JP3709604B2 - 刃物台の自動位置決め制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被切断物、例えばプラスチックフィルム、紙、金属板等の帯状シートや、帯状シートを巻き取る紙管等を分割する装置における刃物台の自動位置決め制御装置に関する。特に、本発明が適用される被切断物を分割する装置は、一定方向に伸びた共通案内面沿いに各々移動可能であって刃物を個々に保持した複数の刃物台と、前記刃物台の任意の一つに係合可能な係合部材を持つ一つの可動体と、前記可動体を共通案内面の長手方向に平行に移動させて所要位置につける移動駆動機構と、前記係合部材を刃物台に係合、離脱させる係合駆動機構とを備え、前記係合部材を刃物台に係合させた状態で可動体を移動させることにより、刃物台の各々の位置を順次変えることができる形式のものである。
【0002】
【従来の技術】
上述の形式の分割装置においては、被切断物の切断位置を多様に変えることができるが、切断位置の変更時に刃物台を一つずつ移動させるので、移動させる刃物台の現在位置と目的位置との間に隣の刃物台が位置している場合、移動の手順を間違えると刃物台同士が衝突することになる。そこで、上述の形式の分割装置における従来の自動位置決め制御装置では、切断位置の変更の際、刃物台同志の衝突を避けるために、全ての刃物台を共通案内面の長手方向の一端付近に、近いものから順に移動させて寄せ集め、その後、逆順に逆方向へ移動させて目的位置につける。また、刃物台を二手分けて共通案内面の長手方向の両側に寄せ集め、その後、逆順に逆方向に移動させて目的位置につけることもある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述の従来装置では、全ての刃物を共通案内面の長手方向の端部付近に寄せ集め、再び目的位置へ移動させるので、個々の刃物台の移動距離が非常に長くなり、分割位置を変更するのに非常に時間がかかる。特に、刃物の数が多く、分割位置を頻繁に変更する必要がある場合には稼働率の大幅な低下を招く。そこで、本発明においては、分割位置の変更を短時間でできる刃物台の自動位置決め制御装置を提供することを課題としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、一定方向に伸びた共通案内面沿いに各々移動可能であって刃物を個々に保持した複数の刃物台と、前記刃物台の任意の一つに係合可能な係合部材を持つ一つの可動体と、前記可動体を共通案内面の長手方向に平行に移動させて所要位置につける移動駆動機構と、前記係合部材を刃物台に係合、離脱させる係合駆動機構とを備え、前記係合部材を刃物台に係合させた状態で可動体を移動させることにより、刃物台の各々の位置を順次変えることができる、被切断物を分割する装置において、前記各刃物の現在位置を検出する現在位置検出手段と、入力装置からの入力信号に基づき前記各刃物の目的位置を設定する目的位置設定手段と、前記現在位置検出手段で検出した各刃物の現在位置が初期値として与えられる仮想現在位置記憶手段と、前記各刃物の移動手順を記憶するための移動手順記憶手段と、前記仮想現在位置記憶手段に記憶された各刃物の仮想現在位置、及び前記各刃物の目的位置に基づき、移動手順未定の刃物の一つについて、当該刃物の現在位置から目的位置までの移動区間に他の刃物が位置しているか否かの判断を行い、該判断の結果が否であれば、前記移動手順記憶手段に、当該刃物を目的位置へ移動させることを、前記判断で結果が否となった判断の履歴に対応させて記憶させると共に、前記仮想現在位置記憶手段における当該刃物についての記憶を当該刃物の目的位置に置き換え、前記判断の結果が正であれば移動手順未定の他の刃物について前記判断以後の処理を行うこととし、更に前記判断以後の処理を移動手順未定の刃物がなくなるまで繰り返す移動手順選定手段と、前記移動手順記憶手段に記憶した各刃物の移動手順に基づき前記移動駆動機構及び前記係合駆動機構を制御する制御手段とを備えることを特徴とする。そして刃物台の適正な移動手順を自動的に選定するために、まず、各刃物の現在位置を現在位置検出手段で検出し、各刃物の目的位置を、入力装置からの入力信号に基づき目的位置設定手段で設定し、前記検出した各刃物の現在位置を仮想現在位置記憶手段に記憶しておく。そして、移動手順選定手段により、前記仮想現在位置記憶手段に記憶された各刃物の仮想現在位置、及び前記各刃物の目的位置に基づき、移動手順未定の刃物の一つについて、当該刃物の現在位置から目的位置までの移動区間に他の刃物が位置しているか否かの判断を行う。そして、その判断の結果が否であれば、移動手順記憶手段に、当該刃物を目的位置へ移動させることを、前記判断で結果が否となった判断の履歴に対応させて記憶させると共に、前記仮想現在位置記憶手段における当該刃物についての記憶を当該刃物の目的位置に置き換える。また、前記判断の結果が正であれば、移動手順未定の他の刃物について前記判断以後の処理を行うこととする。そして、前記判断以後の処理を移動手順未定の刃物がなくなるまで繰り返す。このようにして刃物台の移動手順が選定されると、前記移動手順記憶手段に記憶している各刃物の移動手順に基づき刃物台位置決め機構を制御手段によって制御する。
【0005】
本発明によれば、仮想現在位置記憶手段に記憶した、移動手順未定の刃物についての仮想現在位置は、初期値つまり検出された現在位置であり、それを目的位置に置き換えることにより、刃物を目的位置へ移動させた状態を想定することができる。そして、移動手順選定手段において、移動手順未定の各刃物毎に当該刃物の現在位置から目的位置までの移動区間に他の刃物が位置しているか否かを判断することにより、当該刃物が直接的に目的位置に移動できるか否かを知ることができる。そして判断の結果が否となった場合は、当該刃物を目的位置へ移動させることを、前記判断で結果が否となった判断の履歴つまり移動可能との判断の履歴に対応させて記憶させるので、記憶している順番に刃物を移動させるようにすれば、刃物台を互いに衝突させることなく目的位置につけることができる。
【0006】
【発明の実施の形態】
図1に示すように、本発明による刃物台の位置決め装置では、一定方向に伸びた共通案内面2沿いに各々移動可能であって刃物Kを個々に保持した複数の刃物台1と、前記刃物台1の任意の一つに係合可能な係合部材3を持つ可動体4と、可動体4を共通案内面2の長手方向に平行に移動させて所要位置につける移動駆動機構5と、係合部材3を刃物台1に係合、離脱させる係合駆動機構6とを備え、係合部材3を刃物台1に係合させた状態で可動体4を移動させることにより、刃物台1の各々の位置を順次変えることができる、被切断物を分割する装置において、各刃物1の現在位置を検出する現在位置検出手段と、入力装置15からの入力信号に基づき各刃物1の目的位置を設定する目的位置設定手段と、前記現在位置検出手段で検出した各刃物1の現在位置が初期値として与えられる仮想現在位置記憶手段と、各刃物1の移動手順を記憶するための移動手順記憶手段と、仮想現在位置記憶手段に記憶された各刃物1の仮想現在位置、及び前記各刃物1の目的位置に基づき、移動手順未定の刃物の一つについて、当該刃物の現在位置から目的位置までの移動区間に他の刃物が位置しているか否かの判断を行い、該判断の結果が否であれば、移動手順記憶手段に、当該刃物を目的位置へ移動させることを、前記判断で結果が否となった判断の履歴に対応させて記憶させると共に、仮想現在位置記憶手段における当該刃物についての記憶を当該刃物の目的位置に置き換え、前記判断の結果が正であれば移動手順未定の他の刃物について前記判断以後の処理を行うこととし、更に前記判断以後の処理を移動手順未定の刃物がなくなるまで繰り返す移動手順選定手段と、移動手順記憶手段に記憶した各刃物1の移動手順に基づき移動駆動機構5及び係合駆動機構6を制御する制御手段とを備える。
【0007】
【実施例】
図2は本発明の一実施例の説明図、図3は図2の機械的構造部分の側面図である。この実施例は、帯状シートを複数条に分割するスリッター装置に本発明を適用した場合の一例を示す。したがって被切断物はこの実施例では帯状シートである。なお図2は機械的構造部分の一部を省略して示している。図においてスリッター装置は、矢印Aの方向へ走行する帯状シートSを刃物Kにより長手方向に切断する。刃物Kは帯状シートSの幅方向に一列に複数個並べてあり、各刃物Kは個々の刃物台1により保持されている。この刃物台1は、スリットパターンに応じて刃物Kの位置を変更できるようにするために、帯状シート幅方向に平行に伸びた共通案内面2に沿ってそれぞれスライド可能に設けてある。
【0008】
また、スリッター装置には、刃物台1の任意の一つに係合可能な係合部材3を備えた可動体4と、可動体4を共通案内面2の長手方向に平行に移動させて所要位置につける移動駆動機構5と、係合部材3を刃物台1に係合、離脱させる係合駆動機構6とが備えてある。そして係合駆動機構6並びに移動駆動機構5は制御装置7により制御される。この装置では刃物台1に係合部材3を係合させた状態で可動体4を移動させることにより、刃物台1を可動体4に従動させることができ、共通案内面2上の刃物台1を一つずつ順番に移動させて位置決めすることができる。
【0009】
移動駆動機構5は、可動体4に螺合したネジ軸8及びこれを正逆両方向に回転駆動可能なモータ9からなる。可動体4は、共通案内面2に平行に伸びた案内面10に沿ってスライド可能に設けてあり、ネジ軸8の回転に応じて移動する。
【0010】
係合駆動機構6はこの実施例では可動体4に取り付けた流体圧シリンダからなる。また、係合部材3は、可動体4に設けた穴にスライド可能に嵌め合わされており、それを係合駆動機構6で刃物台1に向けて押すと、その先端部3aが刃物台1の本体に設けた穴に嵌って係合状態となり、それを係合駆動機構6で引き戻すと刃物台1から離脱する。係合部材3の先端部3aの側面は、係合時に遊びが生じるのを防ぐために、先が細くなるように傾斜している。なお、係合部材3は他の公知のもの、例えば刃物台1を把持した状態で係合するものでもよい。また刃物台1は、係合部材3が離脱しているとき、該刃物台1をその位置に拘束し、係合部材3が係合したとき、その拘束を解くことができる、図示しない公知の拘束手段を備えている。
【0011】
制御装置7は、CPU7aメモリ7b及び入出力部7cを持つマイクロコンピュータを備え、その入出力部7cには、可動体4の移動量を検出するためのパルス発生器11より、ネジ軸8の回転角に比例した数のパルス信号、また可動体4が図2に鎖線で示す基準位置に来たことを検知するための基準位置センサ12より検知信号、また可動体4に取り付けた走査用センサ13より検知信号がそれぞれ入力される。そして走査用センサ13は各刃物台1毎に固設した被検出片14を検知する。なお基準位置センサ12及び走査用センサ13として光電スイッチあるいは近接スイッチ等を用いることができる。更に、入出力部7cには、例えばキーボードからなる入力装置15から、帯状シートの分割幅又は切断位置、及び自動位置決め始動信号が入力される。また、入出力部7cから、モータ9及び係合駆動機構6へそれぞれの制御信号が出力される。またモニター16へは、刃物の現在地や目的位置等についての情報が出力される。
【0012】
図3に示すように、この実施例では、帯状シートSは溝付きローラ17を巻き掛けて走行し、切断中、刃物Kの刃先は溝付きローラ17の溝に入る。また、刃物Kを取り付けた腕18を、図3に鎖線で示すように起こすことにより、刃物Kの刃先を帯状シートSから退避させることができる。それゆえ、各刃物台1に保持した刃物Kを選択的に使用することができ、多様な分割数、分割幅での切断に簡単に対応できる。また、共通案内面2及び案内面10は梁19上に固設したレール20、21のそれぞれの頭部に形成してある。
【0013】
次に、この実施例装置の動作について説明すると、切断位置を変えるには、まず、必要なスリットパターンに応じた帯状シートの分割幅とその数を入力装置15より制御装置7へ入力して始動を指令する。そうすると制御装置7は、入力された分割幅とその数に基づき公知の手法(例えば特公平3−33476号公報に開示される手法)で各刃物Kの目的位置を演算して記憶する。なお入力装置15により各刃物Kの目的位置をそれぞれ入力するようにした場合は、それを目的位置の設定値として記憶する。
【0014】
また、始動を指令された制御装置7は、モータ9に指令してネジ軸8を回転させ、可動体4を、図2に鎖線で示す待機位置から刃物Kの切断領域を越えて移動限まで移動させる。そして、可動体4の移動限への移動中に基準位置センサ12から検知信号を受けたとき、パルス発生器11から刻々入力されているパルスの計数を始め、可動体4と共に移動する走査用センサ13から検知信号を受ける度に、そのときのパルスの計数値を記憶することによって、各刃物Kの現在位置を検出する。
【0015】
各刃物Kの目的位置の設定及び現在位置の検出が終わると、制御装置7は、記憶した目的位置と現在位置とに基づき各刃物Kの移動手順を選定して移動手順の記憶場所に記憶し、この記憶に基づき移動駆動機構5及び係合駆動機構6を制御する。
【0016】
次に、制御装置7における各刃物の移動手順の選定の仕方について、図4を参照して説明する。図4(A)は移動手順選定開始前の状態を示し、図のように刃物K1、K2、K3・・・が、それぞれ現在位置p1、p2、p3・・・配置され、各刃物の目的位置がq1、q2、q3・・・に設定されていることとする。
【0017】
各刃物の移動手順を選定をするには、まず、検出した各刃物の現在位置を仮想現在位置の記憶場所に初期値として記憶する。図4に示す例ではp1、p2、p3・・・が記憶される。また刃物の移動手順の記憶場所の記憶をリセットする。そして、それが終わると次に述べる処理(1)に移る。
【0018】
処理(1)では、仮想現在位置の記憶場所に記憶された各刃物の仮想現在位置、及び当該刃物の目的位置に基づき移動手順未定の刃物を選び出す。特定の刃物が移動手順未定か否かは、その刃物の移動手順が移動手順記憶部に記憶されているか否かで判断する。そして、移動手順未定の刃物が存在しなければ、移動手順選定処理を終了する。また移動手順未定の刃物があれば、その刃物について次に述べる判断(J)を行う。
【0019】
判断(J)では、移動手順未定の刃物の一つについて当該刃物の現在位置から目的位置までの移動区間に他の刃物が位置しているか否かを判断する。そして、この判断の結果が否、つまり移動区間に他の刃物が位置していなければ、次に述べる処理(J−1)を行い、また前記判断の結果が正、つまり移動区間に他の刃物が位置していれば、次に述べる処理(J−2)を行う。そして処理(J−1)が終わると再び処理(1)に移る。
【0020】
処理(J−1)では、移動手順の記憶場所に、当該刃物を現在位置から目的位置へ移動させることを、現在までに行った判断(J)のうちの結果が否となった判断の履歴に対応させて記憶させると共に、仮想現在位置の記憶場所における当該刃物に対する記憶を当該刃物の目的位置に置き換える。
【0021】
処理(J−2)では、再び処理(1)に移り、その後、移動手順未定の他の刃物について判断(J)を行い、更にそれ以後の処理(J−1)又は当該処理(J−2)を行う。
【0022】
図4(A)の例では、刃物K1が移動手順未定であり、まず、刃物K1について判断(J)を行う。この場合、現在位置p1と目的位置q1の間に刃物K2が位置しているので判断の結果は正となる。そのため、移動手順未定の次の刃物K2について判断(J)を行うことになる。即ち、仮想現在位置の記憶場所に記憶された各刃物の仮想現在位置p1、p2、p3・・・及び刃物K2の目的位置q2に基づき、刃物K2の現在位置p2から目的位置q2までの移動区間に他の刃物K1、K3・・・のいずれかが位置しているか否かを判断する。この場合は、p2とq2の間に他の刃物K1、K3・・・が位置しておらず判断の結果は否となる。そこで、刃物K2をp2からq2へ移動させることを記憶する。しかも、判断(J)の結果が否となったのは最初であるので、1番目に刃物K2の移動を行うこと(移動手順1)を記憶する。そして、仮想現在位置の記憶場所における刃物K2の初期値p2を刃物K2の目的位置q2に置き換えて記憶する。そして、その後再び処理(1)に移り、仮想現在位置の記憶場所に記憶された各刃物の仮想現在位置p1、q2、p3・・・、及び当該刃物の目的位置q1、q2、q3・・・に基づき、移動手順未定の刃物として刃物K1が選び出される。そして、刃物K1に対して判断(J)を行う。
【0023】
図4(B)は刃物K2の移動手順の算出が終わった状態を示す。この状態で刃物K1に対して判断(J)を行うと、p1からq1までの移動区間に他の刃物K2、K3・・・が位置しておらず、判断(J)の結果は否となる。そして、判断(J)の結果が否になったのは、刃物K2の判断に継いで2番目である。それゆえ刃物K1をp1からq1に2番目に移動させること(移動手順2)を移動手順の記憶場所に記憶する。そして、仮想現在位置の記憶場所における刃物K1の初期値p1を刃物K1の目的位置q1に置き換えて記憶する。この時点で、仮想現在位置の記憶場所には、q1、q2、p3、・・・が記憶されており、移動手順記憶場所には、1番目に刃物K2をq2へ移動すること(移動手順1)、2番目に刃物K1をq1へ移動すること(移動手順2)が記憶されている。
【0024】
このように判断(J)及び処理(J−1)又は処理(J−2)を繰り返して、移動手順未定の刃物がなくなると、刃物の移動手順の選定を終了する。このとき、仮想現在位置の記憶場所には各刃物の目的位置q1、q2、q3・・・が記憶され、移動手順の記憶場所には全ての刃物K1、K2、K3・・・に対して移動手順1、2・・・・が記憶されている。
【0025】
刃物の移動手順の選定が終わると、図2に示す制御装置7は、メモリ7bの刃物移動手順の記憶場所に記憶された手順に基づき、移動駆動機構5及び係合駆動機構6を制御する。即ち、1番目に図4(A)の刃物K2を目的位置につけるために、移動限に待機している可動体4を現在位置p2に移動させ、その位置で係合部材3を刃物台K2係合させ、その状態で可動体4を目的位置q2へ移動させて係合部材3を離脱させる。2番目に図4(B)の刃物K1を目的位置につけるために、可動体4をq2から刃物K1の現在位置p1に移動させ、その位置で係合部材3を刃物台1に係合をさせ、その状態で可動体4を目的位置q1へ移動させて係合部材3を離脱させる。そして、同様の動作を全ての刃物2が目的位置につくまで繰り返す。
【0026】
本実施例の自動位置決め制御装置を、3.4メートル幅の帯状シートを多様なスリットパターンで分割するための17個の刃物を備えるスリッター装置に適用した場合、位置決めに要する時間を、従来方式のものに比べて平均約6分短縮することができた。このスリッター装置において、例えば1日に平均10回、帯状シートのスリットパターンの変更を行うとすれば、位置決め時間を1日当たり約1時間短縮することができ、スリッター装置の稼動率を大幅に向上させることができる。
【0027】
本発明によれば、刃物の現在位置検出手段は、切断位置を変更する都度、走査センサを移動させて現在位置を検出するものでもよいが、手動で刃物台を移動させた後又は自動位置決め制御装置を立ち上げた後の、最初の切断位置の変更時のみ走査センサを移動させ、それによって得た現在位置を記憶し、それ以後の切断位置の変更時には目的位置設定手段より前回の目的位置の記憶を受け、それを現在位置として記憶するようにしたものを採用することができる。このようにすると、最初に現在位置を走査すればそれ以後の走査は不要になり、走査センサの移動時間を節約することができる。また、現在位置の検出は、走査によらず刃物台毎に備えたパルス発生器により行ってもよい。また係合駆動機構は、可動体に備えず、可動体の案内面を駆動することにより、案内面及び可動体と共に係合部材を刃物台に対して進退させるようにしたものでもよい。また分割装置は、必要に応じて、図3に示す刃物Kに替えて回転刃物Kを備えるもの、溝付きローラを備えず、帯状シートを空中切りするもの、溝付きローラに替えて裏受けローラを備え、回転刃の刃先を裏受けローラの外周に押し付けながら切断を行うものでもよい。また、刃物台は、帯状シート幅方向に伸び、外周が案内面となった軸にスライド可能に貫通されているものでもよいし、更に軸と共に回転するものでもよい。また、刃物は狭義の刃物に限らずレーザ光線等を用いた切断装置のように被切断物を切断する機能をもつものであれば本発明の刃物の範疇に入ることとする。
【0028】
【発明の効果】
本発明によれば、切断位置を変更するとき従来のように全ての刃物台を共通案内面長手方向の端部付近に一旦寄せ集める必要がないので、切断位置の変更が短時間でき、被切断物を分割する装置の稼動率の大幅な向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の構成を示す機能ブロック図である。
【図2】本発明の一実施例の説明図である。
【図3】図2における機械的構造部分の側面図である。
【図4】刃物の移動手順選定の仕方についての説明図である。
【符号の説明】
K 刃物
S 被切断物(帯状シート)
1 刃物台
2 共通案内面
3 係合部材
4 可動体
5 移動駆動機構
6 係合駆動機構
7 制御装置
8 ネジ軸
9 モータ
10 案内面
11 パルス発生器
12 基準位置センサ
13 走査用センサ
14 被検出片
15 入力装置
Claims (1)
- 一定方向に伸びた共通案内面沿いに各々移動可能であって刃物を個々に保持した複数の刃物台と、前記刃物台の任意の一つに係合可能な係合部材を持つ一つの可動体と、前記可動体を共通案内面の長手方向に平行に移動させて所要位置につける移動駆動機構と、前記係合部材を刃物台に係合、離脱させる係合駆動機構とを備え、前記係合部材を刃物台に係合させた状態で可動体を移動させることにより、刃物台の各々の位置を順次変えることができる、被切断物を分割する装置において、前記各刃物の現在位置を検出する現在位置検出手段と、入力装置からの入力信号に基づき前記各刃物の目的位置を設定する目的位置設定手段と、前記現在位置検出手段で検出した各刃物の現在位置が初期値として与えられる仮想現在位置記憶手段と、前記各刃物の移動手順を記憶するための移動手順記憶手段と、前記仮想現在位置記憶手段に記憶された各刃物の仮想現在位置、及び前記各刃物の目的位置に基づき、移動手順未定の刃物の一つについて、当該刃物の現在位置から目的位置までの移動区間に他の刃物が位置しているか否かの判断を行い、該判断の結果が否であれば、前記移動手順記憶手段に、当該刃物を目的位置へ移動させることを、前記判断で結果が否となった判断の履歴に対応させて記憶させると共に、前記仮想現在位置記憶手段における当該刃物についての記憶を当該刃物の目的位置に置き換え、前記判断の結果が正であれば移動手順未定の他の刃物について前記判断以後の処理を行うこととし、更に前記判断以後の処理を移動手順未定の刃物がなくなるまで繰り返す移動手順選定手段と、前記移動手順記憶手段に記憶した各刃物の移動手順に基づき前記移動駆動機構及び前記係合駆動機構を制御する制御手段とを備えることを特徴とする刃物台の自動位置決め制御装置。
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JP4051084B2 (ja) | ベニヤレースでの原木切削方法およびベニヤレース |
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