JP3706591B2 - 皮膚外用剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、皮膚外用剤に関し、更に詳細には、熟成させたトマト搾汁液の画分を有効成分として含有する化粧料、外用医薬品等の皮膚外用剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、皮膚外用剤(例えば、乳液、クリーム、化粧水、パック、洗浄料、ファンデーション等の化粧品や医薬部外品、分散液、軟膏剤、クリーム剤、外用液等の外用医薬品など)の多くは、有効成分として種々の薬効成分を含んでいる。例えば、美白用皮膚外用剤では、日焼け等により生じる皮膚の黒化や炎症、色素沈着により生じるシミ、ソバカス等の現象を防止するために、ビタミンC類や、グルタチオン、ハイドロキノン及びその誘導体、胎盤抽出物、植物抽出物等の美白剤が配合されている。さらに、特開2000−229828号公報には、トマトの搾汁液を有効成分として利用した美白用皮膚外用剤が、美白効果を奏することが開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの薬効成分を配合した皮膚外用剤では、美白等の薬効が必ずしも十分でなかったり、あるいは、製剤中で変質するなどして所望の薬効が得られない場合があり、その改善が望まれていた。
本発明は、美肌効果、特に美白効果に優れた皮膚外用剤を提供することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は鋭意検討を重ねた結果、トマトの搾汁液を熟成させることによって、メラニン生成抑制作用が向上し、美肌効果、特に美白効果が改善されるとの知見を得、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。熟成によって、美白効果が向上することについての詳細は明らかではないが、トマト搾汁液は、アミノ酸及び還元糖を豊富に含んでいるので、熟成させることによってアミノ酸と還元糖とのメイラード反応が進行してメイラード反応生成物が生じ、この反応生成物が美肌効果、特に美白効果の向上に寄与しているものと推定される。
【0005】
即ち、本発明により、熟成させたトマト搾汁液を有効成分として含有する皮膚外用剤が提供される。また、本発明により、熟成させたトマト搾汁液の分子量1万以下の画分を有効成分として含有する皮膚外用剤が提供される。
【0006】
また、本発明の一態様として、温度30〜60℃で熟成させたトマト搾汁液、又はこれを有効成分として含有する皮膚外用剤;及び1〜6週間熟成させたトマト搾汁液を有効成分として含有する皮膚外用剤;美白用皮膚外用剤であることを特徴とする上記皮膚外用剤;が提供される。
【0007】
また、別の観点から、本発明によって、熟成させたトマトの搾汁液の分子量1万以下の画分;熟成させたトマトの搾汁液の分子量1万以下の画分からなるメラニン生成抑制剤;トマトの搾汁液を熟成させる工程と、前記熟成させたトマトの搾汁液の一部又は全部を配合する工程を含む皮膚外用剤の調製方法;トマトの搾汁液を熟成させる工程と、前記熟成させたトマトの搾汁液から分子量1万以下の画分を分取し、該画分を配合する工程を含む皮膚外用剤の調製方法;が提供される。
【0008】
なお、本明細書において「美肌」の用語は、例えば、色素沈着の抑制、肌のくすみ、日やけなどによる皮膚の黒化、シミ、ソバカスの防止及び改善などを含めて最も広義に解釈する必要があり、「美白」がその範囲に含まれることを理解すべきである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明では、熟成させたトマトの搾汁液を皮膚外用剤の有効成分として用いる。原料として使用されるトマトは、ライコペルシカム エスカレンタム(Lycopersicum esculentum ;ナス科)等の果実であるが、その種類や産地は特に制限されるものではない。トマトの搾汁液は、トマトの果実を破砕、磨砕等し、所望により、裏ごし又は遠心分離等により、果皮や種子等を除去することによって得られる。より具体的には、トマトの果実を搾り、酵素処理、微細化処理、遠心分離等することによって、又はトマトペースト等に適宜水を加え(一般的には、1.5倍容量以上、好ましくは2〜5倍量の水を加え)均一に撹拌し、酵素処理、微細化処理、遠心分離等を行うことで搾汁液を得ることができる。
【0010】
この様にして得られたトマト搾汁液を熟成させる。熟成によって、トマト搾汁液の美肌効果、特に美白効果が格段に改善される。熟成によってトマト搾汁液の美肌効果が改善されることの詳細については明らかではないが、前述した様に、トマト搾汁液中のアミノ酸と還元糖とがメイラード反応し、この反応によって生成した反応生成物、その他、熟成に伴う複雑な化学変化によって生じた生成物が、美肌効果、特に美白効果の改善に影響しているものと推定される。
なお、トマト搾汁液は熟成が進むにつれて褐色に変化するので、熟成の程度は、例えば、波長450nmの吸光度を測定し、吸光度の変化により確認することができる。
【0011】
熟成は、適当な環境下に前記トマト搾汁液を長時間放置することによって行われる。熟成温度30〜60℃が好ましく、50〜60℃がより好ましい。前記温度範囲で熟成すると、美白効果をより高める点で好ましい。また、熟成期間は、1〜6週間が好ましく、2〜4週間がより好ましい。前記期間熟成すると、美白効果をより高める点で好ましい。
【0012】
熟成させたトマトの搾汁液は、そのまま皮膚外用剤中に配合することができる。また、所望により、効果に影響のない範囲で、さらに、濃縮、清澄、脱臭、脱色等の処理を施した後に用いることもできる。濃縮は、例えば、減圧加熱濃縮、逆浸透圧濃縮法等により行うことができる。清澄処理は、熟成液中からパルプ等の不溶性固形分を精密濾過処理等で分離除去することにより行うことができる。脱臭、脱色は、濾過又はイオン交換樹脂等により、臭気物質、着色物質を除去することによって行うことができる。これらの処理は繰り返し行ってもよく、また、二種以上の方法を組み合わせて行うこともできる。
【0013】
さらに、本発明では、限外濾過膜、ゲル濾過、液体クロマトグラフィー、蒸留等の分離手段を用いて、活性の高い画分のみを用いることもできる。本発明では、熟成させたトマト搾汁液中の、限外濾過膜による分離処理によって得られた分子量1万以下の画分を用いるのが好ましい。分子量1万以下の画分は、優れた美肌、特に美白効果を示す。
【0014】
この様にして得られた熟成させたトマト搾汁液(濃縮等の処理物を含む)、又はその中の特定の画分は、そのまま又は溶媒により希釈して皮膚外用剤に用いることができる。溶媒としては、例えば水;エチルアルコール等の低級1価アルコール;グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等の液状多価アルコール等の一種又は二種以上を用いることができる。又は防腐のため、パラオキシ安息香酸エステル,フェノキシエタノ−ル等の防腐剤の一種又は二種以上を加えることもできる。
【0015】
本発明の皮膚外用剤は、常法に従い、必須成分である熟成させたトマト搾汁液、又は熟成させたトマト搾汁液からの特定の画分を、通常の皮膚外用剤として知られる種々の形態の基剤に配合して調製することができる。
【0016】
本発明の皮膚外用剤における熟成させたトマト搾汁液の含有量は、固形分として0.00005〜5質量%(以下、単に「%」で示す)が好ましく、0.0005〜3%がより好ましい。この範囲内であれば、熟成させたトマト搾汁液を安定に配合することができ、かつ高いメラニン生成抑制作用を発揮することができる。
【0017】
又、本発明の皮膚外用剤の好ましい態様として、熟成させたトマト搾汁液とともに、他の薬効成分、例えば美白剤、抗酸化剤、抗炎症剤、細胞賦活剤、紫外線防止剤等から選ばれる一種又は二種以上を配合した皮膚外用剤を挙げることができる。好適な薬効成分の具体例としては、それぞれ以下に示すものが挙げられる。なお、以下に例示される種々の薬効成分において、「誘導体」には形成可能なエステルや塩が含まれる。また、二種以上の薬効を示す化合物については、重複して列挙した。
【0018】
(美白剤)
美白剤としては、ビタミンC及びその誘導体(ジパルミチン酸−L−アスコルビル、テトライソパルミチン酸−L−アスコルビル等のL−アスコルビン酸アルキルエステル、L−アスコルビン酸リン酸エステル、L−アスコルビン酸硫酸エステル等)、胎盤抽出物、グラブリジン、グラブレン、リクイリチン、イソリクイリチン及びこれらを含有するカンゾウ抽出物、ヨクイニン(ハトムギ)抽出物、コガネバナ(オウゴン)抽出物、海藻抽出物(コンブ、マコンブ、ワカメ、ヒジキ、ヒバマタ、スジメ、トロロコンブ、カジメ、ツルアラメ、チガイソ、ホンダワラ、ジャイアントケルプ等の褐藻類;テングサ、オオキリンサイ、キリンサイ、ツノマタ、スギノリ、ウスバノリ、アサクサノリ、マツノリ、トサカマツ、フノリ、オゴノリ、カイメンソウ、イギス、エゴノリ等の紅藻類;クロレラ、アオノリ、ドナリエラ、クロロコッカス、アナアオサ、カワノリ、マリモ、シオグサ、カサノリ、フトジュズモ、タマジュズモ、ヒトエグサ、アオミドロ等の緑藻類;スピルリナ等の藍藻類等)、センプクカ抽出物、ブドウ抽出物、コムギ抽出物、カロチノイド(カロチン、リコピン、アスタキサンチン等)、アガロース、オリゴサッカライド、ハイドロキノン及びその誘導体、システイン及びその誘導体、アスパラガス抽出物、イブキトラノオ抽出物、ノイバラ(エイジツ)抽出物、エゾウコギ抽出物、エンドウ豆抽出物、カミツレ抽出物、ケイケットウ抽出物、オレンジ抽出物、キイチゴ抽出物、キウイ抽出物、クララ(クジン)抽出物、コーヒー抽出物、ゴマ油、エゴマ油、ゴカヒ抽出物、コメ抽出物、コメヌカ抽出物、サイシン抽出物、サンザシ抽出物、サンペンズ(カワラケツメイ)抽出物、シャクヤク抽出物、シラユリ抽出物、クワ(ソウハクヒ)抽出物、トウキ抽出物、ブナノキ抽出物、ブナの芽抽出物、ブラックカラント抽出物、ホップ抽出物、マイカイカ(マイカイ、ハマナス)抽出物、モッカ(ボケ)抽出物、ユキノシタ抽出物、茶抽出物(烏龍茶、紅茶、緑茶等)、霊芝抽出物、微生物醗酵代謝産物、大豆抽出物、糖蜜抽出物、羅漢果抽出物等が挙げられる(尚、かっこ内は、植物の別名、生薬名等を記載した)。
【0019】
これらの美白剤のうち、特に好ましいものとしては、ビタミンC及びその誘導体、カンゾウ抽出物、ハトムギ(ヨクイニン)抽出物、コムギ抽出物、クワ(ソウハクヒ)抽出物、海藻抽出物、茶抽出物が挙げられる。
【0020】
(抗酸化剤)
また抗酸化剤としては、ビタミンE及びその誘導体(dl−α(β、γ)−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、ニコチン酸−dl−α−トコフェロール、リノール酸−dl−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロール等のトコフェロール及びその誘導体、ユビキノン類等)、ビタミンA及びその誘導体(パルミチン酸レチノール、酢酸レチノール等のレチノール及びその誘導体、デヒドロレチナール等のレチナール及びその誘導体等)、カロチノイド(カロチン、リコピン、アスタキサンチン等)、クエルセチン、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ビタミンB及びその誘導体(チアミン塩酸塩、チアミン硫酸塩、リボフラビン、酢酸リボフラビン、塩酸ピリドキシン、ピリドキシンジオクタノエート、フラビンアデニンジヌクレオチド、シアノコバラミン、葉酸類、ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル等のニコチン酸類、コリン類等)、ビタミンC及びその誘導体(ジパルミチン酸−L−アスコルビルやテトライソパルミチン酸−L−アスコルビル等のL−アスコルビン酸アルキルエステル、L−アスコルビン酸リン酸エステル、L−アスコルビン酸硫酸エステル等)、ビタミンD及びその誘導体(エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール、ジヒドロキシスタナール等)、ルチン、チオタウリン、タウリン、ハイドロキノン及びその誘導体、ヒスチジン、カテキン及びその誘導体、グラブリジン、グラブレン、リクイリチン、イソリクイリチン及びこれらを含有するカンゾウ抽出物、グルタチオン及びその誘導体、没食子酸及びその誘導体、キュウリ抽出物、ケイケットウ抽出物、ゲンチアナ(リンドウ)抽出物、ゲンノショウコ抽出物、コレステロール及びその誘導体、サンザシ抽出物、シャクヤク抽出物、スーパーオキサイドディスムターゼ、イチョウ抽出物、コガネバナ(オウゴン)抽出物、ニンジン抽出物、マイカイカ(マイカイ、ハマナス)抽出物、サンペンズ(カワラケツメイ)抽出物、トルメンチラ抽出物、パセリ抽出物、ブドウ抽出物、ボタン(ボタンピ)抽出物、マンニトール、モッカ(ボケ)抽出物、メリッサ抽出物、ヤシャジツ(ヤシャ)抽出物、ユキノシタ抽出物、ローズマリー(マンネンロウ)抽出物、レタス抽出物、茶抽出物(烏龍茶、紅茶、緑茶等)、微生物醗酵代謝産物、海藻抽出物、霊芝抽出物、卵殻膜抽出物、胎盤抽出物、羅漢果抽出物等が挙げられる(尚、かっこ内は、植物の別名、生薬名等を記載した)。
【0021】
これらの抗酸化剤のうち、特に好ましいものとしては、ビタミンE及びその誘導体、ビタミンC及びその誘導体、ルチン、ヤシャジツ抽出物、ユキノシタ抽出物、マイカイカ抽出物、スーパーオキサイドディスムターゼ、イチョウ抽出物、グルタチオン及びその誘導体、ヒスチジン、マンニトール、カロチノイドが挙げられる。
【0022】
(抗炎症剤)
抗炎症剤としては、グリチルリチン酸及びその誘導体、グリチルレチン酸及びその誘導体、ビタミンB及びその誘導体(チアミン塩酸塩、チアミン硫酸塩、リボフラビン、酢酸リボフラビン、塩酸ピリドキシン、ピリドキシンジオクタノエート、フラビンアデニンジヌクレオチド、シアノコバラミン、葉酸類、ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル等のニコチン酸類、コリン類等)、アロエ抽出物、アシタバ抽出物、アルテア抽出物、アルニカ抽出物、イオウ及びその誘導体、イラクサ抽出物、インチンコウ(カワラヨモギ)抽出物、ウコン抽出物、キハダ(オウバク)抽出物、オトギリソウ抽出物、カミツレ抽出物、コンフリー(ヒレハリソウ)抽出物、スイカズラ(キンギンカ)抽出物、クレソン抽出物、サルビア(セージ)抽出物、ワレモコウ(ジユ)抽出物、シソ抽出物、シラカバ抽出物、ニワトコ抽出物、ガマ(ホオウ)抽出物、ムクロジ抽出物、ユーカリ抽出物、ヨモギ抽出物、レンゲソウ抽出物、コンドロイチン硫酸及びその誘導体、酸化亜鉛等が挙げられる(尚、かっこ内は、植物の別名、生薬名等を記載した)。
【0023】
これらの抗炎症剤のうち、特に好ましいものとしては、グリチルリチン酸及びその誘導体、グリチルレチン酸及びその誘導体、ビタミンB類及びそれらの誘導体が挙げられる。
【0024】
(細胞賦活剤)
細胞賦活剤としては、ビタミンA及びその誘導体(パルミチン酸レチノール、酢酸レチノール等のレチノール及びその誘導体、デヒドロレチナール等のレチナール及びその誘導体等)、カロチノイド(カロチン、リコピン、アスタキサンチン等)、ビタミンB及びその誘導体(チアミン塩酸塩、チアミン硫酸塩、リボフラビン、酢酸リボフラビン、塩酸ピリドキシン、ピリドキシンジオクタノエート、フラビンアデニンジヌクレオチド、シアノコバラミン、葉酸類、ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル等のニコチン酸類、コリン類等)、ビタミンC及びその誘導体(ジパルミチン酸L−アスコルビルやテトライソパルミチン酸L−アスコルビル等のL−アスコルビン酸アルキルエステル、L−アスコルビン酸リン酸エステル、L−アスコルビン酸硫酸エステル等)、リボ核酸及びその塩、デオキシリボ核酸及びその塩、α−及びγ−リノレン酸、キサンチン及びその誘導体(カフェイン等)、アーモンド抽出物、アスパラガス抽出物、アミノ酸及びその誘導体(セリン、グルタミン酸、テアニン、ヒドロキシプロリン、ピロリドンカルボン酸等)、アンズ(キョウニン)抽出物、イチョウ抽出物、ドコサヘキサエン酸及びその誘導体、エイコサペンタエン酸及びその誘導体、キハダ(オウバク)抽出物、オオムギ(バクガ)抽出物、麦芽根抽出物、キウイ抽出物、キュウリ抽出物、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸、シイタケ抽出物、スギナ抽出物、センブリ抽出物、ダイズ抽出物、ナツメ(タイソウ)抽出物、ツボクサ抽出物、トウガラシ抽出物、トウキンセンカ抽出物、ニンニク抽出物、ニンジン抽出物、ヒノキチオール、ブクリョウ抽出物、ブドウ種子油、ブナノキ抽出物、ブナの芽抽出物、モモ抽出物、ユーカリ抽出物、ユリ抽出物、レタス抽出物、レモン抽出物、ローズマリー(マンネンロウ)抽出物、動物由来抽出物(イカスミ等軟体動物抽出物、貝殻抽出物、貝肉抽出物、魚肉抽出物、鶏冠抽出物、シルクプロテイン及びその分解物、胎盤抽出物、血清除蛋白抽出物、ローヤルゼリー、ラクトフェリン又はその分解物等)、酵母抽出物、微生物醗酵代謝産物(乳酸菌、ビフィズス菌等由来)、霊芝抽出物等が挙げられる(尚、かっこ内は、植物の別名、生薬名等を記載した)。
【0025】
これらの細胞賦活剤のうち、特に好ましいものとしては、ビタミンA及びその誘導体、ビタミンC及びその誘導体、ビタミンB及びその誘導体、クエン酸、リンゴ酸、ピロリドンカルボン酸、鶏冠抽出物、血清除蛋白抽出物、酵母抽出物、微生物醗酵代謝産物(乳酸菌、ビフィズス菌等由来)、霊芝抽出物が挙げられる。
【0026】
(紫外線防止剤)
紫外線防止剤としては、パラメトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシル、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、オキシベンゾン及びその誘導体(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸ナトリウム等)、酸化チタン、微粒子酸化チタン、酸化亜鉛及び微粒子酸化亜鉛等が挙げられる。酸化チタン、酸化亜鉛等の無機粉体は、微粒子のものを用いるとより高い効果が発揮される。
【0027】
これらの紫外線防止剤のうち、特に好ましいものとしては、パラメトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシル、酸化チタン、微粒子酸化チタン、酸化亜鉛及び微粒子酸化亜鉛が挙げられる。
【0028】
本発明の皮膚外用剤において、熟成したトマト搾汁液と組み合わせて用いられる上記各薬効成分の好ましい配合量は、その種類により相違するが、下記の表1に例示する範囲においては、製剤自体及び製剤中の熟成したトマト搾汁液の経時安定性に影響を及ぼすことがなく、しかもより優れた美白効果に加え、抗酸化効果、抗炎症効果、細胞賦活効果又は紫外線防止効果を発揮させることができるので特に好ましい。抽出物を抽出液のまま用いる場合は、乾燥固形分として表1に例示する範囲であればよい。
【0029】
【表1】
【0030】
本発明の皮膚外用剤の形態としては、特に限定されず、例えば、乳液、クリーム、化粧水、パック、洗浄料等のスキンケア化粧料、ファンデーション、アイシャドウ等のメーキャップ化粧料、分散液、軟膏、外用液剤などの化粧料や外用医薬品等とすることができる。
【0031】
また、皮膚外用剤の形態に応じ、上記必須成分以外に通常化粧品や医薬品等の皮膚外用剤に用いられる成分、例えば、水(アルカリ単純温泉水、深層水、精製水等を含む)、低級アルコール、多価アルコール、油脂、ロウ、鉱物油、脂肪酸、粉体、金属セッケン、pH調整剤、界面活性剤、増粘剤、色素、植物又は動物系原料由来の抽出物、ビタミン類、アミノ酸類、ホルモン類、殺菌・防腐剤、角質溶解剤、酵素、清涼剤、安定化剤、金属イオンキレート剤、血行促進剤、保湿剤、収斂剤、抗脂漏剤、香料等を用いることができる。
【0032】
【実施例】
次に参考例、試験例及び実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらになんら制約されるものではない。
【0033】
[例1]
完熟トマト果実を破砕、裏ごしして果皮、種子等を除去し、トマト搾汁液を得た。次いで、磨砕機を用い、このトマト搾汁液を回転数10,000rpmで数回循環することにより、微細化処理を行った。得られた処理液を高速遠心分離にかけ、6000Gにて5分間遠心分離を行い、大部分の不溶性の固形分を含む沈殿物と、一部のパルプを含む赤色の液体部(固形分5%)に分離し、この液体部をトマト一次搾汁液として得た。このようにして得られたトマト一次搾汁液を精密濾過膜で濾過処理し、膜透過側にトマト清澄処理液(固形分4%)を得た(これをトマト搾汁液(1)とする)。次に、このトマト搾汁液(1)を、温度55℃の環境下に2週間放置して熟成させた(これを熟成液(1)とする)。熟成により搾汁液は褐色に変化した。
【0034】
[例2]
例1で得られたトマト搾汁液(1)を、温度55℃の環境下に3週間放置して熟成させた(これを熟成液(2)とする)。熟成により搾汁液はさらに褐色に変化した。
【0035】
例1および例2で得られたトマト搾汁液(1)、熟成液(1)及び熟成液(2)の褐色の度合いについて、450nmにおける吸光度(OD450)を分光光度計(日本分光社製 V−560)で測定し、その結果を以下の表2に示した。表2に示す結果から、トマト搾汁液は熟成させることにより、その吸光度(OD450)が上昇するので、吸光度(OD450)を測定することにより、トマト搾汁液の熟成の程度を評価することができた。
【0036】
【表2】
【0037】
[例3]
限外濾過膜(Biomax−10(MILLIPORE社製))を用いて分子量分画を行った。即ち、サンプルリザーバーに熟成液(2)を入れ、3000×gで55分間遠心分離を行い、サンプルリザーバーに残った分子量1万を超える画分(これを熟成液(3)とする)と、フィルトレートレシーバーに回収された分子量1万以下の画分(これを熟成液(4)とする)とに分画した。
【0038】
[例4:培養細胞によるメラニン生成抑制試験]
2枚の6穴プレートに培地を適量採取し、マウス由来B16メラノーマ細胞を播種し、37℃、二酸化炭素濃度5vol%中にて静置する。翌日、下記表3に示す検体液をプレートに添加混和した。各検体液は、最終濃度が表中に示した所定濃度となるように希釈して調製した。培養5日目に培地を交換し、再度検体調製液を添加した。翌日、培地を除去し、1枚のプレートについて細胞をリン酸緩衝液にて洗浄した後回収し、B16メラノーマ培養細胞の白色化度を以下の基準にて目視評価した。結果を下記表3に示す。
(判定基準)
【0039】
残りの1枚のプレートについて、細胞をホルマリン固定後、1%クリスタルバイオレット溶液を添加し染色した。各検体濃度に対する生存細胞数(A)及び対照の細胞数(B)をモノセルレーターによって測定し、下式により細胞生存率を算出した。
細胞生存率(%)={A/B}×100
【0040】
また、すでにメラニン生成抑制作用のあることが知られているクジン抽出物についても同様の試験を行った。クジン抽出物は、クジン(日局)10gに、含水濃度50vol%のエチルアルコール100mLを加え、室温にて3日間抽出を行った後、濾過して得た。このとき乾燥固形分は2.8%であった。
これらの結果を併せて下記表3に示す。
【0041】
【表3】
【0042】
表3に示す結果から明らかなごとく、熟成させたトマト搾汁液は優れたメラニン生成抑制作用を有し、かつB16メラノーマ培養細胞に対し毒性が低いことが認められた。
さらに、例3で分離した、熟成液中の分子量1万以下の画分(熟成液(4))と分子量1万を超える画分(熟成液(3))の各々について、同様にメラニン生成抑制作用及び細胞生存率を調べたところ、同様に毒性が低く、且つ分子量1万以下の画分が特に高いメラニン生成抑制効果を示すことが確認された。これらの結果から、熟成液の中でも、分子量1万以下の画分を用いるほうが、メラニン生成抑制作用に対してより有効であることがわかる。
【0043】
[例5:クリーム]
下記表4に示す組成のクリームを調製し、下記試験法により美白及び美肌効果を調べた。
まず、成分(1)〜(6)及び(11)〜(14)を混合し、加熱して70℃に保った。これに、加熱により70℃に保った成分(16)を加え、混合した後冷却した。これに、成分(7)〜(10)及び(15)を添加し、クリームを得た。
【0044】
(試験方法)
被験クリーム1品につき28〜55才の女性15名を一群とし、毎日朝と夜の2回、12週間にわたって、洗顔後に被験クリームの適量を顔面に塗布した。塗布による美白・美肌効果を以下の基準によって評価した。
(評価基準)
<評価>
有効 肌のくすみが目立たなくなった。
やや有効 肌のくすみがあまり目立たなくなった。
無効 使用前と変化なし。
【0045】
【表4】
【0046】
表4に示した結果より、熟成されたトマト搾汁液と、薬効剤とを配合した本発明組成物は、これらを皮膚に適用することにより、肌の「くすみ」等の発生を防止、改善することができ、美しい肌とすることが明らかとなった。
【0047】
[例6:クリーム]
下記成分(1)〜(8)、(12)及び(14)を70℃にて加熱溶解した混合物を、成分(9)及び(15)を混合し70℃に加熱した混合物に加え、冷却した。これに、成分(10)〜(11)及び(13)を加え、クリームを得た。
成分 (%)
(1)モノステアリン酸ポリオキシエチレン(40) 2.0
(2)モノステアリン酸グリセリン(自己乳化型) 5.0
(3)ステアリン酸 5.0
(4)ベヘニルアルコール 0.5
(5)スクワラン 15.0
(6)イソオクタン酸セチル 5.0
(7)4−メトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシル*1 3.0
(8)グリチルリレチン酸ステアリル*2 0.2
(9)1,3−ブチレングリコール 5.0
(10)熟成液(4)*3 0.5
(11)カミツレ抽出物*4 0.1
(12)4−t−ブチル−4'− 0.1
メトキシジベンゾイルメタン*5
(13)香料 適 量
(14)防腐剤 適 量
(15)精製水 残 量
*1 BASF社製
*2 丸善製薬社製
*3 例3で製造したもの
*4 丸善製薬社製
*5 ジボダン社製
【0048】
[例7:化粧水]
下記の成分(6)〜(9)を混合溶解した混合液と、成分(1)〜(5)及び(10)を混合溶解した混合液とを混合して均一にし、化粧水を得た。
成分 (%)
(1)熟成液(2)*1 10.0
(2)カンゾウ抽出物*2 0.5
(3)ユキノシタ抽出物*3 1.0
(4)グリセリン 5.0
(5)1,3−ブチレングリコール 6.5
(6)モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン 1.2
(7)エチルアルコール 8.0
(8)防腐剤 適 量
(9)香料 適 量
(10)精製水 残 量
*1 例2で製造したもの
*2 丸善製薬社製
*3 一丸ファルコス社製
【0049】
[例8:化粧水]
下記成分(5)及び(7)〜(10)を混合溶解した混合液と、成分(1)〜(4)、(6)及び(11)を混合溶解した混合液とを混合して化粧水を得た。
成分 (%)
(1)熟成液(2)*1 2.0
(2)オウゴン抽出物*2 0.5
(3)クエン酸 0.1
(4)クエン酸ナトリウム 0.3
(5)dl−α−トコフェロール*3 0.05
(6)1,3−ブチレングリコール 4.0
(7)ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 1.0
(8)エチルアルコール 15.0
(9)防腐剤 適 量
(10)香料 適 量
(11)精製水 残 量
*1 例2で製造したもの
*2 一丸ファルコス社製
*3 エーザイ社製
【0050】
[例9:乳液]
下記成分(1)〜(7)及び(13)を加熱混合し、70℃に維持した混合液に、成分(9)〜(12)及び(15)を加熱混合し、70℃に維持した混合液を加えて混合し、均一に乳化した。これを冷却後(8)及び(14)を加え、均一に混合して乳液を得た。
【0051】
[例10:軟膏]
下記成分(3)、(4)及び(9)の一部を加熱混合し、75℃に維持した混合物に、成分(1)、(2)及び(8)を加熱混合し、75℃に維持した混合物を徐々に加えた後、これを冷却しながら、(9)の残部で溶解した(5)〜(7)を加え、軟膏を得た。
成分 (%)
(1)ステアリン酸 18.0
(2)セタノール 4.0
(3)トリエタノールアミン 2.0
(4)グリセリン 5.0
(5)熟成液(2)*1 5.0
(6)ソウハクヒ抽出物*2 1.0
(7)リン酸−L−アスコルビルマグネシウム*3 1.0
(8)2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン*4 0.05
(9)精製水 残 量
*1 例2で製造したもの
*2 以下の処方で製造したもの
ソウハクヒ(日局)10gに、含水濃度50vol%のエチルアルコール100mLを加え、室温にて3日間抽出を行ったのち濾過してソウハクヒ抽出物を得た。このとき乾燥固形分は1.8%であった。
*3 日光ケミカルズ社製
*4 和光純薬社製
【0052】
[例11:ゲル軟膏]
下記成分(1)及び(3)〜(7)を混合溶解した混合液に、成分(2)を加え、混合して均一にし、ゲル軟膏を得た。
成分 (%)
(1)カルボキシビニルポリマー 1.0
(2)トリエタノールアミン 1.0
(3)1,3−ブチレングリコール 10.0
(4)熟成液(2)*1 20.0
(5)パルミチン酸レチノール*2 0.01
(6)チャ抽出物*3 1.0
(7)精製水 残 量
*1 例2で製造したもの
*2 エーザイ社製
*3 丸善製薬社製
【0053】
[例12:リキッドファンデーション]
下記成分(1)〜(7)を混合し、加熱して70℃に維持した混合物に、成分(13)〜(17)を加え、均一に混合した。この混合物に、成分(8)〜(12)を均一に溶解して、70℃に維持した混合物を添加して、均一に乳化した。これを冷却後、成分(18)〜(20)を添加してリキッドファンデーションを得た。
成分 (%)
(1)ジペンタエリット脂肪酸エステル 2.0
(2)流動パラフィン 5.0
(3)ステアリン酸 2.0
(4)セタノール 1.0
(5)自己乳化型モノステアリン酸グリセリル 1.0
(6)パラメトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシル 5.0
(7)防腐剤 適 量
(8)グリセリン 5.0
(9)トリエタノールアミン 1.0
(10)カルボキシメチルセルロース 0.7
(11)ベントナイト 0.5
(12)精製水 残 量
(13)マイカ 5.0
(14)タルク 6.0
(15)酸化チタン 5.0
(16)微粒子酸化チタン 2.0
(17)着色顔料 6.0
(18)熟成液(2)*1 0.1
(19)ヨクイニン抽出物*2 0.1
(20)香料 適 量
*1 例2で製造したもの
*2 丸善製薬社製
【0054】
例6〜例12の各種皮膚外用剤は、いずれも皮膚に適用することにより、肌の「くすみ」等の発生を防止するとともに、シミ等の色素沈着も改善することができ、透明感のある美しい肌にするものであった。
【0055】
[例13:パック]
下記成分(1)、(3)、(4)及び(9)を混合し、攪拌しつつ70℃に加熱維持した混合物に、成分(2)、(7)及び(8)を混合した混合物を加え、混合した後、冷却して(5)及び(6)を均一に分散してパックを得た。
成分 (%)
(1)ポリビニルアルコール 15.0
(2)エチルアルコール 20.0
(3)グリセリン 5.0
(4)カオリン 6.0
(5)熟成液(2)*1 0.05
(6)アルニカ抽出物*2 3.0
(7)防腐剤 0.2
(8)香料 0.1
(9)精製水 残 量
*1 例2で製造したもの
*2 香栄興業社製
【0056】
例13のパックは皮膚に適用することにより、皮膚のきめを整え、肌の「くすみ」等の発生を防止するとともに、シミ等の色素沈着も改善することができ、透明感のある美しい肌にするものであった。
【0057】
【発明の効果】
本発明の皮膚外用剤は、熟成されたトマト搾汁液を有効成分として含有し、メラニン生成抑制及び皮膚の色素沈着に高い抑制効果を発揮するため、日焼けなどによる皮膚の黒化、シミ、ソバカスの防止・改善等に有効であり、美容や医療において極めて有用なものである。
Claims (3)
- 温度30〜60℃で、1〜6週間熟成させたトマト搾汁液から得られた分子量1万以下の画分を有効成分として含有する皮膚外用剤。
- 前記トマト搾汁液が少なくとも波長450nmの吸光度が上昇する条件で熟成されたトマト搾汁液である請求項1に記載の皮膚外用剤。
- 美白用皮膚外用剤である請求項1または2に記載の皮膚外用剤。
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