JP2013238567A - レーダ試験装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】校正対象のレーダ装置が移動体に搭載され、かつ移動中の場合、校正ターゲットをアンテナビームが指向する方向に設置することは難しい。校正ターゲットの位置がビーム方向からずれることで、ビーム指向性の調整と、レーダの絶対校正の正確性が低下する。移動体としては、軌道上の人工衛星や走行中の自動車を想定する。
【解決手段】レーダ試験装置を2台以上設置することで、被搭載移動体が移動中であっても、ビーム指向誤差の測定とレーダの絶対校正を行うことができる。
【選択図】図1
【解決手段】レーダ試験装置を2台以上設置することで、被搭載移動体が移動中であっても、ビーム指向誤差の測定とレーダの絶対校正を行うことができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、自動車、航空機、人工衛星などの移動体に搭載されるレーダの絶対校正等に用いられるレーダ試験装置に関する。
近年、自動車などの移動体に搭載されたレーダは多数のアンテナ素子から成るアクティブフェーズドアレイによるアンテナ装置を利用している。このアンテナ装置は、個々のモジュールを電気的に制御することで、全体として任意の指向性が得られる。アレーアンテナの指向性の制御は、各アンテナに取り付けられている振幅調整器及び可変移相器によって振幅と位相を調整することで行う。
アレーアンテナでは、各アンテナ素子に対応する回路特性のばらつき、素子配置のばらつきなどの原因により、各アンテナ素子の振幅特性、位相特性が目的の値からずれ、アンテナビームの指向性に誤差が生じる。このため、従来はアンテナビームの指向する方向に校正ターゲットを設置し、アンテナ素子の振幅・位相特性に補正値を加えてビームの指向性を調整している。
ビーム中心方向では、アンテナパターンの変化が緩やかであり、校正対象のレーダ装置が静止している場合には、校正ターゲットをビーム中心方向に設置することは容易であるので、ビーム指向性の調整とレーダの絶対校正が行える。ビーム指向性の調整を行うことを目的として、アンテナパターンのNull点を利用する方法
もある。
しかしながら、校正対象のレーダ装置が移動体に搭載され、かつ移動中の場合、校正ターゲットをアンテナビーム中心方向やアンテナパターンのNull点の方向に設置することは難しい。校正ターゲットの位置がビーム中心からずれることで、ビーム指向性の調整と、レーダの絶対校正の正確性が低下する。移動体としては、軌道上の人工衛星や走行中の自動車を想定する。
以上の課題を解決するために、第一発明は校正ターゲットとして、送受信機能を有するレーダ試験装置を2台以上用いて、ビーム指向誤差を測定し、そのレーダ試験装置の設置位置に相当するアンテナパターンの重み付けを計算した上で、レーダの絶対校正を行う。
第二発明は、レーダ試験装置から送信した電波が、校正対象のレーダ装置の受信機の受信時刻において、その他のターゲット等からの受信電力と重畳しないよう工夫を施すことで、レーダ試験装置からの受信電力値の測定を可能にし、校正対象のレーダ装置の受信ビームの指向誤差の測定と受信機の絶対校正を行う。
本発明によれば、被搭載移動体が移動中であっても、ビーム指向誤差の測定とレーダの絶対校正を行うことができる。ビーム指向誤差については、移動体の進行方向の成分と、進行方向に垂直な方向の成分に分離することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、校正対象のレーダ装置10と、そのアンテナビーム内でのレーダ試験装置の配置を示す。アンテナメインビームの範囲内12にレーダ試験装置を設置面13に沿って配置している。別の角度から見ると、ビームフットプリント15内にレーダ試験装置21,22,23が分散配置されている。各位置はGPS受信機5により位置情報を記録する(図2)。近接して配置する場合には位置関係を実測する。
図2のレーダ試験装置は、レーダ装置10のアンテナ11から送信した電波を受信する機能と、レーダ装置10のアンテナ11に向けて電波を送信する機能を有する。それらの機能はコントローラ4により制御する。
図3を用いて、2台のレーダ試験装置22,23を用いる場合のビーム指向誤差の測定方法を説明する。ここでフリスの伝達公式を数1で表す。
P 受信電力(W)、PT 送信電力(W)、l 電波の波長(m)、r 送信/受信アンテナ間距離(m)、GT 送信側アンテナゲイン(絶対利得、単位:倍)、G 受信側アンテナゲイン(絶対利得、単位:倍)
P 受信電力(W)、PT 送信電力(W)、l 電波の波長(m)、r 送信/受信アンテナ間距離(m)、GT 送信側アンテナゲイン(絶対利得、単位:倍)、G 受信側アンテナゲイン(絶対利得、単位:倍)
この式でθ1,θ2は図3に示す角度である。ビーム指向誤差が無い場合(つまりΔ=0)、ビーム方向はレーダ視線方向14に一致する。G0はアンテナピークゲイン、関数fはアンテナパターンを意味し、角度の関数として表す。アンテナパターンfとして、ガウス関数やSinc関数によるモデル、計算または予め測定した実測のアンテナパターン、のいずれも利用できる (f1, f2, f3も同様)。
図4にビーム指向誤差Δを図示する。ビーム指向誤差Δがあるために、アンテナゲイン34はアンテナゲイン33に上昇し、一方、アンテナゲイン35はアンテナゲイン36に低下する。
数4,5を数2,3に代入し、未知数(PTG0の積、Δ)を求めることができる。P1,P2はレーダ試験装置22,23による測定値、r1,r2,θ1,θ2は各装置の位置情報等から決まる値である。2台のレーダ試験装置を用いる方法は、自動車搭載レーダのように、アンテナビームの走査方向を左右方向に限定している場合に特に有効である。
図5により、3台のレーダ試験装置21,22,23を用いる場合のビーム指向誤差の測定方法を説明する。ここでは、各レーダ試験装置を直角三角形31の頂点上に配置する場合を考える。
フリスの伝達公式により、数2,3と同様にして、校正対象のレーダ装置とレーダ試験装置21の間に数6が成立する。
フリスの伝達公式により、数2,3と同様にして、校正対象のレーダ装置とレーダ試験装置21の間に数6が成立する。
図5の左下図はアンテナ11、レーダ試験装置22,23を頂点とする三角形と、レーダ視線方向18を前記三角形に正射影した直線18aの関係を示す。この図の変数を用いてアンテナゲインGT1,GT2について、数7,8が成立する。ここで、前記三角形の断面方向のアンテナゲインのピーク値をG'0 , 同面内でのアンテナパターンを関数f2とする。
図5の右下図はアンテナ11、レーダ試験装置21,22を頂点とする三角形と、レーダ視線方向18を前記三角形に正射影した直線18bの関係を示す。この図の変数を用いてアンテナゲインGT1,GT3について、数9,10が成立する。ここで、前記三角形の断面方向のアンテナゲインのピーク値をG''0 , 同面内でのアンテナパターンを関数f3とする。
図5のように3台のレーダ試験装置21,22,23を直角三角形31の頂点上に配置したことで、数11は球面三角法の余弦法則を適用し簡単な形で表せている。
直角三角形31の一辺が移動体の進行方向と平行になるようにレーダ試験装置21,22,23を配置すると、ビーム指向誤差Δを移動体の進行方向の成分(たとえばΔ2)と進行方向に垂直な方向の成分(たとえばΔ3)に分離して計算することができる。
数2,3に数7,8を代入、数2,6に数9,10を代入し、未知数(PTG'0の積、PTG''0の積、Δ2、Δ3)を求める。P3,P1,P2はレーダ試験装置21、22,23による測定値、r1,r2,r3, θ1,θ2,θ'1,θ3は各装置の位置情報等から決まる値である。
数11から求まるΔと、ビーム指向誤差がある場合のレーダ視線方向18cの関係を図6の下図に示す。三角形32内の角度θについて、数12が成立する。数12と数7、9との等値性とPTG'0またはPTG''0の値を用いて、PTG0の値が求まる。
繰り返し校正作業を行う場合など、ビーム指向誤差がある場合のレーダ視線方向18cがある程度予測できる場合には、その方向18cにレーダ試験装置を設置すると、アンテナパターンの関数(f1, f2, f3)を用いずに直接的に校正を行うことができる。
次に、校正対象のレーダ装置10のアンテナ11の受信ビームの指向誤差とレーダ装置10の受信機の校正を行う場合について説明する。この場合、図2のレーダ試験装置の送信機3bのアンテナ2bから送信した電波1bを、アンテナ11を通してレーダ装置10で受信する。
フリスの伝達公式を用いて、レーダ装置10のアンテナ11とレーダ試験装置21,22,23の位置関係から、ビーム指向誤差の測定と、レーダ装置10の絶対校正を行う点は、0010〜0025と同じである。
レーダ装置10とレーダ試験装置21,22,23の動作フローチャートを図7に示す。レーダ試験装置21,22,23からは、それぞれ異なる遅延時間T101〜T103の後、連続波を一定時間送信し、レーダ装置10のアンテナ11で受信する。具体的には、レーダ装置10のアンテナ11から送信した電波をレーダ試験装置で受信し、その受信時を基準にしてレーダ試験装置21,22,23から送信するタイミングを遅延させるという処理をコントローラ4上で行う[(1) GPSの時刻データを参照しない方法]。人工衛星搭載レーダのように軌道情報等からレーダ試験装置の設置位置を通過する時刻を予測できる場合には、レーダ試験装置側でGPSの時刻データを参照する方法を用いることができる。この方法では、レーダ装置10を搭載した移動体がレーダ試験装置の設置位置を通過する時刻を予測した上で、コントローラ4に接続したGPS受信機5から時刻情報を得て、その時刻を基準にしてレーダ試験装置21,22,23から送信するタイミングを遅延させる処理をコントローラ4上で行う[(2) GPSの時刻データを参照する方法]。
レーダ試験装置21〜23から送信した電波41a〜43aが互いに重ならないように、送信する時間を調整する(図8)。レーダ装置10が受信した電力は図8右図のように、送信側のレーダ試験装置によって異なる受信電力値41b〜43bとなる。
校正時のレーダ装置10のアンテナ11の位置とレーダ視線方向によって地表面等からのエコー44aが混入するレンジビンが決まるので、地表面等からのエコーに重畳しないようにレーダ試験装置21,22,23から送信するタイミングを遅延させる(この点は(1), (2)の方法に共通)。タイミングを遅延させる方法として、コントローラ4により遅延させる方法と、特許文献2のように設置位置を調整することで遅延させる方法がある。
このようにして得られる受信電力値41b,42b,43bに基づいて、レーダ装置10とレーダ試験装置21,22,23の間にフリスの伝達公式を適用する。
レーダ装置10が移動体に搭載されるという特徴から、3台のレーダ試験装置でも実質的に6台分の試験データを取得することが可能である(図9)。ビームフットプリントの移動前のレーダ試験装置を21b,22b、23bと表記する。これらの位置でのデータを保存しておく。前位置のデータを利用する場合の一例として、レーダ試験装置21,22、22bの位置のレーダ試験データを選択して、ビーム指向誤差の推定とレーダの絶対校正を行う(レーダ試験装置21,22、22bの設置位置が直角三角形になる)。
また、レーダ試験装置23をレーダ視線方向18cに設置すると、アンテナパターンの関数(f1, f2, f3)を用いずに絶対校正が可能である。ただしレーダ視線方向18cを知るには0010〜0032の作業を一回以上は事前に行う必要がある。
また、レーダ試験装置23をレーダ視線方向18cに設置すると、アンテナパターンの関数(f1, f2, f3)を用いずに絶対校正が可能である。ただしレーダ視線方向18cを知るには0010〜0032の作業を一回以上は事前に行う必要がある。
本発明の産業上の利用可能性は、自動車、航空機、人工衛星等の移動体に搭載されたレーダの、ビーム指向性の測定や、絶対校正等に使用するレーダ試験装置として役立つ。
10:校正対象のレーダ装置
11:レーダ装置10のアンテナ
12:アンテナ11のメインビームの範囲
13:レーダ試験装置の設置面
14:レーダ視線方向
15:ビームフットプリント
16:移動体
17:GPS受信機
21〜23:レーダ試験装置
11:レーダ装置10のアンテナ
12:アンテナ11のメインビームの範囲
13:レーダ試験装置の設置面
14:レーダ視線方向
15:ビームフットプリント
16:移動体
17:GPS受信機
21〜23:レーダ試験装置
Claims (4)
- 移動体に搭載されたレーダの校正に用いるレーダ試験装置であって、
前記レーダ試験装置は、前記レーダとの間で電波の送受信を行うアンテナと、
前記レーダとの電波の送受信を制御するコントローラと、
前記レーダ試験装置の位置情報と時刻を取得する装置と、を備えており、
前記レーダ試験装置は2台以上設置されることで、前記レーダの放射パターンを異なる位置で測定することを特徴とするレーダ試験装置。 - 3台の前記レーダ試験装置が、直角三角形の頂点上に配置されることを特徴とするレーダ試験装置。
- 請求項1に記載のレーダ試験装置のコントローラは、
前記レーダからの電波を受信後、所定の遅延時間を付加して前記レーダに電波を送信することを特徴とするレーダ試験装置。 - 請求項1に記載のレーダ試験装置のコントローラは、
前記レーダ試験装置の位置情報と時刻を取得する装置から得る時刻を基準とし、所定の遅延時間を付加して前記レーダに電波を送信することを特徴とするレーダ試験装置。
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