JP2005320456A - 転写シート及びそれを用いた記録画像の形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 被転写体の形状や材質に拘わらず、被転写体に鮮明な画像を形成できる転写シート及び記録画像の形成方法を提供する。
【解決手段】 基材と、この基材に対して剥離可能な転写層とで構成され、かつ前記転写層の破断点伸度が30%以上であるシートであって、前記転写層が、予め画像を形成した記録シートを加熱転写して画像を形成するための層である転写シートを調製する。前記転写層は、基材の面に形成された接着層と、この接着層の上に形成され受像層とで構成されていてもよい。前記受像層は、透明層及び非透明層から選択された少なくとも一種で構成されていてもよく、例えば、架橋性基を有していてもよいバインダー樹脂及び隠蔽剤で構成された隠蔽層で形成されいてもよい。前記転写層及び記録シートの少なくとも一方の表面には、離型層が形成されていてもよい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、衣類などの各種被転写体に記録画像を形成するための転写シートに関し、さらに詳しくは、前記転写シートの転写層が、予め画像が形成された記録シートの転写により画像を形成可能である転写シートに関する。
Tシャツなどの布地や、陶器、プラスチック製品などの表面へのマーク・ロゴや画像印刷は、通常、スクリーン印刷を主体とする各種印刷法により行われている。しかし、これらの印刷法では、高価な印刷用原版を作成する必要がある。そのため、少部数の印刷は、コストの点から不向きであるだけでなく、原版の作製に長時間を要するため、迅速に印刷することが困難である。これらの問題を解消するため、最近、インクジェットプリンターやカラー複写機などを用いて、予め、支持層及び転写層を有する転写シートに画像を記録し、この転写シートの記録画像を衣類などの被転写体へ熱転写する方法が知られている。このような方法に用いる転写シートは、被転写体の種類によらず鮮明な画像が形成できる必要があり、例えば、各種材質又は形状の被転写体や、濃色の被転写体であっても鮮明な画像が形成できることが要求される。
例えば、特開2002−248875号公報(特許文献1)には、基材と、この基材に対して剥離可能な転写層とで構成されているシートであって、転写層が少なくともホットメルト接着性樹脂及び隠蔽剤を含有する転写シートが開示されている。この文献には、正画像型転写シートとして、基材と、この基材に対して剥離可能な転写層とで構成されたシートであって、転写層が、少なくともホットメルト接着性樹脂を含む接着層と、この接着層の上に形成され、かつバインダー樹脂及び染料定着剤を含む受像層とで構成されており、接着層及び受像層のうち少なくとも一方の層に白色隠蔽剤が含まれている転写シートが記載されている。さらに、この文献には、このシートがインクジェット記録方式で画像を形成するのに適していることが記載されている。
しかし、このような方法では、画像が形成された転写層を複雑な形状の被転写体に転写したり、被転写体の材質や形状によっては、被転写体に転写した後に画像を形成するのが困難となる。また、このシートでは、白色隠蔽性が低く、隠蔽性を向上させるために、隠蔽剤の割合を多くすると、伸び率や強度の機械的特性が低下し、転写シートとしての取扱い性や転写後の被転写体の風合いが充分でない。
一方、特開2000−259344号公報(特許文献2)には、基体の少なくとも一主面にフィルム層を有し、前記フィルム層の上に受像層を有するマウスパッドであって、前記受像層が、昇華性着色剤の加熱昇華により画像形成が可能であるマウスパッドが開示されている。この文献には、前記受像層の表面に離型層を形成してもよいこと、前記フィルム層が白色で耐熱性を有しいてもよいこと、前記基体がクッション性を有していてもよいことが記載されている。しかし、このマウスパッドは、フィルム層がポリアルキレンテレフタレートフィルムなどで構成されているため、柔軟性が低く、接着性も有していないため、複雑な形状を有する被転写体の形状に追従させて転写できない。
特開2002−248875号公報(請求項1、請求項14、段落番号[0079][0088]) 特開2000−259344号公報(請求項1〜4、段落番号[0028])
従って、本発明の目的は、被転写体の形状や材質に拘わらず、被転写体に鮮明な画像を形成できる転写シート及び記録画像の形成方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、伸びや柔軟性などの特性に優れた転写シート及び記録画像の形成方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、高い隠蔽性を有するとともに、伸び率や強度などの機械的特性の高い転写シート及び記録画像の形成方法を提供することにある。
本発明の別の目的は、濃色又は低い明度の被転写体に対して鮮明に記録画像を形成できるとともに、転写シートとしての取扱い性、熱転写された被転写体の風合いにも優れる転写シート及び記録画像の形成方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、転写シートの転写層の破断点伸度を30%以上に調整し、かつ予め画像を形成された記録シートを用いて前記転写層に画像を形成することにより、被転写体の形状や材質に拘わらず、被転写体に鮮明な画像を形成できるとともに、伸びや柔軟性などの特性にも優れることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の転写シートは、基材と、この基材に対して剥離可能な転写層とで構成され、かつ前記転写層の破断点伸度が30%以上であるシートであって、前記転写層に、予め画像が形成された記録シートの転写により画像を形成可能である。前記転写層は、基材の面に形成され、かつ剥離可能な接着層と、この接着層の上に形成され、かつ予め画像が形成された記録シートの転写により画像を形成可能な受像層とで構成されていてもよい。前記受像層は、透明層及び非透明層から選択された少なくとも一種で構成されていてもよい。前記受像層は、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂などの軟質樹脂で構成されていてもよい。また、前記受像層は、架橋性基(例えば、イソシアネート基など)を有していてもよいバインダー樹脂(例えば、ウレタン系樹脂など)及び隠蔽剤(平均粒径3μm以下の酸化チタンなど)で構成された隠蔽層で形成されていてもよい。前記隠蔽層において、隠蔽剤とバインダー樹脂との割合(重量比)は、前者/後者=30/70〜90/10程度であってもよい。前記転写層の破断点伸度は30〜200%程度であり、隠蔽層側から測定した白色度(L値)が88以上であってもよい。前記接着層は、ウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、オレフィン系樹脂などのホットメルト接着性樹脂で構成されていてもよい。前記接着層及び受像層の各層に、少なくともウレタン系樹脂が含まれていてもよい。前記転写層の表面は、記録シートに対して離型性を有していてもよい。前記記録シートは、昇華性又は熱溶融転写性の画像が形成された記録シートであってもよい。
本発明には、前記転写シートと、予め画像が形成された記録シートとで構成された転写画像形成用セットも含まれる。
本発明には、基材と転写層とで構成された転写シートから基材を剥離する工程と、被転写体に転写層を転写する工程とを含み、かつ被転写体に画像を形成する方法であって、記録シートに予め形成された画像を、被転写体に転写する前の転写層に転写する方法も含まれる。また、本発明には、基材と転写層とで構成された転写シートから基材を剥離する工程と、被転写体に転写層を転写する工程とを含み、かつ被転写体に画像を形成する方法であって、記録シートに予め形成された画像を、被転写体に転写した後の転写層に転写する方法も含まれる。
本発明では、被転写体の形状や材質に拘わらず、被転写体に鮮明な画像を形成できる。また、転写層の破断点伸度が調整されているため、伸びや柔軟性などの特性にも優れている。さらに、隠蔽層を形成しても、高い隠蔽性を有するとともに、伸び率や強度などの機械的特性の高い転写シートが得られる。このシートは、濃色又は低い明度の被転写体に対して鮮明に記録画像を形成できるとともに、転写シートとしての取扱い性、熱転写された被転写体の風合いにも優れる。
本発明の転写シートは、基材と、この基材に対して剥離可能な転写層とで構成されている。この転写層は、例えば、基材から剥離可能な接着層と受像層とで構成されていてもよい。さらに、前記受像層は、透明層及び/又は非透明層で構成されていてもよい。
[基材]
基材としては、転写層に対して剥離可能である限り、不透明、半透明、透明な基材が使用できる。基材としては、通常、離型性基材、例えば、離型処理紙(離型紙)、離型処理していてもよい合成紙、化学繊維紙、プラスチックフィルムなどが挙げられる。
離型処理紙(離型紙)を構成する紙類としては、例えば、紙(印刷用紙、包装用紙、薄葉紙など)が挙げられる。紙類は、ポリプロピレン、ポリスチレンなどによるラミネート加工や表面塗工などの各種加工が施されていてもよい。
合成紙としては、ポリプロピレン、ポリスチレンなどを用いた各種合成紙などが挙げられる。
化学繊維紙としては、ポリアミド繊維、アクリル繊維、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維などの化学繊維を原料とした各種化学繊維紙が挙げられる。
プラスチックフィルムを構成するポリマーとしては、種々の樹脂(熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂)が使用でき、通常、熱可塑性樹脂が使用される。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレンなどのポリC2-4オレフィン系樹脂など)、セルロース誘導体(酢酸セルロースなどのセルロースエステルなど)、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリアルキレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレートなどのポリアルキレンナフタレート、又はこれらのコポリエステルなど)、ポリアミド系樹脂(ポリアミド6、ポリアミド6/6など)、ビニルアルコール系樹脂(ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体など)などが挙げられる。これらのフィルムのうち、通常、オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂などが使用され、特に、機械的強度、耐熱性、作業性などの点からポリエステル(特にポリエチレンテレフタレートなど)が好ましい。
基材の厚みは、用途に応じて選択でき、通常、10〜250μm、好ましくは15〜200μm、さらに好ましくは20〜150μm程度である。
離型性は、慣用の方法、例えば、離型剤(ワックス、高級脂肪酸塩、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、シリコーンオイルなど)で基材を処理したり、基材に含有させることにより付与できる。紙の場合は、例えば、目止め処理(例えば、クレイコートなど)をした後、離型剤(例えば、シリコーンオイルなど)で被覆することにより離型性を付与できる。プラスチックフィルムには、必要に応じて、安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤など)、滑剤、結晶核剤、充填剤、顔料などの慣用の添加剤を添加してもよい。
[転写層]
転写層は、基材に対して剥離可能であり、記録シートに予め形成された画像を転写できる限り、特に限定されない。また、転写層は、単層構造(例えば、ホットメルト接着性樹脂で構成され、被転写体と接着可能であるとともに、画像も形成可能である層など)であってもよく、積層構造であってもよい。さらに、転写層は、転写層の表面を被転写体に接触させてもよく、転写層の剥離面を被転写体に接触させてもよい。
特に、転写層は、被転写体への接着性が高い点や、記録シートに予め形成された画像を熱転写し易い点から、基材の少なくとも一方の面(特に、基材の一方の面)に形成され、かつこの基材から剥離可能な接着層と、この接着層の上に形成され、かつ予め画像が形成された記録シートの転写により画像を形成可能な受像層とで構成されていてもよい。
(接着層)
接着層は、基材に対して剥離可能であり、被転写体に転写可能であれば特に限定されないが、少なくともホットメルト接着性樹脂で構成されている。
ホットメルト接着性樹脂としては、熱接着性を有する樹脂である限り、特に制限されず、例えば、ウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂などが例示できる。
(1)ウレタン系樹脂
熱接着性のウレタン系樹脂としては、例えば、ジイソシアネート成分と、ジオール成分との反応により得られる熱可塑性ウレタン系樹脂などが例示できる。
ジイソシアネート成分としては、芳香族ジイソシアネート(例えば、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、トルイジンジイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネートなど)、芳香脂肪族ジイソシアネート(例えば、キシリレンジイソシアネートなど)、脂環式ジイソシアネート(例えば、イソホロンジイソシアネートなど)、脂肪族ジイソシアネート(例えば、プロピレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなど)などが例示できる。ジイソシアネート成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。ジイソシアネート成分は、アダクト体であってもよく、必要によりトリフェニルメタントリイソシアネートなどのポリイソシアネート成分と併用してもよい。
ジオール成分としては、例えば、脂肪族ジオール(例えば、エチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコールなどのC2-10アルカンジオールなど)、脂環式ジオール(例えば、水添ビスフェノールA、水添キシリレングリコール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールなど)、芳香族ジオール(例えば、ビスフェノールA、カテコール、レゾルシン、ハイドロキノン、キシリレングリコールなど)などの低分子量ジオールの他、ポリエーテルジオール(例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどのポリオキシC2-4アルキレングリコールなど)、ポリエステルジオール[前記ジオール成分又はポリエーテルジオールと、ジカルボン酸又はその反応性誘導体(低級アルキルエステル、酸無水物)との反応生成物や、ラクトンからの誘導体など]、ポリカーボネートジオール[例えば、前記低分子量ジオールとジアルキルカーボネート(ジメチルカーボネートなどのジC1-6アルキルカーボネートなど)との反応生成物など]などが例示できる。
ポリエステルジオールにおいて、ジカルボン酸には、例えば、脂肪族ジカルボン酸(例えば、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸などのC4-14脂肪族ジカルボン酸など)、脂環族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸(例えば、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸など)などが含まれる。これらのジカルボン酸は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。ジカルボン酸は、必要により、トリメリット酸などの多価カルボン酸と併用してもよい。ラクトンには、例えば、ブチロラクトン、バレロラクトン、カプロラクトン、ラウロラクトンなどが含まれる。これらのラクトンは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらのジオール成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。ジオール成分は、必要により、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどのポリオールと併用してもよい。
ウレタン系樹脂は、必要により多価アミン類などの鎖伸長剤又は架橋剤で、架橋又は変性されていてもよい。例えば、前記多価アミン類によって変性されたポリウレタン尿素樹脂であってもよく、前記多価アミン類を鎖伸長剤として使用して、ウレタン系樹脂を熱可塑性エラストマーとしてもよい。熱可塑性ウレタン系エラストマーとしては、例えば、脂肪族ポリエーテルやポリエステルをソフトセグメントとし、短鎖グリコールのポリウレタン単位をハードセグメントとするエラストマーなどが例示できる。
多価アミン類としては、例えば、ヒドラジン、脂肪族ジアミン(例えば、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミンなど)、芳香族ジアミン(例えば、フェニレンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミンなど)、脂環族ジアミン[例えば、水添キシリレンジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、イソホロンジアミンなど]などが挙げられる。これらの多価アミン類は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらのウレタン系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
ウレタン系樹脂としては、ポリエステル型ウレタン系樹脂、ポリカーボネート型ウレタン系樹脂、ポリエーテル型ウレタン系樹脂などのウレタン樹脂や、ポリウレタン尿素樹脂などが挙げられ、これらのウレタン系樹脂のうち、特に、黄変が少ない点から、ポリエステル型ウレタン系樹脂、ポリカーボネート型ウレタン系樹脂が好ましく、特に脂肪族ポリエステル型ウレタン系樹脂、脂肪族ポリカーボネート型ウレタン系樹脂、又はこれらの組み合わせが好ましい。
さらに、柔軟性などの点から、脂肪族ポリエステルジオールを50重量%以上(例えば、75重量%以上)含むジオール成分を用いて得られたポリエステル型ウレタン系樹脂(例えば、1,4−ブタンジオールなどのC2-6アルカンジオールと、アジピン酸などのC4-12脂肪族ジカルボン酸、及びイソフタル酸又はフタル酸との反応により得られるポリエステルジオールや前記ラクトンから誘導されるポリエステルジオールを用い、イソホロンジイソシアネートなどのジイソシアネートと反応させたウレタン樹脂など)、これらのポリエステル型ウレタン系樹脂に対応するポリウレタン尿素樹脂が好ましい。
これらの中でも、小さい引張強度で高い伸び率を発揮する点から、特に、ウレタン系樹脂(ポリエステル型ウレタン系樹脂、ポリカーボネート型ウレタン系樹脂など)が好ましい。
ウレタン系樹脂は、有機溶媒溶液、水溶液、水性エマルジョンとして用いてもよい。ウレタン系樹脂の水溶液又は水性エマルジョンは、ウレタン系樹脂を、乳化剤を用いて、溶解又は乳化分散させて調製してもよく、ウレタン系樹脂の分子内に遊離のカルボキシル基や3級アミノ基などのイオン性官能基を導入し、アルカリや酸を用いて、ウレタン系樹脂を溶解又は分散させることにより調製してもよい。このような分子内に遊離のカルボキシル基や3級アミノ基が導入されたウレタン系樹脂は、ジイソシアネート成分と、遊離のカルボキシル基又は3級アミノ基を有するジオール(特に高分子ジオール)成分との反応により得られるウレタン系樹脂で構成される。なお、前記遊離のカルボキシル基を有するジオール(特に高分子ジオール)は、例えば、ジオール成分と、3以上のカルボキシル基を有する多価カルボン酸又はその無水物(例えば、無水ピロメリット酸などの4塩基酸無水物など)や、スルホン酸基を有する多価カルボン酸(スルホイソフタル酸など)との反応、開始剤としてジメチロールプロピオン酸などを用い、ラクトンを開環重合する方法などにより得られる。
(2)ポリアミド系樹脂
熱接着性のポリアミド系樹脂としては、ポリアミド6、ポリアミド46、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド11、ポリアミド12、ダイマー酸とジアミンとの反応により生成するポリアミド樹脂、ポリアミド系エラストマー(例えば、ポリオキシアルキレンジアミンをソフトセグメントとして用いたポリアミドなど)などが挙げられる。これらのポリアミド系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、好ましいポリアミド系樹脂には、ポリアミド11を構成する単位及びポリアミド12を構成する単位から選択された少なくとも一方の単位を有するポリアミド(例えば、ポリアミド11、ポリアミド12などのホモポリアミド、ポリアミド6/11、ポリアミド6/12、ポリアミド66/12、ダイマー酸とジアミンとラウロラクタム又はアミノウンデカン酸との共重合体などのコポリアミド)、ダイマー酸とジアミンとの反応により生成するポリアミド樹脂などが含まれる。
(3)オレフィン系樹脂
熱接着性のオレフィン系樹脂としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどのα−オレフィン(特に、α−C2-10オレフィン)の単独又は共重合体、オレフィン系エラストマーが例示できる。
α−オレフィンの単独又は共重合体としては、例えば、ポリオレフィン(低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンなどのポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、アタクチックポリプロピレンなど)、変性ポリオレフィン[エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−(4−メチルペンテン−1)共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体又はそのアイオノマー、エチレン−アクリル酸エチル共重合体などのエチレン−(メタ)アクリレート共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−1共重合体、無水マレイン酸グラフトポリプロピレンなど]などが挙げられる。オレフィン系エラストマーとしては、ポリエチレンやポリプロピレンをハードセグメントとし、エチレン−プロピレンゴム(EPR)やエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)をソフトセグメントとするエラストマーなどが挙げられる。
これらのオレフィン系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのオレフィン系樹脂のうち、熱接着性の点から、変性ポリオレフィン、特に変性エチレン系樹脂(例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体などのエチレン共重合体など)が好ましい。
(4)ポリエステル系樹脂
熱接着性のポリエステル系樹脂としては、少なくとも脂肪族ジオール又は脂肪族ジカルボン酸を用いたホモポリエステル樹脂又はコポリエステル樹脂、ポリエステル系エラストマーが例示できる。
前記ホモポリエステル樹脂には、例えば、脂肪族ジオール(前記ウレタン系樹脂の項で述べたC2-10アルカンジオール、ポリオキシC2-4アルキレングリコール)と、脂肪族ジカルボン酸(前記C4-14脂肪族ジカルボン酸など)と、必要によりラクトンとの反応により生成する飽和脂肪族ポリエステル樹脂が含まれる。
前記コポリエステル樹脂には、ポリエチレンテレフタレート又はポリブチレンテレフタレートの構成成分(ジオール及び/又はテレフタル酸)の一部を他のジオール(エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールなどのC2-6アルキレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどのポリオキシアルキレングリコール、シクロヘキサンジメタノールなど)又はジカルボン酸(前記脂肪族ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸などの非対称型芳香族ジカルボン酸など)若しくはラクトン(ブチロラクトン、バレロラクトン、カプロラクトン、ラウロラクトンなど)で置換した飽和ポリエステル樹脂が含まれる。
ポリエステル系エラストマーとしては、C2-4アルキレンアリレート(エチレンテレフタレート、ブチレンテレフタレートなど)をハードセグメントとし、(ポリ)オキシアルキレングリコールなどをソフトセグメントとするエラストマーなどが例示できる。
ポリエステル系樹脂としては、ウレタン結合を含むポリエステル樹脂、例えば、ポリエステル樹脂を前記ジイソシアネートで高分子量化した樹脂を使用してもよい。
これらのポリエステル系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらのホットメルト接着性樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。ホットメルト接着性樹脂は、通常、水不溶性である。ホットメルト接着性樹脂は、末端に反応性基(カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、イソシアネート基、シリル基など)を有する反応性ホットメルト接着性樹脂であってもよい。
これらのホットメルト接着性樹脂の軟化点は、例えば、70〜180℃、好ましくは80〜170℃、さらに好ましくは90〜160℃(特に90〜150℃)程度である。特に、被転写体や隠蔽層に対する充分な接着力を示すとともに、布帛などの被転写体への染み込みが抑制される点から、異なる軟化点を有する複数の樹脂を組み合わせるのが好ましく、例えば、軟化点70〜120℃(例えば、80〜110℃)程度の樹脂と、軟化点120℃を超えて180℃以下(例えば、130〜160℃)の樹脂とを組み合わせてもよい。
ホットメルト接着性樹脂の融点は、50〜250℃程度の範囲から選択でき、例えば、60〜200℃、好ましくは70〜150℃、さらに好ましくは70〜130℃(特に80〜120℃)程度であってもよい。
これらのホットメルト接着性樹脂のうち、被転写体が衣類などの布帛である場合、接着性、柔軟性及び風合いの点から、ウレタン系樹脂(例えば、軟化点70〜180℃のウレタン系樹脂など)、ポリアミド系樹脂(例えば、融点70〜180℃のポリアミド系樹脂など)、オレフィン系樹脂[例えば、融点70〜120℃のオレフィン系樹脂(特にエチレン共重合体)など]、特にウレタン系樹脂(例えば、軟化点70〜180℃のポリエステル型ウレタン系樹脂など)が好ましい。特に、軟化点70〜180℃のウレタン系樹脂及び/又は融点70〜120℃のエチレン系樹脂を、接着層を構成する樹脂成分中50重量%以上、好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上含有するのが好ましい。
接着層は、必要により種々の添加剤、例えば、安定化剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定化剤など)、帯電防止剤、難燃剤、滑剤、アンチブロッキング剤、充填剤、着色剤、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤などを含有していてもよい。
接着層の厚みは、例えば、5〜300μm、好ましくは10〜200μm、さらに好ましくは20〜100μm(特に20〜60μm)程度である。
(受像層)
受像層は、予め画像が形成された記録シートを用いて画像を形成できるとともに、転写層の軟性を損なわなければ、特に限定されず、用途に応じて、透明層及び/又は非透明層(半透明層又は不透明層)で構成してもよく、特に、非透明層は隠蔽層であってもよい。
透明層及び非透明層は、転写層に軟性を付与する点から、少なくとも軟質樹脂を含んでいてもよい。軟質樹脂としては、例えば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂(塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂など)、アクリル系樹脂、熱可塑性エラストマー、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂などの熱可塑性樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂などが挙げられる。これらの軟質樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。また、硬質樹脂であってもゴム成分や可塑剤(鉱物オイルやパラフィンオイルなど)などと混合することにより、軟質樹脂組成物として使用できる。これらの軟質樹脂のうち、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂が好ましい。
塩化ビニル系樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−C2-4オレフィン共重合体(塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−プロピレン共重合体など)、塩化ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体(塩化ビニル−メタクリル酸メチルなど)、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体やポリウレタンに塩化ビニルをグラフト重合した共重合体などが挙げられる。これらの塩化ビニル系樹脂は、慣用の可塑剤を含む軟質樹脂であってもよい。可塑剤としては、例えば、フタル酸エステル系可塑剤[ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)など]、リン酸エステル系可塑剤[リン酸トリクレジル(TCP)、リン酸トリオクチル(TOP)など]、脂肪族多価カルボン酸エステル[アジピン酸ジオクチル(DOA)、セバシン酸ジオクチル(DOS)など]、エポキシ系可塑剤[アルキルエポキシステアレート、エポキシ化大豆油など]などが挙げられる。可塑剤の割合は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、例えば、1〜100重量部、好ましくは3〜75重量部、さらに好ましくは5〜50重量部程度である。
ポリエステル系樹脂としては、前記接着層の項で例示のポリエステル系樹脂などが挙げられる。前記ポリエステル系樹脂のうち、脂肪族ポリエステル系樹脂、ポリエステル系エラストマー、ウレタン結合を含むポリエステル樹脂などが好ましい。
ウレタン系樹脂としては、前記接着層の項で例示されたウレタン系樹脂が使用できる。ウレタン系樹脂の中でも、ポリエステル型ウレタン系樹脂や、ポリカーボネート型ウレタン系樹脂(例えば、無黄変性の脂肪族ポリカーボネート型ウレタン系樹脂など)、特に、脂肪族ポリエステルジオールを50重量%以上含むジオール成分を用いて得られたポリエステル型ウレタン系樹脂が好ましい。
軟質樹脂の軟化点は、70〜180℃の範囲から選択でき、例えば、70〜150℃、好ましくは70〜120℃、さらに好ましくは80〜110℃程度である。
これらの軟質樹脂のうち、接着力や柔軟性の点から、ウレタン系樹脂が特に好ましい。
隠蔽層を形成する場合には、前記軟質樹脂の中でも、接着力及び成膜性を有する軟質樹脂、例えば、架橋性基を有していてもよい軟質樹脂(例えば、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂など)であるのが好ましい。架橋性基としては、例えば、イソシアネート基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、メチロール基、アルコキシシリル基などが挙げられる。隠蔽層においては、このような架橋性基を有していてもよい軟質樹脂をバインダー樹脂として、隠蔽剤と組み合わせて用いてもよい。これらのバインダー樹脂のうち、接着力や柔軟性の点から、イソシアネート基を有していてもよいウレタン系樹脂が好ましい。
隠蔽剤(又は隠蔽性向上剤)は、被転写体を、白色化などにより隠蔽可能であればよく、少なくとも白色顔料、加熱膨張により白色化可能なマイクロカプセルなどの白色隠蔽剤などが例示できる。これらの隠蔽剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
前記白色顔料は、白色顔料単独で構成された顔料に限定されず、白色顔料を含む樹脂粒子(例えば、バインダー樹脂で被覆された粒子や、バインダー樹脂粒子中に複数の白色顔料が分散した粒子など)で構成してもよい。
白色顔料としては、チタン系白色顔料[酸化チタン(チタン白)など]、亜鉛系白色顔料(酸化亜鉛、硫化亜鉛など)、複合白色顔料(リトポンなど)、体質顔料[ケイ酸マグネシウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミニウム系体質顔料(アルミナ、水酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウムなど)、シリカ、マイカ、ベントナイトなど]などが例示できる。これらの白色顔料のうち、チタン系白色顔料、特に酸化チタンが好ましい。
酸化チタンの結晶型は、アナターゼ型であってもよいが、屈折率が大きくて隠蔽力に優れる点から、ルチル型が好ましい。
白色顔料の平均粒径は3μm以下が好ましく、例えば、0.01〜3μm、好ましくは0.05〜2μm(例えば、0.05〜1μm)、さらに好ましくは0.1〜1μm(例えば、0.1〜0.5μm)程度である。白色顔料の平均粒径が小さすぎると白色隠蔽力が充分でなく、大きすぎると風合いや接着性が損なわれる。
マイクロカプセルは、芯物質として熱転写における加熱によって気化する低沸点の溶媒を含有しており、芯物質である溶媒の沸点は200℃以下、好ましくは50〜180℃、さらに好ましくは50〜150℃程度である。このような溶媒としては、例えば、脂肪族炭化水素(ペンタン、ヘキサンなど)、脂環族炭化水素(シクロヘキサンなど)、芳香族炭化水素(トルエン、キシレンなど)、エーテル(1,4−ジオキサン、テトラヒドロフランなど)、エステル(酢酸メチル、酢酸エチルなど)、ケトン(アセトン、メチルエチルケトンなど)、アルコール(メタノール、エタノール、イソプロパノールなど)、特に炭化水素系溶媒(例えば、ヘキサンなど)が好ましい。
マイクロカプセルを構成する壁材としては、ガスバリア性が高く、熱転写における加熱によって軟化する熱可塑性樹脂、例えば、塩化ビニリデン系重合体[例えば、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニリデン−(メタ)アクリル酸共重合体、塩化ビニリデン−(メタ)アクリレート共重合体、塩化ビニリデン−酢酸ビニル共重合体など]、ポリアクリロニトリル系重合体、ビニルアルコール系重合体(例えば、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体など)、ポリアミド系樹脂(例えば、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド11、ポリアミド12など)などが例示できる。
マイクロカプセルの平均粒径は50μm以下が好ましく、例えば、0.1〜50μm、好ましくは0.5〜20μm、さらに好ましくは1〜10μm程度である。
150℃で1分間加熱したとき、マイクロカプセルの体積は、3倍以上(例えば、5〜1000倍、好ましくは10〜100倍、さらに好ましくは10〜50倍程度)膨張するのが好ましい。
これらの隠蔽剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの隠蔽剤のうち、酸化チタンなどの白色顔料が好ましい。
なお、本発明では、隠蔽層の機械的強度の点から、酸化チタンなどの隠蔽剤が、隠蔽層中で充分に分散しているのが好ましい。すなわち、隠蔽剤は、凝集せずに一次粒子の状態で分散しているのが好ましい。また、凝集している場合でも、分散粒子の粒径(二次粒径)は小さいのが好ましく、例えば、二次粒径10μm以下(例えば、0.1〜10μm)、好ましくは0.1〜7μm、さらに好ましくは0.1〜5μm程度である。隠蔽剤を充分に分散させる方法としては、特に限定されないが、慣用の方法、例えば、ディスパー、ホモミキサー、ビーズミル、ボールミル、ロールミル、コロイドミル、サンドミル、アトライター、ペイントコンディショナーなどの分散機を用いた方法などが挙げられる。
さらに、隠蔽剤の分散性を向上させるために、隠蔽剤(特に白色顔料)を予め樹脂(例えば、バインダー樹脂と同系統の架橋性基を有してもよい樹脂など)又は樹脂溶液中に分散させて用いてもよい。予め分散させる隠蔽剤と樹脂との割合(重量比)は、例えば、50/50〜99/1、好ましくは60/40〜97/3、さらに好ましくは70/30〜95/5程度である。
隠蔽剤とバインダー樹脂との割合(重量比)は、例えば、前者/後者=30/70〜90/10、好ましくは35/65〜80/20、さらに好ましくは40/60〜75/25(特に45/55〜70/30)程度である。本発明では、伸び率や強度などの各種特性を低下させることなく、隠蔽剤の割合を高めることができるため、高い隠蔽性(特に白色隠蔽性)を有しているにもかかわらず、転写シートとしての取扱い性や、被転写体に転写された転写層の耐久性などにも優れる。なお、隠蔽層には、隠蔽剤として顔料成分を含有しているため、離型性に優れている。
隠蔽層は、さらに架橋剤を含有してもよい。架橋剤は、バインダー樹脂の種類に応じて適宜選択することができ、バインダー樹脂の官能基に対して2以上の反応性官能基を有する化合物(例えば、前記架橋性基を有する多官能性化合物や多価金属イオンなど)であってもよい。具体的には、ポリイソシアネート、ポリアミン、多価カルボン酸、シランカップリング剤、ポリエチレンイミン、尿素樹脂、メラミン樹脂、マグネシウムイオン(マグネシウムイオンを生成可能な化合物)などが挙げられる。バインダー樹脂がウレタン系樹脂である場合には、架橋剤として、ポリイソシアネート(例えば、前記接着層の項で例示されたジイソシアネート成分やポリイソシアネート成分など)を用いるのが好ましい。架橋剤を用いることにより、強度や接着層との接着力などをさらに向上することができる。
架橋剤の割合は、バインダー樹脂100重量部に対して、例えば、0.1〜30重量部、好ましくは0.5〜20重量部、さらに好ましくは1〜10重量部程度である。
隠蔽層の厚みは、例えば、3〜500μm、好ましくは5〜300μm、さらに好ましくは10〜100μm(特に15〜50μm)程度である。
透明層及び非透明層は、必要により、種々の添加剤、例えば、染料定着剤、安定化剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定化剤など)、帯電防止剤、難燃剤、滑剤、アンチブロッキング剤、充填剤、着色剤、発色剤、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤などを含有していてもよい。
透明層及び非透明層(特に隠蔽層)は、いずれも画像を形成するための層として用いることができる。両層は、それぞれ単独で用いてもよいが、組み合わせて用いてもよい。例えば、隠蔽層の上に、画像を形成するための層として、さらに透明層を形成してもよい。
なお、転写層は、インク定着性樹脂で構成されていればよく、非多孔質層又は多孔質層(有機又は無機粒子及びバインダー樹脂で構成された層、多孔質有機又は無機粒子を含む層、良溶媒と貧溶媒とを用いて高分子をミクロ相分離させる相分離法によって得られる層など)で構成してもよい。
転写層の厚みは、例えば、3〜1000μm、好ましくは5〜500μm、さらに好ましくは10〜300μm(特に15〜100μm)程度である。
[離型層]
転写シートと記録シートとは、記録シートの画像を熱転写するために両者を接触させた後に、相対的に離型可能であればよく、例えば、転写層及び記録シートの少なくとも一方又は双方の表面が離型性(特に、熱離型性)を有していてもよい。詳しくは、本発明における熱離型性とは、転写方法(画像形成方法)の種類に拘わらず、転写シートの転写層と記録シートとを接触させて加熱しても、転写層と記録シートとが接着することなく離型できる程度にまで、転写層及び記録シートの少なくとも一方の表面が離型性を有していることを意味する。転写層が離型性を有する態様としては、例えば、転写層の表面(記録シートに対する接触面)に離型層が形成されていてもよい。
離型層としては、離型性を有する限り、特に限定されず、例えば、離型性を有する樹脂成分で構成されていてもよいが、通常、バインダー樹脂と粉粒体とで構成されている。
バインダー樹脂としては、前記隠蔽層で例示されたバインダー樹脂の他、離型性を有するバインダー樹脂であってもよい。離型性を有するバインダー樹脂としては、例えば、シリコーン成分を有するバインダー樹脂(例えば、シリコーン変性アクリル系樹脂、シリコーン変性エポキシ系樹脂、シリコーン変性ウレタン系樹脂、シリコーン変性ポリエステル系樹脂など)などが挙げられる。シリコーン成分は、樹脂中に含有されていてもよいし、共重合体として組み込まれていてもよい。なお、これらの離型性を有するバインダー樹脂は、粉粒体と組み合わせることなく、単独で離型層を構成してもよい。これらのバインダー樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのバインダー樹脂のうち、離型性に優れる点から、シリコーン成分を有するバインダー樹脂、特に、シリコーン変性アクリル系樹脂が好ましい。
粉粒体には、有機粒子及び無機粒子が含まれる。有機粒子としては、種々の樹脂粒子、例えば、熱可塑性樹脂粒子や熱硬化性樹脂粒子が使用できる。熱可塑性樹脂粒子としては、例えば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性ウレタン系樹脂、ポリフェニレンオキシド系樹脂、ビニル系樹脂などの架橋又は非架橋粒子、フィッシャー−トロプシュワックス、エステルワックス、高級脂肪酸又はその塩、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミドなどのワックス粒子などが例示できる。熱硬化性樹脂粒子としては、例えば、フェノール系樹脂、シリコーン系樹脂、アミノ樹脂(尿素樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂など)、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂などの粒子などが挙げられる。これらの有機粒子は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
無機粒子としては、例えば、金属粉、ホワイトカーボン、金属珪酸塩(珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、アルミノ珪酸マグネシウムなど)、鉱物質粒子(ゼオライト、ケイソウ土、焼成珪成土、タルク、カオリン、セリサイト、ベントナイト、スメクタイト、クレーなど)、金属炭酸塩(炭酸マグネシウム、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウムなど)、金属酸化物(アルミナ、シリカ、ガラス、酸化亜鉛、二酸化チタンなど)、金属水酸化物(水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなど)、金属硫酸塩(硫酸カルシウム、硫酸バリウムなど)などが挙げられる。これらの無機粒子のうち、珪酸アルミニウムなどの金属珪酸塩、タルクなどの鉱物質粒子、ガラスやシリカなどの金属酸化物粒子などが好ましい。これらの無機粒子は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらの粉粒体のうち、離型性に優れる点から、シリカ粒子、アルミナ粒子、ガラスビーズ又はガラス粉など無機粒子、特にシリカ粒子が好ましい。
粉粒体の平均粒径は、例えば、0.1〜50μm、好ましくは0.5〜30μm、さらに好ましくは1〜10μm(特に1〜5μm)程度である。
粉粒体の割合は、バインダー樹脂100重量部に対して、例えば、1〜200重量部、好ましくは10〜150重量部、さらに好ましくは30〜100重量部程度である。
離型層は、前記粉粒体とバインダー樹脂との親和性を向上させるために、さらに架橋剤を含有していてもよい。架橋剤としては、隠蔽層の項で例示された架橋剤を使用することができる。前記架橋剤の中でも、ポリイソシアネートやシランカップリング剤などが好ましい。
架橋剤の割合は、バインダー樹脂及び粉粒体の合計100重量部に対して、例えば、1〜50重量部、好ましくは3〜30重量部、さらに好ましくは5〜20重量部程度である。
離型層の厚みは、例えば、0.1〜50μm、好ましくは0.5〜30μm、さらに好ましくは1〜20μm(特に2〜10μm)程度である。
さらに、転写シートには、必要により、転写層の表面に、帯電防止層などが形成されてもよい。
[転写シート]
本発明の転写シートにおいて、転写層が複数の層で形成される場合(例えば、接着層と受像層とで構成される場合など)には、各層を構成する樹脂成分として、異系統又は異種の樹脂が含まれていてもよいが、層間接着力の点から、少なくとも各層に同系統又は同種の樹脂が含まれているのが好ましい。特に、各層に共通する樹脂として、ウレタン系樹脂を用いると、伸度や強度などのシートの機械的特性に加え、転写シートとしての取扱い性などの点でも良好である。また、各種形状及び材質の被転写体に対して高い密着力で転写できる。
隠蔽層を備えた転写シートは、例えば、隠蔽層側から測定した白色度(L値)が88以上、好ましくは90以上、さらに好ましくは92以上であってもよい。
前記転写シートは、顔料などの隠蔽剤を多量に含有している場合であっても、柔軟性や強度などの機械的特性に優れている。転写層の破断点伸度は、例えば、30%以上(例えば、30〜200%)、好ましくは40〜200%、さらに好ましくは50〜200%程度である。すなわち、前記転写シートは、前述のような特性を有しているため、隠蔽層が形成されていても、強度や伸度などの機械的特性に優れ、例えば、加熱部材(アイロンなどの加熱摺動部材や、ヒートプレス機など)で、加圧下で熱転写しても圧着痕の発生が抑制される。
[転写シートの製造方法]
本発明の転写シートは、基材の面に、転写層を形成することにより製造できる。また、転写層が複数の層で構成されている場合は、基材の面に、各層を順次形成すればよく、例えば、基材の離型性面に、この基材に対して剥離可能な接着層を形成した後、この接着層の上に受像層を形成することにより製造できる。さらに必要に応じて、受像層の上に、さらに離型層などを形成してもよい。
具体的には、転写シートの層構造に応じて、基材の離型性面に、前記成分で構成された塗布剤を塗布することにより形成できる。バインダー樹脂や接着性樹脂は、通常、水性溶液又はエマルジョンの形態で使用できる。そのため、バインダー樹脂や接着性樹脂を含む水性溶液又はエマルジョンと、他の成分とを混合することにより、転写層用塗布剤を調製できる。水性溶液又は水性エマルジョンの溶媒は、水単独であってもよく、必要によりアルコール類などの親水性有機溶媒を含んでいてもよい。従って、各層用の塗布剤を塗布し、乾燥させた後、次の塗布剤を重ねて塗布してもよい。
塗布剤は、慣用の方法、例えば、ロールコーター、エヤナイフコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、バーコーター、コンマコーター、グラビアコーターなどにより基材の少なくとも一方の面に塗布できる。塗膜を、50〜150℃(好ましくは80〜120℃)程度の温度で乾燥させることにより形成できる。
[転写画像形成用セット]
本発明の転写画像形成用セットは、前記転写シートと、予め画像が形成された記録シートとの組み合わせで構成されている。この記録シートは、転写シートの転写層に加熱転写により画像を形成するために利用される。
記録シートは、画像を形成できるとともに、形成されたその画像を転写シートの転写層に熱転写できれば特に限定されないが、通常、前記転写シートと同様に、基材と受像層とで構成されている。基材としては、転写シートの基材の項で例示された紙類やプラスチックフィルムなどが使用でき、受像層としては、転写シートの転写層における透明層と同様の樹脂成分などが使用できる。受像層は、熱転写機構に応じて、基材から非剥離性であってもよく、剥離可能であってもよい。さらに、記録シートにも、転写シートと関連付けて剥離性を付与するため、同様の離型層が形成されていてもよい。
記録シートに対して予め画像を形成する方法としては、特に限定されないが、例えば、各種印刷方法(オフセット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷など)の他、インクジェット記録方式(ノズルからシートに向けてインク小滴を飛翔させるインクジェット方式など)、熱溶融転写方式、昇華型熱転写方式、電子写真方式(カラー複写機やカラーレーザープリンターなど)などの記録方式を用いる方法が挙げられる。記録シートに形成される画像は、昇華性画像であってもよく、熱溶融転写性画像であってもよい。昇華性画像としては、例えば、昇華型熱転写方式により、昇華性着色剤で形成された画像や、インクジェット記録方式などの記録方式により、昇華性着色剤を含む昇華性インクで形成された画像などが挙げられる。熱溶融転写性画像としては、例えば、熱溶融転写方式により、熱溶融性インク(着色剤と、樹脂やワックスなどの熱溶融性成分とで構成されたインク)で形成された画像や、電子写真方式により、トナー(着色剤と磁性粉と樹脂成分とで構成された粒子)で形成された画像などが挙げられる。
記録シートに形成された画像は、記録シートと転写シートの転写層とを接触させて加熱することにより、転写シートの転写層に転写される。記録シートに形成された画像を転写層に熱転写する方法としては、非剥離方式の熱転写方法(前記昇華性画像を昇華転写する方法や、離型処理した記録シートに形成された前記熱溶融転写性画像を熱溶融転写する方法など)であってもよく、剥離方式の熱転写方法(前記各種記録方式で画像が形成された記録シートの受像層を熱溶融転写する方法など)であってもよい。これらのうち、非剥離方式の熱転写方法(特に、前記昇華性画像を昇華転写する方法や、離型処理した記録シートに形成されたトナー画像を熱溶融転写する方法など)が好ましい。
[画像形成方法]
本発明の画像形成方法は、基材と転写層とで構成された転写シートから基材を剥離する工程と、被転写体に転写層を転写する工程とを含み、かつ被転写体に画像を形成する方法であって、予め画像が形成された記録シートを用いることにより、転写シートの転写層に画像を形成する方法である。
転写シートの転写層に画像を形成する方法としては、記録シートに予め形成された画像を、被転写体に転写する前の転写層に転写する方法であってもよく、また、記録シートに予め形成された画像を、被転写体に転写した後の転写層に転写する方法であってもよい。被転写体に転写する前の転写層に前記画像を転写する方法は、基材から剥離した後の転写層に転写する方法(例えば、基材から剥離した後の転写層と記録シートとを接触させて画像を熱転写する方法や、記録シートと基材から剥離した後の転写層と被転写体とをこの順序で接触させて、記録シートから転写層への画像の転写と、転写層の被転写体への転写とを併せて行う方法など)であってもよいが、通常、基材を剥離する前の転写層に画像を転写する方法である。基材を剥離する前の転写層に画像を転写する方法は、例えば、転写シートの転写層と記録シートとを接触させて画像を熱転写する方法であってもよい。一方、被転写体に転写した後の転写層に前記画像を転写する方法は、例えば、被転写体に転写した後の転写層と記録シートとを接触させて画像を熱転写する方法であってもよい。なお、これらの方法において、記録シートは、通常、画像が形成された面において転写層と接触する。
記録シートの画像を転写シートの転写層に熱転写する方法としては、加熱により画像を転写する方法であれば特に限定されないが、例えば、転写シートの転写層と記録シートとを接触させ、加熱部材(例えば、アイロンなどの加熱摺動部材や、ヒートプレス機など)を用いて加熱する方法を用いることができる。このような方法により、予め形成された記録シートの画像のみを、転写シートの転写層に熱転写することができる。加熱温度は、画像を形成するインクの種類に応じて選択できるが、例えば、120〜300℃、好ましくは140〜250℃、好ましくは140〜200℃程度である。加熱時間は、例えば、5秒〜1分、好ましくは10秒から1分程度である。加熱部材を用いて加熱とともに、加圧してもよく、その圧力は、例えば、500〜50,000Pa、好ましくは1000〜30,000Pa程度である。例えば、非剥離方式の転写方法において、このような方法で記録シートを加熱及び加圧すると、昇華性画像の場合は、昇華性着色剤が昇華して転写層に転写され、熱溶融性画像の場合は、記録シートに融着した熱溶融性インクやトナーが、転写層に溶融転写される。このように、本発明では、予め画像を形成した記録シートを転写層に接触させて加熱するという簡便な方法で転写するため、被転写体に転写層を転写した後であっても、被転写体の種類(例えば、その形状や材質)に拘わらず、鮮明な画像を形成できる。
転写シートの転写層を被転写体に転写する方法は、転写層を接触面として被転写体に接触させて加熱した後、基材を剥離する方法であってもよいが、転写シートから基材を剥離した後、この転写層の剥離面と被転写体とを接触させて加熱する方法が好ましい。転写層が、例えば、受像層と接着層とで構成されている場合には、前記剥離面は接着層となる。また、転写画像を含む転写体は必要により加熱して架橋させてもよい。加熱方法は、必要に応じて離型紙などを介して、転写層を加熱部材で加熱及び加圧する方法であってもよい。加熱温度は、転写層(例えば、接着層)を構成する樹脂の種類に応じて選択でき、例えば、80〜250℃、好ましくは100〜200℃、さらに好ましくは120〜180℃程度である。加熱時間は、例えば、5秒〜1分、好ましくは10秒〜1分程度である。圧力は、例えば、500〜50,000Pa、好ましくは1000〜30,000Pa程度である。
[被転写体]
本発明の転写シートは、柔軟性及び強度を併せ持つため、様々な被転写体に強固な接着力で転写することが可能である。被転写体としては、繊維、紙、木材、プラスチック、セラミックス、金属などの種々の材料で形成された二次元又は三次元構造物が利用できる。特に、本発明の転写シートは、柔軟性に優れるため、布帛(例えば、Tシャツなど)、プラスチックフィルム・シート又は紙などを被転写体として利用してもよい。さらに、隠蔽層を形成した転写シートにおいては、隠蔽性(特に白色隠蔽性)に優れるため、被転写体の色の如何に拘わらず、隠蔽層の上に鮮明な画像を形成できる。従って、前記被転写体の中でも、濃色の被転写体に好ましく用いられる。濃色の被転写体としては、被転写体固有の色が濃色の被転写体でも、濃色に染色又は着色された被転写体でもどちらでもよい。濃色には、黒色、灰色、紺色、青色などの色(例えば、明度0〜5、好ましくは0〜3程度の色)が含まれる。
本発明は、繊維、紙、木材、プラスチック、セラミックス、金属などの種々の材料で形成された二次元又は三次元構造物などの被転写体、特に濃色に着色又は染色された被転写体に転写する転写シートとして有効である。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、文中、特に断わりのない限り、「部」は重量基準である。また、実施例及び比較例で用いた転写シートと記録シートの内容、及び転写シートの各種特性の評価法は次の通りである。
[転写シートの内容]
(転写シート1)
クレイコートした後、シリコーンコートした紙(坪量90g/m2、厚み90μm)の上に、ポリエステル系ウレタン樹脂溶液A[大日精化工業(株)製、レザミンUD1305、溶剤:ジメチルホルムアミド/メチルエチルケトン=40/60(重量比)、固形分50重量%、軟化温度95℃]65重量部、及びポリエステル系ウレタン樹脂溶液B[大日精化工業(株)製、レザミンME3119LP、溶剤:ジメチルホルムアミド/メチルエチルケトン=35/65(重量比)、固形分34重量%、軟化温度135℃]35重量部を混合した接着層用塗布液を、乾燥塗布量35g/m2となる量で塗布し、接着層を有するシートを得た。接着層塗布液は、ジメチルホルムアミドを添加して、固形分を35重量%に調整した塗布液である。次に、この接着層の上に、酸化チタン含有カーボネート系ウレタン樹脂溶液C[大日精化工業(株)製、セイカセブンDNT9094ホワイト、酸化チタンの分散粒径0.2μm、ウレタン系樹脂/酸化チタン=1/9(重量比)、溶剤:イソプロパノール/トルエン=50/50(重量比)、固形分55重量%]65重量部、及びカーボネート系ウレタン樹脂溶液D[大日精化工業(株)製、レザミンNE−302HV、溶剤:イソプロパノール/トルエン=50/50(重量比)、固形分35重量%、軟化温度135℃]35重量部を混合した隠蔽層用塗布液(酸化チタン含有量58.5重量%)を、乾燥塗布量40g/m2となる量で塗布し、隠蔽層を形成した。隠蔽層塗布液は、イソプロパノール及びトルエンの混合溶媒(イソプロパノール/トルエン=50/50(重量比))を添加して、固形分を30重量%に調整した塗布液である。得られたシートを転写シート1とする。
(転写シート2)
転写シート1の隠蔽層の表面に、シリコーン変性アクリル系樹脂(昭和電工(株)製、サンフレールLS230)20重量部、ポリイソシアネート系架橋剤(住友バイエルウレタン(株)製、スミジュールN3300)3重量部、シリカ粒子(平均粒径3μm)15重量部、及び酢酸エチル25重量部を混合した塗布液を、乾燥厚みが5μmとなるように塗布し、離型層を形成した。得られたシートを転写シート2とする。
(転写シート3)
隠蔽層の代わりに、前記ポリエステル系ウレタン樹脂溶液Bで形成された透明層を用いる以外は転写シート1と同様にして、転写シート3を得た。
(転写シート4)
クレイコートした後、シリコーンコートした紙(坪量90g/m2、厚み90μm)の上に、酸化チタン含有カーボネート系ウレタン樹脂溶液E[大日精化工業(株)製、セイカセブンBS012(S)ホワイト、酸化チタンの分散粒径0.2μm、ウレタン系樹脂/酸化チタン=9/1(重量比)、溶剤:ジメチルホルムアミド、固形分55重量%]65重量部、及び前記ポリエステル系ウレタン樹脂溶液B35重量部を混合した隠蔽層用塗布液(酸化チタン含有量58.5重量%)を、乾燥塗布量40g/m2となる量で塗布し、隠蔽層を形成した。隠蔽層塗布液は、メチルエチルケトンを添加して、固形分を30重量%に調整した塗布液である。得られたシートを転写シート4とする。
(転写シート5)
隠蔽層として、酸化チタン含有エチレン酢酸ビニル樹脂分散液F[酸化チタン(石原産業(株)製、タイペークR−930)と、エチレン−酢酸ビニル樹脂(住化ケムテックス(株)製、スミカフレックスS410HQ)と固形分調整用の水とを、エチレン−酢酸ビニル樹脂/酸化チタン=4/6(重量比)との割合で、ビーズミルで60分間攪拌混合して得た分散液、固形分50重量%、酸化チタンの分散粒径0.2μm]で形成した隠蔽層を用いる以外は転写シート1と同様にして、転写シート5を得た。
(転写シート6)
転写シート1の隠蔽層の上に、ウレタン樹脂エマルジョンG[(株)ゼネカ製、NEOREZR960]乾燥厚みが5μmとなるように塗布し、透明層を形成した後、透明層の上に、転写シート2と同様に離型層を形成した。得られたシートを転写シート6とする。
[記録シートの内容]
(記録シート1)
カラーコピー機(キヤノン(株)製、商品名「PIXEL G CLC−1110」)を用いて、転写ペーパー(林化学工業(株)製、商品名「SH−80」、A4サイズ、離型処理紙)にトナーによる記録画像を形成した。得られたシートを記録シート1とする。
(記録シート2)
インクジェットプリンター(セイコーエプソン(株)製、商品名「MJ2200C」)に、インクジェットプリンター用熱昇華性インク(友貴(株)製、商品名「昇染工房インク」)を装着し、インクジェットプリンター用紙(セイコーエプソン(株)製、商品名「PM写真紙」、A4サイズ)に記録画像を形成した。得られたシートを記録シート2とする。
(記録シート3)
インクジェットプリンター(セイコーエプソン(株)製、商品名「MJ2200C」)に、非昇華性染料インク(セイコーエプソン(株)製、純正インク)を装着し、インクジェットプリンター用紙(セイコーエプソン(株)製、商品名「PM写真紙」、A4サイズ)に記録画像を形成した。得られたシートを記録シート3とする。
(記録シート4)
カラーコピー機(キヤノン(株)製、商品名「PIXEL G CLC−1110」)を用いて、CLC専用圧口用紙(キヤノン(株)製、A4サイズ)にトナーによる記録画像を形成した。得られたシートを記録シート4とする。
[転写及び画像形成方法]
転写シートから離型紙(基材)を剥がして表出した接着層と、黒色ポリエチレンテレフタレート(PET)及び綿の混合布地[黒色PET/綿=50/50(重量比)]で構成されたTシャツとを接触させた。転写層側から、両面をシリコーン処理した離型紙を介して、アイロンを用いて、温度140℃、圧力10g/cm2(980Pa)で4分間熱をかけて、転写層を布地に転写した。さらに、記録シートと、転写層とを接触させて、温度180℃、圧力10g/cm2(980Pa)で4分間熱をかけて、記録シートの画像を転写層に熱転写した。
[隠蔽性]
記録画像を転写したTシャツの転写部について、記録画像が転写されていない部分を色彩色差計(ミノルタ(株)製、CR2000)を用いて、白色度L値を測定し、下記の基準で評価した。
○:L値が92以上
△:L値が88以上92未満
×:L値が88未満。
[画像形成性]
記録シート上における画像、及び記録シートから熱転写された転写シート上における画像について、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)ベタ画像部の反射色濃度(発色濃度)を反射式マクベス色濃度計(サカタインクス(株)製、RD−1200)で測定し、各色の平均値を算出した後、記録シートの色濃度に対する転写シートの色濃度の比率を求めて、下記の基準で評価した。
○:記録シートの色濃度に対して、転写シートの色濃度が30%以上
×:記録シートの色濃度に対して、転写シートの色濃度が30%未満。
[離型性]
接触させた記録シートと転写シートとの離型性について、下記の基準で評価した。
○:転写シートを破損することなく、離型できた
×:離型すると転写シートが破損するか、又は離型できなかった。
[転写性]
転写層の布地に対する転写性を下記の基準で評価した。
○:転写層が布地と完全に密着している
△:転写層が布地に接着しているが、ところどころ未接着部分がある
×:転写層が布地と大部分で未接着である。
[風合い]
転写層を転写したTシャツについて、下記の基準で風合いを評価した。
○:柔らかく転写層が気にならない
△:ややごわごわする
×:硬く転写層が気になる。
[破断点伸度]
転写シートを15mm幅×15cmに切り出し、転写層を離型紙(基材)から剥がして、引張試験機(オリエンテック(株)製、テンシロンRTM−100)を用いて、チャック間距離10cmで前記転写層を取り付け、引張速度300mm/分で試験を行い、下記の基準で評価した。
○:100%以上
△:30%以上100%未満
×:30%未満。
[耐洗濯性1]
記録画像を転写したTシャツについて、家庭用洗濯機(三洋電機(株)製)を用いて、温度40℃の温水に市販の洗剤を1g/リットルの濃度で添加し、洗い15分、濯ぎ20分、脱水5分のサイクルを5サイクル行った。色濃度は、反射式マクベス濃度計(サカタインクス(株)製、RD−1200)を用いて、洗濯前後で各色有色部で10箇所を測定した。そして、その平均色濃度をそれぞれ洗濯前色濃度、洗濯後色濃度として、下記式により色濃度保持率を算出して、下記基準で洗濯の色落ち度合いを評価した。
色濃度保持率=(洗濯後色濃度/洗濯前色濃度)×100 (%)
(評価基準)
○:色濃度保持率が90%以上
△:色濃度保持率が80%以上90%未満
×:転写層の剥離が多く測定不能。
[耐洗濯性2]
耐洗濯性1と同様に洗濯した後、転写層を目視で観察し、下記の基準で洗濯耐久性を評価した。
○:転写層に割れや剥離がない
△:転写層に割れや剥離が若干ある
×:転写層に割れや剥離が多数ある。
実施例1〜5及び比較例1〜5
表1に示す転写シート及び記録シートを用いて、黒色Tシャツに記録画像を形成した。転写シートの特性を評価した結果を表1に示す。
Figure 2005320456
表1の結果から明らかなように、実施例1〜5の転写シートは、各種特性のバランスが優れている。これに対して、比較例1の転写シートは、加熱転写後に記録シートと転写シートとが貼着して離型性が低い。また、記録シートの画像が、非昇華性インクで形成されているため、転写層に画像が転写されない。比較例2の転写シートでは、離型性はあるものの、比較例1のシートと同様に、転写層に画像が転写されない。比較例3の転写シートでは、記録シートからインクは転写されるものの、転写層が画像を受像できない。比較例4の転写シートも、転写層に画像が転写されない。比較例5の転写シートでは、接着層がないため、Tシャツに転写できない。

Claims (14)

  1. 基材と、この基材に対して剥離可能な転写層とで構成され、かつ前記転写層の破断点伸度が30%以上であるシートであって、前記転写層に、予め画像が形成された記録シートの転写により画像を形成可能である転写シート。
  2. 転写層が、基材の面に形成され、かつこの基材から剥離可能な接着層と、この接着層の上に形成され、かつ予め画像が形成された記録シートの転写により画像を形成可能な受像層とで構成されている請求項1記載の転写シート。
  3. 受像層が、透明層及び非透明層から選択された少なくとも一種で構成されている請求項2記載の転写シート。
  4. 受像層が、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂及びウレタン系樹脂から選択された少なくとも一種の軟質樹脂で構成されている請求項2記載の転写シート。
  5. 受像層が、架橋性基を有していてもよいバインダー樹脂及び隠蔽剤で構成された隠蔽層で形成されている請求項2記載の転写シート。
  6. 受像層が、平均粒径3μm以下の酸化チタン及び架橋性基を有していてもよいウレタン系樹脂で構成された隠蔽層で形成され、かつ隠蔽剤とバインダー樹脂との割合(重量比)が、前者/後者=30/70〜90/10である請求項2記載の転写シート。
  7. 転写層の破断点伸度が30〜200%であり、隠蔽層側から測定した白色度(L値)が88以上である請求項5記載の転写シート。
  8. 接着層が、ウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂及びオレフィン系樹脂から選択された少なくとも一種のホットメルト接着性樹脂で構成されている請求項2記載の転写シート。
  9. 接着層及び受像層の各層に、少なくともウレタン系樹脂が含まれている請求項2記載の転写シート。
  10. 記録シートに対して転写層の表面が離型性を有している請求項1記載の転写シート。
  11. 記録シートが、昇華性又は熱溶融転写性の画像が形成された記録シートである請求項1記載の転写用シート。
  12. 請求項1記載の転写シートと、予め画像が形成された記録シートとで構成された転写画像形成用セット。
  13. 基材と転写層とで構成された転写シートから基材を剥離する工程と、被転写体に転写層を転写する工程とを含み、かつ被転写体に画像を形成する方法であって、記録シートに予め形成された画像を、被転写体に転写する前の転写層に転写する方法。
  14. 基材と転写層とで構成された転写シートから基材を剥離する工程と、被転写体に転写層を転写する工程とを含み、かつ被転写体に画像を形成する方法であって、記録シートに予め形成された画像を、被転写体に転写した後の転写層に転写する方法。
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