紡(株)固形分30wt%:溶剤トルエン、MEK) 100重量部
紫外線吸収剤(商標:バイオソーブ510:共同薬品(株)) 0.1重量部
希釈剤:トルエン 50重量部
次に、このポリエステル系熱可塑性樹脂中間処理面に下記組成のポリウレタン系樹脂をベースとする水系インク受容層用コート液を、クリアランスコーターを用いて18g/m2 の固形分付着量で均一塗布し、80℃の熱風乾燥炉を2分間通過させて水の乾燥を行い、インク受容層を形成した。
〈ポリウレタン系樹脂ベース水系インク受容層用コート液〉
ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂エマルジョン(商標:
パーミュセンRU−40−350:スタール・ジャパン
(株)、固形分40wt%) 100重量部
含水シリカ(商標:E−170:日本シリカ工業(株)、
含水率6wt%) 41重量部
含窒素ポリマーインクセット剤(商標:スミレーズレジン#
1001:住友化学工業(株)、固形分30wt%) 2重量部
ポリアクリル酸塩分散剤(商標:スミレーズレジンDS−10:
住友化学工業(株)、固形分40wt%) 1重量部
紫外線吸収剤(商標:バイオソーブ510:共同薬品(株)) 0.1重量部
蛍光増白剤(商標:ユビテックスEBF:チバ・スペシャルテ
ィ・ケミカルズ(株)) 0.2重量部
希釈剤:水 100重量部
(※実施例4のインク受容層に含有されるシリカの含有率は、50wt%であった)
実施例5
実施例4のスチレン系共重合樹脂(1)(商標名:ハイブラー7125:(株)クラレ製)30重量部を60重量部に変更し、増量したこと以外は、実施例4と同様の組成と手順に沿って、厚さ0.5mm、重量500g/m2 のシート状基材を得た。次にこのシート状基材の片面に、下記組成のスチレン系樹脂をトルエン溶剤に溶解し熱可塑性樹脂中間処理剤を80メッシュのグラビアコーターを用いて8g/m2 の固形分付着量で塗布し、80℃の熱風乾燥炉を2分間通過させ溶剤の乾燥を行い、熱可塑性樹脂中間処理層を形成した。
〈スチレン系熱可塑性樹脂中間処理層用コート液〉
HSBR系共重合樹脂(商標:ダイナロン1320P:
日本合成ゴム(株)) 20重量部
紫外線吸収剤(商標:バイオソーブ510:共同薬品(株)) 0.1重量部
希釈剤:トルエン 100重量部
次に、このスチレン系熱可塑性樹脂中間処理面に実施例4と同一のポリウレタン系樹脂をベースとする水系インク受容層用コート液を、実施例4と同様の手順に従って18g/m2 の固形分付着量で均一塗布してインク受容層を形成した。
実施例6
実施例4のスチレン系共重合樹脂(1)(商標:ハイブラー7125:(株)クラレ)30重量部を、スチレン系樹脂(2)(商標:セプトン2007:(株)クラレ)40重量部に変更したこと以外は、実施例4と同様の組成と手順に沿って、厚さ0.5mm、重量500g/m2 のシート状基材を得た。次にこのシート状基材の片面に、下記組成のアクリル系樹脂をキシレン、メチルセロソルブ、MEK溶剤に溶解した熱可塑性樹脂中間処理剤を80メッシュのグラビアコーターを用いて8g/m2 の固形分付着量で塗布し、80℃の熱風乾燥炉を2分間通過させ溶剤の乾燥を行い、熱可塑性樹脂中間処理層を形成した。
〈アクリル系熱可塑性樹脂中間処理層用コート液〉
アクリル系共重合樹脂(商標:ソニーボンドSC−474:
ソニーケミカル(株)、固形分30wt%:溶液キシレン、
メチルセロソルブ、MEK) 100重量部
紫外線吸収剤(商標:バイオソーブ510:共同薬品(株)) 0.1重量部
希釈剤:MEK(メチルエチルケトン) 50重量部
次に、このアクリル系熱可塑性樹脂中間処理層面に下記組成のポリエステル系樹脂をベースとする水系インク受容層用コート液を、クリアランスコーターを用いて18g/m2 の固形分付着量で均一塗布し、80℃の熱風乾燥炉を2分間通過させて水の乾燥を行い、インク受容層を形成した。
〈ポリエステル樹脂ベース水系インク受容層用コート液〉
ポリエステル系樹脂エルマジョン(商標:バイロナールMD
1100:東洋紡績(株)、固形分30wt%) 100重量部
含水シリカ(商標:E−170:日本シリカ工業(株)、
含水率6wt%) 31重量部
含窒素ポリマーインクセット剤(商標:スミレーズレジン#
1001:住友化学工業(株)、固形分30wt%) 2重量部
ポリアクリル酸塩分散剤(商標:スミレーズレジンDS−10:
住友化学工業(株)、固形分40wt%) 1重量部
紫外線吸収剤(商標:バイオソーブ510:共同薬品(株)) 0.1重量部
蛍光増白剤(商標:ユビテックスEBF:チバ・スペシャルテ
ィ・ケミカルズ(株)) 0.2重量部
希釈剤:水 100重量部
(※実施例6のインク受容層に含有されるシリカの含有率は、50wt%であった)
実施例7
実施例4のスチレン系共重合樹脂(1)(商標:ハイブラー7125:(株)クラレ)30重量部を、スチレン系樹脂(3)(商標:ダイナロン1320P:日本合成ゴム(株))40重量部に変更したこと以外は、実施例4と同様の組成と手順に沿って、厚さ0.5mm、重量500g/m2 のシート状基材を得た。次にこのシート状基材の片面に下記組成のポリアミド系樹脂をメタノール、トルエン溶剤に溶解した熱可塑性樹脂中間処理剤を80メッシュのグラビアコーターを用いて8g/m2 の固形分付着量で塗布し、80℃の熱風乾燥炉を2分間通過させて溶剤の乾燥を行い、熱可塑性樹脂中間処理層を形成させた。
〈ポリアミド系熱可塑性樹脂中間処理層用コート液〉
ポリアミド(ナイロン)系樹脂(商標:ラックスキンN901:
セイコー化成(株)、固形分15wt%) 100重量部
紫外線吸収剤(商標:バイオソーブ510:共同薬品(株)) 0.1重量部
希釈剤:トルエン 10重量部
次に、このポリアミド系熱可塑性樹脂中間処理層面に下記組成のエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂をベースとする水系インク受容層用コート液を、クリアランスコーターを用いて18g/m2 の固形分付着量で均一塗布し、80℃の熱風乾燥炉を2分間通過させて水を乾燥し、インク受容層を形成した。
〈エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂ベース水系インク受容層用コート液〉
EVA系樹脂エルマジョン(商標:スミカフレックス456:
住友化学工業(株)、固形分55wt%) 100重量部
含水シリカ(商標:E−170:日本シリカ工業(株)、
含水率6wt%) 56重量部
含窒素ポリマーインクセット剤(商標:スミレーズレジン#
1001:住友化学工業(株)、固形分30wt%) 2重量部
ポリアクリル酸塩分散剤(商標:スミレーズレジンDS−10:
住友化学工業(株)、固形分40wt%) 1重量部
紫外線吸収剤(商標:バイオソーブ510:共同薬品(株)) 0.1重量部
蛍光増白剤(商標:ユビテックスEBF:チバ・スペシャルテ
ィ・ケミカルズ(株)) 0.2重量部
希釈剤:水 100重量部
(※実施例7のインク受容層に含有されるシリカの含有率は、50wt%であった)
実施例8
実施例4のEPR−PPリアクター樹脂(商標:キャタロイKS−353P:モンテル・エス・ディ・ケー・サンライズ(株))50重量部を低密度ポリエチレン樹脂(商標:ジェイレクスLLBF1350:日本ポリオレフィン(株))50重量部に置き換えたこと、及びまた、スチレン系共重合樹脂(1)(商標:ハイブラー7125:(株)クラレ)30重量部を、スチレン系樹脂(2)(商標:セプトン2007:(株)クラレ)20重量部と、スチレン系樹脂(3)(商標:ダイナロン1320P:日本合成ゴム(株))20重量部とに変更したこと以外は、実施例4と同様の配合と手順によって厚さ0.5mm、重量500g/m2 のシート状基材を得た。次にこのシート状基材の片面に、実施例6と同じアクリル系樹脂をキシレン/メチルセロソルブ/MEK溶剤に溶解した熱可塑性樹脂中間処理剤を使用して、実施例6と同様の手順に従って8g/m2 の固形分付着量の熱可塑性樹脂中間処理層を形成した。次に、このアクリル系熱可塑性樹脂中間処理面に下記組成のアクリル系樹脂をベースとする水系インク受容層コート剤を、クリアランスコーターを用いて18g/m2 の固形分付着量で均一塗布し、80℃の熱風乾燥炉を2分間通過させて水の乾燥を行い、インク受容層を形成させた。
〈アクリル系樹脂ベース水系インク受容層コート剤〉
アクリル系樹脂エマルジョン(商標:プライマーAC−22:
ローム・アンド・ハース・ジャパン(株)、固形分45
wt%) 100重量部
含水シリカ(商標:E−170:日本シリカ工業(株)
含水率6wt%) 46重量部
含窒素ポリマーインクセット剤(商標:スミレーズレジン#
1001:住友化学工業(株)、固形分30wt%) 2重量部
ポリアクリル酸塩分散剤(商標:スミレーズレジンDS−10:
住友化学工業(株)、固形分40wt%) 1重量部
紫外線吸収剤(商標:バイオソーブ510:共同薬品(株)) 0.1重量部
蛍光増白剤(商標:ユビテックスEBF:チバ・スペシャルテ
ィ・ケミカルズ(株)) 0.2重量部
希釈剤:水 100重量部
(※実施例8のインク受容層に含有されるシリカの含有率は、50wt%であった)
実施例4〜実施例8の効果
実施例4〜実施例8で得られたシートの性能を上記試験法(I),(II),(III ),(IV),(V)より評価した結果、実施例4〜実施例8で得られたシート状基材の片面に形成されたポリウレタン系樹脂ベースのインク受容層(実施例4、実施例5)、ポリエステル系樹脂ベースのインク受容層(実施例6)、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂ベースのインク受容層(実施例7)、アクリル系樹脂ベースのインク受容層(実施例8)は、ポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層によく密着して結着されていて、セロハン粘着テープに全くインク受容層の取られはなく、また、ポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層と、それぞれの熱可塑性表面処理層ともよく密着して結着されていた。スコット形法屈曲揉み試験(100回)においては、インク受容層と熱可塑性表面処理層との界面での剥がれや、脱落はなく、また、ポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層と熱可塑性表面処理層との界面での剥がれや、脱落はなかった。実施例4〜実施例8のシートを用いてインクジェット印刷により得られた風景写真画像は、水性インク、溶剤系インク、油性インクともインクの吸収性、定着性が良く、風景写真画像は滲みのない、発色性にも優れた極めて鮮明なものであった。更に、印刷後のシートのスコット形法屈曲揉み試験(100回)を行ってみたところ、印刷されたインク受容層の剥がれや、脱落などの異常はなく、良好な耐久性を示していた。また、実施例4〜実施例8のシートの防炎性試験は、JIS規格L−1091(A−2法区分3、2分加熱)に合格する非ハロゲン難燃化されたシートであった。結果を表1に示した。
実施例9
実施例1のポリオレフィン系樹脂ブレンド配合において、難燃剤として、水酸化マグネシウム(商標:キスマ5A:協和化学工業(株))30重量部と、ポリリン酸アンモニウム(商標:ホスタフラムAP−745(=EXOLIT IFR23)クラリアント社)20重量部と、臭素系化合物:エチレンビスペンタブロモジフェニル(商標:SAYTEX8010:アルベマール浅野(株))10重量部と、三酸化アンチモン(商標:パトックスL:日本精鉱(株))5重量部との難燃剤総量65重量部を追加配合したこと以外は実施例1と同様の組成と手順に沿って、厚さ0.5mm、重量520g/m2 のシート状基材を得た。次にこのシート状基材の片面に、下記、アクリル系樹脂をキシレン、メチルセロソルブ、MEK溶剤に溶解した、微粒子顔料含有熱可塑性樹脂中間処理剤を使用して、実施例6と同様の手順に従って8g/m2 の固形分付着量の熱可塑性樹脂中間処理層を形成した。
〈微粒子顔料を含有するアクリル系熱可塑性樹脂中間処理層用コート液〉
アクリル系共重合樹脂(商標:ソニーボンドSC−474:
ソニーケミカル(株)、固形分30wt%:溶液キシレン、
メチルセロソルブ、MEK) 100重量部
含水シリカ(商標:E−170:日本シリカ工業(株)、
含水率6wt%) 5重量部
紫外線吸収剤(商標:バイオソーブ510:共同薬品(株)) 0.1重量部
希釈剤:MEK(メチルエチルケトン) 50重量部
次に、このアクリル系熱可塑性樹脂中間処理層上に実施例1と同一のポリビニルアルコール系樹脂をベースとする水系インク受容層用コート液を、実施例1と同様の手順に従って18g/m2 の固形分付着量で均一塗布してインク受容層を形成した。
実施例10
実施例2のポリオレフィン系樹脂ブレンド配合に、難燃剤として、実施例8と同一の難燃剤を追加配合したこと以外は、実施例2と同様の組成と手順に沿って、厚さ0.5mm、重量520g/m2 のシート状基材を得た。次にこのシート状基材の片面に実施例9と同じアクリル系樹脂をキシレン/メチルセロソルブ/MEK溶剤に溶解した、微粒子顔料含有熱可塑性樹脂中間処理剤を使用して、実施例9と同様の手順に従って8g/m2 の固形分付着量の熱可塑性樹脂中間処理層を形成させた。次に、このアクリル系熱可塑性樹脂中間処理面に、実施例7と同じエチレン−酢酸ビニル共重合系樹脂をベースとする水系インク受容層用コート液を、実施例7と同様の手順に従って18g/m2 の固形分付着量で均一に塗布しインク受容層を形成した。
実施例11
実施例3のポリオレフィン系樹脂ブレンド配合に、難燃剤として、実施例8と同一の難燃剤を追加配合したこと以外は、実施例3と同様の組成と手順に沿って、厚さ0.5mm、重量520g/m2 のシート状基材を得た。次にこのシート状基材の片面に実施例9と同一のアクリル系樹脂をキシレン/メチルセロソルブ/MEK溶剤に溶解した、微粒子顔料含有熱可塑性樹脂中間処理剤を使用して、実施例9と同様の手順に従って8g/m2 の固形分付着量の熱可塑性樹脂中間処理層を形成させた。次に、このアクリル系熱可塑性樹脂中間処理面上に実施例4と同一のポリウレタン系樹脂をベースとする水系インク受容層用コート液を、実施例4と同様の手順に従って18g/m2 の固形分付着量で均一に塗布してインク受容層を形成した。
実施例9〜実施例11の効果
実施例9〜実施例11で得られたシートの性能を上記試験法(I),(II),(III ),(IV),(V)より評価した結果、実施例9〜実施例11で得られたシート状基材の片面に形成された、ポリビニルアルコール樹脂をベースとするインク受容層(実施例9)、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂をベースとするインク受容層(実施例10)、ポリウレタン樹脂をベースとするインク受容層(実施例11)の各々は、ポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層によく密着して結着されていて、セロハン粘着テープによるインク受容層の取られは全くなく、また、ポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層と、それぞれの熱可塑性中間処理層ともよく密着して結着されていた。スコット形法屈曲揉み試験(100回)においては、インク受容層と熱可塑性表面処理層との界面での剥がれや、脱落はなく、また、ポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層と熱可塑性中間処理層との界面での剥がれや、脱落はなかった。実施例9〜実施例11のシートを用いてインクジェット印刷により得られた風景写真画像は、熱可塑性樹脂表面処理層中にも微粒子顔料を含有することにより、水性インク、溶剤系インク、油性インクともインクの吸収性、定着性が良く、風景写真画像は滲みのない、発色性に優れた極めて鮮明なものであった。更に、印刷後のシートのスコット形法屈曲揉み試験(100回)を行ってみたところ、印刷されたインク受容層の剥がれや、脱落などの異常はなく、良好な耐久性を示していた。また、実施例9〜実施例11のシートの防炎性試験は、JIS規格L−1091(A−2法区分3、2分加熱)に合格する難燃化されたシートであった。結果を表2に示す。
実施例12
実施例4のポリオレフィン系樹脂ブレンド配合の水酸化マグネシウム(商標:キスマ5A:協和化学工業(株))80重量部と、ポリリン酸アンモニウム(商標:ホスタフラムAP−745(=EXOLIT IFR23)クラリアント社)50重量部とを省き、新たに、臭素系化合物:エチレンビスペンタブロモジフェニル(商標:SAYTEX8010:アルベマール浅野(株))30重量部と、三酸化アンチモン(商標:パトックスL:日本精鉱(株))15重量部とを配合したこと以外は、実施例4と同様の組成と手順に沿って、厚さ0.5mm、重量535g/m2 のシート状基材を得た。次にこのシート状基材の片面に、実施例4と同一のポリエステル系樹脂をトルエン/MEK溶剤に溶解された熱可塑性樹脂中間処理剤を使用して、実施例4と同様の手順に従って8g/m2 の固形分付着量の熱可塑性樹脂中間処理層を形成した。次に、このポリエステル系熱可塑性樹脂中間処理層上に実施例1と同一のポリビニルアルコール系樹脂をベースとする水系インク受容層用コート液を、実施例1と同様の手順に従って18g/m2 の固形分付着量で均一に塗布してインク受容層を形成した。
実施例13
実施例5のポリオレフィン系樹脂ブレンド配合の難燃剤配合を、実施例12と同一の組成にしたこと以外は、実施例5と同様の組成と手順に沿って、厚さ0.5mm、重量535g/m2 のシート状基材を得た。次にこのシート状基材の片面に、実施例5と同じスチレン系樹脂をトルエン溶剤に溶解し熱可塑性樹脂中間処理剤を使用して、実施例5と同様の手順に従って8g/m2 の固形分付着量の熱可塑性樹脂中間処理層を形成させた。次に、このスチレン系熱可塑性樹脂表面処理層上に実施例7と同一のエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂をベースとする水系インク受容層用コート液を、実施例7と同様の手順に従って18g/m2 の固形分付着量で均一に塗布してインク受容層を形成した。
実施例14
実施例6のポリオレフィン系樹脂ブレンド配合の難燃剤配合を、実施例12と同じ組成にしたこと以外は、実施例6と同様の組成と手順に沿って、厚さ0.5mm、重量535g/m2 のシート状基材を得た。次にこのシート状基材の片面に、実施例6と同一のアクリル系樹脂をキシレン/メチルセロソルブ/MEK溶剤に溶解した熱可塑性樹脂中間処理剤を使用して、実施例6と同様の手順に従って8g/m2 の固形分付着量の熱可塑性樹脂中間処理層を形成させた。次に、このアクリル系熱可塑性樹脂中間処理層上に実施例4と同じポリウレタン系樹脂をベースとする水系インク受容層用コート液を、実施例4と同様の手順に従って18g/m2 の固形分付着量で均一に塗布してインク受容層を形成した。
実施例15
実施例7のポリオレフィン系樹脂ブレンド配合中の難燃剤配合を、実施例12と同じ組成にしたこと以外は、実施例7と同様の組成と手順に沿って、厚さ0.5mm、重量535g/m2 のシート状基材を得た。次にこのシート状基材の両面に、実施例4と同じポリエステル系樹脂をトルエン/MEK溶剤に溶解した熱可塑性樹脂中間処理剤を使用して、実施例4と同様の手順に従って8g/m2 の固形分付着量の熱可塑性樹脂中間処理層を形成させた。次に、このポリエステル系熱可塑性樹脂中間処理層の両面上に実施例6と同一のポリエステル系樹脂をベースとする水系インク受容層用コート液を、実施例6と同様の手順に従って18g/m2 の固形分付着量で均一に塗布してインク受容層を形成した。
実施例16
実施例8のポリオレフィン系樹脂ブレンド配合中の難燃剤配合を、実施例6と同じ組成にしたこと以外は実施例8と同様の組成と手順に沿って、厚さ0.5mm、重量535g/m2 のシート状基材を得た。次にこのシート状基材の両面に、実施例5と同一のスチレン系樹脂をトルエン溶剤に溶解した熱可塑性樹脂中間処理剤を使用して、実施例5と同様の手順に従って8g/m2 の固形分付着量の熱可塑性樹脂中間処理層を形成させた。次に、このスチレン系熱可塑性樹脂中間処理面に下記組成のスチレン−アクリル系共重合樹脂をベースとする水系インク受容層用コート液を、クリアランスコーターを用いて18g/m2 の固形分付着量で均一に塗布し、80℃の熱風乾燥炉を2分間通過させて水の乾燥を行い、インク受容層を形成した。
〈スチレン系樹脂ベース水系インク受容層用コート液〉
スチレン−アクリル系共重合樹脂ラテック
ス(商標:ニッポールMH5055:日本ゼオン(株)、
固形分30wt%) 100重量部
含水シリカ(商標:E−170:日本シリカ工業(株)、
含水率6wt%) 31重量部
含窒素ポリマーインクセット剤(商標:スミレーズレジン#
1001:住友化学工業(株)、固形分30wt%) 2重量部
ポリアクリル酸塩分散剤(商標:スミレーズレジンDS−10:
住友化学工業(株)、固形分40wt%) 1重量部
紫外線吸収剤(商標:バイオソーブ510:共同薬品(株)) 0.1重量部
蛍光増白剤(商標:ユビテックスEBF:チバ・スペシャルテ
ィ・ケミカルズ(株)) 0.2重量部
希釈剤:水 100重量部
(※実施例16のインク受容層に含有されるシリカの含有率は、50wt%であった)
実施例12〜実施例14の効果
実施例12〜実施例14で得られたシートの性能を上記試験法(I),(II),(III ),(IV),(V)より評価した結果、実施例12〜実施例14で得られたシート状基体の片面に形成された、それぞれポリビニルアルコール樹脂をベースとするインク受容層(実施例12)、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂をベースとするインク受容層(実施例13)、ポリウレタン樹脂をベースとするインク受容層(実施例14)は、ポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層によく密着して結着されていて、セロハン粘着テープによるインク受容層の取られは全くなく、また、ポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層と、それぞれの熱可塑性表面処理層ともよく密着して結着されていた。スコット形法屈曲揉み試験(100回)においては、インク受容層と熱可塑性表面処理層との界面での剥がれや、脱落はなく、また、ポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層と熱可塑性表面処理層との界面での剥がれや、脱落はなかった。実施例12〜実施例14のシートを用いてインクジェット印刷により得られた風景写真画像は、水性インク、溶剤系インク、油性インクともインクの吸収性、定着性が良く、風景写真画像は滲みのない、発色性にも優れた極めて鮮明なものであった。更に、印刷後のシートのスコット形法屈曲揉み試験(100回)を行ってみたところ、印刷されたインク受容層の剥がれや、脱落などの異常はなく、良好な耐久性を示していた。また、実施例12〜実施例14のシートの防炎性試験は、JIS規格L−1091(A−2法区分3、2分加熱)に合格する難燃化されたシートであった。結果を表2に示す。
実施例15〜実施例16の効果
実施例15〜実施例16で得られたシートの性能を上記試験法(I),(II),(III ),(IV),(V)より評価した結果、実施例15〜実施例16で得られたシートの両面に形成された、それぞれポリエステル系樹脂をベースとするインク受容層(実施例15)、スチレン−アクリル系共重合樹脂をベースとするインク受容層(実施例16)は、ポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層によく密着して結着されていて、セロハン粘着テープに全くインク受容層の取られはなく、また、ポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層と、それぞれの熱可塑性表面処理層ともよく密着して結着されていた。スコット形法屈曲揉み試験(100回)においては、インク受容層と熱可塑性表面処理層との界面での剥がれや、脱落はなく、また、ポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層と熱可塑性表面処理層との界面での剥がれや、脱落はなかった。実施例15〜実施例16のシートを用いてインクジェット印刷によりシートの両面に描かれた風景写真画像は、水性インク、溶剤系インク、油性インクともインクの吸収性、定着性が良く、風景写真画像は滲みのない、発色性にも優れた極めて鮮明なものであった。更に、印刷後のシートのスコット形法屈曲揉み試験(100回)を行ってみたところ、印刷されたインク受容層の剥がれや、脱落などの異常はなく、良好な耐久性を示していた。また、実施例15〜実施例16のシートの防炎性試験は、JIS規格L−1091(A−2法区分3、2分加熱)に合格する難燃化されたシートであった。結果を表2に示す。
実施例17
実施例1の低密度ポリエチレン樹脂100重量部を、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(商標名:エバテートK−2010:住友化学工業(株))50重量部と、EPR−PPリアクター樹脂(商標:キャタロイKS−353P:モンテル・エス・ディ・ケー・サンライズ(株))50重量部とに置き換えたこと以外は、実施例1と同様の組成と手順に沿って厚さ0.2mmのポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルムを得た。次に裏面ポリオレフィン系樹脂層フィムルとして、低密度ポリエチレン樹脂(商標:ジェイレクスLLBF1350:日本ポリオレフィン(株):MFR 0.5g/10min 、密度0.91)100重量部に対し、滑剤(商標:LE−5:川研ファインケミカル(株))を1.0重量部、紫外線吸収剤(商標:バイオソーブ510:共同薬品(株))を0.5重量部、酸化防止剤(商標:イルガノックス1010:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株))を0.3重量部、着色剤(商標:酸化チタンCR:石原産業(株))を5重量部配合したコンパウンドをバンバリーミキサーで溶融混練した後、150℃に設定した熱ロール(2本ロール)で5分間均一に混練した後、この混練組成物を150℃の条件にてカレンダー圧延成形して、0.2mm厚の白に着色したフィルムを得た。この2種類のポリオレフィン系樹脂フィルムを、ポリエステル繊維平織目開き基布(250デニールポリエステルマルチフィラメント:糸密度縦糸25本/2.54cm×横糸24本/2.54cm)の片面に140℃に設定したラミネーターで熱圧着して貼り合わせ、厚さ0.5mm、重量450g/m2 の、スチレン系樹脂を含有しない裏面ポリオレフィン系樹脂層と、スチレン系樹脂を含有する表面ポリエチレン系樹脂ブレンドフィルム層とを有するシートを得た。
次に、このシートのポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム面上に、実施例1と同一のポリウレタン系樹脂をトルエン/IPA溶剤に溶解した熱可塑性樹脂中間処理剤を使用して、実施例1と同様の手順に従って8g/m2 の固形分付着量の熱可塑性樹脂中間処理層を形成させた。次に、このポリウレタン系熱可塑性樹脂中間処理面に実施例4と同一のポリウレタン樹脂をベースとする水系インク受容層コート剤を、実施例4と同様の手順に従って18g/m2 の固形分付着量で均一に塗布しインク受容層を形成した。
実施例18
実施例17の裏面ポリオレフィン系樹脂層フィルム配合に用いた低密度ポリエチレン樹脂(商標:ジェイレクスLLBF1350:日本ポリオレフィン(株))100重量部を、EPR−PPリアクター樹脂(商標:キャタロイKS−353P:モンテル・エス・ディ・ケー・サンライズ(株))100重量部に置き換えたこと以外は、実施例17と同様の組成、同様の構成、同様の手順により、ポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム面上にポリウレタン系樹脂をベースとするインク受容層を形成し厚さ0.55mm、重量476g/m2 の印刷用シートを得た。
実施例19
実施例17のポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム配合及び、裏面ポリオレフィン系樹脂フィルム配合の両方に、実施例4〜実施例16で用いた難燃剤と同一の水酸化マグネシウム(商標:キスマ5A:協和化学工業(株))80重量部と、ポリリン酸アンモニウム(商標:ホスタフラムAP−745(=EXOLIT IFR23)クラリアント社)50重量部とを配合したこと以外は実施例17と同様の組成と手順に沿って、厚さ0.5mm、重量500g/m2 のシート状基材を得た。次に、このシート状基材のポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層上に、実施例5と同じ、スチレン系樹脂をトルエン溶剤に溶解し熱可塑性樹脂中間処理剤を使用して、実施例5と同様の手順に従って8g/m2 の固形分付着量の熱可塑性樹脂中間処理層を形成した。次に、このスチレン系熱可塑性樹脂中間処理層上に、実施例1と同一のポリビニルアルコール系樹脂をベースとする水系インク受容層用コート液を、実施例1と同様の手順に従って18g/m2 の固形分付着量で均一に塗布しインク受容層を形成した。
実施例20
実施例19の裏面ポリオレフィン系樹脂層フィルム配合に用いた低密度ポリエチレン樹脂(商標:ジェイレクスLLBF1350:日本ポリオレフィン(株))100重量部を、EPR−PPリアクター樹脂(商標:キャタロイKS−353P:モンテル・エス・ディ・ケー・サンライズ(株))100重量部に置き換えたこと以外は、実施例19と同様の組成、同様の構成、同様の手順により、ポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム面にポリビニルアルコール系樹脂をベースとするインク受容層を形成して、厚さ0.55mm、重量526g/m2 の印刷用シートを得た。
実施例21
実施例17のポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム配合と、裏面ポリオレフィン系樹脂層フィルム配合との両方に、実施例12〜実施例16で用いられた難燃剤と同一の臭素系化合物:エチレンビスペンタブロモジフェニル(商標:SAYTEX8010:アルベマール浅野(株))30重量部と、三酸化アンチモン(商標:パトックスL:日本精鉱(株))15重量部とを配合した以外は実施例17と同様の組成と手順に沿って、厚さ0.5mm、重量525g/m2 のシート状基材を得た。次に、このシート状基材のポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層上に実施例4と同一のポリエステル系樹脂をトルエン/MEK溶剤に溶解した熱可塑性樹脂中間処理剤を使用して、実施例4と同様の手順に従って8g/m2 の固形分付着量の熱可塑性樹脂中間処理層を形成させた。次に、このポリエステル系熱可塑性樹脂中間処理層上に、実施例7と同じエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂をベースとする水系インク受容層コート剤を、実施例7と同様の手順に従って18g/m2 の固形分付着量で均一に塗布しインク受容層を形成した。
実施例22
実施例21の裏面ポリオレフィン系樹脂層フィルム配合に用いた低密度ポリエチレン樹脂(商標:ジェイレクスLLBF1350:日本ポリオレフィン(株))100重量部を、EPR−PPリアクター樹脂(商標:キャタロイKS−353P:モンテル・エス・ディ・ケー・サンライズ(株))100重量部により置き換えたこと以外は、実施例21と同様の組成、同様の構成、同様の手順により、ポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム面に、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂をベースとするインク受容層が形成された、厚さ0.55mm、重量551g/m2 の印刷用シートを得た。
実施例23
実施例17のポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム配合と、裏面ポリオレフィン系樹脂フィルム配合との両方に、実施例9〜実施例11で用いた難燃剤と同一の水酸化マグネシウム(商標:キスマ5A:協和化学工業(株))30重量部と、ポリリン酸アンモニウム(商標:ホスタフラムAP−745(=EXOLIT IFR23)クラリアント社)20重量部と、臭素系化合物:エチレンビスペンタブロモジフェニル(商標:SAYTEX8010:アルベマール浅野(株))10重量部と、三酸化アンチモン(商標:パトックスL:日本精鉱(株))5重量部とからなる難燃剤総量65重量部を配合したこと以外は、実施例17と同様の組成と手順に沿って、厚さ0.5mm、重量520g/m2 のシート状基材を得た。
次に、このシート状基材のポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層上に、実施例16と同一の、アクリル系樹脂をキシレン/メチルセロソルブ/MEK溶剤に溶解した熱可塑性樹脂中間処理剤を使用して、実施例6と同様の手順に従って8g/m2 の固形分付着量の熱可塑性樹脂中間処理層を形成した。次に、このアクリル系熱可塑性樹脂中間処理面に実施例6と同一のポリエステル系樹脂をベースとする水系インク受容層用コート液を、実施例6と同様の手順に従って18g/m2 の固形分付着量で均一に塗布して、インク受容層を形成した。
実施例24
実施例23の裏面ポリオレフィン系樹脂層フィルム配合に用いた低密度ポリエチレン樹脂(商標:ジェイレクスLLBF1350:日本ポリオレフィン(株))100重量部を、EPR−PPリアクター樹脂(商標:キャタロイKS−353P:モンテル・エス・ディ・ケー・サンライズ(株))100重量部により置き換えたこと以外は、実施例23と同様の組成、同様の構成、同様の手順により、ポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層上にアクリル系樹脂をベースとするインク受容層を形成した。厚さ0.55mm、重量546g/m2 の印刷用シートを得た。
実施例17〜実施例24の効果の確認
実施例17〜実施例24で得られたシートの性能を上記試験法(I),(II),(III ),(IV),(V)より評価した結果、実施例17〜実施例24で得られたシートの片面に形成された、ポリウレタン系樹脂をベースとするインク受容層(実施例17、実施例18)、ポリビニルアルコール系樹脂をベースとするインク受容層(実施例19、実施例20)、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂をベースとするインク受容層(実施例21、実施例22)及び、ポリエステル系樹脂をベースとするインク受容層(実施例23、実施例24)は、いずれもポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層によく密着し結着されていて、セロハン粘着テープによるインク受容層の取られは全くなく、また、ポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層と、各熱可塑性表面処理層ともよく密着し、結着されていた。スコット形法屈曲揉み試験(100回)においては、インク受容層と熱可塑性表面処理層との界面での剥がれや、脱落はなく、また、ポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層と熱可塑性表面処理層との界面での剥がれや、脱落はなかった。実施例17〜実施例24のシートを用いてインクジェット印刷によりシートに描かれた風景写真画像は、水性インク、溶剤系インク、油性インクともインクの吸収性、定着性が良く、風景写真画像は滲みのない、発色性にも優れた極めて鮮明なものであった。更に、印刷後のシートのスコット形法屈曲揉み試験(100回)を行ってみたところ、印刷されたインク受容層の剥がれや、脱落などの異常はなく、良好な耐久性を示していた。また、実施例18、実施例20のシートの防炎性試験は、JIS規格L−1091(A−2法区分3、2分加熱)に合格する非ハロゲン難燃化されたシートであった。また、実施例21〜実施例24のシートの防炎性試験は、JIS規格L−1091(A−2法区分3、2分加熱)に合格する難燃化されたシートであった。また、実施例17〜実施例24で得られたシートは、表面にインク受容層形成性のポリオレフィン樹脂ブレンドフィルム層を、裏面にスチレン系樹脂を含有しないポリオレフィン系樹脂層という、異なるポリオレフィン樹脂フィルム配置にすることにより、寸法安定性及び、形態安定性に優れていた。実施例17〜24の印刷用シートの表面ポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層及び裏面ポリオレフィン樹脂層の組成を表3に示し、試験結果を表4に示す。
比較例1
実施例1のポリオレフィン系樹脂ブレンドの配合組成よりスチレン系共重合樹脂(1)(商標:ハイブラー7125:(株)クラレ)30重量部を省いたこと以外は、実施例1と同様の配合及び、手順に沿って、片面にポリビニルアルコール系樹脂をベースとするインク受容層が形成された印刷用シートを作製した。
比較例2
実施例2のポリオレフィン系樹脂ブレンドの配合組成より、スチレン系共重合樹脂(1)(商標:ハイブラー7125:(株)クラレ)30重量部を省いたこと以外は実施例2と同様の配合及び、手順に沿って、片面にポリビニルアルコール系樹脂をベースとするインク受容層が形成された印刷用シートを作製した。
比較例3
実施例3のポリオレフィン系樹脂ブレンドの配合組成からスチレン系共重合樹脂(1)(商標:ハイブラー7125:(株)クラレ)30重量部を省いたこと以外は、実施例3と同様の配合及び、手順に沿って、片面にポリビニルアルコール系樹脂をベースとするインク受容層が形成された印刷用シートを作製した。
比較例1〜比較例3の評価
比較例1〜比較例3より得られたシートの性能を上記試験法(I),(II),(III ),(IV)より評価した結果、比較例1〜比較例3で得られたシートに形成されたポリビニルアルコール系樹脂をベースとするインク受容層は、ポリオレフィン系樹脂ブレンド配合組成からスチレン系共重合樹脂を省略したことによってポリオレフィン系樹脂フィルム層との間の密着性が不十分となり、セロハン粘着テープ剥離試験では、インク受容層が熱可塑性ポリウレタン系樹脂中間処理層と共に、全てセロハンテープ粘着面に剥がし取られてしまった。また、スコット形法屈曲揉み試験(50回)においては、インク受容層が熱可塑性ポリウレタン系樹脂中間処理層と共に、シートのポリオレフィン系樹脂フィルム層から剥がれ、脱落した。これらのシートにインクジェット印刷で風景写真画像を描画した。印刷は可能であったが、印刷後にシートのスコット形法屈曲揉み試験(50回)を行ってみたところ、やはり、インク受容層の剥がれ、脱落を起こすなど屈曲性に極めて弱いものであり、実用性のないものであった。試験結果を表5に示す。
比較例4
実施例4のポリオレフィン系樹脂ブレンドの配合組成からスチレン系共重合樹脂(1)(商標:ハイブラー7125:(株)クラレ)30重量部を省いたこと以外は、実施例4と同様の配合及び、手順に沿って、片面にポリウレタン系樹脂をベースとするインク受容層が形成された印刷用シートを作製した。
比較例5
実施例5のポリオレフィン系樹脂ブレンドの配合組成からスチレン系共重合樹脂(1)(商標:ハイブラー7125:(株)クラレ)60重量部を省いたこと以外は実施例5と同様の配合及び、手順に沿って、片面にポリウレタン系樹脂をベースとするインク受容層が形成された印刷用シートを作製した。
比較例6
実施例12のポリオレフィン系樹脂ブレンドの配合組成から、スチレン系共重合樹脂(1)(商標:ハイブラー7125:(株)クラレ)30重量部を省いたこと以外は、実施例12と同様の配合及び、手順に沿って、片面にポリビニルアルコール系樹脂をベースとするインク受容層が形成された印刷用シートを作製した。
比較例7
実施例15のポリオレフィン系樹脂ブレンドの配合組成から、スチレン系共重合樹脂(3)(商標:ダイナロン1320P:日本合成ゴム(株))40重量部を省いたこと以外は、実施例15と同様の配合及び、手順に沿って、両面にポリエステル系樹脂をベースとするインク受容層が形成された印刷用シートを作製した。
比較例8
実施例8のポリオレフィン系樹脂ブレンドの配合組成から、スチレン系共重合樹脂(2)(商標:セプトン2007:(株)クラレ)20重量部と、スチレン系共重合樹脂(3)(商標:ダイナロン1320P:日本合成ゴム(株))20重量部とを省いたこと以外は、実施例8と同様の配合及び、手順に沿って、片面にアクリル系樹脂をベースとするインク受容層が形成された印刷用シートを作製した。
比較例4〜比較例8の評価
比較例4〜比較例8より得られたシートの性能を上記試験法(I),(II),(III ),(IV),(V)より評価した結果、比較例4〜比較例8で得られた印刷用シートの防炎性は、JIS規格L−1091(A−2法区分3、2分加熱)に適合するものであったが、比較例4〜比較例8のシートに形成された、ポリウレタン系樹脂をベースとするインク受容層(比較例4、比較例5)、ポリエステル系樹脂をベースとするインク受容層(比較例6、比較例7)、アクリル系樹脂をベースとするインク受容層(比較例8)の各々は、ポリオレフィン系樹脂ブレンド配合組成からスチレン系共重合樹脂を省略したことによってポリオレフィン系樹脂フィルム層との密着性が不十分となり、セロハン粘着テープ剥離試験では、いずれのインク受容層も熱可塑性ポリウレタン系樹脂中間処理層と共に、全てセロハンテープ粘着面に剥がし取られてしまった。また、スコット形法屈曲揉み試験(50回)においては、いずれのインク受容層も熱可塑性ポリウレタン系樹脂中間処理層と共に、シートから剥がれ、脱落した。それでも、これらのシートにインクジェット印刷で風景写真画像を描画させた。印刷は可能であったが、印刷後にシートのスコット形法屈曲揉み試験(50回)を行ってみたところ、やはり、インク受容層の剥がれ、脱落を起こすなど屈曲性に極めて弱いものであり、実用性のないものであった。結果を表5に示す。
比較例9
実施例4と同様のポリオレフィン系樹脂ブレンドの配合組成より作製されたシート状基材のポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層上に形成するインク受容層用コート液を、ポリエステル系樹脂をベースとするインク受容層用コート液から、実施例1と同じポリビニルアルコール樹脂をベースとするインク受容層用コート液に変更し、実施例4のポリエステル系樹脂による熱可塑性樹脂中間処理層を設けずに、インク受容層を直接ポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層上に塗布し、乾燥させて、片面にポリビニルアルコール系樹脂をベースとするインク受容層が形成された印刷用シートを作製した。
比較例10
実施例6と同様のポリオレフィン系樹脂ブレンドの配合組成より作製されたシート状基体のポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層上に形成するインク受容層用コート液を、実施例6のポリエステル系樹脂をベースとするインク受容層用コート液から、実施例1と同一のポリビニルアルコール樹脂をベースとするインク受容層用コート液に変更した。また、実施例6で使用したアクリル系樹脂をキシレン/メチルセロソルブ/MEK溶液に溶解させた熱可塑性樹脂中間処理剤を下記水系のポリエステル系樹脂を主体とする熱可塑性樹脂中間処理層コート液に変更し、片面にポリビニルアルコール系樹脂をベースとするインク受容層が形成された印刷用シートを作製した。
〈水系ポリエステル樹脂による熱可塑性樹脂中間処理層用コート液〉
ポリエステル系樹脂エマルジョン(商標:バイロナールMD
1100:東洋紡積(株)、固形分30wt%) 100重量部
紫外線吸収剤(商標:バイオソーブ510:共同薬品(株)) 0.1重量部
希釈剤:水 30重量部
比較例11
実施例15と同様のポリオレフィン系樹脂ブレンドの配合組成より作製されたシート状基体のポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層上に形成するインク受容層用コート液を、実施例15のポリエステル系樹脂をベースとするインク受容層用コート液から、実施例1と同じポリビニルアルコール樹脂をベースとするインク受容層用コート液に変更した。また、実施例15で使用したポリエステル系樹脂をトルエン/MEK溶剤に溶解させた熱可塑性樹脂中間処理剤を下記水系のアクリル系樹脂を主体とする熱可塑性樹脂中間処理層用コート液に変更し、片面にポリビニルアルコール系樹脂をベースとするインク受容層が形成された印刷用シートを作製した。
〈水系アクリル樹脂による熱可塑性樹脂中間処理層用コート液〉
アクリル系樹脂エマルジョン(商標:プライマルAC−
261:ローム・アンド・ハース・ジャパン(株)、
固形分50wt%) 100重量部
紫外線吸収剤(商標:バイオソーブ510:共同薬品(株)) 0.1重量部
希釈剤:水 30重量部
比較例12
実施例5と同様のポリオレフィン系樹脂ブレンドの配合組成より作製されたシート状基材のポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層上に形成するインク受容層用コート液は、実施例5と同一とし、実施例5で使用されたスチレン系樹脂をトルエン溶剤に溶解された熱可塑性樹脂中間処理剤を、下記水系のポリウレタン系樹脂を主体とする熱可塑性樹脂中間処理層用コート液に変更し、片面にポリウレタン系樹脂をベースとするインク受容層が形成された印刷用シートを作製した。
〈水系ポリウレタン樹脂を主体とする熱可塑性樹脂中間処理層用コート液〉
熱反応性ポリウレタンエマルジョン(商標:エラストロン
E−37:第一工業製薬(株)、固形分25wt%) 100重量部
紫外線吸収剤(商標:バイオソーブ510:共同薬品(株)) 0.1重量部
希釈剤:水 30重量部
比較例13
実施例6のスチレン系共重合樹脂(2)(商標:セプトン2007:(株)クラレ)の配合量を40重量部から60重量部に増量したこと以外は、実施例6と同様のポリオレフィン系樹脂ブレンドの配合組成を用いてシート状基材を作製した。ポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層上に形成されるインク受容層は、実施例6と同一とし、実施例6で使用したアクリル系樹脂をキシレン/メチルセロソルブ/MEK溶剤に溶解させた熱可塑性樹脂中間処理剤を下記水系のポリエステル系樹脂を主体とする熱可塑性樹脂中間処理層用コート液に変更し、片面にポリエステル系樹脂をベースとするインク受容層が形成して印刷用シートを作製した。
〈水系ポリエステル樹脂を主体とする熱可塑性樹脂中間処理層用コート液〉
変性ポリエステル系樹脂エマルジョン(商標:ペスレジン
A−215G:高松油脂(株)、固形分30wt%) 100重量部
紫外線吸収剤(商標:バイオソーブ510:共同薬品(株)) 0.1重量部
希釈剤:水 30重量部
比較例14
実施例15のスチレン系共重合樹脂(3)(商標:ダイナロン1320P:日本合成ゴム(株))の配合量を、40重量部から60重量部に増量したこと以外は、実施例7と同様のポリオレフィン系樹脂ブレンドを用いて、シート状基材を作製した。ポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層上に形成するインク受容層用コート液は、実施例15のポリエステル系樹脂をベースとするインク受容層用コート液から、実施例8と同一のアクリル樹脂をベースとするインク受容層用コート液に変更した。また、実施例15で使用されたポリエステル系樹脂をトルエン/MEK溶剤に溶解した熱可塑性樹脂中間処理剤を、下記水系のアクリル系樹脂を主体とする熱可塑性樹脂中間処理層用コート液に変更し、片面にアクリル系樹脂をベースとするインク受容層が形成された印刷用シートを作製した。
〈水系アクリル樹脂インク受容層用コート液〉
アクリル系樹脂エマルジョン(商標:リカボンドAP60L:
中央理化工業(株)、固形分50wt%) 100重量部
紫外線吸収剤(商標:バイオソーブ510:共同薬品(株)) 0.1重量部
希釈剤:水 30重量部
比較例9〜比較例14の評価
比較例9〜比較例14より得られたシートの性能を上記試験法(I),(II),(III ),(IV),(V)より評価した結果、比較例9〜比較例14で得られた印刷用シートの防炎性は、JIS規格L−1091(A−2法区分3、2分加熱)に適合するものであったが、比較例9、比較例10、比較例11の印刷用シートに形成されているポリビニルアルコール系樹脂をベースとするインク受容層、及び、比較例12〜比較例14のシートに形成された、ポリウレタン系樹脂をベースとするインク受容層(比較例12)、ポリエステル系樹脂をベースとするインク受容層(比較例13)、アクリル系樹脂をベースとするインク受容層(比較例14)のそれぞれは、中間処理層を省略したこと、または、中間処理層を形成するコーティング剤として水系の熱可塑性樹脂を使用したことで、シート状基材のポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層との密着が不十分となり、セロハン粘着テープ剥離試験では、いずれのインク受容層も熱可塑性樹脂中間処理層と共に、全てセロハンテープ粘着面に剥がし取られ、また、スコット形法屈曲揉み試験(50回)においても、いずれのインク受容層も熱可塑性樹脂中間処理層と共に、シートから剥がれ、脱落した。これらのシートにインクジェット印刷で風景写真画像を印刷したところ、印刷は可能であったが、印刷後にシートのスコット形法屈曲揉み試験(50回)を行ってみたところ、インク受容層の剥がれ、脱落が起こるなど、屈曲性に極めて弱いものであり、実用性のないものであった。結果を表6に示した。
Figure 0003709935
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実施例1〜24及び比較例1〜14のポリオレフィン系樹脂に使用された資材を表7に示し、中間処理層及びインク受容層に用いられた資材を表8に示す。
Figure 0003709935
Figure 0003709935
本発明の印刷用シートの一例の断面説明図。 本発明の印刷用シートの他の例の断面説明図。 本発明の印刷用シートの更に他の例の断面説明図。 本発明の印刷用シートの更に他の例の断面説明図。 本発明の印刷用シートの更に他の例の断面説明図。 本発明の印刷用シートの更に他の例の断面説明図。
符号の説明
1…印刷用シート
2…ポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層
3…インク受容層
4…繊維基布層
5…シート状基材
6…裏面側ポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層
7…裏面側インク受容層
8…裏面側ポリオレフィン系樹脂組成物層
9…中間処理層
10…裏面側中間処理層

Claims (16)

  1. ポリオレフィン系樹脂と、スチレン系共重合樹脂とを、100:5〜100:100の重量比で含有する樹脂ブレンドからなるフィルム層を有するシート状基材と、
    前記シート状基材の樹脂ブレンドフィルム層に密着して結着している中間処理層と、
    前記中間処理層の全面上に密着して結着しているインク受容層とを含み、
    前記中間処理層が、有機系溶剤に熱可塑性樹脂を溶解したコーティング剤の塗布・乾燥によって形成されたものであり、
    前記インク受容層が、熱可塑性樹脂の水系エマルジョン、熱可塑性ゴムのラテックス及び水溶性高分子化合物から選ばれた少なくとも1種を含む水系コーティング液の塗布、固化により形成されたものであること
    を特徴とするインクジェット印刷用ポリオレフィン系樹脂シート。
  2. 前記樹脂ブレンドフィルム層と、前記中間処理層との界面部分において、前記樹脂ブレンドフィルム層中のスチレン系共重合樹脂の一部分と、前記中間処理層中の熱可塑性樹脂の一部分とによる接着層が形成されている、請求項1に記載のインクジェット印刷用ポリオレフィン系樹脂シート。
  3. 前記シート状基材において、前記樹脂ブレンドフィルム層が繊維布帛からなる基布の少なくとも1面に形成されている、請求項1又は2に記載のインクジェット印刷用ポリオレフィン系樹脂シート。
  4. 前記基布の一外表面全面上に前記樹脂ブレンドフィルム層が形成され、この樹脂ブレンドフィルム層上に、前記中間処理層を介して前記インク受容層が形成されており、前記基布の他の最外裏面全面上に、前記樹脂ブレンドフィルムからなる裏面層が形成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット印刷用ポリオレフィン系樹脂シート。
  5. 前記樹脂ブレンドフィルム裏面層上に、裏面側中間処理層が形成されており、かつその全面上に裏面側インク受容層が形成されている、請求項4に記載のインクジェット印刷用ポリオレフィン系樹脂シート。
  6. 前記シート状基材の裏面側に、前記樹脂ブレンドとは異るポリオレフィン系樹脂組成物からなる裏面層が形成されている、請求項4に記載のインクジェット印刷用ポリオレフィン系樹脂シート。
  7. 前記中間処理層用熱可塑性樹脂がアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、及びスチレン系樹脂から選ばれた1種以上を含む、請求項1〜5の何れか1項に記載のインクジェット印刷用ポリオレフィン系樹脂シート。
  8. 前記インク受容層が、さらに、その合計重量の10〜80重量%の、微細顔料粒子及び/又は多孔質微粒子を含有する、請求項1,4、又は5に記載のインクジェット印刷用ポリオレフィン系樹脂シート。
  9. 前記シート状基材に含まれる前記樹脂ブレンドフィルム層が、非ハロゲン系難燃剤及び臭素系化合物難燃剤から選ばれた1種以上を含む難燃剤を、前記樹脂ブレンド重量に対し10〜250重量部の添加量で含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット印刷用ポリオレフィン系樹脂シート。
  10. 前記樹脂ブレンドフィルム裏面層が、非ハロゲン系難燃剤及び臭素系化合物難燃剤から選ばれた1種以上を含む難燃剤を、前記樹脂ブレンドフィルム裏面層中の樹脂ブレンドの重量に対し10〜250重量部の添加量で含む、請求項4又は5に記載のインクジェット印刷用ポリオレフィン系樹脂シート。
  11. 前記ポリオレフィン系樹脂裏面層が、非ハロゲン系難燃剤及び臭素系化合物難燃剤から選ばれた1種以上を含む難燃剤を、前記ポリオレフィン系樹脂裏面層中のポリオレフィン系樹脂の重量に対し10〜250重量部の添加量で含む、請求項6に記載のインクジェット印刷用ポリオレフィン系樹脂シート。
  12. 前記非ハロゲン系難燃剤が、無機金属水酸化物、無機金属酸化物、無機金属炭酸塩、ホウ酸系化合物、硫黄系化合物、リン酸エステル系化合物、ポリリン酸アンモニウム系化合物、(イソ)シアヌル酸誘導体化合物、シアナミド化合物、尿素系化合物、から選ばれた1種以上を含む、請求項9,10又は11に記載のインクジェット印刷用ポリオレフィン系樹脂シート。
  13. 前記スチレン系共重合樹脂が、スチレン重合体ブロック(A)及びブタジエン重合体ブロック、イソプレン重合体ブロック及びビニルイソプレン重合体ブロックから選ばれた1種の重合体ブロック(B)とからなるA−B−A型ブロック共重合体、及びA−B型ブロック共重合体;スチレンと、ブタジエン、イソプレン及びビニルイソプレンの少なくとも1種とのランダム共重合体;並びに、前記ブロック共重合体及びランダム共重合体中のビニル結合含有(B)成分単位に対し、水素添加を施して得られた水素添加スチレン系共重合樹脂、から選ばれた少なくとも1種からなる、請求項1と2に記載のインクジェット印刷用ポリオレフィン系樹脂シート。
  14. ポリオレフィン系樹脂と、スチレン系共重合樹脂とを、重量比100:5〜100:100で含む樹脂ブレンドの溶融混練物からフィルムを形成する工程と、前記樹脂ブレンドフィルムの面上に、熱可塑性樹脂を含むコーティング液を直接塗布し、乾燥して、中間処理層を形成する工程と、
    中間処理層上に、水系コーティング液を塗布してインク受容層を形成する工程と、
    を含み、
    前記中間処理層の形成工程に用いられるコーティング液が、有機系溶剤中に前記熱可塑性樹脂を溶解したものであり、
    前記インク受容層の形成工程に用いられる水系コーティング液が、熱可塑性樹脂の水系エマルジョン、熱可塑性ゴムのラテックス、及び水溶性高分子化合物から選ばれた少なくとも1種をバインダーとして含むことを特徴とするインクジェット印刷用ポリオレフィン系樹脂シートの製造方法。
  15. 前記中間処理層形成用熱可塑性樹脂が、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、及びスチレン系樹脂から選ばれた1種以上を含む、請求項14に記載のインクジェット印刷用ポリオレフィン系樹脂シートの製造方法。
  16. 前記中間処理層形成用コーティング液が、前記熱可塑性樹脂と混和し、かつ前記スチレン系共重合樹脂を完全溶解、一部溶解、又は膨潤せしめる有機系溶剤をさらに含み、このコーティング液を、前記樹脂ブレンドフィルムの少なくとも一面上に直接塗布し、このコーティング液層から前記有機系溶剤を蒸発除去して、中間処理層を形成し、それによって、前記樹脂ブレンドフィルム層と前記中間処理層との界面部分において、前記樹脂ブレンドフィルム層中のスチレン系共重合樹脂の一部分と、前記中間処理層中の熱可塑性樹脂の一部分とによる接着層が形成される、請求項14に記載のインクジェット印刷用ポリオレフィン系樹脂シートの製造方法。
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