JP3707007B2 - 電気接点部材およびその製造方法 - Google Patents

電気接点部材およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP3707007B2
JP3707007B2 JP2001122901A JP2001122901A JP3707007B2 JP 3707007 B2 JP3707007 B2 JP 3707007B2 JP 2001122901 A JP2001122901 A JP 2001122901A JP 2001122901 A JP2001122901 A JP 2001122901A JP 3707007 B2 JP3707007 B2 JP 3707007B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
contact
plating
nickel
electrical contact
contact member
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2001122901A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2002158056A (ja
Inventor
正 福本
唯志 新谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Japan Aviation Electronics Industry Ltd
Original Assignee
Japan Aviation Electronics Industry Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Japan Aviation Electronics Industry Ltd filed Critical Japan Aviation Electronics Industry Ltd
Priority to JP2001122901A priority Critical patent/JP3707007B2/ja
Publication of JP2002158056A publication Critical patent/JP2002158056A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3707007B2 publication Critical patent/JP3707007B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Contacts (AREA)
  • Manufacturing Of Electrical Connectors (AREA)
  • Chemically Coating (AREA)
  • Electroplating Methods And Accessories (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気接点部材とその製造方法に関し、詳しくは、突き当て式コネクタに適用され、多数回の嵌合・離脱においても安定な接触抵抗を可能にする電気接点部材およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、電子機器等に用いられているコネクタの大部分は摺動を伴うスライド式接触機構を有する。これは、接触金属表面上に生成した酸化物、硫化物、大気中からの吸着汚染物、ピンホールからの腐食物などを摺動により排除し、確実に金属接触を行わせ導通を安定化させるためである。
【0003】
しかしながら、このスライド式の場合、嵌合・離脱時には挿入力と抜去力が発生し、操作に大きな力が必要となる。また、摺動により金属摩耗が進行するという欠点があった。
【0004】
これに対して、突き当て式のコネクタの場合、通常の摺動を伴うコネクタ(スライド式)に比べ、挿入,抜去時の力が小さく、嵌合・離脱の操作,取り扱いが楽でまた簡単であるという利点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この突き当て式のコネクタの場合、電気接点部材としてのコンタクトの金属接触時の摺動がほとんど発生しないため、接触金属表面上に形成された酸化皮膜、硫化皮膜酸や付着した汚染物、腐食物等の排除ができなく接触抵抗が上昇し導通が不安定になるという欠点があった。
【0006】
この欠点を補うため、従来接触金属として酸化膜、硫化膜が生成しない金を採用し、また、突き当てによる接触力を、0.5N以上とし、更に、1mm前後の摺動が発生するように、コンタクト形状を工夫することで対処していた。
【0007】
しかし、この場合においても、大きい接触力とスライド式よりは短いが、摺動により接触金属の摩耗が進行し、多数回(1000回以上)の使用に耐えられないという状況であった。また、コンタクト芯数が多くなれば突き当てによる総合接触力が大きくなり、嵌合状態を保持するためのロック機構をより強固なものにする必要があるなど突き当て式のコネクタの使用を困難にしていた。
【0008】
これに対し、接触金属の表面上に突起を形成させ相手金属に対して突き刺すことにより、汚染皮膜を破り金属接触を確保するという提案がされている(特開平11−74012号公報、以下、参考例と呼ぶ、参照)。
【0009】
しかしながら、この参考例においては、ばね性を備えたコンタクトを押し付けることによって、微小の摺動が発生し、これによって、コンタクトの相手金属を摩耗させ、ダメージを与えたり、多数回(例えば、100回)のコネクタの嵌合には耐えられないという欠点を有している。
【0010】
そこで、本発明の一技術的課題は、突き当て式コネクタ用として、小さい接触力(0.1N〜0.5N)で、多数回(100回〜10000回)の嵌合・離脱においても安定な接触抵抗を可能にすることができる電気接触部材とその製造方法とを提供することにある。
【0011】
また、本発明のもう一つの技術的課題は、小さい接触力で可能なため多芯数においても、総合接触力を小さく抑えることができ、ロック機構を簡便にすることが可能となる電気接触部材と、その製造方法と、それを用いたコネクタとを提供することにある。
【0012】
さらに、本発明のさらにもう一つの技術的課題は、コンタクト形状をシンプルにできる電気接触部材と、その製造方法と、それを用いたコネクタとを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
また、本発明によれば、ばね性を備えた電気接点部材において、電気接点部材の表面の少なくとも一部に粒子径1.0〜5.0μmの硬質粒子を含む複合めっきから成る第1のめっき層と、前記第1のめっき層上に前記複合めっきと同種の金属めっきから成る第2のめっき層と、前記第2のめっき層上に前記第2のめっき層と異なり、かつ仕上げめっきとしての金属めっきから成る第3のめっき層とを施してなり、前記硬質粒子によって、前記電気接点部材の表面の少なくとも一部に夫々高さが3μm以下の複数の突起部が形成され、前記第2のめっき層によって突起の高さが3μm以下に調整されていることを特徴とする電気接点部材が得られる。
【0015】
また、本発明によれば、前記電気接点部材において、前記第3のめっき層は、錫、ニッケル、銀の内の少なくとも一種を含む合金から実質的になることを特徴とする電気接点部材が得られる。
【0016】
また、本発明によれば、前記いずれか一つの電気接点部材において、前記第1のめっき層は、ニッケル複合めっき層から実質的になることを特徴とする電気接点部材が得られる。
【0017】
また、本発明によれば、前記いずれか一つの電気接点部材をコンタクトに用いたことを特徴とするコネクタが得られる。
【0018】
また、本発明によれば、前記コネクタにおいて、前記電気接点部材は突き当て式の前記コンタクトに用いたことを特徴とするコネクタが得られる。
【0019】
また、本発明によれば、電気接点部材の形成方法において、電気接点部材の表面の少なくとも一部に、粒子径1.0〜5.0μmの硬質粒子を含む電解または無電解複合めっきによって硬質粒子を共析させて突起部を形成する第1工程と、前記複合めっきと同種の金属めっきにより突起部の高さを制御し、かつ粒子部表面を覆う第2工程と、前記複合めっきと異なり、かつ仕上げめっきとしての金属めっきを施す第3工程とを備え、前記硬質粒子によって、前記電気接点部材の表面の少なくとも一部に夫々高さが3μm以下の複数の突起部を形成するとともに前記第2のめっき層によって突起の高さを3μm以下に調整することを特徴とする電気接点部材の製造方法が得られる。
【0021】
また、本発明によれば、前記電気接点部材の製造方法において、前記第3のめっき層は、錫、ニッケル、銀の内の少なくとも一種を含む合金から実質的になることを特徴とする電気接点部材の製造方法が得られる。
【0022】
さらに、本発明によれば、前記いずれか一つの電気接点部材の製造方法において、前記第1のめっき層は、ニッケル複合めっき層から実質的になることを特徴とする電気接点部材の製造方法が得られる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0024】
図1(a)は本発明の実施の形態によるコネクタを示す斜視図、図1(b)は図1(a)のコネクタのレセプタクル側コネクタのコンタクトとプラグ側コネクタのコンタクトとの接触の説明に供せられる斜視図である。
【0025】
図1(a)を参照すると、本発明の実施の形態によるコネクタ30は、互いに接触面を対向させて接触するプラグコネクタ10とレセプタクルコネクタ20とを備えている。
【0026】
プラグコネクタ10は、インシュレータ2と、このインシュレータ2の収容部2aに収容された電気接点としてのプラグコンタクト1とを備えている。
【0027】
また、レセプタクルコネクタ20は、接触側の一面に形成された矩形の電極11と、他面に形成され電極11に夫々接続する導体パターン12とを備えている。
【0028】
矢印5に示されるように、プラグコンタクト1と電極11とは、接触及び離脱する。
【0029】
図1(b)に示すように、レセプタクルコンタクトである電極11は平板形状を備えている。
【0030】
一方、プラグコンタクト1は、四角板状でインシュレータ2に支持された支持部1aと、支持部1aの一端から延び、折れ曲がって斜め下方に延び、さらに、折れ曲がって支持部と平行に延在する基板実装用の端子部1bと、支持部1aの他端から外方延在し、上方にUターンして幾分支持部1a側に戻る形状のUターン部1d、Uターン部1dからさらに上方に凸となるように湾曲した湾曲部1e、及び先端部1fを備え、先端部1fがこの湾曲部1eの内側となるように形成されたバネ性を備えた接触部1cとを備えている。
【0031】
矢印6で示される方向で、プラグコンタクト1と電極11とは、接触及び脱離する。
【0032】
次に、本発明のコネクタの原理について説明する。
【0033】
本発明者らは、突き当て接触機構について誠意検討した結果、接触における理想的嵌合条件における場合においても、プラグコンタクト対レセプタクルコンタクトの接触により、ミクロ的に観察した場合、接触部分には微少な摺動が発生することを見出した。
【0034】
これは、本発明のように、突き当て方式にする場合、少なくとも一方のコンタクト(主にプラグ側)を接触力が発生するようバネ性のある形状にすることが有効であるためである。
【0035】
バネ性のない、例えば、棒状のものを用いた場合、接触力を発生させるためにスプリングなどのコンタクトを押し付けるための別の機構を加える必要があり構造的に複雑となるため好ましくない。
【0036】
これに対して、本発明のように、バネ性のあるコンタクトをレセプタクル側の平面に押し当てた場合、押し付ける力(接触力)によりコンタクトは微少変形し同時に微少の摺動が生じることとなる。
【0037】
この摺動距離は、バネ変形量すなわち接触力に関係し、バネ変形量は、コンタクトの特性(素材,板厚,形状など)に関係する。
【0038】
図2は図1(a)及び(b)に示した本発明の実施の形態によるコネクタと同様な形状のものにおけるプラグコンタクトと平面との突き当ての場合の摺動距離と接触力との関係を示す図である。
【0039】
図2に示すように、接触力が0.4N以下では100μm以下の摺動が略比例関係を保って発生する。また、プラグ側として棒状のものを用いた場合、面に対して正確に突き当てれば摺動はないが、振動やプラグとレセプタクルの突き当て角度の変化により容易に摺動が発生してしまうことが判明した。
【0040】
このような突き当て式接触において、突起のある金属表面を用いた場合、より汚染皮膜を破り、金属接触を確保するためには、突起は凸部が大きく鋭い形状の方が良い。
【0041】
しかしながら、上記で説明のように微少の摺動が生じるため、突起部は相手金属を摩耗させダメージを与えることが判明した。このため100回以上の多数回使用には、採用できないということがわかった。
【0042】
したがって、本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、硬質の粒子(1.0から5.0μm径)を含有させためっき皮膜で、突起部の高さを3μm以下とし、最適には0.5〜1.5μmとすれば、突起による汚染皮膜の突き破りの効果を保持し更に微少の摺動発生によるワイピング効果をより効果のあるものにすることができ、しかも、相手金属に対する摩耗によるダメージを抑えることができるということが判った。
【0043】
これによって、突き当て式のコンタクトにおいても、100回以上の多数回嵌合が可能となった。
【0044】
更に、本発明によって、酸化膜や硫化膜の生成する錫および錫合金,ニッケルおよびニッケル合金,銀および銀合金を、金の代替え接触金属として採用することが可能となった。
【0045】
次に、本発明の実施の形態におけるコネクタの突き当て式用の電気接点部材の製造方法について説明する。
【0046】
電気接点部材は、低接触力でしかも多数回の嵌合においても安定した接触抵抗を維持し、更に金以外のより卑な金属を採用するために、硬質の粒子(1.0から5.0μm径)を含有させためっき皮膜で、突起部の高さを3μm以下とし、最適には0.5〜1.5μmとすればよい。
【0047】
この電気接点部材を形成するために、素材上の第1のめっき層として硬質粒子を含むニッケル複合めっき方法により粒子をニッケルとともに共析させ、突起表面を形成させる。この場合、めっきは電解法あるいは無電解法のいずれも用いることができる。また、粒子は硬質で不溶性のものであれば、内容をとわないが、好ましくは導電性を持つものがよく、TiN,WC,ZrB,Ni粒子が適する。
【0048】
更に、第1のめっき層上を覆うように形成される第2のめっき層として、粒子を含まないめっき液によりニッケル皮膜を電気めっきにより生成させ、粒子表面のニッケル被覆を十分に達成すると同時に突起の高さを調整する。この場合、突起部によりめっき電流の集中が生じ突起部の高さが大きくなるためレベリング作用のあるめっき光沢剤を用いることで、高さを抑えることができる。
【0049】
更に、第2のめっき層を覆う第3のめっき層として、接触用の金属錫及び錫合金,ニッケルおよびニッケル合金,銀および銀合金を電解法あるいは無電解法で生成させ、図3に示すような表面状態を備えた本発明の電気接点部材が完成する。
【0050】
次に、本発明の実施の形態による電気接点部材の具体例について説明する。
【0051】
以下の例においては、プラグコンタクトをバネ性のある図1の形状のコンタクトを用いるとともに、レセプタクルコンタクトとしてフラットな面を持つコンタクトを用い、6芯を1コネクタとして、突き当てによる嵌合・離脱による接触抵抗の状況を測定した。
【0052】
下記表1の試料1乃至試料8の結果は、○は接触抵抗安定で良好×は、接触抵抗上昇し不安定で不良を示す。また、試料1,3,5,7は本発明例、試料2,4,6,8は比較例である。
【0053】
【表1】
Figure 0003707007
【0054】
また、試料1乃至試料6(接触金属として錫、錫・鉛合金,ニッケル)についてはめっき処理後2週間室内オフィス環境中に、例7(接触金属として銀)についてはめっき処理後1ケ月間室内オフィス環境中に放置後試験に使用した。
【0055】
ここで、試料1では、レセプタクル側として、平均粒径2μmのZrB硬質粒子を30g/Lの濃度でスルファミン酸ニッケル(金属ニッケルとして換算)100g/L〜140g/L,ほう酸30g/L〜50g/Lの範囲で調製したニッケル複合めっき液により、液温60℃で、電流密度20A/dmで60秒間めっきし、粒子をニッケル析出により固定し、突起部のある第1層とした。次に表面に完全に固定されていない粒子や付着しただけの粒子を取り除くために温度50℃の水を用いて超音波洗浄を実施し不要な粒子を取り除く工程を実施した。次に、粒子を含まないスルファミン酸ニッケル(金属ニッケルとして換算)100g/L〜140g/L、ほう酸30g/L〜50g/Lの範囲で調製したニッケルめっき液にさらに一次光沢剤および二次光沢剤を適量添加しレベリング作用のあるめっき液とした。
【0056】
液温60℃で、電流密度30A/dmで50秒間めっきし、突起部のさらなるニッケルめっきの被覆と高さ調整を行ない第2層とした。さらに接触金属として、硫酸第一錫(金属錫として換算)30g/L、濃硫酸130g/Lに光沢剤を適量加えた錫めっき液を調製し、液温20℃で電流密度3A/dmで120秒間めっきし第3のめっき層とした。
【0057】
図3は試料1の電気接点部材の表面を示す電子顕微鏡写真である。
【0058】
試料1のプラグ側は、粒子を含まないスルファミン酸ニッケル(金属ニッケルとして換算)100g/L〜140g/L、ほう酸30g/L〜50g/Lの範囲で調整したニッケルめっき液にさらに一次光沢剤および二次光沢剤を適量添加しレベリング作用のあるめっき液とした。液温60℃、電流密度30A/dmで90秒間めっきし第1層とした。さらに接触金属として、硫酸第一錫(金属錫として換算)30g/L、濃硫酸130g/Lに光沢剤を適量加えた錫めっき液を調整し、液温20℃、電流密度3A/dmで120秒間めっきし第2層とした。
【0059】
試料2の比較例プラグ、レセプタクル側は試料1のプラグ側と同一の仕様とした。
【0060】
また、試料3では、プラグ側として、錫−鉛合金を用いた。具体的には、平均粒径2μmのTiN硬質粒子を20g/Lの濃度でスルファミン酸ニッケル(金属ニッケルとして換算)100g/L〜140g/L、ほう酸30g/L〜50g/Lの範囲で調製したニッケル複合めっき液により、液温60℃で、電流密度20A/dmで60秒間めっきし、粒子をニッケル析出により固定し、突起部のある第1層とした。次に、表面に完全に固定されていない粒子や付着しただけの粒子を取り除くために温度50℃の水を用いて超音波洗浄を実施し不要な粒子を取り除く工程を実施した。その次に、粒子を含まないスルファミン酸ニッケル(金属ニッケルとして換算)100g/L〜140g/L、ほう酸30g/L〜50g/Lの範囲で調整したニッケルめっき液にさらに一次光沢剤および二次光沢剤を適量添加しレベリング作用のあるめっき液とした。
【0061】
液温60℃で、電流密度30A/dmで50秒間めっきし、突起部のさらなるニッケルめっきの被覆と高さ調整を行ない第2層とした。さらに接触金属として、アルカノールスルホン酸第一錫(金属錫として換算)40g/L、アルカノールスルホン酸鉛(金属鉛として換算)5g/L,遊離アルカノールスルホン酸100g/Lに光沢剤を適量加えたはんだめっき液を調製し、液温20℃で電流密度10A/dmで40秒間めっきし、第3層とした。
【0062】
試料3のレセプタクル側は、粒子を含まないスルファミン酸ニッケル(金属ニッケルとして換算)100g/L〜140g/L、ほう酸30g/L〜50g/Lの範囲で調整したニッケルめっき液にさらに一次光沢剤および二次光沢剤を適量添加しレベリング作用のあるめっき液とした。液温60℃、電流密度30A/dmで90秒間めっきし第1層とした。さらに接触金属として、アルカノールスルホン酸第一錫(金属錫として換算)40g/L、アルカノールスルホン酸鉛(金属鉛として換算)5g/L、遊離アルカノールスルホン酸100g/Lに光沢剤を適量加えたはんだめっき液を調整し、液温20℃、電流密度10A/dmで40秒間めっきし第2層とした。
【0063】
試料4の比較例プラグ、レセプタクル側は試料3のレセプタクル側と同一の仕様とした。
【0064】
また、試料5では、レセプタクル側にニッケルを用いた。具体的には、平均粒径2μmの金属Ni粒子を40g/Lの濃度でスルファミン酸ニッケル(金属ニッケルとして換算)100g/L〜140g/L、ほう酸30g/L〜50g/Lの範囲で調製したニッケル複合めっき液により、液温60℃で、電流密度20A/dmで40秒間めっきし、粒子をニッケル析出により固定し、突起部のある第1層とした。次に、表面に完全に固定さていない粒子や付着しただけの粒子を取り除くために温度50℃の水を用いて超音波洗浄を実施し、不要な粒子を取り除く工程を実施した。その次に粒子を含まないスルファミン酸ニッケル(金属ニッケルとして換算)100g/L〜140g/L、ほう酸30g/L〜50g/Lの範囲で調製したニッケルめっき液にさらに一次光沢剤および二次光沢剤を適量添加しレベリング作用のあるめっき液とした。
【0065】
液温60℃で、電流密度30A/dmで40秒間めっきし、突起部のさらなるニッケルめっきの被覆と高さ調整を行ない第2層とした。更に、同めっき液(二次光沢剤を加えない)により、電流密度を60A/dmに上げ、20秒間めっきし第3層とした。
【0066】
試料5のプラグ側は、粒子を含まないスルファミン酸ニッケル(金属ニッケルとして換算)100g/L〜140g/L、ほう酸30g/L〜50g/Lの範囲で調整したニッケルめっき液にさらに一次光沢剤および二次光沢剤を適量添加しレベリング作用のあるめっき液とした。液温60℃、電流密度30A/dmで110秒間めっきし接触金属とした。
【0067】
試料6の比較例プラグ、レセプタクル側は、試料5のプラグ側と同一の仕様とした。
【0068】
また、同じ試料7においては、プラグ側の電気接点部材として銀めっきを用いた。具体的には、第1,第2層は、上記例と同様にめっきした。それは、平均粒径2μmのZrB硬質粒子を30g/Lの濃度でスルファミン酸ニッケル(金属ニッケルとして換算)100g/L〜140g/L、ほう酸30g/L〜50g/Lの範囲で調製したニッケル複合めっき液により、液温60℃で、電流密度20A/dmで60秒間めっきし、粒子をニッケル析出により固定し、突起部のある第1層とした。次に表面に完全に固定されていない粒子や付着しただけの粒子を取り除くために温度50℃の水を用いて超音波洗浄の実施し、不要な粒子を取り除く工程を実施した。その次に、粒子を含まないスルファミン酸ニッケル(金属ニッケルとして換算)100g/L〜140g/L、ほう酸30g/L〜50g/Lの範囲で調製したニッケルめっき液にさらに一次光沢剤および二次光沢剤を適量添加しレベリング作用のあるめっき液とした。
【0069】
液温60℃で、電流密度30A/dmで50秒間めっきし、突起部のさらなるニッケルめっきの被覆と高さ調整を行ない第2層とした。さらに、接触金属として、シアン化銀(金属銀として換算)40g/L、遊離シアンナトリウム35g/L、炭酸カリウム50g/Lに光沢剤を適量加えた銀めっき液を調製し、液温25℃で電流密度1.5A/dmで5分間めっきし第3層とした。
【0070】
試料7のレセプタクル側は、粒子を含まないスルファミン酸ニッケル(金属ニッケルとして換算)100g/L〜140g/L、ほう酸30g/L〜50g/Lの範囲で調整したニッケルめっき液にさらに一次光沢剤および二次光沢剤を適量添加しレベリング作用のあるめっき液とした。液温60℃、電流密度30A/dmで90秒間めっきし第1層とした。さらに接触金属としてシアン化銀(金属銀として換算)40g/L、遊離シアンナトリウム35g/L、炭酸カリウム50g/Lに光沢剤を適量加えた銀めっき液を調整し、液温25℃、電流密度1.5A/dm,5分間めっきし第2層とした。
【0071】
試料8の比較例プラグレセプタクル側は、試料7のレセプタクル側と同一の仕様とした。試料9は本発明のめっき工程内の超音波工程を施さないものを試料1の比較例として作製した。作製上のレセプタクル側は、試料1の超音波工程を除いた以外は、同仕様である。プラグ側は、試料1のプラグ側と同じ仕様のものである。
【0072】
また、超音波工程は、表面に完全に固定されていない粒子や付着しただけの粒子を取り除く効果があり、粒子の脱落、めっき欠損部をなくすことで、初期接触抵抗、耐摩耗性を含め耐食性の向上にも効果がある。
【0073】
試料1と試料9の初期抵抗の安定性について、接触力と接触抵抗の関係を測定し、図4に示した。図4を参照すると、試料1は試料9に比べて低接触力で安定している。
【0074】
また、図5に示すように、試料1,9の挿抜回数10000回までの接触抵抗変化を比べると試料1は10000回でも接触抵抗は安定しているが、超音波工程がない試料9は5000回ぐらいから徐々に接触抵抗は問題にならない程度であるが上昇していることからも超音波工程の効果は、十分にあると考える。
【0075】
図6乃至図9は嵌合・離脱回数における接触抵抗の変動状況(挿抜回数と接触抵抗)に示す図である。尚、図6乃至図9においては、接触抵抗オープン値はグラフ上2000mΩとしている。
【0076】
図6乃至図9から明らかなように、本発明例(試料1,3,5,7)は、比較例(試料2,4,6,8)よりも、挿抜回数が増加しても接触抵抗が増加していないことが判る。
【0077】
図10は本発明の第2の実施の形態によるコネクタを示す断面図である。図11は図10のコネクタの要部を示す部分斜視図である。図12は図10及び図11のコンタクトの斜視図である。図13は図12のコンタクトの断面図である。
【0078】
図10及び図11を参照すると、基板21上にコネクタ31が搭載され、このコネクタ31間に跨ってIC7が搭載されている。基板21は、一面に印刷又はめっきによって形成された第1の導体パターン22と、第1の導体パターン22上に形成された2層構造の第2の導体パターン28とを備えている。第2の導体パターン28は、下層の第1層28aとしてNi層及びその上に形成されたAu,Sn,又はSn/Pbからなる第2層28bとを備えている。
【0079】
コネクタ31は、コンタクト収容孔23aを備えており、下面を基板21上の第1の導体パターン22に接触するとともに、コンタクト収容孔23a内に第2の導体パターン28が収容されるように、基板21上に載置されている。
【0080】
コンタクト収容孔23aには、W形状のコンタクト8が収容されており、一端は第2の導体パターン28に接触するとともに、他端は上方にその一面を向けて収容されている。このコンタクト8の他端に、IC7のリード24が接触するように、搭載されている。
【0081】
図12及び図13に示すように、コンタクト8は略W字型に屈曲しており、やや幅が広い中心部8aと、その中心部8aから屈曲して延在するばね部8b、8cとを備えている。
【0082】
ばね部8bは、中心部8aの一端が円弧を描いて屈曲して延在し、その先端で下方に屈曲して、さらに上方に向かって屈曲して上方に延び、さらに、中心部に向かって水平に延在する基部8dと、基部8dから斜め上方に延び先端付近で上方に凸となるように湾曲する接点部8eとを備えている。接点部8eの頂点付近には、複合めっき15が施されている。
【0083】
同様に、ばね部8cは、中心部8aの一端が円弧を描いて屈曲して延在し、その先端で上方に屈曲して、さらに下方に向かって屈曲して下方に延び、さらに、中心部8aに向かって水平に延在する基部8gと、基部8gから斜め上方に延び先端付近で下方に凸となるように湾曲する接点部8fとを備えている。接点部8fの下底部付近には、複合めっき15が施されている。
【0084】
図13(b)を参照すると、コンタクトの接点部8e,8hの表面には、まず、硬質粒子15bを含むNiめっき層15a,が形成され、その上に第2肯定のニッケルめっき層15cが形成され、その上に仕上めっき層15dが形成されている。
【0085】
図14(a)及び(b)は図12に示したコンタクトの製造方法の説明に供せられる斜視図である。
【0086】
図14(a)を参照すると、ばね性を備えた金属一枚板9の打ち抜き、折り曲げ加工によって、金属一枚板9の一端にコンタクト8を形成する。但し、図示の状態においては、コンタクト8の中心部8aは常に、金属板9に結合したままである。
【0087】
図14(b)に示すように、一端にコンタクト8が形成された金属板のコンタクトの部位をめっき装置41に浸漬する。図示の装置は、第1のめっき層を形成するための装置で、このめっき装置41は、めっき槽37と、めっき槽37中に満たされためっき液とを備えており、アノード金属板を陽極35とし、陰極に金属板9を接続して、コンタクト8をめっき液に浸すことによって行われる。めっき液中には、TiN,WC,ZrB,Ni粒子等の硬質粒子33が攪拌機32によって攪拌されて浮遊している。めっき浴の組成、条件等は、第1の実施の形態による試料1乃至8の製造方法と同様である。尚、コンタクト8はめっきを施す部分以外の表面は、樹脂等の吹き付けによってマスキングを施しても良い。
【0088】
めっきを施されたコンタクト8は、さらに個々に切り離されて、図13(a)及び(b)に示すコンタクトとなる。
【0089】
次に本発明の更なる具体例について説明する。
【0090】
プラグ側をばね性のある図1の形状のコンタクトを用い、レセプタクル側としてフラットな面を持つコンタクトを用い、突き当てによる嵌合・離脱による接触抵抗の状況を測定した例を示す。6芯を一つのコネクタとして測定した。
【0091】
【表2】
Figure 0003707007
【0092】
上記表2の例の結果は、◎は接触抵抗安定で良好、×は接触抵抗上昇し、不安定で不良を示す。嵌合・離脱回数による接触抵抗の変動状況を図15〜19に示す。
【0093】
また、試料10〜14については、めっき処理後2週間室内オフィス環境中に放置後、試験に使用した。
【0094】
本発明による初期接触抵抗測定例を示す。
【0095】
本発明に使用しているソケットコンタクト1と複合めっきした相手側の平板52とを用意し、図20に示すように、基板(パターンは金めっき)20上のコンタクト1を金めっき済のコンタクト押さえ治具51をセットし、金めっきを施したプローブ(金プローブ)53に相手側平板52をセットし、金プローブ53を上から押し当てて、荷重54を加えながら接触力と接触抵抗(4端子法)の関係を求めた。
【0096】
ここで、試料10の作成方法を説明する。レセプタクル側として、平均粒径2μmのZrB硬質粒子を30g/Lの濃度でスルファミン酸ニッケル(金属ニッケルとして換算、以下同様)100g/L〜140g/L、ほう酸30g/L〜50g/Lの範囲で調整したニッケル複合めっき液により、液温60℃で、電流密度20A/dmで60秒間めっきし、粒子をニッケル析出により固定し、突起部のある第1層とした。次に、表面に完全に固定されていない粒子や付着しただけの粒子を取り除くために、温度50℃の水を用いて超音波洗浄を実施し、不要な粒子を取り除く工程を実施した。超音波工程は、表面の完全に固定されていない粒子や付着しただけの粒子を取り除く効果があり、粒子の脱落、めっきの欠損部をなくすことで初期接触抵抗、耐摩耗性を含め、耐食性の向上にも効果がある。
【0097】
次に、粒子を含まないスルファミン酸ニッケル(金属ニッケルとして換算)100g/L〜140g/L、ほう酸30g/L〜50g/Lの範囲で調整したニッケルめっき液にさらに、一次光沢剤および二次光沢剤を適量添加し、レベリング作用のあるめっき液とした。液温60℃、電流密度30A/dmで50秒間めっきし、突起部のさらなるニッケルめっきの被覆と高さ調整を行い第2層とした。さらに接触金属として、硫酸第1錫(金属錫として換算)30g/L、濃硫酸130g/Lに光沢剤を適量加えた錫めっき液を調整し、液温20℃、電流密度3A/dmで120秒間めっきし第3層とした。図21は試料10の電気接点部材の表面を示す電子顕微鏡写真である。
【0098】
試料10のプラグ側は、粒子を含まないスルファミン酸ニッケル(金属ニッケルに換算して)100g/L〜140g/L、ほう酸30〜50g/Lの範囲で調整したニッケルめっき液に更に,一次光沢剤および二次光沢剤を適量添加し、レベリング作用のあるめっき液とした。液温60℃、電流密度30A/dmで90秒間めっきして第1層とした。さらに、接触金属として、硫酸第1錫(金属錫として換算)30g/L、濃硫酸130g/Lに光沢剤を適量加えた錫めっき液を調整し、液温20℃、電流密度3A/dmで120秒間めっきし第2層とした。
【0099】
試料11のレセプタクル側は、試料10のZrB粒子にしたものである。粒子の析出状態の違いによる接触特性の際を比較する。めっき条件は、試料10と粒子以外は同じ仕様とした。レセプタクル側として、平均粒径2μmのTiN硬質粒子を30g/Lの濃度でスルファミン酸ニッケル(金属ニッケルとして換算、以下同様)100g/L〜140g/L、ほう酸30g/L〜50g/Lの範囲で調整したニッケル複合めっき液により、液温60℃で、電流密度20A/dmで60秒間めっきし、粒子をニッケル析出により固定し、突起部のある第1層とした。次に表面に完全に固定されていない粒子や付着しただけの粒子を取り除くために、温度50℃の水を用いて超音波洗浄を実施し、不要な粒子を取り除く工程を実施した。次に粒子を含まないスルファミン酸ニッケル(金属ニッケルとして換算)100g/L〜140g/L、ほう酸30g/L〜50g/Lの範囲で調整したニッケルめっき液にさらに、一次光沢剤および二次光沢剤を適量添加し、レベリング作用のあるめっき液とした。液温60℃、電流密度30A/dmで50秒間めっきし、突起部のさらなるニッケルめっきの被覆と高さ調整を行い第2層とした。さらに、接触金属として、硫酸第一錫(金属錫として換算)30g/L、濃硫酸130g/Lに光沢剤を適量加えた錫めっき液を調製し、液温20℃、電流密度3A/dmで120秒間めっきし、第3層とした。
【0100】
図21は試料11の電気接点部材の表面を示す電子顕微鏡写真である。粒子が均一に析出しておらず、凝集して析出している様子がわかる。電流密度をある程度下げ5A/dm、30秒間にて行なっても、凝集傾向は、小さくなるが完全になくなりはしなかた。また、試料11のプラグ側は、試料10のプラグ側と同仕様である。さらに、試料12のレセブタクル側は、試料11のZrB粒子径をかえたものである。粒子径の違いによる接触特性の差異を比較する。めっき条件は、試料10と粒子以外は同じ仕様とした。レセプタクル側として、平均粒径10μm以上のZrB硬質粒子を30g/Lの濃度でスルファミン酸ニツケル(金属ニッケルとして換算)100g/L〜140g/L,ほう酸30g/Lの範囲で調整したニッケル複合めっき液により、液温60℃で、電流密度20A/dmで60秒間めっきし、粒子をニッケル析出により固定し、突起部のある第1層とした。次に、表面に完全に固定されていない粒子や付着しただけの粒子を取り除くために、温度50℃の水を用いて超音波洗浄を実施し、不要な粒子を取り除く工程を実施した。
【0101】
次に、粒子を含まないスルファミン酸ニッケル(金属ニッケルとして換算)100g/L〜140g/L、ほう酸30g/L〜50g/Lの範囲で調整したニッケルめっき液に、さらに、一次光沢剤および二次光沢剤を適量添加し、レベリング作用のあるめっき液とした。液温60℃、電流密度30A/dmで50秒間めっきし、突起部のさらなるニッケルめっきの被覆と高さ調整を行い、第2層とした。さらに、接触金属として、硫酸第1錫(金属錫として換算)30g/L,濃硫酸130g/Lに光沢剤を適量加えた錫めっき液を調整し、液温20℃、電流密度3A/dmで120秒間めっきし、第3層とした。図22は、試料12の電気接点部材の表面を示す電子顕微鏡写真である。また、試料12のラグ側は、試料10のプラグ側と同仕様である。さらに、試料13のレセプタクル側は、第2、第3のめっき液に光沢剤を加えないもしくは光沢作用がない添加剤を加えたもので突起形状を形成すると粒子に沿っためっき層を形成し粒子の形に近い突起が作られ、光沢剤の入っためっき液によって作られた突起形状との差異を接触抵抗特性にて比較する。平均粒径2μmのZrB硬質粒子を20g/Lの濃度で、スルファミン酸ニッケル(金属ニッケルに換算)100g/L〜140g/L、ほう酸30g/L〜50g/Lの範囲で調整したニッケル複合めっき液により、液温60℃、電流密度20A/dmで60秒間めっきし、粒子をニッケル析出により固定し、突起部のある第1層とした。次に表面に完全に固定されていない粒子や付着しただけの粒子を除くために、温度50℃の水を用いて超音波洗浄を実施し、不要な粒子を取り除く工程を実施した。その次に、粒子を含まないスルファミン酸ニッケル(金属ニッケルに換算)100g/L〜140g/L、ほう酸30g/L〜50g/Lの範囲で調整したニッケルめっき液に一次光沢剤および二次光沢剤を添加せずレベリング作用のないめっき液とした。液温60℃で、電流密度30A/dmで50秒間めっきし、突起部のさらなるニッケルめっきを行い第2層とした。さらに、接触金属として、硫酸第1錫(金属錫として換算)30g/L、濃硫酸130g/Lに無光沢添加剤を適量加えた錫めっき液を調整し、液温20℃、電流密度3A/dmで120秒間めっきし第3層とした。図23は試料13の電気接点部材の表面を示す電子顕微鏡写真である。
【0102】
試料13のプラグ側は、粒子を含まないスルファミン酸ニッケル(金属ニッケルに換算)100g/L〜140g/L、ほう酸30g/L〜50g/Lの範囲で調製したニッケルめっき液にさらに、一次光沢剤及び二次光沢剤を添加しないめっき液とした。液温60℃、電流密度30g/Lで90秒間めっきし、第1層としさらに接触金属として、硫酸第1錫(金属錫として換算)30g/L、濃硫酸130g/Lに無光沢の添加剤を適量加えた錫めっき液を調整し、液温20℃、電流密度3A/dmで120秒間めっきし、第3層とした。
【0103】
試料14は本発明のめっき工程内の超音波工程をしないものを試料10の比較例として作製した。
【0104】
また、試料14のレセプタクル側は、平均粒径2μmのZrB硬質粒子を30g/Lの濃度でスルファミン酸ニッケル(金属ニッケルとして換算)100g/L〜140g/L、ほう酸30g/L〜50g/Lの範囲で調整したニッケル複合めっき液により液温60℃で、電流密度20A/dmで60秒間めっきし、粒子をニッケル析出により固定し、突起部のある第1層とした。次に表面に完全に固定されていない粒子や付着しただけの粒子を取り除くための超音波洗浄工程を実施しなかった。
【0105】
次に、粒子を含まないスルファミン酸ニッケル(金属ニッケルとして換算)100g/L〜140g/L、ほう酸30g/L〜50g/Lの範囲で調整したニッケルめっき液に更に,一次光沢剤および二次光沢剤を適量添加し、レベリング作用のあるめっき液とした。液温60℃、電流密度30A/dmで50秒間めっきし、突起部のさらなるニッケルめっきの被覆と高さの調整を行い、第2層とした。さらに、接触金属として、硫酸第1錫(金属錫として換算)30g/L、濃硫酸130g/Lに光沢剤を加えた錫めっき液を調整し、液温20℃、電流密度3A/dmで120秒間めっきし、第3層とした。
【0106】
作製上のレセプタクル側は、試料10の超音波工程を除いた以外は、同じ仕様のものである。
【0107】
また、試料10と試料14の初期抵抗の安定性について、接触力と接触抵抗の関係を測定し、図19に示した。試料10は、試料14に比べ抵抗力が安定している。
【0108】
さらに、図18にて試料10,14の挿抜回数10000回までの接触抵抗変化を比べると試料10は、10000回でも接触抵抗は安定しているが、超音波工程がない試料14は、5000回ぐらいから徐々に接触抵抗は上昇していることからも超音波工程の効果は十分にあると考える。
【0109】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、突き当て式コネクタ用として、小さい接触力(0.1N〜0.5N)で、多数回(1000回〜10000回)の嵌合・離脱においても安定な接触抵抗を可能にすることができる接点部材とその製造方法とを提供することができる。
【0110】
また、本発明によれば、特別にコンタクト形状を工夫して、摺動距離を長くとれるようにする必要がないためコンタクト形状をシンプルにすることができる。しかも、接触金属として金を用いることなく、より卑な金属として安価な錫および錫合金,ニッケルおよびニッケル合金,銀および銀合金を用いることができるため、価格を低くすることができる接点部材とその製造方法とを提供することができる。
【0111】
また、本発明によれば、小さい接触力で可能なため多芯数においても、総合接触力を小さく抑えることができ、ロック機構を簡便にすることが可能となる電子部品の生産方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の実施の形態によるコネクタを示す斜視図である。
(b)は図1(a)のコネクタのレセプタクル側コネクタのコンタクトとプラグ側コネクタのコンタクトとの接触の説明に供せられる斜視図である。
【図2】図1(a)及び(b)に示した本発明の実施の形態によるコネクタと同様な形状のものにおけるプラグコンタクトと平面との突き当ての場合の摺動距離と接触力との関係を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態による電気接点部材の表面の金属組識を示す電子顕微鏡写真であり、例として試料1の表面を斜め上方から眺めた像を示している。
【図4】試料1及び9のW−R初期特性を示す図である。
【図5】試料1及び9の挿抜10000回までの接触抵抗変化を示す図である。
【図6】試料1及び2の嵌合・離脱回数における接触抵抗の変動状況(挿抜回数と接触抵抗)を示す図である。
【図7】試料3及び4の嵌合・離脱回数における接触抵抗の変動状況(挿抜回数と接触抵抗)を示す図である。
【図8】試料5及び6の嵌合・離脱回数における接触抵抗の変動状況(挿抜回数と接触抵抗)を示す図である。
【図9】試料7及び8の嵌合・離脱回数における接触抵抗の変動状況(挿抜回数と接触抵抗)を示す図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態によるコネクタを示す断面図である。
【図11】図10のコネクタの要部を示す部分斜視図である。
【図12】図10及び図11のコンタクトの斜視図である。
【図13】(a)は図12のコンタクトの断面図である。
(b)は(a)のコンタクトの部分断面図である。
【図14】(a)及び(b)は図12に示したコンタクトの製造方法の説明に供せられる斜視図である。
【図15】本発明の実施の形態によるコンタクトの挿抜回数と接触抵抗との関係を示す図である。
【図16】本発明の実施の形態によるコンタクトの挿抜回数と接触抵抗との関係を示す図である。
【図17】本発明の実施の形態によるコンタクトの挿抜回数と接触抵抗との関係を示す図である。
【図18】本発明の実施の形態によるコンタクトの挿抜回数と接触抵抗との関係を示す図である。
【図19】本発明の実施の形態によるコンタクトの荷重と接触抵抗との関係を示す図である。
【図20】本発明の実施の形態によるソケットコンタクトと、複合めっきした平板との接触力と接触抵抗との関係を示す図である。
【図21】(a)及び(b)は、本発明の実施の形態によるコンタクト試料10及び11の電気接点部材の表面の金属組織を示す電子顕微鏡写真である。
【図22】(a)及び(b)は、本発明の実施の形態によるコンタクト試料10及び12の電気接点部材の表面の金属組織を示す電子顕微鏡写真である。
【図23】(a)及び(b)は、本発明の実施の形態によるコンタクト試料10及び13の電気接点部材の表面の金属組織を示す電子顕微鏡写真である。
【図24】(a)及び(b)は、本発明の実施の形態によるコンタクト試料10及び14の電機接点部材の表面の金属組織を示す電子顕微鏡写真である。
【符号の説明】
1 プラグコンタクト
1a 支持部
1b 端子部
1c 接触部
1d Uターン部
1e 湾曲部
1f 先端部
2 インシュレータ
2a 収容部
5,6 矢印
7 IC
8 コンタクト
8a 中心部
8b,8c ばね部
8d 基部
8e,8f 接点部
8g 基部
9 金属(一枚)板
10 プラグコネクタ
11 電極
12 導体パターン
15 複合めっき
15a Niめっき層
15b 仕上めっき層
20 レセプタクルコネクタ
21 基板
22 第1の導体パターン
23a コンタクト収容孔
24 リード
28 第2の導体パターン
30 コネクタ
31 コネクタ
32 攪拌機
33 硬質粒子
35 陽極
37 めっき槽
41 めっき装置

Claims (8)

  1. ばね性を備えた電気接点部材において、電気接点部材の表面の少なくとも一部に粒子径1.0〜5.0μmの硬質粒子を含む複合めっきから成る第1のめっき層と、前記第1のめっき層上に前記複合めっきと同種の金属めっきから成る第2のめっき層と、前記第2のめっき層上に前記第2のめっき層と異なり、かつ仕上げめっきとしての金属めっきから成る第3のめっき層とを施してなり、前記硬質粒子によって、前記電気接点部材の表面の少なくとも一部に夫々高さが3μm以下の複数の突起部が形成され、前記第2のめっき層によって突起の高さが3μm以下に調整されていることを特徴とする電気接点部材。
  2. 請求項1に記載の電気接点部材において、前記第3のめっき層は、錫、ニッケル、銀の内の少なくとも一種を含む合金から実質的になることを特徴とする電気接点部材。
  3. 請求項1又は2に記載の電気接点部材において、前記第1のめっき層は、ニッケル複合めっき層から実質的になることを特徴とする電気接点部材。
  4. 請求項1乃至の内のいずれか一つに記載の電気接点部材をコンタクトに用いたことを特徴とするコネクタ。
  5. 請求項4に記載のコネクタにおいて、前記電気接点部材は突き当て式の前記コンタクトに用いたことを特徴とするコネクタ。
  6. 電気接点部材の形成方法において、電気接点部材の表面の少なくとも一部に、粒子径1.0〜5.0μmの硬質粒子を含む電解または無電解複合めっきによって硬質粒子を共析させて突起部を形成する第1工程と、前記複合めっきと同種の金属めっきにより突起部の高さを制御し、かつ粒子部表面を覆う第2工程と、前記複合めっきと異なり、かつ仕上げめっきとしての金属めっきを施す第3工程とを備え、前記硬質粒子によって、前記電気接点部材の表面の少なくとも一部に夫々高さが3μm以下の複数の突起部を形成するとともに前記第2のめっき層によって突起の高さを3μm以下に調整することを特徴とする電気接点部材の製造方法。
  7. 請求項6に記載の電気接点部材の製造方法において、前記第3のめっき層は、錫、ニッケル、銀の内の少なくとも一種を含む合金から実質的になることを特徴とする電気接点部材の製造方法。
  8. 請求項6又は7の内のいずれか一つに記載の電気接点部材の製造方法において、前記第1のめっき層は、ニッケル複合めっき層から実質的になることを特徴とする電気接点部材の製造方法。
JP2001122901A 2000-09-11 2001-04-20 電気接点部材およびその製造方法 Expired - Fee Related JP3707007B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001122901A JP3707007B2 (ja) 2000-09-11 2001-04-20 電気接点部材およびその製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000274845 2000-09-11
JP2000-274845 2000-09-11
JP2001122901A JP3707007B2 (ja) 2000-09-11 2001-04-20 電気接点部材およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002158056A JP2002158056A (ja) 2002-05-31
JP3707007B2 true JP3707007B2 (ja) 2005-10-19

Family

ID=26599640

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001122901A Expired - Fee Related JP3707007B2 (ja) 2000-09-11 2001-04-20 電気接点部材およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3707007B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4383735B2 (ja) * 2002-12-13 2009-12-16 矢崎総業株式会社 圧着端子
JP4556562B2 (ja) * 2004-09-01 2010-10-06 セイコーエプソン株式会社 液体噴射ヘッド
JP2008293746A (ja) 2007-05-23 2008-12-04 Japan Aviation Electronics Industry Ltd コネクタ
JP4924854B1 (ja) * 2011-03-15 2012-04-25 オムロン株式会社 コンタクト及び金属部品の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2002158056A (ja) 2002-05-31

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5667543B2 (ja) 銀めっき材およびその製造方法
US10177479B2 (en) Terminal pair and connector pair including terminal pair
JP4024244B2 (ja) 接続部品用導電材料及びその製造方法
WO2018221087A1 (ja) Pcb端子
JP2015143385A (ja) 錫めっき銅合金端子材
JP5464284B1 (ja) コネクタ端子及びコネクタ端子の製造方法
JP2009282003A (ja) 接点部材
JP2013189680A (ja) 銀めっき材
Zhou et al. The comparison of electrochemical migration mechanism between electroless silver plating and silver electroplating
JP4840546B2 (ja) コンタクト製造用組成物およびこれを用いたコンタクト並びにコネクタ
WO2014148200A1 (ja) 銀めっき材
JP3707007B2 (ja) 電気接点部材およびその製造方法
CN109844182A (zh) 在金属基材上沉积锡层的方法和使用所述方法包含镍/磷合金底层和所述锡层的结构的用途
CN110326168A (zh) 防腐蚀端子材料及防腐蚀端子以及电线末端部结构
WO2014050772A1 (ja) 銀めっき材およびその製造方法
JP2010090400A (ja) 導電材及びその製造方法
US6360437B1 (en) Electrical contact having surface coating layer with irregular surface due to hard particles dispersed in the surface coating layer
JP6733491B2 (ja) 接続端子および接続端子の製造方法
JP7302364B2 (ja) コネクタ用端子材及びコネクタ用端子
JP4704132B2 (ja) 複合めっき材およびその製造方法
JP3939252B2 (ja) コンタクト
WO2024116940A1 (ja) 銀被覆材の製造方法、銀被覆材および通電部品
TWI420753B (zh) 電連接器端子
WO2021181901A1 (ja) 銀めっき材およびその製造方法
JP2009026500A (ja) 導電部材、端子、導電部材の製造方法、及び端子の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050222

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050302

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050428

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20050713

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20050720

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 3707007

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080812

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090812

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090812

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100812

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100812

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100812

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110812

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110812

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120812

Year of fee payment: 7

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120812

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120812

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130812

Year of fee payment: 8

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130812

Year of fee payment: 8

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees