JP3708772B2 - レーダ断面積計測方法及びレーダ断面積計測装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明はレーダの探知対象である目標のレーダ断面積を計測する方法に関し、特に計測環境上の制約から遠方界条件が満たされない近傍領域における目標からの散乱電界の測定値を用いて遠方領域におけるレーダ断面積を推定する方法及びそれを実現するレーダ断面積計測装置に関するものである。
【0002】
従来この種のレーダ断面積計測方法の例として、例えば1998年電子情報通信学会総合大会B−1−2「近傍バイスタティックRCS測定法−球面、円筒面、平面走査」に示されたものがある。ここには近傍領域において球面走査、円筒面走査、平面走査で計測した計測対象目標からの散乱界をフーリエ変換することにより遠方領域におけるレーダ断面積を推定する方法が提案されている。この文献で提案されている方法のうち、ここではまず球面走査の場合の例をとりあげて以下に説明する。
【0003】
上記文献で定義している座標系を図9に示す。図において、推定したいバイスタティックレーダ断面積の波源方向と観測点方向の中点方向をX軸とし、波源方向と観測点方向がXY面内に含まれるようにY軸及びZ軸を取り、そのバイスタティック角を2αとする。この推定したい波源方向と観測点方向の延長線上において、原点からの距離がρとなる位置に波源(点P)及び観測点(点Q)を設置する。波源及び観測点を固定として球面走査法により目標1を回転させる。このときXY面内の回転角をΦ、XZ面内の回転角をθとする。また波長をλ、目標1のY軸方向及びZ軸方向の最大長をそれぞれyw,zwとし、距離ρは数1を満たすフレネル領域にあるものと仮定する。
【0004】
【数1】
【0005】
球面走査により目標を(θ,Φ)だけ回転させて計測された、観測点から距離ρの位置にある目標からの散乱電界をES(ρ,θ,Φ)とする。波数(2π/λ)をkとするとフレネル領域における散乱界は数2で表わすことができる。
【0006】
【数2】
【0007】
数2におけるSe(y,z)は散乱体(目標)表面上の散乱係数をYZ平面内に投影したもので、等価散乱係数と呼ぶ。数2は、フレネル領域の散乱界は等価散乱係数をフレネル変換して得られることを示している。したがって数2の逆変換から数3が得られる。
【0008】
【数3】
【0009】
数3は、波源と観測点の間のバイスタティック角2α、及び目標と波源、観測点間の距離ρを保ったまま目標をθ方向及びΦ方向にそれぞれ微小角度範囲θw,Φwだけ回転させて散乱界ES(ρ,θ,Φ)を計測し、この計測データを上記角度範囲内でフレネル変換することにより計測対象目標のYZ面内の大きさ(yw,zw)相当の領域内の等価散乱係数が得られることを示している。
【0010】
等価散乱係数Se(y,z)は距離に依存しない量であるため、推定したい遠方領域におけるバイスタティック散乱界ES(∞,0,0)は、数3によって求められたSe(y,z)を数2に適用し、さらにρ=∞,θ=0,Φ=0とすることにより数4のように求めることができる。
【0011】
【数4】
【0012】
最後に、レーダ断面積の定義から遠方領域におけるバイスタティックレーダ断面積σの推定値は数5により求められる。
【0013】
【数5】
【0014】
次に平面走査の場合の例をとりあげて以下に説明する。前記文献で定義している座標系を図10に示す。球面走査の場合と同じく推定したいバイスタティックレーダ断面積の波源方向と観測点方向の中点方向をX軸とし、波源方向と観測点方向がXY面内に含まれるようにY軸及びZ軸を取り、そのバイスタティック角を2αとする。この推定したい波源方向と観測点方向の延長線上において、原点からの距離がρとなる位置に波源(点P)及び観測点(点Q)を設置する。ここで目標をY軸方向にy’、Z軸方向にz’だけ直線的に移動させることで平面走査を行うものとする。移動量y’及びz’を極座標パラメータを用いて表わすと数6のようになる。
【0015】
【数6】
【0016】
上記の目標の移動は波源P及び観測点Qを同時に−y’及び−z’だけ移動させることと等価である。
【0017】
次に球面走査の場合と同様に、平面走査により計測された近傍バイスタティック散乱電界値を用いて遠方領域におけるバイスタティックレーダ断面積を求める。数6の変換式を適用することにより、平面走査に対応するフレネル領域の散乱界ES(ρ,θ,Φ)は数7で表わすことができる。
【0018】
【数7】
【0019】
ここにSe(y,z)は球面走査の場合の数2におけるのと同義の等価散乱係数である。数2と同じく数7も、フレネル領域の散乱界は等価散乱係数をフレネル変換して得られることを示している。数7の逆変換から数8が得られる。
【0020】
【数8】
【0021】
数8は以下のことを示している。波源と観測点の間のバイスタティック角2α、及び目標と波源、観測点間の距離ρを保ったまま目標をy方向及びz方向にそれぞれ一定量だけ移動させると、この移動に対応して角度θ、Φが変化する。これにより生じた微小角度範囲θw,Φw内で散乱界ES(ρ,θ,Φ)を計測し、この計測データをフレネル変換することで計測対象目標のYZ面内の大きさ(yw,zw)相当の領域内の等価散乱係数が得られる。以後推定したい遠方領域におけるバイスタティック散乱界ES(∞,0,0)を求め、さらに遠方領域におけるバイスタティックレーダ断面積σを求める手順は球面走査の場合と同様である。
【0022】
従来のレーダ断面積計測方法によれば、以上のようにして計測対象目標の近傍領域における2次元領域内の散乱電界を計測することにより遠方領域におけるレーダ断面積を推定することができる。この方法は波源及び観測点が近傍界に存在することにより、波源及び観測点から目標上の異なる部位に至る行路長に差異が生じることでもたらされる位相差を補償して等価散乱係数を求め、これから遠方領域におけるレーダ断面積を推定しようとするものである。
【0023】
ここにおける等価散乱係数は、実際の計測状況において実際の波源(送信アンテナ)により照射される目標上の各部位の振幅、位相と、これにより目標から散乱される電界を実際に観測点に設置された受信アンテナで受信したときの電界の振幅、位相に対応するものである。
【0024】
したがって、実際の計測状況においても、波源及び観測点から目標上の異なる部位に至る行路長差に基づく位相差を除けば目標上の異なる部位が全て一様に照射され、さらにこれら異なる部位からの散乱電界が平等に受信アンテナのある観測点に到達するのであれば、数2における等価散乱係数Se(y,z)は遠方領域のバイスタティックレーダ断面積に対応したものとなるが、波源(送信アンテナ)あるいは受信アンテナとして指向性アンテナを用いた場合には、近距離において目標が照射されることあるいはこれにより生じる散乱電界を受信アンテナが受信することに対応する等価散乱係数S’e(y,z)は前記の状況で得られるのとは厳密には異なるものとなり、これにより推定されるレーダ断面積と遠方領域におけるレーダ断面積との間に差異が生じる。
【0025】
この差異は目標と波源、観測点の距離ρが近いほど、また送受信アンテナの指向性が鋭いほど大きくなることは明白である。以下に簡単な例により上記に従って発生するレーダ断面積推定値と真値との差異、即ち計測誤差を導く。
【0026】
目標を照射する送信アンテナの指向性をf1(θ,Φ)、目標からの散乱電界を受信する受信アンテナの電界指向性をf2(θ,Φ)とする。この指向性を持つ送信アンテナにより目標が非一様に照射される場合にはYZ面に投影された等価散乱係数として本来のSe(y,z)にf1(θ,Φ)が乗じられたものを考えなければならない。さらに、この目標から散乱される電界を、電界指向性f2(θ,Φ)を持つ受信アンテナにより受信することで得られる受信電界を考えるにあたっては、上記等価散乱係数にf2(θ,Φ)を乗じたものを考える必要がある。この場合のX軸方向の遠方散乱電界は数9で表わされる。
【0027】
【数9】
【0028】
数9から求められるバイスタティックレーダ断面積σ’は数10のようになる。
【0029】
【数10】
【0030】
以上より、目標が一様に照射され、さらにこの目標からの散乱電界を一様に観測することができる場合に比べて、目標上に送信アンテナの指向性に起因する振幅、位相分布が生じ、さらにこの目標からの散乱電界を受信アンテナの指向性が原因で平等に受信できない場合の相対受信電力は、遠方領域レーダ断面積の真値σに対する実際の計測で得られる等価的レーダ断面積σ’の比として数11で表わすことができる。
【0031】
【数11】
【0032】
これが目標上の電界分布に基づくレーダ断面積計測誤差であると考えてよい。ここで上記に従いレーダ断面積計測誤差を求める具体例を示す。簡略化のためにバイスタティック角2α=0、即ち波源位置と観測点位置が共通なモノスタティック計測の場合を考える。送信アンテナの指向性f1(θ,Φ)と受信アンテナの指向性f2(θ,Φ)は等しいものとしf(θ,Φ)で表わす。また目標としてY軸方向に長い細長い平板を仮定しその面がYZ面内に含まれる姿勢を取る場合を考える。これにより目標上の散乱係数をYZ平面に投影して得られる等価散乱係数の分布は一様であると仮定できる。よってSe(y,z)=1と置いてもよい。以上の仮定により数11は数12のように簡単に書き換えられる。
【0033】
【数12】
【0034】
次に送受信アンテナは目標を見込む角度範囲内で数13で表わせるような位相一様の指向性を有するものであると仮定する。
【0035】
【数13】
【0036】
ここでアンテナのXZ平面内電力半値幅をΘとすると、数13のpは数14で表わせる。
【0037】
【数14】
【0038】
ここで図11に示すように目標1として、長さL=5mの細長い平板を、Y軸方向が長さ方向となり、さらに面の法線方向がX軸方向となるように配置し、これから距離ρ=250mだけ離れた位置に置かれた送受信アンテナ2を使用して散乱電界を計測する場合を考える。その振幅指向性の最大値方向が目標の中央部(座標原点)を指向するように送受信アンテナ2を配置するものとすると、目標上のY座標に対応するアンテナからのXY平面内見込み角Φは数15で与えられる。
【0039】
【数15】
【0040】
この見込み角Φと数14で与えられる送受信アンテナの振幅指向性を表わすパラメータp、及び目標の長さLにより目標上の振幅分布(振幅テーパ)形状が決まり、これに起因するレーダ断面積計測誤差が数12から求められる。送受信アンテナの電力半値幅の関数として上記レーダ断面積計測誤差を計算した例を図12に示す。図12には目標の両端位置(y=±L/2)における中央部からの振幅低下量(エッジテーパ)も併せて示してある。例えば送受信アンテナとして電力半値幅1.5°のアンテナを用いた場合には、250mの距離にある長さ5mの目標上に2.25dBの振幅の振幅テーパがつき、これによるレーダ断面積計測誤差は約1.1dBとなることがわかる。
【0041】
レーダ断面積計測レンジ構築にあたり、上記のような目標上の振幅テーパに起因する計測誤差を抑えるためには極力指向性の広いアンテナを用いるのが望ましいことになるが、その一方では計測感度要求を満たすために必要なアンテナ利得に対する要求もあり、これを満足させるためにはアンテナの指向性をあまり広くすることはできないことがある。何故なら、指向性の広いアンテナは利得が低いからである。また屋外レンジにおける地面反射の影響、屋内レンジにおける床面反射、壁面反射の影響による計測誤差の低減も計測レンジ設計上の重要な課題となるが、この影響を少なくするためにもアンテナの指向性はあまり広くない方がよい。これらの要因を総合的に勘案していくと、アンテナの指向性に対する要求には相反する要素があり、結果的に目標上の振幅テーパの発生は避けられず、これに伴うレーダ断面積計測誤差も免れ得ないことになる。
【0042】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように従来のレーダ断面積計測方法では、使用するアンテナの指向性により生じる計測対象目標上の振幅テーパの影響により、目標上の異なる部位の等価散乱係数を正しく求めることができず、遠方領域のレーダ断面積を正確に予測することができないという問題点があった。
【0043】
この発明に関わるレーダ断面積計測方法は上記のような問題点を解決するためのものであり、計測装置に使用する送信アンテナ、受信アンテナの指向性、指向方向及び目標との距離並びに目標の大きさと姿勢から、実際にアンテナが目標上に形成する振幅、位相分布を知り、これを補正項として一様分布に対応する目標上の異なる部位の等価散乱係数を求め、この値を用いることで遠方領域におけるレーダ断面積を高精度に推定することを目的とする。
【0044】
またこの発明に係わるレーダ断面積計測装置は上記のレーダ断面積計測方法を実現することを目的とする。
【0045】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るレーダ断面積計測方法は、目標に対するレーダ断面積の計測方法において、目標から近傍領域で目標を照射する送信アンテナと目標からの散乱波を受信する受信アンテナとを目標に対して走査し目標の散乱電界を計測し、得られた測定値をフレネル変換することで得られる目標上の異なる部位の第一の等価散乱係数に対し、送信アンテナの指向性と指向方向、受信アンテナの指向性と指向方向、及び目標と送受信アンテナの距離並びに目標の姿勢により決まる目標上の振幅・位相分布の補正を加えて補正された第二の等価散乱係数を求め、第二の等価散乱係数を所定の微小角度範囲でフレネル変換することにより遠方領域における散乱電界を推定し、遠方領域における散乱電界から遠方領域におけるレーダ断面積を求める。
【0046】
また、送信アンテナと受信アンテナとを、隣接して設け、バイスタティック角を概略0に等しくし、求めるレーダ断面積をモノスタティックレーダ断面積とする。
【0047】
また、送信アンテナと受信アンテナとが形成するバイスタティック角を所定の角度とし、求めるレーダ断面積をバイスタティックレーダ断面積とする。
【0048】
また、送受信アンテナの走査は、目標に対して球面走査である。
【0049】
また、送受信アンテナの走査は、目標に対して平面走査である。
【0050】
また、この発明に係るレーダ断面積計測装置は、空間に保持された計測対象目標に対し電波照射を行う送信アンテナ、目標からの散乱波を受信する受信アンテナ、送信アンテナへの無線周波信号の供給と受信アンテナで受信された散乱波信号の受信処理を行う送受信装置、受信散乱波信号に基づいてレーダ断面積を算出する演算処理を行う信号処理装置を有するレーダ断面積計測装置において、
目標に対して、送受信アンテナを走査する走査機構と送信アンテナ、受信アンテナの指向方向を制御し、その指向角度を検知するアンテナ回転機構とを備え、
信号処理装置は、受信アンテナの受信した散乱波から目標の散乱電界を計測し、得られた測定値をフレネル変換することで得られる目標上の異なる部位の第一の等価散乱係数に対し、送信アンテナの指向性と指向方向、受信アンテナの指向性と指向方向、及び目標と送受信アンテナの距離並びに目標の姿勢により決まる目標上の振幅・位相分布の補正を加えて補正された第二の等価散乱係数を求め、第二の等価散乱係数を所定の微小角度範囲でフレネル変換することにより遠方領域における散乱電界を推定する。
【0051】
また、走査機構は、目標を支点中心に3次元に回転させる目標回転機構と、送信アンテナ及び受信アンテナを、目標からの近傍領域に隣接して設置する設置機構とを有する。
【0052】
また、走査機構は、目標を支持する目標支持機構と、隣接した送信アンテナ及び受信アンテナを、目標に対して近傍領域で一定の距離を保つように、目標を中心とした円弧上を移動させる円弧移動機構とを有する。
【0053】
また、走査機構は、目標を支点中心に3次元に回転させる目標回転機構と、送信アンテナ及び受信アンテナを、目標からの近傍領域に所定の角度離して設置する設置機構とを有する。
【0054】
また、走査機構は、目標を支持する目標支持機構と、送信アンテナ及び受信アンテナを、目標に対して近傍領域で一定の距離を保つように、目標を中心とした円弧上を互いに任意の角度離れるように移動させる円弧移動機構とを有する。
【0055】
また、走査機構は、目標を支持する目標支持機構と、隣接した送信アンテナ及び受信アンテナを、目標に対して近傍領域で直線移動させる直線移動機構とを有する。
【0056】
また、走査機構は、目標を支点中心に3次元に回転させる目標回転機構と、隣接した送信アンテナ及び受信アンテナを、目標に対して近傍領域で直線移動させる直線移動機構とを有する。
【0057】
また、走査機構は、目標を支持する目標支持機構と、送信アンテナ及び受信アンテナを、目標に対して近傍領域で任意の距離離して直線移動させる直線移動機構とを有する。
【0058】
さらに、走査機構は、目標を支点中心に3次元に回転させる目標回転機構と、送信アンテナ及び受信アンテナを、目標に対して近傍領域で任意の距離離して直線移動させる直線移動機構とを有する。
【0059】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1を示すレーダ断面積計測装置の構成を示す鳥かん図、図2はその構成ブロック図である。図において1は計測対象となる目標、2aは送信アンテナ、2bは受信アンテナ、3は目標1を空間に保持するとともに球面走査回転を与え、さらにその回転角度を検出する走査機構としての目標回転機構、4は上記目標回転機構との間で目標回転制御信号S1と目標回転角度信号S2の授受を行う目標回転制御装置である。
【0060】
送信アンテナ2a、受信アンテナ2bはそれぞれ送信アンテナ保持機構5a、受信アンテナ保持機構5bを介して目標位置を中心とする半径ρの円弧を形成する走査機構としてのレール6の上に保持される。ここで送信アンテナ2aあるいは受信アンテナ2bは目標1からのフレネル領域にあるものとする。
【0061】
送信アンテナ保持機構5a、受信アンテナ保持機構5bは、その上に保持された送信アンテナ2a、受信アンテナ2bが上記レール6が形成する円弧に沿ってそれぞれ独立に回転移動できるように、その下部に備えられた送信アンテナ回転機構7aと受信アンテナ回転機構7bにより制御される。
【0062】
送信アンテナ回転機構7a、受信アンテナ回転機構7bはさらに両アンテナのレール6上の回転角度を検出する機能を有する。8は上記両アンテナ回転機構7a、7bとの間でアンテナ回転制御信号S3、アンテナ回転角度信号S4の授受を行うアンテナ回転制御装置である。また送信アンテナ保持機構5a、受信アンテナ保持機構5bの上部にはそれぞれ送信アンテナ指向角回転機構9a、受信アンテナ指向角回転機構9bが備わっている。
【0063】
これらはアンテナ指向角制御装置10からのアンテナ指向角制御信号S5に従い送信アンテナ2a、受信アンテナ2bを任意の向きに指向させるとともに、その指向角を検出する働きも有する。ここで検出されたアンテナ指向角度はアンテナ指向角度信号S6として指向角制御装置10に送出される。11は送信アンテナ2aに送信RF信号S7を供給するとともに、目標からの散乱電界信号S8を受信する送受信装置である。また12は信号処理装置であり上記の各部位の制御のための目標制御信号S9、アンテナ制御信号S10、送受信装置制御信号S11の送出と、それぞれデジタル信号化された目標回転角度信号S2、アンテナ回転角度信号S4、アンテナ指向角度信号S6及び散乱電界信号S8の受信、並びに上記各種情報をもとにした以下のレーダ断面積計測方法によるレーダ断面積算出処理を実行する。この発明の実施の形態1により実現できるレーダ断面積計測方法の詳細は以下のとおりである。
【0064】
目標1は球面走査回転できる目標回転機構3上に保持されており、送信アンテナ2a、受信アンテナ2bは目標1から距離ρだけ離れた円弧状のレール6の上にそれぞれ送信アンテナ保持機構5a、受信アンテナ保持機構5bを介して保持されているので、この構成により目標と波源、観測点とを任意のバイスタティック角2α、任意のアスペクト角(θ,Φ)に配置するよう信号処理装置12から制御することが可能である。また上記角度は目標回転機構3、送信アンテナ回転機構7a及び受信アンテナ回転機構7bによって検出でき、角度情報は目標回転角度信号S2、アンテナ回転角度信号S4として信号処理装置12に送出される。また送信アンテナ2a、受信アンテナ2bは送信アンテナ指向角回転機構9a、受信アンテナ指向角回転機構9bの働きにより信号処理装置12からその指向方向を制御することが可能であるとともに、その指向角の検知も可能である。検知された指向角情報はアンテナ指向角度信号S6として信号処理装置12に送出される。
【0065】
目標1と送信アンテナ2a、受信アンテナ2bとの関係がバイスタティック角2α、アスペクト角(θ,Φ)にあるときに送受信装置11により計測される目標からの散乱電界ES’(θ,Φ)は、実際の送信アンテナ2a、受信アンテナ2bを使用した場合にもたらされる等価散乱係数Se’(y,z)を波源及び観測点までの行路差に基づく位相差を考慮に入れて積分(フレネル変換)することによって得られる散乱界である。上記等価散乱係数Se’(y,z)は、実際の送信アンテナ2aの指向性形状と指向方向によって決まるf1(θ,Φ)及び実際の受信アンテナ2bの指向性形状と指向方向によって決まるf2(θ,Φ)を本来の一様分布、平等受信時の等価散乱係数Se(y,z)に乗じて得られるものである。角度(θ,Φ)の関数としてのf1(θ,Φ)、f2(θ,Φ)は投影平面上の位置座標(y,z)の関数としてのf1(y,z)、f2(y,z)に置き換えることができるから、上記の概念は数16で表わせる。
【0066】
【数16】
【0067】
したがって、これらのアンテナを用いて実際に計測された散乱電界ES’(θ,Φ)から、アンテナの指向性に依存しない本来の一様照射、平等受信に対応する等価散乱係数Se(y,z)を求めるには、数17、数18に従って数16の逆フレネル変換を行えばよい。
【0068】
【数17】
【0069】
【数18】
【0070】
数17、数18の積分範囲ΦW,θWは角度Φ及びθを中心とする2次元の微小角度範囲であり、実行上はθ及びΦの連続回転により取得されたこの範囲内複数点の(θ,Φ)に対応する散乱電界値を用いて数値積分すればよい。最終的に推定したい遠方領域の散乱界は数18でρ=∞、θ=0、Φ=0として数4により求めることができる。そして最後にレーダ断面積の定義から数5を用いて遠方バイスタティックレーダ断面積を得ることができる。
【0071】
実施の形態2.
図3はこの発明の実施の形態2を示すレーダ断面積計測装置の構成を示す鳥かん図、図4はその構成ブロック図である。図において符号1、2a、2b、3、4、6、9a、9b、10、11、12は図1あるいは図2におけるのと同様のものでありその機能も同様である。
【0072】
送信アンテナ2a、受信アンテナ2bはいずれも送受信アンテナ保持機構5を介して走査機構としてのレール6の上に保持される。送受信アンテナ保持機構5は、その上に保持された送信アンテナ2a、受信アンテナ2bが上記レール6が形成する円弧に沿って回転移動できるように、送受信アンテナ回転機構7により制御される。アンテナ回転制御装置8は上記送受信アンテナ回転機構7との間でアンテナ回転制御信号S3、アンテナ回転角度信号S4の授受を行う。また送受信アンテナ保持機構5には送信アンテナ指向角回転機構9a、受信アンテナ指向角回転機構9bが備わっており、これらはアンテナ指向角制御装置10からのアンテナ指向角制御信号S5によって制御されるとともに、指向角制御装置10にアンテナ指向角度信号S6を送出する。
【0073】
取得された散乱電界の計測値から遠方領域でのレーダ断面積を求める方法、手順は実施の形態1と同等であるが、ここでは送信アンテナ2aと受信アンテナ2bが共通の送受信アンテナ保持機構5上にα≒0で近接配置されているので、算出されるレーダ断面積はバイスタティックレーダ断面積ではなくモノスタティックレーダ断面積である。実施の形態1の説明における数16に対してモノスタティック形態に対応するα=0を適用すると数19が成り立つ。
【0074】
【数19】
【0075】
同様に実施の形態1の説明における数17、数18に対してもモノスタティック形態に対応するα=0を適用すると数20、数21が成り立つ。
【0076】
【数20】
【0077】
【数21】
【0078】
ここまで求まればあとは実施の形態1におけるのと同様数4、数5を用いることによって遠方領域のモノスタティックレーダ断面積を推定することができる。
【0079】
実施の形態3.
図5はこの発明の実施の形態3を示すレーダ断面積計測装置の構成を示す鳥かん図、図6はその構成ブロック図である。図において図1、図2、図3あるいは図4と同一の符号を付した部位は図1、図2、図3あるいは図4におけるのと同様のものであり同様の機能を有する。
【0080】
送信アンテナ2a、受信アンテナ2bはそれぞれ送信アンテナ昇降機構13a、受信アンテナ昇降機構13bを介して走査機構としての直線状のレール14の上に保持される。送信アンテナ昇降機構13a、受信アンテナ昇降機構13bはそれぞれのアンテナ2a、2bを昇降させる働きとともに両アンテナの高さを検出する機能を有する。
【0081】
15は上記両アンテナ昇降機構13a、13bとの間でアンテナ昇降制御信号S12、アンテナ高さ信号S13の授受を行うアンテナ昇降制御装置である。レール14上の送信アンテナ2a、受信アンテナ2bの直線移動は、送信アンテナ走行機構16aと受信アンテナ走行機構16bにより制御される。
【0082】
送信アンテナ走行機構16a、受信アンテナ走行機構16bはさらに両アンテナのレール14上の位置を検出する機能を有する。17は上記両アンテナ走行機構16a、16bとの間でアンテナ走行制御信号S14、アンテナ位置信号S15の授受を行うアンテナ走行制御装置である。
【0083】
また送信アンテナ昇降機構13a、受信アンテナ昇降機構13bには実施の形態1、実施の形態2におけるものと同様の働きをする送信アンテナ指向角回転機構9a、受信アンテナ指向角回転機構9bが備わっている。
【0084】
信号処理装置12は上記の各部位の制御のための目標制御信号S9、アンテナ制御信号S10、送受信装置制御信号S11の送出と、それぞれデジタル信号化された目標回転角度信号S2、アンテナ回転角度信号S4、アンテナ指向角度信号S6、アンテナ高さ信号S13、アンテナ位置信号S15及び散乱電界信号S8の受信、並びに上記各種情報をもとにした以下のレーダ断面積計測方法によるレーダ断面積算出処理を実行する。この発明の実施の形態3により実現できるレーダ断面積計測方法の詳細は以下のとおりである。
【0085】
目標1は球面走査回転できる目標回転機構3上に保持されており、送信アンテナ2a、受信アンテナ2bは直線状のレール14の上を移動できるとともにその高さの調整も可能となっているので、この構成により目標と波源、観測点とを任意のバイスタティック角2α、任意のアスペクト角(θ,Φ)に初期設定したのち、このアスペクト角を中心とする微小角度範囲内を平面走査法により走査することが可能である。この制御は全て信号処理装置12から行うことが可能である。
【0086】
したがって信号処理装置12では上記走査によって計測される目標1からの散乱電界信号S8、目標回転角度信号S2、アンテナ高さ信号S13、アンテナ位置信号S15、アンテナ指向角度信号S6等の情報を使用して、以下の手順により遠方領域でのレーダ断面積σを算出することができる。
【0087】
実施の形態1におけるのと同じく、ここで計測される目標からの散乱電界ES’(θ,Φ)は、実際の送信アンテナ2a、受信アンテナ2bの指向性形状と指向方向によって決まるf1(θ,Φ)及び実際の受信アンテナ2bの指向性形状と指向方向によって決まるf2(θ,Φ)を本来の一様分布、平等受信時の等価散乱係数Se(y,z)に乗じて得られる等価散乱係数Se’(y,z)をフレネル変換することで得られるものである。平面走査に対応する散乱電界の式である数7に上記の概念を適用すると数22となる。これは球面走査法を使用した実施の形態1の説明における数16に相当するものである。
【0088】
【数22】
【0089】
実際に計測された散乱電界ES’(θ,Φ)から等価散乱係数Se(y,z)を求めるには、実施の形態1における数14の代わりに数23を用いてフレネル変換を行えばよい。
【0090】
【数23】
【0091】
数23の積分範囲ΦW,θWは2次元の微小角度範囲であり、実行上は目標回転機構3により設定された角度(θ,Φ)を中心として、送信アンテナ2a、受信アンテナ2bの昇降により実現される角度θの変化と、レール14上を送信アンテナ2a、受信アンテナ2bが直線的に移動することにより実現される角度Φの変化から決まるものである。あとは実施の形態1あるいは実施の形態2におけるのと同じく、取得されたこの範囲内複数点の(θ,Φ)に対応する散乱電界値を数値積分して数4から遠方領域の散乱界を求め、最後にレーダ断面積の定義から数5を用いて遠方バイスタティックレーダ断面積の推定値を得ることができる。
【0092】
実施の形態4.
尚上記実施の形態3では送信アンテナ2a、受信アンテナ2bを別々の架に設置することでそれぞれ別々にその位置、高さを変えることができるようにした例を示したが、図7に示すように、これらを共通の架に設置し、送受共用のアンテナ昇降機構13、アンテナ走行機構16を用いて2次元の微小角度範囲ΦW,θWを走査できるようにしてもよい。この場合の計測はモノスタティックレーダ断面積計測となり、実施の形態3においては数23が用いられた等価散乱係数を求める式として数24を適用すればよい。
【0093】
【数24】
【0094】
これから遠方領域のモノスタティック散乱界、遠方モノスタティックレーダ断面積を推定する手順は他の実施の形態におけるのと同様である。
【0095】
実施の形態5.
また上記実施の形態3では目標1を俯仰角回転が可能な目標回転機構3に搭載し、これにより目標と波源、観測点とを任意のアスペクト角(θ,Φ)に初期設定する方式としたが、図8に示すように、目標1を固定の目標支持架台18の上に搭載するようにしてもよい。この場合はアンテナ昇降機構13a、13bによる送受信アンテナ2a、2bの上下動、アンテナ走行機構16a、16bによる送受信アンテナ2a、2bの位置移動によってのみアスペクト角の設定がなされることとなるため、この形態は比較的狭い角度範囲のバイスタティックレーダ断面積を計測するのに適した形態ということになる。散乱電界の計測値から等価散乱係数、バイスタティックレーダ断面積を推定するアルゴリズムは実施の形態3に適用されるものと共通である。
【0096】
【発明の効果】
この発明に係るレーダ断面積計測方法は、目標のレーダ断面積の計測方法において、目標から近傍領域で目標を照射する送信アンテナと目標からの散乱波を受信する受信アンテナとを目標に対して走査し目標の散乱電界を計測し、得られた測定値をフレネル変換することで得られる目標上の異なる部位の第一の等価散乱係数に対し、送信アンテナの指向性と指向方向、受信アンテナの指向性と指向方向、及び目標と送受信アンテナの距離並びに目標の姿勢により決まる目標上の振幅・位相分布の補正を加えて補正された第二の等価散乱係数を求め、第二の等価散乱係数を所定の微小角度範囲でフレネル変換することにより遠方領域における散乱電界を推定し、遠方領域における散乱電界から遠方領域におけるレーダ断面積を求める。そのため、使用するアンテナの指向性により生じる計測対象目標上の振幅テーパに影響されず、目標上の異なる部位の等価散乱係数を正しく求めることができ、近傍領域における散乱電界の測定値を用いて、遠方領域のレーダ断面積を正確に予測することがでる。
【0097】
また、送信アンテナと受信アンテナとを、隣接して設け、バイスタティック角を概略0に等しくし、求めるレーダ断面積をモノスタティックレーダ断面積とする。そのため、送受信アンテナの指向性により生じる目標上の振幅分布の影響を除外した、近傍界散乱特性計測値を使用しての高精度の遠方界のモノスタティックレーダ断面積推定結果が得られる。
【0098】
また、送信アンテナと受信アンテナとが形成するバイスタティック角を所定の角度とし、求めるレーダ断面積をバイスタティックレーダ断面積とする。そのため、送受信アンテナの指向性により生じる目標上の振幅分布の影響を除外した、近傍界散乱特性計測値を使用しての高精度の遠方界のバイスタティックレーダ断面積推定結果が得られる。
【0099】
また、送受信アンテナの走査は、目標に対して球面走査である。そのため、球面走査により、レーダ断面積を予測することがでる。
【0100】
また、送受信アンテナの走査は、目標に対して平面走査である。そのため、平面走査により、レーダ断面積を予測することがでる。
【0101】
また、この発明に係るレーダ断面積計測装置は、空間に保持された計測対象目標に対し電波照射を行う送信アンテナ、目標からの散乱波を受信する受信アンテナ、送信アンテナへの無線周波信号の供給と受信アンテナで受信された散乱波信号の受信処理を行う送受信装置、受信散乱波信号に基づいてレーダ断面積を算出する演算処理を行う信号処理装置を有するレーダ断面積計測装置において、
目標に対して、送受信アンテナを走査する走査機構と送信アンテナ、受信アンテナの指向方向を制御し、その指向角度を検知するアンテナ回転機構とを備え、
信号処理装置は、受信アンテナの受信した散乱波から目標の散乱電界を計測し、得られた測定値をフレネル変換することで得られる目標上の異なる部位の第一の等価散乱係数に対し、送信アンテナの指向性と指向方向、受信アンテナの指向性と指向方向、及び目標と送受信アンテナの距離並びに目標の姿勢により決まる目標上の振幅・位相分布の補正を加えて補正された第二の等価散乱係数を求め、第二の等価散乱係数を所定の微小角度範囲でフレネル変換することにより遠方領域における散乱電界を推定する。
そのため、計測装置に使用する送信アンテナ、受信アンテナの指向性、指向方向及び目標との距離並びに目標の大きさと姿勢から、実際にアンテナが目標上に形成する振幅、位相分布を知り、これを補正項として一様分布に対応する目標上の異なる部位の等価散乱係数を求め、この値を用いることで遠方領域におけるレーダ断面積を高精度に予測することができる。
【0102】
また、走査機構は、目標を支点中心に3次元に回転させる目標回転機構と、送信アンテナ及び受信アンテナを、目標からの近傍領域に隣接して設置する設置機構とを有する。そのため、送受信アンテナの指向性により生じる目標上の振幅分布の影響を除外した、近傍界散乱特性計測値を使用しての高精度の遠方界モノスタティックレーダ断面積推定結果が得られるレーダ断面積計測方法が、操作の容易な自動計測系により実現できる。そして、本計測系はその原理上近傍領域での計測を許容するので、通常の遠方領域での計測よりもより小規模なものでよい。
【0103】
また、走査機構は、目標を支持する目標支持機構と、隣接した送信アンテナ及び受信アンテナを、目標に対して近傍領域で一定の距離を保つように、目標を中心とした円弧上を移動させる円弧移動機構とを有する。そのため、送受信アンテナの指向性により生じる目標上の振幅分布の影響を除外した、近傍界散乱特性計測値を使用しての高精度の遠方界モノスタティックレーダ断面積推定結果が得られるレーダ断面積計測方法が、操作の容易な自動計測系により実現できる。そして、本計測系はその原理上近傍領域での計測を許容するので、通常の遠方領域での計測よりもより小規模なものでよいという効果があり、さらに本計測系は目標の回転を必要としないので、大型で質量の重い目標のレーダ断面積計測にも適する。
【0104】
また、走査機構は、目標を支点中心に3次元に回転させる目標回転機構と、送信アンテナ及び受信アンテナを、目標からの近傍領域に所定の角度離して設置する設置機構とを有する。そのため、送受信アンテナの指向性により生じる目標上の振幅分布の影響を除外した、近傍界散乱特性計測値を使用しての高精度の遠方界バイスタティックレーダ断面積推定結果が得られるレーダ断面積計測方法が、操作の容易な自動計測系により実現できる。そして、本計測系はその原理上近傍領域での計測を許容するので、通常の遠方領域での計測よりもより小規模なものでよい。
【0105】
また、走査機構は、目標を支持する目標支持機構と、送信アンテナ及び受信アンテナを、目標に対して近傍領域で一定の距離を保つように、目標を中心とした円弧上を互いに任意の角度離れるように移動させる円弧移動機構とを有する。そのため、送受信アンテナの指向性により生じる目標上の振幅分布の影響を除外した、近傍界散乱特性計測値を使用しての高精度の遠方界バイスタティックレーダ断面積推定結果が得られるレーダ断面積計測方法が、操作の容易な自動計測系により実現できる。そして、本計測系はその原理上近傍領域での計測を許容するので、通常の遠方領域での計測よりもより小規模なものでよいという効果があり、さらに本計測系は目標の回転を必要としないので、大型で質量の重い目標のレーダ断面積計測にも適する。
【0106】
また、走査機構は、目標を支持する目標支持機構と、隣接した送信アンテナ及び受信アンテナを、目標に対して近傍領域で直線移動させる直線移動機構とを有する。そのため、送受信アンテナの指向性により生じる目標上の振幅分布の影響を除外した、近傍界散乱特性計測値を使用しての高精度の遠方界モノスタティックレーダ断面積推定結果が得られるレーダ断面積計測方法が、操作の容易な自動計測系により実現できる。そして、本計測系はその原理上近傍領域での計測を許容するので、通常の遠方領域での計測よりもより小規模なものでよいという効果があり、さらに本計測系は目標の回転を必要としないので、大型で質量の重い目標のレーダ断面積計測にも適する。
【0107】
また、走査機構は、目標を支点中心に3次元に回転させる目標回転機構と、隣接した送信アンテナ及び受信アンテナを、目標に対して近傍領域で直線移動させる直線移動機構とを有する。そのため、送受信アンテナの指向性により生じる目標上の振幅分布の影響を除外した、近傍界散乱特性計測値を使用しての高精度の遠方界モノスタティックレーダ断面積推定結果が得られるレーダ断面積計測方法が、操作の容易な自動計測系により実現できる。そして、本計測系はその原理上近傍領域での計測を許容するので、通常の遠方領域での計測よりもより小規模なものでよい。
【0108】
また、走査機構は、目標を支持する目標支持機構と、送信アンテナ及び受信アンテナを、目標に対して近傍領域で任意の距離離して直線移動させる直線移動機構とを有する。そのため、送受信アンテナの指向性により生じる目標上の振幅分布の影響を除外した、近傍界散乱特性計測値を使用しての高精度の遠方界バイスタティックレーダ断面積推定結果が得られるレーダ断面積計測方法が、操作の容易な自動計測系により実現できる。そして、本計測系はその原理上近傍領域での計測を許容するので、通常の遠方領域での計測よりもより小規模なものでよいという効果があり、さらに本計測系は目標の回転を必要としないので、大型で質量の重い目標のレーダ断面積計測にも適する。
【0109】
さらに、走査機構は、目標を支点中心に3次元に回転させる目標回転機構と、送信アンテナ及び受信アンテナを、目標に対して近傍領域で任意の距離離して直線移動させる直線移動機構とを有する。そのため、送受信アンテナの指向性により生じる目標上の振幅分布の影響を除外した、近傍界散乱特性計測値を使用しての高精度の遠方界バイスタティックレーダ断面積推定結果が得られるレーダ断面積計測方法が、操作の容易な自動計測系により実現できる。そして、本計測系はその原理上近傍領域での計測を許容するので、通常の遠方領域での計測よりもより小規模なものでよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1のレーダ断面積計測装置を示す鳥かん図である。
【図2】 この発明の実施の形態1のレーダ断面積計測装置を示すブロック図である。
【図3】 この発明の実施の形態2のレーダ断面積計測装置を示す鳥かん図である。
【図4】 の発明の実施の形態2のレーダ断面積計測装置を示すブロック図である。
【図5】 この発明の実施の形態3のレーダ断面積計測装置を示す鳥かん図である。
【図6】 この発明の実施の形態3のレーダ断面積計測装置を示すブロック図である。
【図7】 この発明の実施の形態4のレーダ断面積計測装置を示す鳥かん図である。
【図8】 この発明の実施の形態5のレーダ断面積計測装置を示す鳥かん図である。
【図9】 球面走査座標系と座標パラメータの定義を示す図である。
【図10】 平面走査座標系と座標パラメータの定義を示す図である。
【図11】 送受信アンテナの電力半値幅に対するレーダ断面積計測誤差を計算する例の計算条件パラメータを示す図である。
【図12】 送受信アンテナの電力半値幅に対するレーダ断面積計測誤差の計算例を示すグラフである。
【符号の説明】
1 目標、2 送受信アンテナ、2a 送信アンテナ、2b 受信アンテナ、3 目標回転機構(走査機構)、4 目標回転制御装置、5 アンテナ保持機構、5a 送信アンテナ保持機構(走査機構)、5b 受信アンテナ保持機構(走査機構)、6 レール(走査機構)、7 アンテナ回転機構、7a 送信アンテナ回転機構(走査機構)、7b 受信アンテナ回転機構(走査機構)、8 アンテナ回転制御装置、9a 送信アンテナ指向角回転機構(走査機構)、9b 受信アンテナ指向角回転機構(走査機構)、13a 送信アンテナ昇降機構(走査機構)、13b 受信アンテナ昇降機構(走査機構)、14 レール(走査機構)、16a 送信アンテナ走行機構(走査機構)、16b 受信アンテナ走行機構(走査機構)。
Claims (14)
- 目標に対するレーダ断面積の計測方法において、
目標から近傍領域で目標を照射する送信アンテナと目標からの散乱波を受信する受信アンテナとを目標に対して走査し目標の散乱電界を計測し、
得られた測定値をフレネル変換することで得られる目標上の異なる部位の第一の等価散乱係数に対し、上記送信アンテナの指向性と指向方向、上記受信アンテナの指向性と指向方向、及び目標と上記送受信アンテナの距離並びに目標の姿勢により決まる目標上の振幅・位相分布の補正を加えて補正された第二の等価散乱係数を求め、
上記第二の等価散乱係数を所定の微小角度範囲でフレネル変換することにより遠方領域における散乱電界を推定し、
上記遠方領域における散乱電界から遠方領域におけるレーダ断面積を求める
ことを特徴とするレーダ断面積計測方法。 - 上記送信アンテナと上記受信アンテナとを、隣接して設け、バイスタティック角を概略0に等しくし、上記求めるレーダ断面積をモノスタティックレーダ断面積とする
ことを特徴とする請求項1記載のレーダ断面積計測方法。 - 上記送信アンテナと上記受信アンテナとが形成するバイスタティック角を所定の角度とし、上記求めるレーダ断面積をバイスタティックレーダ断面積とする
ことを特徴とする請求項1記載のレーダ断面積計測方法。 - 上記送受信アンテナの走査は、上記目標に対して球面走査である
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載のレーダ断面積計測方法。 - 上記送受信アンテナの走査は、上記目標に対して平面走査である
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の記載のレーダ断面積計測方法。 - 空間に保持された計測対象目標に対し電波照射を行う送信アンテナ、
上記目標からの散乱波を受信する受信アンテナ、
上記送信アンテナへの無線周波信号の供給と上記受信アンテナで受信された散乱波信号の受信処理を行う送受信装置、
上記受信散乱波信号に基づいてレーダ断面積を算出する演算処理を行う信号処理装置を有するレーダ断面積計測装置において、
上記目標に対して、上記送受信アンテナを走査する走査機構と
送信アンテナ、受信アンテナの指向方向を制御し、その指向角度を検知するアンテナ回転機構とを備え、
上記信号処理装置は、上記受信アンテナの受信した散乱波から目標の散乱電界を計測し、
得られた測定値をフレネル変換することで得られる目標上の異なる部位の第一の等価散乱係数に対し、上記送信アンテナの指向性と指向方向、上記受信アンテナの指向性と指向方向、及び目標と上記送受信アンテナの距離並びに目標の姿勢により決まる目標上の振幅・位相分布の補正を加えて補正された第二の等価散乱係数を求め、
上記第二の等価散乱係数を所定の微小角度範囲でフレネル変換することにより遠方領域における散乱電界を推定する
ことを特徴とするレーダ断面積計測装置。 - 上記走査機構は、目標を支点中心に3次元に回転させる目標回転機構と、
上記送信アンテナ及び受信アンテナを、目標からの近傍領域に隣接して設置する設置機構とを有する
ことを特徴とする請求項6記載のレーダ断面積計測装置。 - 上記走査機構は、目標を支持する目標支持機構と、
隣接した上記送信アンテナ及び受信アンテナを、目標に対して近傍領域で一定の距離を保つように、目標を中心とした円弧上を移動させる円弧移動機構とを有する
ことを特徴とする請求項6記載のレーダ断面積計測装置。 - 上記走査機構は、目標を支点中心に3次元に回転させる目標回転機構と、
上記送信アンテナ及び受信アンテナを、目標からの近傍領域に所定の角度離して設置する設置機構とを有する
ことを特徴とする請求項6記載のレーダ断面積計測装置。 - 上記走査機構は、目標を支持する目標支持機構と、
上記送信アンテナ及び受信アンテナを、目標に対して近傍領域で一定の距離を保つように、目標を中心とした円弧上を互いに任意の角度離れるように移動させる円弧移動機構とを有する
ことを特徴とする請求項6記載のレーダ断面積計測装置。 - 上記走査機構は、目標を支持する目標支持機構と、
隣接した上記送信アンテナ及び受信アンテナを、目標に対して近傍領域で直線移動させる直線移動機構とを有する
ことを特徴とする請求項6記載のレーダ断面積計測装置。 - 上記走査機構は、目標を支点中心に3次元に回転させる目標回転機構と、
隣接した上記送信アンテナ及び受信アンテナを、目標に対して近傍領域で直線移動させる直線移動機構とを有する
ことを特徴とする請求項6記載のレーダ断面積計測装置。 - 上記走査機構は、目標を支持する目標支持機構と、
上記送信アンテナ及び受信アンテナを、目標に対して近傍領域で任意の距離離して直線移動させる直線移動機構とを有する
ことを特徴とする請求項6記載のレーダ断面積計測装置。 - 上記走査機構は、目標を支点中心に3次元に回転させる目標回転機構と、
上記送信アンテナ及び受信アンテナを、目標に対して近傍領域で任意の距離離して直線移動させる直線移動機構とを有する
ことを特徴とする請求項6記載のレーダ断面積計測装置。
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