JP2005199480A - 転写シート - Google Patents

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克彦 隅田
Shuji Nakamura
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Abstract

【課題】 濃色又は低い明度の被転写体に対して鮮明に記録画像を形成できるインクジェット用転写シート及び記録画像の形成方法を提供する。
【解決手段】 転写シートを、基材と、この基材に対して剥離可能な接着層と、この接着層の上に形成された隠蔽層と、この隠蔽層の上に形成され形成された受像層とで構成する。前記隠蔽層は、隠蔽剤及びイソシアネート基を有していてもよいウレタン系樹脂で構成されていてもよい。隠蔽剤とバインダー樹脂との割合(重量比)が、前者/後者=30/70〜90/10であり、受像層側から測定した白色度(L値)が88以上であってもよい。前記シートは隠蔽層と受像層との間に、アンカー層が形成されていてもよい。前記シートは、着色した被転写体への転写による画像形成に用いてもよい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、インクジェットプリンターで記録画像を形成した後、衣類などの被転写体(特に濃色の被転写体)にその記録画像を転写して転写画像を形成するためのインクジェットプリンター用転写シートに関する。
インクジェット記録方式は、フルカラー化が容易であり、低騒音で印字品質に優れているため、転写シートの画像記録においても用いられている。インクジェット記録には、安全性、記録適性の点から主に水系インクが使用され、ノズルからシートにむけてインク小滴を飛翔させることにより記録が行われる。このため、転写シートには、高いインク吸収性及びインク定着性が要求される。また、転写シートは、衣類などの被転写体に記録画像を熱転写して転写画像を形成するため、熱転写性及び接着性と共に、高い耐水性及び耐洗濯性が要求される。さらに、被転写体の種類によらず鮮明な画像が形成できる必要があり、例えば、濃色の被転写体であっても鮮明な画像が形成できることが要求される。
例えば、特開2001−232936号公報(特許文献1)には、基材と、この基材に対して剥離可能であり、かつホットメルト接着性粒子を含む転写層とで構成されるシートであって、前記ホットメルト接着性粒子が、吸油量50ml/100g以上で、かつ多孔質の第1のホットメルト接着性粒子を含むインクジェットプリンター用転写シートが開示されている。しかし、このシートでは、着色した被転写体(特に、青色、黒色等の濃色又は低明度の被転写体)に記録画像を形成すると、記録画像が不鮮明となる。
特開2002−248875号公報(特許文献2)には、正画像型転写シートとして、基材と、この基材に対して剥離可能な転写層とで構成されたシートであって、転写層が、少なくともホットメルト接着性樹脂を含む接着層と、この接着層の上に形成され、かつバインダー樹脂及び染料定着剤を含む受像層とで構成されており、接着層及び受像層のうち少なくとも一方の層に白色隠蔽剤が含まれている転写シートが開示されている。しかし、このシートでも、濃色の被転写体に対する隠蔽性が充分でなく、記録画像の鮮明性は低い。そして、このシートでは、画像鮮明性を向上させるために白色隠蔽剤の割合を多くすると、機械的強度や接着力が低下する。さらに、このシートは耐洗濯性や画像鮮明性も低い。
特開2001−232936号公報(請求項1) 特開2002−248875号公報(請求項14、段落番号[0079][0088])
従って、本発明の目的は、濃色又は低い明度の被転写体に対して鮮明に記録画像を形成できる転写シート及び記録画像の形成方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、濃色の被転写体に対しても鮮明な記録画像が形成できると共に、強度や伸度などの機械的特性及び層間接着力の高い転写シート及び記録画像の形成方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、耐水性及び耐洗濯性に優れると共に、転写シートとしての取扱い性、熱転写された被転写体の風合いにも優れる転写シート及び記録画像の形成方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、転写シートの転写層を、少なくとも接着層と隠蔽層と受像層とを含む特定の層構造にすると、濃色の被転写体であっても被転写体の色を高度に隠蔽でき、鮮明に記録画像を形成できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の転写シートは、基材と、この基材に対して剥離可能な接着層と、この接着層の上に形成された隠蔽層と、この隠蔽層の上に形成された受像層とで構成されている。前記接着層は、軟化点70〜180℃のウレタン系樹脂及び融点70〜120℃のオレフィン系樹脂から選択された少なくとも一種のホットメルト接着性樹脂で構成されていてもよい。前記隠蔽層は、隠蔽剤及びイソシアネート基を有していてもよいウレタン系樹脂で構成されていてもよい。前記隠蔽層において、隠蔽剤が白色顔料などであるともに、隠蔽剤とバインダー樹脂との割合(重量比)が、前者/後者=30/70〜90/10であり、受像層側から測定した白色度(L値)が88以上であってもよい。前記受像層は、インクジェット記録方式で画像を形成可能であってもよい。前記受像層は、少なくとも有機又は無機粒子及びバインダー樹脂で構成されていてもよい。前記受像層は、さらに、染料定着剤(特に脂肪族染料定着剤)が含まれていてもよい。前記シートは、接着層、隠蔽層及び受像層の各層に、少なくとも同系統の樹脂が含まれていてもよい。前記シートは隠蔽層と受像層との間に、アンカー層が形成されていてもよい。このアンカー層はカチオン性樹脂で構成されていてもよい。前記シートは、層間接着性や機械的特性などの点から、接着層がウレタン系樹脂で構成され、隠蔽層がイソシアネート基を有してもよいウレタン系樹脂及び酸化チタンで構成され、受像層が多孔質樹脂粒子、ウレタン系樹脂及び脂肪族染料定着剤で構成され、アンカー層がカチオン性ウレタン系樹脂で構成されていてもよい。前記シートは、着色した被転写体への転写による画像形成に用いられてもよい。
本発明には、基材の離型性面に、この基材に対して剥離可能な接着層を形成した後、この接着層の上に隠蔽層を形成し、さらに、この隠蔽層の上にインクジェット記録方式で画像を形成するための受像層を形成する転写シートの製造方法も含まれる。
さらに、本発明には、前記転写シートの受像層にインクジェット記録方式で画像を記録し、基材を接着層から剥離し、接着層と着色した被転写体とを接触させて加熱して被転写体に転写し、記録画像を形成する方法も含まれる。
本発明では、特定の層構造を有する転写シートを用いることにより、濃色又は低い明度の被転写体に対して鮮明に記録画像を形成できる。また、前記転写シートは、濃色の被転写体に対しても鮮明な記録画像が形成できると共に、強度や伸度などの機械的特性及び層間接着力も高い。さらに、前記転写シートは、耐水性及び耐洗濯性に優れると共に、転写シートとしての取扱い性や、熱転写された被転写体の風合いにも優れる。
本発明の転写シートは、基材と、この基材に対して剥離可能な接着層と、この接着層の上に形成された隠蔽層と、この隠蔽層の上に形成された受像層とで構成されている。この転写シートには、隠蔽層と受像層との接着性を向上させるために、前記隠蔽層と前記受像層との間に、さらに、アンカー層が形成されていてもよい。
[基材]
基材としては、接着層に対して剥離可能である限り、不透明、半透明や透明な基材が使用できる。基材としては、通常、離型性基材、例えば、離型処理紙(離型紙)、離型処理していてもよい合成紙、化学繊維紙、プラスチックフィルムなどが挙げられる。
離型処理紙(離型紙)を構成する紙類としては、例えば、紙(印刷用紙、包装用紙、薄葉紙など)が挙げられる。紙類は、ポリプロピレン、ポリスチレンなどによるラミネート加工や表面塗工などの各種加工が施されていてもよい。
合成紙としては、ポリプロピレン、ポリスチレンなどを用いた各種合成紙などが挙げられる。
化学繊維紙としては、ポリアミド繊維、アクリル繊維、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維などの化学繊維を原料とした各種化学繊維紙が挙げられる。
プラスチックフィルムを構成するポリマーとしては、種々の樹脂(熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂)が使用でき、通常、熱可塑性樹脂が使用される。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレンなどのポリC2-4オレフィン系樹脂など)、セルロース誘導体(酢酸セルロースなどのセルロースエステルなど)、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリアルキレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレートなどのポリアルキレンナフタレート、又はこれらのコポリエステルなど)、ポリアミド系樹脂(ポリアミド6、ポリアミド6/6など)、ビニルアルコール系樹脂(ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体など)などが挙げられる。これらのフィルムのうち、通常、オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂などが使用され、特に、機械的強度、耐熱性、作業性などの点からポリエステル(特にポリエチレンテレフタレートなど)が好ましい。
基材の厚みは、用途に応じて選択でき、通常、10〜250μm、好ましくは15〜200μm、さらに好ましくは20〜150μm程度である。
離型性は、慣用の方法、例えば、離型剤(ワックス、高級脂肪酸塩、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、シリコーンオイルなど)で基材を処理したり、基材に含有させることにより付与できる。紙の場合は、例えば、目止め処理(例えば、クレイコートなど)をした後、離型剤(例えば、シリコーンオイルなど)で被覆することにより離型性を付与できる。プラスチックフィルムには、必要に応じて、安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤など)、滑剤、結晶核剤、充填剤、顔料などの慣用の添加剤を添加してもよい。
[接着層]
接着層は、基材に対して剥離可能であり、少なくともホットメルト接着性樹脂で構成されている。
ホットメルト接着性樹脂としては、熱接着性を有する樹脂である限り、特に制限されず、例えば、ウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂などが例示できる。
(1)ウレタン系樹脂
熱接着性のウレタン系樹脂としては、例えば、ジイソシアネート成分と、ジオール成分との反応により得られる熱可塑性ウレタン系樹脂や熱可塑性エラストマーが例示できる。ウレタン系樹脂は、必要によりジアミン成分を鎖伸長剤や架橋剤として使用してもよい。
ジイソシアネート成分としては、芳香族ジイソシアネート(例えば、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、トルイジンジイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネートなど)、芳香脂肪族ジイソシアネート(例えば、キシリレンジイソシアネートなど)、脂環式ジイソシアネート(例えば、イソホロンジイソシアネートなど)、脂肪族ジイソシアネート(例えば、プロピレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなど)などが例示できる。ジイソシアネート成分は、アダクト体であってもよく、必要によりトリフェニルメタントリイソシアネートなどのポリイソシアネート成分と併用してもよい。ジイソシアネート成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
ジオール成分としては、例えば、脂肪族ジオール(例えば、エチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコールなどのC2-10アルカンジオールなど)、脂環式ジオール(例えば、水添ビスフェノールA、水添キシリレングリコール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールなど)、芳香族ジオール(例えば、ビスフェノールA、カテコール、レゾルシン、ハイドロキノン、キシリレングリコールなど)などの低分子量ジオールの他、ポリエーテルジオール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどのポリオキシC2-4アルキレングリコールなど)、ポリエステルジオール、ポリカーボネートジオール(例えば、前記低分子量ジオールとジアルキルカーボネートとの反応生成物など)などが例示できる。ジオール成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらのジオール成分のうち、ポリエステルジオールが好ましい。ポリエステルジオールは、ジオールとジカルボン酸又はその反応性誘導体(低級アルキルエステル、酸無水物)との反応に限らず、ラクトンから誘導してもよい。
ジオールには、例えば、前記脂肪族ジオール、脂環式ジオール、芳香族ジオール、ポリエーテルジオールなどが含まれる。これらのジオールは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。ジオールは、必要により、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどのポリオールと併用してもよい。これらのジオールのうち、通常、脂肪族ジオールが使用される。
ジカルボン酸には、例えば、脂肪族ジカルボン酸(例えば、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸などのC4-14脂肪族ジカルボン酸など)、脂環族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸(例えば、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸など)などが含まれる。これらのジカルボン酸は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。ジカルボン酸は、必要により、トリメリット酸などの多価カルボン酸と併用してもよい。
ラクトンには、例えば、ブチロラクトン、バレロラクトン、カプロラクトン、ラウロラクトンなどが含まれる。これらのラクトンは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらのウレタン系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらのウレタン系樹脂のうち、接着性や柔軟性などの点から、少なくともポリエステルジオールをジオール成分として用いたポリエステル型ウレタン系樹脂、特に脂肪族ポリエステルジオールを50重量%以上(例えば、75重量%以上)含むジオール成分を用いて得られたポリエステル型ウレタン系樹脂(例えば、1,4−ブタンジオールなどのC2-6アルカンジオールと、アジピン酸などのC4-12脂肪族ジカルボン酸、及びイソフタル酸又はフタル酸との反応により得られるポリエステルジオールや前記ラクトンから誘導されるポリエステルジオールを用い、イソホロンジイソシアネートなどのジイソシアネートと反応させたウレタン樹脂など)が好ましい。また、必要によりジアミン成分を鎖伸長剤として使用して、ウレタン系樹脂を熱可塑性エラストマーとしてもよい。熱可塑性ウレタン系エラストマーとしては、例えば、脂肪族ポリエーテルやポリエステルをソフトセグメントとし、短鎖グリコールのポリウレタン単位をハードセグメントとするエラストマーなどが例示できる。
ウレタン系樹脂は、有機溶媒溶液、水溶液、水性エマルジョンとして用いてもよい。ウレタン系樹脂の水溶液又は水性エマルジョンは、ウレタン系樹脂を、乳化剤を用いて、溶解又は乳化分散させて調製してもよく、ウレタン系樹脂の分子内に遊離のカルボキシル基や3級アミノ基などのイオン性官能基を導入し、アルカリや酸を用いて、ウレタン系樹脂を溶解又は分散させることにより調製してもよい。このような分子内に遊離のカルボキシル基や3級アミノ基が導入されたウレタン系樹脂は、ジイソシアネート成分と、遊離のカルボキシル基又は3級アミノ基を有するジオール(特に高分子ジオール)成分との反応により得られるウレタン系樹脂で構成される。なお、前記遊離のカルボキシル基を有するジオール(特に高分子ジオール)は、例えば、ジオール成分と、3以上のカルボキシル基を有する多価カルボン酸又はその無水物(例えば、無水ピロメリット酸などの4塩基酸無水物など)や、スルホン酸基を有する多価カルボン酸(スルホイソフタル酸など)との反応、開始剤としてジメチロールプロピオン酸などを用い、ラクトンを開環重合する方法などにより得られる。
(2)ポリアミド系樹脂
熱接着性のポリアミド系樹脂としては、ポリアミド6、ポリアミド46、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド11、ポリアミド12、ダイマー酸とジアミンとの反応により生成するポリアミド樹脂、ポリアミド系エラストマー(例えば、ポリオキシアルキレンジアミンをソフトセグメントとして用いたポリアミドなど)などが挙げられる。これらのポリアミド系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、好ましいポリアミド系樹脂には、ポリアミド11を構成する単位及びポリアミド12を構成する単位から選択された少なくとも一方の単位を有するポリアミド(例えば、ポリアミド11、ポリアミド12などのホモポリアミド、ポリアミド6/11、ポリアミド6/12、ポリアミド66/12、ダイマー酸とジアミンとラウロラクタム又はアミノウンデカン酸との共重合体などのコポリアミド)、ダイマー酸とジアミンとの反応により生成するポリアミド樹脂などが含まれる。
(3)オレフィン系樹脂
熱接着性のオレフィン系樹脂としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどのα−オレフィン(特に、α−C2-10オレフィン)の単独又は共重合体、オレフィン系エラストマーが例示できる。
α−オレフィンの単独又は共重合体としては、例えば、ポリオレフィン(低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンなどのポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、アタクチックポリプロピレンなど)、変性ポリオレフィン[エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−(4−メチルペンテン−1)共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体又はそのアイオノマー、エチレン−アクリル酸エチル共重合体などのエチレン−(メタ)アクリレート共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−1共重合体、無水マレイン酸グラフトポリプロピレンなど]などが挙げられる。オレフィン系エラストマーとしては、ポリエチレンやポリプロピレンをハードセグメントとし、エチレン−プロピレンゴム(EPR)やエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)をソフトセグメントとするエラストマーなどが挙げられる。
これらのオレフィン系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのオレフィン系樹脂のうち、熱接着性の点から、変性ポリオレフィン、特に変性エチレン系樹脂(例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体などのエチレン共重合体など)が好ましい。
(4)ポリエステル系樹脂
熱接着性のポリエステル系樹脂としては、少なくとも脂肪族ジオール又は脂肪族ジカルボン酸を用いたホモポリエステル樹脂又はコポリエステル樹脂、ポリエステル系エラストマーが例示できる。
前記ホモポリエステル樹脂には、例えば、脂肪族ジオール(前記ウレタン系樹脂の項で述べたC2-10アルカンジオール、ポリオキシC2-4アルキレングリコール)と、脂肪族ジカルボン酸(前記C4-14脂肪族ジカルボン酸など)と、必要によりラクトンとの反応により生成する飽和脂肪族ポリエステル樹脂が含まれる。
前記コポリエステル樹脂には、ポリエチレンテレフタレート又はポリブチレンテレフタレートの構成成分(ジオール及び/又はテレフタル酸)の一部を他のジオール(エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールなどのC2-6アルキレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどのポリオキシアルキレングリコール、シクロヘキサンジメタノールなど)又はジカルボン酸(前記脂肪族ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸などの非対称型芳香族ジカルボン酸など)若しくはラクトン(ブチロラクトン、バレロラクトン、カプロラクトン、ラウロラクトンなど)で置換した飽和ポリエステル樹脂が含まれる。
ポリエステル系エラストマーとしては、C2-4アルキレンアリレート(エチレンテレフタレート、ブチレンテレフタレートなど)をハードセグメントとし、(ポリ)オキシアルキレングリコールなどをソフトセグメントとするエラストマーなどが例示できる。
ポリエステル系樹脂としては、ウレタン結合を含むポリエステル樹脂、例えば、ポリエステル樹脂を前記ジイソシアネートで高分子量化した樹脂を使用してもよい。
これらのポリエステル系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらのホットメルト接着性樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。ホットメルト接着性樹脂は、通常、水不溶性である。ホットメルト接着性樹脂は、末端に反応性基(カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、イソシアネート基、シリル基など)を有する反応性ホットメルト接着性樹脂であってもよい。
これらのホットメルト接着性樹脂の軟化点は、例えば、70〜180℃、好ましくは80〜170℃、さらに好ましくは90〜160℃(特に90〜150℃)程度である。特に、被転写体や隠蔽層に対する充分な接着力を示すとともに、布帛などの被転写体への染み込みが抑制される点から、異なる軟化点を有する複数の樹脂を組み合わせるのが好ましく、例えば、軟化点70〜120℃(例えば、80〜110℃)程度の樹脂と、軟化点120℃を超えて180℃以下(例えば、130〜160℃)の樹脂とを組み合わせてもよい。
ホットメルト接着性樹脂の融点は、50〜250℃程度の範囲から選択でき、例えば、60〜200℃、好ましくは70〜150℃、さらに好ましくは70〜130℃(特に80〜120℃)程度であってもよい。
これらのホットメルト接着性樹脂のうち、ウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂が好ましく、被転写体が衣類などの布帛である場合、層間接着性などの接着性、柔軟性、及び風合いの点から、ウレタン系樹脂(例えば、軟化点70〜180℃のウレタン系樹脂など)、オレフィン系樹脂[例えば、融点70〜120℃のオレフィン系樹脂(特にエチレン共重合体)など]、特にウレタン系樹脂(例えば、軟化点70〜180℃のポリエステル型ウレタン系樹脂など)が特に好ましい。特に、70〜180℃のウレタン系樹脂及び/又は融点70〜120℃のエチレン系樹脂を、接着層を構成する樹脂成分中50重量%以上、好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上含有するのが好ましい。
接着層は、必要により種々の添加剤、例えば、安定化剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定化剤など)、帯電防止剤、難燃剤、滑剤、アンチブロッキング剤、充填剤、着色剤、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤などを含有していてもよい。
接着層の厚みは、例えば、5〜100μm、好ましくは10〜80μm、さらに好ましくは20〜70μm(特に20〜60μm)程度である。塗布量(乾燥量)は、5〜100g/m2、好ましくは10〜70g/m2、好ましくは20〜50g/m2程度である。
[隠蔽層]
隠蔽層(例えば、白色隠蔽層)は、隠蔽剤及び架橋性基を有していてもよいバインダー樹脂で構成されている。隠蔽層は、さらに架橋剤を含有してもよい。
(隠蔽剤)
隠蔽剤(又は隠蔽性向上剤)は、被転写体を、白色化などにより隠蔽可能であればよく、白色顔料、加熱膨張により白色化可能なマイクロカプセルなどの白色隠蔽剤などが例示できる。これらの隠蔽剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
前記白色顔料は、白色顔料単独で構成された顔料に限定されず、白色顔料を含む樹脂粒子(例えば、バインダー樹脂で被覆された粒子や、バインダー樹脂粒子中に複数の白色顔料が分散した粒子など)で構成してもよい。
白色顔料としては、チタン系白色顔料[酸化チタン(チタン白)など]、亜鉛系白色顔料(酸化亜鉛、硫化亜鉛など)、複合白色顔料(リトポンなど)、体質顔料[ケイ酸マグネシウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミニウム系体質顔料(アルミナ、水酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウムなど)、シリカ、マイカ、ベントナイトなど]などが例示できる。これらの白色顔料のうち、チタン系白色顔料、特に酸化チタンが好ましい。
酸化チタンの結晶型は、アナターゼ型であってもよいが、屈折率が大きくて隠蔽力に優れる点から、ルチル型が好ましい。
白色顔料の平均粒径は3μm以下が好ましく、例えば、0.01〜3μm、好ましくは0.05〜2μm(例えば、0.05〜1μm)、さらに好ましくは0.1〜1μm(例えば、0.1〜0.5μm)程度である。白色顔料の平均粒径が小さすぎると白色隠蔽力が充分でなく、大きすぎると風合いや接着性が損なわれる。
マイクロカプセルは、芯物質として熱転写における加熱によって気化する低沸点の溶媒を含有しており、芯物質である溶媒の沸点は200℃以下、好ましくは50〜180℃、さらに好ましくは50〜150℃程度である。このような溶媒としては、例えば、脂肪族炭化水素(ペンタン、ヘキサンなど)、脂環族炭化水素(シクロヘキサンなど)、芳香族炭化水素(トルエン、キシレンなど)、エーテル(1,4−ジオキサン、テトラヒドロフランなど)、エステル(酢酸メチル、酢酸エチルなど)、ケトン(アセトン、メチルエチルケトンなど)、アルコール(メタノール、エタノール、イソプロパノールなど)、特に炭化水素系溶媒(例えば、ヘキサンなど)が好ましい。
マイクロカプセルを構成する壁材としては、ガスバリア性が高く、熱転写における加熱によって軟化する熱可塑性樹脂、例えば、塩化ビニリデン系重合体[例えば、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニリデン−(メタ)アクリル酸共重合体、塩化ビニリデン−(メタ)アクリレート共重合体、塩化ビニリデン−酢酸ビニル共重合体など]、ポリアクリロニトリル系重合体、ビニルアルコール系重合体(例えば、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体など)、ポリアミド系樹脂(例えば、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド11、ポリアミド12など)などが例示できる。
マイクロカプセルの平均粒径は50μm以下が好ましく、例えば、0.1〜50μm、好ましくは0.5〜20μm、さらに好ましくは1〜10μm程度である。
150℃で1分間加熱したとき、マイクロカプセルの体積は、3倍以上(例えば、5〜1000倍、好ましくは10〜100倍、さらに好ましくは10〜50倍程度)膨張するのが好ましい。
これらの隠蔽剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの隠蔽剤のうち、酸化チタンなどの白色顔料が好ましい。
なお、本発明では、隠蔽層の機械的強度の点から、酸化チタンなどの隠蔽剤が、隠蔽層中で充分に分散しているのが好ましい。すなわち、隠蔽剤は、凝集せずに一次粒子の状態で分散しているのが好ましい。また、凝集している場合でも、分散粒子の粒径(二次粒径)は小さいのが好ましく、例えば、二次粒径10μm以下(例えば、0.1〜10μm)、好ましくは0.1〜7μm、さらに好ましくは0.1〜5μm程度である。隠蔽剤を充分に分散させる方法としては、特に限定されないが、慣用の方法、例えば、ディスパー、ホモミキサー、ビーズミル、ボールミル、ロールミル、コロイドミル、サンドミル、アトライター、ペイントコンディショナーなどの分散機を用いた方法などが挙げられる。
さらに、隠蔽剤の分散性を向上させるために、隠蔽剤(特に白色顔料)を予め樹脂(例えば、バインダー樹脂と同系統の架橋性基を有してもよい樹脂など)又は樹脂溶液中に分散させて用いてもよい。予め分散させる隠蔽剤と樹脂との割合(重量比)は、例えば、50/50〜99/1、好ましくは60/40〜97/3、さらに好ましくは70/30〜95/5程度である。
(バインダー樹脂)
バインダー樹脂としては、接着力及び成膜性を有する限り、特に制限されず、種々の熱可塑性樹脂(例えば、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、スチレン系樹脂、オレフィン系樹脂、セルロース誘導体、ポリカーボネート系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、熱可塑性ウレタン系樹脂など)、熱硬化性樹脂などが使用できる。これらのバインダー樹脂は、架橋性基(イソシアネート基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、メチロール基、アルコキシシリル基など)を有していてもよい。これらのバインダー樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらのバインダー樹脂のうち、接着力(隠蔽剤の接着力や層間接着力)や柔軟性の点から、ウレタン系樹脂が好ましい。ウレタン系樹脂としては、前記接着層の項で例示されたウレタン系樹脂が使用できる。ウレタン系樹脂の中でも、ポリエステル型ウレタン系樹脂や、ポリカーボネート型ウレタン系樹脂(例えば、無黄変性の脂肪族ポリカーボネート型ウレタン系樹脂など)、特に、脂肪族ポリエステルジオールを50重量%以上含むジオール成分を用いて得られたポリエステル型ウレタン系樹脂が好ましい。ウレタン系樹脂は、イソシアネート基などの架橋性基を有するウレタン系樹脂であってもよい。
隠蔽剤とバインダー樹脂との割合(重量比)は、例えば、前者/後者=30/70〜90/10、好ましくは35/65〜80/20、さらに好ましくは40/60〜75/25(特に45/55〜70/30)程度である。本発明では、各種特性を低下させることなく、隠蔽剤の割合を高めることができるため、隠蔽性(特に白色隠蔽性)を向上でき、濃色の被転写体であっても鮮明に画像を形成できる。
(架橋剤)
架橋剤は、バインダー樹脂の種類に応じて適宜選択することができ、バインダー樹脂の官能基に対して2以上の反応性官能基を有する化合物(例えば、前記架橋性基を有する多官能性化合物や多価金属イオンなど)であってもよい。バインダー樹脂がウレタン系樹脂である場合には、架橋剤として、ポリイソシアネート(例えば、前記接着層の項で例示されたジイソシアネート成分やポリイソシアネート成分など)を用いるのが好ましい。架橋剤を用いることにより、アンカー層を形成しない場合であっても、充分な層間の接着力(例えば、隠蔽層と受像層との接着力など)を発揮することができる。
架橋剤の割合は、バインダー樹脂100重量部に対して、例えば、0.1〜30重量部、好ましくは0.5〜20重量部、さらに好ましくは1〜10重量部程度である。
隠蔽層は、必要により種々の添加剤、例えば、安定化剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定化剤など)、帯電防止剤、難燃剤、滑剤、アンチブロッキング剤、充填剤、着色剤、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤などを含有していてもよい。
隠蔽層の厚みは、例えば、3〜60μm、好ましくは5〜50μm、さらに好ましくは10〜40μm(特に15〜35μm)程度である。塗布量(乾燥量)は、5〜70g/m2、好ましくは10〜60g/m2、好ましくは20〜50g/m2程度である。
[受像層]
受像層は、少なくとも有機又は無機粒子及びバインダー樹脂で構成されているのが好ましい。受像層は、インク定着性を向上させるために、さらに染料定着剤を含有してもよい。このような受像層は、インクジェット記録方式で画像を形成するのに適している。
(有機又は無機粒子)
有機粒子としては、種々の樹脂粒子、例えば、熱可塑性樹脂粒子や熱硬化性樹脂粒子が使用できる。熱可塑性樹脂粒子としては、例えば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性ウレタン系樹脂、ポリフェニレンオキシド系樹脂、ビニル系樹脂などの架橋又は非架橋粒子などが例示できる。熱硬化性樹脂粒子としては、例えば、フェノール系樹脂、シリコーン系樹脂、アミノ樹脂(尿素樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂など)、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂などの粒子などが挙げられる。これらの有機粒子は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの有機粒子は、インク吸収性の点から、多孔質有機粒子であってもよい。
無機粒子としては、例えば、金属粉、金属珪酸塩(珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、アルミノ珪酸マグネシウムなど)、鉱物質粒子(ゼオライト、ケイソウ土、焼成珪成土、タルク、カオリン、セリサイト、ベントナイト、スメクタイト、クレーなど)、金属炭酸塩(炭酸マグネシウム、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウムなど)、金属酸化物(アルミナ、シリカ、酸化亜鉛など)、金属水酸化物(水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなど)、金属硫酸塩(硫酸カルシウム、硫酸バリウムなど)などが挙げられる。これらの無機粒子は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの無機粒子のうち、インク吸収性の点から、多孔質無機粒子(例えば、ゼオライト、アルミナなど)が好ましい。
有機又は無機粒子の平均粒径は、例えば、0.2〜150μm、好ましくは1〜130μm、さらに好ましくは3〜120μm程度である。
これらの有機又は無機粒子のうち、シートの機械的特性や転写後の被転写体の風合いなどの点から、有機粒子が好ましく、耐水性や耐洗濯性と、画像鮮明性とを両立できる点から、前記接着性樹脂の項で例示のホットメルト接着性樹脂(ウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂など)で構成された粒子が特に好ましい。
これらのホットメルト接着性樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのホットメルト接着性樹脂のうち、ウレタン系樹脂粒子及び/又はポリアミド系樹脂粒子、特にウレタン系樹脂粒子とポリアミド系樹脂粒子との組み合わせが好ましい。ウレタン系樹脂粒子とポリアミド系樹脂粒子とを組み合わせることにより、受像層からの粒子の剥離が抑制されると共に、伸度や耐擦傷性などの機械的特性や耐洗濯性なども向上する。
(ウレタン系樹脂粒子)
ウレタン系樹脂粒子としては、前記接着層の項で例示のウレタン系樹脂で構成された粒子などが使用できる。これらの粒子は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。前記ウレタン系樹脂は、多価アミン類などの架橋剤又は鎖伸長剤で架橋又は変性されていてもよい。多価アミン類としては、例えば、ヒドラジン、脂肪族ジアミン(例えば、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミンなど)、芳香族アミン(例えば、フェニレンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミンなど)、脂環族ジアミン[例えば、水添キシリレンジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、イソホロンジアミンなど]などが挙げられる。これらの多価アミン類は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
ウレタン系樹脂粒子の平均粒径は、例えば、1〜150μm、好ましくは10〜100μm、さらに好ましくは30〜80μm程度である。
(ポリアミド系樹脂粒子)
ポリアミド系樹脂粒子としては、前記接着層の項で例示されたポリアミド系樹脂で構成された粒子などが使用できる。これらの粒子は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。特に、ポリアミド系樹脂粒子としては、融点が異なる複数種のポリアミド系樹脂粒子を組み合わせてもよく、例えば、受像層の加熱温度を超える融点を有するポリアミド系樹脂粒子(A)と、前記加熱温度以下の融点を有するポリアミド系樹脂粒子(B)との組み合わせが好ましい。受像層の加熱温度は、通常、基材上に塗布した受像層を乾燥し、成膜するための温度(例えば、70〜90℃程度)である。
(A)ポリアミド系樹脂粒子
ポリアミド系樹脂粒子(A)の融点は、前記加熱温度(例えば、80℃程度)を超えればよく、例えば、85〜200℃、好ましくは90〜170℃、さらに好ましくは90〜150℃(特に100〜150℃)程度である。また、ポリアミド系樹脂粒子(A)は、吸油量50ml/100g以上のポリアミド系樹脂粒子(A1)と、吸油量50ml/100g未満のポリアミド系樹脂粒子(A2)とで構成されていてもよい。
ポリアミド系樹脂粒子(A1)の吸油量は、50ml/100g以上(例えば、70〜500ml/100g)、好ましくは75ml/100g以上(例えば、100〜300ml/100g)程度である。なお、吸油量は、JIS K 5107に準拠し、あまに油を用いて測定した値である。
また、ポリアミド系樹脂粒子(A1)の比表面積は、5〜100m2/g(例えば、10〜50m2/g)、好ましくは10〜40m2/g程度である。
このような性質を満たすポリアミド系樹脂粒子(A1)は、通常、多孔質ポリアミド系樹脂粒子である。
ポリアミド系樹脂粒子(A2)の吸油量は、50ml/100g未満、好ましくは48ml/100g以下、さらに好ましくは47ml/100g以下(例えば、10〜47ml/100g程度)である。
ポリアミド系樹脂粒子(A1)とポリアミド系樹脂粒子(A2)との割合(重量比)は、(A1)/(A2)=80/20〜1/99、好ましくは60/40〜5/95、さらに好ましくは40/60〜10/90(特に30/70〜15/85)程度である。
ポリアミド系樹脂粒子(A)の平均粒径は、例えば、1〜150μm、好ましくは3〜100μm、さらに好ましくは5〜80μm程度である。ポリアミド系樹脂粒子(A)には、受像層の厚みよりも大きい平均粒径を有する粒子が含まれていてもよい。
(B)ポリアミド系樹脂粒子
ポリアミド系樹脂粒子(B)の融点は、前記加熱温度(例えば、80℃程度)以下であり、例えば、40〜80℃、好ましくは50〜80℃、さらに好ましくは60〜80℃程度である。
ポリアミド系樹脂粒子(B)の平均粒径は、例えば、10〜150μm、好ましくは30〜130μm、さらに好ましくは50〜120μm程度である。
ポリアミド系樹脂粒子(A)の融点と、ポリアミド系樹脂粒子(B)の融点との差は、5℃以上(例えば、5〜100℃)、好ましくは10℃以上(例えば、10〜70℃)、さらに好ましくは20〜70℃(例えば、20〜50℃)、特に30〜70℃(例えば、30〜50℃)程度である。
ポリアミド系樹脂粒子(A)とポリアミド系樹脂粒子(B)との割合(重量比)は、前者/後者=99.9/0.1〜50/50、好ましくは99.5/0.5〜70/30、さらに好ましくは99/1〜90/10程度である。
ウレタン系樹脂粒子とポリアミド系樹脂粒子との割合(重量比)は、前者/後者=90/10〜10/90、好ましくは80/20〜20/80、さらに好ましくは70/30〜30/70程度である。
有機又は無機粒子の割合は、固形分換算で、バインダー樹脂100重量部に対して10〜5000重量部程度の範囲から選択できるが、受像層に多孔質性を付与するためには、バインダー樹脂に対して有機又は無機粒子の割合が多い方が好ましく、例えば、200〜5000重量部、好ましくは300〜3000重量部、さらに好ましくは500〜2000重量部程度である。
このように、バインダー樹脂に対する有機又は無機粒子の割合を多くすると、受像層の多孔質性を増大することができる。特に、受像層をホットメルト接着性樹脂で構成された多孔質にすることによって、インクの吸収性が向上するとともに、熱転写後に受像層が収縮して、画像の鮮明性が向上するとともに、耐水性や耐洗濯性も向上する。
(バインダー樹脂)
バインダー樹脂としては、成膜性を有する限り、特に制限されず、前記隠蔽層の項で例示のバインダー樹脂の他、親水性高分子(ポリエチレングリコールなどのポリオキシアルキレングリコール系樹脂や、ポリビニルアルコールなどのビニルアルコール系樹脂、酢酸セルロースなどのセルロース誘導体など)などが使用できる。これらのバインダー樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
前記バインダー樹脂のうち、受像層を構成するバインダー樹脂としては、接着力や柔軟性の点から、ウレタン系樹脂やポリエステル系樹脂などが好ましい。これらのバインダー樹脂は、インクの定着性を向上させるために、樹脂の分子内に3級アミノ基又は4級アンモニウム塩が導入されたカチオン性樹脂であってもよい。例えば、ウレタン系樹脂の場合は、ジイソシアネート成分と、遊離の3級アミノ基を有するジオール(特に高分子ジオール)成分との反応により得られるウレタン系樹脂であってもよい。なお、3級アミノ基を有するジオールは、開始剤としてN−メチルジエタノールアミンなどを用い、アルキレンオキサイドやラクトンを開環重合することにより調製できる。3級アミノ基は4級アンモニウム塩を形成してもよい。
(染料定着剤)
受像層におけるインクの定着性を向上させるために、染料定着剤を用いてもよく、特に、前記バインダー樹脂において、カチオン性単量体を樹脂に導入しなかった場合には、染料定着剤を用いるのが好ましい。染料定着剤には、カチオン性化合物(低分子染料固着剤)や高分子染料固着剤が含まれる。
カチオン性化合物としては、脂肪族アミン塩、4級アンモニウム塩(例えば、脂肪族4級アンモニウム塩、芳香族4級アンモニウム塩、複素環4級アンモニウム塩など)などが挙げられる。これらのカチオン性化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、好ましいカチオン性化合物には、脂肪族4級アンモニウム塩(例えば、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルアンモニウムブロマイドなどのテトラC1-6アルキルアンモニウムハライド、トリメチルラウリルアンモニウムブロマイドなどのトリC1-6アルキルC8-20アルキルアンモニウムハライド、ジメチルジラウリルアンモニウムブロマイドなどのジC1-6アルキルジC8-20アルキルアンモニウムハライド)、特にテトラC1-4アルキルアンモニウムハライド(例えば、テトラC1-2アルキルアンモニウムハライド)、トリC1-4アルキルC10-16アルキルアンモニウムハライド(例えば、トリC1-2アルキルC10-14アルキルアンモニウムハライド)、ジC1-4アルキルジC10-16アルキルアンモニウムハライド(例えば、ジC1-2アルキルジC10-14アルキルアンモニウムハライド)が含まれる。脂肪族アミン塩は、例えば、アクテックスFC−7(MORIN CHEMICAL社製)などとして、4級アンモニウム塩は、例えば、カチオーゲンL(第一工業製薬(株)製)などとして市販されている。
高分子染料固着剤としては、例えば、ジシアン系化合物(ジシアンジアミド−ホルムアルデヒド重縮合物など)、ポリアミン系化合物[ジエチレントリアミンなどの脂肪族ポリアミン、フェニレンジアミンなどの芳香族ポリアミン、ジシアンジアミドと(ポリ)C2-4アルキレンポリアミンとの縮合体など]、ポリカチオン系化合物などが例示できる。ポリカチオン系化合物としては、例えば、エピクロルヒドリン−ジC1-4アルキルアミン付加重合体、アリルアミン又はその塩の重合体、ジアリルC1-4アルキルアミン又はその塩の重合体、ジアリルジC1-4アルキルアンモニウム塩の重合体、ジアリルアミン又はその塩と二酸化イオウとの共重合体、ジアリルジC1-4アルキルアンモニウム塩−二酸化イオウ共重合体、ジアリルジC1-4アルキルアンモニウム塩とジアリルアミン又はその塩もしくは誘導体との共重合体、ジアリルジC1-4アルキルアンモニウム塩重合体、ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート4級塩重合物、ジアリルジC1-4アルキルアンモニウム塩−アクリルアミド共重合体、アミン−カルボン酸共重合体等が例示できる。これらの高分子染料固着剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらの染料定着剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの染料定着剤のうち、加熱による有害物質(ベンジルクロライドなど)の生成が抑制される点から、脂肪族染料定着剤、例えば、アルキルアンモニウムハライド類(トリアルキルアンモニウムハライド(例えば、トリC1-2アルキルC8-16アルキルアンモニウムハライド)及び/又はジC1-2アルキルジC8-20アルキルアンモニウムハライドなど)、特にトリメチルC8-16アルキルアンモニウムハライドが好ましい。さらに、アルキルアンモニウムハライド類の中でも、環境に対する負荷を抑制する点からは、塩素イオンを含まないハライド類(例えば、ブロマイド類など)が好ましい。
染料定着剤の割合は、固形分換算で、バインダー樹脂100重量部に対して1〜200重量部、好ましくは5〜150重量部、さらに好ましくは10〜100重量部(特に10〜60重量部)程度である。
受像層は、必要により種々の添加剤、例えば、他の染料定着剤、安定化剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定化剤など)、帯電防止剤、難燃剤、滑剤、アンチブロッキング剤、充填剤、着色剤、発色剤、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤などを含有していてもよい。ホットメルト接着性粒子は、これらの添加剤の他に、粘着付与剤(ロジン又はその誘導体、炭化水素系樹脂など)、ワックス類などを含有していてもよい。
受像層の厚みは、例えば、5〜150μm、好ましくは10〜100μm、さらに好ましくは20〜80μm(特に20〜70μm)程度である。塗布量(乾燥量)は、5〜150g/m2、好ましくは10〜100g/m2、好ましくは20〜50g/m2程度である。
[アンカー層]
アンカー層は、隠蔽層と受像層との接着力を向上できる樹脂成分で構成されている。このような樹脂成分としては、種々の熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂が使用できるが、隠蔽層と受像層との接着力を効果的に向上させる点から、隠蔽層及び受像層の双方に含まれる樹脂成分と同系統又は同種の樹脂(双方に含まれる樹脂成分に親和性を有する樹脂)を使用するのが好ましい。さらに、アンカー層は、受像層から滲出したインクを定着させる点から、3級アミノ基又は4級アンモニウム塩が導入されたカチオン性樹脂であるのが好ましい。例えば、隠蔽層のバインダー樹脂がウレタン系樹脂である場合、接着力及び柔軟性の点から、アンカー層を構成する樹脂成分としては、ウレタン系樹脂(例えば、前記熱可塑性ウレタン系樹脂)が好ましく、特に、層間の接着力を向上できると共に、受像層のインク定着性も補助的に向上できる点から、カチオン型熱可塑性ウレタン系樹脂が好ましい。
ウレタン系樹脂としては、前記接着層の項で例示されたウレタン系樹脂が使用でき、例えば、少なくとも脂肪族ポリエステルジオールをジオール成分として用いた脂肪族ポリエステル型ウレタン系樹脂や、ポリカーボネート型ウレタン系樹脂(例えば、無黄変性脂肪族ポリカーボネート型ウレタン系樹脂など)などが好ましい。カチオン性樹脂としては、前記受像層の項で例示のカチオン性ウレタン系樹脂などが例示できる。
アンカー層は、必要により種々の添加剤、例えば、安定化剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定化剤など)、帯電防止剤、難燃剤、滑剤、アンチブロッキング剤、充填剤、着色剤、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤などを含有していてもよい。
アンカー層の厚みは、例えば、0.1〜30μm、好ましくは0.5〜20μm、さらに好ましくは1〜10μm(特に1〜5μm)程度である。塗布量(乾燥量)は、0.1〜50g/m2、好ましくは0.5〜30g/m2、好ましくは1〜10g/m2程度である。
[転写シート]
本発明の転写シートにおいて、前記接着層、隠蔽層、アンカー層、及び受像層の合計厚みは、例えば、50〜180μm、好ましくは70〜160μm、さらに好ましくは100〜150μm程度である。これらの層の合計厚みがこの範囲にあると、転写シートとしての取扱い性に優れるとともに、被転写体が衣類などの布帛に熱転写しても風合いを損なうことがない。
さらに、前記接着層、隠蔽層、及び受像層(又は前記接着層、隠蔽層、アンカー層、及び受像層)を構成する樹脂成分として、層間接着力の点から、少なくとも各層に同系統又は同種の樹脂が含まれているのが好ましい。特に、各層に共通する樹脂として、ウレタン系樹脂を用いると、伸度や強度などのシートの機械的特性に加え、転写シートとしての取扱い性などの点でも良好である。
本発明の転写シートは、隠蔽性(特に白色隠蔽性)に優れ、例えば、受像層側から測定した白色度(L値)が88以上、好ましくは90以上、さらに好ましくは92以上である。
本発明の転写シートは、顔料などの隠蔽剤を多量に含有しているにもかかわらず、柔軟性や強度などの機械的特性に優れている。転写層の破断点伸度は、例えば、30%以上(例えば、30〜200%)、好ましくは40〜200%、さらに好ましくは50〜200%程度である。
本発明の転写シートは、上述のような特性を有しているため、隠蔽性に優れるとともに、強度や伸度などの機械的特性に優れ、例えば、アイロンなどの加熱摺動部材で、加圧下で熱転写しても圧着痕の発生が抑制される。
[転写シートの製造方法]
本発明の転写シートは、基材の一方の面に前記各層を順次形成することにより製造できる。すなわち、基材の離型性面に、この基材に対して剥離可能な接着層を形成した後、この接着層の上に隠蔽層を形成し、さらに、この隠蔽層の上に受像層を形成することにより製造できる。アンカー層を形成する場合は、隠蔽層の上にアンカー層を形成した後、受像層を形成することにより製造できる。
具体的には、転写シートの層構造に応じて、基材の離型性面に、前記成分で構成された塗布剤を塗布することにより形成できる。バインダー樹脂や接着性樹脂は、通常、水性溶液又はエマルジョンの形態で使用できる。そのため、バインダー樹脂や接着性樹脂を含む水性溶液又はエマルジョンと、他の成分とを混合することにより、転写層用塗布剤を調製できる。水性溶液又は水性エマルジョンの溶媒は、水単独であってもよく、必要によりアルコール類などの親水性有機溶媒を含んでいてもよい。従って、各層用の塗布剤を塗布し、乾燥させた後、次の塗布剤を重ねて塗布してもよい。
塗布剤は、慣用の方法、例えば、ロールコーター、エヤナイフコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、バーコーター、コンマコーター、グラビアコーターなどにより基材の少なくとも一方の面に塗布できる。塗膜を、50〜150℃(好ましくは80〜120℃)程度の温度で乾燥させることにより形成ができる。なお、受像層の加熱又は乾燥温度は、ホットメルト接着性粒子の融点によって、適宜、選択できる。例えば、ホットメルト接着性粒子(A)とホットメルト接着性粒子(B)とを用いる場合は、両者の融点の間から、適宜、選択してもよい。すなわち、塗膜を、50〜150℃、好ましくは60〜120℃、さらに好ましくは70〜100℃(特に70〜90℃)程度の温度で乾燥させることにより転写層を形成できる。
このようにして形成された受像層は、インク(特に水性インク)の小滴を飛翔させて記録するインクジェット方式により画像を形成するのに適している。記録画像は、接着層を被転写体と接触させた状態で、適当な温度(例えば、140〜250℃、好ましくは140〜200℃程度)及び圧力(500〜50,000Pa程度)で適当な時間(例えば、5秒〜1分程度)加熱圧着することにより、熱転写することができる。具体的には、転写シートの受像層に画像を記録した後、この転写シートから基材を剥離する。次に、接着層の剥離面と被転写体とを接触させて加熱する。転写画像を含む転写体は必要により加熱して架橋させてもよい。加熱方法は、必要に応じて離型紙などを介して、受像層をアイロンなどの加熱摺動部材で加圧及び加温する方法であってもよい。
[被転写体]
被転写体としては、繊維、紙、木材、プラスチック、セラミックス、金属などの種々の材料で形成された二次元又は三次元構造物が利用できる。通常、布帛(例えば、Tシャツなど)、プラスチックフィルム・シート又は紙などが被転写体として利用される。本発明の転写シートは、隠蔽性(特に白色隠蔽性)に優れるため、被転写体の色の如何に拘わらず、鮮明な画像を形成できる。前記被転写体の中でも、濃色の被転写体に好ましく用いられる。濃色の被転写体としては、被転写体固有の色が濃色の被転写体でも、濃色に染色又は着色された被転写体でもどちらでもよい。濃色には、黒色、灰色、紺色、青色などの色(例えば、明度0〜5、好ましくは0〜3程度の色)が含まれる。
本発明は、布帛(例えば、Tシャツなど)、プラスチックフィルム・シート、紙などの被転写体、特に濃色に染色又は着色された被転写体に転写する転写シートとして有効である。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、文中、特に断わりのない限り、「部」は重量基準である。また、実施例及び比較例で得られた転写シートの各層の各成分の内容、及び転写シートの各種特性の評価法は次の通りである。
[各成分の内容]
(接着層)
ポリエステル系ウレタン樹脂溶液A:大日精化工業(株)製、レザミンUD1305、溶剤:ジメチルホルムアミド/メチルエチルケトン=40/60(重量比)、固形分50重量%、軟化温度95℃
ポリエステル系ウレタン樹脂溶液B:大日精化工業(株)製、レザミンME3119LP、溶剤:ジメチルホルムアミド/メチルエチルケトン=35/65(重量比)、固形分34重量%、軟化温度135℃
ポリエステル系ウレタン樹脂溶液C:大日精化工業(株)製、レザミンME3139LP、溶剤:ジメチルホルムアミド/メチルエチルケトン=40/60(重量比)、固形分30重量%、軟化温度165℃
エチレンアクリル酸樹脂エマルジョン(エチレン系樹脂エマルジョンD):東邦化学(株)製、ハイテックE8776、固形分25重量%、軟化温度75℃。
(隠蔽層)
酸化チタン含有カーボネート系ウレタン樹脂溶液A:大日精化工業(株)製、セイカセブンBS012(S)ホワイト、酸化チタンの分散粒径0.2μm、ウレタン系樹脂/酸化チタン=9/1(重量比)、溶剤:ジメチルホルムアミド、固形分55重量%
ポリエステル系ウレタン樹脂溶液B:大日精化工業(株)製、レザミンME3119LP、溶剤:ジメチルホルムアミド/メチルエチルケトン=35/65(重量比)、固形分34重量%、軟化温度135℃
酸化チタン分散液C:酸化チタン(石原産業(株)製、タイペークR−930)と、ポリエステル系ウレタン樹脂溶液Bとを、ウレタン樹脂/酸化チタン=9/1(重量比)との割合で、スリーワンモーターに取り付けた攪拌翼で500rpm×10分間攪拌混合して得た分散液、固形分56重量%、酸化チタンの分散粒径12μm
ウレタン変性脂肪族ポリイソシアネートD:住友バイエルウレタン(株)製、スミジュールHT、ポリイソシアネート成分75重量%及び酢酸エチル25重量%で構成された溶液。
(アンカー層)
カチオン性カーボネート系ウレタンエマルジョンA:第一工業製薬(株)製、F−8559D、固形分26重量%。
(受像層)
染料定着剤A:センカ(株)製、PCQ−1、ポリメタクリル酸トリメチルアミノエチル・メチル硫酸塩、固形分20重量%水溶液
染料定着剤B:センカ(株)製、パピオゲンP−109、ベンジルアルキルアンモニウムクロライド、固形分30重量%水溶液
カチオン性ポリウレタン系樹脂エマルジョンC:大日本インキ化学工業(株)製、パテラコールCD−004、固形分30重量%
ポリウレタン系樹脂エマルジョンD:新中村化学(株)製、SPレジンME−307
ポリアミド12粒子E:ダイセル・デグサ(株)製、ベスタメルト430−P06、吸油量45ml/100g、融点110℃、平均粒径60μm
ポリアミド6/12粒子F:アトフィナジャパン(株)製、オルガソール3501EX D NAT−1、吸油量212ml/100g、融点142℃、平均粒径10μm
ポリアミド12粒子G:ダイセル・デグサ(株)製、ベスタメルト640−P1、融点76℃、平均粒径100μm
ポリウレタン樹脂粒子H:大日本インキ化学工業(株)製、バーノックCFB−100、ガラス転移温度−12℃、軟化点135℃、平均粒径20μm
シリカI:水澤化学(株)製、ミズカシルP78A、平均粒径5μm。
[転写性]
インクジェットプリンター(セイコーエプソン(株)製、PM−900C)を使用し、転写シートの受像層に、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)インクを用い、所定の絵柄を印字し、記録画像を形成した。この転写シートから離型紙(基材)を剥がして表出した接着層と、黒色ポリエチレンテレフタレート(PET)及び綿の混合布地[黒色PET/綿=50/50(重量比)]で構成されたTシャツとを接触させた。受像層側から、両面をシリコーン処理した離型紙を介して、アイロンを用いて、温度180℃、圧力10g/cm2(980Pa)で4分間熱をかけて、記録画像を布地に転写し、転写性を下記の基準で評価した。
○:転写部が布地と完全に密着している
△:転写部が布地に接着しているが、ところどころ未接着部分がある
×:転写部が布地と大部分で未接着である。
[風合い]
転写性の評価方法において、記録画像を転写したTシャツについて、下記の基準で風合いを評価した。
○:柔らかく転写部が気にならない
△:ややごわごわする
×:硬く転写部が気になる。
[隠蔽性]
転写性の評価方法において、記録画像を転写したTシャツの転写部について、記録画像が転写されていない部分を色彩色差計(ミノルタ(株)製、CR2000)を用いて、白色度L値を測定し、下記の基準で評価した。
○:L値が92以上
△:L値が88以上92未満
×:L値が88未満。
[耐洗濯性1]
転写性の評価方法において、記録画像を転写したTシャツについて、家庭用洗濯機(三洋電機(株)製)を用いて、温度40℃の温水に市販の洗剤を1g/リットルの濃度で添加し、洗い15分、濯ぎ20分、脱水5分のサイクルを5サイクル行った。色濃度は、反射式マクベス濃度計(サカタインクス(株)製、RD−1200)を用いて、洗濯前後で各色有色部で10箇所を測定した。そして、その平均色濃度をそれぞれ洗濯前色濃度、洗濯後色濃度として、下記式により色濃度保持率を算出して、下記基準で洗濯の色落ち度合いを評価した。
色濃度保持率=(洗濯後色濃度/洗濯前色濃度)×100 (%)
(評価基準)
○:色濃度保持率が90%以上
△:色濃度保持率が80%以上90%未満
×:転写部の剥離が多く測定不能。
[耐洗濯性2]
耐洗濯性1と同様に洗濯した後、転写部を目視で観察し、下記の基準で洗濯耐久性を評価した。
○:転写部に割れや剥離がない
△:転写部に割れや剥離が若干ある
×:転写部に割れや剥離が多数ある。
[作業環境濃度]
ガスクロマトグラフ/質量分析法(GC/MS法)を利用し、以下の条件でベンジルクロライド量を測定した。
分析方法:
(1)抽出液の調製
シート約3gをクロロホルム40mlに浸漬し、所定の温度(室温)で1時間超音波処理した後、遠心分離し、抽出液を調製した。
(2)GC/MS及びGC/MS分析条件
Py(熱分解)部条件
使用機器:Py−2010D(フロンティア・ラボ社製)
加熱温度:180℃
加熱時間:5分
加熱時雰囲気ガス:合成エア(Air)(N280%、O220%)
インターフェイス温度:280℃。
GC部条件
使用機器:GC/MS QP−5050A(GC−17A)((株)島津製作所製)
カラム:DB−624(J&W社製)
(I.D. 0.53mm×L30m,df.3.0μm)
温度:カラム80℃(1分)→10℃/分→160℃(0分)→20℃/分→220℃(0分)
インジェクター:280℃
インターフェイス:280℃
ヘッド圧:5kPa
キャリアガス:He(N60)。
MS部条件(SCAN)
イオン化:EI
イオン化電圧:70eV
サンプリングレート:0.25秒
モニターイオン:ベンジルクロライド m/z=91(126)
ゲイン:1.5kV。
上記の条件によりシート中(クレーコートした紙(基材)は含まず)に含有されるベンジルクロライドの定量を行い、その定量結果に基づいて、サイズA4版の画像記録シート16枚から発生すると予想される量を算出し、作業空間(容積10m3)でのベンジルクロライド濃度を算出した。なお、ベンジルクロライドの分子量を161.0、標準状態での気体の体積を22.4リットルとして計算した。
実施例1〜13及び比較例1
クレイコートした後、シリコーンコートした紙(坪量90g/m2、厚み90μm)の上に、表1に示す接着層用塗布液を塗布し、接着層を有するシートを得た。接着層塗布液は、ジメチルホルムアミドを添加して、固形分を35重量%に調整した塗布液である。次に、この接着層の上に、表1に示す隠蔽層用塗布液を塗布し、隠蔽層を形成した。隠蔽層塗布液は、メチルエチルケトンを添加して、固形分を30重量%に調整した塗布液である。この隠蔽層の上に、表1に示すアンカー層塗布液を塗布し、アンカー層を形成した。アンカー層塗布液は、水を添加して、固形分を20重量%に調整した塗布液である。さらに、このアンカー層の上に、表1に示す受像層塗布液を塗布し、転写シートを得た。受像層塗布液は、水を添加して、固形分を30重量%に調整した塗布液である。なお、実施例3及び6ではアンカー層を形成せず、比較例1では隠蔽層及びアンカー層を形成しなかった。得られた転写シートの評価結果を表1に示す。
Figure 2005199480
表1の結果から明らかなように、実施例1〜13の転写シートは、各種特性のバランスが優れている。これに対して、比較例1の転写シートは、隠蔽性が低い。

Claims (14)

  1. 基材と、この基材に対して剥離可能な接着層と、この接着層の上に形成された隠蔽層と、この隠蔽層の上に形成された受像層とで構成されている転写シート。
  2. 接着層が、軟化点70〜180℃のウレタン系樹脂及び融点70〜120℃のオレフィン系樹脂から選択された少なくとも一種のホットメルト接着性樹脂で構成されている請求項1記載の転写シート。
  3. 隠蔽層が、隠蔽剤及びイソシアネート基を有していてもよいウレタン系樹脂で構成されている請求項1記載の転写シート。
  4. 隠蔽剤が白色顔料であるともに、隠蔽剤とウレタン系樹脂との割合(重量比)が、前者/後者=30/70〜90/10であり、受像層側から測定した白色度(L値)が88以上である請求項3記載の転写シート。
  5. 受像層がインクジェット記録方式で画像を形成可能である請求項1記載の転写シート。
  6. 受像層が、少なくとも有機又は無機粒子及びバインダー樹脂で構成されている請求項1記載の転写シート。
  7. 受像層が、少なくとも脂肪族染料定着剤を含む請求項1記載の転写シート。
  8. 接着層、隠蔽層及び受像層の各層に、少なくとも同系統の樹脂が含まれている請求項1記載の転写シート。
  9. 隠蔽層と受像層との間に、アンカー層が形成されている請求項1記載の転写シート。
  10. アンカー層がカチオン性樹脂で構成されている請求項9記載の転写シート。
  11. 接着層がウレタン系樹脂で構成され、隠蔽層がイソシアネート基を有してもよいウレタン系樹脂及び酸化チタンで構成され、受像層が、多孔質樹脂粒子、ウレタン系樹脂及び脂肪族染料定着剤で構成され、アンカー層がカチオン性ウレタン系樹脂で構成されている請求項9記載の転写シート。
  12. 着色した被転写体への転写による画像形成に用いられる請求項1記載の転写シート。
  13. 基材の離型性面に、この基材に対して剥離可能な接着層を形成した後、この接着層の上に隠蔽層を形成し、さらに、この隠蔽層の上に受像層を形成する転写シートの製造方法。
  14. 請求項1記載の転写シートの受像層にインクジェット記録方式で画像を記録し、基材を接着層から剥離し、接着層と着色した被転写体とを接触させて加熱して被転写体に転写し、記録画像を形成する方法。
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